JPH0829789B2 - チルド流通及び常温流通可能な電子レンジ用完全調理済食品収納体及びそれを用いた調理方法 - Google Patents

チルド流通及び常温流通可能な電子レンジ用完全調理済食品収納体及びそれを用いた調理方法

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JPH0829789B2
JPH0829789B2 JP61259616A JP25961686A JPH0829789B2 JP H0829789 B2 JPH0829789 B2 JP H0829789B2 JP 61259616 A JP61259616 A JP 61259616A JP 25961686 A JP25961686 A JP 25961686A JP H0829789 B2 JPH0829789 B2 JP H0829789B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電子レンジ用完全調理済食品容器に関し、特
にコールド、チルド食品の製造出荷後、常温で流通可能
な電子レンジ用完全調理済食品容器及びそれを用いた調
理方法に関する。
従来技術 電子レンジにより食品を調理することは現在かなり広
く行なわれているが、主として冷凍食品の解凍又は冷た
くなった食品の再加熱が行なわれるだけであると言って
も過言ではなく、各種冷凍食品に応じた満足のいく調理
は行なえないのが実状であった。
このような食品の調理における電子レンジの用途上の
限界は電子レンジの各メーカーの各機種により斜線の仕
組、角度部分の形状及び範囲が大幅に異なり、例えば、
電子レンジの調理台への食品の載置場所により加熱の差
異が生じ、又電子レンジでの食品調理にあたり、調理の
仕上り(食べ頃)の目安となる適当なものがなかったこ
とによるものである。
上記の電子レンジを用いる食品調理上の欠点を補う方
法として完全調理済冷凍食品に関し、本発明者は先に、
電子加熱調理用積層シート、食品収納体及びそれを用い
た調理方法(特願昭60−232309号、特願昭61−18188
号、特願昭61−79323号、特願昭61−53764号、特願昭61
−53765号)を提案した。これにより、電子レンジの種
類、機能に左右されることなく、満足のいく食品の調理
が可能となり、電子レンシの機能を充分に発揮させ、短
時間に調理が可能となり、電子レンジの食品の調理の仕
上りの目安が簡単に且つ適確にわかり、特定の積層シー
トにより油、水のバランスが保たれたすぐれた調理が可
能となったのである。
発明が解決しようとする問題点 ところで、完全調理済冷凍食品は長期保存が可能であ
り、その点では好ましいが、流通面では冷凍車、冷凍庫
等の機械、設備が必要となり、コスト高は免れない。こ
れら調理済冷凍食品をコスト面で安価なチルド流通及び
常温流通を行なうことが好ましいのであるが、そのまま
では保存の面で問題が生ずる。
又、既存の長期保損可能な食品包装形態であるレトル
ト、ボイル、完詰などは、いずれもそのままの包装形態
では電子レンジ調理には利用できない。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、電子レンジ用調理済食品をチルド流通
及び常温流通可能なものとなすべく種々検討の結果、該
調理済食品を食品収納体に収納後、電子レンジ加熱殺菌
を行なうことのできるものとし、又該食品をそのまゝの
状態で調理できるものとすることにより、前記の問題点
を解決できることを見出し、本発明に到達したものであ
る。
即ち、本発明は(1)油、水を通さない耐熱性合成樹
脂フィルム又はシートからなる一重の袋式又は箱形収納
体であって、調理済食品の電子加熱殺菌を行なう際に発
生する水蒸気を排出させ内圧を高めない水蒸気排出開放
口、加熱調理時の収納体内の加圧及び加温を調節する水
蒸気調節穴を有し、該水蒸気排出開放口及び該水蒸気調
節穴にはそれらを覆う着脱自在なシールフィルムが設け
られてなることを特徴とするチルド流通及び常温流通可
能な電子レンジ用完全調理済食品収納体、 (2)水蒸気調節穴が加熱調理時に圧力が1.00〜1.15気
圧及び温度が100〜105℃とすることができるものであ
る、上記(1)記載の電子レンジ用完全調理済食品収納
体、および (3)油、水を通さない耐熱性合成樹脂フィルム又はシ
ートからなる一重の袋式又は箱形収納体であって、調理
済食品の電子加熱殺菌を行なう際に発生する水蒸気を排
出させ内圧を高めない水蒸気排出開放口、加熱調理時の
収納体内の加圧及び加温を調節できる水蒸気調節穴を有
し、該水蒸気調節穴を覆ってシールしたシールフィルム
が設けられてなるチルド流通及び常温流通可能な電子レ
ンジ用完全調理済食品収納体に、調理済み冷凍食品或い
はチルド食品を入れ、電子加熱して殺菌処理し、その際
発生する水蒸気を該水蒸気排出開放口より排出させ、該
水蒸気排出開放口をシールして該殺菌処理食品を保存
し、チルド流通及び常温流通を可能にし、電子加熱調理
時には該水蒸気調節穴を覆ったシールフィルムを除去し
て収納体を電子加熱に付すことを特徴とする電子レンジ
加熱調理法、に関する。
本発明の食品収納体は一重の袋式又は箱形のものであ
り、その素材は耐熱性(110℃以上)、且つ油、水を通
さない合成樹脂フィルムであって例えばポリエステル,
ポリアミド,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリプロ
ピレン,耐熱性ポリエチレン等及びそれらの混合物であ
り、ポリエチレンテレフタレート,6−ナイロン,66−ナ
イロン,延伸・未延伸ポリプロピレン(OPP,CPP),高
密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,低密度ポリエ
チレン(HD,MD,LD)等を挙げることができる。
これらは単層のフィルムであることができる。勿論先
に提案した前記合成樹脂フィルムを内外層とし、中間層
を紙又は不織布或るいは不織布を内層とする三層或るい
は二層からなる積層シート(又はフィルム)であること
ができる。
収納体としては袋、カップ,トレイ等の食品を収納・
密封できるものであればいずれの形態のものでも構わな
い。
本発明では、完全調理済冷凍食品の流通をチルド流通
或るいは常温流通可能とするため、調理済冷凍食品を収
納体に入れ電子加熱殺菌をする。そのため食品の加熱時
に発生する水蒸気を排するため、水蒸気排出開放口を収
納体の適当な場所に設ける。これにより収納体の内圧を
高めることなく、殺菌をすることができる。内圧が高ま
ると食品が加熱調理されるので好ましくない。加熱殺菌
時間は食品の種類により適宜選択されるが、2〜6分間
が好ましい。
開放口は水蒸気排出無圧弁を設けることもできるし、
又収納体の蓋のあるものは蓋を一部開けたり、袋の場合
は無シール部を設ける等して、発生する水蒸気を排出す
るようにされるものである。
水蒸気排出無圧弁を設けるものにあっては、その大き
さは円形であればその直径10m/m〜15m/m、面積0.785cm2
〜1.766cm2であり、形状は丸、四角、三角等いずれのも
のでも構わない。この無圧弁は熱針或いは打ち抜き等に
より設けられる。
この開放口は加熱殺菌後、適当な方法、例えば熱シー
ル、紙シール等によりシールされる。その際N2ガス、CO
2ガス等の不活性ガスを食品入り収納体中に充填したり
して、保存を良好にすることもできる。
ついで、加熱殺菌された食品入収納体は、冷凍庫等に
保存される。
この殺菌処理された調理済食品収納体は、チルド流通
或るいは常温流通することができ、チルド流通で2〜3
週間、常温流通でも7〜10日、品質の低下なく保存され
たものとすることができるのである。
本発明の一重の袋式又は箱形収納体は、電子加熱調理
される際に収納体内の食品より発生する水蒸気によるそ
の内圧および温度を調節するため、水蒸気調節穴が設け
られている。加熱された際に発生する蒸気により収納体
内が1.00気圧〜1.15気圧及び100℃〜105℃の温度に調節
されることも重要である。
この水蒸気調節穴は、最初からシールされていてもよ
く、又食品を入れて収納体内の食品の殺菌後にシールさ
れてもよい。したがって該水蒸気調節穴は食品の殺菌
後、保存及び流通過程では、例えば紙シール等によりシ
ールされ、電子加熱調理時に、該シールを解除し、水蒸
気の調節を行なう。
この加熱調理時の収納体の水蒸気圧の調節により、電
子レンジから発射される超短波が食品に吸収され、食品
中の分子が振動して発生する摩擦熱による加熱解凍作業
を収納体内の均一の水蒸気圧ふんいき中で行うことがで
き、前記内圧平衡水蒸気ふんいきが発生しない開放機構
(内圧のない場合)と比較し、調理所要時間が3〜5割
(1.5〜2倍)短縮され、特に誘電力率の極端に低い氷
を解凍する場合は6〜7割(2〜3倍)の高短縮効果が
奏せられる。
さらに、この水蒸気圧を選択することにより、一定の
味覚の維持が可能となるのである。
この蒸気圧の調節のため収納体の一部に水蒸気調節穴
を設けるのである。その設ける場所は前記の調節が可能
であればいずれでも構わない。この水蒸気調節穴の大き
さ、型及び数は、収納体の大きさ(容積)調理する食品
のより即ち食品に含まれる水分、特に誘電率の極端に異
なる氷結部分より大略計算して求めることができる。勿
論食品の成分構成である炭水化物・蛋白質・灰分・油分
等で、食品毎の微調節は必要であるが、通常袋物は、縦
80mm×180mmの場合はその全容積はモール部を除き300cc
でありこの穴の口径は0.5mm〜2mmで穴の数は3〜6箇で
ある。
又カップ,トレイの場合も300ccの内容積では袋に準
じた0.5mm〜2mmの穴で3〜6箇である。
この収納体内の蒸気圧が1.00〜1.15気圧、温度として
100℃〜105℃の範囲外の場合、即ち1.00気圧未満の場合
は短時間の分秒調理を目的とする電子加熱調理、特に冷
凍状態からでは氷結部分の誘電率の極端な差が原因で未
解凍部分が残り食するに耐えないものとなり、好ましく
ない。
又1.15気圧,温度として105℃以上になると経済性,
実用性のある収納体では調節穴部の穴或はシール部が破
損し開放状態となり本発明の特長である電子の摩擦熱を
内圧水蒸気雰囲気下で行なう目的を果たすことができ
ず、好ましくない。
調節穴の形状は普通は円状であるが、X印及びV印の
切込みを設け、噴射蒸気によりX印部、V印部の切込み
を押上げ調製する方法も含まれる。
この穴のあけ方は単一袋の場合は、製袋後上下運動の
金属針又は金属加熱針によりあけ、又大量生産の場合は
自動製袋すると同時に収納食品をパックする際、上記と
同様な針のクランク運動であけることができる。
水蒸気圧調節穴は食品の殺菌後はシール又はラップ掛
を行ない衛生面上問題のないものとすると共に、凍結時
の水分蒸発を防止して電子レンジ調理の時にこれを除
き、前記の目的圧力に調節するものである。又、この収
納体に設けられた水蒸気圧調節穴はシール或いはラップ
で閉鎖されるので、前記の不活性ガスの封入の外に例え
ば一般に行われている塩分・PH・安定剤を活用し、食品
の保存及びチルド流通或いは常温流通の面に役立てるこ
とができる。
本発明は収納体に設けられた調節穴により収納食品の
電子加熱時間の短縮に大きな効果がある点は、何れの調
理済食品の実験においても、1.5倍〜3倍の短縮ができ
ることにより明白である。更に、詳細な実験例より収納
食品の収納前の温度及び素材構成により、又調節穴の大
きさによって、電子加熱時の発生蒸気量と発生までの時
間が異なること、及び何れの食品も調節穴より蒸気が吹
上げる時間が1〜5秒の時、味覚即ち、味・香・食感が
最も良好であることが明らかとなった。又5秒を経た場
合のチキンナゲットは、味・香が損耗し、食感はやや固
く乾きすぎる等の現象が生じ蒸気の吹上げ直前では収納
食品の内部分は解凍しているが、生ぬるい感じがあって
食して異和感がある。又8秒をすぎたものは香味の低下
は当然だが、コロモも肉も軟かみが殆どない状態にな
る。このことは、電子レンジ加熱の調理時間が従来一般
的に行われてきた炭化・ガス・電熱等で行ってきた煮・
焼・蒸等と比し、極めて短かく電子加熱時間が数分間で
あり、仕上りの良否は最後の数秒の差で収納食品の味覚
即ち、香り,味,食感の良否が左右されることを示すも
のであり、このことは本発明者が初めて見出した新知見
である。即ち、電子レンジ調理の場合加熱停止時のアロ
ワンスが極めて小さい為、従来の電子レンジの押ボタン
機構では各食品毎の適切な加熱調理は行えず、特に調理
済食品の如く香・味・食感が完成している食品について
は、特にその傾向が大であることがわかったのである。
本発明は、特に調理済食品を対象として常時一定の品
質調理を可能にした効用は大である。
又、調理にあたり、食品より加熱調理の際損失する水
分量を補充することが好ましい。これによりさらに美味
な味覚を保持することが可能である。
なお、冷凍食品に比べチルド或いは常温食品の場合は
誘電率が異なり、さらに短時間で調理できる。
本発明の収納体の材質は前記した耐熱性合成樹脂の単
層シート(又はフィルム)及び積層シートであることが
できるが本発明の積層シートとしては例えば外側層−中
間層−内側層の順で例示するとポリエステル−紙又は不
織布−ポリエチレン、ポリエステル−紙又は不織布−ポ
リアミド、ポリエステル−紙又は不織布−ポリイミド、
ポリエステル−紙又は不織布−ポリプロピレン、ポリエ
ステル−紙又は不織布−ポリエステル、ポリアミド−紙
又は不織布−ポリエチレン、ポリアミド−紙又は不織布
−ポリエステル、ポリアミド−紙又は不織布−ポリプロ
ピレン、ポリアミド−紙又は不織布−ポリイミド、ポリ
アミド−紙又は不織布−ポリアミド、ポリイミド−紙又
は不織布−ポリエチレン、ポリイミド−紙又は不織布−
ポリエステル、ポリイミド−紙又は不織布−ポリプロピ
レン、ポリイミド−紙又は不織布−ポリアミド、ポリイ
ミド−紙又は不織布−ポリイミド、ポリプロピレン−紙
又は不織布−ポリエチレン、ポリプロピレン−紙又は不
織布−ポリエステル、ポリプロピレン−紙又は不織布−
ポリアミド、ポリプロピレン−紙又は不織布−ポリプロ
ピレン、ポリエステル−不織布、ポリプロピレン−不織
布、ポリアミド−不織布等である。
図面について説明すると、第1〜4図は本発明の収納
体の素材である合成樹脂単層シート(又はフィルム)及
び積層シートの断面模式図であり、1,1′及び1″は外
側層の耐熱性且つ油及び水の通らない合成樹脂フィル
ム、2は中間層の吸湿、吸油性の紙、2′の吸水性の不
織布、3及び3′は内側層の耐熱有孔合成樹脂フィルム
である。第3図においてaは吸湿、吸油に必要な毛細管
現象を高めるための中間紙(不織布)部に通ずる穴であ
る。
第5図は本発明の電子加熱調理用食品収納体であっ
て、箱形容器の模式図であり、第5図(a)は容器の水
蒸気調節穴及び蒸気排出無圧弁(開放口)がシールされ
ていない状態を示すものであり、第5図(b)は水蒸気
調節穴及び蒸気排出無圧弁がそれぞれシールされた状態
を示すものである。第6図は袋物収納体の模式図であ
り、第6図(a)は収納体内の食品の殺菌前又は殺菌処
理中の袋の使用態様を示す模式図、第6図(b)は収納
体内の食品の殺菌後の袋の使用態様を示す模式図であ
る。第5図〜第6図において、4は食品、5は箱型収納
体、6は蓋、7は水蒸気調節穴、8は蒸気排出無圧弁、
9は水蒸気調節穴のシール、10は蒸気排出無圧弁のシー
ル、11は袋物収納体を示す。
本発明で用いられる食品、即ち調理済食品は例えば1.
ナゲット,ハンバーグなどの油脂含有食品、2.焼きソ
バ,焼きうどん,スパゲッティ等である。
作用 調理済食品収納体に水蒸気排出無圧弁及び水蒸気調節
穴を設けることにより、該無圧弁は収納体内の食品の電
子加熱殺菌を行なう際に収納体内に発生する水蒸気を排
出させ、できるだけ外気と食品との接触を避け、菌の汚
染をなくし、食品の品質を損わないで行なうことがで
き、収納体内の食品は殺菌されるので、チルド及び常温
流通を可能とするものである。又、該水蒸気調節穴は収
納体内の蒸気圧及び温度を適度に調節できるものであ
り、特に蒸気圧を1.00〜1.15気圧及び100℃〜105℃の温
度とすることができ、電子レンジの電子加熱により食品
の解凍,加熱が短時間にできしかも該収納体内の蒸気水
分の調整により食品内水分及び水分温度の均等化が可能
となり、香気等も保持し得、特に電子レンジによる冷凍
加工食品の調理において、出る油分が少ない場合は、特
殊な素材の収納体でなくても耐熱性が合成樹脂フィルム
(又はシート)からなる単層体から積層体まで可能とな
る。
実施例 以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発
明がそれに限定されるものでないことは言うまでもな
い。
実施例1 内側(食品と直接接触する部分)は食品用の耐熱性ポ
リエチレンHD(耐熱度125℃〜135℃)厚さ0.04mmのフィ
ルムに0.01mmの孔を縦横1mm間隔にあけたもの、中間は3
0g/m2の和紙、外側は水,油を通さない厚さ0.05mmのポ
リエチレンテレフタレート(耐熱度260℃)フィルムか
らなる三層積層シートで構成された袋又は箱型体であっ
て、更に製袋,製箱の一部に内封した冷凍食品の蒸発水
分量に適応する微細な蒸発水分調節穴(1mm径6個のも
の)を設け(箱の場合は上部開封部周辺、又袋の場合は
上部、袋の大きさは80mm×180mmである)、水蒸気排出
無圧弁(丸型で直径15m/m、面積で1.766cm2)を端又は
隅に設ける。
豚カツ及び枝豆について、電子加熱殺菌から電子レン
ジ調理まで行なった。
上記袋に冷凍調理済豚カツ及び同じく冷凍調理済枝豆
を入れる。その際、袋の水蒸気調節穴を開放したもの
と、シールしたものとの両者を用い、水蒸気排出無圧弁
は開放し、これを電子レンジ内に入れ、3分間加熱して
殺菌処理し、次いで水蒸気調節穴を紙シールし、水蒸気
排出無圧弁は熱シールされる。殺菌済食品入袋は−20℃
〜−35℃に冷凍保存した。このものをチルド流通及び常
温流通したところ、チルド流通で3週間、常温流通で10
日間、食品に異常はなかった。
前記の殺菌、保存及び流通を行なった豚カツ及び枝豆
を入れた袋について、各々電子レンジで加熱調理した。
豚カツを入れた袋は、50秒後にふくれ、蒸発水分調節穴
から余剰蒸気が放出した。その際、収納体内の圧力は1.
074気圧,温度102℃であった。調節穴からの水蒸気の吹
上げ時間は2秒で、電子レンジの電源を切った。膨張し
ていた収納体は直にもとの形に戻った。内側の微細な穴
を通し、油分の多い油水分が中間の吸水吸油紙に毛細管
現象で吸収され、カツのコロモ(ハード系)は蒸発水分
調節穴で調節された容器内平衡水分状態の油水分の関連
で軟らかく、加熱直後に取り出した時は蒸された感じで
あったが、浮き出し油脂分のギラギラはなく、10分間の
放置でコロモに水分油分とも吸収され安定し、味覚食感
共に掲げた直後に近いものであった。枝豆はボイル系の
ものであるが、毛細管現象による吸水,吸油紙への水分
浸透作用と蒸発水分調節穴(豚カツの時の穴数を3倍と
した)により、容器内の平衡水分が平均に蒸らし、電子
レンジの加熱作用と合体した相剰効果が得られ、65秒で
取り出したもの(60秒でふくれ、同時に調節穴から蒸気
が吹き上げられ、その後吹上げ時間5秒を経たもの)
と、別途に熱湯10分で復元したものと比較し、殆んど差
がない状態であった。その際の収納体内の圧力は1.074
気圧で温度は102℃であった。更にチキンナゲット,タ
レなしハンバーグ等も殆んど同様の結果を得た。
又、箱形容器においても前記袋の場合と全く同一であ
り、特に箱形容器はやきそば,スパゲッティ,やきうど
ん,やきめし,豆入ご飯等の冷凍調理済み食品の電子加
熱調理に好適である。袋入では圧縮されるが、箱形だと
ふっくらさせることができ、商品価値も高まり効果的で
ある。
実施例2 内側(食品と直接接触する部分)は食品用の耐熱性ポ
リエチレンHD(耐熱度125℃〜135℃)厚さ0.04mmのフィ
ルムに0.01mmの孔を縦横1mm間隔にあけたもの、中間は8
0g/m2の紙−ポリエチレンからなる不織布,外側は水,
油を通さない厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレート
(耐熱度260℃)フィルムからなる三層積層シートで構
成された袋又は箱型体であって、更に製袋,製箱の一部
に内封した冷凍食品の蒸発水分量に適応する微細な蒸発
水分調節穴(1mm径6個の)を設け(箱の場合は上記開
封部周辺、又袋の場合は上部、袋の大きさは80mm×180m
mである)、水蒸気排出無圧弁(丸型で直径15m/m、面積
で1.766cm2)を端又は隅に設ける。
前記実施例1と同様に殺菌,保存,流通及び調理を行
った結果、実施例1と同一の結果が得られた。又、水蒸
気排出無圧弁の代りに、袋の場合は袋のシール部分を1/
2〜1/5程度開けて、又、蓋のある収納体については蓋を
1/3〜1/5程度開けて電子加熱殺菌を行ない、次いで完全
シールすることにより前記実施例1及び2と同様な結果
が得られた。
実施例3 次に、電子加熱調理における本発明の収納体内の圧力
及び温度と調理の状況を示す。ポリエステル,紙,有孔
ポリエチレン三層積シート製の収納体(カップ)であっ
て、収納体の容積250cc,調節穴内径1.0mmのものを使用
し、下記第1表に示す条件により、各種の調理済み食品
の電子レンジによる調理を行った。なお調理にあたり、
調理済食品に水分5%を補充した。使用電子レンジは70
0Wのものであった。下記第1表に結果を示す。
第1表からわかるように、収納体内の温度が100℃以
上,圧力1.00〜1.15気圧で30秒〜1.5分の間で良好な調
理食品が得られる。特に収納体内の気圧が1.0気圧未満
のときは調理食品の中心が冷たいか或いはゆるいものが
でき好ましくない。又気圧が1.15以上となると実用的な
収納体では調節穴にキレツが生じたり収納体の袋型体で
はシール面が破れカップ・トレイでは上部のフタとのシ
ール面が破れる。又収納されるものが味覚の整えられて
いる調理食品だけに1.15気圧に耐えられる収納体では蒸
発水分のアンバランスや内容素材特に蛋白の変性等が起
り好ましくない。
発明の効果 油・水を通さない耐熱性合成樹脂フィルム又はシート
からなり、調理済食品の電子加熱殺菌を行なうための水
蒸気排出無圧弁及び調理済食品の電子加熱時に収納体内
の圧力及び温度を調節できる水蒸気調節穴を設けた電子
レンジ用調理済食品収納体により、チルド流通及び常温
流通が可能となり、又調理済食品を電子レンジにより短
時間に調理できるものである。
又、この収納体によれば遊離油成分が食するのに支障
のない時は耐熱性合成樹脂の単層フィルム(又はシー
ト)及び積層シートいずれも使用可能であり、電子加熱
調理にあたり、(1)解凍の必要がない、特に三層積層
体のものでは、(2)油と水のバランスが保たれる。
(3)調理時間が内圧のかからない開放型式と比較して
2〜3倍の短時間で済む、(4)蒸発水蒸気の調節穴に
より各食品別に調理時間が調整できることによりパンク
がない、(5)香気の保持が充分である等の効果が奏せ
られ、又、加熱調理後の収納体は油や水の浸出がなく手
が汚れないので直接手で持つことができる等、操作上便
利であるという効果も奏し得るのである。さらに本発明
では開放口を設けて、電子加熱殺菌を行なうことを可能
にしたため、本発明は種々の調理済食品、特に冷凍加工
食品のチルド流通、常温流通が可能となり、冷凍流通に
比して著しく簡単に且つ安価に流通できるうえに、これ
らの食品の電子加熱での調理が十分に満足できるものと
なるという、極めて実用性の高いすぐれた発明であると
言える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電子レンジ用調理済食品の収納体の素
材耐熱性合成樹脂単層フィルムの断面図、第2図,第3
図及び第4図は同積層シートの断面図、第5図は箱形収
納体の模式図であり、第5図(a)は殺菌前又は殺菌処
理中の箱形収納体の模式図、第5図(b)は殺菌後の箱
形収納体の模式図、第6図は袋物収納体の模式図であ
り、第6図(a)は殺菌前又は殺菌処理中の袋物収納体
を模式図、第6図(b)は殺菌後の袋物収納体の模式図
である。 1,1′,1″は外側層合成樹脂フィルム、2,2′は中間層の
紙又は不織布、3,3′は内側層の合成樹脂フィルム、4
は食品、5は箱形収納体、6は蓋、7は水蒸気調節穴、
8は蒸気排出無圧弁、11は袋物収納体である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−203374(JP,A) 特開 昭61−173028(JP,A) 実開 昭59−55170(JP,U)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油、水を通さない耐熱性合成樹脂フィルム
    又はシートからなる一重の袋式又は箱形収納体であっ
    て、調理済食品の電子加熱殺菌を行なう際に発生する水
    蒸気を排出させ内圧を高めない水蒸気排出開放口、加熱
    調理時の収納体内の加圧及び加温を調節する水蒸気調節
    穴を有し、該水蒸気排出開放口及び該水蒸気調節穴には
    それらを覆う着脱自在なシールフィルムが設けられてな
    ることを特徴とする、チルド流通及び常温流通可能な電
    子レンジ用完全調理済食品収納体。
  2. 【請求項2】水蒸気調節穴が加熱調理時に圧力が1.00〜
    1.15気圧及び温度が100〜105℃とすることができるもの
    である、特許請求の範囲第1項記載の電子レンジ用調理
    済食品収納体。
  3. 【請求項3】油、水を通さない耐熱性合成樹脂フィルム
    又はシートからなる一重の袋式又は箱形収納体であっ
    て、調理済食品の電子加熱殺菌を行なう際に発生する水
    蒸気を排出させ内圧を高めない水蒸気排出開放口及び加
    熱調理時の収納体内の加圧及び加温を調節できる水蒸気
    調節穴を有し、該水蒸気調節穴を覆ってシールしたシー
    ルフィルムが設けられてなるチルド流通及び常温流通可
    能な電子レンジ用完全調理済食品収納体に、調理済み冷
    凍食品或いはチルド食品を入れ、電子加熱して殺菌処理
    し、その際発生する水蒸気を該水蒸気排出開放口より排
    出させ、該水蒸気排出開放口をシールして該殺菌処理食
    品を保存し、チルド流通及び常温流通を可能にし、電子
    加熱調理時には該水蒸気調節穴を覆ったシールフィルム
    を除去して収納体を電子加熱に付すことを特徴とする電
    子レンジ加熱調理法。
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