JP3966984B2 - 車両用緩衝器のエアーばね - Google Patents

車両用緩衝器のエアーばね Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マウンテンバイク等の車両用緩衝器のエアーばねに関する。
【0002】
【従来の技術】
マウンテンバイク等に用いられる緩衝器は軽量であることを要求される。このような緩衝器で、目的とする緩衝器全体としての総合ばね特性を得るためには種々の方法があるが、コイルスプリングとエアーを併用した場合、ストローク前半に最適なばね反力を得ようとして、コイルスプリングの寄与率を上げると、コイルスプリングの線径を太くせざるを得ず、緩衝器のウエイトがアップする。
【0003】
エアースプリングの寄与率を上げて、ストローク前半に最適なばね反力を得ようとすると、ストローク後半のばね反力が必要以上に上がってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ストローク後半のばね反力特性の上昇を抑え、ストローク全般にわたり最適なばね反力特性が得られ、組付け性、エアー反力調整の優れた緩衝器のエアーばね機構を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、車体側チューブと車輪側チューブの間に区画形成される気体室内に、可動隔壁部材を設け、可動隔壁部材の一方の側に高圧気体室を設け、他方の側に低圧気体室を設けた車両用緩衝器のエアーばねにおいて、シリンダーと、シリンダーの一端を閉塞するキャップと、シリンダー内に設けられキャップとの間に高圧気体室を密封区画する可動隔壁部材からなるコンプリート体をシリンダーと車体側チューブとの間に隙間を介するように該車体側チューブ内に挿入し、コンプリート体をキャップを介して車体側チューブ内に固定し、可動隔壁部材の下部に低圧気体室を形成し、キャップに、高圧気体室にエアーを給排する第1のエアー封入口栓を設け、キャップに低圧気体室と連通する通路を形成し、この通路に第2のエアー封入口栓を設けたものである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記コンプリート体のキャップを車体側チューブの上端部内周に螺合して車体側チューブの上端を閉塞するようにしたものである。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において更に、前記コンプリート体の可動隔壁部材がフリーピストンであり、シリンダー下部内周に該フリーピストンのためのストッパーを設けたものである。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の本発明において更に、前記車体側チューブ側と車輪側チューブ側との間に、車体側チューブと車輪側チューブを伸長方向に付勢する補助コイルスプリングを設けたものである。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の本発明において更に、前記コンプリート体の高圧気体室に容積調整用のオイルを封入したものである。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の本発明において更に、前記車体側チューブと車輪側チューブとの間に減衰力発生機構を設けたものである。
【0011】
請求項7に記載の本発明は、摺動自在に嵌合する車体側チューブと車軸側チューブ内にオイルを封入するとともに上部に気体室を形成した車両用緩衝器のエアーばねにおいて、上記気体室を可動隔壁部材にて2つの気体室に区画し、上方を高圧気体室とし、且つ、この高圧気体室に容積調整用のオイルを封入したものである。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば下記(1) 〜(4) の作用がある。
(1) 車体側チューブと車輪側チューブの圧縮行程で、低圧気体室が圧縮され高圧気体室と同圧になると、全気体室の容積が低圧気体室と高圧気体室を合わせた容積となり、これ以後のばね定数が小になる。そして、これ以後、可動隔壁部材は変位し始め、両気体室は同圧となって圧縮される。これにより、エアーばねによる圧縮行程後半での反力の過大化を抑えて圧縮行程後半で比較的緩やかなばね特性を得ることができる。
【0013】
(2) 高圧気体室と低圧気体室のそれぞれに第1と第2のエアー封入口栓を設けた。従って、両気体室に封入される気体圧力を任意に選択し、圧縮行程の前半と後半のエアー反力をそれぞれ任意に設定でき、エアーばねのばね特性の選択の幅を簡易に広げることができる。
【0014】
(3) コンプリート体を車体側チューブに挿入するだけで、車体側チューブの上端を閉塞し、且つ車体側チューブ内に高圧気体室と低圧気体室を設けることができ、エアーばねの構造、組付性を簡易化できる。
【0015】
(4) コンプリート体のキャップに第2のエアー封入口栓を低圧気体室に連通する流路を形成した。従って、コンプリート体を車体側チューブに組付けたままの状態で、キャップに設けた第1と第2のエアー封入口栓により高圧気体室と低圧気体室のそれぞれに封入される気体圧力を任意に調整でき、エアーばねのばね特性を多様に変更できる。
【0016】
請求項2に記載の本発明によれば下記(5) の作用がある。
(5) コンプリート体のキャップを車体側チューブの上端部内周に螺合し、コンプリート体のキャップを車体側チューブの上端閉塞部材として兼用することにより、エアーばねの構成部品点数を低減できる。
【0017】
請求項3に記載の本発明によれば下記(6) の作用がある。
(6) コンプリート体の可動隔壁部材はダイヤフラムでも良いが、フリーピストンとすることにより圧縮ストロークを大きくとることができる。また、フリーピストンのストッパーをシリンダーの下部内周に設けたことにより、フリーピストンの上部に高圧気体を封入したときのフリーピストンのシリンダー外への抜け止めを図ることができる。
【0018】
請求項4に記載の本発明によれば下記(7) の作用がある。
(7) 車体側チューブと車輪側チューブの間に補助コイルスプリングを設けることにより、エアーばねの圧縮行程前半での比較的小反力にコイルスプリングの反力を加え、圧縮特性全体で比較的リニアーな合成反力を得ることができる。
【0019】
請求項5に記載の本発明によれば下記(8) の作用がある。
(8) コンプリート体の高圧気体室に容積調整用のオイルを封入することにより、高圧気体室のばね定数を可変でき、高圧気体室が関与する圧縮行程後半でのエアーばねのばね特性を調整できる。
【0020】
請求項6に記載の本発明によれば下記(9) の作用がある。
(9) 車体側チューブと車輪側チューブとの間に減衰力発生機構を設けることにより、エアーばねの制振効果を果たすことができる。
【0021】
請求項7に記載の本発明によれば下記(10)の作用がある。
(10)高圧気体室のオイル量と低圧気体室のオイル量をそれぞれ変えることにより、エアーばねのばね特性を調整できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1はフロントフォークを示す模式図、図2はフロントフォークの上部拡大図、図3はフロントフォークの下部拡大図、図4はエアーばねのコンプリート体を示す模式図、図5はエアーばねの封入気体圧の選択によるばね特性の変化を示す模式図、図6は低圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図、図7は高圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図、図8は低圧気体室と高圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図である。
【0023】
フロントフォーク10は、図1〜図3に示す如く、車体側チューブ11を車輪側チューブ12に挿入し、車体側チューブ11の下部外周に装着してあるブッシュ13を車輪側チューブ12の内周に、車輪側チューブ12の上端内周に装着してあるブッシュ14を車体側チューブ11の内周に摺接して両チューブ11、12を摺動自在としている。両チューブ11、12の摺動嵌合部は、車輪側チューブ12の上端外周に装着されたシールケース15に保持されるオイルシール16、ダストシール17によりシールされている。
【0024】
車輪側チューブ12の下端開口には、キャップ21が液密に螺着固定され、キャップ21の中央にはボルト22により固定されるシートパイプ23が立設され、シートパイプ23の車体側チューブ11内に位置する先端部には補助ピストン24が固定されている。他方、車輪側チューブ12の下端内周にはバルブシート25とストッパリング26により固定されたバルブストッパー27が装着され、バルブストッパー27はフリーバルブ28を上下動可能に保持している。フリーバルブ28はシートパイプ23外周に僅かな隙間を介して摺接し、フリーバルブ28とキャップ21との間を下室(オイル室)29A、フリーバルブ28と補助ピストン24との間を上室(オイル室)29Bとしている。フリーバルブ28は、減衰力発生機構を構成するものであり、フロントフォーク10の伸長行程で減衰作用を営む内周絞り通路(フリーバルブ28の内周面がシートパイプ23の外周面との間に形成するギャップ)31と、圧縮行程で減衰作用を営む斜め通路(フリーバルブ28に穿設した孔)32とを備える。また、シートパイプ23の下室29Aに開口する孔状流路33は、下室29Aをシートパイプ23の中空部、車体側チューブ11と車輪側チューブ12の内部のリザーバ室(オイル室)29Cに連通し、フロントフォーク10の伸縮行程で車輪側チューブ12に対して進退する車体側チューブ11の容積分のオイル量を下室29Aとリザーバ室29Cの間で給排可能としている。
【0025】
車体側チューブ11と車輪側チューブ12の内部において、リザーバ室29Cの上部空間は気体室(本実施形態では空気室)41とされている。そして、車体側チューブ11の上部開口から気体室41には後に詳述するコンプリート体50が挿着され、このコンプリート体50のシリンダー53の下端に添設された座金42と前述の補助ピストン24との間には、補助コイルスプリング43が介装されている。
【0026】
コンプリート体50は、車体側チューブ11の上部開口から気体室41に挿入されて車体側チューブ11の上端を閉塞し、気体室41を高圧気体室51と低圧気体室52とに区画する。コンプリート体50は、図4に示す如く、両端を開口したシリンダー53と、シリンダー53の上端部を閉塞するキャップ54と、シリンダー53内に設けられてキャップ54との間に高圧気体室51を形成し、反キャップ54側に低圧気体室52を形成する可動隔壁部材としてのフリーピストン55と、シリンダー53の下部内周に加締固定されてフリーピストン55を制止するストッパー56と、キャップ54に設けられ高圧気体室51にエアーを給排する第1エアー封入口栓57と、キャップ54に設けられて低圧気体室52にエアーを給排する第2エアー封入口栓58とを一体に形成してある。キャップ54はシリンダ53の上部内周にOリング59を介して気密に螺着固定される。フリーピストン55は、シリンダー53の内周にピストンリング60を介して摺動自在とされるとともに、Oリング61により高圧気体室51を低圧気体室52に対して気密に隔絶する。
【0027】
ここで、コンプリート体50は、キャップ54を車体側チューブ11の上端開口にOリング62を介して気密に螺着固定してある。そして、車体側チューブ11とコンプリート体50のシリンダー53との間には低圧気体室52に連通する隙間63を形成し、第2エアー封入口栓58を上記隙間63に連通する流路64をキャップ54に形成してある。
【0028】
尚、フロントフォーク10にあっては、車輪側チューブ12の下端部に設けたキャップ21の内面に最大圧縮時の緩衝ラバー71を備え、シートパイプ23の先端部の補助ピストン24には最大伸長時のリバウンドスプリング72を備えてある。
【0029】
フロントフォーク10にあっては、車輪が受ける衝撃を気体室41(高圧気体室51、低圧気体室52)のエアーばねと、補助コイルスプリング43とによって吸収して緩和し、この衝撃の吸収に伴う車体側チューブ11と車輪側チューブ12の伸縮振動を、フリーバルブ28が備える前述した減衰力発生機構が供する減衰作用により抑制する。
【0030】
即ち、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク10の圧縮時には、下室29Aの圧力が上昇し、フリーバルブ28はバルブストッパー27内で上動してバルブシート25から離隔し、フリーバルブ28の斜め通路32を開く。これにより、下室29Aの油がフリーバルブ28のシートパイプ23との間の隙間通路、及び斜め通路32を通って上室29Bに流れ、これらの通路抵抗による圧側減衰力を得ることにてコイルスプリング43の縮み速度を制御する。
【0031】
また、この圧縮時には、車輪側チューブ12に対する車体側チューブ11の進入容積分に相当する余剰油を下室29Aからシートパイプ23の孔状流路33を経てリザーバ室29Cに排出する。
【0032】
(伸長時)
フロントフォーク10の伸長時には、上室29Bの圧力が上昇し、フリーバルブ28はバルブストッパー27内で下動してバルブシート25に着座し、フリーバルブ28の斜め通路32を閉じる。これにより、上室29Bの油がフリーバルブ28のシートパイプ23との間の隙間通路だけを通って下室29Aに流れ、この隙間通路のみによる圧縮時よりも大きな伸側減衰力を得てコイルスプリング43の共振を防止する。
【0033】
また、この伸長時には、車輪側チューブ12からの車体側チューブ11の退出容積分に相当する不足油をリザーバ室29Cからシートパイプ23の孔状流路33を経て下室29Aに補給する。
【0034】
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
【0035】
然るに、フロントフォーク10において、コンプリート体50により高圧気体室51と低圧気体室52とに区画された気体室41が構成するエアーばねのばね特性について説明する。
【0036】
(1) 気体室41のエアーばねの基本的ばね特性
エアーばねのばね定数kは、ポリトロープ指数n、受圧面積A、気体圧力P、気体室の容積Vとするとき、k=nA2 P/Vである。然るに、フロントフォーク10の圧縮行程で、低圧気体室52が圧縮され高圧気体室51と同圧になると、上記Vが高圧気体室51と低圧気体室52を合わせた容積となり、ばね定数kが小になる。そして、以後、圧縮行程が進むに従い、フリーピストン55が変位し始め、高圧気体室51と低圧気体室52は同圧となって圧縮される。高圧気体室51と低圧気体室52が同圧になった以後のばね定数kが上述の如くに小になるから、エアーばねによる圧縮行程後半での反力の過大化を抑えて圧縮行程後半で比較的緩やかなばね特性を得ることができる。
【0037】
(2) 気体室41のエアーばねのばね特性の調整(気体圧力による)
第1エアー封入口栓57と第2エアー封入口栓58を用いて高圧気体室51と低圧気体室52のそれぞれに封入される気体圧力を変更することにより、エアーばねのばね特性を変更できる(図5)。図5において、" P1 " は低圧気体室52の気体圧力をP1 としたフロントフォーク10の圧縮行程前半のエアーばね反力特性、" P1a" 、" P1b" 、" P1c" は低圧気体室52の気体圧力をP1 、高圧気体室51の気体圧力をそれぞれa、b、cの順に高圧化したフロントフォーク10の圧縮行程後半のエアーばね反力特性を示す。また、" P2"は低圧気体室52の気体圧力をP2 としたフロントフォーク10の圧縮行程前半のエアーばね反力特性、" P2a" 、" P2b" 、" P2c" は低圧気体室52の気体圧力をP2 、高圧気体室51の気体圧力をそれぞれa、b、cの順に高圧化したフロントフォーク10の圧縮行程後半のエアーばね反力特性を示す。
【0038】
(3) 気体室41のエアーばねのばね特性の調整(気体室容積による)
図4のコンプリート体50では、シリンダー53の上端内側に螺着しているキャップ54を外すことにより、高圧気体室51に容積調整用のオイルを封入できる。即ち、フロントフォーク10において、高圧気体室51のオイル量と低圧気体室52のオイル量をそれぞれ変えることにより、異なるエアーばね特性を得ることができる。図6は低圧気体室52のオイル量を変更し、低圧気体室52の容積が大なる場合のばね特性(A)と、低圧気体室52の容積が小なる場合のばね特性(B)を示すものであり、低圧気体室52の容積を低減することにより、圧縮行程前半の反力上昇率が大となることを示している。図7は高圧気体室51のオイル量を変更し、高圧気体室51の容積が大なる場合のばね特性(A)と高圧気体室51の容積が小なる場合のばね特性(B)を示すものであり、高圧気体室51の容積を低減することにより圧縮行程後半の反力上昇率が大となることを示している。図8は高圧気体室51にオイルを入れた場合と低圧気体室52にオイルを入れた場合を示し、高圧気体室51にオイルを入れることにより圧縮行程後半の反力上昇率を大とするばね特性(A)と、低圧気体室52にオイルを入れることにより圧縮行程前半の反力上昇率を大とするばね特性(B)とを示している。
【0039】
尚、フロントフォーク10におけるコンプリート体50の組付手順は以下の如くなされる。
(1) コンプリート体50の第1エアー封入口栓57から高圧気体室51に所望圧力の高圧気体を封入し、フリーピストン55をストッパ56に当てておく。
【0040】
(2) コンプリート体50を車体側チューブ11の上部開口から挿入し、キャップ54を車体側チューブ11の上部開口に螺着し、車体側チューブ11の上端を閉塞する。このコンプリート体50の挿入時に、第2エアー封入口栓58は開いておき、車体側チューブ11の内部空間を大気圧に維持しておく。
【0041】
(3) コンプリート体50の第2エアー封入口栓58を用いて、低圧気体室52に所望の気体圧力を形成する。
【0042】
尚、上記(1) の高圧気体室51への高圧気体封入は、上記(2) のコンプリート体50の車体側チューブ11への挿入後に行ない、その後、上記(3) の低圧気体室52の気体圧力の調整を行なうものとしても良い。
【0043】
従って、本実施形態によれば以下の作用がある。
(1) 車体側チューブ11と車輪側チューブ12の圧縮行程で、低圧気体室52が圧縮され高圧気体室51と同圧になると、全気体室41の容積が低圧気体室52と高圧気体室51を合わせた容積となり、これ以後のばね定数が小になる。そして、これ以後、フリーピストン55は変位し始め、両気体室51、52は同圧となって圧縮される。これにより、エアーばねによる圧縮行程後半での反力の過大化を抑えて圧縮行程後半で比較的緩やかなばね特性を得ることができる。
【0044】
(2) 高圧気体室51と低圧気体室52のそれぞれに第1と第2のエアー封入口栓57、58を設けた。従って、両気体室51、52に封入される気体圧力を任意に選択し、圧縮行程の前半と後半のエアー反力をそれぞれ任意に設定でき、エアーばねのばね特性の選択の幅を簡易に広げることができる。
【0045】
(3) コンプリート体50を車体側チューブ11に挿入するだけで、車体側チューブ11の上端を閉塞し、且つ車体側チューブ11内に高圧気体室51と低圧気体室52を設けることができ、エアーばねの構造、組付性を簡易化できる。
【0046】
(4) コンプリート体50のキャップ54に第2のエアー封入口栓58を低圧気体室52に連通する流路64を形成した。従って、コンプリート体50を車体側チューブ11に組付けたままの状態で、キャップ54に設けた第1と第2のエアー封入口栓57、58により高圧気体室51と低圧気体室52のそれぞれに封入される気体圧力を任意に調整でき、エアーばねのばね特性を多様に変更できる。
【0047】
(5) コンプリート体50のキャップ54を車体側チューブ11の上端部内周に螺合し、コンプリート体50のキャップ54を車体側チューブ11の上端閉塞部材として兼用することにより、エアーばねの構成部品点数を低減できる。
【0048】
(6) コンプリート体50の可動隔壁部材はダイヤフラムでも良いが、フリーピストン55とすることにより圧縮ストロークを大きくとることができる。また、フリーピストン55のストッパー56をシリンダー53の下部内周に設けたことにより、フリーピストン55の上部に高圧気体を封入したときのフリーピストン55のシリンダー53外への抜け止めを図ることができる。
【0049】
(7) 車体側チューブ11と車輪側チューブ12の間に補助コイルスプリング43を設けることにより、エアーばねの圧縮行程前半での比較的小反力にコイルスプリング43の反力を加え、圧縮特性全体で比較的リニアーな合成反力を得ることができる。
【0050】
(8) コンプリート体50の高圧気体室に容積調整用のオイルを封入することにより、高圧気体室51のばね定数を可変でき、高圧気体室51が関与する圧縮行程後半でのエアーばねのばね特性を調整できる。
【0051】
(9) 車体側チューブ11と車輪側チューブ12との間に減衰力発生機構(フリーバルブ28)を設けることにより、エアーばねの制振効果を果たすことができる。
【0052】
(10)高圧気体室51のオイル量と低圧気体室52のオイル量をそれぞれ変えることにより、エアーばねのばね特性を調整できる。
【0053】
また、フロントフォーク10において、コンプリート体50の高圧気体室51に容積調整用オイルを封入したとき、このオイルはフリーピストン55の潤滑機能を兼ねる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明はマウンテンバイク用のフロントフォークに限らず、その他一般車両のエアーばね、油圧緩衝器にも適用できる。
【0055】
また、本発明のコンプリート体において、シリンダー内のフリーピストンとストッパとの間にスプリングを介装し、フリーピストンの変位開始時のフリクションロスを無くすこともできる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ストローク後半のばね反力特性の上昇を抑え、ストローク全般にわたり最適なばね反力特性が得られ、組付け性、エアー反力調整の優れた緩衝器のエアーばね機構を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフロントフォークを示す模式図である。
【図2】図2はフロントフォークの上部拡大図である。
【図3】図3はフロントフォークの下部拡大図である。
【図4】図4はエアーばねのコンプリート体を示す模式図である。
【図5】図5はエアーばねの封入気体圧の選択によるばね特性の変化を示す模式図である。
【図6】図6は低圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図である。
【図7】図7は高圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図である。
【図8】図8は低圧気体室と高圧気体室の容積調整用オイル量の選択によるばね特性の変化を示す模式図である。
【符号の説明】
11 車体側チューブ
12 車輪側チューブ
28 フリーバルブ(減衰力発生機構)
41 気体室
43 補助コイルスプリング
50 コンプリート体
51 高圧気体室
52 低圧気体室
53 シリンダー
54 キャップ
55 フリーピストン(可動隔壁部材)
56 ストッパー
57 第1エアー封入口栓
58 第2エアー封入口栓
63 隙間
64 流路

Claims (7)

  1. 車体側チューブと車輪側チューブの間に区画形成される気体室内に、可動隔壁部材を設け、可動隔壁部材の一方の側に高圧気体室を設け、他方の側に低圧気体室を設けた車両用緩衝器のエアーばねにおいて、
    シリンダーと、シリンダーの一端を閉塞するキャップと、シリンダー内に設けられキャップとの間に高圧気体室を密封区画する可動隔壁部材からなるコンプリート体をシリンダーと車体側チューブとの間に隙間を介するように該車体側チューブ内に挿入し、コンプリート体をキャップを介して車体側チューブ内に固定し、可動隔壁部材の下部に低圧気体室を形成し、
    キャップに、高圧気体室にエアーを給排する第1のエアー封入口栓を設け、
    キャップに低圧気体室と連通する通路を形成し、この通路に第2のエアー封入口栓を設けたことを特徴とする車両用緩衝器のエアーばね。
  2. 前記コンプリート体のキャップを車体側チューブの上端部内周に螺合して車体側チューブの上端を閉塞する請求項1に記載の車両用緩衝器のエアーばね。
  3. 前記コンプリート体の可動隔壁部材がフリーピストンであり、シリンダー下部内周に該フリーピストンのためのストッパーを設けた請求項1又は2に記載の車両用緩衝器のエアーばね。
  4. 前記車体側チューブ側と車輪側チューブ側との間に、車体側チューブと車輪側チューブを伸長方向に付勢する補助コイルスプリングを設けた請求項1〜3のいずれかに記載の車両用緩衝器のエアーばね。
  5. 前記コンプリート体の高圧気体室に容積調整用のオイルを封入した請求項1〜4のいずれかに記載の車両用緩衝器のエアーばね。
  6. 前記車体側チューブと車輪側チューブとの間に減衰力発生機構を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の車両用緩衝器のエアーばね。
  7. 摺動自在に嵌合する車体側チューブと車軸側チューブ内にオイルを封入するとともに上部に気体室を形成した車両用緩衝器のエアーばねにおいて、
    上記気体室を可動隔壁部材にて2つの気体室に区画し、上方を高圧気体室とし、且つ、この高圧気体室に容積調整用のオイルを封入したことを特徴とする車両用緩衝器のエアーばね。
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