JP2009170358A - 無機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な発光効率が得られる無機蛍光体材料を用いる発光素子を提供を提供する。
【解決手段】 少なくとも透明電極、発光層、背面電極を有する積層構造から成り、前記発光層が第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とし、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有する無機蛍光体からなり、さらに発光層と背面電極間に、p型半導体層を有することを特徴とし、p型半導体が第12−16族化合物から選ばれる一種、またはそれらの混晶を母体材料とすることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機EL素子に関するものである。
蛍光体(以下、蛍光体材料とも称する)とは、外部から光、電気、圧力、熱、電子線等のエネルギーが与えられることによって発光する材料のことであり、古くから知られている材料である。中でも無機材料から成る蛍光体材料は、その発光特性や安定性などからブラウン管、蛍光ランプ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられてきた。近年ではLED用の色変換材料として、PDPといった低速電子線励起用としても盛んに研究がなされている。
無機蛍光体材料を用いたエレクトロルミネッセンス(EL)素子は、駆動方法によって交流駆動型と直流駆動型に大別される。交流駆動型の中には高誘電性バインダーに蛍光体粒子を分散してなる交流分散型EL素子、誘電体層間に蛍光体薄膜を挟んでなる交流薄膜型EL素子の2種類があり、直流駆動型の中には、透明電極と金属電極で蛍光体薄膜を挟んで低電圧直流駆動する直流薄膜型EL素子がある。
直流駆動型無機EL素子は、1970〜80年代に研究が盛んになされていた(非特許文献1)。これはZnSe:MnをGaAs基板上にMBEにより成膜し、Au電極と挟むことで構成される素子である。約4Vを印加することで電極からトンネル効果で電子が注入され、発光中心であるMnを励起し、発光するという機構である。しかしながら、この素子は発光効率が低いこと(〜0.05lm/W)、再現性が低いことから、それ以来、実用化はもとより学術的な研究もなされていない。
近年、新たな直流駆動型無機EL素子が報告された(特許文献1)。発光材料としては、CuやMnといった従来から知られている発光中心を含有するZnS系であり、これを透明電極であるITO電極と背面電極であるAg電極とで挟みこんだ構成である。その発光機構については記載されていないが、想定される機構としては、Cuとともに含有するClとでDAペア対を形成し、そこで注入された電子と正孔の再結合すなわち発光すると考えられる。
また、特許文献2は、付活剤として銅を含み、共付活剤として塩素および臭素から選ばれる少なくとも1種類を含み、かつ、6族から10族までの第2遷移系列または第3遷移系列に属する金属元素の少なくとも1種類を含有する硫化亜鉛粒子からなる無機蛍光体材料を用いたEL素子を開示している。
さらに特許文献3には直流駆動を意図し、金属酸化物である透明半導体/透明絶縁体を導入した面発光型エレクトロルミネッセンス素子が開示されている。
直流駆動型無機EL素子は、同様な駆動方法で発光する有機EL素子と比較して、発光素子がすべて無機材料で構成されているため、耐久性が高く、照明やディスプレイなど様々な分野での活用が可能となる。さらに同様な駆動であるLEDはすべて無機材料で構成されているという点で類似しているが、LEDは発光面積が極微小すなわち点発光であるため、単位面積あたりの輝度は高いものの、絶対光量(光束)は少ないために、用途が限られる。一方無機ELはもともと面発光であるため、多くの光束を得ることが可能であるという点で有利である。
また、特許文献4には、第12−16族化合物からなるp型半導体を使った発光素子が記載されている。
国際公開第07/043676号パンフレット 特開2006−233147号公報 国際公開第07/139037号パンフレット 特開平10−270733号公報 Journal of Applied Physics,52(9),5797,1981.
しかしながら、特許文献1及び3の直流駆動無機EL素子は発光効率が低かった。また、特許文献2に記載のEL素子は、使用している蛍光体材料が、付活剤として銅を含んでいることから、DA(ドナーアクセプタ)ペア発光型のものであるが、DAペア発光型の無機蛍光体材料は交流駆動型の発光素子への適用しかできず、用途が限定されるという問題があった。また、特許文献4には、発光効率を高めるために使用する蛍光体材料については詳細な記載がなかった。
従って、本願発明は、十分な発光効率が得られる無機蛍光体材料を用いる発光素子を提供しようとするものである。
発明者らは、鋭意検討の結果、従来から知られているCuやMnや希土類といった発光中心金属を添加せずに、周期律表の第6族〜第11族までの第2遷移系列に属する金属元素または第3遷移系列に属する金属元素を第2−16族化合物を添加した発光材料からなる発光層を有し、且つp型半導体層を有する無機ELを開発し、高効率発光を得ることに成功した。
本発明は以下の要件により達成される。
(1)少なくとも透明電極、発光層、背面電極を有する積層構造から成り、前記発光層が第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とし、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくとも含有する無機蛍光体材料からなり、さらに発光層と背面電極間に、p型半導体層を有することを特徴とする無機EL素子。
(2)前記p型半導体が第12−16族化合物から選ばれる一種、またはそれらの混晶を母体材料とすることを特徴とする前記(1)の無機EL素子。
(3)前記p型半導体が周期律表の第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素と、周期律表の第13族に属する元素及び第17族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする前記(2)の無機EL素子。
(4)前記周期律表の第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量が前記周期律表の第13族に属する元素及び第17族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量の1.5〜3.0倍であることを特徴とする前記(3)の無機EL素子。
本発明の無機EL素子は、発光効率に優れ、高輝度長寿命を達成するものである。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明の無機EL素子は、少なくとも透明電極、発光層、背面電極を有する積層構造から成り、前記発光層が第2−16族化合物すなわち周期律表の第2族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物および、第12−16族化合物すなわち周期律表の第12族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とし、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有する無機蛍光体材料からなり、さらに発光層と背面電極間に、p型半導体層を有することを特徴とする。
なお、本発明の無機EL素子の発光層を構成する無機蛍光体材料の母体材料として用いられる、第2−16族化合物、第12−16族化合物とは、それぞれ、周期律表の第2族に属する元素と周期律表の第16族に属する元素からなる化合物、周期律表の第12族に属する元素と周期律表の第16族に属する元素からなる化合物を意味するものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するもの(当業者)が通常使用している標記・表現である。
該母体材料の例として、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CaS、SrS、BaSなどの第2−16族化合物または第12−16族化合物から選ばれる1種またはそれらの混晶が用いられる。好ましくはZnS、ZnSe、ZnSSe、SrS、CaS、SrSe、SrSSeであり、さらに好ましくは、ZnS、ZnSe、ZnSSeである。
本発明の無機EL素子の発光層を構成する無機蛍光体材料に用いられる、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の例としては、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、Auがあるが、中でもRu、Pd、Os、Ir、Pt、Auが好ましいが、さらにはOs、Ir、Pt、Auが好ましい。これらの金属は単独で含有していてもよいし、複数で含有していてもよい。
上記の周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の母体材料への含有のさせ方、すなわちドープ方法は、いかなる方法にも限定するものではないが、たとえば、焼成での粒子形成時の金属塩の形で混入させても良いし、焼成条件で溶融、昇華もしくは反応可能であれば、化合物結晶の形で混入させても良い。これらの金属は母体材料の結晶内に取り込まれた部分以外の結晶表面への析出分や、結晶表面への吸着分は、エッチングや洗浄等で除去することが好ましい。金属塩としては、酸化物、硫化物、硫酸化物、シュウ酸化物、ハロゲン化物、硝酸化物、窒化物等、いかなる化合物でも良いが、中でも酸化物、硫化物、ハロゲン化物が好ましく用いられる。それぞれ単独で用いても良いが、複数種の金属塩を用いても良い。ドープ量としては、母体材料1モルに対して1×10−7〜1×10−1モルが好ましく、さらに好ましくは1×10−5〜1×10−2モルである。
さらに蛍光体材料として性能を上げるために、周期律表の第13族に属する元素及び第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが有効である。
好ましくは、第13族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有し、さらに好ましくは、第13族に属する元素としてGa、InおよびTlから選ばれる少なくとも1種を含有し、第15族に属する元素としてN、P、Sb、AsおよびBiから選ばれる少なくとも1種を含有し、特に好ましくは、第13族に属する元素としてGaを含有し、第15族に属する元素としてN、PおよびSbから選ばれる少なくとも1種を含有する。
また、これらの元素を蛍光体材料に含有させる場合には、第13族に属する元素と第15族に属する元素とからなる化合物(第13−15族化合物)を添加することが好ましい。
これらの周期律表の第13族に属する元素及び第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素の含有量は、特に限定されないが、母体材料1モルに対して1×10−7〜1×10−2が好ましい。
さらに本発明に用いられる蛍光体材料はn型半導体である。そのキャリア密度は、1017cm-3以下であることが好ましい。
次に本発明の無機EL素子の構造について説明するが、中でも本発明において特に好ましく適用可能な直流駆動型無機EL素子を例に挙げて詳しく説明する。
直流駆動型無機EL素子は、少なくとも透明電極(透明導電膜とも称する)と、蛍光体層(発光層とも称する)と、背面電極と、発光層と背面電極との間に位置するp型半導体層から構成される。発光層の厚みは厚くなりすぎると発光に必要な電界強度を得るために両電極間の電圧が上昇するので、低電圧駆動を実現するためには50μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。また厚みが薄くなりすぎると、蛍光体層の両面にある電極が短絡しやすくなるため、短絡を避けるために厚みは50nm以上がこのましく、さらに好ましくは100nm以上である。
成膜方法としては、物理的蒸着法である抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着、スパッタリングやイオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)など無機材料を一般的に成膜する方法が用いられる。本発明に用いられる蛍光体材料は高温でも安定で高融点であることから、高融点材料を蒸着するのに適した電子ビーム蒸着法や、蒸着源をターゲット化できる場合はスパッタリング法が好適に用いられる。さらに電子ビーム蒸着の場合、蛍光体材料中に含有する金属の蒸気圧が、母体材料の蒸気圧と大幅に異なる場合には、それぞれ単独の蒸着源として複数の蒸着源を利用した蒸着方法も有用である。また結晶性を高めるという意味で、基板との格子マッチングを考慮したMBE(Molecular Beam Epitaxiy)法も好適である。
本発明に好ましく用いられる透明導電膜の表面抵抗率は、10Ω以下であることが好ましく、0.01Ω/□〜10Ω/□が更に好ましい。特に0.01Ω/□〜1Ω/□が好ましい。
透明導電膜の表面低効率は、JIS K6911に記載の方法に準じて測定することができる。
透明導電膜は、ガラス又はプラスチック基板上に形成されており、かつ酸化錫を含有していることが好ましい。
すなわち、ガラスとしては無アルカリガラス、ソーダライムガラスなど、一般的なガラスが用いられるが、耐熱性が高く平坦性の高いガラスを用いることが好ましい。プラスティック基板としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロースベース等の透明フィルムが好適に用いられる。それらを基板として、インディウム・錫酸化物(ITO)や錫酸化物、酸化亜鉛等の透明導電性物質を蒸着、塗布、印刷等の方法で付着、成膜することができる。
この場合、耐久性を上げる目的で透明導電膜表面を酸化錫を主体の層とすることが、好ましい。
透明導電膜を構成する透明導電性物質の好ましい付着量は、透明導電膜に対して、100質量%〜1質量%、より好ましくは、70質量%〜5質量%、さらに好ましくは、40質量%〜10質量%である。
透明導電膜の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良い。ペースト状のITOや酸化錫を塗布やスクリーン印刷で作成したり、膜全体を過熱したりレーザーにて加熱して成膜しても良い。
本発明のEL素子において、透明導電膜には一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
更に低抵抗化するには、例えば櫛型あるいはグリッド型等の網目状ないしストライプ状金属細線を配置して通電性を改善することが、好ましい。金属や合金の細線としては、銅や銀、アルミニウム、ニッケル等が好ましく用いられる。この金属細線の太さは、任意であるが、0.5μm程度から20μmの間が好ましい。金属細線は、50μm〜400μmの間隔のピッチで配置されていることが、好ましく、特に100μm〜300μmピッチが、好ましい。金属細線を配置することで、光の透過率が減少するが、この減少は出来るだけ小さいことが重要で、好ましくは、80%以上100未満の透過率を確保することが、好ましい。
金属細線は、メッシュを透明導電性フィルムに張り合わせてもよいし、予めマスク蒸着ないしエッチングによりフィルム上に形成した金属細線上に金属酸化物等を塗布、蒸着しても良い。また、予め形成した金属酸化物薄膜上に上記の金属細線を形成してもよい。
これとは、異なる方法となるが、金属細線の代わりに、100nm以下の平均厚みを有する金属薄膜を金属酸化物と積層して本発明に適した透明導電膜とすることができる。金属薄膜に用いられる金属としては、AuやIn、Sn、Cu、Niなど耐腐食性が高く、展延性等に優れたものが好ましいが、特にこの限りではない。
これらの複層膜は、高い光透過率を実現することが好ましく、具体的には70%以上の光透過率を有することが好ましく、80%以上の光透過率を有することが特に好ましい。光透過率を規定する波長は、550nmである。
光の透過率に関しては、干渉フィルターを用いて550nmの単色光を取り出し、一般に用いられる白色光源を用いた積分型光量測定やスペクトル測定装置を用いて測定することが出来る。
(背面電極)
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択されるが、その中でも熱伝導率が高いことが重要で、2.0W/cm・deg以上であることが好ましい。中でも銀が好適である。
また、EL素子の周辺部に高い放熱性と通電性を確保するために、金属シートや金属メッシュを用いることも好ましい。
本発明に利用可能な無機蛍光体材料は、当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で10nm〜50nmの微粒子粉末(生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成をおこない、粒子を得る。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。
次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜3時間の加熱(アニーリング)をする。
上記製法により無機蛍光体材料を得ることができるが、直流型無機ELに用いる場合には上記製法により得られた蛍光体材料を加圧成型し、電子ビーム蒸着等の物理蒸着によってEL素子を得ることができる。
次に発光層と背面電極との間に位置するp型半導体層について説明する。
本発明の無機EL素子は、発光層と背面電極との間に、p型半導体層を導入することによって、n型半導体を好ましく用いる発光層へ電子だけでなく、正孔の注入効率が高まるため、発光層に含有する発光中心内での電子と正孔の再結合、すなわち発光が高まるのである。
p型半導体層に用いるp型半導体としては、特に限定されないが、例えば、少なくともp型不純物からなる第1の元素とp型不純物以外の物質からなる第2の元素とを化合物半導体中に含有しているp型半導体等が挙げられる。
このp型半導体は、p型不純物以外の物質からなる第2の元素の存在により、同じ量のp型不純物を含有して第2の元素が存在しない場合と比較して、キャリア濃度の高いp型半導体となっている。 また該p型半導体において、第2の元素はn型不純物であることが好ましい。このp型半導体は、n型不純物からなる第2の元素の存在により、同じ量のp型不純物を含有して第2の元素が存在しない場合と比較して、キャリア濃度の高いp型半導体となっている。
また、第一の元素及び第二の元素以外の第三、第四の元素など、さらに複数の元素を含有していてもよいが、その場合電荷補償の観点から、化合物半導体内で電気的中性が保たれるように、含有させる元素の電荷を選択することが望ましい。
具体的には、第11族元素(IB)と第13族元素(3B)と第16族元素(6B)とにより、(IB)−(3B)一(6B)2で表される化合物(すなわち、Ib―IIIb―(VIb)2 系化合物ともいう)からなる化合物半導体では、第1の元素として第15族元素を、第2の元素として第13族元素、第17族元素、第14族元素、または第1族元素を含有する形態が挙げられる。
Cu(In(1-x) Gax )(S(1-y) Sey 2(0≦x,y≦1)で表される化合物半導体では、第1の元素としてN,P,As、Sb,およびBiのうちの少なくとも1つを、第2の元素としてAl,Ga,In,Cl,Br,I,Si,Ge,Sn,Pb,Li,Na,およびKのうちの少なくとも1つを含有する形態が挙げられる。
第13族元素と第15族元素とからなる化合物半導体(すなわち、第13―15族系化合物、IIIb―Vb系化合物ともいう)では、第1の元素として第12族元素を、第2の元素として第14族元素または第16族元素を含有する形態が挙げられる。
(Ga(1-x-y) Alx Iny )N(0≦x,y,x+y≦1)で表される化合物半導体では、第1の元素としてBeまたはMgを、第2の元素としてSi,Ge,Sn,Pb,O,S,Se,およびTeのうちの少なくとも1つを含有する形態が挙げられる。
第12族元素と第16族元素とからなる化合物半導体(すなわち、第12−16族系化合物、IIb―VIb系化合物ともいう)では、第1の元素として第15族元素を、第2の元素として第13族元素または第17族元素を含有する形態が挙げられる。本発明のp型半導体および無機蛍光体材料(n型半導体)の母体材料が、いずれも同じ第12族元素と第16族元素とからなる化合物半導体とすることは可能であり、むしろ接合面の格子マッチングが取り易いという点で望ましいが、その場合はそれぞれの含有する微量元素種、元素量(ドープ量)は異なることとなる。
Zn(Se(1-x) x )(0≦x≦1)で表される化合物半導体では、第1の元素としてN,P,As,Sb,およびBiのうちの少なくとも1つを、第2の元素としてB,Al,Ga,In,Cl,Br,およびIのうちの少なくとも1つを含有する形態が挙げられる。
また、上記のp型半導体において、第1の元素の含有量は第2の元素の含有量の1.3〜3.0倍であることが好ましい。また、上記のp型半導体は、p型不純物からなる第1の元素とp型不純物以外の物質からなる第2の元素とを、第2の元素より第1の元素のドーピング量が高くなるようにして(例えば、第1の元素の含有量が第2の元素の含有量の1.3〜3.0倍になるようにして)、化合物半導体に対してドーピングすることにより製造される。
このように、化合物半導体に対して、p型不純物からなる第1の元素とp型不純物以外の物質からなる第2の元素をともにドーピングすることによる作用を、以下に述べる。
Si,Geなどの元素半導体はほぼ100%共有結合であるのに対して、Ib−IIIb−(VIb)2 系化合物、IIb−VIb系化合物、およびIIIb−Vb系化合物等の化合物半導体の結合は、イオン結合性を有する共有結合である。一般的に、ZnSe,ZnSなどのIIb−Vlb系化合物は、IIIb−Vb系化合物に比べるとイオン結合性が強く、IIIb−Vb系化合物の中ではGaNが非常にイオン結合性が強い。また、Ib−IIIb−(VIb)2 系化合物の中では、CuInS2 がCuInSe2 などと比較してイオン結合性が強い。イオン結合性は陽性元素と陰性元素との電気陰性ドーピングの差が大きいほど強くなる傾向がある。
そして、前述のように、イオン結合性の強い化合物半導体ほど、p型不純物のドーピングの際に、化合物半導体を構成する陰性元素(電子の受け手側となる元素)が抜け易くなるが、p型不純物以外の物質からなる第2の元素をともにドーピングすることによって、このような陰性元素の抜けが生じないようにすることができる。これにより、第2元素をともにドーピングしない場合と比較して、p型キャリア濃度が高くなる。
また、p型半導体を得るためには、第2の元素より第1の元素のドーピング量を高くすることが必要であり、両者の最適な比率は、求められるp型キャリア濃度、添加する元素などによって異なるが、第1の元素の含有量を第2の元素の含有量の1.3〜3.0倍とすることが好ましい。より好ましくは、第1の元素の含有量を第2の元素の含有量の1.8〜2.2倍とする。
第1の元素(p型不純物)と第2の元素(p型不純物以外の物質)をともに化合物半導体中に含むp型半導体のp型キャリア濃度は、第1の元素の含有量と第2の元素の含有量との差に応じた値になる。この差が小さいと、すなわち第2の元素の含有量に対する第1の元素の含有量の比率(1より大)が1に近いと、高いp型キャリア濃度を得るために両元素の含有量を高くする必要があり、これによって結晶歪みによる結晶性の低下が生じる。
したがって、本発明の効果を大きくするためには、第1の不純物の含有量は第2の不純物の含有量より十分に大きくする必要があり、第1の元素の含有量が第2の元素の含有量の1.3倍以上であると、結晶性を劣化させない範囲で十分なp型伝導が得られ易い。また、第1の元素の含有量が第2の元素の含有量の3.0倍を超えると、第2の元素の添加による化合物半導体中の陰性元素の抜けを抑制する効果が小さくなって、高いp型キャリア濃度が得られ難くなる。
GaN,ZnSeなどの化合物半導体において、例えば、GaNの場合には、Mg,Beなどの第2族元素を第13族元素であるGaと置換させるとともに、Siなどの第14族元素をGaと置換させるか、もしくはOなどの第16族元素をNと置換させることが有効であり、ZnSeの場合はNなどの第15族元素をSeと置換させるとともに、Inなどの第13族元素をZnと置換させるか、もしくはClなどの第17族元素をSeと置換させることが有効である。
上記のp型半導体の形成方法は、半導体の種類、バルクか薄膜かなどによって最適な方法は異なってくるが、基本的にはどのような手法であっても構わない。例えば、薄膜形成の場合、MBE法やMOCVD法により、母材である化合物半導体を構成する元素とドーピング元素とを同時に供給して成膜してもよいし、母材である化合物半導体層をMBE法やMOCVD法によって形成した後に、ドーピング元素をイオン注入や熱拡散により添加してもよい。
第1のドーピング元素と第2のドーピング元素を膜に入れるタイミングは、時間的に同時であっても異なっていてもどちらでもよいが、第1の元素を第2の元素より先にドーピングすると、前述のような陰性元素の抜けに伴うドナー性欠陥が発生するため、第2の元素を、第1の元素と同時にまたは第1の元素より先に、化合物半導体に対してドーピングすることが好ましい。
特に、第1の元素と第2の元素を同時にドーピングすると、混入された両元素が母材中の近傍に存在しやすくなるため、効果が非常に大きくなる。特に、第1の元素と第2の元素が化学結合力の強い組合せ(例えば、GaN中のMgとO等)である場合には、その傾向が顕著となるため好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ZnS:100gに対してIr2(SO4)3をIr元素量としてZn元素量に対して下記の量となるように、秤量、混合する。乳鉢中で20分以上混合したのち、真空中で1100℃3hr焼成する。焼成後、粉砕、水洗、乾燥を行うことで、Ir含有ZnS蛍光体を得た。
得られた蛍光体に330nmの紫外線で励起したときのフォトルミネッセンス(PL)の発光波長および発光強度を下表にまとめる。
Figure 2009170358
サンプルAは何も添加していないため、ほとんど発光しないのに対して、サンプルBでは445nmをピーク波長として発光が認められ、このピーク強度を100とすると、サンプルDの3200を最大に大幅な発光強度の増加を達成した。さらにサンプルFやGは添加量が多すぎるために、ZnS内に取り込むことのできないIrが粒子表面に析出しているため、全体的に黒っぽい。発光はするが粒子自体が黒いため、サンプルFに比べてさらに発光強度の絶対値は低い。さらにサンプルHは従来から知られている発光中心であるCuを共ドープしたものであるが、その発光波長は500nmと長波であり、発光強度も低かった。
得られたIr含有ZnS蛍光体は、445nm付近の青色にフォトルミネッセンスを示す新たな蛍光体であり、ZnSへドープすることによって可視発光するものとしては最も短波長で発光する材料のひとつである。
実施例2
透明ガラス基板1上に第1電極であるITOが厚さ200nmでスパッタにより形成されている透明電極(第1電極)2を基板とし、サンプルDの無機蛍光体材料を、該基板上にEB蒸着装置にて500nm成膜して発光層3とした。さらに蛍光体薄膜(発光層)上に下記表2に示すの組成比を有するp型半導体をEB蒸着装置にて200nmに成膜してp型半導体層4とした。いずれの成膜時も蒸着チャンバー内の真空度は1×10−6Torr、基板温度は200℃に設定した。さらに、結晶性を向上させるために、成膜後に同一チャンバー内で600℃、1hr.熱アニールを施した。続いて、抵抗加熱蒸着により第2電極(背面電極)5である銀を蒸着することで、直流駆動型無機EL素子を得た。第2電極5である銀電極をプラスに、第1電極2であるITOをマイナスにして、直流電源を接続し、電流を流したところ、発光が確認された。
Figure 2009170358
中でも素子4は素子1に比較してEL発光輝度が3倍程度高く、さらに素子7が素子1に比較して5倍程度高かった。p型半導体層を導入することによりEL発光輝度が著しく増大することがわかった。
実施例2の直流駆動型無機EL素子の構造の概略を示す図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 透明電極
3 発光層
4 p型半導体層
5 背面電極

Claims (4)

  1. 少なくとも透明電極、発光層、背面電極を有する積層構造から成り、前記発光層が第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とし、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有する無機蛍光体からなり、さらに発光層と背面電極間に、p型半導体層を有することを特徴とする無機EL素子。
  2. 前記p型半導体が第12−16族化合物から選ばれる一種、またはそれらの混晶を母体材料とすることを特徴とする請求項1に記載の無機EL素子。
  3. 前記p型半導体が周期律表の第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素と、周期律表の第13族に属する元素及び第17族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする請求項2に記載の無機EL素子。
  4. 前記周期律表の第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量が前記周期律表の第13族に属する元素及び第17族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量の1.5〜3.0倍であることを特徴とする請求項3に記載の無機EL素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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