JPH08277924A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JPH08277924A
JPH08277924A JP8016995A JP8016995A JPH08277924A JP H08277924 A JPH08277924 A JP H08277924A JP 8016995 A JP8016995 A JP 8016995A JP 8016995 A JP8016995 A JP 8016995A JP H08277924 A JPH08277924 A JP H08277924A
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pressure
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Abstract

(57)【要約】 【目的】無段変速機の耐久性と性能の両立を図る。 【構成】オイルポンプの回転速度が所定値以下で、ダウ
ンシフト要求があり、その変速幅が大きいときに所定時
間変速圧制御用の電磁弁のデューティ比を固定して変速
圧の低下を防止し、その後目標変速比に応じた変速圧の
フィードバック制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば動力源(エンジ
ン等)と駆動軸との間に介装される無段変速機の制御装
置の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、有効径が連続的に変化可能な2
つのプーリと、両プーリ間に巻き掛けられるベルトと、
を備え、一方のプーリのアクチュエータにはライン圧を
供給し、他方のプーリのアクチュエータには変速制御の
ために該ライン圧を元圧とし変速制御弁を介して所定圧
に調節した油圧(油量)を供給して無段変速を行なわせ
るようにした無段変速機(CVT)の変速制御装置にお
いて、前記ライン圧は、以下の要件を満たすように設定
されるのが一般的である。
【0003】即ち、 ベルトが滑らないこと。→ライン圧は高い方がよ
い。 ベルト押付け力の過大により各部耐久性が損なわれ
ず、回転フリクションが過大とならないこと。→ライン
圧は低い方がよい。 オイルポンプロスによる燃費悪化を招かないこと。
→ライン圧は低い方がよい。
【0004】さらに、ダウンシフト時等の変速過渡時に
おいてベルトが滑らないように、変速過渡時に応じた適
切な油圧を与えるべく、変速過渡時に一時的にライン圧
を上昇させる方法が、例えば、特公昭63−661号公
報、特公平5−50615号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ライン
圧の元圧を発生させるオイルポンプの吐出量が低下する
低回転領域 (例えば1200rpm以下) では、図24
に示すように一時的に油圧の上昇遅れが発生する。ダウ
ンシフト時は、一方 (プライマリ側) のプーリの制御油
圧 (変速圧) を下げることで行われるため、該変速圧の
ベースとなるライン圧 (セカンダリ側プーリの制御油
圧) の上昇が遅れると、目標変速比を維持するように作
用してプライマリ側の変速圧が低下してしまい、条件に
よってはベルトの滑りを発生させてしまう。
【0006】これに対し、特開平4−181057号公
報には、オイルポンプ吐出量の低下する低回転領域で
は、変速速度を所定値以下に制限してプライマリ側の油
圧が低下するのを防止することが開示されている。しか
し、上記のように変速速度を制限することで対応する
と、ドライバが早く変速したいと意図してアクセルを早
く踏み込んだ場合でも、変速は遅く行われる結果となっ
てしまい、運転フィーリング上好ましくない。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
なされたもので、各回転部材と動力伝達部材との接触圧
を適正に制御することにより、変速速度を低下すること
なく動力伝達部材の滑りを無くして良好な変速が行われ
るようにした無段変速機の制御装置を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記
載の発明は、図1に実線で示すように、駆動側回転部材
と、被駆動側回転部材と、これらの間に介装され両者間
で動力を伝達する動力伝達部材と、を備え、一方の回転
部材と動力伝達部材との接触面圧をライン圧として制御
し、他方の回転部材と動力伝達部材との接触面圧を前記
ライン圧を目標変速比に応じて調整した変速圧として制
御することにより、各回転部材の回転中心から前記動力
伝達部材との接触点までの半径の比を無段階に変化させ
て変速比を無段階に制御する無段変速機の制御装置にお
いて、前記変速圧を低下する方向に急変速する条件を検
出する急変速条件検出手段と、前記急変速条件検出手段
により前記急変速条件が検出されたときに、前記ライン
圧を所定期間増大させるライン圧増大制御手段と、前記
ライン圧増大制御手段によるライン圧増大制御の開始
後、該ライン圧の上昇遅れが発生する条件を検出するラ
イン圧上昇遅れ条件検出手段と、前記ライン圧上昇遅れ
条件検出手段により前記ライン圧の上昇遅れが発生する
条件が検出されたときに、該ライン圧の上昇遅れに相当
する期間、前記変速圧の低下制御を遅延する変速圧低下
制御遅延手段と、を含んで構成したことを特徴とする。
【0009】また、請求項2に係る発明は、図1に点線
に示すように、前記目標変速比への変速速度を演算する
変速速度演算手段を備え、前記急変速条件検出手段は、
前記変速速度演算手段で演算された変速速度が所定以上
大きい状態を、前記変速圧を低下する急変速条件として
検出することを特徴とする。
【0010】また、請求項3に係る発明は、図1に一点
鎖線で示すように、無段変速機は車両に搭載され、前記
ライン圧は車両走行用の原動機によって駆動されるオイ
ルポンプからの吐出油圧を元圧として調圧されると共
に、オイルポンプの回転速度を検出する回転速度検出手
段を備え、前記ライン圧上昇遅れ条件検出手段は、前記
オイルポンプの回転速度が所定以上低い状態を、前記ラ
イン圧の上昇遅れが発生する条件として検出することを
特徴とする。
【0011】また、請求項4に係る発明は、図1に二点
鎖線で示すように、前記ライン圧を検出するライン圧検
出手段を備え、前記変速圧低下制御遅延手段は、前記ラ
イン圧検出手段で検出されたライン圧が所定値以上とな
るまでの期間、前記変速圧の低下制御を遅延させること
を特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1に係る発明によれば、急変速条件検出
手段が変速圧を低下する方向の変速、例えば駆動側回転
部材を変速圧で制御する場合はダウンシフトであって、
所定以上の急変速を行う条件 (車両用の変速機の場合は
急加速時) を検出すると、ライン圧増大制御手段が過渡
的に所定期間ライン圧を増大させることにより、該ライ
ン圧をベースとして目標変速比に応じて設定される変速
圧の低下を防止してベルトの滑りを抑制する。
【0013】しかし、ライン圧の上昇遅れを発生する条
件では、該ライン圧の上昇遅れ中は目標変速比に応じて
設定される変速圧が低下してしまうので、該条件をライ
ン圧上昇遅れ検出手段が検出すると、前記変速圧低下制
御遅延手段によって少なくともライン圧の上昇遅れ期
間、変速圧を低下する制御を遅延することにより、変速
圧の低下を阻止する。
【0014】このように、ライン圧の上昇遅れ期間中は
変速圧の低下を阻止することにより変速圧で制御される
側の回転部材と動力伝達部材との滑りが防止され、耐久
性の低下を防止できる。また、ライン圧の上昇遅れに相
当する期間だけ変速圧の低下制御を遅延させればよいた
め、変速速度を制限する方式のように必要以上に変速時
間が長引いたりすることもない。
【0015】また、請求項2に係る発明によれば、変速
速度演算手段で変速速度が、変速圧の低下によって変速
圧で制御される回転部材と動力伝達部材との間に滑りを
生じる可能性のある変速速度以上のときだけライン圧を
増大させる急変速条件として検出することができ、必要
のないライン圧増大制御を行わなくて済む。また、請求
項3に係る発明によれば、回転速度検出手段により検出
されるオイルポンプの回転速度が所定以上低いときに
は、ライン圧を増大する制御を行ってもライン圧の元圧
であるオイルポンプの吐出油圧が低いのでライン圧の上
昇遅れを生じるので、該状態をライン圧上昇遅れ条件と
して検出して必要時のみ変速圧の低下制御を遅延させる
ことができる。
【0016】また、請求項4に係る発明によれば、ライ
ン圧検出手段によってライン圧が所定値となるまでの間
だけ変速圧の低下制御を遅延させればよいため、遅延時
間を必要最小限に留めることができる。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図2は本
発明の一実施例のシステム図である。エンジン1の出力
側に、ロングトラベルダンパ(回転変動吸収用のバネ式
ダンパ)2を介して、無段変速機(CVT)3が装備さ
れている。なお、後述する発進クラッチ15がエンジン
1と無段変速機3との間に介装される方式や、トルクコ
ンバータが介装される方式では、当該ロングトラベルダ
ンパ2を省略することもできる。
【0018】無段変速機(CVT)3は、エンジン1側
の駆動側回転部材としてのプライマリプーリ4と、駆動
軸(デフ)側の被駆動側回転部材としてのセカンダリプ
ーリ5と、これらの間に巻掛けられるゴム或いは金属、
若しくはこれらの組合せ等からなる動力伝達部材として
のベルト6とを備え、プライマリプーリ側アクチュエー
タ4a(変速制御用油圧室)への変速圧、及びセカンダ
リプーリ側アクチュエータ5a(張力制御用油圧室)へ
のライン圧の調整により、プーリ比(セカンダリプーリ
側ベルト巻き掛け有効径/プライマリプーリ側ベルト巻
き掛け有効径)を変化させて、変速比を無段階に変化さ
せることができるものである。但し、公知のトロイダル
式等の他のCVTを用いることもできる。即ち、無段変
速機3は、動力源の回転力を受ける駆動側回転部材と、
被駆動側回転部材と、これらの間に介装される動力伝達
部材と、を備え、各回転部材の回転中心から前記動力伝
達部材との接触点までの半径の比を無段階に変化させて
変速比を無段階に制御するようにした無段変速機であれ
ばよい。
【0019】変速圧及びライン圧は、オイルポンプ7に
つながる油圧回路8内部に配設された各油圧経路(例え
ば、破線部)内の油圧を、リリーフ機能を有する電磁弁
9,10等の開閉等と共に、前記油圧経路に介装される
変速圧及びライン圧制御のための流量制御弁を介して調
節されるが、この電磁弁9,10、流量制御弁の駆動制
御はコントローラ11により制御される。
【0020】つまり、走行条件等に応じて要求される変
速比が達成できるように、コントローラ11では、電磁
弁9,10、流量制御弁を介して、変速圧及びライン圧
を制御して、変速比を目標値に制御するようになってい
る。なお、電磁弁9,10、流量制御弁は、それぞれ複
数の電磁弁から構成され、その複数の電磁弁の開閉組合
せによって、目標の変速圧及びライン圧を達成するよう
に構成することもできる。
【0021】また、無段変速機3の出力側(セカンダリ
プーリ5)と駆動軸側(例えば、デフ)との間には発進
クラッチ15を介在させてあり、この発進クラッチ15
へのクラッチ圧は電磁弁16により制御され、この電磁
弁16もコントローラ11により制御されるようになっ
ている。なお、前記コントローラ11が、本発明にかか
る変速速度演算手段,圧力制御手段として機能する。
【0022】変速比やライン圧の制御のため、コントロ
ーラ11には、無段変速機3の実入力回転速度Nin(エ
ンジン3の回転速度Ne)を検出すべく入力側(プライ
マリプーリ4)の回転に同期してパルス信号を発生する
入力側回転センサ12、無段変速機3の実出力回転速度
Noを検出すべく出力側(セカンダリプーリ5)の回転
に同期してパルス信号を発生する出力側回転センサ1
3、エンジン1のスロットル弁の開度(スロットル開
度)TVOに対応した電圧信号を発生するポテンショメ
ータ式のスロットルセンサ14等から、それぞれ検出信
号が入力されている。尚、入力側回転センサ12として
はエンジン回転センサ、出力側回転センサ13としては
車速センサを用いることができる。
【0023】図3は、前記コントローラ11によって実
行される変速時のメインルーチンを示す。ステップ (図
ではSと記す。以下同様)101では、前記入力側回転セン
サ12によって検出されるエンジン3の回転速度Neし
たがってエンジン3で駆動されるオイルポンプ7の回転
速度が所定速度RA−HLD以下の低回転領域でオイル
ポンプ7による元圧が低すぎるため、ライン圧の上昇遅
れを生じる状態であるか否かを判定する。尚、前記入力
側回転センサ12はオイルポンプ7の回転速度を検出す
る回転速度検出手段を構成する。
【0024】そして、前記低回転領域であると判定され
た場合にはステップ102 へ進み、変速圧制御用の電磁弁
9の制御デューティ比を固定するホールド中であるか否
かを後述するホールドフラグの値で判定する。ホールド
中でないと判定されたときはステップ103 へ進み、ダウ
ンシフト制御の要求があるか否かを判定する。
【0025】ダウンシフトの要求があると判定された場
合はステップ104 へ進み、ダウンシフトの変速幅 (変速
比の変化量) が所定量以上大きいか否かを判定する。こ
こで、前記変速幅が所定量以上大きいときには、後述す
るダウンシフト時のライン圧増大制御を行う変速速度が
所定値以上となる条件を満たすように前記所定量が設定
されており、該ライン圧増大制御が行われる条件で後述
する変速圧の低下を遅延する制御が行われるようにして
いる。
【0026】そして、ダウンシフトの変速幅が大きいと
判定された場合はステップ105 へ進み、前記ホールドフ
ラグの値を1にセットしてホールド中とした後ステップ
108へ進む。前記ホールドフラグが1にセットされる
と、前記ステップ102 の判定でホールド中と判定されて
ステップ106 へ進み、所定時間が経過したか否かが判定
され、所定時間が経過するまではステップ108 へ進む。
ここで、前記所定時間はダウンシフト時に行われるライ
ン圧の上昇の遅れ時間に相当する。
【0027】ステップ108 では、ホールド中か否かが判
定され、前記したように変速幅の大きいダウンシフト制
御の要求があってから所定時間を経過するまでの間は、
ホールドフラグが1にセットされているので、ホールド
中と判定されてステップ109へ進む。ステップ109 で
は、前記電磁弁9のデューティ比が、変速圧を低下させ
ないデューティ比HLD−DTYに設定される。このデ
ューティ比HLD−DTYは、予め設定された値でもよ
いが、ダウンシフト開始直前のデューティ比に維持する
ようにしてもよく、ダウンシフトの要求によって変速圧
が低下することを阻止できるデューティ比とすればよ
い。
【0028】最後にステップ112 へ進み、前記ステップ
109 で設定されたデューティ比を持つ信号が前記電磁弁
9に出力され、変速圧が低下しないように制御される。
前記所定時間が経過するまでの間、つまり後述するよう
にダウンシフト要求と共に開始されるライン圧の上昇制
御におけるライン圧の上昇遅れ時間が経過してライン圧
が上昇するまでの間は、この状態が維持されて変速圧の
低下が防止される。
【0029】前記所定時間が経過すると、ステップ104
の判定によってステップ107 へ進み、前記ホールドフラ
グが0にリセットされる。その結果、ステップ108 で非
ホールド中と判定されてステップ110 へ進んで目標変速
比を設定し、ステップ111 で変速比を該目標変速比とす
るように前記電磁弁9のデューティ比を設定する。そし
て、ステップ112 へ進み、前記ステップ110 の目標変速
比フィードバック制御により設定されたデューティ比を
持つ信号が前記電磁弁9に出力され、変速比を前記目標
変速比と一致するようにフィードバック制御する。
【0030】また、前記ステップ103 でダウンシフトの
要求がない場合及び該要求があってもステップ104 でダ
ウンシフトの変速幅が小さいと判定された場合も、ステ
ップ105 でホールドフラグが1にセットされないので
(初期値0にリセットされている。) 、ステップ108 か
らステップ110 以降へ進んで目標変速比へのフィードバ
ック制御が行われる。
【0031】このようにすれば、ダウンシフトの要求時
にオイルポンプの吐出圧が低いためライン圧の上昇遅れ
があってその間のライン圧が低く、そのためにダウンシ
フト変速制御つまり変速圧を低下させる制御を行うと、
変速圧が下がりすぎてプライマリプーリとベルトとの間
に滑りを発生するような状態である場合には、該ライン
圧の上昇遅れに相当する期間だけ変速圧の低下を防止す
るようにしたため、前記滑りを防止してベルトの耐久性
を高めることができる。
【0032】また、ベルトの滑りを発生する可能性のあ
るライン圧上昇遅れに相当する所定期間だけ変速圧の低
下を抑制し、その後は目標変速比に応じた変速速度で変
速を行うため、良好な応答性を確保でき、運転フィーリ
ングも良好に維持できる。図21は、本実施例による各
値を示したものである。尚、ステップ101,ステップ104
でライン圧の上昇遅れが発生する条件を検出する機能が
ライン圧上昇遅れ検出手段を構成し、ステップ105 でホ
ールドフラグをセットし、ステップ106,ステップ108 の
判定によってステップ109 でライン圧の上昇遅れに相当
する所定期間だけ、電磁弁9のデューティ比を固定して
変速圧の低下制御を遅延する機能が変速圧低下制御遅延
手段を構成する。
【0033】次に、前記ステップ110 で実行される目標
変速比の設定、つまり実質的な目標変速比への変速フィ
ードバック制御ルーチンを図4に示したフローチャート
に従って説明する。尚、本ルーチンは単位時間毎に実行
される。ステップ1では、車速VSPとスロットル開度
TVOとに基づいて最終目標である定常時の変速比(最
終目標変速比,マップ変速比)Base iを定めたマップを
参照し、実際のVSPとTVOとから、前記Base iを読
込む。
【0034】ステップ2では、変速機の出力軸回転速度
Noを検出する。この検出は車速センサ12により行う
ことができる。ステップ3では、現在の変速比iを検出
する。変速比iは、エンジン回転速度(変速機の入力軸
回転速度)NE 、変速機の出力軸回転速度Noとから、
これらの比(NE /NO )として求めることができる。
【0035】ステップ4では、運転状態により定まる係
数TTINR(ターゲットイナーシャトルクの略)を算
出する。この算出方式は、図5〜図7に示すいずれかの
方式による。図5の方式では、先ずステップ401 にて、
定常時の変速比Baseiと現在の変速比iとの差(その絶
対値)|Basei−i|、又は、比Basei/i(あるいは
i/Basei)、又は、定常時の変速比Baseiの変化率Δ
Basei(単位時間当たりの変化量の絶対値で、前回のル
ーチンでの算出値との差の絶対値)を算出する。尚、比
を用いる場合は、アップシフト時にi/Basei、ダウン
シフト時にBasei/iとしてもよい。
【0036】そして、ステップ402 にて、差の場合は、
図8(A) のマップ、比の場合は、図8(B) のマップ、変
化率の場合は、図8(C) のマップを参照して、係数TT
INRを設定する。但し、マップはアップシフト時とダ
ウンシフト時とで特性を異ならせてある。図6の方式で
は、先ずステップ411 にて、エンジン回転速度NE とス
ロットル開度TVOとからマップを参照してエンジント
ルクTQENG を算出し、ステップ412 にて、エンジント
ルクTQENG とエンジン回転速度NE とから、現在の馬
力POWER=TQENG ×NE を算出する。
【0037】そして、ステップ413 にて、変速機の出力
軸回転速度NO と定常時の変速比Baseiとから、定常時
のエンジン回転速度NE ’=NO ×Baseiを算出する。
そして、ステップ414 にて、定常時のエンジン回転速度
E ’とスロットル開度TVOとからマップ(ステップ
411 で使用したもの)を参照して定常時のエンジントル
クTQENG ’を算出する。そして、ステップ415 にて、
定常時のエンジントルクTQENG ’と定常時のエンジン
回転速度NE ’とから、定常時の馬力POWER’=T
ENG ’×NE ’を算出する。
【0038】そして、ステップ416 にて、定常時の馬力
POWER’と現在の馬力POWERとの差(その絶対
値)|POWER’−POWER|、又は、比POWE
R’/POWER(あるいはPOWER/POWE
R’)、又は、定常時の馬力POWER’の変化率ΔP
OWER’(単位時間当たりの変化量の絶対値で、前回
のルーチンでの算出値との差の絶対値)を算出する。
【0039】そして、ステップ417 にて、差の場合は、
図8(A) のマップ、比の場合は、図8(B) のマップ、変
化率の場合は、図8(C) のマップを参照して、係数TT
INRを設定する。図7の方式では、先ずステップ421
にて、エンジン回転速度NE とスロットル開度TVOと
からマップを参照してエンジントルクTQENG を算出
し、ステップ422 にて、エンジントルクTQENG と現在
の変速比iと所定の定数(タイヤ半径、デフ特性を含む
定数)Kとから、現在の車両の駆動力F=TQENG ×i
×Kを算出する。
【0040】そして、ステップ423 にて、変速機の出力
軸回転速度NO と定常時の変速比Baseiとから、定常時
のエンジン回転速度NE ’=NO ×Baseiを算出する。
そして、ステップ424 にて、定常時のエンジン回転速度
E ’とスロットル開度TVOとからマップ(ステップ
421 で使用したもの)を参照して定常時のエンジントル
クTQENG ’を算出する。そして、ステップ425 にて、
定常時のエンジントルクTQENG ’と定常時の変速比Ba
se iと所定の定数Kとから、定常時の車両の駆動力F’
=TQENG ’×Base i×Kを算出する。
【0041】そして、ステップ426 にて、定常時の車両
の駆動力F’と現在の車両の駆動力Fとの差(その絶対
値)|F’−F|、又は、比F’/F(あるいはF/
F’)、又は、定常時の車両の駆動力F’の変化率Δ
F’(単位時間当たりの変化量の絶対値で、前回のルー
チンでの算出値との差の絶対値)を算出する。そして、
ステップ427 にて、差の場合は、図8(A) のマップ、比
の場合は、図8(B) のマップ、変化率の場合は、図8
(C) のマップを参照して、係数TTINRを設定する。
【0042】再び、図4に戻って説明する。ステップ5
では、現在の変速比i、変速機の出力軸回転速度NO
及び前記係数TTINRから、次式に従って、変速速度
を決定する増減分SVを設定する。 SV=TTINR/(IE ×i×NO ) ここで、IE はエンジンイナーシャ相当の定数である。
【0043】なお、本実施例では、後述するように、変
速過渡時においてベルト6の滑りを確実に防止するため
に、変速速度SVに応じたライン圧制御の最適化を図る
ようにしているが、このライン圧制御における変速過渡
時において、ライン圧を所定以上に上昇させても、ベル
ト6が滑ってしまうような変速速度が極めて速い状態と
なることを排除すべく、変速速度SVを所定値以下に制
限すべく、ステップ6では、図9に示すようなサブルー
チンを実行するようになっている。
【0044】即ち、ステップ601 では、ダウンシフトか
否かを判断する。例えば、最終目標変速比Baseiと変速
比i(ルーチン開始時)とを比較することで判断するこ
とができる。YESであれば、ステップ602 へ進み、N
Oであれば本フローを終了する。ステップ602 では、マ
ップ上の変速比Baseiと、現在の設定変速比(目標変速
比)Nextiと、を比較する。これらの差(比でもよい)
が、DWNPL以上あれば、ステップ603 へ進み、DW
NPLより小さければ、変速処理が進み(目標変速比近
くまできているので)変速速度は比較的遅く設定される
ので、ベルト6の滑りは発生し難いと考えられるので、
本フローを終了する。
【0045】ステップ603 では、フロー中に示すような
マップを参照して、エンジントルクTQENG に基づいて
設定されている変速速度SVの制限値SFTLMTを求
める。ステップ604 では、現在のSVと、上記制限値S
FTLMTと、を比較する。SV≧SFTLMTであれ
ば、SV=SFTLMTに設定して、本フローを終了す
る。
【0046】一方、SV<SFTLMTであれば、SV
=SVとして、そのまま本フローを終了する。このよう
に、変速速度SVを、エンジントルクに応じて設定され
る所定値SFTLMT以下に(ベルト6の滑り易さに応
じて)制限するようにしたので、変速過渡時において、
ライン圧を所定以上に上昇させても、ベルト6が滑って
しまうような変速速度が極めて速い状態が排除され、以
って確実にベルト6の滑りを防止することができる。こ
こで、再び図4のフローチャートの説明へ戻る。
【0047】ステップ6では、現在の設定変速比(目標
変速比)Nextiと最終目標である定常時の変速比(最終
目標変速比)Baseiとを比較し、大小関係を判別する。
Nexti>Baseiのときは、アップシフト要求(変速比減
少要求)であり、ステップ7へ進む。ステップ7では、
設定変速比(目標変速比)Nextiを現在値に対し前記増
減分SV減少させる(次式参照)。
【0048】Nexti=Nexti−SV Nexti<Baseiのときは、ダウンシフト要求(変速比増
大要求)であり、ステップ8へ進む。ステップ8では、
設定変速比(目標変速比)Nextiを現在値に対し前記増
減分SV増大させる(次式参照)。
【0049】Nexti=Nexti+SV このようにして設定変速比(目標変速比)Nextiが設定
されると、ステップ9へ進む。ステップ9では、設定変
速比(目標変速比)Nextiが得られるようにフィードバ
ック制御を行う。すなわち、エンジン回転速度NE と変
速機の出力軸回転速度NO との比(NE /NO )として
検出されている現在の変速比iが設定変速比Nextiにな
るように、変速比制御を行う。
【0050】該変速比制御は、前記回転速度比を検出し
つつ電磁弁9のデューティ比を増減制御することで行わ
れるが、前記したようにダウンシフト要求時の所定の変
速条件では変速圧の低下を阻止すべくホールドデューテ
ィ比に固定され、所定時間を経過してライン圧が上昇し
てから、前記変速比制御が開始されることとなる。この
ような制御の結果、図10に低車速時と高車速時とでの
特性を示すように、同じ変速比幅でも低車速時と高車速
時とで変速速度が変化し、特に高車速時において変速速
度がゆっくりになるため、イナーシャトルクをおおむね
一定にすることができ、以って変速過渡時における出力
トルクの減少を回避できる。
【0051】図11には、前記係数TTINRの算出方
式の他の例を示しておく。ステップ431 では、スロット
ル開度の変化率ΔTVO(単位時間当たりの変化量の絶
対値で、今回のルーチンでの検出値TVOと全体のルー
チンでの検出値TVOold との差の絶対値)を算出す
る。そして、ステップ432 では、図8(C) に相当するマ
ップを参照して、スロットル開度の変化率ΔTVOか
ら、係数TTINRを設定する。
【0052】このようなスロットル開度の変化率ΔTV
Oに応じた係数TTINRを用いても、加速意図などを
反映できる。尚、前記係数TTINRの算出方式につい
ては、上記の実施例に挙げたものの他、馬力POWE
R、車両の駆動力F、エンジン回転速度NE とスロット
ル開度TVO、吸入空気流量Q、又は基本燃料噴射量
(Q/NE 相当値)などから、直接的に設定する方式と
してもよい。
【0053】ところで、本実施例におけるコントローラ
11は、上述の変速制御を行なう場合の、ライン圧の制
御を、図12に示すフローチャートを実行して達成する
ようになっている。即ち、ブロック(1)〔図では単に
(1)と記してある。以下、同様。〕では、プライマリ
プーリ側アクチュエータ4a(変速比制御用油圧室)へ
供給する変速圧の最小圧(Ppmin )を演算する。即ち、
ベルト6が滑らず、目標変速比を達成できる変速圧の必
要最小圧(Ppmin )を演算する。
【0054】具体的には、図13のフローチャートを実
行することで達成される。即ち、ステップ11で、実際
の変速比(コントローラ11からの指示変速比等)、エ
ンジントルクに見合った変速圧の必要最小圧(Ppmin )
を求めるために、まず、変速比=1に対する各変速比の
必要最小プライマリ圧(変速圧)の倍率(θ1 /θ)
を、エンジントルク(或いは無段変速機3への入力トル
クであってよい)と必要最小プライマリ圧との関係に基
づいて設定してあるマップ等を参照して求める。なお、
コントローラ11において、変速比は、車速VSPとス
ロットル開度TVOとに基づいて変速比を定めたマップ
を参照し、実際のVSPとTVOとから、変速比を設定
するようになっている。また、所望のエンジン運転状態
を維持しつつ、運転者の意図する車速が得られるよう
に、変速比を設定するようにすることもできる。かかる
場合は、燃費・排気性能の良好なエンジン運転状態に維
持きるので、燃費・排気性能等において有利なものとす
ることができる。
【0055】そして、ステップ12で、プライマリ最小
圧(Ppmin )を、下式に従って求める。プライマリ最小
圧(Ppmin )=エンジントルク×θ×倍率+オフセット
量ブロック(2)では、セカンダリプーリ側アクチュエ
ータ5a(張力制御用油圧室)へ供給するライン圧の最
小圧(Plmin )を演算する。即ち、セカンダリプーリ5
側でベルト6が滑らないための必要最小圧(Plmin )を
演算する。
【0056】具体的には、図14のフローチャートを実
行することで達成される。即ち、ステップ21で、実際
の変速比、エンジントルクに見合ったライン圧の必要最
小圧(Plmin )を求めるために、変速比=1に対する各
変速比の必要最小ライン圧の倍率(θ1 /θ)を、エン
ジントルクTQENG (或いは無段変速機3への入力トル
クであってよい)と必要最小ライン圧との関係に基づい
て設定してあるマップ等を参照して求める。
【0057】ステップ22で、ライン最小圧(Plmin )
を、下式に従って求める。 ライン最小圧(Plmin )=エンジントルク×θ×倍率+
オフセット量 ブロック(3)では、セカンダリプーリ側アクチュエー
タ5aの可動壁5Aの要求推力(FS)の計算を行な
う。つまり、プライマリプーリ側でベルト6の滑りを発
生させずに所望の変速比(セカンダリプーリ側有効径/
プライマリプーリ有効径=プライマリプーリ回転速度/
セカンダリプーリ回転速度、トルク比とも言う)を達成
するために、セカンダリプーリ側アクチュエータ5aの
可動壁5Aに要求される推力(押圧力)を求める。な
お、プライマリプーリ側アクチュエータ4a、或いはセ
カンダリプーリ側アクチュエータ5aの何れか一方の推
力(換言すれば、油圧)を決めると、ベルト張力とエン
ジントルクとトルク比との関係等から、他方の推力を理
論的に決定することができる。従って、ここでは、所望
の変速比を得るために電磁弁9等により設定されるプラ
イマリ最小圧(Ppmin )とプライマリプーリ側可動壁4
Aの面積等からプライマリプーリ側4aの推力FPを定
めることができるので、これに基づいて、ブロック
(3)で要求セカンダリ推力(FS)を求める。そし
て、その後、ブロック(4)で当該要求セカンダリ推力
(FS)に基づいて、プライマリプーリ側でベルト6の
滑りを発生させず所望の変速比を達成できるために必要
なセカンダリプーリ側の必要圧を演算するようになって
いる。
【0058】具体的には、ブロック(3)の当該要求セ
カンダリ推力(FS)は、図15のフローチャートを実
行することで求められる。ステップ31で、以下の式に
基づき、要求セカンダリ推力(FS)を演算する。 要求セカンダリ推力(FS)=プライマリ最小圧(Ppmi
n )×プライマリプーリ側可動壁4Aの面積×係数0−
エンジントルク×係数1 ブロック(4)では、ブロック(3)で求めた要求セカ
ンダリ推力(FS)に基づいて、変速比要求ライン圧
(Plratio )の計算を行なう。
【0059】具体的には、変速比要求ライン圧(Plrati
o )は、図16のフローチャートを実行することで求め
られる。即ち、ステップ41で、以下の式に基づき、変
速比要求ライン圧(Plratio )を演算する。
【0060】変速比要求ライン圧(Plratio )=〔要求
セカンダリ推力(FS)−セカンダリプーリバネ定数×
縮み長さ〕/可動壁5Aの面積 なお、セカンダリプーリバネ定数とは、セカンダリプー
リ側アクチュエータ5aが内装する可動壁5Aを、ライ
ン圧に抗して押し返すためのバネ(図示せず)の定数で
ある。
【0061】ブロック(5)では、基本ライン圧(Pl b
ase )の計算を行なう。つまり、最終的にセカンダリプ
ーリ側アクチュエータ5aに作用させるライン圧(Plpr
s ;これについては後述する)は、供給ライン圧(基本
ライン圧)と、セカンダリプーリ側アクチュエータ5a
内に閉じ込められた油が遠心力により可動壁5Aを移動
方向に押すセカンダリ遠心油圧(Pscen ;これについて
は後述する)と、セカンダリプーリバネ力、及び変速過
渡時におけるベルト6の滑りを防止するための過渡ライ
ン圧(Pl add;本発明の急変速時ライン圧増大制御手段
により一時的に増大制御されるライン圧)等に基づいて
定められるものであるので、最終的なライン圧を求める
基礎として、まず、基本ライン圧(Pl base )を演算す
る。
【0062】具体的には、図17のフローチャートが実
行される。ステップ51では、ベルト6が滑らないため
のライン最小圧(Plmin )と、所望の変速比を達成する
ための変速比要求ライン圧(Plratio )と、を比較す
る。ライン最小圧(Plmin )≧変速比要求ライン圧(Pl
ratio )の場合には、ステップ52へ進む。一方、ライ
ン最小圧(Plmin )<変速比要求ライン圧(Plratio)
の場合には、ステップ53へ進む。
【0063】ステップ52では、ベルト6の滑り防止を
優先すべく、基本ライン圧(Pl base )=ライン最小圧
(Plmin )として本フローを終了する。ステップ53で
は、ベルト6の滑りに対して余裕があるので、基本ライ
ン圧(Pl base )=変速比要求ライン最小圧(Plratio
)として、本フローを終了する。
【0064】ブロック(6)では、セカンダリ遠心油圧
(Pscen )の計算を行う。具体的には、図18のフロー
チャートが実行される。ステップ61では、下式に従っ
て、セカンダリ遠心油圧(Pscen )を求める。 セカンダリ遠心油圧(Pscen )=(セカンダリプーリ回
転速度)2 ×係数 ブロック(7)では、変速過渡時におけるベルト6の滑
りを防止するための過渡ライン圧(Pl add)を求める。
【0065】即ち、例えば図19のフローチャートを実
行することでなされる。ステップ71では、ダウンシフ
トか否かを判断する。例えば、最終目標変速比Baseiと
変速比i(ルーチン開始時)とを比較することで判断す
ることができる。YESであれば、ステップ72へ進
み、NOであれば、過渡補正を行なわなくてもベルト6
の滑りは発生し難いと考えられるので、ステップ75へ
進み、過渡ライン圧(Pl add)=0にセットして、本フ
ローを終了する。
【0066】ステップ72では、マップ上の最終目標変
速比Baseiと、現在の設定変速比Nextiと、を比較す
る。これらの差(比でもよい)が、DWNPL以上あれ
ば、ステップ73へ進み、DWNPLより小さければ、
変速処理が進み(目標変速比近くまできているので)変
速速度は比較的遅く設定されるので、過渡補正を行なわ
なくてもベルト6の滑りは発生し難いと考えられるの
で、ステップ75へ進み、過渡ライン圧(Pl add)=0
にセットして、本フローを終了する。
【0067】ステップ73では、現在のTQENG を、エ
ンジン回転速度NE とスロットル開度TVOとからマッ
プ等を参照して求める。ステップ74では、フロー中に
示すようなマップを参照して、現時点でのエンジントル
クTQENG に基づいて設定されている変速速度SVに対
する過渡時ライン圧(Pl add)を求める。つまり、横
軸;エンジントルクTQENG 、縦軸;過渡時ライン圧
(Pl add)とした場合の等変速速度SVマップに基づい
て、その時点での過渡時ライン圧(Pl add)を検索す
る。このように、過渡時ライン圧(Pl add)は、エンジ
ントルクが大きいほど、或いは変速速度SVが速いほ
ど、大きな値、換言すれば、ベルト6の滑り易さの度合
いに応じた値に設定されるようになっている。
【0068】前記ダウンシフト要求時にライン圧を第1
の所定期間だけ過渡的に上昇させるための図19に示し
たルーチンが、ライン圧増大制御手段を構成する。図1
2に戻ってブロック(8)では、最終的な出力ライン圧
(Plprs )の計算を行なう。即ち、(5)で求めた基本
ライン圧(Pl base )と、(6)で求めたセカンダリ遠
心油圧(Pscen )と、ブロック(7)で求めた過渡時ラ
イン圧(Pladd)と、セカンダリプーリバネ力等に基づ
いて求める。
【0069】具体的には、図20のフローチャートを実
行する。ステップ81では、下式に従って、出力ライン
圧(Plprs )を求める。 出力ライン圧(Plprs )=〔基本ライン圧(Pl base )
+過渡時ライン圧(Pladd)−セカンダリ遠心油圧(Psc
en )〕×マージン なお、上記マージンには、安全率の他、前記セカンダリ
プーリバネ力等も考慮されている。
【0070】ステップ82では、出力ライン圧(Plprs
)とリミッタ(LOW〔下限〕側)とを比較する。な
お、リミッタ(LOW〔下限〕側)は、運転条件毎に設
定するようにしてもよい。出力ライン圧(Plprs )<リ
ミッタ(LOW側)であれば、ステップ83へ進む。
【0071】出力ライン圧(Plprs )≧リミッタ(LO
W側)であれば、ステップ83を飛ばして、ステップ8
4へ進む。ステップ83では、出力ライン圧(Plprs )
=リミッタ(LOW側)に設定する。つまり、ライン圧
として、油圧回路8が供給できる最小圧(下限油圧)に
設定する。これにより、ライン圧を良好に所定値に維持
できるようにして、例えば設定油圧が低すぎるためにラ
イン圧を良好に維持できず(例えば、ハンチング等の発
生等により)、ライン圧制御機能を良好に発揮させるこ
とができなくなる等の問題を排除することができる。ま
た、演算誤差等に伴う制御不良の発生等も防止すること
が可能となる。
【0072】ステップ84では、出力ライン圧(Plprs
)とリミッタ(HI〔上限〕側)とを比較する。な
お、リミッタ(HI側)は、運転条件毎に設定するよう
にしてもよい。出力ライン圧(Plprs )<リミッタ(H
I側)であれば、ステップ85を飛ばして、本フローを
終了する。即ち、この場合には、最終的な出力ライン圧
(Plprs )として、上記ステップ81での演算結果が設
定されることになる。
【0073】一方、出力ライン圧(Plprs )≧リミッタ
(HI側)であれば、ステップ85へ進む。ステップ8
5では、出力ライン圧(Plprs )=リミッタ(HI側)
として、本フローを終了する。つまり、ライン圧とし
て、油圧回路8が供給できる最大圧(上限油圧)に設定
する。これにより、例えば、ベルト張力の過剰増加によ
るフリクションの異常増加(回転困難となる場合)やベ
ルト6の破損、セカンダリプーリ側アクチュエータ5a
やライン圧供給経路の破損、オイルポンプの過剰駆動等
を確実に防止することができる。また、演算誤差等に伴
う制御不良の発生等も防止することが可能となる。
【0074】このようにして求められた出力ライン圧
(Plprs )は、油圧回路8内に組み込まれた流量制御弁
等を介して制御する場合には、出力ライン圧(Plprs )
が得られる流量に、電磁弁9等を介して、或いは油圧経
路の切換え等により流量制御弁の弁体に作用する圧力を
調節し、その開度調節を行なうことで調節されることに
なる。つまり、従来の変速圧制御と略同様の制御を行な
うようにすればよい。
【0075】以上のように、セカンダリプーリ5とベル
ト6との間で滑りが発生しないために最低限必要なライ
ン圧(Plmin )を演算する一方で、プライマリプーリ4
側で滑りを発生させず目標変速比を実現できる変速比要
求ライン圧(Plratio )を演算し、これらのうち何れか
高い方を選択し、この選択されたライン圧に基づいて、
最終的な出力ライン圧(Plprs )を求めて、セカンダリ
プーリ側アクチュエータ5aにライン圧を供給するよう
にしたので、従来のように、駆動側回転部材側と被駆動
側回転部材側とを関係付けず、何れか一方のみしか考慮
しない場合の動力伝達部材の滑りを確実に防止して目標
の変速比(トルク比)を達成することができないという
問題を確実に解決することができると同時に、当該プラ
イマリプーリ4側で滑りを発生させず目標変速比を実現
させる制御を、変速比制御とは別に、セカンダリプーリ
側アクチュエータ5a側で行なわせるようにしたので、
従来のように変速制御用の流量制御弁にその全ての制御
を負担させる場合に対し、大幅に構成を簡略化すること
ができる。
【0076】さらに、本実施例によれば、変速過渡時に
おいて、エンジントルクが大きくなるほど、或いは変速
速度が速くなるほど、即ち、変速過渡時のベルトの滑り
の発生し易さの度合いに応じて、過渡ライン圧(Pl ad
d) を増大させてベルトの滑りを抑制するようにしたの
で、変速過渡時におけるベルトの滑りを確実に防止で
き、かつ、ベルトの耐久性等を損なわず(張力過大によ
る回転フリクションの増大もなく)、さらにはオイルポ
ンプの不用仕事を抑制することで燃費等の悪化等を防止
することができる。
【0077】なお、本実施例では、ライン圧の調節に際
し、油圧回路8内に組み込まれた流量制御弁等を介して
行なうようにして説明したが、ライン圧制御は、プライ
マリプーリ側のような変速比制御のための複雑な構成を
備えなくてもよいので、電磁弁10を省略すると共に、
流量制御弁に代えて、油圧を直接的に制御できる圧力制
御弁、例えばデューティ制御弁(周期的に開閉しその開
閉時間割合〔デューティ比〕を変更することで圧力調整
可能な弁)を、コントローラ11からのデューティ信号
により駆動することで、ライン圧制御を行なうようにし
てもよい。これにより、より一層の構成の簡略化、高精
度化を図ることができる。
【0078】次に、第2の実施例について説明する。本
実施例では、図22に示すようにライン圧検出手段とし
ての油圧センサ21を、セカンダリプーリ側アクチュエ
ータ5aと油圧回路8とを結ぶライン圧出力通路22に
設け、コントローラ11が前記ダウンシフト要求時にお
ける所定の変速条件検出時に該油圧センサ21で検出さ
れたライン圧が所定値になるまで変速圧の低下を阻止す
るように制御する。
【0079】前記変速圧制御を含むメインルーチンは、
図22に示すようになり、図3で示した第1の実施例の
メインルーチンと異なるのはステップ106 ’において所
定時間で変速圧の低下阻止期間を判定する代わりに、前
記油圧センサ21で検出されたライン圧を所定値と比較
して、所定値に達するまでの間は変速圧の低下を阻止す
るようにしている。
【0080】本実施例では、実際のライン圧を検出しな
がらライン圧の上昇遅れに応じた必要最小限の期間だけ
変速圧の低下を阻止すれば済むため、ベルトの滑りを防
止して耐久性改善効果を維持しつつ目標変速比への変速
制御を極力速やかに開始して良好な応答性を確保するこ
とができる。また、本発明に係るライン圧制御及び変速
圧制御に関し、上記実施例では動力源をエンジンとして
説明したが、他の動力源を用いる場合にも適用できる。
また、車両以外にも、例えば定置式、産業用,工作用機
械等において動力源から任意の回転速度の動力を取り出
したい場合にも、本発明は適用できるものである。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明によれば、ライン圧の上昇遅れ期間中は変速圧の低
下を阻止することにより変速圧で制御される側の回転部
材と動力伝達部材との滑りが防止され、耐久性の低下を
防止でき、また、ライン圧の上昇遅れに相当する期間だ
け変速圧の低下制御を遅延させればよいため、変速時間
を必要最小限に留めることができる。
【0082】また、請求項2に係る発明によれば、変速
速度演算手段で変速速度が所定以上のときだけライン圧
を増大させる急変速条件として検出することができ、必
要のないライン圧増大制御を行わなくて済む。また、請
求項3に係る発明によれば、ライン圧の元圧であるオイ
ルポンプの吐出油圧が低いときをライン圧上昇遅れ条件
として検出して必要時のみ変速圧の低下制御を遅延させ
ることができる。
【0083】また、請求項4に係る発明によれば、ライ
ン圧が所定値となるまでの間だけ変速圧の低下制御を遅
延させればよいため、遅延時間を必要最小限に留めるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を示す構成図。
【図2】 本発明の一実施例を示すシステム図。
【図3】 同上実施例の制御のメインルーチンのフロー
チャート。
【図4】 同上実施例の変速制御サブルーチンのフロー
チャート。
【図5】 係数算出用サブルーチン(1)のフローチャ
ート。
【図6】 係数算出用サブルーチン(2)のフローチャ
ート。
【図7】 係数算出用サブルーチン(3)のフローチャ
ート。
【図8】 係数算出用マップを示す図。
【図9】 変速速度の制限値設定のためのサブルーチン
のフローチャート
【図10】 同上実施例の特性を示す図
【図11】 係数算出用サブルーチン(4)のフローチャ
ート
【図12】 同上実施例のライン圧設定制御を示すフロー
チャート。
【図13】 ブロック(1)を説明するフローチャート。
【図14】 ブロック(2)を説明するフローチャート
【図15】 ブロック(3)を説明するフローチャート。
【図16】 ブロック(4)を説明するフローチャート。
【図17】 ブロック(5)を説明するフローチャート
【図18】 ブロック(6)を説明するフローチャート。
【図19】 ブロック(7)を説明するフローチャート。
【図20】 ブロック(8)を説明するフローチャート。
【図21】 同上実施例の各値の変化を示すタイムチャー
ト。
【図22】 本発明の第2の実施例のシステム図。
【図23】 同上実施例の制御のメインルーチンのフロー
チャート。
【図24】 従来例の各値の変化を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 エンジン 3 無段変速機 4 プライマリプーリ 4a プライマリプーリ側アクチュエータ 5 セカンダリプーリ 5a セカンダリプーリ側アクチュエータ 6 ベルト 7 オイルポンプ 8 油圧回路 9 電磁弁 10 電磁弁 11 コントローラ 12 入力側回転センサ 13 出力側回転センサ 14 スロットルセンサ 21 油圧センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動側回転部材と、被駆動側回転部材と、
    これらの間に介装され両者間で動力を伝達する動力伝達
    部材と、を備え、一方の回転部材と動力伝達部材との接
    触面圧をライン圧として制御し、他方の回転部材と動力
    伝達部材との接触面圧を前記ライン圧を目標変速比に応
    じて調整した変速圧として制御することにより、各回転
    部材の回転中心から前記動力伝達部材との接触点までの
    半径の比を無段階に変化させて変速比を無段階に制御す
    る無段変速機の制御装置において、 前記変速圧を低下する方向に急変速する条件を検出する
    急変速条件検出手段と、 前記急変速条件検出手段により前記急変速条件が検出さ
    れたときに、前記ライン圧を所定期間増大させるライン
    圧増大制御手段と、 前記ライン圧増大制御手段によるライン圧増大制御の開
    始後、該ライン圧の上昇遅れが発生する条件を検出する
    ライン圧上昇遅れ条件検出手段と、 前記ライン圧上昇遅れ条件検出手段により前記ライン圧
    の上昇遅れが発生する条件が検出されたときに、該ライ
    ン圧の上昇遅れに相当する期間、前記変速圧の低下制御
    を遅延する変速圧低下制御遅延手段と、 を含んで構成したことを特徴とする無段変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記目標変速比への変速速度を演算する変
    速速度演算手段を備え、 前記急変速条件検出手段は、前記変速速度演算手段で演
    算された変速速度が所定以上大きい状態を、前記変速圧
    を低下する急変速条件として検出することを特徴とする
    請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】無段変速機は車両に搭載され、前記ライン
    圧は車両走行用の原動機によって駆動されるオイルポン
    プからの吐出油圧を元圧として調圧されると共に、 オイルポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段を
    備え、 前記ライン圧上昇遅れ条件検出手段は、前記オイルポン
    プの回転速度が所定以上低い状態を、前記ライン圧の上
    昇遅れが発生する条件として検出することを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】前記ライン圧を検出するライン圧検出手段
    を備え、 前記変速圧低下制御遅延手段は、前記ライン圧検出手段
    で検出されたライン圧が所定値以上となるまでの期間、
    前記変速圧の低下制御を遅延させることを特徴とする請
    求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の無段変速機の
    制御装置。
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