JPH08270708A - フロントフォーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダンパーシリンダを太くし、減衰力特性の向
上と安定化が図れるフロントフォークを提供すること。 【構成】 車体側チューブ１内に車輪側チューブ２を摺
動自在に挿入し、車体側チューブ１に下方に向けてダン
パーシリンダ５を取付け、ダンパーシリンダ５内に車輪
側チューブ２から起立するピストンロッド７をピストン
６を介して移動自在に挿入し、ダンパーシリンダ５の外
周と車輪側チューブ２の底部との間に懸架スプリング１
０を介装しているフロントフォークにおいて、懸架スプ
リング１０が大径の第１のスプリング２８と、第１のス
プリング２８より小径でその上部を第１のスプリング２
８の内側に配置した第２のスプリング２９とで構成さ
れ、第１のスプリング２８の上端をダンパーシリンダ５
の下端部近傍で担持し、第２のスプリング２９の下端を
車輪側チューブ２の底部で支持し、第１のスプリング２
８の下端と第２のスプリング２９の上端とをスプリング
ガイド３０を介して接続したこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車の車体と車
軸間に介装され路面からの振動を減衰する緩衝器とフォ
ークを兼ねた倒立型のフロントフォークに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種、倒立型フロントフォークとし
て、例えば、実公平４−５２５０２号公報に開示された
ものが開発されている。

【０００３】このフロントフォークは、車体側アウター
チューブ内に車輪側インナーチューブが摺動自在に挿入
され、車体側アウターチューブの上端中央には下方に向
けてダンパーシリンダを取付け、ダンパーシリンダ内に
はピストンを介してピストンロッドを移動自在に挿入
し、このピストンロッドの下端を車輪側インナーチュー
ブの底部中央に連結し、更に、ダンパーシリンダの中間
外周部と車輪側インナーチューブの底部との間に懸架ス
プリングを介装したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のフロントフ
ォークは、懸架スプリングの上端がダンパーシリンダの
中間外周部に担持されている結果、ダンパーシリンダの
外周と車輪側インナーチューブとの間には懸架スプリン
グを介在させるだけのスペースが必要となる。この為、
必然的にダンパーシリンダの外径は懸架スプリングの内
径より小さく成形しなければならない。

【０００５】しかしながら、減衰力特性を向上させ、安
定化させるためにダンパーシリンダ径を大きくしたいと
いう要望があるが、上記のような懸架スプリングの取付
方法ではこの懸架スプリングに規制されて十分にダンパ
ーシリンダを太くすることが出来ないのが現状である。

【０００６】そこで、本発明の目的は、ダンパーシリン
ダを太くし、減衰力特性の向上と安定化が図れるフロン
トフォークを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の構成は、懸架スプリングの格納長を短かく
してダンパーシリンダの下端部近傍と車輪側チューブの
底部との間に介在させたことである。

【０００８】更に詳しく述べると、本発明の構成は、車
体側チューブ内に車輪側チューブを摺動自在に挿入し、
車体側チューブに下方に向けてダンパーシリンダを取付
け、ダンパーシリンダ内に車輪側チューブから起立する
ピストンロッドをピストンを介して移動自在に挿入し、
ダンパーシリンダの外周と車輪側チューブの底部との間
に懸架スプリングを介装しているフロントフォークにお
いて、懸架スプリングが大径の第１のスプリングと、第
１のスプリングシートより小径でその上部を第１のスプ
リングの内側に配置した第２のスプリングとで構成さ
れ、第１のスプリングの上端をダンパーシリンダの下端
部近傍で担持し、第２のスプリングの下端を車輪側チュ
ーブの底部で支持し、第１のスプリングの下端と第２の
スプリングの上端とをスプリングガイドを介して接続し
たことを特徴とするものである。

【０００９】この場合、第２のスプリングの上端にオイ
ルロックケースを上下移動自在に設け、当該オイルロッ
クケースは、ピストンロッドの外周にスライド自在に挿
入されたガイド部と、ガイド部から上方に起立する第１
の筒体と、ガイド部から下方に垂設された第２の筒体と
で構成され、ダンパーシリンダの下端に第１の筒体に対
向するオイルロックピースを設け、ピストンロッドの下
端外周に第２の筒体に対向する油孔桿を起立させている
のが好ましい。

【００１０】

【作用】圧縮作動時第２のスプリングが圧縮し、次いで
第１のスプリングが圧縮する。

【００１１】第１、第２のスプリングからなる懸架スプ
リングがダンパーシリンダの下端部近傍より下方に配置
されているから、ダンパーシリンダの外周は懸架スプリ
ングと干渉せず、その結果ダンパーシリンダを太く成形
して減衰力特性の向上と安定化が図れる。

【００１２】第２のスプリングの上端にオイルロックケ
ースが設けられている場合には最圧縮時近くでオイルロ
ック圧によりクッション効果が得られる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施の一例を図にもとづいて
説明する。

【００１４】車体側チューブたるアウターチューブ１内
に車輪側チューブたるインナーチューブ２が摺動自在に
挿入され、アウターチューブ１とインナーチューブ２内
にダンパー３が内蔵されている。ダンパー３は、アウタ
ーチューブ１の上端キャップ４の中央に結合されて下方
に垂設されたダンパーシリンダ５と、ダンパーシリンダ
５内にピストン６を介して移動自在に挿入された中空な
ピストンロッド７とからなり、ピストンロッド７の下端
はインナーチューブ２の底部に結合されている。

【００１５】ダンパーシリンダ５の下端部近傍には断面
Ｌ状のスプリング受け８を設け、このスプリング受け８
とインナーチューブ２の底部たる下端ボトム部９の上面
との間に懸架スプリング１０が介装され、この懸架スプ
リング１０は、常時ダンパーシリンダ５とアウターチュ
ーブ１を伸び方向に付勢している。

【００１６】ダンパーシリンダ５の上部中央には下方に
向けてパイプ体１１が取り付けられ、このパイプ体１１
の下部には隔壁部材部材１２が設けられ、この隔壁部材
１２は、ダンパーシリンダ５の上方に油室１３，１４を
区画し、油室１３の上方には気体室１５が設けられてい
る。

【００１７】隔壁部材１２には油室１３，１４を開閉す
るポート１６とリーフバルブ１７が設けられ、又、パイ
プ体１１には二つの油室１３，１４を連通するバイパス
１８が設けられ、このバイパス１８中には外部操作で開
度調節するニードルバルブ１９が上下移動自在に設けら
れ、リーフバルブ１７とニードルバルブで減衰力を発生
するようにしている。

【００１８】ダンパー側のピストン６は、上方の上記油
室１４と下方の油室２０を区画し、二つの油室１４，２
０はピストン６に設けた伸圧二つのポート２１と、各ポ
ート２１を開閉する伸側リーフバルブ２２と圧側リーフ
バルブ２３を介して開閉されている。更に、ピストンロ
ッド７の上部には二つの油室１４，２０を連通するバイ
パス２４が形成され、このバイパス２４内には開度調整
自在にニードルバルブ２５が設けられ、ニードルバルブ
２５はピストンロッド７内に挿入したコントロールロッ
ド２６と下端のアジャスタ２７を介して上下方向の動き
を制御されている。

【００１９】懸架スプリング１０は、径の太い第１のス
プリング２８とこの第１のスプリング２８より径の細い
第２のスプリング２９とからなり、第２のスプリング２
９の上部は、第１のスプリング２８の下方内側に挿入さ
れている。

【００２０】第１のスプリング２８の下端と第２のスプ
リング２９の上端との間にはスプリングガイド３０が設
けられ、このスプリングガイド３０を介して第１のスプ
リング２８の下端と第２のスプリング２９の上端とが接
続されている。

【００２１】第１のスプリング２８の上端は、スプリン
グ受け８の下端に担持され、第２のスプリング２９の下
端は、ボトム９の上面で担持されている。

【００２２】スプリングガイド３０は、円筒部３１と、
円筒部３１の下端に外方に向けて設けたフランジ部３２
と、円筒部３１の上端に内方に向けて設けた支持片３３
とを備え、フランジ部３２が第１のスプリング２８の下
端を支持し、支持片３３が第２のスプリング２９の上端
を支持している。

【００２３】ピストンロッド７の外周にはオイルロック
ケース３４が上下スライド自在に挿入され、このオイル
ロックケース３４は上記スプリングガイド３０の支持片
３３に結合され、懸架スプリング１０の伸縮作動に連動
してピストンロッド７の外周を上下にスライドする。

【００２４】オイルロックケース３４は、ピストンロッ
ド７の外周にスライド自在に挿入されたガイド部３７
と、ガイド部３７から上方に起立する第１の筒体３５
と、ガイド部３７から下方に垂設された第２の筒体３６
と、で構成されている。

【００２５】第１の筒体３５は、油室４０の上方に開口
し、その底部にクッション用の弾性体３８が設けられて
いる。

【００２６】第２の筒体３６は、油室４０の下方に開口
し、上部にその内部と油室４０とを通じさせる通孔３９
が設けられている。

【００２７】ダンパーシリンダ５の下端中央には中空な
オイルロックピース４０が設けられ、このオイルロック
ピース４０は、前記オイルロックケース３４の第１の筒
体３５内に対向している。オイルロックピース４０は内
部の中空部と油室４０とを通じさせる通孔４１が設けら
れている。

【００２８】ピストンロッド７の下部外周には中空な油
孔桿４２が設けられ、この油孔桿４２は、上記オイルロ
ックケース３４の第２の筒体内に対向している。尚、ピ
ストン６の下方にはクッション用のスプリング４３が設
けられている。

【００２９】上記のフロントフォークは、通常懸架スプ
リング１０によりダンパー３とアウターチューブ１は伸
び方向に付勢されている。

【００３０】この状態から、例えば、圧縮すると上方の
油室１４の油がポート２１、パイパス２４を介して下方
の油室２０に流出し、この時、リーフバルブ２３とニー
ドルバルブ２５とで圧側の減衰力を発生する。更に、ピ
ストンロッド侵入体積分の油は上方のポート１６とバイ
パス１８を介してリザーバたる油室１３に排出され、リ
ーフバルブ１７とニードルバルブ１９で圧側の減衰力を
発生する。

【００３１】上記の圧縮作動時には懸架スプリング１０
においては、第２の小径なスプリング２９が先に圧縮
し、その後第１のスプリング２８が圧縮する。但し、第
１のスプリング２８が先に圧縮しても使用可能である。

【００３２】最圧縮時近傍では、油孔桿４２がオイルロ
ックケース３４における第２の筒体３６内に侵入し、オ
イルロック圧によるクッションで金属当りを防止する。
更に上方のオイルロックピース４０が第１の筒体３５内
に侵入するとオイルロック圧が発生してクッションを効
かせ、急激な底付きを防止する。

【００３３】この際、通孔３９は、油孔桿４２が侵入し
た時第２の筒体３６内の油を油室４０側に流出させる。

【００３４】又、弾性体３８は、オイルロックピース４
０の金属当りを防止し、併せてクッションを効かせる。

【００３５】通孔４１は、オイルロックピース４０内に
侵入した油を油室４０に流出する。

【００３６】他方、伸長作動時にはダンパーシリンダ５
が上昇し、下方の油室２０の油がポート２１とバイパス
２４を介して上方の油室１４に流出し、リーフバルブ２
３とニードルバルブ２５とで伸側減衰力を発生する。
又、ピストンロッドの排出体積分の油は油室１３から上
方のポート１６とバイパス１８を介して油室１４に流出
し、この時にもリーフバルブとニードルバルブ１９によ
る減衰力が発生する。

【００３７】

【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。

【００３８】各請求項の発明によれば、懸架スプリン
グが太径の第１のスプリングと小径の第２のスプリング
とで構成し、第２のスプリングの上部を第１のスプリン
グの内側に配置し、第１、第２のスプリングをスプリン
グガイドで接続した為に、懸架スプリングの軸方向の長
さを一本のスプリングに比べて大幅に短かくでき、格納
スペースを小さくできた。この結果、懸架スプリングの
上端をダンパーシリンダの下端近傍に取り付けられ、こ
れによりダンパーシリンダの外周は懸架スプリングと干
渉することが無く、外径を太くして減衰力特性を向上
し、安定化が図れるようになった。

【００３９】請求項２の発明によれば、最圧縮時近傍
でオイルロックケースを構成する第１の筒体と第２の筒
体にオイルロックピースと油孔桿とが嵌合する為にオイ
ルロック圧によるクッションが効き、金属当りを防止
し、急激な底付きを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るフロントフォークの一
部縦断正面図である。

【図２】図１の一部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 車体側チューブたるアウターチューブ ２ 車輪側チューブたるインナーチューブ ５ ダンパーシリンダ ６ ピストン ７ ピストンロッド １０ 懸架スプリング ２８ 第１のスプリング ２９ 第２のスプリング ３０ スリングガイド ３４ オイルロックケース ３５ 第１の筒体 ３６ 第２の筒体 ３７ ガイド部 ４０ オイルロックピース ４２ 油孔桿

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体側チューブ内に車輪側チューブを摺
   動自在に挿入し、車体側チューブに下方に向けてダンパ
   ーシリンダを取付け、ダンパーシリンダ内に車輪側チュ
   ーブから起立するピストンロッドをピストンを介して移
   動自在に挿入し、ダンパーシリンダの外周と車輪側チュ
   ーブの底部との間に懸架スプリングを介装しているフロ
   ントフォークにおいて、懸架スプリングが大径の第１の
   スプリングと、第１のスプリングより小径でその上部を
   第１のスプリングの内側に配置した第２のスプリングと
   で構成され、第１のスプリングの上端をダンパーシリン
   ダの下端部近傍で担持し、第２のスプリングの下端を車
   輪側チューブの底部で支持し、第１のスプリングの下端
   と第２のスプリングの上端とをスプリングガイドを介し
   て接続したことを特徴とするフロントフォーク。
2. 【請求項２】 第２のスプリングの上端にオイルロック
   ケースを上下移動自在に設け、当該オイルロックケース
   はピストンロッドの外周にスライド自在に挿入されたガ
   イド部と、ガイド部から上方に起立する第１の筒体と、
   ガイド部から下方に垂設された第２の筒体とで構成さ
   れ、ダンパーシリンダの下端に第１の筒体に対向するオ
   イルロックピースを設け、ピストンロッドの下端外周に
   第２の筒体に対向する油孔桿を起立させている請求項１
   のフロントフォーク。