JPH0812970A - El素子の製造方法 - Google Patents
El素子の製造方法Info
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- JPH0812970A JPH0812970A JP6173725A JP17372594A JPH0812970A JP H0812970 A JPH0812970 A JP H0812970A JP 6173725 A JP6173725 A JP 6173725A JP 17372594 A JP17372594 A JP 17372594A JP H0812970 A JPH0812970 A JP H0812970A
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- JP
- Japan
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- target
- substrate
- atmosphere
- manufacturing
- emitting layer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】スパッタ法によらない三元化合物発光層を有す
るEL素子の製造方法を提供すること。 【構成】発光層材料から構成されるターゲット24から堆
積原子を飛散せしめるために、スパッタ法ではなくレー
ザアブレーション法を用いる。レーザアブレーション法
では、ターゲット表面がレーザ光により局所的に急激に
加熱されるため、飛散原子の組成比が、三元化合物構成
のターゲット24を構成する各原子の蒸気圧やスパッタ収
量等にほとんど依存せず、ターゲット24の組成比を反映
したものになる。従って、スパッタ法でEL素子の発光
層の成膜時に生じていたカルシウム(Ca)とガリウム(Ga)
の組成比のずれは発生しない。
るEL素子の製造方法を提供すること。 【構成】発光層材料から構成されるターゲット24から堆
積原子を飛散せしめるために、スパッタ法ではなくレー
ザアブレーション法を用いる。レーザアブレーション法
では、ターゲット表面がレーザ光により局所的に急激に
加熱されるため、飛散原子の組成比が、三元化合物構成
のターゲット24を構成する各原子の蒸気圧やスパッタ収
量等にほとんど依存せず、ターゲット24の組成比を反映
したものになる。従って、スパッタ法でEL素子の発光
層の成膜時に生じていたカルシウム(Ca)とガリウム(Ga)
の組成比のずれは発生しない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば計器類の自発光
型のセグメント表示やマトリクス表示、あるいは各種情
報端末機器のディスプレイなどに使用されるEL素子
(エレクトロルミネッセンス素子)に関する。
型のセグメント表示やマトリクス表示、あるいは各種情
報端末機器のディスプレイなどに使用されるEL素子
(エレクトロルミネッセンス素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】EL素子は、硫化亜鉛(ZnS) 等の蛍光体
に電界を印加した時に発光する現象を利用したもので、
自発光型の平面ディスプレイを構成するものとして従来
より注目されている。図3は従来のEL素子10の典型
的な断面構造を示した模式図である。EL素子10は、
絶縁性基板であるガラス基板1上に、光学的に透明なI
TO(Indium Tin Oxide)膜から成る第一電極2、五酸化
タンタル(Ta2O5) 等から成る第一絶縁層3、発光層4、
第二絶縁層5およびITO膜から成る第二電極6を順次
積層して形成されている。ITO膜は酸化インジウム(I
n2O3) に錫(Sn)をドープした透明の導電膜で、低抵抗率
であることから従来より透明電極用として広く使用され
ている。
に電界を印加した時に発光する現象を利用したもので、
自発光型の平面ディスプレイを構成するものとして従来
より注目されている。図3は従来のEL素子10の典型
的な断面構造を示した模式図である。EL素子10は、
絶縁性基板であるガラス基板1上に、光学的に透明なI
TO(Indium Tin Oxide)膜から成る第一電極2、五酸化
タンタル(Ta2O5) 等から成る第一絶縁層3、発光層4、
第二絶縁層5およびITO膜から成る第二電極6を順次
積層して形成されている。ITO膜は酸化インジウム(I
n2O3) に錫(Sn)をドープした透明の導電膜で、低抵抗率
であることから従来より透明電極用として広く使用され
ている。
【0003】発光層4としては、例えば硫化亜鉛(ZnS)
を母体材料とし、発光中心としてテルビウム(Tb)、サマ
リウム(Sm)、ツリウム(Tm)を添加したものや、硫化スト
ロンチウム(SrS) を母体材料とし、発光中心としてセリ
ウム(Ce)を添加したものが使用される。EL素子の発光
色は母体材料と添加物の種類によって決まり、例えば発
光中心としてテルビウム(Tb)を添加した硫化亜鉛(ZnS)
においては黄緑色、ツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(Z
nS) においては青色、セリウム(Ce)を添加した硫化スト
ロンチウム(SrS) においては青緑色の発光色が得られ
る。
を母体材料とし、発光中心としてテルビウム(Tb)、サマ
リウム(Sm)、ツリウム(Tm)を添加したものや、硫化スト
ロンチウム(SrS) を母体材料とし、発光中心としてセリ
ウム(Ce)を添加したものが使用される。EL素子の発光
色は母体材料と添加物の種類によって決まり、例えば発
光中心としてテルビウム(Tb)を添加した硫化亜鉛(ZnS)
においては黄緑色、ツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(Z
nS) においては青色、セリウム(Ce)を添加した硫化スト
ロンチウム(SrS) においては青緑色の発光色が得られ
る。
【0004】上述の構造から成るEL素子10におい
て、青色発光が得られる発光層4の構成材料として、例
えばツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(ZnS) や、セリウ
ム(Ce)を添加した硫化ストロンチウム(SrS) 等が検討さ
れている。ただしツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(Zn
S) を発光層に用いた場合、発光輝度が低く実用上十分
な輝度が得られない。一方セリウム(Ce)を添加した硫化
ストロンチウム(SrS) を発光層に用いた場合、発光輝度
は比較的高いものの、その発光色が青緑色であるために
青色を得るためには例えば500nm 以上の波長をカットす
るようなフィルタを必要とし、そのようにして得られる
青色発光輝度は元々の発光輝度の約一割程度に減少して
しまう。またフィルタが構成要素として必要となるため
ディスプレイの構造が複雑化しコスト上昇などの問題が
生じる。
て、青色発光が得られる発光層4の構成材料として、例
えばツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(ZnS) や、セリウ
ム(Ce)を添加した硫化ストロンチウム(SrS) 等が検討さ
れている。ただしツリウム(Tm)を添加した硫化亜鉛(Zn
S) を発光層に用いた場合、発光輝度が低く実用上十分
な輝度が得られない。一方セリウム(Ce)を添加した硫化
ストロンチウム(SrS) を発光層に用いた場合、発光輝度
は比較的高いものの、その発光色が青緑色であるために
青色を得るためには例えば500nm 以上の波長をカットす
るようなフィルタを必要とし、そのようにして得られる
青色発光輝度は元々の発光輝度の約一割程度に減少して
しまう。またフィルタが構成要素として必要となるため
ディスプレイの構造が複雑化しコスト上昇などの問題が
生じる。
【0005】この問題を解決するために、発光輝度が高
く、しかもフィルタを必要としない青色発光層として、
セリウム(Ce)を添加した硫化カルシウムガリウム(CaGa2
S4:Ce)、セリウム(Ce)を添加した硫化ストロンチウムガ
リウム(SrGa2S4:Ce)、セリウム(Ce)を添加した硫化バリ
ウムガリウム(BaGa2S4:Ce)等、三元化合物を母体材料と
する蛍光体を適用することが、1993年ディスプレイ情報
学会国際会議技術論文ダイジェスト(P761〜P764)や特
開平5-65478 号公報にて検討されている。これらの文献
に開示されているように、発光層の形成はスパッタ法が
ほとんどであるが、発光層をスパッタ法で形成した場
合、スパッタ成膜直後の発光層は非晶質状態にあり、そ
の後、発光層を結晶化させるため650℃以上の高温熱
処理を必要とする。この熱処理時に発光層が首尾よく結
晶化するためには、成膜直後の発光層の組成比がほぼ化
学量論比の1:2:4 になっていることが不可欠である。
く、しかもフィルタを必要としない青色発光層として、
セリウム(Ce)を添加した硫化カルシウムガリウム(CaGa2
S4:Ce)、セリウム(Ce)を添加した硫化ストロンチウムガ
リウム(SrGa2S4:Ce)、セリウム(Ce)を添加した硫化バリ
ウムガリウム(BaGa2S4:Ce)等、三元化合物を母体材料と
する蛍光体を適用することが、1993年ディスプレイ情報
学会国際会議技術論文ダイジェスト(P761〜P764)や特
開平5-65478 号公報にて検討されている。これらの文献
に開示されているように、発光層の形成はスパッタ法が
ほとんどであるが、発光層をスパッタ法で形成した場
合、スパッタ成膜直後の発光層は非晶質状態にあり、そ
の後、発光層を結晶化させるため650℃以上の高温熱
処理を必要とする。この熱処理時に発光層が首尾よく結
晶化するためには、成膜直後の発光層の組成比がほぼ化
学量論比の1:2:4 になっていることが不可欠である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】硫黄(S) の含有量を所
定の値にするには、1993年ユーロディスプレイ'93 (Eur
odisplay '93) P609〜P612にて開示されている如く、硫
化水素(H2S) を用いた硫化雰囲気中での成膜が有効であ
る。しかしながら、300eV 程度のアルゴン(Ar)によるス
パッタの場合、カルシウム(Ca)、ガリウム(Ga)、硫黄
(S) のスパッタ収量はそれぞれ、0.45原子/イオン、1.
0 原子/イオン、0.52原子/イオンと見積もられ、ガリ
ウムが必然的に多めにスパッタされることになる。実
際、本発明者らがスパッタ法によるCaGa2S4 膜の成膜を
検討した結果、ターゲット中のCa、Ga、S の比が1:2:4
であるにも係わらず、膜中では成膜条件によっては1:3:
4 近くになることも判明した。その上、硫化水素(H2S)
を導入してもなお、しばしばイオウ抜けが発生し、再現
性良く望ましい組成比の発光層を得ることはかなり難し
い技術であった。これらのことから、スパッタ法を用い
て三元化合物発光層を形成した場合、組成ずれが発生し
易く、高輝度なEL素子を再現性良く製造することは困
難であると判定される。
定の値にするには、1993年ユーロディスプレイ'93 (Eur
odisplay '93) P609〜P612にて開示されている如く、硫
化水素(H2S) を用いた硫化雰囲気中での成膜が有効であ
る。しかしながら、300eV 程度のアルゴン(Ar)によるス
パッタの場合、カルシウム(Ca)、ガリウム(Ga)、硫黄
(S) のスパッタ収量はそれぞれ、0.45原子/イオン、1.
0 原子/イオン、0.52原子/イオンと見積もられ、ガリ
ウムが必然的に多めにスパッタされることになる。実
際、本発明者らがスパッタ法によるCaGa2S4 膜の成膜を
検討した結果、ターゲット中のCa、Ga、S の比が1:2:4
であるにも係わらず、膜中では成膜条件によっては1:3:
4 近くになることも判明した。その上、硫化水素(H2S)
を導入してもなお、しばしばイオウ抜けが発生し、再現
性良く望ましい組成比の発光層を得ることはかなり難し
い技術であった。これらのことから、スパッタ法を用い
て三元化合物発光層を形成した場合、組成ずれが発生し
易く、高輝度なEL素子を再現性良く製造することは困
難であると判定される。
【0007】従来、二元化合物である硫化亜鉛(ZnS) に
対して、スパッタ法ではなく、レーザ光を照射して発光
層を形成して元素の蒸気圧の差異を抑えて成膜すること
が特公昭63-46793号公報に示されていることから、通常
酸化物に対して使用されることの多いレーザアブレーシ
ョン法は、三元化合物発光層においてもその効果が期待
される。
対して、スパッタ法ではなく、レーザ光を照射して発光
層を形成して元素の蒸気圧の差異を抑えて成膜すること
が特公昭63-46793号公報に示されていることから、通常
酸化物に対して使用されることの多いレーザアブレーシ
ョン法は、三元化合物発光層においてもその効果が期待
される。
【0008】従って本発明は上記の課題を解決するため
に成されたものであり、スパッタ法によらない三元化合
物発光層を有するEL素子の製造方法を提供することが
目的である。
に成されたものであり、スパッタ法によらない三元化合
物発光層を有するEL素子の製造方法を提供することが
目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め本発明の構成は、少なくとも光取り出し側を光学的に
透明な材料にて形成するEL素子の製造方法で、発光中
心元素が賦活されたターゲットが、Aグループの元素、
マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、
バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)のいずれかを
少なくとも一種以上、およびBグループの元素、アルミ
ニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)のいずれか
を少なくとも一種以上、およびCグループの元素、硫黄
(S) 、セレン(Se)のいずれか一種を同時に含む焼結体で
あって、前記ターゲットにレーザ光を照射し、該ターゲ
ットに対向して配置した基板の上に薄膜を堆積させるレ
ーザアブレーション法で前記EL素子の発光層を形成
し、前記発光層の成膜時に、前記基板の近傍を前記Cグ
ループの元素に合わせて硫化雰囲気、またはセレン化雰
囲気に保持することである。また関連発明の構成は、前
記レーザアブレーション法による前記発光層の成膜時
に、前記基板の温度を300℃以下に保持することを特
徴とする。本発明の構成はまた、前記発光層の成膜後
に、400℃以上700℃以下にて、熱処理を施すこと
を特徴とする。
め本発明の構成は、少なくとも光取り出し側を光学的に
透明な材料にて形成するEL素子の製造方法で、発光中
心元素が賦活されたターゲットが、Aグループの元素、
マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、
バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)のいずれかを
少なくとも一種以上、およびBグループの元素、アルミ
ニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)のいずれか
を少なくとも一種以上、およびCグループの元素、硫黄
(S) 、セレン(Se)のいずれか一種を同時に含む焼結体で
あって、前記ターゲットにレーザ光を照射し、該ターゲ
ットに対向して配置した基板の上に薄膜を堆積させるレ
ーザアブレーション法で前記EL素子の発光層を形成
し、前記発光層の成膜時に、前記基板の近傍を前記Cグ
ループの元素に合わせて硫化雰囲気、またはセレン化雰
囲気に保持することである。また関連発明の構成は、前
記レーザアブレーション法による前記発光層の成膜時
に、前記基板の温度を300℃以下に保持することを特
徴とする。本発明の構成はまた、前記発光層の成膜後
に、400℃以上700℃以下にて、熱処理を施すこと
を特徴とする。
【0010】本発明の特徴ある別の構成はさらに、前記
レーザアブレーション法による前記発光層の成膜時に、
硫化水素(H2S) またはセレン化水素(H2Se)のガスを導入
して前記基板の近傍を硫化雰囲気またはセレン化雰囲気
に保持すること、さらにまた別の構成は、前記ターゲッ
トとは別に、硫黄ターゲットまたはセレンターゲットを
前記基板に対向して配置し、該硫黄ターゲットまたは該
セレンターゲットを加熱もしくはレーザ光を照射して、
前記基板の近傍を硫化雰囲気またはセレン化雰囲気に保
持することである。その他の特徴ある構成としては、前
記発光中心元素として、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、セ
リウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユー
ロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、
ツリウム(Tm)、鉛(Pb)の内、少なくとも一種類が添加さ
れていることである。また、前記ターゲットに少なくと
も一種類添加された前記発光中心元素のそれぞれの濃度
が、該元素と前記Aグループの元素との総和を100atm%
とした時、その内0.01 atm%以上 10 atm %以下である
ことも特徴ある構成としている。本発明において、発光
中心元素の各濃度が0.01 atm%より下回ると輝度が落
ち、また 10 atm %を上回ると濃度消光により輝度が落
ちる。
レーザアブレーション法による前記発光層の成膜時に、
硫化水素(H2S) またはセレン化水素(H2Se)のガスを導入
して前記基板の近傍を硫化雰囲気またはセレン化雰囲気
に保持すること、さらにまた別の構成は、前記ターゲッ
トとは別に、硫黄ターゲットまたはセレンターゲットを
前記基板に対向して配置し、該硫黄ターゲットまたは該
セレンターゲットを加熱もしくはレーザ光を照射して、
前記基板の近傍を硫化雰囲気またはセレン化雰囲気に保
持することである。その他の特徴ある構成としては、前
記発光中心元素として、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、セ
リウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユー
ロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、
ツリウム(Tm)、鉛(Pb)の内、少なくとも一種類が添加さ
れていることである。また、前記ターゲットに少なくと
も一種類添加された前記発光中心元素のそれぞれの濃度
が、該元素と前記Aグループの元素との総和を100atm%
とした時、その内0.01 atm%以上 10 atm %以下である
ことも特徴ある構成としている。本発明において、発光
中心元素の各濃度が0.01 atm%より下回ると輝度が落
ち、また 10 atm %を上回ると濃度消光により輝度が落
ちる。
【0011】
【作用および発明の効果】本発明のEL素子の製造方法
においては、ターゲットから堆積原子を飛散せしめるた
めに、スパッタ法ではなくレーザアブレーション法を用
いている。レーザアブレーション法では、ターゲット表
面がレーザ光により局所的に急激に加熱されるため、飛
散原子の組成比が、三元化合物構成のターゲットを構成
する各原子の蒸気圧やスパッタ収量等にほとんど依存せ
ず、ターゲットの組成比を反映したものになる。従っ
て、解決すべき課題の項で説明したような、例えばカル
シウム(Ca)とガリウム(Ga)の組成比のずれは発生しな
い。
においては、ターゲットから堆積原子を飛散せしめるた
めに、スパッタ法ではなくレーザアブレーション法を用
いている。レーザアブレーション法では、ターゲット表
面がレーザ光により局所的に急激に加熱されるため、飛
散原子の組成比が、三元化合物構成のターゲットを構成
する各原子の蒸気圧やスパッタ収量等にほとんど依存せ
ず、ターゲットの組成比を反映したものになる。従っ
て、解決すべき課題の項で説明したような、例えばカル
シウム(Ca)とガリウム(Ga)の組成比のずれは発生しな
い。
【0012】飛散する原子が全て基板表面に堆積するわ
けではないので、蒸気圧の大きい原子が堆積しない可能
性も大きいが、本発明の発光層成膜時の基板温度が 300
℃以下であることを考慮すると、ターゲット構成原子の
中で特に蒸気圧の大きい原子が硫黄(S) やセレン(Se)で
あることから、本発明の如く、硫化水素(H2S) もしくは
セレン化水素(H2Se)、あるいは硫黄蒸気もしくはセレン
蒸気を導入することにより基板近傍を硫化雰囲気もしく
はセレン化雰囲気に保持している。従って硫黄(S) また
はセレン(Se)が堆積面から再蒸発することに起因する組
成比のずれが発生せず、安定して発光層を成膜できる。
しかもまたレーザアブレーション法においてはプラズマ
を形成しないので、硫化雰囲気またはセレン化雰囲気に
保持するためのガスの種類、圧力の選択の範囲が、プラ
ズマを必要とするスパッタ法よりも広く、従って発光層
の成長に最も適した雰囲気を設定できる利点がある。
けではないので、蒸気圧の大きい原子が堆積しない可能
性も大きいが、本発明の発光層成膜時の基板温度が 300
℃以下であることを考慮すると、ターゲット構成原子の
中で特に蒸気圧の大きい原子が硫黄(S) やセレン(Se)で
あることから、本発明の如く、硫化水素(H2S) もしくは
セレン化水素(H2Se)、あるいは硫黄蒸気もしくはセレン
蒸気を導入することにより基板近傍を硫化雰囲気もしく
はセレン化雰囲気に保持している。従って硫黄(S) また
はセレン(Se)が堆積面から再蒸発することに起因する組
成比のずれが発生せず、安定して発光層を成膜できる。
しかもまたレーザアブレーション法においてはプラズマ
を形成しないので、硫化雰囲気またはセレン化雰囲気に
保持するためのガスの種類、圧力の選択の範囲が、プラ
ズマを必要とするスパッタ法よりも広く、従って発光層
の成長に最も適した雰囲気を設定できる利点がある。
【0013】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図2は、本発明に係わる薄膜EL素子100の
断面を示した模式図である。なお、図2のEL素子10
0では、矢印方向に光を取り出している。薄膜EL素子
100は、絶縁性基板であるガラス基板11上に順次、
以下の薄膜が積層形成され構成されている。なお、以下
の各層の膜厚はその中央の部分を基準として述べてい
る。このガラス基板11上には、光学的に透明な酸化亜
鉛(ZnO) から成る第一透明電極(第一電極)12が形成
され、その上面には光学的に透明な五酸化タンタル(Ta2
O5) から成る第一絶縁層13、発光中心としてセリウム
(Ce)を添加した硫化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)か
ら成る発光層14、光学的に透明な五酸化タンタル(Ta2
O5) から成る第二絶縁層15、光学的に透明な酸化亜鉛
(ZnO)から成る第二透明電極(第二電極)16が形成さ
れている。
明する。図2は、本発明に係わる薄膜EL素子100の
断面を示した模式図である。なお、図2のEL素子10
0では、矢印方向に光を取り出している。薄膜EL素子
100は、絶縁性基板であるガラス基板11上に順次、
以下の薄膜が積層形成され構成されている。なお、以下
の各層の膜厚はその中央の部分を基準として述べてい
る。このガラス基板11上には、光学的に透明な酸化亜
鉛(ZnO) から成る第一透明電極(第一電極)12が形成
され、その上面には光学的に透明な五酸化タンタル(Ta2
O5) から成る第一絶縁層13、発光中心としてセリウム
(Ce)を添加した硫化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)か
ら成る発光層14、光学的に透明な五酸化タンタル(Ta2
O5) から成る第二絶縁層15、光学的に透明な酸化亜鉛
(ZnO)から成る第二透明電極(第二電極)16が形成さ
れている。
【0014】次に、上述の薄膜EL素子100の製造方
法を述べる。 (a) まずガラス基板11上に第一透明電極12を成膜し
た。蒸着材料としては、酸化亜鉛(ZnO) 粉末に酸化ガリ
ワム(Ga2O3) を加えて混合し、ペレット状態に成形した
ものを用い、成膜装置としてはイオンプレーティング装
置を用いた。具体的には、上記ガラス基板11の温度を
一定に保持したままイオンプレーティング装置内を真空
に排気し、その後アルゴン(Ar)ガスを導入して圧力を一
定に保ち、成膜速度が 6〜18nm/minの範囲になるようビ
ーム電力および高周波電力を調整した。 (b) 次に、上記第一透明電極12上に、五酸化タンタル
(Ta2O5) から成る第一絶縁層13をスパッタ法により形
成した。具体的には、上記ガラス基板11の温度を一定
に保持し、スパッタ装置内にアルゴン(Ar)と酸素(O2)の
混合ガスを導入し、1kWの高周波電力で成膜を行った。 (c) 次に上記第一絶縁層上にセリウム(Ce)を添加した硫
化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)から成る発光層14
をレーザアブレーション法により成膜した。その後アル
ゴン(Ar)雰囲気中にて、650 ℃、30分の熱処理を施し
た。 (d) 次に、上記発光層14上に、五酸化タンタル(Ta
2O5) から成る第二絶縁層15を上述の第一絶縁層13
と同様の方法で形成した。 (e) 最後に、酸化亜鉛(ZnO) 膜から成る第二透明電極1
6を、上述の第一透明電極12と同様の方法により、第
二絶縁層15の上に形成した。 各層の膜厚は、第一、第二透明電極がそれぞれ300nm 、
第一、第二絶縁層がそれぞれ400nm 、発光層が550nm で
ある。
法を述べる。 (a) まずガラス基板11上に第一透明電極12を成膜し
た。蒸着材料としては、酸化亜鉛(ZnO) 粉末に酸化ガリ
ワム(Ga2O3) を加えて混合し、ペレット状態に成形した
ものを用い、成膜装置としてはイオンプレーティング装
置を用いた。具体的には、上記ガラス基板11の温度を
一定に保持したままイオンプレーティング装置内を真空
に排気し、その後アルゴン(Ar)ガスを導入して圧力を一
定に保ち、成膜速度が 6〜18nm/minの範囲になるようビ
ーム電力および高周波電力を調整した。 (b) 次に、上記第一透明電極12上に、五酸化タンタル
(Ta2O5) から成る第一絶縁層13をスパッタ法により形
成した。具体的には、上記ガラス基板11の温度を一定
に保持し、スパッタ装置内にアルゴン(Ar)と酸素(O2)の
混合ガスを導入し、1kWの高周波電力で成膜を行った。 (c) 次に上記第一絶縁層上にセリウム(Ce)を添加した硫
化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)から成る発光層14
をレーザアブレーション法により成膜した。その後アル
ゴン(Ar)雰囲気中にて、650 ℃、30分の熱処理を施し
た。 (d) 次に、上記発光層14上に、五酸化タンタル(Ta
2O5) から成る第二絶縁層15を上述の第一絶縁層13
と同様の方法で形成した。 (e) 最後に、酸化亜鉛(ZnO) 膜から成る第二透明電極1
6を、上述の第一透明電極12と同様の方法により、第
二絶縁層15の上に形成した。 各層の膜厚は、第一、第二透明電極がそれぞれ300nm 、
第一、第二絶縁層がそれぞれ400nm 、発光層が550nm で
ある。
【0015】次に、上記発光層14をレーザアブレーシ
ョン法により形成した方法を詳細に説明する。図1に、
本発明の製造方法で用いたレーザアブレーション装置2
00を示す。レーザアブレーション装置200は、チャ
ンバ23内にターゲットホルダ25と、これに対向して
基板ホルダ27が設けられ、このターゲットホルダ25
にターゲット24が配置され、基板ホルダ27に発光層
を成膜すべき基板26が配置される。上記ターゲット2
4に、集光レンズ22とレーザ入射窓32を通して、エ
キシマレーザ21からのパルスレーザ光を照射し、ター
ゲット原子を飛散させ、基板26上に堆積させる。チャ
ンバ23には真空排気口33が設けられて高真空に排気
可能である。また基板ホルダ27には、基板26を必要
に応じて加熱するヒータ28、および基板26を必要に
応じて冷却する冷却器29が設けられて基板を所定の温
度に維持できるようになっている。チャンバ23には硫
化水素(H2S) 導入ライン30が設けられ、基板26近傍
を硫化雰囲気に保持するようになっている。チャンバ2
3内の硫化水素ガス圧はマスフローコントローラ31に
より制御される。
ョン法により形成した方法を詳細に説明する。図1に、
本発明の製造方法で用いたレーザアブレーション装置2
00を示す。レーザアブレーション装置200は、チャ
ンバ23内にターゲットホルダ25と、これに対向して
基板ホルダ27が設けられ、このターゲットホルダ25
にターゲット24が配置され、基板ホルダ27に発光層
を成膜すべき基板26が配置される。上記ターゲット2
4に、集光レンズ22とレーザ入射窓32を通して、エ
キシマレーザ21からのパルスレーザ光を照射し、ター
ゲット原子を飛散させ、基板26上に堆積させる。チャ
ンバ23には真空排気口33が設けられて高真空に排気
可能である。また基板ホルダ27には、基板26を必要
に応じて加熱するヒータ28、および基板26を必要に
応じて冷却する冷却器29が設けられて基板を所定の温
度に維持できるようになっている。チャンバ23には硫
化水素(H2S) 導入ライン30が設けられ、基板26近傍
を硫化雰囲気に保持するようになっている。チャンバ2
3内の硫化水素ガス圧はマスフローコントローラ31に
より制御される。
【0016】成膜条件は、レーザ光波長193nm 、パルス
エネルギー密度1J/cm2 、基板温度100 ℃、ターゲット
基板間隔3cm、硫化水素(H2S) ガス圧100Pa とした。ま
たターゲット24はCa:Ga:S = 1 : 2 : 4 の組成比の焼
結体ターゲットを用いた。この焼結体ターゲット24に
は硫化セリウム(Ce2S3) の形でセリウム(Ce)が1atm%
(残部99atm%はCa)添加されている。これはセリウム(C
e)のハロゲン化物等であってもよい。成膜された発光層
の組成を電子プローブX線マイクロアナライザ(EPMA)で
分析した所、 Ca:Ga:S = 1 : 2.05 : 3.99であり、所望
の組成比に非常に近いものが得られた。これに対し、硫
化水素ガスを導入せずに成膜した場合には、 Ca:Ga:S =
1 : 2.05 : 3.2 となり、硫黄(S) が著しく欠乏した組
成となった。このようにレーザアブレーション法による
三元硫化物成膜時に硫化水素ガスを導入することは、硫
黄(S) が堆積面から再蒸発することに起因する組成比の
ずれを抑制する効果を持つ。この効果はチャンバ内の硫
化水素ガス圧が1Pa以上である時に顕著であった。ま
た、レーザ光源は上記に示した波長、エネルギー密度に
限らずターゲット表面を気化させる能力を有するもので
あればよく、上記条件は一例にすぎない。
エネルギー密度1J/cm2 、基板温度100 ℃、ターゲット
基板間隔3cm、硫化水素(H2S) ガス圧100Pa とした。ま
たターゲット24はCa:Ga:S = 1 : 2 : 4 の組成比の焼
結体ターゲットを用いた。この焼結体ターゲット24に
は硫化セリウム(Ce2S3) の形でセリウム(Ce)が1atm%
(残部99atm%はCa)添加されている。これはセリウム(C
e)のハロゲン化物等であってもよい。成膜された発光層
の組成を電子プローブX線マイクロアナライザ(EPMA)で
分析した所、 Ca:Ga:S = 1 : 2.05 : 3.99であり、所望
の組成比に非常に近いものが得られた。これに対し、硫
化水素ガスを導入せずに成膜した場合には、 Ca:Ga:S =
1 : 2.05 : 3.2 となり、硫黄(S) が著しく欠乏した組
成となった。このようにレーザアブレーション法による
三元硫化物成膜時に硫化水素ガスを導入することは、硫
黄(S) が堆積面から再蒸発することに起因する組成比の
ずれを抑制する効果を持つ。この効果はチャンバ内の硫
化水素ガス圧が1Pa以上である時に顕著であった。ま
た、レーザ光源は上記に示した波長、エネルギー密度に
限らずターゲット表面を気化させる能力を有するもので
あればよく、上記条件は一例にすぎない。
【0017】表1は同一組成のセリウム(Ce)を添加した
硫化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)の焼結体をターゲ
ットに用いて、レーザアブレーション法、スパッタ法、
電子ビーム蒸着法によりCaGa2S4:Ce薄膜を成膜した時の
カルシウム(Ca)、ガリウム(Ga)、硫黄(S) 、セリウム(C
e)の含有量をatm%で示したものである。薄膜によってば
らつきがあるため、それを含有量の範囲で示した。レー
ザアブレーション法と同じく、スパッタ法、電子ビーム
蒸着法においてもチャンバ内に硫化水素(H2S)を導入し
て成膜を行ったが、この二つの方法では原理的に硫化水
素(H2S) のガス圧を大きくすることができず、5 ×10-2
Paに設定した。
硫化カルシウムガリウム(CaGa2S4:Ce)の焼結体をターゲ
ットに用いて、レーザアブレーション法、スパッタ法、
電子ビーム蒸着法によりCaGa2S4:Ce薄膜を成膜した時の
カルシウム(Ca)、ガリウム(Ga)、硫黄(S) 、セリウム(C
e)の含有量をatm%で示したものである。薄膜によってば
らつきがあるため、それを含有量の範囲で示した。レー
ザアブレーション法と同じく、スパッタ法、電子ビーム
蒸着法においてもチャンバ内に硫化水素(H2S)を導入し
て成膜を行ったが、この二つの方法では原理的に硫化水
素(H2S) のガス圧を大きくすることができず、5 ×10-2
Paに設定した。
【表 1】
【0018】表1から判るように、スパッタ法では、
1)ガリウム(Ga)が過剰になる、2)再現性がレーザア
ブレーション法より悪い、という問題点が生ずる。ター
ゲットの組成を調整することにより、ガリウム(Ga)含有
量を所望の値にすることは可能であるが、その場合にも
再現性の問題は解決されない。硫黄(S) の量は再現性は
硫化水素ガス圧を本発明の実施例と同じく1Pa以上に設
定すれば改善されると予想されるが、しかしながらスパ
ッタ法においてこのように高い圧力の雰囲気ガスを導入
することは非常に困難である。まして100Pa の硫化水素
を導入することは不可能である。一方、電子ビーム蒸着
法では、3)ガリウム(Ga)が欠乏する、4)硫黄(S) が
欠乏し、しかもばらつきが大きい、5)セリウム(Ce)が
欠乏する、という問題が生ずる。このように、三元化合
物を母体材料とする蛍光体において所望の組成比を再現
性良く実現する成膜方法として、硫化水素(H2S) 雰囲気
でのレーザアブレーションによる成膜法は極めて優れて
いることがわかる。
1)ガリウム(Ga)が過剰になる、2)再現性がレーザア
ブレーション法より悪い、という問題点が生ずる。ター
ゲットの組成を調整することにより、ガリウム(Ga)含有
量を所望の値にすることは可能であるが、その場合にも
再現性の問題は解決されない。硫黄(S) の量は再現性は
硫化水素ガス圧を本発明の実施例と同じく1Pa以上に設
定すれば改善されると予想されるが、しかしながらスパ
ッタ法においてこのように高い圧力の雰囲気ガスを導入
することは非常に困難である。まして100Pa の硫化水素
を導入することは不可能である。一方、電子ビーム蒸着
法では、3)ガリウム(Ga)が欠乏する、4)硫黄(S) が
欠乏し、しかもばらつきが大きい、5)セリウム(Ce)が
欠乏する、という問題が生ずる。このように、三元化合
物を母体材料とする蛍光体において所望の組成比を再現
性良く実現する成膜方法として、硫化水素(H2S) 雰囲気
でのレーザアブレーションによる成膜法は極めて優れて
いることがわかる。
【0019】一方、このレーザアブレーション法で成膜
された発光層はやはり非晶質であり、成膜直後のままで
は発光を示さなかった。それで 650℃、30分の熱処理に
より結晶化が進み、初めて発光を示すようになった。別
に、熱処理を用いずに発光層を結晶化させる目的で、基
板温度を 500℃まで上げて発光層を成膜したが、やはり
非晶質であり、発光を示さなかった。それどころか、そ
の場合はその後の熱処理でも発光を示すようにならなか
った。この理由はまだ明らかではないが、おそらく基板
温度が高いと、完全な非晶質にならず微結晶が形成さ
れ、かえって熱処理時の結晶化進行を阻害してしまうた
めと考えられる。それで実験結果から望ましい基板温度
は 300℃以下であることが判明した。
された発光層はやはり非晶質であり、成膜直後のままで
は発光を示さなかった。それで 650℃、30分の熱処理に
より結晶化が進み、初めて発光を示すようになった。別
に、熱処理を用いずに発光層を結晶化させる目的で、基
板温度を 500℃まで上げて発光層を成膜したが、やはり
非晶質であり、発光を示さなかった。それどころか、そ
の場合はその後の熱処理でも発光を示すようにならなか
った。この理由はまだ明らかではないが、おそらく基板
温度が高いと、完全な非晶質にならず微結晶が形成さ
れ、かえって熱処理時の結晶化進行を阻害してしまうた
めと考えられる。それで実験結果から望ましい基板温度
は 300℃以下であることが判明した。
【0020】(第二実施例)また発光層14の材料とし
て、セリウム(Ce)を添加した硫化ストロンチウムガリウ
ム(SrGa2S4:Ce)を用いた。ターゲットは硫化セリウム(C
e2S3) の形でセリウム(Ce)を1atm%(残部99atm%はSr)
添加した、Sr : Ga : S = 1:2:4 の組成比の焼結体ター
ゲットを用いた。成膜された発光層の組成をEPMAで計測
した所、Sr :Ga : S = 1:1.98:4.01 であり、所望の組
成比に非常に近いものが得られた。適切な基板温度は、
やはり 300℃以下であった。
て、セリウム(Ce)を添加した硫化ストロンチウムガリウ
ム(SrGa2S4:Ce)を用いた。ターゲットは硫化セリウム(C
e2S3) の形でセリウム(Ce)を1atm%(残部99atm%はSr)
添加した、Sr : Ga : S = 1:2:4 の組成比の焼結体ター
ゲットを用いた。成膜された発光層の組成をEPMAで計測
した所、Sr :Ga : S = 1:1.98:4.01 であり、所望の組
成比に非常に近いものが得られた。適切な基板温度は、
やはり 300℃以下であった。
【0021】以上の如く、本発明の製造方法によれば、
望ましい組成比を有する三元化合物発光層を容易に再現
性良く形成でき、品質の良いEL素子が実現する。
望ましい組成比を有する三元化合物発光層を容易に再現
性良く形成でき、品質の良いEL素子が実現する。
【図1】本発明のEL素子の製造方法を実施するための
レーザアブレーション装置の構造を示す模式図である。
レーザアブレーション装置の構造を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例により作製されたEL素子の縦
断面を示した模式図である。
断面を示した模式図である。
【図3】従来のEL素子の縦断面を示す模式図である。
10、100 薄膜EL素子 1、11 ガラス基板(絶縁性基板) 2、12 第一透明電極(第一電極) 3、13 第一絶縁層 4、14 発光層 5、15 第二絶縁層 6、16 第二透明電極(第二電極) 200 レーザアブレーション装置 22 集光レンズ 23 チャンバ 24 ターゲット 25 ターゲットホルダ 26 基板 27 基板ホルダ 28 ヒータ 29 冷却器 30 ガス導入口 31 マスフローコントローラ(MFC) 32 レーザ導入窓 33 排気口
Claims (8)
- 【請求項1】少なくとも光取り出し側を光学的に透明な
材料にて形成するEL素子の製造方法で、 発光中心元素が賦活されたターゲットが、 Aグループの元素、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ス
トロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウ
ム(Cd)のいずれかを少なくとも一種以上、 およびBグループの元素、アルミニウム(Al)、ガリウム
(Ga)、インジウム(In)のいずれかを少なくとも一種以
上、 およびCグループの元素、硫黄(S) 、セレン(Se)のいず
れか一種、を同時に含む焼結体であって、 前記ターゲットにレーザ光を照射して、該ターゲットに
対向して配置した基板の上に薄膜を堆積させるレーザア
ブレーション法で前記EL素子の発光層を形成し、 前記発光層の成膜時に、前記基板の近傍を前記Cグルー
プの元素に合わせて硫化雰囲気、またはセレン化雰囲気
に保持することを特徴とするEL素子の製造方法。 - 【請求項2】前記レーザアブレーション法による前記発
光層の成膜時に、前記基板の温度を300℃以下に保持
することを特徴とする請求項1に記載のEL素子の製造
方法。 - 【請求項3】前記発光層の成膜後に、400℃以上70
0℃以下にて、熱処理を施すことを特徴とする請求項1
乃至2に記載のEL素子の製造方法。 - 【請求項4】前記レーザアブレーション法による前記発
光層の成膜時に、硫化水素(H2S) またはセレン化水素(H
2Se)のガスを導入して前記基板の近傍を硫化雰囲気また
はセレン化雰囲気に保持することを特徴とする請求項1
乃至3に記載のEL素子の製造方法。 - 【請求項5】前記基板の近傍に導入された硫化水素(H
2S) またはセレン化水素(H2Se)のガス圧が1Pa以上で
あることを特徴とする請求項4に記載のEL素子の製造
方法。 - 【請求項6】前記ターゲットとは別に、硫黄ターゲット
またはセレンターゲットを前記基板に対向して配置し、 該硫黄ターゲットまたは該セレンターゲットを加熱もし
くはレーザ光を照射して、前記基板の近傍を硫化雰囲気
またはセレン化雰囲気に保持することを特徴とする請求
項1乃至3に記載のEL素子の製造方法。 - 【請求項7】前記発光中心元素として、クロム(Cr)、マ
ンガン(Mn)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリ
ウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テル
ビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エ
ルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、鉛(Pb)の内、少なくとも
一種類が添加されていることを特徴とする請求項1乃至
5に記載のEL素子の製造方法。 - 【請求項8】前記ターゲットに少なくとも一種類添加さ
れた前記発光中心元素のそれぞれの濃度が、該元素と前
記Aグループの元素との総和を100atm% とした時、その
内0.01 atm%以上 10 atm %以下であることを特徴とす
る請求項7に記載のEL素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6173725A JPH0812970A (ja) | 1994-07-01 | 1994-07-01 | El素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6173725A JPH0812970A (ja) | 1994-07-01 | 1994-07-01 | El素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0812970A true JPH0812970A (ja) | 1996-01-16 |
Family
ID=15965991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6173725A Pending JPH0812970A (ja) | 1994-07-01 | 1994-07-01 | El素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0812970A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100365583B1 (ko) * | 2001-07-18 | 2002-12-26 | 이엘코리아 주식회사 | 형광체 및 그 제조방법 |
WO2004080128A1 (ja) * | 2003-03-06 | 2004-09-16 | The Westaim Corporation | 蛍光体薄膜形成用スパッタリングターゲット |
JP2008001873A (ja) * | 2006-06-22 | 2008-01-10 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 薄膜蛍光体の製造方法、薄膜蛍光体、無機el発光素子、電界放射型ディスプレイ、及び薄膜蛍光体製造用の紫外光照射装置 |
-
1994
- 1994-07-01 JP JP6173725A patent/JPH0812970A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100365583B1 (ko) * | 2001-07-18 | 2002-12-26 | 이엘코리아 주식회사 | 형광체 및 그 제조방법 |
WO2004080128A1 (ja) * | 2003-03-06 | 2004-09-16 | The Westaim Corporation | 蛍光体薄膜形成用スパッタリングターゲット |
US7540976B2 (en) | 2003-03-06 | 2009-06-02 | Ifire Ip Corporation | Sputtering target for forming thin phosphor film |
JP2008001873A (ja) * | 2006-06-22 | 2008-01-10 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 薄膜蛍光体の製造方法、薄膜蛍光体、無機el発光素子、電界放射型ディスプレイ、及び薄膜蛍光体製造用の紫外光照射装置 |
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