JP3648614B2 - 苗移植装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として育苗トレイで発芽させた稚苗を、適正な大きさまで育成するために移植トレイに移植する苗移植装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の苗移植作業は、作業者が育苗トレイから苗を一つずつ取り出し、移植トレイに植え替える手作業により行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、手作業では作業能率が悪いため作業能率を向上させるべく、本願発明者らは、この種の苗移植作業に適した苗移植装置を提案した(特願平7ー350328号)。この装置は、育苗トレイ及び移植トレイを搬送するトレイコンベアを左右並列に配置して、これらトレイコンベアの送り方向中央部の上方で、トレイコンベアの送り方向と直交する方向に、これらトレイコンベア間で移植爪を往復動させる爪移動機構と、各トレイコンベアの上方の移動停止位置で、爪移動機構の往復動方向と同方向において、移植爪を上下揺動させて苗取り及び苗植付を行わせる爪揺動機構とを設けて、育苗トレイにある苗を爪揺動機構による移植爪の苗取動作で苗取りし、苗取りした移植爪を爪揺動機構により移植トレイ上に移動させた後、苗植付を行うものである。
【0004】
しかるに、爪揺動機構により取り出した苗が不良であったり、或いは苗の把持状態が適正でなく植付時の植付姿勢が不良であった場合には、その後の成育が悪く、また、移植爪が苗を把持していなかった場合には、移植トレイのポットが欠株となるため、爪揺動機構に、苗センサーを設けて移植動作中に爪揺動機構が苗を正常に把持しているか否かを検出し、正常に把持していなかった場合には、かかる欠株を含む不良苗を移植動作したポットにもう一度正常な苗を植付けるようにしている。
【0005】
ところが、欠株を含む不良苗を移植動作したポットに再度苗を植付けると、同じポットについて再度同じ移植動作を繰り返すため、移植作業に時間がかかる。また、不良苗が植付けられたポットに再度苗を植付けるために、再度植付けられた苗は、植付深さが浅くなって植付姿勢がわるくなり、良好に成育できないという不具合を生じる。
【0006】
本発明の目的は、正常な苗のみを良好な植付姿勢で効率的に移植できる苗移植装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、育苗トレイの苗を取り出す苗取出位置と移植トレイの苗を植付ける苗植付位置との間を往復動する移動体と、該移動体に支持され、苗取出位置で育苗トレイから苗を取り出す苗取動作と、苗植付位置で移植トレイに植付ける植付動作を行う植付部とを備えた苗移植装置において、前記移動体に枢支され、前記苗取出位置と前記苗植付位置との間で円弧軌跡を描きながら上下動作する揺動アームを備え、該揺動アームに前記植付部が設けられており、該植付部が苗取出位置から苗植付位置へ移植動作する途中で不良苗を排出する排出手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記移動体は前記植付部が取り出した苗が不良苗であるか否かを検出する苗センサーを備えており、前記植付部に排出手段が設けられ、育苗トレイから苗を取り出す苗取動作と、移植トレイに植付ける植付動作と、不良苗を排出する排出動作とを同一経路上で行うと共に、植付動作と排出動作とが同じ機構で達成されることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3記載の発明は、排出手段90による排出動作位置を、育苗トレイT1と移植トレイT2との間にした。
【0010】
【発明の作用効果】
請求項1記載の発明によれば、苗取出位置で取り出された不良苗は、苗植付位置に至るまでの間に排出手段により排出され、植付部はその排出位置から再び苗取動作に向かうことができ、また、移植部が苗を把持しなかった場合にも、同様にすばやく排出位置から再び苗取動作に向かうことができるので、欠株を含む不良苗の排出処理をすばやく行うことができ、よって効率的な移植作業を行うことができる。
【0011】
また、不良苗は排出手段により排出されるため、不良苗がポットに植付けられることがなく、よって、正常な苗のみが常にポットに移植されるので、不良苗が植付けられたポットに再度苗が植付けられたために生じる不都合、すなわち、植付けられる苗の植付深さが浅くなったり、或いは植付姿勢がわるくなるという不具合は生じない。
【0012】
また、請求項2記載の発明によれば、育苗トレイから苗を取り出す苗取動作と、移植トレイに植付ける植付動作と、不良苗を排出する排出動作とが同一経路上で行われるので、一連の移植動作を最小限の距離において行え、且つ植付動作と排出動作とが同じ機構で達成されるので、植付部の構成を簡素化できて、よって、一連の移植動作を簡易な構成で短時間に行うことができ、移植作業の効率化を図ることができる。しかも、移動体に苗センサーが設けられているため、苗センサーと植付部との位置関係の調節を容易とし、また、移植動作において移動体が移動しても、苗センサーと植付部との位置関係を常に一定の位置関係で保持できるので、苗の検出を確実に行うことができる。
【0013】
さらに、請求項3記載の発明によれば、排出手段による排出動作位置が、育苗トレイと移植トレイとの間であるので、かかる空間を有効に利用して、装置の小型化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示す如く、本発明の苗移植装置は、育苗された稚苗を収容する複数のポットP1をもつ育苗トレイT1を搬送する育苗トレイ搬送用ベルトコンベア1と、この稚苗が移植されるSSトレイなどの枠体に挿入された複数のビニポットP2をもつ移植トレイT2を搬送する移植トレイ搬送用ベルトコンベア2とを平面視で平行に配置してフレーム3に上下方向に位置調節可能に支持すると共に、これらベルトコンベア1、2の送り方向中央部の上方で、ベルトコンベア1、2の送り方向と直交する方向に、育苗トレイT1の苗を移植トレイT2に移植する移植部4を備えている。
【0015】
前記育苗トレイ搬送用ベルトコンベア1は、間歇送り機構5により図2に矢視する方向に各ポットP1のピッチ毎に間歇的に搬送させて、移植部4での移植を順次行うようにしている。そして、前記移植トレイ搬送用ベルトコンベア2も、図示しない同様の間歇送り機構により図2に矢視する方向に各ポットP2のピッチ毎に間歇的に搬送させて、移植部4での移植を順次行うようにしている。
【0016】
また、育苗トレイ搬送用ベルトコンベア1には、苗取出位置における幅方向両側に育苗トレイT1の幅方向両端部に係合して該育苗トレイT1の動きを規制する第1ガイド体6と、苗取出位置で苗トレイT1を上側から押える第2ガイド体7を設けて、移植部4で苗を取り出すときに育苗トレイT1をベルトコンベア1に固定して円滑な苗取動作を確保している。
【0017】
また、8はこの装置を操作する操作部で、9は制御部である。
【0018】
前記移植部4は、育苗トレイT1から苗を取り出す苗取出位置と移植トレイT2に苗を植付ける苗植付位置との間を往復動する移動体10と、前記移動体10に枢支され、苗取出位置と苗植付位置との間を円弧軌跡を描きながら上下動作する揺動アーム11と、該アーム11に支持される植付部40とを備えている。
【0019】
前記移動体10は、図2及び図3に示すように、各コンベア1、2の上方で、これらコンベア1、2の送り方向に直交した方向に往復移動するように、レール18によって保持されている。前記レール18には、左右一対のタイミングプーリ12a、12bと、このタイミングプーリ12a、12bに巻回したタイミングベルト13とが設けられ、移動体10は、前記タイミングベルト13に取り付けたテ−ブル17aと、該テーブル17aに連結され、前記アーム11を枢支する支持体17とを備え、左側プーリ12aのプーリ軸14には、ベルト15を介して駆動モータ16を連動させて、このモータ16の正逆駆動により、タイミングベルト13を左右方向に往復動させて、このタイミングベルト13に取付けられたテーブル17aを介して支持体17を苗取出位置と苗植付位置との間で往復動するようにしている。そして、図4に示すように、前記支持体17には、アーム11を駆動する駆動モータ18を備えて、該駆動モータ19のモータ軸19aにジョイント19bを介してアーム11の基部を枢支している。
【0020】
そしてアーム11は、図5及び図6に示すように、アーム11基部に設けられる基部外筒20に前記モータ軸19a連結される入力側内軸21を回転自由に挿嵌して、該内軸21を連結板22によりアーム11基部と一体連結すると共に、アーム11の先端部に先端部外筒23を設けて、この外筒23に移植部40に連結する出力側内軸24を回転自由に挿嵌して、該内軸24を連結板25によりアーム11先端部と一体連結する一方、前記入力側内軸21及び出力側内軸24のそれぞれに固定スプロケット26、27を設けて、この固定スプロケット26、27間にチェン28を巻回して、前記モータ19の正逆駆動により、入力側内軸21を回転させて、図7に示すように、アーム11を適宜右或いは左回転させて苗取出位置と苗植付位置とを円弧軌跡を描きながら上下動作させる共に、出力側内軸24に連結した植付部40の爪体42、44を、アーム11の揺動に関係なく常に下向きとなるようにしている。
【0021】
前記植付部40は、図5及び図6に示すように、苗取出位置で苗を挟持して掴み苗植付位置で苗を解放する爪部40Aと、この爪部40Aに追従して爪部40Aが苗植付位置にあるとき苗を上方から押さえる苗押え部40Bとを備え、爪部40Aは、固定爪体用ホルダー41に基端部が支持されたフォーク状の爪体42と、可動爪体用ホルダー43に基端部が支持された同じくフォーク状の爪体44との一対の開閉可能な爪体42、44を備え、固定爪体用ホルダー41は、前記先端部外筒23にピンなどを介して固定されると共に、可動爪体用ホルダー43は、固定爪体用ホルダー41に対してアーム11側の対向位置に、固定爪体用ホルダー41の下端部に形成された開閉軸45に揺動自由に枢支され、両ホルダー41、43の上方であって対向する両内面側には、それぞれバネ座46、47を形成して、このバネ座46、47間に、前記可動爪体44を開閉軸45を支点として、固定爪体42側、すなわち爪体42、44を閉方向に付勢するバネ48を介装している。
【0022】
そして、前記先端部外筒23におけるアーム11と可動爪体用ホルダー43との間に、軸方向移動不能で軸周り回転可能とした円筒形のカム体49を設けて、該カム体49の外周面に互いに180°離間した位置に一対のカム姿勢制御用突起50、50を設けると共に、軸方向一端面には、一対のカム姿勢制御用突起50、50とずれた位置であって互いに180°離間した位置に一対の係合溝51、51を設けると共に、アーム11の先端部外側面には、前記カム姿勢制御用突起50、50に当接するカム操作体54を設ける一方、前記固定爪体用ホルダー41には、前記係合溝に係合する一対の係合体53、53を設けて、図6及び図8に示すように、前記移動体10が苗取出位置に位置したときに、アーム11に設けたカム操作体54を一方のカム姿勢制御用突起50に当接させてカム体49を回転させ、カム体49に設けられた係合溝51、51に固定爪体用ホルダー41に設けられた係合体53、53を係合させて、バネ48の付勢力により一対の爪体42、44の閉動作により苗を掴み、図5及び図8に示すように、前記移動体10が苗植付位置に位置したときに、アーム11に設けたカム操作体54を他方のカム姿勢制御用突起50に当接させてカム体48を回転させ、係合溝51、51に係合している係合体53、53の係合解除を行って、バネ48の付勢力に抗して一対の爪体42、44の開動作により苗を解放するのである。
【0023】
一方、苗押え部40Bは、図9に示すように、前記爪部40Aを上下方向に相対移動可能に案内する固定枠体63と、苗を植付けた爪部40Aが上動したときに苗押え部40Bを係止して該苗押え部40Bが爪部40Aと共に上動するのを規制する係止体70を備えている。
【0024】
前記固定枠体63は、3本の支持杆61a、61b、61cを上板60a及び下板60bの間に架設してなり、この固定枠体63には、各爪体42、44をそれぞれ独立して取り囲む一対の押え体64、64を取り付けている。
【0025】
前記押え体64、64は、図9に示すように、各爪体42、44を覆う枠状の線体からなり、図5及び図6に示すように、前記下板60bの下面に設けたクリアランス部60cに、その上部を屈曲させて一対の爪体42、44が対向する内側から取り付ける一方、その下部を各爪体42、44の外側に屈曲させて扁平状の押え面65、65を形成している。
【0026】
そして、前記固定爪体用ホルダー41に、前記固定枠体63の支持杆61a、61b、61cに上下方向に相対移動可能に挿通する可動枠体66を形成して、この可動枠体66を、前記固定枠体63に挿通すると共に、固定枠体63の両側の支持杆61a、61cにおける上板60aと可動枠体66との間に可動枠体66を固定枠体63に対し下方向に付勢するバネ69を介装すると共に、固定枠体63の中央の支持杆61bには、可動枠体66の上方向相対移動の上限を規制するストッパ部材67と、その下方に、後述するラッチレバー77と係合するラッチ係合部68を取り付けている。
【0027】
また、前記係止体70は、図7に示すように、前記支持体17の下部に取り付けられる平面視枠状のセンサーフレーム71の前方右側に、枢支軸72を介して左右方向揺動可能に設けられており、詳しくは、図9に示すように、係止体70は、前記枢支軸72に支持される側板73と、該側板73に長孔75を介して上下方向に長さ調節可能に取り付けられるラッチ支持板74と、該ラッチ支持板74の上端部にラッチ枢支軸76を介して取り付けられ、前記ラッチ係合部68に係合するラッチレバー77とを備えると共に、前記側板73の下面には、この下面から側板73の右側面に沿って起立する板バネ78を取付部材79を介して支持している。
【0028】
このように構成された苗押え部40Bは、苗植付位置においては、図9(a)に示すように、可動枠体66が固定枠体63に対しバネ69により下方向に付勢されており、爪体42、44が押え体64に対し下方向に突出しているので、爪体42、44が苗をポットP2中に植付けると共に、押え体64が苗を上方から押さえるように構成される。
【0029】
次に、苗を植付けた爪部40Aが上動したときには、図9(b)に示すように、苗植付位置においてラッチレバー77にラッチ係合部68が係合しているので、固定枠体63の上動が規制される一方、バネ69の付勢力に抗して可動枠体66が固定枠体63に対し前記ストッパ部材67に当接するまで上方向に相対移動し、苗押え部40Bが爪部40Aと共に上動するのが規制される。
【0030】
そして、さらに爪部40Aが上動したときには、図9(c)に示すように、ラッチレバー77とラッチ係合部68との係合力が、可動枠体66を上動させる力に打ち負けて板バネ78が撓み、枢支軸72を支点としてラッチ支持体74が揺動し、ラッチレバー77とラッチ係合部68との係合が解除されて、再び可動枠体66が固定枠体63に対しバネ69の付勢力により下方向に移動して、爪体42、44が押え体64、64に対して突出した位置にくる。
【0031】
以上のように、爪部40Aから解放された苗をこの爪部40Aが上昇する間、苗押え部40Bが押えるので、爪部40Aから解放された苗がそのまま爪部40Aにひっかかっていても、苗は苗押え部40Bにより押えられ、爪部40Aから良好に脱離すると共に、苗は苗押え部40Bにより苗植付位置で押えられているので、苗の持ち上がりが防止されて、苗の植付け深さや植付角度が安定した良好な植付姿勢の植付けを実現できて、よって、簡易な構成により確実な移植を行うことができる。また、この苗植付動作においては、各爪体42、44の周りを扁平状の各押え面65、65が確実に押えるため、苗の持ち上がりが確実に防止されて、良好な植付姿勢の植付けを行うことができる。
【0032】
斯くして構成された苗移植装置は、操作部8を操作して、制御部9にプログラミングされた制御により、移植部4の植付部40が左右方向に移動して育苗トレイT1における一列に配置された複数のポットP1中の稚苗を移植トレイT2における一列に配置された複数のポットP2に順次一つずつ移植すると共に、各列での移植が終了したあとは、育苗トレイ搬送用ベルトコンベア1と、移植トレイ搬送用ベルトコンベア2が間歇送りされて、次の列に配置された複数のポットP1中の稚苗を移植トレイT2のポットP2に順次移植するのである。
【0033】
そして、本装置においては、このような一連の移植動作において、植付部40により取り出した苗が生育不良であったり、或いは苗の把持状態が適正でなく植付時の植付姿勢が不良であった場合にはその後の成育が悪く、また、爪部40Aが苗を把持していなかった場合には、移植トレイT2のポットP2が欠株となるため、後で詳述する苗センサー86を設けて、移植動作中に植付部40が苗を適正に把持しているか否かを検出し、適正に把持していなかった場合には、植付部40が、苗取出位置から苗植付位置へ移植動作する途中でかかる不良苗を排出するようにしている。
【0034】
かかる不良苗を排出する排出手段90は、図1及び図2に示すように、育苗トレイを搬送する育苗トレイ搬送用ベルトコンベア1と、移植トレイを搬送する移植トレイ搬送用ベルトコンベア2との間であって、前記レール18の前方、すなわち、植付部40が通過する下方の位置に、不良苗を排出するダストシュータ91を配置し、このダストシュータ91の排出口91aにダストボックス92を設けると共に、制御部9の制御により、図3の仮想線に示すように、前記苗センサー86により不良苗を検出したときに、ダストシュータ91の上方位置で前記した植付動作と同様の動作により爪部40Aの解放が行われるようになすものである。
【0035】
このような排出手段90を設けることにより、苗取出位置で取り出された不良苗は、苗植付位置に至るまでの間に排出手段90により排出され、植付部40はその排出位置から再び苗取動作に向かうことができ、また、移植部40が苗を把持しなかった場合にも、同様にすばやく排出位置から再び苗取動作に向かうことができるので、欠株を含む不良苗の排出処理をすばやく行うことができ、よって効率的な移植作業を行うことができる。
【0036】
また、不良苗は排出手段90により排出されるため、かかる不良苗がポットP2に植付けられるということがなく、正常な苗のみが常にポットP2に移植されるので、例えば、爪部40Aが苗を適正に把持していなかった場合に排出することなくポットP2に移植して、かかる不良苗を移植したポットP2にもう一度正常な苗を植付けるような制御をしている場合に生じる不都合、すなわち、植付けられる苗の植付深さが浅くなったり、或いは植付姿勢がわるくなるという不具合は生じない。
【0037】
また、不良苗を排出する排出動作は、育苗トレイT1から苗を取り出す苗取動作と、移植トレイT2に植付ける植付動作との同一経路上で行なわれるので、一連の移植動作を最小限の距離において行え、且つ植付動作と排出動作とが同じ機構で達成されるので、植付部40の構成を簡素化しながら、一連の移植動作を短時間に行うことができ、移植作業の効率化を図ることができる。
【0038】
排出手段90による排出動作位置が、育苗トレイT1と移植トレイT2との間であるので、両ベルトコンベア1、2間の空間を有効に利用して、装置の小型化を図ることができる。
【0039】
そして、前記苗センサー86は、植付部40の移植動作軌跡内において、移動体10の往復動方向とほぼ平行した方向に光軸をもつ光の有無を検出するようにして適正な苗の有無を検出できるようになしている。
【0040】
具体的には、図2、図3及び図7に示すように、前記センサーフレーム71は、支持体17の左右両側から突出した左右側板81、82と、この左右側板81、82の遊端側に架設された前板83で、前記アーム11及び植付部40を囲むように構成され、前記左右側板81、82の何れか一方に、移動体10の往復動方向とほぼ平行した方向に光軸をもつ光を放つ発光部84を、図4に示すように、取付片85を介して移動体10の往復動方向と直交する方向に位置変更可能に取り付けると共に、他方の左右側板81、82であって、前記発光部84と対向する位置に、光を放つ発光部84からの光を受光する苗センサー86を、発光部84と同様に、取付片87を介して移動体10の往復動方向と直交する方向に位置変更可能に取り付けている。そして、発光部84を、発光部84から放つ光の光軸が苗を掴んだ爪部40Aの移植動作における円弧軌跡と交わるような位置に前記取付片85において調節すると共に、前記苗センサー86を、発光部84からの光が受光できる位置に前記取付片87において調節している。
【0041】
このように、苗センサー86は、植付部40における爪部40Aの移植動作軌跡内において、移動体10の往復動方向とほぼ平行した方向に光軸をもつ光を検出するので、苗の検出は、光軸と、苗を掴んだ爪部40Aの移植動作における移植動作軌跡とが交わる部分で行われ、かかる部分では、光軸と移植動作軌跡とは直交せず、よって、直交した場合に比べて交叉部分はある所定の幅をもつために、苗を継続して検出できる時間が長くなり、従って、爪部40Aが苗を適正に把持しているか否かを精度よく検出することができると共に、爪部40Aが苗を把持していない場合は勿論、爪部40Aが苗底まで把持した場合でも、該爪部40Aは、光軸を上下方向に通過するので、苗の有無の検出を確実に行うことができる。また、苗センサー86は、植付部40を前記アーム11を介して枢支する移動体10に、センサーフレーム71を介して取り付けられているので、苗センサー86と植付部40との位置関係の調節を容易として、しかも、移植動作において移動体10が移動しても、苗センサー86と植付部40との位置関係を常に一定の位置関係で保持できるので、苗の検出を確実に行うことができる。
【0042】
また、図7の仮想線に示すように、苗センサー86を、植付部40における移植動作軌跡の始点と終点との間の中央部で交わる光軸をもつ光の有無を検出するように構成した場合、すなわち、前記センサーフレーム71を前記アーム11及び植付部40に対してこれらの上部側に対向するような位置に位置させて前記支持体17に支持した場合には、苗センサー86で受光される光は、爪部40Aの移植動作における円弧軌跡の上方部を通り、よって、爪部40Aが光軸を上下方向に通過するときには、下方部で通過する場合に比べてより時間がかかるので、苗センサー86が苗を継続して検出できる時間がより長くなり、従って、爪部40Aが苗を適正に把持しているか否かをより精度よく検出することができる。
【0043】
さらに、図6の仮想線に示すように、発光部84を、該発光部84から放たれる光の光軸が爪体42、44の開閉軌跡内で閉位置に対しオフセットするように位置させると共に、苗センサー86を、この光を受光できるように位置させると、移植動作において苗が掴まれていない場合には、爪体44は、かかる光を遮るということがあり得ず、従って、爪部40Aが苗を掴んでいるか否かを確実に検出できて検出精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 苗移植装置の側面図。
【図2】 苗移植装置の平面図。
【図3】 移動体を説明する正面図。
【図4】 移植部を説明する部分断面側面図。
【図5】 爪部が開状態である移植部の部分断面側面図。
【図6】 爪部が閉状態である移植部の部分断面側面図。
【図7】 揺動アームの動作を説明する拡大正面図。
【図8】 カム体の動作を説明する説明図。
【図9】 苗押え部の動作を説明する拡大正面図。
【符号の説明】
10;移動体、40;植付部、90;排出手段、T1;育苗トレイ、T2;移植トレイ
Claims (3)
- 育苗トレイの苗を取り出す苗取出位置と移植トレイの苗を植付ける苗植付位置との間を往復動する移動体と、該移動体に支持され、苗取出位置で育苗トレイから苗を取り出す苗取動作と、苗植付位置で移植トレイに植付ける植付動作を行う植付部とを備えた苗移植装置において、前記移動体に枢支され、前記苗取出位置と前記苗植付位置との間で円弧軌跡を描きながら上下動作する揺動アームを備え、該揺動アームに前記植付部が設けられており、該植付部が苗取出位置から苗植付位置へ移植動作する途中で不良苗を排出する排出手段を備えることを特徴とする苗移植装置。
- 前記移動体は前記植付部が取り出した苗が不良苗であるか否かを検出する苗センサーを備えており、前記植付部に排出手段が設けられ、育苗トレイから苗を取り出す苗取動作と、移植トレイに植付ける植付動作と、不良苗を排出する排出動作とを同一経路上で行うと共に、植付動作と排出動作とが同じ機構で達成される請求項1記載の苗移植装置。
- 前記排出手段による排出動作位置が、育苗トレイと移植トレイとの間である請求項1又は2に記載の苗移植装置。
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JP4724958B2 (ja) * | 2001-06-18 | 2011-07-13 | 井関農機株式会社 | 苗移植装置 |
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1996
- 1996-04-15 JP JP09291196A patent/JP3648614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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