JP5300345B2 - 発光膜、発光素子およびその製造方法 - Google Patents

発光膜、発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光膜、発光素子およびその製造方法に関する。より詳しくは、LEDや無機ELに利用可能な発光膜、発光素子およびその製造方法に関する。
近年、高輝度発光を有する発光素子の研究の進展は著しく、様々な動作原理の発光素子が開発されている。例えば、高品質結晶からなる半導体pn接合に電子と正孔を注入し再結合発光させるLEDおよびLDや、絶縁性の蛍光体薄膜に高電界を印加し、蛍光体薄膜中の発光中心をホットエレクトロンにより電界励起発光させる無機ELがある。他にも、有機分子や高分子薄膜からなる発光層、電子輸送層、正孔輸送層を積層し、注入された電子と正孔の再結合エネルギーにより有機分子に局在した励起子発光を起こす有機ELなどが存在する。なかでも、直流駆動で高輝度発光が可能なLEDや有機ELは、われわれの生活の中に有効に取り入れられているが、さらなる高輝度化と省電力化が求められているのが現状である。さらには、より簡便で生産性に優れ、かつ高い耐久性を持った発光素子の技術開発もますます求められている。
現在、上記の要求に応じて、次のような発光素子が開発されている。非特許文献1では、MIS(Metal−Insulator−Semicnductor)構造およびMISIM(Metal−Insulator−Semiconductor−Insulator−Metal)構造の発光素子が報告されている。発光膜は半導体層で、ドナーアクセプター対発光するZnS:Ag,Clを用いており、Ag/Znの原子数比は30〜50ppmと非常に少ない。そのため、発光素子は交流駆動であり、発光開始電圧は35Vrmsで、50Vrmsでの発光輝度は30cd/mである。なお、発光膜の抵抗率に関する記述は見られない。また、このような発光膜の作製にはMOCVD法が用いられ、成膜速度は20nm/分である。
特許文献1では、MIS構造正孔注入発光を安定的に行うため、I層を2層以上の正孔注入高抵抗絶縁層とする発光素子が開示されている。発光部には低抵抗ZnS単結晶やエピタキシャル結晶膜が用いられている。また、ZnS単結晶には添加元素が含まれず、抵抗率は1〜5Ωcmである。また、外部量子効率は0.08%程度である。
図20に蛍光体ハンドブック(326ページ(1987年)、蛍光体同好会)に記載されている一般的な直流駆動分散型EL素子の従来技術の模式図を示す。直流駆動分散型EL素子では、フォーミング処理によりZnSに比べて電気伝導性の高いCuS52をZnS粒状結晶60に被覆することで、直流電流の経路を形成している。フォーミング処理とは、透明電極58を正、電極59を負として電流を流し、動きやすいCuイオンを電極59側に移動させてCuSとして偏析させ、透明電極58側にCuイオンが欠損した厚さ1μm程度の高抵抗領域を形成する処理である。また、ZnS粒状結晶を被覆したCuSは、キャリア源としての役割も果たしている。すなわち、CuSはZnSに比べて電気伝導性が高いため、電圧印加時に微小領域に偏析したCuSに電界が集中し、これによりCuSの価電子帯の電子が母体ZnSのドナー準位にトラップされ、正孔はアクセプター準位にトラップされる。このようにしてドナー準位に捕獲された電子と、アクセプター準位に捕獲された正孔が再結合して発光に至ると考えられている。
特公平06−097704号公報 Journal of Crystal Growth 117(1992)1035−1039
しかしながら、上記従来技術における発光素子では、発光膜自体に発光機能と所望の抵抗率とを両立して備えさせることができないため、発光開始電圧が高くなったり、高輝度な発光が得難かったりする。また、従来の発光素子の実現には、MOCVD法、単結晶作製法とその抵抗率制御方法、およびエピタキシャル成膜法など複雑な製作工程が必要となるので、製造が簡便でない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。そして、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜において、発光機能と所望の抵抗率を両立させ、さらに該発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜と該発光膜を積層させることで、低電圧駆動が可能で高輝度な発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、母体材料である硫化亜鉛化合物に添加元素としてCuを含む発光膜であって、前記硫化亜鉛化合物は、柱状のZnS結晶を有し、該ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅からなる部位を有することを特徴とする発光膜である。
また、本発明は、前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜と、前記発光膜と、透明電極膜とが基板の上に順に積層してなることを特徴とする発光素子である。
また、本発明は、硫化水素雰囲気中で、Cu金属と、硫化亜鉛化合物とを基板の上に供給することで発光膜を成膜する成膜工程よりなり、該Cu金属の供給速度(nm/分)と、硫化亜鉛化合物の供給速度(nm/分)の比は、1:1000以上1:10以下であることを特徴とする発光膜の製造方法である。
さらに、本発明は、基板の上に、前記方法で作られる発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜を成膜する工程と、該発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の上に、前記方法で発光膜を成膜する工程と、該発光膜の上に、透明電極膜を成膜する工程と、から少なくともなることを特徴とする発光素子の製造方法である。
本発明にしたがうことで、発光機能と所望の抵抗率とが両立した発光膜と、低電圧駆動が可能で高輝度な、該発光膜を用いた発光素子とを提供することが可能である。また、本発明の製造方法にしたがうことで、より簡便な方法で効率よく前記発光膜を作製することが可能となる。
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態に係る発光膜は、母体材料である硫化亜鉛化合物に添加元素としてCuを含む発光膜である。該硫化亜鉛化合物は、柱状のZnS結晶を有し、該ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅からなる部位を有する。
本実施形態の発光膜には、Cu以外の元素を添加してもよい。つまり、優れた発光機能を得るためには、発光膜の材料として、電子と正孔の再結合により発光するドナーアクセプター対発光材料を用いることがより好ましい。ドナーアクセプター対発光材料は、母体材料である半導体中に添加されたドナー、アクセプターにより各々エネルギー準位が形成され、それらに捕獲された電子と正孔が再結合して発光するものである。母体材料としてワイドギャップ半導体であるZnS(Eg=3.7eV)を用いれば、可視光の発光を得ることが可能である。それは、ZnS:A,Dと表され、発光色は、形成されるドナー準位とアクセプター準位のエネルギー差により決定される。ZnS母体材料中に形成される深いドナーアクセプター対から得られる発光は、室温でも明るく、カラーテレビジョン陰極線管用の蛍光体や、分散エレクトロルミネッセンス用の蛍光体などに広く応用される。例えば、ZnS:Cu,AlやZnS:Cu,Gaでは約2.4eV、ZnS:Cu,Clでは約2.7eVにピークを有する発光が得られる。
次に、本実施形態に係る発光膜の構造について詳細に説明する。
本実施形態の発光膜は、図1、図2に示すように柱状のZnS結晶51からなり、ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅CuS52からなる部位を有する構造となっている。CuSの厚さdは3nm以下でありZnSの柱状結晶を被覆するように発光膜中に形成されている。
CuSには、該xが1〜2の間で5つの安定相があり、それぞれ、CuS(x=1)、Cu1.75S(x=1.75)、Cu1.8S(x=1.8)、Cu1.96S(x=1.96)、CuS(x=2)である。これらのCuSはZnS結晶に対して低抵抗であり、本実施形態のCuSは膜を貫通するように形成されているため、CuSが電流経路としての役割をもつと考えられ、これにより膜全体として低抵抗な発光膜が得られる。さらに、CuSの厚さは発光膜中で一定でなく、領域によって3nm以下の範囲で、薄くなったり厚くなったりしており、図3に示すように、針のように狭まっている領域や、途中で切れているような領域も存在する。このような領域では、電気伝導性の高いCuSに電界が集中するために、局所的な高電界領域が形成されると考えられる。ここで、CuSの厚さが3nmより厚くなると、素子全体としての抵抗が小さくなり過ぎてしまい、大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなってしまう。また、微視的には局所的な高電界領域が形成され難くなるため、輝度が低くなってしまう。よって、CuSの厚さdを3nm以下とすることで、低電圧駆動と高輝度が両立した発光膜を作製することができる。
また、CuSの抵抗値は組成により変化し、該xが大きくなるとともに高くなる。本実施形態の発光膜の粒界におけるCuSは、xの値が1.75以上2以下の範囲で揺らいでいるため、この組成の変調により局所的に抵抗値が高くなったり、低くなったりする領域が形成されると考えられる。このような領域でも同様に局所的な高電界領域が形成されると考えられる。以上のように、本実施形態の発光膜の粒界におけるCuSがとり得るサイズや組成の特徴により発光膜中に高電界領域が形成されると考えられる。このようにして形成される高電界領域ではCuSの価電子帯の電子が母体ZnSのドナー準位にトラップされ、正孔がアクセプター準位にトラップされることによりCuSがキャリア源として作用すると考えられる。このようにしてZnSのドナー準位に捕獲された電子と、アクセプター準位に捕獲された正孔が再結合することで、高い輝度が得られると考えられる。以上のように、本実施形態において、発光膜を貫通するCuSが、電流経路としての役割と、キャリア源としての役割を併せ持つため、本実施形態の構成にすることで、高輝度で低電圧駆動が可能な発光膜を作製することができる。
本実施形態では、ZnS結晶同士が接する粒界におけるCuSの量は、前記ZnS結晶が該ZnS結晶以外の材料と形成する界面におけるCuSの量に比べて30倍以上多い部位を有している。これは、CuxS層がZnS結晶同士の粒界にのみ存在し、ZnS結晶と基板や上部電極との間には存在しない構成であることを意味している。この構成をとることにより光の取り出し効率が向上する効果が得られる。その理由を以下に示す。xの値が1.75以上2以下の範囲のCuSは可視域に吸収を示し、ZnSからの発光を吸収してしまう。特にxの値が2であるCuSはバンドギャップが1.2eV程度であり、可視域での吸光係数がα=10cm−1と高い値をとる。図20に示す直流駆動分散型EL素子の従来技術では、表面をCuSで被覆されたZnS粒状結晶60が積み重ねられている。よって、発光膜内部から放出された発光55は出射するまでに必然的にCuS52を何層も通らなくてはならず、ZnS結晶からの発光は吸収されて減衰してしまう。一方、図1、図2に示す本発明の発光膜54は、基板53から垂直に成長した柱状のZnS結晶51と、該ZnS結晶51を被覆するように形成されたCuS52とからなる。よって、ZnS結晶51からの発光55はCuS52を通ることなく外部に出射することができる。そのため、CuS52による吸収の影響がなく、外部光取り出し効率が向上した高輝度の発光膜となる。
以上に示したように、発光膜を貫通するCuSが、電流経路としての役割をもつことで低電圧駆動が可能である。また、CuSがキャリア源としての役割を持つことで高効率の発光を得ることも可能である。さらには、その発光がCuSによる吸収の影響がなく外部に取り出せることにより、高輝度な発光膜を得ることも可能である。
次に、添加元素として、Cuと、周期表第3B族(13族)(例えば、B、Al、Ga、Inなど)あるいは7B族(17族)(例えば、F、Cl、Br、Iなど)から選ばれる一つ以上の元素とを添加した発光膜について説明する。このような添加元素を用いることで、優れた発光機能を有する膜を得ることが可能となる。
ここで、本実施形態の発光膜中における、硫化亜鉛化合物のZnと、添加元素であるCuとの割合について、該割合を変化させた発光膜を5つ用意して検討した。この際、硫化亜鉛化合物中にドナー準位を形成するために、Znに対するGaの割合が約0.1mol%となるように、発光膜中にGaを添加した。
そうしたところ、下記の表1および図4に示すように、発光膜中のCuの添加量がZnに対して0.3mol%以上12mol%以下である場合、発光膜の抵抗率を0.15Ωcm以上3Ωcm以下とすることが可能であることがわかった。
また、紫外線を用いたPL(フォトルミネッセンス)強度を評価すると、表1および図4に示すように、Cuの添加量が少ない場合はPL強度が大きく、Cuの添加量が多い場合はPL強度が小さくなることがわかった。以上の結果から、発光機能と所望の抵抗率とが両立した発光膜を得ることができる。この発光膜を用いて発光素子を構成する場合、Cuの添加量を多くすることで特に発光素子の駆動電圧を低減でき、一方、Cuの添加量を少なくすることで特に発光素子の発光輝度を向上できる。ここで、Cuの添加量が少な過ぎると、発光膜の抵抗率が大きくなり過ぎ、発光素子の駆動電圧が増加する。逆に、Cuの添加量が多過ぎると、発光膜の抵抗率が小さくなり過ぎ、駆動時に発光素子に大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなる。本実施形態においては、Cuの添加量を適切に制御することで、使用目的に応じた発光膜を提供することが可能である。本実施形態において、Cuの添加量の適切な範囲は、Cuの添加量がZnに対して0.1mol%以上20mol%以下の範囲であり、この場合、発光膜の抵抗率が0.1Ωcm以上10Ωcm以下となる。
次に、本実施形態の発光膜を構成要素として有する発光素子について説明する。
本実施形態の発光膜は、図5に示すような発光素子に利用することが可能である。図5に示されている発光素子は、実施形態の一例であるが、導電性基板11の上に、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12と、本実施形態の発光膜13と、透明電極膜14とが、順に積層している構成をなしている。
前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12としては、例えば、AlO、AlN、SiO、ZnOなどが挙げられる。しかし、該膜はキャリア注入層として働くため、必ずしも完全な絶縁膜である必要は無く、発光素子の駆動電圧が低減できるように、その構成元素において陰イオンの欠損を有していればよい。光透過スペクトル測定を用いて欠損の無い膜のスペクトルと比較することで、容易に膜の構成元素における陰イオンの欠損を推測することが可能である。また、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の厚さは、素子の駆動電圧を低減するため、100nm以下であることが好ましい。また、膜厚が小さ過ぎると膜としての連続性が失われてしまうため、5nm以上であることが好ましい。
次に、本実施形態の発光素子において、発光時および非発光時の微分抵抗値について検討した。ここで、微分抵抗値は図7に示す回路で評価した。まず、発光素子41と抵抗器42を電源15に対して直列につなぎ、電源15の電圧を徐々に増加させながら、発光素子41と抵抗器42の各々にかかる電圧を電圧計43によって測定する。このとき、抵抗器42の抵抗値を発光素子の抵抗値の1/10程度以上にすることで、抵抗器42にかかる電圧の値より、回路に流れる電流値を少ない誤差で求めることができる。そして、回路に流れる電流値は発光素子に流れる電流値と等しいため、該電流値と発光素子41にかかる電圧値とにより、発光素子の抵抗値を求めることができる。
詳しくは、次のようにして抵抗値を求める。一般に、微分抵抗値(r)とは、例えばダイオードのように、印加電圧と電流の関係が非線形である素子において任意の電圧印加時の抵抗値を定義する場合に用いられ、微小電圧をdV、微小電流をdIとするとき、r=dV/dIという式で表すことができる。該式より、非発光時と発光時の微分抵抗値を求めることができる。ここで、発光時とは、発光輝度が1cd/mで充分目視可能な状態を表し、また非発光時とは、発光輝度が発光時の1/10で汎用な輝度測定器での評価や目視が困難な状態を表す。すると、発光時の微分抵抗値が、非発光時の微分抵抗値の1/1000以上1/2以下であるとき、発光素子の駆動安定性が向上するので好ましいことがわかった。該値が1/1000より小さい場合、発光時の素子抵抗が小さくなり過ぎ大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなり、1/2より大きい場合、注入キャリア数が少なくなり過ぎることで輝度が低くなる。
発光素子の構成としては、図5に示す構成だけでなく、図6に示すような透明基板と透明電極を用いることで基板側から発光を取り出す構成も可能である。また、p型半導体膜23を用いる構成も可能であり、そうすることで、ホールの注入性が増し、輝度が向上する。
本実施形態に係る発光膜は、上記構造をもつことにより、発光機能と所望の抵抗率とが両立した発光膜が得られ、該発光膜を用いることにより高輝度で低電圧駆動が可能な発光素子を作製することができる。
次に、本実施形態に係る発光膜の製造方法について説明する。
一般に、本発明のような発光膜(硫化物膜)の作製方法には、多元蒸着法、硫化法、固相成長法、有機金属化学気相輸送法、気相成長法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などがある。簡便さという観点からはスパッタ法が有効であるが、本発明の硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜の作製には、組成制御性や成膜速度の面で有利な多元蒸着法を用いるのがより好ましい。
本発明の発光膜の作製には、図8に示すような多元蒸着装置が用いられる。そこでは、真空チャンバ31内部において、電子ビーム37で材料供給源36A、36Bを蒸発させて、基板ヒータ32で加熱される基板33に指示番号35に示されているように材料供給する。その際、基板33は指示番号34に示されているように回転している。具体的には、Cu金属と、周期表第3B族(13族)あるいは7B族(17族)から選ばれる一つ以上の元素を含む硫化亜鉛化合物とを基板へ、供給速度(nm/分)の比を1:1000以上1:10以下で供給する。そうすることで、所望のCu添加量の発光膜を作製することができる。また、硫化水素雰囲気中において、基板の温度が500度以上に保持されて成膜が行われることで、良質な硫化亜鉛化合物膜を得ることができるので、蒸着雰囲気を硫化水素ガス供給38により硫化水素雰囲気とすることが好ましい。その際、成膜速度は比較的広い範囲で制御可能であり、100nm/分以上5000nm/分以下で成膜することにより、良質な硫化亜鉛化合物膜を得ることができる。
膜の材料組成の同定は、蛍光X線測定、エネルギー分散分光測定、高周波誘導結合プラズマ発光分光測定などで行うことができる。また、膜の結晶性はCuKα線を用いるX線回折測定により調べることができる。また、膜の電気伝導性は4端針測定やホール測定などで行うことが可能である。
(実施形態2)
以下、本発明に係る発光膜の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜であって、硫化亜鉛化合物に第一の添加元素としてCu、第二の添加元素として第2族元素あるいはIr、第三の添加元素としてClを含んでいる。そして、第二の添加元素の添加量は、第一の添加元素の添加量よりも少なく、該添加元素が添加された硫化亜鉛化合物は、ZnS:Cu,X,Cl(Xは第2族元素あるいはIr)で表される。このように、三つの添加元素を同時に含むことにより、本来絶縁材料である硫化亜鉛化合物に電気伝導性を付与することができる。なおかつ、発光に必要なドナーとアクセプタ−の準位が硫化亜鉛化合物中に効率的に形成され、青色で高効率な発光機能を有する膜を得ることが可能となる。なお、JIS Z8110規格に示されたXYZ表色系の色度座標では、青色の単色光のピーク波長は455〜485nmの範囲である。一方、本発明における青色発光の波長領域とは、青色の単色光のピーク波長を含む、およそ380〜500nmの範囲にスペクトルをもつ領域のことをいう。
なお、上記Xで示される元素としては、例えばBaとMg、BaとIr、BaとMgとIrなど、第2族元素あるいはIrから二種類以上の添加元素を任意に選んで組み合わせることもできる。
ドナーとしてCu、アクセプターとしてClを用い、さらに第2族元素あるいはIrを含むことにより、硫化亜鉛化合物中にドナーとアクセプターの準位が効率的に導入され、色純度に優れた高輝度な青色発光が得られる。第2族元素あるいはIrを添加する際、それらを硫化亜鉛化合物よりも融点の低い塩化物として添加することで、融剤の効果により、母体材料である硫化亜鉛化合物の結晶性が向上する。そのような塩化物としては以下のものが挙げられる。例えば、塩化マグネシウムMgCl(融点712℃)、塩化カルシウムCaCl(融点772℃)、塩化ストロンチウムSrCl(融点873℃)塩化バリウムBaCl(融点963℃)、塩化イリジウムIrCl(融点763℃)などである。また、各々の添加元素がドナーやアクセプターとして硫化亜鉛化合物中に取り込まれやすくなると考えられ好ましい。
本実施形態の発光膜も、第1の実施形態の発光膜と同様に、柱状のZnS結晶を有し、該ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅からなる部位を有する(図1、図2参照)。
つまり、本実施形態の発光膜を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察すると、50nmから200nm程度の硫化亜鉛化合物の柱状結晶が見られ、多結晶膜からなっていることがわかる。多結晶である発光膜を用いて発光素子を作製することにより、表面の凹凸が少なく、均一な発光が得られて好ましい。
また、後述の成膜方法で、材料供給源に、Cu金属と、第2族元素あるいはIrの塩化物を含む硫化亜鉛化合物とを用いて、各々の材料供給速度(nm/分)の比を変化させ、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む青色発光膜の作製を検討した。その結果を下記表2に示す。
表2に示されているように、青色発光膜中のCuをZnに対して0.78〜19mol%まで変化させると、青色発光膜の抵抗率を0.13〜1.1Ωcmと変化させることが可能である。また、紫外線を用いたPL(フォトルミネッセンス)強度を評価すると、Cuの添加量が1.0mol%より多く10mol%以下の場合、PL強度は十分に大きいが、Cuの添加量が10mol%より多くなると、PL強度は小さくなっていく。
以上の結果からして、発光機能と所望の抵抗率を両立した発光膜を得るためには、CuをZnに対して1mol%より多く10mol%以下の割合で含むことが好ましい。そのとき、発光膜の抵抗率は、0.15Ωcm以上0.8Ωcm以下の範囲にある。
この発光膜を用いて発光素子とする場合、Cuの添加量が多い場合には、特に駆動電圧を低減でき、一方、Cuの添加量が少ない場合には、特に発光輝度を向上できる。このように、使用目的によって使い分けることが可能である。
ここでは、XやClの濃度は特にこだわらない。例えば、発光膜中のClはZnに対して0.01mol%以上1.0mol%以下の添加濃度、好ましくは約0.1mol%の添加濃度である。また、発光膜中の第2族元素あるいはIrは、Znに対して0.01mol%以上1.0mol%以下の添加濃度、好ましくは約0.1mol%の添加濃度である。
次に、本発明の発光素子の実施形態について説明する。
図5は、本発明の一実施形態としての発光素子の模式的な構成を示す断面図である。導電性基板11上に発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12、発光膜13、透明電極膜14が順に積層している。
ここで、発光膜13に対するCuの添加量が少な過ぎると発光膜13の抵抗率が大きくなり過ぎ、発光素子の駆動電圧が増加する。逆に、Cuの添加量が多過ぎると、発光膜13の抵抗率が小さくなり過ぎ、駆動時に発光素子に大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなる。
発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12としては、例えば、AlO、AlN、SiO、ZnO、TaO、YOなどが挙げられる。しかし、それはキャリア注入層として働くため、必ずしも完全な絶縁膜である必要は無く、構成元素である陰イオンの欠損を有していれば発光素子の駆動電圧が低減できる。より簡便に膜の構成元素である陰イオンの欠損を推測するには、光透過スペクトル測定を用いて、欠損の無い膜のスペクトルと比較すればよい。また、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12の厚さは素子の駆動電圧を低減するため、100nm以下であることが好ましい。
また、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12の抵抗率は、例えばAlOの場合、10〜10Ωcm程度であり、発光膜13よりも充分大きな抵抗率を有する。
また、本実施形態の発光素子において、発光時および非発光時の微分抵抗値は図7に示す回路で評価できる。発光素子41と抵抗器42を電源15に対して直列につなぎ、電源15の電圧を徐々に増加させながら、発光素子41と抵抗器42の各々にかかる電圧を、電圧計43をつないで測定する。このとき、抵抗器42の抵抗値を発光素子の抵抗値の1/10程度に選ぶことで、抵抗器42にかかる電圧の値より、回路に流れる電流値を少ない誤差で求めることができる。回路に流れる電流値は発光素子に流れる電流値と等しいため、電流値と発光素子41にかかる電圧値より、発光素子の抵抗値を求めることができる。
一般に微分抵抗値(r)とは、例えばダイオードのように、印加電圧と電流の関係が非線形である素子について、任意の電圧印加時の抵抗値を定義する場合に用いられ、微小電圧dV、微小電流dIとすると、r=dV/dIの式で表すことができる。このようにして非発光時と発光時の微分抵抗値を求めると、発光時の微分抵抗値が非発光時の微分抵抗値の1/1000以上1/2以下であるとき、発光素子の駆動安定性が向上して好ましい。1/1000より小さい場合、発光時の素子抵抗が小さくなり過ぎて大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなる。また、1/2より大きい場合、注入キャリア数が少なくなり、輝度が低くなる。ここで、発光時とは、発光輝度が1cd/mで充分目視可能な状態を表し、また、非発光時とは、発光輝度が発光時の1/10で汎用な輝度測定器での評価や目視が困難な状態を表す。
発光素子の構成としては、図6に示すように、透明基板21と透明電極膜14を用いることで基板側から発光を取り出す構成も可能である。すなわち、透明電極膜14と、前記発光膜13と、前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12と、電極膜22と、が透明基板上に順に積層してなる構成である。また、図6にあるように、p型半導体膜23を透明電極膜14と発光膜13の間に用いる構成も可能であり、このようにするとホールの注入性が増し、輝度の向上が可能となり好ましい。ホール注入性の向上には、有機EL素子に用いられるV、WO、MoOなどを用いることができる。特には、p型半導体膜である、カルコパイラト化合物、スタナイト化合物、デラフォサイト化合物、NiO:Li、CuOなどのp型酸化物などを用いることが可能である。
次に、本実施形態に係る発光膜の製造方法について説明する。
本実施形態の発光膜の作製方法としては、多元蒸着法、硫化法、固相成長法、有機金属化学気相輸送法、気相成長法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などがある。簡便さではスパッタ法が有効であるが、本発明の硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜の作製には、組成制御性や成膜速度の面で有利な多元蒸着法を用いるのが好ましい。
発光膜の材料供給源には、Cu金属と、第2族元素あるいはIrの塩化物を含む硫化亜鉛化合物と、を用い、基板へ供給速度(nm/分)の比を1:1000以上1:10以下とすることで、所望のCu添加量の発光膜を作製できる。また、硫化水素雰囲気中で、基板温度を500度以上1000度未満として成膜することで、結晶性に優れ、発光機能を有する、良質な硫化亜鉛化合物膜を得ることができる。500度未満であると結晶性が悪くなり、発光機能も得られなくなり、また、1000度以上であると発光膜の表面の凹凸が激しくなり、発光素子の作製が困難となり好ましくない。
本実施形態の発光膜の製造には、図8に示すような、真空チャンバ31内部において電子ビーム37で材料供給源36Aおよび36Bを蒸発させて、基板ヒータ32で加熱される基板33に材料を供給する(符号35参照)多元蒸着装置を用いる。蒸着雰囲気は硫化水素ガス供給38により硫化水素雰囲気とすることができる。また、基板33は符号34に示されているように回転している。
また、成膜速度は比較的広い範囲で制御可能であり、100nm/分以上5000nm/分以下で成膜することにより、良質な硫化亜鉛化合物膜を得ることができる。
一般的には、多元蒸着法で用いる材料供給源としては、粉末をプレスなどで押し固めて成形した後に焼成して結晶化し、焼結密度を増やしたものを使用する。しかし、本発明で用いる第2族元素あるいはIrの塩化物を含む硫化亜鉛化合物に含まれる塩素は、化学的に不安定であり、大気中の酸素や水分によって、酸化されたり、水酸化物を作ったり、あるいは、長時間の加熱処理によって塩素抜けを生じやすい。そこで、本実施形態の製造方法では、成膜工程の前に、真空に保持した成膜装置内において、第2族元素あるいはIrの塩化物を含む硫化亜鉛化合物を急加熱する工程と、続いてそれを急冷却する工程と、を有する。真空中で加熱処理することによって、硫化亜鉛化合物や含まれる塩化物と、大気中の酸素や水分との反応を防いで焼成を行うことができる。また、急加熱と急冷却を行うことによって、塩素抜けの時間を極力短くして焼成を完了することができ、さらには、大気中に取り出すことなくそのまま発光膜を成膜することができる。
急加熱する工程における加熱速度は、材料供給源の種類によって異なるが、100℃/分以上1000℃/分以下が好ましい。100℃/分より小さいと材料供給源から塩素抜けが多くなり、また、1000℃/分より大きいと材料供給源中の残留ガスが一気に放出するなどし、材料が成膜装置内に飛散したりするので好ましくない。また、前記急冷却する工程における冷却速度は、材料供給源の種類によって異なるが、500℃/分以上が好ましく、これより小さいと材料供給源から塩素抜けが多くなったり、結晶化や焼結密度が不足したりして好ましくない。材料供給源の温度は、成膜装置のビューポートの窓越しに放射温度計などを用いることで測定できる。ビューポートの窓には、フッ化バリウムなどの赤外線を透過する材料を用いることが好ましい。
なお、膜の材料組成の同定は、蛍光X線測定、エネルギー分散分光測定、高周波誘導結合プラズマ発光分光測定などで行うことができる。膜の結晶性はCuKα線を用いるX線回折測定により調べることができる。また、膜の電気伝導性は4端針測定やホール測定などで行うことが可能である。
以上、本実施形態により、発光機能と所望の抵抗率を両立させた発光膜を得ることができる。さらに、該発光膜と、該発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜あるいはp型半導体膜と、を積層することで、低電圧駆動において高輝度な発光を示す発光素子を得ることができる。また、本発明の製造方法によって、より簡便な方法で効率良く発光素子を作製することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を作製する実施例である。
まず、Siあるいは石英基板上に発光膜を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。ここで、材料供給源は、Cu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物と、である。そして、基板温度を600度に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで、材料供給速度をCuは12nm/分、硫化亜鉛化合物は600nm/分で、膜厚1000nmとなるように成膜する。得られた発光膜に対して蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=3.86mol%、Ga/Zn=0.09mol%であった。また、CuKα線を用いてX線回折測定を行うと、2θ=28.7度、33.1度、47.7度、56.6度付近に主なピークが見られ、良好な閃亜鉛構造の多結晶膜であることがわかった。また、発光膜に紫外線ランプを用いて312nmの紫外線を照射すると、中心波長530nmの緑色の発光が得られた。さらに、石英基板上の発光膜について4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.19Ωcmであった。
(実施例2)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を作製する実施例である。
まず、Siあるいは石英基板上に発光膜を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。ここで、材料供給源は、Cu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物とである。そして、基板温度を600度に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。このとき、Cuの材料供給速度(nm/分)を0.6〜60nm/分の間で選択し、硫化亜鉛化合物の材料供給速度は600nm/分で一定とした。このようにして、Cuの材料供給速度を変化させることで、Cuの添加量の異なる発光膜1〜5を作製した。これらの発光膜について蛍光X線組成分析、4端針測定器による電気伝導性測定を行うことで、上記表1と図4に示す結果が得られた。その結果より、発光膜中のCuの添加量がZnに対して0.31mol%以上11.9mol%以下と多い場合、発光膜の抵抗率は0.148Ωcm以上3.02Ωcm以下と小さくなることがわかった。また、紫外線を用いたPL(フォトルミネッセンス)強度を評価すると、上記表1と図4に示すように、Cuの添加量が少ない場合にはPL強度が大きく、Cuの添加量が多い場合にはPL強度が小さくなることがわかった。すなわち、Cuの添加量をZnに対して0.31mol%以上11.9mol%以下の範囲で制御することで、優れた発光機能と所望の抵抗率とが両立した発光膜を得ることが可能である。
(実施例3)
本実施例では、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を作製し、該発光膜の構造を詳細に分析した。
初めにCu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物とを供給源として、電子ビーム真空蒸着装置を用いて石英基板上に発光膜を成膜した。その際、硫化水素雰囲気下、圧力を1×10−2Paとし、基板温度を600℃に保ち、Cu金属の材料供給速度を10nm/分、硫化亜鉛化合物は600nm/分とし、膜厚を1000nmとなるように成膜を行った。得られた発光膜に対して蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=3.1mol%、Ga/Zn=0.10mol%であった。
作製した発光膜を透過電子顕微鏡(TEM)用いて断面構造を観察した結果を図9に示す。ZnS結晶11は基板53から垂直に成長した直径300〜500nmの柱状構造になっていた。図1および図2にその模式図を示す。高分解能TEM(HRTEM)による解析から、一つのZnS結晶は六方晶であるウルツ鉱型と、立方晶であるセン亜鉛構造の積層不整を多く含んだ構造となっていた。ZnS結晶同士が接する粒界におけるHRTEM像を図10に示す。粒界に厚さ約3nmの偏析物が観察された。図10の黒線の20nmの範囲で、エネルギー分散型X線分析(EDX)による組成分析のラインスキャンを行った結果を図11に示す。粒界の約3nmの領域において多量のCuの析出が確認された。この領域ではZnS結晶内に比べてZnの量は大きく減少していたが、Sの量についてはあまり変化がみられなかったことから、CuとSからなるCuSが析出していると考えられる。また、ZnS結晶と基板の界面でもEDX組成分析を行ったが、Cuはほとんど析出しておらず、その析出量はZnS結晶同士の粒界の析出量に比べて1/30以下であった。これらのEDXの結果から、ZnS結晶同士の粒界のみにCuSが析出していることがわかった。
このCuSの厚さは発光膜中で一定でなく、3nm以下の厚さで薄くなったり厚くなったりしており、図3に示すように、針のように狭まっている領域や、途中で切れているような領域が存在する。CuSは粒界の数nm程度の微小な領域に析出しているため、EDXではCuとSの定量化が困難であり、CuSのxの値を決定することはできない。そこで、電子エネルギー損失分光(EELS)により粒界でのCuのL2、3端のEELSスペクトルを測定し、標準サンプルとして測定したCu、CuS、CuSのEELSスペクトルと比較することでCuの結合状態を評価し、CuSのxの値を規定した。粒界のCuSにおけるEELSスペクトル、および比較例として標準サンプルのCu、CuS、CuSのEELSスペクトルの測定結果を図12に示す。なお、図12では、それぞれのスペクトル間の比較が分かりやすくなるようにIntensity(強度)をずらして示している。EnergyLoss(エネルギー損失)が930eV付近のピークがL2端、950eV付近のピークがL3端である。L2端、L3端はそれぞれCu電子の2p1/2→3dと2p3/2→3dの遷移であり、ピークを示すことはCuの3d軌道が完全に占有されていないことに対応している。標準サンプルのCu、CuS、CuSのEELS測定結果から、金属であるCuと半導体であるCuSではL2、3端のEELSスペクトルの形状に違いがあった。すなわち、金属Cuは3d軌道が完全に占有されているためL2、3端にピークを示さないのに対し、CuS、CuSはいずれも半導体であり、xが大きくなるにつれて3d軌道に空きが生じ、L2、3端にピークを示すようになることがわかった。本発明の粒界のCuSにおけるEELSスペクトルはL2、3端にピークを示したため、金属CuではないCuSの状態であると考えられる。ここで、CuSのxの範囲を規定するために、以下のことを行った。まず、EnergyLoss(エネルギー損失)が940eVにおけるIntensity(強度)の値をバックグラウンドとした。それから、EnergyLoss(エネルギー損失)が930eVでのピーク位置におけるIntensity(強度)の値との比RをとることでL2端のピークの大きさを評価し比較した。ここで、R=(930eVにおけるIntensity(強度))/(940eVにおけるIntensity(強度))である。標準サンプルのCuはR=1、CuSはR=1.12、CuSはR=1.23であり、CuSのxの値が大きくなるほどRの値は大きくなった。ここで、図12に示した本発明の粒界におけるCuSではR=1.21となった。さらに、試料の場所を変えて粒界のEELSスペクトルを5回測定したところ、Rの値は1.23、1.19、1.23、1.18、1.21となった。これら結果を標準サンプルのR値と比較すると、本発明の粒界のCuSのxの値はx=1のCuSよりも大きく、x=2のCuSを含む範囲の1<x≦2であると考えられる。このxの範囲で安定して存在し得るCuSはCu1.75S(x=1.75)、Cu1.8S(x=1.8)、Cu1.96S(x=1.96)、CuS(x=2)のいずれかである。したがって、本発明の粒界の硫化銅(CuS)からなる部位の組成は、そのxの値が1.75から2の範囲(1.75≦x≦2)であると考えられる。以上のHRTEM、EDX、EELSの結果から、本実施例の発光膜は柱状のZnS結晶からなり、ZnS結晶同士が接する粒界にCuSで表される硫化銅からなる部位を有する構造となっていることがわかる。CuSの厚さdは3nm以下であり、ZnSの柱状結晶を被覆するように発光膜中に形成されている。また、CuSにおいて、該xの値は1.75以上2以下の範囲にある。
作製した発光膜について4端針測定器により抵抗率を測定すると、0.35Ωcmであった。また、312nmの紫外線ランプにより発光を観察すると530nmにピークをもつ緑色の発光が観察された。
(比較例1)
本比較例では、粒界にCuSの析出がない試料を成膜時の原料Cu金属の供給速度を調整することにより作製した。
成膜時のCu金属の材料供給速度を実施例3の1/20倍である0.5nm/分としてCuの添加量を少なくし、粒界にCuSの析出がない試料を作製した。作製した試料の抵抗率は3.30Ωcmと高くなり、また、紫外線ランプ励起による発光は本実施例に比べて暗くなった。TEMによる解析より、粒界にCuSの析出が確認されなかった。
(比較例2)
本比較例では、粒界に金属Cuが析出した試料を成膜時の原料Cu金属の供給速度を調整することにより作製した。
成膜時のCu金属の材料供給速度を実施例3の5倍である50nm/分としてCuの添加量を多くし、粒界に金属Cuが析出した試料を作製した。作製した試料の抵抗率は0.15Ωcmと低くなり、また、紫外線ランプ励起による発光は本実施例に比べて暗くなった。TEMによる解析より、粒界に金属Cuの析出が確認された。
以上の比較例1、2より、Cuの添加量が少な過ぎると、粒界に電流経路としてのCuSが析出しないために、発光膜の抵抗率が大きくなると考えられる。その結果、発光素子にした際の駆動電圧が増加してしまう。一方、Cuの添加量が多過ぎると、粒界に金属Cuが析出し、発光膜の抵抗率が小さくなると考えられる。その結果、発光素子にした際の駆動時に発光素子に大きな電流が流れて駆動安定性が悪くなる。また、いずれの場合もCuSが析出することによる電界集中の効果が得られないために発光強度が低くなると考えられる。よって、Cu量を適切に制御し、上記のように実施例のZnS柱状結晶の粒界に硫化銅(CuS)からなる部位を有する発光膜とすることで、発光機能と所望の抵抗率とが両立した発光膜が得られる。
(実施例4)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を用いた発光素子を作製する実施例である。
まず、図5に示すように、導電性基板11である低抵抗Si基板上に、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜した。具体的には、材料供給源をAlとして、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。このとき、同一条件で石英基板上に成膜される、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の光透過スペクトルを測定すると、図13に示すように、完全なAl(サファイア)膜では吸収の無い500nm以下の波長域に緩やかな光吸収が見られた。そのため、膜は薄い茶色を呈しており、酸素欠損を有していることが推測される。
次に、前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12上に、発光膜13を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜した。具体的には、材料供給源を、Cu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物と、にして基板温度を600度に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで、膜厚300nmとなるように成膜した。その際、材料供給速度を、Cuは9nm/分、硫化亜鉛化合物は600nm/分となるようにした。得られた発光膜に対して蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=2.17mol%で、Gaは検出限界以下であった。また、4端針測定装置により電気伝導性を測定すると、0.25Ωcmであった。
さらに、前記発光膜13上に、透明電極膜14を、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、ITO(SnO=5wt%)ターゲットを用い、アルゴンガスを流し、圧力1Paの下で、成膜速度10nm/分で膜厚400nmとなるように成膜した。
以上のようにして作製した発光素子に、電源15を用いて導電性基板11と透明電極膜14の間に電圧を印加すると、15V付近より徐々に明るい緑色の発光が得られた。
さらに、実施例2の発光膜1〜5を用いて、上記と同様な構成で発光素子を各々作製して評価したところ、Cuの添加量が多い場合には特に駆動電圧を低減でき、一方、Cuの添加量が少ない場合には特に発光輝度を向上できることがわかった。
(実施例5)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を用いた発光素子を作製する実施例である。
まず、図6に示すように、透明基板21である石英基板上に、透明電極膜14を、マグネトロンスパッタリング装置を用いて成膜した。具体的には、ITO(SnO=5wt%) ターゲットを用い、アルゴンガスを流し、圧力1Paの下で、成膜速度10nm/分で膜厚300nmとなるように成膜した。
次に、前記透明電極14上に、p型半導体膜23として、CuZnGeSi1−xを、電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜した。具体的には、材料供給源を、Cu金属と、ZnS:Ge,Si(Zn:Ge:Siモル比=1:0.6:0.4)と、にして、基板温度を500度に保ち、硫化水素ガスを流し、圧力は2×10−2Paで、膜厚100nmとなるように成膜した。その際、成膜速度は、Cuが21nm/分、ZnS:Ge,Siが84nm/分となるようにした。
次に、前記p型半導体膜23上に、発光膜13を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜した。具体的には、材料供給源を、Cu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物と、にして基板温度を600度に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで膜厚200nmとなるように成膜した。その際、材料供給速度は、Cuが12nm/分、硫化亜鉛化合物が600nm/分となるようにした。
次に、前記発光膜13上に、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12を、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、AlNターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下で、成膜速度3nm/分で膜厚100nmとなるように成膜した。
次に、前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12上に、電極膜22を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて、材料供給源をAl金属として、圧力5×10−4Paの下で、成膜速度30nm/分で膜厚80nmとなるように成膜した。
以上のようにして作製した発光素子に、電源15を用いて電極膜22と透明電極膜14の間に電圧を印加すると、15V付近より徐々に明るい緑色の発光が得られた。
(実施例6)
本実施例では、本発明のZnS結晶粒界に硫化銅からなる部位を有する硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を用いた発光素子を作製し、該発光素子の構造を詳細に分析した。
図14に示すように、導電性基板57として低抵抗Si基板上に、高抵抗膜56としてAlを、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。次に、発光膜54として、Cu金属と、GaをZnに対して0.1mol%含むZnS化合物とを供給源として、電子ビーム真空蒸着装置を用いて石英基板上にZnS発光膜54を成膜した。硫化水素雰囲気下、圧力を1×10−3Paとし、基板温度を600度に保ち、Cu金属の材料供給速度を10nm/分、硫化亜鉛化合物は600nm/分とし、膜厚を500nmとなるように成膜を行った。得られた発光膜に対して蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=3.0mol%、Ga/Zn=0.10mol%であった。4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.32Ωcmであった。最後に発光膜54上にマグネトロンスパッタリング装置を用いて、透明電極58としてITOを400nm成膜して発光素子とした。
次に、作製した発光素子を実施例3と同様にTEM、EDX、EELSを用いて解析を行ったところ、図14に示すように、発光膜54は垂直に成長した直径300〜500nmのZnS結晶51となっていることがわかった。ZnS結晶51は六方晶であるウルツ鉱型と、立方晶であるセン亜鉛構造の積層不整とを多く含んだ構造となっていた。ZnS結晶同士が接する粒界においては、厚さ3nm以下の領域でCuS52の析出がみられ、EELSによる評価から、粒界でのCuS52はx=2のCuSに近い組成であった。このCuS52はZnS結晶51と高抵抗膜56の界面、およびZnS結晶51と透明電極58の界面にはほとんど析出しておらず、その析出量はZnS結晶51同士の粒界の析出量に比べて1/30以下であった。作製した発光素子に、導電性基板57と透明電極58の間に電圧を印加すると、15V付近より徐々に明るい緑色の発光が得られた。
(実施例7)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜を作製する実施例である。その際、Siあるいは石英基板上に発光膜を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。
まず、材料供給源36A、36Bとして、Cu金属(36A)と、MgClをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物(36B)と、を成膜装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。次に、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が200℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まる。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が600℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで、材料供給速度をCuは7.2nm/分、MgClを含む硫化亜鉛化合物は580nm/分で膜厚500nm成膜した。得られた発光膜について蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=2.51mol%、Mg/Zn=0.10mol%、Cl/Zn=0.13mol%であった。また、CuKα線を用いてX線回折測定を行うと、2θ=28.度、33.1度、47.7度、56.6度付近に主なピークが見られ、良好な閃亜鉛構造の多結晶膜であることがわかった。また、発光膜に紫外線ランプを用いて312nmの紫外線を照射すると、中心波長465nmの青色の発光が得られた。さらに、石英基板上の発光膜について4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.42Ωcmであった。
以上のようにして、硫化亜鉛化合物に第一の添加元素としてCu、第二の添加元素としてMg、第三の添加元素としてClを同時に含み、第二の添加元素の添加量が第一の添加元素の添加量よりも少なく、青色の発光機能を有する発光膜が得られた。
特に、硫化亜鉛化合物中にMgを添加する際、硫化亜鉛化合物よりも融点の低いMgClとして添加しておくことで、融剤の効果により、母体材料である硫化亜鉛化合物の結晶性が向上する。また、CuとClの添加元素がアクセプターとドナーとして硫化亜鉛化合物中に取り込まれやすくなると考えられる。以上のようにして、従来技術よりも明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
(実施例8)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜を作製する実施例である。その際、Siあるいは石英基板上に発光膜を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。
まず、材料供給源36A、36Bとして、Cu金属(36A)と、BaClをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物(36B)と、を成膜装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。次に、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が500℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まった。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が900℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。このとき、Cuの材料供給速度(nm/分)は0.6〜60nm/分の間から選択し、硫化亜鉛化合物の材料供給速度は600nm/分で一定とした。このようにして、材料供給速度の比を変化させることで、Cuの添加量の異なる発光膜1から5を作製した。これらの発光膜について蛍光X線組成分析、4端針測定器による電気伝導性測定を行うことで、前記の表1に示す結果が得られた。
発光膜中のCuの添加量がZnに対して0.78〜19mol%まで変化すると、発光膜の抵抗率も0.13〜1.1Ωcmと変化していた。また、紫外線を用いたPL(フォトルミネッセンス)強度を評価すると、表2に示すように、Cuの添加量が少ない場合PL強度は大きく、Cuの添加量が多い場合PL強度は小さくなった。このようにして、Cuの添加量をZnに対して1.0〜10mol%の範囲で制御することで、発光機能と所望の抵抗率を両立した発光膜を得ることが可能であることがわかった。
以上のように、硫化亜鉛化合物に第一の添加元素としてCu、第二の添加元素としてBa、第三の添加元素としてClを同時に含むみ、第二の添加元素の添加量が第一の添加元素の添加量よりも少なく、青色の発光機能を有する発光膜が得られた。
特に、硫化亜鉛化合物中にBaを添加する際、硫化亜鉛化合物よりも融点の低いBaClとして添加しておくことで、融剤の効果により、母体材料である硫化亜鉛化合物の結晶性が向上する。また、CuとClの添加元素がアクセプターとドナーとして硫化亜鉛化合物中に取り込まれやすくなると考えられる。以上のようにして、明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
さらには、Cuを多く含むことで発光膜の抵抗率を制御して、発光機能と所望の抵抗率を両立した明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
(実施例9)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜を用いる発光素子を作製する実施例である。
まず、図5に示すように、導電性基板11である低抵抗Si基板上に、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて、材料供給源をAlとして、膜厚20nm成膜した。その際、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とした。
このとき、同一条件で石英基板上に成膜される、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の光透過スペクトルを測定すると、図13に示すように、完全なAl(サファイア)膜では吸収の無い500nm以下の波長域に緩やかな光吸収が見られた。そのため膜は薄い茶色を呈しており、酸素欠損を有していることが推測される。
次に、発光膜13を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。材料供給源36A、36BをCu金属(36A)と、BaClをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物(36B)と、を成膜装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。
まず、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が500℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まる。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が900℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。材料供給速度をCuは7.7nm/分、硫化亜鉛化合物は550nm/分で膜厚500nm成膜した。得られた発光膜について蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=3.52モル%、Ba/Zn=0.15モル%、Cl/Zn=0.14モル%であった。また、CuKα線を用いてX線回折測定を行うと、2θ=28.7度、33.1度、47.7度、56.6度付近に主なピークが見られ、良好な閃亜鉛構造の多結晶膜であることがわかった。また、発光膜に紫外線ランプを用いて312nmの紫外線を照射すると、中心波長465nmの青色の発光が得られた。さらに、石英基板上の発光膜について4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.21Ωcmであった。
さらに、透明電極膜14を、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、ITO(SnO=5wt%)ターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下、成膜速度10nm/分で膜厚400nm成膜した。
このようにして作製した発光素子に、電源15を用いて導電性基板11と透明電極膜14の間に電圧を印加すると、20V付近より徐々に明るい青色の発光16が得られた。発光スペクトルは図15に示されているようになり、中心波長は454nm、半値幅は60nmであった。
なお、作製した発光素子において、非発光時(10V印加時)の発光素子の微分抵抗値は、発光時(30V印加時)の発光素子の微分抵抗値の約1/41であった。
さらに、実施例8の発光膜1から5を用いて、上記と同様な構成で発光素子を各々作製して評価すると、発光膜2のCuの添加量が少ない場合には、抵抗率が若干高いため駆動電圧は増加するが、PL強度相対値があまり低下しないため、発光輝度を向上できた。一方、発光膜4のCuの添加量が多い場合には、PL強度相対値が低下するため発光輝度は低下するが、抵抗率は低いため、駆動電圧を低くできた。このように、発光素子を使用目的によって使い分けることができた。
以上のように、硫化亜鉛化合物に第一の添加元素としてCu、第二の添加元素としてBa、第三の添加元素としてClを同時に含むみ、第二の添加元素の添加量が第一の添加元素の添加量よりも少なく、青色の発光機能を有する発光膜を用いた発光素子が得られた。
特に、硫化亜鉛化合物中にBaを添加する際、硫化亜鉛化合物よりも融点の低いBaClとして添加しておくことで、融剤の効果により、母体材料である硫化亜鉛化合物の結晶性が向上した。また、CuとClの添加元素がアクセプターとドナーとして硫化亜鉛化合物中に取り込まれやすくなると考えられる。以上のようにして、明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
さらには、Cuを多く含むことで発光膜の抵抗率を制御して、発光機能と所望の抵抗率を両立した明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
そのような青色発光膜と、大きな抵抗率を有する膜と、電極膜と、を基板上に積層することで、発光層へのキャリア注入性が向上し、低電圧で明るい青色発光素子を得ることが可能となった。
(実施例10)
本実施例は、硫化亜鉛化合物に添加元素を含む発光膜を用いる発光素子を作製する実施例である。
図6に示すように、透明基板21である石英基板上に、透明電極膜14を、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、ITO(SnO=5wt%)ターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下、成膜速度10nm/分で膜厚300nm成膜した。
次に、p型半導体膜23としてCuZnGeSi1−xを、Cuと、GeとSiを含むZnS(Zn:Ge:Siモル比=1:0.2:0.8)を材料供給源とし、真空蒸着装置を用いて作製する。具体的には、基板温度を580℃に保持し、硫化水素ガスを流し、圧力は5×10−2Pa、成膜速度はCuが21nm/分、GeとSiを含むZnSが84nm/分として、多元系化合物半導体23を膜厚100nm成膜した。
次に発光膜13を、図8に示す電子ビーム真空蒸着装置を用いて成膜する。材料供給源36A、36Bとして、Cu金属(36A)と、IrClをZnに対して0.1mol%含む硫化亜鉛化合物(36B)と、を成膜装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。
まず、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が400℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まった。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が600℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。材料供給速度をCuは7.4nm/分、硫化亜鉛化合物は580nm/分で膜厚200nm成膜した。
次に、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜12を、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、AlNターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下で、成膜速度3nm/分で膜厚100nm成膜した。
次に、電極膜22を、電子ビーム真空蒸着装置を用いて、材料供給源をAl金属として、圧力5×10−4Paの下で、成膜速度30nm/分で膜厚80nm成膜した。このようにして作製する発光素子に、電源15を用いて透明電極膜14と電極膜22の間に電圧を印加すると、15V付近より徐々に明るい青色の発光16が得られた。発光スペクトルは図16に示されているようになり、中心波長は453nm、半値幅は50nmで、実施例9で示した場合と比べてより狭かったため、青色の色純度により優れていた。
なお、作製した発光素子において、非発光時(10V印加時)の発光素子の微分抵抗値は、発光時(30V印加時)の発光素子の微分抵抗値の約1/4であった。
以上のように、硫化亜鉛化合物に第一の添加元素としてCu、第二の添加元素としてIr、第三の添加元素としてClを同時に含むみ、第二の添加元素の添加量が第一の添加元素の添加量よりも少なく、青色の発光機能を有する発光膜を用いた発光素子が得られた。
特に、硫化亜鉛化合物中にIrを添加する際、硫化亜鉛化合物よりも融点の低いIrCl3として添加しておくことで、融剤の効果により、母体材料である硫化亜鉛化合物の結晶性が向上した。また、CuとClの添加元素がアクセプターとドナーとして硫化亜鉛化合物中に取り込まれやすくなると考えられる。以上のようにして、明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
さらに、Cuを多く含むことで発光膜の抵抗率を制御して、発光機能と所望の抵抗率を両立した明るい青色発光膜を得ることが可能となった。
該青色発光膜と、p型半導体膜と、電極膜と、を基板上に積層することで、発光層へのホール注入性が向上し、低電圧で明るい青色発光素子を得ることが可能となった。
(実施例11)
本実施例では、本発明のZnS結晶粒界に硫化銅からなる部位を有する硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を用いた発光素子を作製し、該発光素子の構造を詳細に分析した。
図17に示すように、導電性基板57として低抵抗Si基板上に、高抵抗膜56としてAlを、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。次に、発光膜54として、Cu金属と、BaClをZnに対して0.1mol%含むZnS化合物とを供給源として、電子ビーム真空蒸着装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。
まず、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が500℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まった。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が900℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。材料供給速度をCuは7.7nm/分、硫化亜鉛化合物は550nm/分で膜厚1200nm成膜した。得られた発光膜について蛍光X線組成分析を行うと、Cu/Zn=3.45モル%、Ba/Zn=0.14モル%、Cl/Zn=0.13モル%であった。また、CuKα線を用いてX線回折測定を行うと、2θ=28.7度、33.1度、47.7度、56.6度付近に主なピークが見られ、良好な閃亜鉛構造の多結晶膜であることがわかった。また、発光膜に紫外線ランプを用いて312nmの紫外線を照射すると、中心波長465nmの青色の発光が得られた。さらに、石英基板上の発光膜について4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.24Ωcmであった。
さらに、高抵抗膜56としてAlを、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。そして、透明電極膜58を、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、ITO(SnO=5wt%)ターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下、成膜速度10nm/分で膜厚400nm成膜して、発光素子とした。
作製した発光素子の断面構造を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果を図18に示す。さらに、実施例3と同様にTEM、EDX、EELSを用いて解析を行ったところ、図17に示すように、発光膜54は垂直に成長した直径300〜500nmのZnS結晶51となっていることがわかった。ZnS結晶51は六方晶であるウルツ鉱型と、立方晶であるセン亜鉛構造の積層不整とを多く含んだ構造となっていた。ZnS結晶同士が接する粒界においては、厚さ3nm以下の領域でCuS52の析出がみられ、EELSによる評価から、粒界でのCuS52はx=2のCuSに近い組成であった。このCuS52はZnS結晶51と高抵抗膜56の界面にはほとんど析出しておらず、その析出量はZnS結晶51同士の粒界の析出量に比べて1/30以下であった。作製した発光素子に、導電性基板57と透明電極58の間に電圧を印加すると、20V付近より徐々に明るい青色の発光55が得られた。
(実施例12)
本実施例では、本発明のZnS結晶粒界に硫化銅からなる部位を有する硫化亜鉛化合物に添加元素を含む本発明の発光膜を用いた発光素子を作製し、該発光素子の構造を詳細に分析した。
図17に示すように、導電性基板57として低抵抗Si基板上に、高抵抗膜56としてAlを、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。次に、発光膜54として、Cu金属と、IrClをZnに対して0.25mol%含むZnS化合物とを供給源として、電子ビーム真空蒸着装置内に設置し、圧力5×10−3Pa以下まで真空排気を行った。
まず、加速電圧5kVの電子銃を用いて、3cm角の領域にスキャンされた電子ビームを材料供給源に照射して、材料供給源の焼成を行った。エミッション電流を2mAから徐々に上げていくと材料供給源が加熱されるので、放射温度計により材料供給源の温度を測定し、加熱速度が400℃/分となるように制御した。エミッション電流を20mAとすると、材料供給源が充分加熱されて蒸発が始まった。その後、エミッション電流を徐々に下げていき、冷却速度が600℃/分となるように制御して、材料供給源の焼成を終えた。
次に、基板温度を600℃に保ち、硫化水素雰囲気下、圧力1×10−3Paで成膜した。材料供給速度をCuは7.4nm/分、硫化亜鉛化合物は580nm/分で膜厚680nm成膜した。得られた発光膜についてCuKα線を用いてX線回折測定を行うと、2θ=28.7度、33.1度、47.7度、56.6度付近に主なピークが見られ、良好な閃亜鉛構造の多結晶膜であることがわかった。また、発光膜に紫外線ランプを用いて312nmの紫外線を照射すると、中心波長465nmの青色の発光が得られた。さらに、石英基板上の発光膜について4端針測定器により電気伝導性を測定すると、0.27Ωcmであった。
さらに、高抵抗膜56としてAlを、基板温度を200℃に保ち、圧力1×10−3Paで、材料供給速度を12nm/分とし、膜厚20nmとなるように成膜した。そして、透明電極膜58を、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、ITO(SnO=5wt%)ターゲットを用い、アルゴンガスを流し圧力1Paの下、成膜速度10nm/分で膜厚400nm成膜して、発光素子とした。
作製した発光素子の断面構造を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果を図19に示す。本実施例の発光膜54の表面平坦性や結晶粒は、実施例11で示した場合と比較してより平坦かつ明瞭であるため、発光素子の作製がより容易であった。さらに、実施例3と同様にTEM、EDX、EELSを用いて解析を行ったところ、図17に示すように、発光膜54は垂直に成長した直径300〜500nmのZnS結晶51となっていることがわかった。ZnS結晶51は六方晶であるウルツ鉱型と、立方晶であるセン亜鉛構造の積層不整とを多く含んだ構造となっていた。ZnS結晶同士が接する粒界においては、厚さ3nm以下の領域でCuS52の析出がみられ、EELSによる評価から、粒界でのCuS52はx=2のCuSに近い組成であった。このCuS52はZnS結晶51と高抵抗膜56の界面にはほとんど析出しておらず、その析出量はZnS結晶51同士の粒界の析出量に比べて1/30以下であった。作製した発光素子に、導電性基板57と透明電極58の間に電圧を印加すると、20V付近より徐々に明るい青色の発光55が得られた。
本発明は、低電圧駆動型の発光素子に利用可能であり、特にLEDや無機ELに利用可能である。
本発明の発光膜の断面図を示す模式図である。 本発明の発光膜の平面図を示す模式図である。 本発明の発光膜のZnS結晶同士が接する粒界における拡大図である。 本発明の発光膜の添加物であるCuの濃度と、抵抗率およびPL強度の関係を示す図である。 本発明の発光素子の断面図である。 本発明の発光素子の断面図である。 本発明で使用する微分抵抗値の評価に用いる回路図である。 電子ビーム真空蒸着装置の模式図である。 本発明の発光膜の断面TEM像である。 本発明の発光膜のZnS同士が形成する粒界のTEM像である。 図10の実線で示した領域において、Cu量の組成分析のラインスキャンを行った結果である。 本発明の発光膜の粒界に存在するCuSのEELSスペクトル、および比較例として標準サンプルのCu、CuS、CuSのEELSスペクトルである。 本発明の発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の光透過スペクトルを示す図である。 本発明の発光素子の断面図を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る発光素子の発光スペクトルである。 本発明の一実施形態に係る発光素子の発光スペクトルである。 本発明の発光素子の断面図を示す模式図である。 本発明の発光膜の断面TEM像である。 本発明の発光膜の断面TEM像である。 従来技術の直流駆動分散型EL素子の断面図を示す模式図である。
符号の説明
11 導電性基板
12 発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜
13 発光膜
14 透明電極膜
15 電源
16 発光
21 透明基板
22 電極膜
23 p型半導体膜
31 真空チャンバ
32 基板ヒータ
33 基板
34 基板回転
35 材料供給
36A、36B 材料供給源
37 電子ビーム
38 硫化水素ガス供給
41 発光素子
42 抵抗器
43 電圧計
51 ZnS結晶
52 Cu
53 基板
54 発光膜
55 発光
56 高抵抗膜
57 導電性基板
58 透明電極
59 電極
60 ZnS粒状結晶
61 保護膜
d CuSの厚さ

Claims (25)

  1. 母体材料である硫化亜鉛化合物に添加元素としてCuを含む発光膜であって、
    前記硫化亜鉛化合物は、柱状のZnS結晶を有し、該ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅からなる部位を有し、
    前記硫化銅からなる部位の組成は、Cu Sと表され、該xの値は1.75以上2以下の範囲にあり、
    前記ZnS結晶同士が接する粒界におけるCu Sの量が、前記ZnS結晶が該ZnS結晶以外の材料と形成する界面におけるCu Sの量に比べて30倍以上多い部位を有することを特徴とする発光膜。
  2. 前記硫化銅からなる部位の厚さは、3nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光膜。
  3. 前記硫化亜鉛化合物は、添加元素として、Cuと、周期表第3B族(13族)あるいは7B族(17族)から選ばれる一つ以上の元素とを含み、抵抗率が0.1Ωcm以上10Ωcm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光膜。
  4. 前記発光膜の抵抗率は、0.15Ωcm以上3Ωcm以下であることを特徴とする請求項に記載の発光膜。
  5. 前記添加元素は、Cuと、Al、GaおよびClから選ばれる一つ以上の元素とからなることを特徴とする請求項またはに記載の発光膜。
  6. 前記添加元素であるCuは、前記硫化亜鉛化合物に含まれるZnに対して0.3mol%以上12mol%以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の発光膜。
  7. 母体材料である硫化亜鉛化合物に添加元素としてCuを含む発光膜であって、
    前記硫化亜鉛化合物は、柱状のZnS結晶を有し、該ZnS結晶同士が接する粒界に硫化銅からなる部位を有し、
    前記添加元素は、第一の添加元素としてCu、第二の添加元素として第2族元素あるいはIr、第三の添加元素としてClを含んでおり、該第二の添加元素の添加量は該第一の添加元素の添加量よりも少ないことを特徴とする発光膜。
  8. 前記第二の添加元素は、前記第2族元素あるいはIrから選ばれた二種類以上の元素であることを特徴とする請求項に記載の発光膜。
  9. 前記第二の添加元素は、塩素と化合して塩化物となり、該塩化物は前記硫化亜鉛化合物よりも低い融点を有することを特徴とする請求項またはに記載の発光膜。
  10. 前記発光膜の抵抗率は、0.15Ωcm以上0.8Ωcm以下の範囲にあることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の発光膜。
  11. 前記添加元素であるCuは、前記硫化亜鉛化合物に含まれるZnに対して1mol%より多く10mol%以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項から1のいずれか1項に記載の発光膜。
  12. 請求項1から1のいずれか1項に記載の発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜と、請求項1から1のいずれか1項に記載の発光膜と、透明電極膜とが基板の上にこの順に積層してなることを特徴とする発光素子。
  13. 透明電極膜と、p型半導体膜と、請求項1から1のいずれか一項に記載の発光膜と、発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜と、電極膜と、が透明基板上にこの順に積層してなることを特徴とする発光素子。
  14. 前記発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜は、構成元素において陰イオンの欠損を有することを特徴とする請求項1または1に記載の発光素子。
  15. 前記発光素子の発光時の微分抵抗値は、非発光時の微分抵抗値の1/1000以上1/2以下であることを特徴とする請求項1から1のいずれか1項に記載の発光素子。
  16. 硫化水素雰囲気中で、Cu金属と、硫化亜鉛化合物とを基板の上に供給することで発光膜を成膜する成膜工程よりなり、
    該Cu金属の供給速度(nm/分)と、硫化亜鉛化合物の供給速度(nm/分)の比は、1:1000以上1:10以下であることを特徴とする発光膜の製造方法。
  17. 前記成膜工程における成膜速度は、100nm/分以上5000nm/分以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光膜の製造方法。
  18. 前記成膜工程において基板は、500度以上1000度未満の温度に保持されていることを特徴とする請求項1または1に記載の発光膜の製造方法。
  19. 基板の上に供給する前記硫化亜鉛化合物は、周期表第3B族(13族)あるいは7B族(17族)から選ばれる一つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の発光膜の製造方法。
  20. 基板の上に供給する前記硫化亜鉛化合物は、第2族元素あるいはIrの塩化物を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の発光膜の製造方法。
  21. 前記成膜工程の前に、真空に保持した成膜装置内において、前記第2族元素あるいはIrの塩化物を含む硫化亜鉛化合物を急加熱する工程と、続いてそれを急冷却する工程と、を有することを特徴とする請求項2に記載の発光膜の製造方法。
  22. 前記急加熱する工程における加熱速度は、100℃/分以上1000℃/分以下であることを特徴とする請求項2に記載の発光膜の製造方法。
  23. 前記急冷却する工程における冷却速度は、500℃/分以上であることを特徴とする請求項2または2に記載の発光膜の製造方法。
  24. 基板の上に、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法で作られる発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜を成膜する工程と、
    該発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜の上に、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法で発光膜を成膜する工程と、
    該発光膜の上に、透明電極膜を成膜する工程と、
    から少なくともなることを特徴とする発光素子の製造方法。
  25. 透明基板の上に、透明電極膜を成膜する工程と、
    該透明電極膜の上に、p型半導体膜を成膜する工程と、
    該p型半導体膜の上に、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法で発光膜を成膜する工程と、
    該発光膜の上に、該発光膜よりも大きな抵抗率を有する膜を成膜する工程と、
    該発光膜よりも大きな抵抗率を有する該膜の上に、電極膜を成膜する工程と、
    から少なくともなることを特徴とする発光素子の製造方法。
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