JP5130996B2 - 発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子に関するものである。
従来より、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)は、発光効率が高く低電力で駆動することができ長寿命であることから、直流低電圧駆動型発光素子として広く普及している。しかし、一般的なLEDは、単結晶基板上に化合物半導体をエピタキシャル成長させて作製されるものであり、製造コストが高く、大面積の照明用途としては不向きであった。
他方、II−VI族化合物半導体のドナー・アクセプター対(D−Aペア)発光を利用した蛍光体が古くから知られている。これは、ドナーに捕らえられた電子と、アクセプタに捕らえられた正孔との波動関数が重なり合うようになると、電子と正孔とが再結合することで発光が得られることを利用した多結晶蛍光体材料である。このようなII−VI族化合物半導体のD−Aペア発光をエレクトロルミネセンス素子に応用する検討はなされており、例えば、ドナー準位、アクセプタ準位を形成する不純物をそれぞれ添加した多結晶ZnS蛍光体粉末を用いて作製した発光層を備える素子が知られている。この素子は単結晶基板上に形成する必要がないため、発光素子の大面積化、低コスト化が容易となる。しかし、従来のものは、交流高電圧駆動を必要とし、輝度や発光効率の点でも不十分であった。
このような状況の下、直流低電圧駆動による面発光が可能であり、低コストで簡便に作製できる発光素子の実現を目指して、種々の研究・開発が行われている。
例えば、下記特許文献1には、CuSなどの正孔をキャリアとする硫化物でなるp型半導体層と、ZnSなどの電子をキャリアとする硫化物でなるn型半導体層とを積層し、それらの少なくとも一方に、発光中心となる元素を含有させた発光素子が提案されている。
特開2007−242603号公報
しかしながら、近時、発光輝度の要求水準は高まっており、上記特許文献1に記載の発光素子であっても発光輝度が十分であるとはいえない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ドナー・アクセプター対発光による面発光を直流駆動によって十分に得ることができるとともに、発光輝度を従来よりも向上させることが可能な発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の発光素子は、一対の電極と、電極間に配置されたドナー・アクセプター対発光機能を有する発光層と、電極の一方と発光層との間に配置されたp型半導体からなるキャリア注入層とを備え、発光層は、Se以外のVI族元素を有する発光材料にSeがドープされた発光体を含み、発光層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとキャリア注入層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が1.18eV以下であり、発光体がZnS Se 1−w (0.25≦w≦0.95)を含み、キャリア注入層の組成がCu(In (1−x) Ga )(S (1−z) Se (0≦x≦1、0≦z≦1)又はCu(Ga (1−y) Al )(S (1−z) Se (0≦y≦1、0≦z≦1)であることを特徴とする。
上記「ドナー・アクセプター対発光機能を有する発光層」とは、半導体中にドナー準位、アクセプタ準位をそれぞれ形成する不純物を共添加することで形成される発光層を意味する。
また本明細書では、半導体結晶中に存在するエネルギー帯において、原子核の影響を離れて結晶内を自由に動ける電子が存在するエネルギー帯域を伝導帯(conduction band)、その下方(エネルギーがより低い)にあり結晶の結合に関係する電子が存在している帯域を価電子帯(valenceband)と称す。「価電子帯頂部」とは、価電子帯の中でも最もエネルギーレベルが高い部分を指す。なお、「価電子帯頂部のエネルギーレベル(Valence BandMaximum)」(以下、「VBM」という場合もある。)は、光電子分光法(Photoemission Spectroscopy:PES)により算出でき、特には、低いエネルギーの光を用いて価電子帯に存在する電子を励起し、それにより放出される光電子のもつ運動エネルギー分布を測定し、価電子帯レベルの位置を特定することができる紫外線光電子分光法(UltravioletPhotoemission Spectroscopy:UPS)により算出することができる。
本発明の発光素子によれば、上記構成を有することにより、直流駆動によって十分な面発光が得られるとともに、十分な発光輝度を得ることができる。また、本発明の発光素子は、上記発光層およびキャリア注入層が多結晶構造を有するものであっても上記効果を十分奏することができる。よって、本発明によれば、大面積化が可能であるとともに低コストで簡便に作製できる発光素子を有効に実現することができる。
本発明の発光素子により上記の効果が奏されることの理由を、本発明者らは、Seがドープされた上記発光体を含む発光層と、この発光層に対してVBM差が上記の値以下となるキャリア注入層とを組み合わせることにより、キャリア注入層から発光層への正孔注入に際してエネルギー障壁を低減でき、その結果、キャリア注入層から発光層へ正孔が移動し易くなり、発光層において電子と正孔とが再結合する確率が高まるためと考えている。
本発明の発光素子において、ホール注入性を高める観点から、発光層のVBMと前記キャリア注入層のVBMとの差が1.0eV以下であることが好ましい。
また、ホール注入性を高める観点から、発光層のVBMとキャリア注入層のVBMとの差が0.7eV以下であることが好ましい。
更に、ホール注入性を高める観点から、発光層のVBMとキャリア注入層のVBMとの差が0.5eV以下であることが好ましい。
本発明の発光素子において、発光輝度を更に高める観点から、発光層の伝導帯底部のエネルギーレベルの値からキャリア注入層の伝導帯底部のエネルギーレベルの値を引いた値が負であることが好ましい。この場合に発光輝度が高くなるのは、陰極側から注入された電子がキャリア注入層においてブロックされることにより、発光層における電子と正孔の再結合確率が更に増加するためと本発明者らは考えている。
なお、「伝導帯底部」とは、伝導帯の中でも最もエネルギーレベルが低い部分を指す。なお、「伝導帯底部のエネルギーレベル(Conduction Band Minimum)」(以下、「CBM」という場合もある。)は、逆光電子分光法(Inverse PhotoemissionSpectroscopy:IPES)により算出することができる。この手法は、単色電子ビームを入射した際、この電子の固体表面における制動により放出される光を観測することによって非占有電子状態に関する情報を得る手法であり、占有電子状態の情報が得られる光電子分光とは時間反転した過程を利用している。
本発明の発光素子において、バンドギャップを広範囲にわたって制御ができる観点から、上記p型半導体は、カルコパイライト型半導体であることが好ましい。
本明細書においてカルコパイライト型半導体とは、黄銅鉱型半導体ともよばれ、閃亜鉛鉱構造を2段重ねにした結晶構造をもつ所謂カルコパイライト型の結晶構造を有する半導体を指す。
本発明の発光素子において、キャリア注入層の組成が、Cu(In(1−x)Ga)(S(1−z1)Sez1(但し、0≦x≦1、且つ、0≦z1≦0.6)またはCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z2)Sez2(但し、0≦y≦1、且つ、0≦z2≦0.6)であることが好ましい。キャリア注入層を上記のカルコパイライト型半導体から構成し、更にその組成においてSe/Sを0.6/0.4以下とすることにより、発光輝度が向上した発光素子をより有効に実現することができる。
また、本発明の発光素子において、キャリア注入層の組成が、Cu(Ga(1−y)Al)(S(1−z3)Sez3(但し、0.5≦y≦1、且つ、0≦z3≦1)であることが好ましい。キャリア注入層を上記のカルコパイライト型半導体から構成し、更にその組成においてAl/Gaを0.5/0.5以上とすることにより、発光輝度が向上した発光素子をより有効に実現することができる。
本発明によれば、ドナー・アクセプター対発光による面発光を直流駆動によって十分に得ることができるとともに、発光輝度を従来よりも向上させることが可能な発光素子を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る発光素子の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光素子の構成を示す断面図である。図1に示された発光素子100は、基板1上に、陽極2、キャリア注入層3、ドナー・アクセプター対発光機能を有する発光層4、n型半導体層5、及び陰極6をこの順に備える。なお、本実施形態において、一対の電極である陽極2及び陰極6はそれぞれ外部の直流電源に接続されている。
まず、基板1について説明する。基板1としては、発光素子100の支持体として用いられるものであれば、特に限定されず公知のものを用いることができる。発光層4から発せられた光を基板側から取り出す場合、例えば、石英基板、ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板等の透光性基板を用いることができる。また、発光層4から発せられた光を陰極側から取り出す場合、基板1は透明である必要はなく、例えば、アルミナ基板、シリコンウエハなどの不透光性基板とすることができる。この他にも、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどの絶縁性基板を用いることができる。
基板1の大きさについては、特に制限されないが、照明などの用途の場合、例えば、縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚み0.7〜5.0mm程度とすることができる。
次いで、陽極2について説明する。陽極2の構成材料としては、仕事関数の大きい(好ましくは4.0eV以上の)金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などが挙げられる。具体的には、例えば、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)、ZnO:Al、ZnO:B、ZnO:Ga、Au、Pt、Ni、W、Cr、Mo、Fe、Co、Cu、Pd、Agなどが挙げられる。
陽極2は、例えば、上記の材料をスパッタリング、電子ビーム蒸着、スクリーン印刷などの方法により基板1上に成膜した後、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リアクティブイオンエッチング(RIE)、メカニカルスクライブ、レーザスクライブ法などの方法によりパターンニングすることで形成することができる。また、成膜時にマスキングすることでパターニングすることも可能である。陽極2の厚さは、例えば、20〜2000nmとすることができる。シート抵抗、密着性、陽極側から発光を取り出す場合の透光性の観点から、陽極2の厚さは50〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
次に、キャリア注入層3について説明する。キャリア注入層3は、p型半導体から構成される。ここでいうキャリアとは正孔のことである。p型半導体としては、例えば、カルコパイライト型半導体が挙げられる。カルコパイライト型半導体としては、I−III−VI族化合物半導体、II−IV−V族化合物半導体が挙げられる。
本実施形態においては、バンドギャップの制御が容易であるという観点から、キャリア注入層3の組成がCu(In(1−x)Ga)(S(1−z)Se(0≦x≦1、0≦z≦1)又はCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z)Se(0≦y≦1、0≦z≦1)であることが好ましい。
更に、キャリア注入層3の組成が、Cu(In(1−x)Ga)(S(1−z1)Sez1(但し、0≦x≦1、且つ、0≦z1≦0.6)またはCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z2)Sez2(但し、0≦y≦1、且つ、0≦z2≦0.6)であることが好ましい。キャリア注入層3を上記のカルコパイライト型半導体から構成し、更にその組成においてSe/Sを0.6/0.4以下とすることにより、発光輝度が向上した発光素子をより有効に実現することができる。
また、キャリア注入層の組成が、Cu(Ga(1−y)Al)(S(1−z3)Sez3(但し、0.5≦y≦1、且つ、0≦z3≦1)であることが好ましい。キャリア注入層3を上記のカルコパイライト型半導体から構成し、更にその組成においてAl/Gaを0.5/0.5以上とすることにより、発光輝度が向上した発光素子をより有効に実現することができる。
キャリア注入層3は、例えば、上記の組成のp型半導体が得られる材料を用いて、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法、レーザアブレーション法、分子線エピタキシー(MBE)法等の物理気相法等により、陽極2上に形成することができる。キャリア注入層3の厚さは、例えば、20〜500nmとすることができる。キャリア注入層3の厚さが、20nm未満であると、寿命特性の低下、発光効率の低下を引き起こす傾向にあり、500nmを超えると、駆動電圧が増加してしまう傾向にある。
キャリア注入層3の形態としては、多結晶膜、エピタキシャル膜が挙げられる。これらのうち、多結晶膜が好ましい。多結晶膜は大面積に形成可能で且つ単結晶基板を用いずとも形成が可能であるため、発光素子の低コスト化、大面積化が容易となる。多結晶膜のキャリア注入層3を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザアブレーション法、イオンプレーティング法が挙げられる。
次に、発光層4について説明する。発光層4は、ドナー・アクセプター対発光機能を有するものであり、Se以外のVI族元素を有する発光材料にSeがドープされた発光体を含む層である。
Se以外のVI族元素を有する発光材料としては、例えば、II−VI族化合物半導体II−VI族化合物半導体としては、ZnS、ZnOが挙げられ、また、ZnSに他の元素を置換したZnMg1−vS(0<v<0.5)も好ましい。
Se以外のVI族元素を有する発光材料にSeがドープされた発光体としては、ZnSSe1−w(0<w<1)で表される、ZnS及びZnSeの固溶体からなる母体材料と、アクセプタ原子及びドナー原子とを含有するものが挙げられる。
発光層の母体材料がZnSSe1−w(0<w<1)である場合、wは0.25≦w≦0.95であることが好ましい。wが0.25未満であると、可視光領域での有効な発光が得られにくくなり、wが0.95を超えると、実用上有効な発光輝度が得られにくくなる。
アクセプタ原子としては、Cu及びAgが挙げられ、ドナー原子としては、F、Cl、Br、I、Al、Ga、及びInなどが挙げられる。更に、ドナー原子としては、発光効率の観点から、Clが好ましい。
発光層4の形成方法としては、例えば、母体材料と、D−Aペア発光の起源となる不純物元素を含む化合物との混合物を焼成したものを原料とし、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を用いてキャリア注入層3上に成膜し、更に熱処理することにより形成することができる。なお、熱処理は、母体材料がII−VI族化合物半導体である場合、母体材料のII族サイトをアクセプタ原子、VI族サイトをドナー原子にそれぞれ置換し、母体材料中にドナー準位及びアクセプタ準位をそれぞれ形成して発光層の発光効率を高めるために行われる。具体的な条件としては、真空中、400〜800℃、0.05〜1時間程度が例示される。
D−Aペア発光の起源となる不純物元素を含む化合物としては、例えば、CuS、AgSなどの硫黄化合物、NaCl、KClなどの塩化物、Ga、Al、Inなどの他のIII族硫黄化合物、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnInなどが挙げられる。
本実施形態においては、発光層の母体材料のII族元素組成比、VI族元素組成比やD−Aペア発光の起源となる不純物元素の種類を適宜選択することにより、所望の発光色を得ることができる。また、本実施形態の発光層は、電界集中、局在型発光中心を用いたものに比べて、pn接合を介したキャリア注入型発光であるため、低電圧で駆動できる点で優れている。
発光層4の厚さとしては、50〜1000nmが好ましい。発光層4の厚みが50nmを下回ると、発光効率が低下する傾向にあり、1000nmを超えると、駆動電圧が増加する傾向にある。
発光層4の形態としては、多結晶膜、エピタキシャル膜が挙げられる。これらのうち、多結晶膜が好ましい。多結晶膜は大面積に形成可能で且つ単結晶基板上への形成が不要であるため、発光素子の低コスト化、大面積化が容易となる。
本実施形態の発光素子においては、発光層4の価電子帯頂部のエネルギーレベルとキャリア注入層3の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が1.18eV以下であることが必要であり、この条件を満たすように上述した発光層4及びキャリア注入層3の組成が設定される。
また、発光層4及びキャリア注入層3の組成は、ホール注入性を高める観点から、発光層のVBMとキャリア注入層のVBMとの差が1.0eV以下となるように設定されることが好ましく、0.7eV以下となるように設定されることがより好ましく、0.5eV以下となるように設定されることがさらにより好ましい。
また、発光層4及びキャリア注入層3の組成は、発光輝度を更に高める観点から、発光層4の伝導帯底部のエネルギーレベルの値からキャリア注入層3の伝導帯底部のエネルギーレベルの値を引いた値が負となるように設定されることが好ましい。
また、発光層4のCBMの値からキャリア注入層3のCBMの値を引いた値が正である場合、その値は、発光輝度の観点からより小さい方が好ましい。
以下、発光素子の具体的な構成を挙げ、そのエネルギーバンド図を参照しつつ、発光層及びキャリア注入層のVBMの関係及びCBMの関係について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る発光素子Aのエネルギーバンド図である。図中、矢印はそれぞれ、電子eの移動方向及び正孔hの移動方向を示す。発光素子Aは、基板上に、陽極(ITO)12、キャリア注入層(CuAlS)13、発光層(ZnSSe1−w(w=0.95:Ag,Cl)14、n型半導体層(ZnS:Al)15、及び陰極(Al)16をこの順に備えるものである。
この発光素子Aにおけるキャリア注入層13のCBMは−2.79eVであり、キャリア注入層13のVBMは−5.93eVである。また、発光素子Aの発光層14のCBMは−2.93eVであり、発光層14のVBMは−6.68eVである。また、発光素子Aのn型半導体層15のCBMは−2.91eVであり、n型半導体層15のVBMは−6.71eVである。そして、キャリア注入層13のVBM(−5.93eV)と発光層14のVBM(−6.68eV)とのエネルギー差0.75eVが、発光素子Aにおける発光層へのホール注入障壁Pとなっている。
ここで、比較として、図5に、発光層の組成がZnS:Ag,Clであり、キャリア注入層の組成がCuSであること以外は発光素子Aと同様の構成を有する発光素子Dのエネルギーバンド図を示す。なお、図5中、62、63、65、66及び67はそれぞれ、陽極、キャリア注入層、発光層、n型半導体層及び陰極を示す。
発光素子Dにおけるキャリア注入層から発光層へのホール注入障壁は、キャリア注入層63のVBM(−5.33eV)と発光層65のVBM(−6.71eV)とのエネルギー差1.38eVである。
発光素子Dは直流駆動による発光輝度が得られない。これに対して、発光素子Aによれば、直流駆動によって高い発光輝度が得られる。この効果は、Seがドープされた発光体を含む発光層14と、この発光層14に対してVBM差が1.18eV以下となるキャリア注入層13とを組み合わせることにより、Seをドープすることで発光層のVBMを高められる作用も加わり、キャリア注入層13から発光層14への正孔注入に際してエネルギー障壁を十分小さくすることができる。その結果、キャリア注入層13から発光層14へ正孔が移動し易くなり、発光層14において電子と正孔とが再結合する確率が高められたことに起因するものと本発明者らは考えている。また、Se濃度によって発光色を変化させることができ、用途に応じた発光色を得ることが可能となる。
図3は、本発明の一実施形態に係る発光素子Bのエネルギーバンド図である。図中、矢印はそれぞれ、電子eの移動方向及び正孔hの移動方向を示す。発光素子Bは、発光層の組成がZnS0.25Se0.75:Ag,Clであり、キャリア注入層の組成がCuGa0.75Al0.25であること以外は発光素子Aと同様の構成を有する。なお、図3中、22、23、25、26及び27はそれぞれ、陽極、キャリア注入層、発光層、n型半導体層及び陰極を示す。
この発光素子Bにおけるキャリア注入層23のCBMは−3.37eVであり、キャリア注入層23のVBMは−5.82eVである。また、発光素子Bの発光層24のCBMは−3.25eVであり、発光層24のVBMは−6.31eVである。また、発光素子Bのn型半導体層25のCBMは−2.91eVであり、n型半導体層25のVBMは−6.71eVである。そして、キャリア注入層23のVBM(−5.82eV)と発光層24のVBM(−6.31eV)とのエネルギー差0.49eVが、発光素子Bにおけるキャリア注入層23から発光層24へのホール注入障壁となっている。また、発光層24のCBMの値からキャリア注入層23のCBMの値を引いた値は正(図3に示すQ)の値(0.12eV)となっている。
ここで、比較として、図4に、キャリア注入層の組成がCuAl(S0.44Se0.56)2であること以外は発光素子Bと同様の構成を有する発光素子Cのエネルギーバンド図を示す。なお、図4中、32、33、35、36及び37はそれぞれ、陽極、キャリア注入層、発光層、n型半導体層及び陰極を示す。
この発光素子Cにおけるキャリア注入層33のCBMは−2.95eVであり、キャリア注入層33のVBMは−5.81eVである。そして、キャリア注入層33のVBM(−5.81eV)と発光層34のVBM(−6.31eV)とのエネルギー差0.50eVが、発光素子Cにおけるキャリア注入層33から発光層34へのホール注入障壁となっている。また、発光層34のCBMの値からキャリア注入層33のCBMの値を引いた値は負(図4に示すR)の値(−0.30eV)となっている。
発光素子B及び発光素子Cの直流駆動による発光輝度を比べると、発光素子Cの発光輝度が高くなる。この理由を本発明者らは、発光層のCBMの値からキャリア注入層のCBMの値を引いた値が負である場合、陰極側から注入された電子がブロックされることにより、発光層における電子と正孔の再結合確率が更に増加するためと考えている。
本実施形態の発光素子100において、高い発光輝度を得る観点から、キャリア注入層3及び発光層4は、下記表に示される組成を主成分とする組み合わせが好ましい。
Figure 0005130996

表1中、組み合わせ1においては、x、z1及びwがそれぞれ、0≦x≦1、0≦z1≦0.6及び0.25≦w≦0.95の条件を満たすことが好ましく、0.5≦x≦1.0、0≦z1≦0.21及び0.25≦w≦0.50の条件を満たすことがより好ましい。また、組み合わせ2においては、y、z2及びwがそれぞれ、0≦y≦1、0≦z2≦0.6及び0.25≦w≦0.95の条件を満たすことが好ましく、0.5≦y≦1.0、0≦z2≦0.35及び0.25≦w≦0.50の条件を満たすことがより好ましい。
次に、n型半導体層5について説明する。n型半導体層5は、n型の導電性を有する半導体層であり、本実施形態の発光素子においては電子注入層として機能するものである。n型半導体層5としては、例えば、母体材料と、n型の導電性を付与する不純物元素とを含有するものが挙げられる。n型半導体層5の母体材料としては、例えば、ZnSが挙げられる。また、n型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、Al、Ga、In、B、Tl、F、Cl、Br、及びI等が挙げられる。これらのうち、キャリア密度向上の観点から、Alが好ましい。
n型半導体層5の形成方法としては、例えば、母体材料と、n型の導電性を付与する不純物元素を含む化合物との混合物を焼成したものを原料とし、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を用いて発光層4上に成膜することにより形成することができる。また、n型半導体層5は、母体材料とn型導電性を付与する不純物元素材料とを、それぞれ分けて設置し、電子ビーム蒸着などの方法により同時に蒸発させ、成膜することによっても形成可能である。
n型の導電性を付与する不純物元素を含む化合物としては、例えば、Al、Ga、Al、In、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnIが挙げられる。
本実施形態において、n型半導体層5は、母体材料としてZnSと、n型の導電性を付与する不純物元素としてAlとを含んで構成されることが好ましい。また、n型半導体層におけるAl濃度は、結晶性の維持、キャリア密度制御の観点から、0.01原子%〜5原子%であることが好ましく、0.05原子%〜3原子%であることがより好ましく、0.1原子%〜1原子%であることがさらにより好ましい。
n型半導体層5の厚さとしては、20〜500nmが好ましい。発光層4の厚みが20nmを下回ると、発光効率が低下する傾向にあり、500nmを超えると、駆動電圧が増加する傾向にある。
n型半導体層5の形態としては、多結晶膜、エピタキシャル膜が挙げられる。これらのうち、多結晶膜が好ましい。多結晶膜は、大面積に形成可能で且つ単結晶基板上への成膜が不要であるため、発光素子の低コスト化、大面積化が容易となる。
ところで、発光層にn型の機能を持たせるための不純物を添加した発光素子もあるが、この場合、発光層内に不純物準位ができ、その不純物準位にキャリアがトラップされることで、発光特性が低下しやすくなる傾向にある。これに対して、n型半導体層5と発光層4とが個別に設けられている本実施形態の発光素子100によれば、発光層内における発光を阻害するキャリアトラップを有効に防止でき、キャリア注入層3及び発光層4のそれぞれの特性を高水準で満足させることができ、n型導電性を持つ発光層を備える発光素子に比べて高い発光効率を得ることができる。
最後に、陰極6について説明する。陰極6の構成材料としては、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下の)金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などが挙げられる。具体的には、例えば、LiやCsなどのアルカリ金属や、Mg、Ca、及びSrなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。また、陰極6は、安定性を確保するため、MgAgやAlLiなどの、仕事関数が低く電子注入障壁の低い金属と比較的仕事関数が大きく安定な金属との合金を用いて形成されてもよい。
陰極6は、例えば、上記の材料をスパッタリング法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着などの方法によりn型半導体層5上に成膜した後、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リアクティブイオンエッチング(RIE)、メカニカルスクライブ法などの方法によりパターンニングすることで形成することができる。また、成膜時のマスキングによりあらかじめパターンニングすることで陰極6が形成されてもよい。シート抵抗、密着性の観点から、陰極6の厚さは50〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
以上説明した本実施形態の発光素子100において、キャリア注入層3、発光層4及びn型半導体層5はすべて多結晶膜であることが好ましい。この場合の発光素子100は、低コストで作成することができ、大面積化の要求と高効率発光の要求とを満たすものになり得る。
発光素子100は、基板1上に、陽極2、キャリア注入層3、発光層4、n型半導体層5及び陰極6をこの順に備えるものであると説明をしたが、各層を逆の順序にすることも可能である。すなわち、基板1上に、陰極6、n型半導体層5、発光層4、キャリア注入層3及び陽極2をこの順に設けてもよい。
また、発光素子100は、発光層4及びn型半導体層5に代えてn型導電性を持つ発光層が設けられているものであってもよい。
n型導電性を持つ発光層としては、例えば、II−VI族半導体化合物などの母体材料と、アクセプタ原子及びドナー原子とを含有するものが挙げられる。II−VI族半導体化合物としては、ZnSが挙げられる。また、アクセプタ原子としては、Cu及びAgが挙げられ、ドナー原子としては、F、Cl、Br、I、Al、Ga、及びInなどが挙げられる。また、ZnS:Cu、Cl、FやZnS:Cu、Al、Fなどのようにドナー原子を2種含むものであってもよい。
n型導電性を持つ発光層の形成方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、レーザアブレーション法、イオンプレーティング法により形成することができる。n型導電性を持つ発光層として機能させるため、キャリア密度は1×1017cm−3以上、1×1020cm−3以下であることが好ましい。また、キャリア注入性の観点から、キャリア密度は5×1017cm−3以上であることがより好ましく、縮退による素子短絡の防止のため、キャリア密度は5×1019cm−3以下であることがより好ましい。
n型導電性を持つ発光層の形態としては、多結晶膜、エピタキシャル膜が挙げられる。これらのうち、多結晶膜が好ましい。多結晶膜は大面積に形成可能で且つ単結晶基板上への形成を必要としないため、発光素子の低コスト化、大面積化が容易となる。
また、本実施形態の発光素子においても、キャリア注入層及びn型導電性を持つ発光層が多結晶膜であることが好ましい。この場合の発光素子は、低コストで作成することができ、大面積化の要求と高効率発光の要求とを満たしたものになり得る。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<発光素子の作製方法>
(実施例1)
先ず、基板として無アルカリガラス基板(コーニング#1737、100mm×100mm、厚み0.7mm)を用意し、この表面を洗浄装置により洗浄した後、乾燥装置を用いて乾燥した。
次に、洗浄した基板上に、厚み200nmのITOの膜をスパッタリング法により成膜した。続いて、この膜を、通常のフォトリソグラフィーによりパターンニングして、櫛形の形状を有する透明電極を形成した。
一方で、CuS、Alの粉末を混合してペレット化し、焼成を繰り返すことで、スパッタリングターゲットとなる焼結体を完成させた。
次に、透明電極を形成した基板をRFマグネトロンスパッタリング装置の成膜用基板ホルダーに設置し、スパッタリング装置の成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気し、上記で得た焼結体をスパッタリングターゲットとして用い成膜を行った。これにより、透明電極上に厚み200nmのCu(Ga1−yAl)(S1−zSe(y=1.00,z=0)からなるキャリア注入層を形成した。
次に、キャリア注入層を形成した基板、及び発光層材料の蒸着源として予め準備した、CuS、NaCl、ZnS及びZnSeの粉末を混合してペレット化し焼成を繰り返すことで得られた焼結体を、電子ビーム蒸着装置の所定の位置に設置し、成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気した。その後基板付近に配置された抵抗加熱装置により基板温度を200℃まで昇温した。そして電子ビーム蒸着法によりキャリア注入層上に、ZnSSe1−w(w=0.25)を主成分とし、Ag及びClが不純物として含まれる多結晶の薄膜である、厚み500nmの発光層を形成した。なお、発光層におけるAg及びClの含有量はそれぞれ、0.1at%、0.2at%とした。
次に、発光層が形成された基板を200℃に加熱し、蒸着源としてZnSにAlが混合されたペレットを用いて、電子ビーム蒸着法により発光層上に厚さ200nmのn型半導体層を形成した。なお、n型半導体層おけるAlの含有量は、1.0at%とした。
さらに、n型半導体層上に、矩形状のマスクを用いてマスキングした後に厚み200nmのAlの膜をスパッタリング法により成膜し電極とした。こうして、図1に示す発光素子100と同様の構成を有する実施例1の発光素子を得た。
(実施例2〜23)
実施例2〜23においては、発光層及びキャリア注入層の組成を表2に示す組成、すなわち、実施例1の発光層を構成するZnSSe1−wのwの値と、キャリア注入層を構成するCu(Ga1−yAl)(S1−zSeのyの値及びzの値とを表2に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発光素子を得た。
なお、発光層の組成は、電子ビーム蒸着のターゲットとなる焼結体におけるZnS及びZnSeの含有割合を変更することにより調整し、キャリア注入層の組成は、スパッタリングターゲットとなる焼結体におけるCuS、CuSe、Ga、及びAlの含有割合を変更することにより調整した。
(実施例24)
先ず、基板として無アルカリガラス基板(コーニング#1737、100mm×100mm、厚み0.7mm)を用意し、この表面を洗浄装置により洗浄した後、乾燥装置を用いて乾燥した。
次に、洗浄した基板上に、厚み200nmのITOの膜をスパッタリング法により成膜した。続いて、この膜を、通常のフォトリソグラフィーによりパターンニングして、櫛形の形状を有する透明電極を形成した。
一方で、CuS、In、及びGaの粉末を混合してペレット化し、焼成を繰り返すことで、スパッタリングターゲットとなる焼結体を完成させた。
次に、透明電極を形成した基板をRFマグネトロンスパッタリング装置の成膜用基板ホルダーに設置し、スパッタリング装置の成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気し、上記で得た焼結体をスパッタリングターゲットとして用い成膜を行った。これにより、透明電極上に厚み200nmのCu(In1−xGa)(S1−zSe(x=0.50,z=0)からなるキャリア注入層を形成した。
次に、キャリア注入層を形成した基板、及び発光層材料の蒸着源として予め準備した、CuS、NaCl、ZnS及びZnSeの粉末を混合してペレット化し焼成を繰り返すことで得られた焼結体を、電子ビーム蒸着装置の所定の位置に設置し、成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気した。その後基板付近に配置された抵抗加熱装置により基板温度を200℃まで昇温した。そして電子ビーム蒸着法によりキャリア注入層上に、ZnSSe1−w(w=0.25)を主成分とし、Ag及びClが不純物として含まれる多結晶の薄膜である、厚み500nm発光層を形成した。なお、発光層におけるAg及びClの含有量はそれぞれ、0.1at%、0.2at%とした。
次に、発光層が形成された基板を200℃に加熱し、蒸着源としてZnSにAl(0.5mol%)が混合されたペレットを用いて、電子ビーム蒸着法により発光層上に厚さ200nmのn型半導体層を形成した。
さらに、n型半導体層上に、矩形状のマスクを用いてマスキングした後に厚み200nmのAlの膜をスパッタリング法により成膜し電極とした。こうして、図1に示す発光素子100と同様の構成を有する実施例24の発光素子を得た。
(実施例25〜37)
実施例25〜37においては、発光層及びキャリア注入層の組成を表3に示す組成、すなわち、実施例24の発光層を構成するZnSSe1−wのwの値と、キャリア注入層を構成するCu(In1−xGa)(S1−zSeのxの値及びzの値とを表3に示す値に変更したこと以外は、実施例24と同様にして発光素子を作製した。
なお、発光層の組成は、電子ビーム蒸着のターゲットとなる焼結体におけるZnS、及びZnSeの含有割合を変更することにより調整し、キャリア注入層の組成は、スパッタリングターゲットとなる焼結体におけるCuS、CuSe、In、及びGaの含有割合を変更することにより調整した。
(比較例1)
まず、実施例1と同様にして基板上に透明電極を形成した。
次に、透明電極を形成した基板をRFマグネトロンスパッタリング装置の成膜用基板ホルダーに設置し、スパッタリング装置の成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気し、CuSをスパッタリングターゲットとして用い成膜を行った。これにより、透明電極上に厚み200nmのCuSからなるキャリア注入層を形成した。
次に、キャリア注入層を形成した基板、及び発光層材料の蒸着源として予め準備した、CuS、NaCl及びZnSの粉末を混合してペレット化し焼成を繰り返すことで得られた焼結体を、電子ビーム蒸着装置の所定の位置に設置し、成膜室内の圧力が1×10−4Paとなるまで真空排気した。その後基板付近に配置された抵抗加熱装置により基板温度を200℃まで昇温した。そして電子ビーム蒸着法によりキャリア注入層上に、ZnSを主成分とし、Ag及びClが不純物として含まれる多結晶の薄膜である、厚み500nmの発光層を形成した。なお、発光層におけるAg及びClの含有量はそれぞれ、0.1at%、0.2at%とした。
次に、発光層上に、n型半導体層、及びAl電極をこの順で実施例1と同様にして形成し、比較例1の発光素子を得た。
<発光層及びキャリア注入層のVBM及びCBMの算出>
発光層及びキャリア注入層のVBM及びCBMは、光電子分光法および逆光電子分光法により求めた。これらの結果を表2及び3に示す。また、発光層のVBMからキャリア注入層のVBMを引いた値、並びに、発光層のCBMからキャリア注入層のCBMを引いた値を、発光層/キャリア注入層間のオフセット値として表2及び3に示す。なお、本実施例及び比較例の発光素子の発光層はAg及びClを発光中心とするものであるが、これらの種類を変えても発光層のVBM及びCBMは変わらない。
<発光輝度の評価>
アルミニウム製の金属放熱板に実施例1〜37及び比較例1で得られた発光素子をそれぞれ設置し、十分な放熱対策を施した状態で、それぞれの発光素子の電極間に直流電圧を印加し、電流密度25mA/cmの定電流駆動を行ったときの発光輝度を測定した。表2及び3に測定結果を示す。

Figure 0005130996


Figure 0005130996



表2及び3に示すように、実施例1〜37の発光素子によれば直流駆動により高い発光輝度が得られることが確認された。一方、発光層がSeを含まず、発光層のVBMとキャリア注入層のVBMとの差が1.38eVである比較例1の発光素子は、直流駆動により発光輝度が得られなかった。
実施例1、2、4、6、8、10、11、14、及び16の結果から、発光層のCBMの値からキャリア注入層のCBMの値を引いた値(CBMオフセット)が負である場合、発光輝度が更に向上することが確認された。
また、実施例17〜26、28〜30、32〜37の結果から、発光層及びキャリア注入層のCBMオフセットが正である場合、CBMオフセット値が小さい方が、発光輝度がより向上することが分かる。
実施例1及び2、8及び9、10〜12、並びに17〜20の結果から、キャリア注入層を構成するCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z)Seのyが0.5以上であり、yの値が大きくなると発光輝度が向上することが確認された。
実施例5及び7の結果から、キャリア注入層を構成するCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z)Seのzの値が0.6以下であり、zの値が小さくなると発光輝度が向上することが確認された。また、実施例30、32〜37の結果から、キャリア注入層を構成するCu(In(1−x)Ga)(S(1−z)Seのzの値が0.6以下であり、zの値が小さくなると発光輝度が向上することが確認された。
表2および3に示す結果(例えば実施例3と実施例6の比較)から、CBMオフセットが有り(負)である場合の方が、CBMオフセット無し(正)である場合よりも、発光輝度が向上していることが確認された。
本発明に係る発光素子の一実施形態の構成を示す模式断面図である。 発光素子Aのエネルギーバンド図を示す。 発光素子Bのエネルギーバンド図を示す。 発光素子Cのエネルギーバンド図を示す。 発光素子Dのエネルギーバンド図を示す。
符号の説明
1…基板、2…陽極、3…キャリア注入層、4…発光層、5…n型半導体層、6…陰極、100…発光素子。

Claims (11)

  1. 一対の電極と、
    前記電極間に配置されたドナー・アクセプター対発光機能を有する発光層と、
    前記電極の一方と前記発光層との間に配置されたp型半導体からなるキャリア注入層と、を備え、
    前記発光層は、Se以外のVI族元素を有する発光材料にSeがドープされた発光体を含み、
    前記発光層の価電子帯頂部のエネルギーレベルと前記キャリア注入層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が1.18eV以下であり、

    前記発光体がZnS Se 1−w (0.25≦w≦0.95)を含み、
    前記キャリア注入層の組成がCu(In (1−x) Ga )(S (1−z) Se (0≦x≦1、0≦z≦1)又はCu(Ga (1−y) Al )(S (1−z) Se (0≦y≦1、0≦z≦1)であることを特徴とする発光素子。
  2. 前記発光層の価電子帯頂部のエネルギーレベルと前記キャリア注入層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が1.0eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記発光層の価電子帯頂部のエネルギーレベルと前記キャリア注入層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が0.7eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  4. 前記発光層の価電子帯頂部のエネルギーレベルと前記キャリア注入層の価電子帯頂部のエネルギーレベルとの差が0.5eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  5. 前記発光層の伝導帯底部のエネルギーレベルの値から前記キャリア注入層の伝導帯底部のエネルギーレベルの値を引いた値が負であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記p型半導体は、カルコパイライト型半導体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記キャリア注入層の組成が、Cu(In(1−x)Ga)(S(1−z1)Sez1(但し、0≦x≦1、且つ、0≦z1≦0.6)またはCu(Ga(1−y)Al)(S(1−z2)Sez2(但し、0≦y≦1、且つ、0≦z2≦0.6であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
  8. 前記キャリア注入層の組成が、Cu(Ga(1−y)Al)(S(1−z3)Sez3(但し、0.5≦y≦1、且つ、0≦z3≦1)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 前記発光体がZnS Se 1−w (0.25≦w≦0.50)を含み、
    前記キャリア注入層の組成が、Cu(In (1−x) Ga )(S (1−z1) Se z1 (0.5≦x≦1.0、且つ、0≦z1≦0.21)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
  10. 前記発光体がZnS Se 1−w (0.25≦w≦0.50)を含み、
    前記キャリア注入層の組成が、Cu(Ga (1−y) Al )(S (1−z2) Se z2 (0.5≦y≦1.0、且つ、0≦z2≦0.35)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子。
  11. 前記発光体が、Cu又はAgと、F、Cl、Br、I、Al、Ga又はInと、を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光素子。
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