JPH08293384A - エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

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JPH08293384A
JPH08293384A JP7098867A JP9886795A JPH08293384A JP H08293384 A JPH08293384 A JP H08293384A JP 7098867 A JP7098867 A JP 7098867A JP 9886795 A JP9886795 A JP 9886795A JP H08293384 A JPH08293384 A JP H08293384A
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Koji Mizutani
厚司 水谷
Kazuhiko Sugiura
和彦 杉浦
Masayuki Katayama
片山  雅之
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発光層にClを添加して高輝度化を図るとと
もに、耐湿性を向上させる。 【構成】 発光層14を、発光中心としてCeを添加し
さらにClが添加されたSrS:Ce、Cl薄膜14A
と、Clが添加されていないSrS:Ce薄膜14Bと
により構成し、SrS:Ce薄膜14B上にZnSキャ
ップ層15を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば計器類の自発光
型のセグメント表示やマトリクス表示、或いは各種情報
端末機器のディスプレイなどに使用されるエレクトロル
ミネッセンス(以下、ELという)素子及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、EL素子は、絶縁性基板であるガ
ラス基板上に、光学的に透明なITO膜からなる第1電
極、Ta2 5 (五酸化タンタル)等からなる第1絶縁
層、発光層、第2絶縁層及びITO膜からなる第2電極
を順次積層して形成されている。
【0003】EL素子の発光色は、例えばZnS(硫化
亜鉛)中の添加物の種類によって決まり、例えば発光中
心としてTb(テルビウム)を添加した場合には黄緑
色、Sm(サマリウム)を添加した場合には赤橙色、T
m(ツリウム)を添加した場合には青色の発光色が得ら
れる。また、SrS(硫化ストロンチウム)にCe(セ
リウム)を添加した場合には、フィルタをかけることに
より青色の発光色が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この青色発光を得る場
合、ZnSにTmを添加したZnS:Tmを発光層に用
いた場合には発光輝度が低く、実用上十分な輝度が得ら
れない。また、SrSにCeを添加したSrS:Ceを
発光層に用いた場合には、発光輝度を比較的高くするこ
とができるが、その発光輝度はディスプレイとしての要
求を十分に満足するものではなく、更なる高輝度化が望
まれている。
【0005】この問題を解決するため、例えば1993
年度Euro DisplayConference
Proceedings;p511〜514には、Si
Cl4 を用いてCe添加のSrS:Ce薄膜中にCl
(塩素)を添加することが記載されている。しかしなが
ら、その方法で用いるClにより、発光母材であるSr
Sは湿度に非常に敏感になり、パターニング等のウェッ
トプロセスにおいて、僅かな水分でも発光層に混入する
と、膜が白濁したり剥離するといった問題が生じる。
【0006】本発明は上記問題に鑑みたもので、発光層
にClを添加して高輝度化を図るとともに、耐湿性を向
上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明は
上記目的を達成するため、発光層を、発光中心元素を添
加した第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素
及びハロゲン元素を添加した第2のIIa −VIb 族化合物
薄膜とを有して構成し、第1のIIa −VIb 族化合物薄膜
を発光層の最上層としたことを特徴としている。
【0008】従って、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜に
ハロゲン元素を添加することにより発光輝度を高くする
ことができ、また発光層の最上層をハロゲン元素を含ま
ない第1のIIa −VIb 族化合物薄膜とすることにより、
第2のIIa −VIb 族化合物薄膜の吸湿性を緩和し、耐湿
性を向上させることができる。さらに、第1のIIa −VI
b 族化合物薄膜の上にキャップ層を形成するようにすれ
ば、そのキャップ層によって上記耐湿性を一層向上させ
ることができる。この場合、キャップ層をZnS又はZ
nSeにて形成するようにすれば、耐湿性をさらに向上
させることができる。但し、Se(セレン)の毒性を考
慮すればZnSを用いることが望ましい。
【0009】上記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜厚
は、50nm以上であることが望ましい。これは、後述
する図2に示すように、第1のIIa −VIb 族化合物薄膜
の膜厚を50nm以上にした場合に、耐湿性が著しく向
上するからである。また、第2のIIa −VIb 族化合物薄
膜を発光層の最下層とした場合には、その膜の配向性に
より発光層の表面を平坦化させることができ、絶縁耐圧
を向上させることができる。特に、膜厚を100nm以
上とした場合にはその効果が著しい。
【0010】本発明に係るEL素子の製造方法において
は、発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第1のII
a −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素を添加した第2
のIIa −VIb 族化合物薄膜とを連続成膜する工程を有し
て、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を最上層とする発光
層を形成することを特徴としている。この製造方法を用
いることにより、上述した高発光輝度の耐湿性に優れた
EL素子を得ることができる。
【0011】この製造方法として、具体的には、気相成
長法を用い、ハロゲン元素原料を他のプロセスガスと同
時に供給して第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成し、
ハロゲン元素の供給を停止することにより第2のIIa −
VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を用いること
ができる。ここで、ハロゲン元素原料は、他のプロセス
ガスとは独立した供給配管にて供給するか、又はVIb 族
元素原料の供給配管と同配管にて供給するようにするこ
とができる。また、ハロゲン元素原料は、ハロゲンガ
ス、ハロゲン化水素ガス、ハロゲン化合物ガスから選択
された少なくとも1種を用いることができ、さらに具体
的には塩素、塩化水素、塩素化合物から選択された少な
くとも1種とすることができる。
【0012】上記気相成長法としては、有機金属気相成
長法を用いることができる。また、IIa 族元素原料とVI
b 族元素原料を交互に供給して薄膜形成していく、いわ
ゆるA.L.E法を用いることもできる。具体的には、
発光層をIIa 族元素原料とVIb 族元素原料を交互に供給
して成膜していく方法を用い、ハロゲン元素原料をVIb
族元素原料と同時に供給することにより第1のIIa −VI
b 化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素原料の供給を停止
することにより第2のIIa −VIb 化合物薄膜を形成す
る。なお、この方法を用いた場合、発光中心元素原料は
IIa 族元素原料と同時に供給するようにすることができ
る。
【0013】また、気相成長法以外に、スパッタ法によ
り第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と第2のIIa −VIb 族
化合物薄膜を連続して成膜するようにしてもよい。ま
た、このスパッタ法を用いた場合、スパッタリング中に
ハロゲン化合物ガスを導入して第1のIIa −VIb 族化合
物薄膜を形成し、ハロゲン化合物ガスの供給を停止する
ことにより第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成するよ
うにして、発光層を形成することができる。
【0014】さらに、発光層を形成する他の方法として
は、発光中心元素及びハロゲン元素を添加したIIa −VI
b 族化合物ペレットと、発光中心元素を添加したIIa −
VIb族化合物ペレットを用いた蒸着法により、真空状態
を維持した状態にて第1のIIa −VIb 族化合物薄膜及び
第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して形成する方法
を用いることができる。
【0015】なお、上記した発光層を構成するIIa 族元
素としては、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウ
ム)、Ba(バリウム)から選択された少なくとも1種
を用いることができる。また、VIb 族元素としては、S
(硫黄)又はSeを用いることができる。さらに、発光
層中に添加される発光中心元素としては、CeまたはE
u(ユーロピウム)を用いることができる。
【0016】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を具体的な実施例に基づい
て説明する。図1は本発明に係るEL素子10の断面を
示した模式図である。なお、図1のEL素子10では、
矢印方向に光を取り出している。
【0017】薄膜EL素子10は、絶縁性基板であるガ
ラス基板11上に、光学的に透明なZnO(酸化亜鉛)
からなる第1透明電極(第1電極)12、光学的に透明
なTa2 5 からなる第1絶縁層13、発光層14、光
学的に透明なZnSキャップ層15、光学的に透明なT
2 5 からなる第1絶縁層16、光学的に透明なZn
Oからなる第2透明電極(第2電極)17が順次積層さ
れて形成されている。なお、発光層14は、発光中心と
してCeを添加しさらにClが添加されたSrS:C
e、Cl薄膜14A及びClが添加されていないSr
S:Ce薄膜14Bから構成されている。
【0018】次に、上記薄膜EL素子10の製造方法に
ついて説明する。なお、以下の説明における各層の膜厚
は、ガラス基板11の中央の部分を基準として記述して
ある。まず、ガラス基板11上に第1透明電極12を成
膜した。蒸着材料としては、ZnO粉末にGa2
3 (酸化ガリウム)を加えて混合し、ペレット状に成形
したものを用い、成膜装置としてはイオンプレーティン
グ装置を用いた。具体的には、上記ガラス基板11の温
度を一定に保持したままイオンプレーティング装置内を
真空に排気した。その後、Ar(アルゴン)ガスを導入
して圧力を一定に保ち、成膜速度が6〜18nm/mi
nの範囲となるようビーム電力及び高周波電力を調整し
た。
【0019】次に、第1透明電極12上に、Ta2 5
からなる第1絶縁層13をスパッタ法により形成した。
具体的には、ガラス基板11の温度を一定に保持し、ス
パッタ装置内にArとO2 (酸素)の混合ガスを導入
し、1KWの高周波電力で成膜を行った。上記第1絶縁
層13上に、SrSを母体材料とし、発光中心としてC
eを、ハロゲン元素としてClを添加したSrS:C
e、Cl薄膜14A及びClを添加していないSrS:
Ce薄膜14Bからなる発光層14を、MOCVD(有
機金属気相成長)法により形成した。
【0020】具体的には、ガラス基板11を400℃に
保持し、反応室内を減圧雰囲気下にした後、Arキャリ
アガスを用いてSr(C11192 2 (ビスジピバロ
イルメタン化ストロンチウム)を、またAr希釈したH
2 S(硫化水素)を流した。また、発光中心の添加のた
めに、トリジピバロイルメタン化セリウム(Ce(C11
192 3 )を反応室へ導入した。そのときCe(C
11192 3 (トリジピバロイルメタン化セリウム)
ソースの温度を100〜120℃に加熱し、キャリアガ
スとしてArを用いた。
【0021】さらに、ハロゲン元素を添加するために、
HCl(塩化水素)ガスをArで0.05at%以下の
濃度になるように希釈し、この混合ガスを反応室内に導
入した。この方法にて、おおよそ500nmの厚さにな
るようにCl及びCeを共に添加したSrS:Ce、C
l薄膜14Aを成長させた。次に、Clの供給原料であ
るHClガスの供給を停止し、Ce添加のSrS:Ce
薄膜14Bを100nm成長させた。
【0022】発光層14を形成する時の反応炉内の圧力
は、反応炉とポンプの間に取り付けた圧力調節器にて反
応室の全圧力を一定に維持した。上記Ce添加のSr
S:Ce薄膜14Bの成長後、MOCVD法にてZn
(C 2 5 2 (ジエチル亜鉛)とH2 S(硫化水素)
を原料に用いてZnS薄膜を100〜200nmの厚さ
になるように形成した。
【0023】次に、ZnS層15上に、Ta2 5 から
なる第2絶縁層16を上述の第1絶縁層13と同様の方
法で形成した。そして、ZnO膜からなる第2透明電極
17を、上述の第1透明電極12と同様の方法により、
第2絶縁層16上に形成した。各層の膜厚は、第1、第
2透明電極12、17が200nm、第1、第2絶縁層
13、16が300nm、発光層14が600nmであ
る。
【0024】図2に、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を
変化させ、第2絶縁層16まで形成したものについて、
浸水試験を行った結果を示す。SrS:Ce薄膜14B
が50nm未満の膜厚では、図に示すように耐湿性に問
題があり、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を50nm以
上にすることにより、耐湿性を向上させることができ
た。また、SrS:Ce薄膜14Bを100nm以上と
した場合には非常に高い耐湿性が得られた。
【0025】また、実際に作製した試料において60H
zの交流電圧を使用したときの、発光輝度特性を図3に
示す。ここで、従来法1はClを添加していない発光層
を用いた場合のEL素子、従来法2は薄膜全体にClを
添加した発光層を用いた場合のEL素子の発光輝度特性
である。従来法1に比べて発光閾値電圧は30v低下し
ている。また、発光閾値電圧+40vの電圧のところで
の発光輝度は、従来法1に比べて著しく向上している。
また、従来法2に比べると発光閾値電圧は同様に30v
程度低下したが、発光輝度については僅かに低下した。
【0026】図4に、上記のようにして製造されたEL
素子10について耐水試験を行った結果を示す。この耐
水試験は、第2絶縁層16を形成した時点で水中に浸
し、水分の浸入等により発光層の剥離が0.1mm以上の
大きさになった時点の浸水時間を測定したものである。
同上の従来法1と同程度の耐水性を有し、また従来法2
と比べると著しい耐水性の向上が見られた。
【0027】また、SrS:Ce、Cl薄膜14Aの膜
厚を200nmとし、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を
400nmとしたEL素子についても検討を行った。図
5に、このEL素子の発光輝度特性を示す。従来法1と
比較すると発光輝度は高いが、従来法2と比較すると発
光輝度はやや低い。また、図6に耐水試験を行った結果
を示す。従来法1とほぼ同程度の耐水性を持ち合わせて
おり、同上従来法2の吸湿性を著しく改善することがで
きた。
【0028】以上のことから、本実施例の方法により発
光層14を形成することにより、高い輝度を有し、さら
に洗浄及びウェットエッチング等のウェットプロセスに
十分に耐え得る薄膜の形成が可能になった。なお、Sr
S:Ce、Cl薄膜14Aは、結晶が(200)配向し
ており、この上にSrS:Ce薄膜14Bを形成した場
合、その配向性が維持されて形成されるため、表面が平
坦となり絶縁耐圧を向上させることができる。但し、S
rS:Ce、Cl薄膜14Aの膜厚を100nmより薄
くすると、その結晶化を十分とすることができないた
め、その上に形成するSrS:Ce薄膜14Bの配向性
を変えることができず、(111)配向となるため、膜
表面を平坦化することができない。従って、膜表面を平
坦化して絶縁耐圧を向上させるためには、SrS:C
e、Cl薄膜14Aの膜厚を100nm以上とする必要
があり、好ましくは上記実施例に示すように200nm
以上とするのがよい。
【0029】また、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を6
00nm以上にすると、その薄膜表面の凹凸が著しくな
るため、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を600nmよ
り薄くする必要がある。 (第2実施例)この実施例においては、発光層14の形
成を、2元ターゲットを用いたスパッタ法を用いて行っ
た。第1ターゲットは、4重量%のCe添加のSrS:
Ce粉末を仮焼し、再び粉砕した粉末を900℃の温度
でプレス成形したものを用いた。また、ハロゲン元素を
添加した第2ターゲットは、4重量%のCeCl3 (塩
化セリウム)添加のSrS:CeCl3 粉末を仮焼し、
再び粉砕した粉末を900℃の温度でプレス成形したも
のを用いた。なお、この発光層14の形成以外は、第1
実施例と同様である。
【0030】発光層14の具体的な形成法を以下に説明
する。 (1)まず、発光層14を形成するためのガラス基板を
基板ホルダーにセットし、第1ターゲットを備えた成膜
室に搬送し真空引きを行った。真空ポンプにて10-5
a以上の真空度になったことを確認し、ガラス基板の加
熱温度を500℃に保持した。次に、ArとH2 Sの混
合ガスを導入し、最終的な圧力を4.0Paに調節し
た。スパッタに要した高周波電力は100Wであり、プ
リスパッタを10分程度行った後、100nmの薄膜を
形成した。
【0031】(1)次に、予め10-5Pa以上の真空度
に保たれた第2ターゲットを備えた成膜室に、上記ガラ
ス基板を含めた基板ホルダーを搬送し、基板加熱にて5
00℃に保持した。次に、ArとH2 Sの混合ガスを導
入し、圧力調節器により成膜室内圧力を4.0Paに保
持した。この場合にもスパッタに要した高周波電力は1
00Wであり、プリスパッタを10分程度行った後、1
00nmの薄膜を形成した。
【0032】上記(1)(2)の操作を2度繰り返した
後、再び(1)の操作を行った。但し、この時の膜厚は
100nmではなく200nmとし、発光層14全体の
膜厚を600nmとした。図7に、第2絶縁層まで形成
した状態で、浸水試験を行った結果を示す。図中の従来
法とは、CeCl3 を添加したSrS:CeCl3 を用
いて発光層を形成したものである。従来法では最長でも
10分で、水と発光層の反応による膜質の変化が生じた
が、上記実施例による方法によれば、多少のばらつきは
あるが30分以上は膜質の変化が見られず、実験最長時
間の2時間を過ぎても膜質の変化がみられないサンプル
が多くみられた。
【0033】このように多元ターゲットを用いたスパッ
タ法によっても耐水性を兼ね備えた青緑色EL素子を製
造することができる。 (第3実施例)この実施例においては、発光層14を、
RFマグネトロンスパッタ法を用いて形成した。なお、
この発光層14の形成以外は、第1実施例と同様であ
る。
【0034】発光層14の具体的な形成法を以下に説明
する。まず、発光層を形成するためのガラス基板を基板
ホルダーにセットし、SrS:Ceターゲットを備えた
成膜室に搬送し真空引きを行った。真空ポンプにて10
-5Pa以上の高真空になったことを確認し、ガラス基板
の加熱温度を500℃に保持した。次に、ArとH2
及びHClの混合ガスを導入し、最終的な圧力を4.0
Paに調節した。スパッタに要した高周波電力は100
Wであり、プリスパッタを10分間程度行った後、Sr
S:Ce、Cl薄膜14Aを500nm形成した。
【0035】次に、導入するガスをArとH2 Sの混合
ガスに変更した。但し、導入ガス流量は、上記Ar、H
2 S及びHClの混合ガスを導入した量と同量とした。
スパッタリングの条件としては、上記条件と同じであ
り、同方法にて100nmの膜厚のSrS:Ce薄膜1
4Bを形成した。図8に、第2絶縁層まで形成した状態
で、浸水試験を行った結果を示す。図中の従来法とは、
CeCl3 を添加したSrS:CeCl3 を用いて発光
層を形成したものである。本実施例により作製したサン
プルは、従来法にて作製したサンプルに較べて大幅に改
善されており、平均耐水時間は従来法で作製したサンプ
ルの100倍以上になった。 (第4実施例)この実施例においては、発光層14を、
電子ビーム蒸着法を用いて形成した。なお、この発光層
14の形成以外は、第1実施例と同様である。
【0036】発光層14の具体的な形成法を以下に説明
する。まず、発光層を形成するためのガラス基板を基板
ホルダーにセットし、Ce及びF(フッ素)をSrSに
添加したペレットを備えた成膜室に搬送し、真空引きを
行った。真空ポンプにて10-5Pa以上の高真空になっ
たことを確認し、ガラス基板の加熱温度を300℃に保
持した。次に、ペレットに照射するビーム電力を成膜速
度:60nm/minの一定速度になるように調節し
た。このようにしてCe及びF添加のSrS:Ce、F
薄膜を形成した。
【0037】次に、CeをSrSに添加したペレットに
変更し、上記同様の方法にてCe添加のSrS:Ce薄
膜を形成した。上記のようにして、SrS; Ce、F及
びSrS:Ceの複合膜を厚さ700nmで形成した。
図9に、第2絶縁層まで形成した状態で、浸水試験を行
った結果を示す。図中の従来法とは、CeCl3 を添加
したSrS:CeCl3 を用いて発光層を形成したもの
である。本実施例により作製したサンプルは、従来法に
て作製したサンプルに較べて大幅に改善されており、平
均耐水時間は従来法で作製したサンプルの100倍以上
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るEL素子の断面を示
した模式図である。
【図2】第1実施例に係るEL素子の発光層におけるS
rS:Ce薄膜の膜厚と耐水時間の関係を示した図であ
る。
【図3】第1実施例に係るEL素子の発光輝度と印加電
圧の関係を表した図である。
【図4】第1実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方
法で作製したEL素子と比較した図である。
【図5】第1実施例に係るEL素子の膜厚を変化させた
例の発光輝度と印加電圧の関係を表した図である。
【図6】第1実施例に係るEL素子の膜厚を変化させた
例の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した
図である。
【図7】第2実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方
法で作製したEL素子と比較した図である。
【図8】第3実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方
法で作製したEL素子と比較した図である。
【図9】第4実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方
法で作製したEL素子と比較した図である。
【符号の説明】
10…EL素子、11…ガラス基板(絶縁性基板)、1
2…第1透明電極(第1電極)、13…第1絶縁層、1
4…発光層、14A…SrS:Ce、Cl薄膜、14B
…SrS:Ce薄膜、15…ZnSキャップ層、16…
第2絶縁層、17…第2透明電極(第2電極)。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、第1電極、第1絶縁層、発光
    層、第2絶縁層及び第2電極が積層形成され、少なくと
    も前記発光層からの光取り出し側を光学的に透明なもの
    としたエレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層が、発光中心元素を添加した第1のIIa −VI
    b 族化合物薄膜と、発光中心元素及びハロゲン元素を添
    加した第2のIIa −VIb 族化合物薄膜とを有して構成さ
    れており、前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜が前記発
    光層の最上層とされていることを特徴とするエレクトロ
    ルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の上
    にキャップ層が形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜
    厚は、50nm以上であることを特徴とする請求項1又
    は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜が前
    記発光層の最下層とされていることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセ
    ンス素子。
  5. 【請求項5】 前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜
    厚は、100nm以上であることを特徴とする請求項4
    に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】 基板上に、第1電極、第1絶縁層、発光
    層、第2絶縁層及び第2電極が積層形成され、少なくと
    も前記発光層からの光取り出し側を光学的に透明なもの
    としたエレクトロルミネッセンス素子の製造方法におい
    て、 発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第1のIIa −
    VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素を添加した第2のII
    a −VIb 族化合物薄膜とを連続成膜する工程を有して、
    前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を最上層とする前記
    発光層を形成することを特徴とするエレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記発光層を形成する工程は、気相成長
    法を用い、ハロゲン元素原料を他のプロセスガスと同時
    に供給して前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成
    し、ハロゲン元素の供給を停止することにより前記第2
    のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を有
    することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミ
    ネッセンス素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記気相成長法は、IIa 族元素、VIb 族
    元素及び発光中心元素の原料のうち少なくとも1種に有
    機金属を用いた有機金属気相成長法であることを特徴と
    する請求項7に記載のエレクトロルミネッセンス素子の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記気相成長法を用いて発光層を形成す
    る工程は、発光層をIIa 族元素原料とVIb 族元素原料を
    交互に供給する方法を用い、ハロゲン元素原料をVIb 族
    元素原料と同時に供給することにより前記第1のIIa −
    VIb 化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素原料の供給を停
    止することにより前記第2のIIa −VIb 化合物薄膜を形
    成するものであることを特徴とする請求項7に記載のエ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 発光中心元素原料をIIa 族元素原料と
    同時に供給することを特徴とする請求項9に記載のエレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記発光層を形成する工程は、スパッ
    タ法により前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と前記第
    2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を
    有することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロル
    ミネッセンス素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 スパッタリング中にハロゲン化合物ガ
    スを導入して前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成
    し、ハロゲン化合物ガスの供給を停止することにより前
    記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成することを特徴
    とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンス素
    子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記発光層を形成する工程は、蒸着法
    により前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と前記第2の
    IIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を有す
    ることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネ
    ッセンス素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 発光中心元素及びハロゲン元素を添加
    したIIa −VIb 族化合物ペレットと、発光中心元素を添
    加したIIa −VIb 族化合物ペレットを用い、真空状態を
    維持した状態にて前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜及
    び前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して形成す
    ることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネ
    ッセンス素子の製造方法。
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