JPH08283444A - 帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体 - Google Patents

帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体

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JPH08283444A
JPH08283444A JP11922695A JP11922695A JPH08283444A JP H08283444 A JPH08283444 A JP H08283444A JP 11922695 A JP11922695 A JP 11922695A JP 11922695 A JP11922695 A JP 11922695A JP H08283444 A JPH08283444 A JP H08283444A
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JP
Japan
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polyolefin resin
foam
antistatic
resin
crosslinked foam
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JP11922695A
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English (en)
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Shigeo Kamijukkoku
成夫 上拾石
Yukinari Nakatsu
幸成 中津
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリオレフィン系樹脂の独立気泡架橋発泡体
の気泡内面に帯電防止剤の被膜が形成されてなることを
特徴とする、帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂
架橋発泡体。 【効果】 優れた帯電防止性を発揮でき、かつその効果
を半永久的に持続することができる。また、比較的低い
添加量で広範囲の発泡倍率でも優れた帯電防止性を発揮
でき、帯電防止剤を添加してあるにもかかわらず、機械
的特性、接着性の低下がない。さらに、融点の高い帯電
防止剤を使用しているため発泡体の耐熱性を損なうこと
もない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性に優れたポ
リオレフィン系樹脂架橋発泡体に関する。さらに詳しく
は、自動車内装用緩衝材、建築材、産業資材、家具、家
庭用電気器具などに使用できる、帯電防止性、成形性、
耐熱性、断熱性、緩衝性に優れたポリオレフィン系樹脂
架橋発泡体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
は、耐熱性、軽量性、断熱性、緩衝性、遮音性に優れて
いることや各種の加工法による成形が容易であることか
ら、自動車内装用パッド材や建築用途などの断熱材、パ
ッキン、カーペットアンダレイ用途など広範囲の分野で
利用されている。
【0003】しかし、ポリオレフィン系樹脂、特にポリ
エチレン、ポリプロピレン系樹脂は、元来骨格構造に極
性を持っていないため静電気を帯びやすいことが欠点と
されており、その帯電防止性、なかんずく帯電防止剤の
ブリードによる弊害のない永久帯電防止性ポリオレフィ
ン系樹脂架橋発泡体が切望されている。
【0004】従来、これらの帯電防止法としては、アニ
オンまたはカチオン系の界面活性剤やベタイン系の低分
子添加剤を練り込んだり、表層に塗布したり、あるいは
特開昭63−284225号公報、特開平4−1983
08号公報に提案されているイオン化変性ポリエチレン
系樹脂を練り込んだり、あるいは界面活性剤を用いエマ
ルジョン化したものを表層に塗布したり、特公昭50−
29740号公報に提案されているアルキルアミン系添
加剤を練り込んだり、本発明と同系列であるドデシルベ
ンゼンスルフォン酸ソーダを練り込んだり、また、導電
性カーボンや金属粉末を練り込んだりしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前者の有機系の帯電防
止剤を用いる場合は、いずれも、ブリードアウトさせる
ことにより発泡体表面の帯電防止剤濃度を高めて帯電防
止効果を得るものであるが、ブリードアウトすることに
より発泡工程などの設備、環境を汚染したり、あるいは
接着性が低下したりするなどの問題がある。後者のドデ
シルベンゼンスルフォン酸ソーダを用いる方法は、極性
を持たない樹脂には効果が薄く、また、融点を持ってい
ないためフィラーとして分散し、発泡体の物性を低下さ
せる問題があった。同様に導電性カーボンや金属粉末
も、導電性、すなわち帯電防止性には優れるものの発泡
体の物性を低下させる問題があり、帯電防止性、接着
性、成形性、耐熱性、断熱性、緩衝性などの特性を同時
に満足するものはなかった。
【0006】また、従来、帯電防止性は電気的な表面抵
抗あるいは表面比抵抗などのレベルで判断していたが、
導電性のカーボンブラック、金属粉末、金属繊維などを
添加して導電経路を設けたものは別として、帯電防止性
のあると判断されるレベルのものでも摩擦したのちの帯
電量、帯電減衰時間を測定すると、まったくその効果が
ない場合があり、発泡体においては、単なるシート、フ
ィルムなどの帯電防止機構とは異なる機構の帯電防止法
の開発が要求されていた。
【0007】本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂に特
定の帯電防止剤を用い、架橋、発泡し、発泡体の気泡内
面に帯電防止剤の被膜を形成させることにより、ブリー
ドアウトがなく、発泡体の物性を低下させることなく、
また、発泡体自身の静電気の蓄積を防止し、良好な帯電
防止性を示すことのできるポリオレフィン系樹脂架橋発
泡体を見出だし、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明の目的は、帯電防止性に優
れ、ブリードアウトがなく、発泡体の物性の低下がない
ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、本発明はポリ
オレフィン系樹脂に特定の帯電防止剤を添加し、架橋、
発泡することにより、独立気泡架橋発泡体の気泡内面に
帯電防止剤の被膜を形成させた、帯電防止性に優れたポ
リオレフィン系樹脂架橋発泡体であることを特徴とする
ものである。
【0010】本発明に用いる特定の帯電防止剤は、一般
式(1) Cn 2n-1−CH−(Cn 2n-1)−SO3 M (1) (Cn 2n-1はnが9〜13の飽和炭化水素、Mはアル
カリ金属塩)で表されるアルケニルスルフォン酸金属塩
で融点が150〜210℃のものであることが好まし
い。ここでSO3 Mはセカンダリー位に配位したものが
好ましい。これはSO3 Mがセカンダリー位に配位する
ことにより、上記融点を持つアルケニルスルフォン酸金
属塩となり、容易に気泡内面に帯電防止剤の被膜を形成
させ、ブリードアウトによる弊害を防止できるためであ
る。なおCn 2n-1における炭素数nは9〜13、好ま
しくは10〜12である。炭素数nが9未満であると融
点が低下し、発泡体用シート成形時アルケニルスルフォ
ン酸金属塩が溶融し、可塑剤的効果を発揮し樹脂の溶融
粘度を低下させるためシート冷却が難しくなり良好なシ
ートを得ることができないので好ましくなく、一方、1
3を越えると融点が上昇するためアルケニルスルフォン
酸金属塩の溶融による弊害はなくなるが、構造物中の金
属塩濃度が低下し、帯電防止効果が低下するので好まし
くない。なお、目的によって本帯電防止剤に同種のアル
ケニルスルフォン酸金属塩、すなわちSO3 Mがセカン
ダリー位に配位したものでないものを併用する場合があ
るが、この場合、全アルケニルスルフォン酸金属塩中に
本帯電防止剤は50重量%以上、好ましくは60重量%
以上含有されていることが必要である。これは、併用す
る場合、必然的に帯電防止効果を損なう方向となるた
め、極力高濃度が好ましいという理由からである。
【0011】本帯電防止剤の融点は、好ましくは150
〜210℃、より好ましくは160〜200℃である。
融点が150℃未満では帯電防止剤が溶融し、まんべん
なくシート中に分散し、少ない添加量で帯電防止効果を
得る点では好ましいが、前記の如く発泡体用シート成形
時アルケニルスルフォン酸金属塩が溶融し、可塑剤的効
果を発揮するためシート成形が難しくなるので好ましく
なく、一方、210℃を越えると発泡時の温度でアルケ
ニルスルフォン酸金属塩が溶融し、発泡ガスの圧力によ
り気泡の成長とともに気泡内面にアルケニルスルフォン
酸金属塩膜を形成させるが溶融しても発泡ガス圧では均
一に被膜となるような粘度とならないので好ましくな
い。本アルケニルスルフォン酸とスルフォン酸塩を生じ
る金属(M)としては、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属、アルミ、亜鉛などが例示されるが、なかでもナ
トリウム、カリウム、リチウムが好ましく、さらに好ま
しくは金属自体の毒性など衛生面からナトリウムが好ま
しい。本帯電防止剤の製造方法の一例としては特開平5
−222241号公報によるもの等がある。
【0012】上記帯電防止剤の含有量は、本発明のポリ
オレフィンリオレフィン系樹脂100重量部に0.1〜
10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。配合
量が0.1重量部未満であると帯電防止性を得るに必要
な量が不足し帯電防止性が悪化するので好ましくなく、
一方、10重量部を越えると帯電防止性の点では好まし
いが、これ以上添加しても帯電防止性能は良くならず、
逆に気泡内面の帯電防止剤被膜の厚さが厚くなり、発泡
体が硬くなるので好ましくない。
【0013】本発明に用いるポリオレフィン系樹脂とし
ては、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂
が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単
独の重合体(つまり、ポリエチレン)またはエチレンと
炭素数が4〜12のα−オレフィンを共重合した密度が
0.915〜0.94g/cm3 、MFRが1〜30g
/10分の樹脂が好ましい。エチレンとα−オレフィン
との共重合体では、共重合するα−オレフィンの種数は
特に限定されないが、一般的にはエチレンとα−オレフ
ィンの2元共重合体で好ましくは炭素数4〜8のものを
共重合したものが、価格、物性の両面から有利である。
密度は0.915〜0.94g/cm3、好ましくは
0.920〜0.935g/cm3 である。密度が0.
915g/cm3 未満であると樹脂の柔軟性が顕著とな
り、ベタツキを生じ、発泡体としたときブロッキングが
発生したり、機械的強度が低下するので好ましくない。
一方、0.94g/cm3 を越えると、機械的強度の点
では好ましいが伸びが低下したり、発泡体としたときの
圧縮回復性が低下するので好ましくない。MFRは1〜
30g/10分、好ましくは2〜15g/10分であ
る。MFRが1g/10分未満であると、樹脂の溶融粘
度が高くなるため発泡用シート製造時剪断発熱により発
泡剤の分解が起こりやすくなり、粗大気泡を発生しやす
くなるので好ましくない。一方、30g/10分を越え
ると、溶融粘度が低くなるためシート製造上では好まし
いが、高温下での樹脂の抗張力が低下するため成形加工
したとき偏肉が発生しやすくなるので好ましくない。な
お、これらのポリエチレン系樹脂においてエチレン単独
重合体、具体的には高圧法低密度ポリエチレン樹脂とエ
チレンとα−オレフィンの共重合体、具体的には直鎖状
低密度ポリエチレン樹脂または高密度ポリエチレン樹脂
とを混合して用いてもよい。
【0014】一方、ポリプロピレン系樹脂を用いる場合
は、ポリプロピレン単独またはプロピレンとエチレンも
しくは炭素数が4〜8のα−オレフィンが2〜15重量
%ランダムもしくはブロック共重合された融点が125
〜155℃、MFRが0.5〜10g/10分の樹脂が
好ましい。ポリプロピレン系共重合体の場合、共重合す
るエチレンもしくは炭素数が4〜8のα−オレフィンの
種数には特に制限はないが、エチレン、ブテン、ヘキセ
ン、あるいはエチレン・ブテン、エチレン・ヘキセンな
どが挙げられるが、発泡体の機械強度を維持するには炭
素数が極力大きく、かつ、3元共重合のものが好まし
い。共重合されるエチレンもしくは炭素数が4〜8のα
−オレフィンの含有量は2〜15重量%、好ましくは3
〜8重量%である。2重量%未満であると樹脂の結晶性
が高くなり、また融点も高くなるため硬い発泡体となり
緩衝性が低下するとともに低温下での耐衝撃性が悪化し
たり、発泡用シート製造時剪断発熱により発泡剤の分解
が起こりやすくなり粗大気泡を発生しやすくなるので好
ましくない。一方、15重量%を越えると緩衝性、耐衝
撃性の点では好ましいが、融点が低下するため耐熱性が
低下するので好ましくない。樹脂の融点は125〜15
5℃、好ましくは130〜145℃であるが、融点が1
25℃未満であると耐熱性の点から用途的に制限が発生
するので好ましくなく、155℃を越えると融点が高く
なり用途的に広範囲をカバーできる点では好ましいが、
発泡用シート製造時剪断発熱により発泡剤の分解が起こ
りやすくなり粗大気泡を発生しやすくなるので好ましく
ない。MFRは0.5〜10g/10分、好ましくは1
〜3g/10分である。MFRが0.5g/10分未満
であると樹脂の溶融粘度が高くなるため、発泡用シート
製造時剪断発熱により発泡剤の分解が起こりやすくなり
粗大気泡を発生しやすくなるので好ましくない。一方、
10g/10分を越えると、溶融粘度が低くなるためシ
ート製造上は好ましいが、発泡体の伸びが低下したり、
真空成形など加熱成形加工時に形状の保持が悪化し、良
好な成形品が得られにくくなるので好ましくない。
【0015】本発明においては、上記のポリプロピレン
系樹脂とポリエチレン系樹脂を混合して用いてもよく、
この場合には、ポリエチレン系樹脂10〜50重量%、
好ましくは15〜40重量%、ポリプロピレン系樹脂5
0〜90重量%、好ましくは60〜85重量%である。
また、このような混合は、帯電防止性以外に耐熱性、低
温下での耐衝撃性、加熱成形性などを同時に要求される
分野で使用するのに好適である。
【0016】本発明の独立気泡架橋発泡体においては、
架橋度が10〜70%、好ましくは20〜60%であ
る。架橋度が10%未満では、発泡体としたとき発泡ガ
スを保持する能力が不足し気泡が破れてガスが逸散し所
定の発泡倍率にならなかったり、また、同時に帯電防止
剤の被膜が破壊されるため発泡体表面に析出して接着性
などに悪影響が出るので好ましくなく、一方、70%を
越えると、気泡が細かくなり発泡ガスを保持する能力の
点では好ましいが、発泡体自体が硬くなり、緩衝性が低
下するので好ましくない。
【0017】また本発明の樹脂成分には、前記ポリプロ
ピレン系、ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系
樹脂を30重量%以下混入してもよい。具体的には低密
度ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メ
タ)アルキルアクリレート共重合体あるいはこれらのエ
チレンとの共重合体に第三成分として無水マレイン酸を
共重合した3元共重合体等が例示される。中でもエチレ
ン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン
−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−(メタ)アルキ
ルアクリレート共重合体あるいはこれらのエチレンとの
共重合体に第三成分として無水マレイン酸を共重合した
3元共重合体が好ましい。混入量が30重量%を越える
と柔軟性、緩衝性の点では好ましいが、耐熱性、機械強
度、成形性が低下するので好ましくない。
【0018】その他、必要に応じて熱安定剤、耐候剤、
難燃剤、難燃助剤、具体的にはアンチモン化合物、分散
剤、架橋剤、架橋助剤を添加してもよい。
【0019】本発明において適応できる分解型発泡剤と
しては、有機、無機系の各種のものがあるが、有機系に
はアゾジカルボンアミド、N,N′−ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、P,P′−オキシベンゼンスルフ
ォニルヒドラジド等、無機系には炭酸ナトリウム、炭酸
アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシウムアジド
等が挙げられる。
【0020】本発明においては発泡体の樹脂部分が架橋
されていることが必要であるが、架橋方法としてはパー
オキサイド等の過酸化物を添加して行う、いわゆる化学
架橋法、電離性放射線を照射して行う放射線架橋法が例
示できる。化学架橋法の場合は、ジクミルパーオキサイ
ド、t−ブチルパー−ベンゾエート、ジタ−シャリ−ブ
チルパーオキサイド等の過酸化化合物を樹脂成分に対し
0.5〜5重量部添加して架橋させる公知の手法が適用
できる。電離性放射線を照射して行う放射線架橋法の場
合は電子線照射による公知の手法の適用が好ましい。
【0021】本発明による発泡方法としては公知の方法
が適用できるが、具体的には縦型熱風発泡法、横型熱風
発泡法、横型薬液発泡法などの連続シート状として製造
できるものに限定される。
【0022】次に本発明による帯電防止性に優れたポリ
オレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方法の一態様につい
て説明する。プロピレンにエチレンを4重量%ランダム
共重合した融点が136℃、MFR0.8g/10分の
ポリプロピレン系樹脂80重量部とエチレンとヘキセン
を共重合した密度が0.93g/cm3 、MFRが6g
/10分のポリエチレン系樹脂20重量部の混合物10
0重量部に前記一般式(1)でRの炭素数が12、Mが
Na、融点が195℃のアルケニルスルフォン酸ソーダ
の微粉末(平均粒径15μm)2重量部、熱安定剤とし
てIrgnox1010を0.2重量部を混合して加圧
ニーダーに投入し、樹脂温度が180℃より上がらない
よう注意しながら第一段目の混練を行い、溶融状態で樹
脂、帯電防止剤、安定剤を十分に分散させる。更に、こ
の物に架橋助剤としてp体含有率が28%のジビニルベ
ンゼン3kg投入して第二段目の混練を行い架橋助剤を
微分散させる。さらに分解型発泡剤としてアゾジカルボ
ンアミド12重量部を投入して第三段目の混練を行い発
泡用樹脂組成物とする。この物をロール混練機に通し、
ガット径2mmのフィラメント状に成形して取りだし、
ペレタイザーでカット長2mmのペレットにする。この
混合原料ペレットを発泡剤の分解しない温度、具体的に
は170〜185℃に加熱したベント付き押出機に導入
して、セットされているTダイから押し出し、空気巻込
みによる気泡のない厚さが1.5mm、幅が430mm
の連続シート状にして巻き取った。
【0023】このシートに電子線照射によって発泡に適
した架橋、すなわち発泡体としたときに架橋度が10〜
70%となるように電子線を照射して架橋を付与した。
このシートを発泡剤の分解温度より30〜100℃高い
温度に加熱した熱風加熱方式の縦型熱風発泡炉に連続的
に導入して発泡させた。
【0024】このようにして得られた発泡体は、厚みが
3mm、幅が1350mm、発泡倍率が30倍の表面の
平滑な発泡体であった。
【0025】本発泡体はスタティックオネストメーター
法((株)宍戸商会社製)による帯電減衰時間が5秒以
下、全減衰時間も15秒以下で、また、ポリエステル製
タフタ布で摩擦したのち微粉化した煙草灰の吸着テスト
でも全く煙草灰が付着しない、極めて優れた帯電防止性
を示した。
【0026】また、本発泡体を凍結(液体窒素により)
させたのち割断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)
で観察した結果、気泡の内面に樹脂とは異なる層が確認
され、さらに、この部分をSEM−XMA(X線質量分
析)で分析した結果、金属成分としてNaの吸収が強く
確認され、この部分が帯電防止剤によって形成されてい
ることがわかった。
【0027】本発明は上述したように、特定のポリプロ
ピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂に特定のアルケニル
スルフォン酸金属塩系帯電防止剤を配合し、架橋発泡体
としたことにより帯電防止剤が気泡内面に層として形成
されるため、下記のような優れた特徴を示すものであ
る。 (1)高度な帯電防止性を持ち、かつ半永久的な効果を
持続する。 (2)比較的低い添加量で広範囲の発泡倍率でも帯電防
止性が発揮される。 (3)帯電防止剤を添加してあるにもかかわらず、機械
的特性、ブリードアウトしないため接着性の低下がな
い。 (4)特定の融点の高い帯電防止剤を使用しているため
発泡体の耐熱性を損なうことがない。
【0028】このような本発明の効果の得られるより詳
細な理由については定かではないが、本来、本発明に用
いたアルケニルスルフォン酸金属塩系帯電防止剤はブリ
ードアウトにより帯電防止効果を発揮するもので、従来
型の低分子型界面活性剤と同様と考えられるが、本発明
においては帯電防止剤が気泡内面に形成されているた
め、ブリードアウトが防止され、一方、帯電防止性を示
すパラメータとして用いられる表面抵抗、表面比抵抗は
さほど良い値を示さないが実際の帯電防止性は大幅に向
上する。これは、帯電防止剤が気泡内面に形成されてい
るため摩擦などで帯電したとき発泡体の内部で電荷が中
和され、結果的に電荷の蓄積が防止されるためと考えら
れる。
【0029】本発明による発泡体は、高帯電防止性を有
しつつ、物性の低下がないか、もしくは僅かであるた
め、帯電防止性、断熱性、気泡状態、成形性、耐熱性の
特徴を活かして、パイプカバー、エアコンパネル裏打ち
材、鉄板と貼り合わせ山形に成形した断熱折板、各種の
表皮と貼り合わせた自動車内装用緩衝材、鉄板等の不燃
材と貼り合わせたエンジンルーム仕切り板、無機繊維マ
ットと貼り合わせた不燃性ボード用裏打ち材等、金属
板、金属フォイル、フィルム、無機繊維等との複合品
等、各種の分野に適用できる。なかでも、静電気による
ゴミの付着などの汚れが問題となるパッキン用途や、ラ
ミネート分野には有益な発泡体となる。
【0030】本発明における測定法、評価基準は次の通
りである。 (1)帯電防止性 スタティックオネストメータ( (株) 宍戸商会製)を用
い、試料に強制的に10KVの電圧を印加し、平衡帯電
電圧となった時点で、チャージ電圧を切り、電荷の減衰
速度を時間的にとり、半減時間をもって帯電防止性を判
断する。
【0031】(2)架橋度 発泡体を細断し、0.2g精秤する。これを130℃の
テトラリン中に浸積し、攪拌しながら3時間加熱し溶融
部分を溶解せしめ、不溶部分を取り出しアセトンで洗浄
してテトラリンを除去後、純水で洗浄しアセトンを除去
して120℃の熱風乾燥機にて水分を除去して室温にな
るまで自然冷却する。このものの重量(W1 )gを測定
し、次式で架橋度を求める。 架橋度 = (0.2−W1 /0.2)×100 (%)
【0032】(3)ブリードアウト 発泡体を20cm×25cmに切り出し、その表面に同
じサイズの曇りのない透明なシート(たとえばポリメチ
ルメタクリレート製シート)を重ね、40℃の熱風オー
ブンに1週間入れ、取り出して室温に冷却後、発泡体と
接触したシート面を目視し、シート表面の曇り状態で判
断する。 ブリードアウト : シート表面の曇り無し : 合格 曇り、付着物有り : 不合格
【0033】(4)ブロッキング 発泡体を2cm×25cmの短冊状に2枚切り出し、2
枚を長さ方向に2cm×5cmに部分的に重ね、重ねた
部分に10g/cm2 の荷重が均一に掛かるようにして
40℃の熱風オーブンに2日間入れ、取り出して荷重を
除去して室温に冷却後、ショッパー型引張試験機に掛
け、発泡体の重ね部分の剥がれ強さを測定し、次の基準
でブロッキングを判断する。 ブロッキング : 剥がれ強さ100g/本未満 : 合格 剥がれ強さ100g/本以上 : 不合格
【0034】(5)接着性、印刷性 発泡体の表面にコロナ放電処理を行い、表面張力を37
dyne/cm以上とした後、40℃の熱風オーブンに
2日間入れ、取り出してポリプロピレン用印刷インキ
(東洋インキ(株)製)を9#のバーコータを用い、固
形分で20g/m2 塗布し、2日間放置する。この印刷
面の上に、セロハン粘着テープ(25mm幅、セキスイ
化学(株)製)を貼り付け剥離し、インキの取れ方を目
視し、次の基準で接着性、印刷性を判断する。 接着性、印刷性 : 剥離面のインキが70%以上残っているもの : 合格 剥離面のインキが70%未満残っているもの : 不合格
【0035】(6)発泡倍率 発泡体から10cm×10cmのサンプルを切り出し、
その厚みt1 (cm)と重量W2 (g)を測定し、次式
で本発明の発泡倍率を算出する。 発泡倍率 = W2 /(10×10×t1 ) (g/cm3
【0036】(7)成形性 直径(D)に対し深さ(L)のカップ状の成形金型を備
えた真空成形機で成形し、発泡体が破れることなくカッ
プ状に成形されたL/D比を成形性とする。L/Dが
0.5以上を合格とする。
【0037】(8)融点 示差走査熱量計(パーキンエルマー社DSCII)で測
定した溶融吸熱カーブの最も大きなピークを融点とす
る。
【0038】(9)MFR ポリプロピレン系樹脂はJIS−K−6758、ポリエ
チレン系樹脂はJIS−K−6760に準じて測定す
る。
【0039】(10)密度 ポリエチレン系樹脂はJIS−K−6760に準じて測
定する。
【0040】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明する。 実施例1 表1、表2に示すように、プロピレン(PP)にエチレ
ン(ET)を4.8重量%ランダム共重合した融点が1
34℃、MFR0.8g/10分のポリプロピレン系樹
脂の粉体100重量部とエチレンとオクテン(OT)を
共重合した密度が0.935g/cm3 、MFRが6g
/10分のポリエチレン系樹脂の粉体25重量部の混合
物100重量部に、一般式 Cn 2n-1−CH−(Cn 2n-1)−SO3 M で表される融点が190℃のアルケニルスルフォン酸金
属塩でnが13、MがKa、平均粒径が20μmのもの
3重量部、熱安定剤としてIrgnox1010を0.
5重量部、TSTDPを1.0重量部をヘンシェルミキ
サーに投入し、第一段目の分散混合を行い、架橋助剤と
してジビニルベンゼン4重量部を投入して均一混合し
た。さらに分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド1
2kgを投入して混合し、発泡用樹脂組成物とする。こ
の混合原料を発泡剤の分解しない温度、具体的には15
0〜180℃に加熱したベント付き押出機に導入して、
セットされているTダイから 押し出し、空気巻込みに
よる気泡のない厚さが1.5mm、幅が470mmの連
続シート状に成形して巻き取った。
【0041】このシートに10.5Mradの電子線を
照射し、架橋せしめた。このシートを210→220→
225℃の順に加熱したシリコーン薬液法の発泡装置に
導入、発泡し、連続シート状発泡体として巻き取った。
【0042】この発泡体は、架橋度が38%、発泡倍率
が28倍で、厚みが3.5mm、幅1350mmの製品
であった。この製品の特性を表3に示す。
【0043】表3に示すの如く、本発明範囲の発泡体で
あるため、帯電防止性、ブリードアウト、ブロッキン
グ、印刷・接着性はいずれも良好な値を示し、成形性、
機械強度、伸びなどの要求特性の低下がない帯電防止性
に優れたポリプロピレン系架橋発泡体となった。
【0044】実施例2、3、比較例1〜3 表1に示したような成分を用い、表2に示したような方
法にて発泡体とし、得られた発泡体の特性を表3に示し
た。このように、実施例に示した本発明による発泡体
は、特定のアルケニルスルフォン酸金属塩を、配合比の
適正化、架橋の適正化を行ったため卓越した帯電防止性
を示し、また、従来の低分子型、あるいは本発明外の帯
電防止剤を使用していないため製造上の弊害、品質上の
弊害もなく、機械物性、成形性などの品質低下のない帯
電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体であ
る。
【0045】一方、比較例に示した従来の低分子型、あ
るいは本発明外の帯電防止剤を用いたポリオレフィン系
樹脂架橋発泡体は、樹脂や本発明を満足しないため帯電
防止性に劣ったり、ブリードアウトによるブロッキング
や接着性、印刷性、あるいは成形性や機械物性の低下し
たものであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の帯電防止
性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体によるとき
は、特定の帯電防止剤を用いて気泡内面に帯電防止剤の
被膜を形成したので、優れた帯電防止性を発揮でき、か
つその効果を半永久的に持続することができる。また、
比較的低い添加量で広範囲の発泡倍率でも優れた帯電防
止性を発揮でき、帯電防止剤を添加してあるにもかかわ
らず、機械的特性、接着性の低下がない。さらに、融点
の高い帯電防止剤を使用しているため発泡体の耐熱性を
損なうこともない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂の独立気泡架橋発
    泡体の気泡内面に帯電防止剤の被膜が形成されてなるこ
    とを特徴とする、帯電防止性に優れたポリオレフィン系
    樹脂架橋発泡体。
  2. 【請求項2】 前記帯電防止剤が次の一般式(1) Cn 2n-1−CH−(Cn 2n-1)−SO3 M (1) (Cn 2n-1はnが9〜13の飽和炭化水素、Mはアル
    カリ金属塩)で表される融点が150〜210℃のアル
    ケニルスルフォン酸金属塩からなる、請求項1の帯電防
    止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体。
  3. 【請求項3】 前記帯電防止剤が、ポリオレフィン系樹
    脂100重量部に0.1〜10重量部添加されてなる、
    請求項1または2の帯電防止性に優れたポリオレフィン
    系樹脂架橋発泡体。
  4. 【請求項4】 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレ
    ン樹脂もしくはエチレンと炭素数が4〜12のα−オレ
    フィンとの共重合樹脂または、これらの混合物からな
    る、請求項1ないし3のいずれかに記載の帯電防止性に
    優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体。
  5. 【請求項5】 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピ
    レン単独またはプロピレンとエチレンもしくは炭素数が
    4〜8のα−オレフィンとの共重合樹脂からなる、請求
    項1ないし3のいずれかに記載の帯電防止性に優れたポ
    リオレフィン系樹脂架橋発泡体。
  6. 【請求項6】 前記独立気泡架橋発泡体の架橋度が10
    〜70%である、請求項1ないし5のいずれかに記載の
    帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体。
JP11922695A 1995-04-19 1995-04-19 帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体 Pending JPH08283444A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143935A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Furukawa Electric Co Ltd:The ポリエチレン系樹脂架橋発泡体

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