JPH0827320A - 結晶性ポリオレフィン組成物 - Google Patents

結晶性ポリオレフィン組成物

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JPH0827320A
JPH0827320A JP18903494A JP18903494A JPH0827320A JP H0827320 A JPH0827320 A JP H0827320A JP 18903494 A JP18903494 A JP 18903494A JP 18903494 A JP18903494 A JP 18903494A JP H0827320 A JPH0827320 A JP H0827320A
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JP
Japan
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acrylic acid
crystalline
rigidity
crystalline polyolefin
weight
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JP18903494A
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English (en)
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Yoichi Nakajima
洋一 中島
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品としたときの該成形品の剛性、耐熱剛
性および透明性に優れた結晶性ポリオレフィン組成物を
提供する。 【構成】 結晶性ポリオレフィン100重量部および下記
一般式(1)で示される3−(2'−ヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸誘導体0.001〜1重量部からなる結晶性
ポリオレフィン組成物。 【化1】 (ただし、式中R1〜R6は水素原子、ハロゲン原子、水
酸基、カルボキシル基もしくは炭素数1〜8の炭化水素
基をそれぞれ示す。) 【効果】 本発明の結晶性ポリオレフィン組成物によれ
ば、成形品の剛性、耐熱剛性および透明性が大幅に改善
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性、耐熱剛性および
透明性に優れた成形品が得られる結晶性ポリオレフィン
組成物に関する。さらに詳しくは、結晶性ポリオレフィ
ンおよび3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル酸誘
導体のそれぞれ特定量からなる剛性、耐熱剛性および透
明性に優れた成形品が得られる結晶性ポリオレフィン組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレンなどの結
晶性ポリオレフィンは、加工性、耐薬品性、電気特性、
機械的特性に優れており、射出成形品、中空成形品、フ
ィルム、シート、繊維などに成形され、食品容器、電気
部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品などとして
家庭用品から工業用品にいたる広範な用途に利用されて
いる。
【0003】しかしながら、結晶性ポリオレフィンに
は、用途によっては、剛性、耐熱剛性などの機械的特性
および透明性などのより一層の向上が望まれている。と
ころで、結晶性ポリオレフィンにおいて、結晶性ポリオ
レフィンの結晶化速度を速めて成形加工時に微細な結晶
を急速に生成させると、剛性、耐熱剛性などの機械的特
性および透明性などが向上されることが知られている。
【0004】結晶性ポリオレフィンの結晶化速度を増大
させる方法としては、結晶性ポリオレフィンに結晶核剤
もしくは結晶化促進剤を添加する方法が知られており、
従来結晶核剤もしくは結晶化促進剤として、アジピン酸
ナトリウム、4−t−ブチル安息香酸の一塩基性アルミ
ニウム塩、ジベンジリデンソルビトールなどが添加され
ていた。
【0005】一方、特開昭53−71149号公報にはポリオ
レフィンに6−ヒドロキシクマロン誘導体から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物〔A〕、および3−(2'−
ヒドロキシフェニル)アクリル酸誘導体を包含する含酸
素基置換芳香族化合物〔B1〕、N−アリール−N,N
−ジアルキルアミン化合物〔B2〕、パントテン酸およ
びその金属塩からなる化合物〔B3〕およびクマリン系
化合物〔B4〕から選ばれた少なくとも一種以上の化合
物〔B〕を配合してなる熱安定化ポリオレフィン組成物
が記載されている。
【0006】また、特開昭61−16976号公報にはポリオ
レフィン(A)と、3−(2'−ヒドロキシフェニル)ア
クリル酸誘導体を包含するベンゼン環とカルボキシル基
を有する有機化合物(B1)又はベンゼン環を有する有
機重合体とカルボキシル基を有する有機重合体との混合
物(B2)の混合物(C)からなる比較的低温の加熱で
優れた接着性能を発揮することのできる塩素含有重合体
用接着剤が記載されている。
【0007】さらに、特開昭63−69851号公報にはケイ
皮酸、ケイ皮酸エステルおよびケイ皮油からなる群から
選択される少なくとも1種の化合物を含有する常温時は
もちろん加熱時においても臭いがないようなポリオレフ
ィン系重合体製品が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の結晶核剤もしくは結晶化促進剤が添加された
結晶性ポリオレフィンでは、結晶化速度の増大が不充分
であって、このため、より一層結晶化速度が増大され、
剛性、耐熱剛性などの機械的特性および透明性に優れた
成形品が得られる結晶性ポリオレフィン組成物の出現が
望まれていた。
【0009】前記特開昭53−71149号公報にはポリオレ
フィンの熱安定剤である6−ヒドロキシクマロン誘導体
の相乗作用剤として広範な含酸素基置換芳香族化合物が
一般式で示されている。しかしながら、該公報には3−
フェニルアクリル酸誘導体としてケイ皮酸およびそのエ
ステルが例示されているにすぎない。また、前記特開昭
61−16976号公報には塩素含有重合体用接着剤の一成分
として広範なベンゼン環とカルボキシル基を有する有機
化合物が一般式で示されている。しかしながら、該公報
には各種核置換ケイ皮酸誘導体すなわち3−フェニルア
クリル酸誘導体としてケイ皮酸、p−アミノケイ皮酸、
α−フェニルケイ皮酸、β−フェニルケイ皮酸などが例
示されているにすぎない。
【0010】さらに、前記特開昭63−69851号公報には
ケイ皮酸を含有するポリオレフィン系重合体製品が記載
されている。しかしながら、該公報にはケイ皮酸すなわ
ち3−フェニルアクリル酸について記載されているにす
ぎない。その上、いずれの公報も、これらのケイ皮酸化
合物に替えて3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル
酸誘導体を含有する結晶性ポリオレフィン組成物から得
られる成形品の剛性、耐熱剛性などの機械的特性および
透明性をさらに改善させることについては、なんら言及
していない。
【0011】本発明者は、結晶性ポリオレフィン組成物
に関する上述の問題点を解決した組成物すなわち結晶化
速度が増大され、剛性、耐熱剛性などの機械的特性に優
れ、透明性にも優れた結晶性ポリオレフィン組成物を得
るべく鋭意研究した。その結果、本発明者は結晶性ポリ
オレフィンおよび3−(2'−ヒドロキシフェニル)アク
リル酸誘導体のそれぞれ特定量からなる結晶性ポリオレ
フィン組成物が、剛性、耐熱剛性および透明性を改善し
た成形品を与える組成物であることを見い出し、この知
見に基づき本発明を完成した。
【0012】以上の記述から明らかなように、本発明の
目的は成形品としたときの該成形品の剛性、耐熱剛性お
よび透明性が改善された結晶性ポリオレフィン組成物を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を有
する。結晶性ポリオレフィン100重量部および下記一般
式(1)で示される3−(2'−ヒドロキシフェニル)ア
クリル酸誘導体(以下、化合物Aという。)0.001〜1
重量部からなる結晶性ポリオレフィン組成物。
【0014】
【化2】
【0015】(ただし、式中R1〜R6は水素原子、ハロ
ゲン原子、水酸基、カルボキシル基もしくは炭素数1〜
8の炭化水素基をそれぞれ示す。) 本発明で用いる結晶性ポリオレフィンとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などの
α−オレフィンの結晶性単独重合体、これら2種以上の
α−オレフィンの結晶性もしくは低結晶性ランダム共重
合体または結晶性ブロック共重合体、上述のα−オレフ
ィンと酢酸ビニルもしくはアクリル酸エステルとの共重
合体、該共重合体のケン化物、これらα−オレフィンと
不飽和シラン化合物との共重合体、これらα−オレフィ
ンと不飽和カルボン酸もしくはその無水物との共重合
体、該共重合体と金属イオン化合物との反応生成物、上
述のα−オレフィンの結晶性単独重合体、結晶性もしく
は低結晶性ランダム共重合体または結晶性ブロック共重
合体を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性した
変性ポリオレフィン、上述のα−オレフィンの結晶性単
独重合体、結晶性もしくは低結晶性ランダム共重合体ま
たは結晶性ブロック共重合体を不飽和シラン化合物で変
性したシラン変性ポリオレフィンなどを例示することが
でき、これら結晶性ポリオレフィンの単独使用はもちろ
んのこと、2種以上の結晶性ポリオレフィンを混合して
用いることもできる。
【0016】また、上述の結晶性ポリオレフィンに各種
合成ゴム(たとえば非晶性エチレン−プロピレンランダ
ム共重合体、非晶性エチレン−プロピレン−非共役ジエ
ン三元共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポ
リクロロプレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロ
ピレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ア
クリロニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−
ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロ
ピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体など)ま
たは熱可塑性合成樹脂(たとえばポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
カーボネート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フッ
素樹脂、石油樹脂(たとえばC5系石油樹脂、水添C5
石油樹脂、C9系石油樹脂、水添C9系石油樹脂、C5
9共重合石油樹脂、水添C5−C9共重合石油樹脂、酸
変性C9系石油樹脂など)、DCPD樹脂(たとえばシ
クロペンタジエン系石油樹脂、水添シクロペンタジエン
系石油樹脂、シクロペンタジエン−C5共重合石油樹
脂、水添シクロペンタジエン−C5共重合石油樹脂、シ
クロペンタジエン−C9共重合石油樹脂、水添シクロペ
ンタジエン−C9共重合石油樹脂、シクロペンタジエン
−C5−C9共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−
5−C9共重合石油樹脂などの軟化点80〜200℃のDC
PD樹脂)などを混合して用いることもできる。
【0017】結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン
成分を70重量%以上含有する結晶性プロピレン共重合体
であって、結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合
体、結晶性プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、
結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1 三元共重合
体、結晶性プロピレン−ヘキセン−ブテン−1 三元共重
合体およびこれらの2種以上の混合物が特に好ましく用
いられる。
【0018】本発明で用いられる化合物Aとしては3−
(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−ヒドロキ
シ−3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−
(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−
(2', 3'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−メ
チル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル
酸、3−(2', 4'−ジヒドロキシ−6'−メチルフェニ
ル)アクリル酸、2,3−ジメチル−3−(2', 4'−ジ
ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−メチル−3−
(2', 4'−ジヒドロキシ−5'−メチルフェニル)アクリ
ル酸、3−メチル−3−(2', 4'−ジヒドロキシ−3'−
エチルフェニル)アクリル酸、3−プロピル−3−
(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、2−プ
ロピル−3−メチル−3−(2', 4'−ジヒドロキシ−5'
−エチルフェニル)アクリル酸、2−クロロ−3−メチ
ル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル
酸、3−フェニル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、2−フェニル−3−メチル−3−
(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、2−ベ
ンジル−3−メチル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェ
ニル)アクリル酸、3−フェニル−3−(2', 4'−ジヒ
ドロキシ−3'−メチルフェニル)アクリル酸、3−メチ
ル−3−(2', 6'−ジヒドロキシ−4'−メチルフェニ
ル)アクリル酸、2−t−ブチル−3−メチル−3−
(2', 6'−ジヒドロキシ−4'−メチルフェニル)アクリ
ル酸、3−メチル−3−(2', 6'−ジヒドロキシ−4'−
t−アミルフェニル)アクリル酸、2−クロロ−3−メ
チル−3−(2', 6'−ジヒドロキシ−4'−メチルフェニ
ル)アクリル酸、3−メチル−3−(2', 5'−ジヒドロ
キシフェニル)アクリル酸、3−フェニル−3−(2',
5'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、2−クロロ−
3−メチル−3−(2', 3', 4'−トリヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、3−メチル−3−(2', 3', 4'−トリ
ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−メチル−3−
(2', 3', 4'−トリヒドロキシ−5'−エチルフェニル)
アクリル酸、2−フェニル−3−メチル−3−(2',
3', 4'−トリヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−
(2', 4', 5'−トリヒドロキシフェニル)アクリル酸、
2−クロロ−3−(2', 4', 5'−トリヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、3−メチル−3−(2', 4', 6'−トリ
ヒドロキシフェニル)アクリル酸、2−クロロ−3−メ
チル−3−(2', 4', 6'−トリヒドロキシフェニル)ア
クリル酸、2−カルボキシル−3−(2'−ヒドロキシフ
ェニル)アクリル酸および3−(2'−ヒドロキシ−4'−
カルボキシルフェニル)アクリル酸などを例示でき、特
に3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−ヒ
ドロキシ−3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル
酸、3−メチル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、2,3−ジメチル−3−(2', 4'−ジ
ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−フェニル−3−
(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、2−ク
ロロ−3−メチル−3−(2',6'−ジヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸および3−(2'−ヒドロキシ−4'−カル
ボキシルフェニル)アクリル酸が好ましい。
【0019】これら化合物Aの単独使用はもちろんのこ
と、2種以上の化合物Aを併用することもできる。該化
合物Aの含有割合は、結晶性ポリオレフィン100重量部
に対して0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部
である。0.001重量部未満の含有割合では剛性、耐熱剛
性および透明性の改善効果が充分に発揮されず、また1
重量部を超えても構わないが、それ以上の剛性、耐熱剛
性および透明性の改善効果が期待できず、実際的でない
ばかりでなく、また不経済である。
【0020】本発明の組成物にあっては、通常結晶性ポ
リオレフィンに添加される各種の添加剤たとえばフェノ
ール系(ただし、化合物Aを除く)、チオエーテル系、
リン系などの酸化防止剤、光安定剤、重金属不活性化剤
(銅害防止剤)、透明化剤(ただし、化合物Aを除
く)、造核剤(ただし、化合物Aを除く)、滑剤、帯電
防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、無滴剤、過酸
化物の如きラジカル発生剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、
ハロゲン捕捉剤、金属石ケン類などの分散剤もしくは中
和剤、有機系や無機系の抗菌剤、無機充填剤(たとえば
タルク、マイカ、クレー、ウォラストナイト、ゼオライ
ト、カオリン、ベントナイト、パーライト、ケイソウ
土、アスベスト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタ
ルサイト、塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ
・カーボネート・ハイドレート、二酸化ケイ素、二酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ガラス繊維、チタ
ン酸カリウム、炭素繊維、カーボンブラック、グラファ
イトおよび金属繊維など)、カップリング剤(たとえば
シラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネート系、
ジルコアルミネート系など)の如き表面処理剤で表面処
理された前記無機充填剤または有機充填剤(たとえば木
粉、パルプ、故紙、合成繊維、天然繊維など)を、本発
明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
【0021】本発明の組成物は、たとえば結晶性ポリオ
レフィンに前記の化合物Aならびに通常結晶性ポリオレ
フィンに添加される前述の各種添加剤のそれぞれ所定量
を通常の混合装置、たとえばヘンシェルミキサー(商品
名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバリ
ミキサーなどを用いて混合し、通常の単軸押出機、2軸
押出機、ブラベンダーまたはロールなどで、溶融混練温
度150℃〜300℃、好ましくは180℃〜270℃で溶融混練ペ
レタイズすることにより得ることができる。得られた組
成物は射出成形法、押出成形法、ブロー成形法などの各
種成形法により目的とする成形品の製造に供される。
【0022】また、本発明の組成物は、各種の後処理を
施される用途、たとえば、医療用途もしくは食品包装用
途などの放射線による滅菌を施される用途または塗装
性、印刷性などの表面特性の改善のために、成形後、低
温プラズマ処理、コロナ放電処理などが施される用途な
どにも用いることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれによって限定される
ものではない。なお、実施例および比較例で用いた評価
方法は次の方法によった。 1)剛性:曲げ試験により評価した。すなわち、得られ
たペレットを用いて長さ100mm、巾10mm、厚み4mmの試
験片を射出成形法により作成し、該試験片を用いて曲げ
弾性率を測定(JIS K 7203に準拠)することにより剛性
を評価した。高剛性の材料とは、曲げ弾性率の大きなも
のをいう。 2)耐熱剛性:荷重たわみ温度試験により評価した。す
なわち得られたペレットを用いて長さ130mm、巾13mm、
厚み6.5mmの試験片を射出成形法により作成し、該試験
片を用いて熱変形温度を測定(JIS K 7207に準拠;0.45
1MPa)することにより耐熱剛性を評価した。高耐熱剛性
の材料とは熱変形温度の高いものをいう。 3)透明性:得られたペレットを用いて長さ50mm、巾25
mm、厚み1mmの試験片を射出成形法により作成し、該試
験片を用いてヘイズを測定(ASTM D-1003-61に準拠)す
ることにより評価した。高透明性の材料とは、ヘイズ値
が小さいものをいう。
【0024】実施例1〜14、比較例1〜2 結晶性ポリオレフィンとしてMFR(230℃における荷
重21.18Nを加えた場合の10分間の溶融樹脂の吐出量)
6.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレ
ン単独重合体100重量部に、化合物Aとして3−(2'−
ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−ヒドロキシ−3
−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−メチル
−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、
2,3−ジメチル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、3−フェニル−3−(2', 4'−ジヒド
ロキシフェニル)アクリル酸、2−クロロ−3−メチル
−3−(2', 6'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸も
しくは3−(2'−ヒドロキシ−4'−カルボキシルフェニ
ル)アクリル酸および他の添加剤のそれぞれ所定量を、
後述の表1、2に記載した含有割合でヘンシェルミキサ
ー(商品名)に入れ、3分間攪拌混合したのち、口径30
mmの2軸押出機で200℃にて溶融混練処理してペレット
化した。
【0025】また比較例1〜2としてMFRが6.0g/10
分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレン単独重
合体100重量部に後述の表2に記載の添加剤のそれぞれ
所定量を配合し、実施例1〜14に準拠して溶融混練処理
してペレットを得た。剛性、耐熱剛性および透明性の評
価に用いる試験片は、得られたペレットを樹脂温度250
℃、金型温度50℃で射出成形により調製した。
【0026】得られた試験片を用いて前記の試験方法に
より剛性、耐熱剛性および透明性の評価を行った。これ
らの結果を表1、2に示した。 実施例15〜28、比較例3〜4 結晶性ポリオレフィンとしてMFR7.0g/10分の安定化
されていない粉末状結晶性エチレン−プロピレンランダ
ム共重合体(エチレン含有量4.0重量%)100重量部に、
化合物Aとして3−(2'−ヒドロキシフェニル)アクリ
ル酸、3−ヒドロキシ−3−(2'−ヒドロキシフェニ
ル)アクリル酸、3−メチル−3−(2',4'−ジヒドロ
キシフェニル)アクリル酸、2,3−ジメチル−3−
(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−フ
ェニル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリ
ル酸、2−クロロ−3−メチル−3−(2', 6'−ジヒド
ロキシフェニル)アクリル酸もしくは3−(2'−ヒドロ
キシ−4'−カルボキシルフェニル)アクリル酸および他
の添加剤のそれぞれ所定量を後述の表3、4に記載した
含有割合でヘンシェルミキサー(商品名)に入れ、3分
間攪拌混合したのち、口径30mmの2軸押出機で200℃に
て溶融混練処理してペレット化した。
【0027】また比較例3、4としてMFRが7.0g/10
分の安定化されていない粉末状結晶性エチレン−プロピ
レンランダム共重合体(エチレン含有量4.0重量%)100
重量部に後述の表4に記載の添加剤のそれぞれ所定量を
配合し、実施例15〜28に準拠して溶融混練処理してペレ
ットを得た。
【0028】剛性、耐熱剛性および透明性の評価に用い
る試験片は、得られたペレットを樹脂温度250℃、金型
温度50℃で射出成形により調製した。得られた試験片を
用いて前記の試験方法により剛性、耐熱剛性および透明
性の評価を行った。これらの結果を表3、4に示した。 実施例29〜42、比較例5〜6 結晶性ポリオレフィンとしてMFR6.0g/10分の安定化
されていない粉末状結晶性プロピレン単独重合体15重量
%、MFR7.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶
性エチレン−プロピレン−ブテン−1 三元共重合体(エ
チレン含有量4.0重量%、ブテン−1含有量4.5重量%)
80重量%およびMI(190℃における荷重21.18Nを加え
た場合の10分間の溶融樹脂の吐出量)5.0g/10分の安定
化されていない粉末状チーグラー・ナッタ系高密度エチ
レン−プロピレン共重合体(密度0.950g/cm3、メチル
分岐3.0個/1000炭素)5重量%とからなる合計100重量
部に、化合物Aとして3−(2'−ヒドロキシフェニル)
アクリル酸、3−ヒドロキシ−3−(2'−ヒドロキシフ
ェニル)アクリル酸、3−メチル−3−(2', 4'−ジヒ
ドロキシフェニル)アクリル酸、2,3−ジメチル−3
−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸、3−
フェニル−3−(2', 4'−ジヒドロキシフェニル)アク
リル酸、2−クロロ−3−メチル−3−(2', 6'−ジヒ
ドロキシフェニル)アクリル酸もしくは3−(2'−ヒド
ロキシ−4'−カルボキシルフェニル)アクリル酸および
他の添加剤のそれぞれ所定量を、後述の表5、6に記載
した含有割合でヘンシェルミキサー(商品名)に入れ、
3分間攪拌混合したのち、口径30mmの2軸押出機で200
℃にて溶融混練処理してペレット化した。また比較例5
〜6としてMFRが6.0g/10分の安定化されていない粉
末状結晶性プロピレン単独重合体15重量%、MFRが7.
0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性エチレン−
プロピレン−ブテン−1 三元共重合体(エチレン含有量
4.0重量%、ブテン−1含有量4.5重量%)80重量%およ
びMIが5.0g/10分の安定化されていない粉末状チーグ
ラー・ナッタ系高密度エチレン−プロピレン共重合体
(密度0.950g/cm3、メチル分岐3.0個/1000炭素)5重
量%とからなる合計100重量部に後述の表6に記載の添
加剤のそれぞれ所定量を配合し、実施例29〜42に準拠し
て溶融混練処理してペレットを得た。
【0029】剛性、耐熱剛性および透明性の評価に用い
る試験片は、得られたペレットを樹脂温度250℃、金型
温度50℃で射出成形により調製した。得られた試験片を
用いて前記の試験方法により剛性、耐熱剛性および透明
性の評価を行った。これらの結果を表5、6に示した。
表1〜表6に示される本発明にかかわる化合物および添
加剤は下記の通りである。 化合物A[1]:3−(2'-ヒドロキシフェニル)アク
リル酸 化合物A[2]:3−ヒドロキシ−3−(2'−ヒドロキ
シフェニル)アクリル酸 化合物A[3]:3−メチル−3−(2', 4'−ジヒドロ
キシフェニル)アクリル酸 化合物A[4]:2,3−ジメチル−3−(2', 4'−ジ
ヒドロキシフェニル)アクリル酸 化合物A[5]:3−フェニル−3−(2', 4'- ジヒド
ロキシフェニル)アクリル酸 化合物A[6]:2−クロロ−3−メチル−3−(2',
6'−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸 化合物A[7]:3−(2'−ヒドロキシ−4'−カルボキ
シルフェニル)アクリル酸 結晶核剤:ケイ皮酸 フェノール系酸化防止剤1:2,6−ジ−t−ブチル−
p−クレゾール フェノール系酸化防止剤2:テトラキス[メチレン−3
−(3', 5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン フェノール系酸化防止剤3:トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート フェノール系酸化防止剤4:1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン リン系酸化防止剤1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォ
スファイト リン系酸化防止剤2:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト リン系酸化防止剤3:トリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスファイト
【0030】
【表1】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0031】
【表2】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0032】表1、2に記載の実施例および比較例は、
結晶性ポリオレフィンとして結晶性プロピレン単独重合
体を用いた場合である。表からわかるように、実施例1
〜14は本発明にかかわる化合物Aを含有するものであ
り、実施例1〜14と比較例1(化合物Aを含有しないも
の)とをくらべてみると、実施例1〜14は剛性、耐熱剛
性および透明性が著しく優れていることがわかる。ま
た、化合物Aの替わりにケイ皮酸を含有した比較例2と
実施例1〜14をくらべてみると、比較例2は比較例1と
くらべても明らかなようにケイ皮酸含有によって剛性、
耐熱剛性および透明性は改善されるもののいまだ充分満
足できるものではなく、実施例1〜14は剛性、耐熱剛性
および透明性が著しく改善されていることがわかる。従
って、本発明にかかわる結晶性ポリオレフィンおよび化
合物Aの2成分の特定量の含有を同時に満たさない比較
各例は、本発明の効果を奏さないことが明らかである。
すなわち、本発明で得られる剛性、耐熱剛性および透明
性は、結晶性ポリオレフィンに化合物Aを含有させたと
きにはじめてみられる特有の効果であるといえる。
【0033】
【表3】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0034】
【表4】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0035】表3、4は、結晶性ポリオレフィンとして
結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体を用いた
ものであり、これらについても上述と同様の効果が確認
された。
【0036】
【表5】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0037】
【表6】 *:結晶性ポリオレフィン100重量部に対する化合物および添加剤の重量部
【0038】表5、6は結晶性ポリオレフィンとして結
晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレ
ン−ブテン−1 三元共重合体およびチーグラー・ナッタ
系高密度エチレン−プロピレン共重合体の混合物を用い
たものであり、これらについても上述と同様の効果が確
認された。
【0039】
【発明の効果】本発明の結晶性ポリオレフィン組成物
は、剛性、耐熱剛性および透明性が大幅に改善される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリオレフィン100重量部および
    下記一般式(1)で示される3−(2'−ヒドロキシフェ
    ニル)アクリル酸誘導体0.001〜1重量部からなる結晶
    性ポリオレフィン組成物。 【化1】 (ただし、式中R1〜R6は水素原子、ハロゲン原子、水
    酸基、カルボキシル基もしくは炭素数1〜8の炭化水素
    基をそれぞれ示す。)
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