JP4049883B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の車体と車輪との間に介装されて路面からの衝撃を吸収するフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フロントフォークとして、特開平6-147248号公報に記載される如く、車体側チューブと車輪側チューブとを摺動自在に嵌合し、車体側チューブにダンパシリンダを起立し、車輪側チューブにピストンロッドを起立し、該ピストンロッドをダンパシリンダの開口部の内周に設けたロッドガイドで支持しつつ該ダンパシリンダ内に挿入し、ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパシリンダの内部にロッド側油室とピストン側油室とを区画形成し、ピストンに減衰力発生装置を設けるとともに、ダンパシリンダのピストン側油室に圧側減衰力発生装置を設け、ダンパシリンダ内の圧側減衰力発生装置に対する反ピストン側に該ダンパシリンダの内部の油室を加圧するフリーピストンを設け、車体側チューブと車輪側チューブの間の下部に油室を、上部に気体室を形成し、ダンパシリンダの開口部の内周とピストンロッドの外周との間にダンパシリンダの内部の油室を密封するシール部材を設けたものがある。
【0003】
この従来技術では、ダンパシリンダにピストンロッドが進入、退出することにより、該ピストンロッドの進入、退出容積分に相当する該ダンパシリンダ内の油量変化をフリーピストンの上下動によって補償している。そして、ピストンロッドがダンパシリンダ内に進入した容積分だけ、フリーピストンを付勢するスプリングが圧縮されることにより、ダンパシリンダ内の作動油が加圧されるので、ピストンの摺動時にダンパシリンダ内の作動油にキャビテーションの発生がなく、伸長時に続く圧縮時の減衰力発生の遅れ(さぼり)もなくなる。
【0004】
また、この従来技術では、ダンパシリンダの開口部内周に設けたシール部材が、車体側チューブと車輪側チューブの間の油室に位置するピストンロッドに付着した作動油をダンパシリンダ内に持ち込んだ余剰オイルを、ダンパシリンダ外に排出するために、フリーピストンの上下動を案内しているガイドパイプ外周に縮径部を形成し、フリーピストン内周のシール部材がこの縮径部に到達したときにダンパシリンダ内の余剰オイルをシリンダ外に排出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術において、フリーピストンは、ピストンロッドがダンパシリンダに最大限進入する最圧縮時に、フリーピストン内周のシール部材がガイドパイプ外周の縮径部に到達するように設定され、この最圧縮時にダンパシリンダ内に経時的に溜まった前述の余剰オイルをダンパシリンダ外に排出する。即ち、ダンパシリンダ内に経時的に溜まった余剰オイルは、ピストンロッドがダンパシリンダ内に最も進入する車両のジャンプ後の着地等の最圧縮時に、ダンパシリンダ外に排出されるので、余剰オイルがダンパシリンダ外に排出されるまでの間は、ダンパシリンダ内に溜まった余剰オイルの分だけ、上位にあるフリーピストンがスプリングを圧縮し、このスプリングの付勢力がダンパシリンダ内の作動油を加圧し、ロッド反力が増す。
【0006】
このため、ジャンプ等の激しい走行をしないライダーや、体重の軽いライダーは最圧縮するまでフルストロークすることがないので、前述の余剰オイルが常にダンパシリンダ内に溜まった状態で走行するものとなり、上述のロッド反力が増した分だけフロントフォークの作動に硬さを感じるものとなる。
【0007】
本発明の課題は、フロントフォークにおいて、ジャンプ等の激しい走行をしないライダーや体重の軽いライダーの使用時にも、ダンパシリンダの開口部に設けたシール部材を介してピストンロッドがダンパシリンダの外部からダンパシリンダの内部に持ち込んだ余剰オイルを、ダンパシリンダの外部に確実に排出することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、車体側チューブと車輪側チューブとを摺動自在に嵌合し、車体側チューブにダンパシリンダを起立し、車輪側チューブにピストンロッドを起立し、該ピストンロッドをダンパシリンダの開口部の内周に設けたロッドガイドで支持しつつ該ダンパシリンダ内に挿入し、ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパシリンダの内部にロッド側油室とピストン側油室とを区画形成し、ピストンに減衰力発生装置を設けるとともに、ダンパシリンダのピストン側油室に圧側減衰力発生装置を設け、ダンパシリンダの圧側減衰力発生装置に対する反ピストン側に該ダンパシリンダの内部の油室を加圧する可動隔壁部材を設け、車体側チューブと車輪側チューブの間の下部に油室を、上部に気体室を形成し、ダンパシリンダの開口部の内周とピストンロッドの外周との間にダンパシリンダの内部の油室を密封するシール部材を設けてなるフロントフォークにおいて、ダンパシリンダのロッド側油室の端部に該ロッド側油室を密封可能とするブローバルブを設け、このブローバルブとダンパシリンダの開口部との間にリバウンドスプリングを設け、ピストンロッドにはブローバルブに当接する伸切り衝合部を設け、フロントフォークの最伸長時にピストンロッドの伸切り衝合部が押動するブローバルブにより開放される透孔をダンパシリンダの開口部寄り側壁に設けてなるようにしたものである。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記ダンパシリンダの内周に、前記ブローバルブによる透孔の開放時にロッド側油室とピストン側油室とを連通するバイパス路を設けてなるようにしたものである。
【0010】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば下記▲1▼の作用がある。
▲1▼アスファルト路面等の比較的平坦で滑らかな走行をするオンロード車等に装着される油圧緩衝器では、ピストンの 1G位置(車両が静止した状態で、乗員が1名乗車した時の位置)を中心として、圧縮、伸張を繰り返す走行をするが、荒れ地を走行するオフロード車に装着される油圧緩衝器では、ピストンの伸び切り位置を基準にして、この基準位置から圧縮を繰り返すという走行状態をする。従って、本発明のフロントフォークが適用される例えばオフロード車等では、どんなライダーの使用時にも、フロントフォークは(最圧縮状態に到達することはなくても)必ず伸切り状態(車輪が空中に浮く状態)にはなる。そこで、本発明では、フロントフォークの最伸長時に、ピストンロッドの伸切り衝合部がダンパシリンダの下端部を画成しているブローバルブを押動し、該ダンパシリンダの開口部寄り側壁の透孔を開き、結果としてダンパシリンダ内の余剰オイルをその透孔から排出するものである。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば下記▲2▼の作用がある。
▲2▼フロントフォークの最伸長時に、ブローバルブが透孔を開き、ダンパシリンダ内の余剰オイルをその透孔から排出するとき、ダンパシリンダのロッド側油室から余剰オイルを超えた量の油が余剰オイルの流れに乗って逃げ出してしまうことは防止する必要がある。本発明では、ブローバルブによる透孔の開放時に、ロッド側油室をバイパス路によってピストン側油室に連通し、伸長過程でのロッド側油室の上昇圧力をピストン側油室の側に解放することにて、上述の余剰オイルを超えた量の油の逃げ出しを防止可能とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1はフロントフォークを示す模式図、図2はフロントフォークの下部拡大図、図3はフロントフォークの中間部拡大図、図4はフロントフォークの上部拡大図、図5はブローバルブによる透孔の開閉動作を示す模式図である。
【0013】
フロントフォーク10は、車体側チューブ11内に車輪側チューブ12を摺動自在に挿入し、両チューブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとともに、単筒型ダンパ14を倒立にして内装している。
【0014】
車体側チューブ11の下端内周部には車輪側チューブ12の外周部が摺接するブッシュ15が嵌着され、車輪側チューブ12の上端外周部には車体側チューブ11の内周部が摺接するブッシュ16が嵌着されている。
【0015】
車体側チューブ11はアッパブラケット17Aとロアブラケット17Bを介して車体側に支持され、車輪側チューブ12は車軸ブラケット18を介して車軸に結合される。
【0016】
車体側チューブ11の上端部にはキャップ19がOリングを介して液密に螺着され、キャップ19にはダンパ14のダンパシリンダ21(上シリンダチューブ21A)の上端部が螺着されている。車輪側チューブ12の下端部内周にはオイルロックカラー23がOリングを介して液密に嵌装され、このオイルロックカラー23をボトムボルト24で車軸ブラケット18にOリングを介して液密に固定してある。また、ボトムボルト24にはダンパ14のピストンロッド(中空ロッド)22の基端部が螺着されるとともにロックナット24Aでロックされ、このピストンロッド22の先端部をダンパシリンダ21に挿入してある。
【0017】
懸架スプリング13は、オイルロックカラー23の基端部外周面に装着したスプリング受け25と、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の中間部の外周面に固定したスプリング受け26との間に介装されている。また、車体側チューブ11と車輪側チューブ12の内部には油室27と気体室28とが設けられ、気体室28に閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。これらの懸架ばね13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0018】
ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ベースバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有している。ダンパ14は、ピストンバルブ装置40とベースバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴う車体側チューブ11と車輪側チューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0019】
尚、ダンパ14のダンパシリンダ21は、ダンパシリンダ21へのベースバルブ装置50の組み込み等のために、上下2つのシリンダチューブ21A、21Bに2分され、それらの接合体とされている。
【0020】
また、ダンパシリンダ21の下シリンダチューブ21Bの下端部内周にはロッドガイド29が螺着され、更に下シリンダチューブ21Bの下端部にはオイルロックカラー30を遊嵌し、このロッドガイド29の内周部にはピストンロッド22が摺接するブッシュ29Aを設けてある。
【0021】
そして、ダンパシリンダ21の下シリンダチューブ21の下端部寄り内周には、後に詳述するブローバルブ31が配置されている。ブローバルブ31は、ロッドガイド29に支持されるリバウンドスプリング32よりバックアップされるとともに、下シリンダチューブ21Bの内周に設けられているストッパリング33に制止されて定常位置に設定される。ブローバルブ31の外周部には下シリンダチューブ21Bの内周部に摺接するOリング34が、内周部にはピストンロッド22の外周部に摺接するブッシュ31A、オイルシール35、ストッパリング31Bが嵌着され、ダンパシリンダ21の内部に作動油を封入している。但し、オイルシール35は、フロントフォーク10がストロークするたびに、車体側チューブ11と車輪側チューブ12の内部の油室27に位置するピストンロッド22の外周面に付着した作動油をダンパシリンダ21の内部に持ち込む。
【0022】
以下、フロントフォーク10の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置40)
ピストンバルブ装置40は、ピストンロッド22の先端部にピストンホルダ41を装着し、このピストンホルダ41にピストン42を装着している。ピストン42は、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の内部を摺接し、ダンパシリンダ21の内部をピストンロッド22が収容されないピストン側油室43Aとピストンロッド22が収容されるロッド側油室43Bとに区画する。ピストン42は、伸側バルブ44Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする圧側流路45とを備える。
【0023】
また、ピストンバルブ装置40は、アジャスタ46に結合されている減衰力調整ロッド47をピストンロッド22の中空部に通し、この減衰力調整ロッド47の先端のニードル47Aにより、ピストンホルダ41に設けてあるピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとのバイパス路48の流路面積を調整可能とする。
【0024】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ピストン側油室43Aの油が圧側流路45を通り圧側バルブ45Aを開いてロッド側油室43Bへ導かれる。
【0025】
また、フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が低速のとき、ロッド側油室43Bの油がニードル47Aのあるバイパス路48を通ってピストン側油室43Aへ導かれ、この間のニードル47Aによる絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、アジャスタ46によるニードル47Aの位置調整により調整される。
【0026】
また、フロントフォーク10の伸長時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室43Bの油が伸側流路44を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油室43Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0027】
(ベースバルブ装置50)
ベースバルブ装置50は、上シリンダチューブ21Aの上端部に螺着されている前述のキャップ19にガイドパイプ51を螺着するとともに、このガイドパイプ51をロックナット19Aで固定し、ガイドパイプ51の先端部にハウジングホルダ51Aを螺着し、このハウジングホルダ51Aにナット51B等によりバルブハウジング52を保持している。バルブハウジング52は上シリンダチューブ21Aの内周部に液密に接し、前述のピストン側油室43Aの上方にベースバルブ室53を区画形成する。バルブハウジング52は、圧側バルブ54Aを備えてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする圧側流路54と、伸側バルブ55Aを備えてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする伸側流路55とを備える。また、ハウジングホルダ51Aは、圧側流路54と伸側流路55とをバイパスしてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とするバイパス流路56を備える。
【0028】
キャップ51に螺合された減衰力調整ロッド58は、アジャスタ59を備えるとともに、ガイドパイプ51に挿入され、先端のニードル58Aによりバイパス流路56の流路面積を調整可能とする。
【0029】
また、ベースバルブ装置50は、上シリンダチューブ21Aの内部に、該上シリンダチューブ21Aとガイドパイプ51に沿ってOリングを介して液密に摺動するフリーピストン型の隔壁部材61を備える。隔壁部材61は、ベースバルブ室53のバルブハウジング52の側でピストン側油室43Aに連通している油室53Aと、キャップ19の側の気体室53B(気体室28と連通)とを区画する。隔壁部材61はフロントフォークの最大伸張時にシリンダチューブ21Aの段部との間にわずかな隙間を残すように配設され、且つ、スプリング62が、この最大伸張時にわずかな初期荷重を有するように、隔壁部材61とキャップ19との間に介装される。
【0030】
ダンパシリンダ内にピストンロッド22が進入する圧縮時に、このスプリング62が収縮し、この時のスプリング62のばね荷重分だけ、ダンパシリンダ21内の油室が加圧され、伸張時におけるダンパシリンダ内油室のキャビテーションの発生を防止し、また伸長時に続く圧縮時の減衰力発生の遅れ(さぼり)も回避する。
【0031】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド22の進入容積分の油が、ピストン側油室43Aからバルブハウジング52のバイパス流路56、もしくは圧側流路54を通ってベースバルブ室53の油室53Aに排出される。このとき、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が低速のときには、バイパス流路56に設けてあるニードル58Aによる絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、アジャスタ59によるニードル58Aの位置調整により調整される。また、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が中高速のときには、ピストン側油室43Aから圧側流路54を通る油が圧側バルブ54Aを撓み変形させてベースバルブ室53の油室53Aに導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
【0032】
フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21から退出するピストンロッド22の退出容積分の油が、ベースバルブ室53の油室53Aからバルブハウジング52の伸側流路55を通ってピストン側油室43Aに還流される。
【0033】
従って、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク10の圧縮時には、ベースバルブ装置50において、バルブハウジング52のニードル58A或いは圧側バルブ54Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰力を生じない。
【0034】
(伸長時)
フロントフォーク10の伸長時には、ピストンバルブ装置40において、ピストン42のニードル47A或いは伸側バルブ44Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ベースバルブ装置50では殆ど減衰力を生じない。
【0035】
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
【0036】
尚、フロントフォーク10の最圧縮時には、ダンパシリンダ21の下シリンダチューブ21Bの下端部のオイルロックカラー31が、車輪側チューブ12の下端部に設けてあるオイルロックカラー23に嵌合し、両者の間で圧縮した油によりオイルロック作用を生ぜしめ、ダンパ20の底つきを防止する。
【0037】
また、フロントフォーク10の最伸長時には、ピストンロッド22に設けているピストンホルダ41の下端面が形成する後述の伸切り衝合部41Aの、ダンパシリンダ21の開口部に設けてあるロッドガイド29に支持されているリバウンドスプリング32にバックアップされているブローバルブ31に衝合し、伸切りの緩衝作用を果たす。
【0038】
しかるに、フロントフォーク10にあっては、ダンパシリンダ21の開口部に設けたオイルシール35を介して、ピストンロッド22がダンパシリンダ21の外部の油室27から内部に持ち込んだ余剰オイルを、ダンパシリンダ21の外部に逃がすため、前述のブローバルブ31を備えたものである。
【0039】
即ち、ブローバルブ31は、前述した如く、ダンパシリンダ21のロッド側油室43Bの端部に設けられて該ロッド側油室43Bを密封可能とし、ダンパシリンダ21の開口部に設けてあるロッドガイド29との間にリバウンドスプリング32を設けてある。また、ピストンロッド22に設けてある前述のピストンホルダ41の下端面を、このブローバルブ31に当接する伸切り衝合部41Aとしている。そして、フロントフォーク10の最伸長時に、ピストンロッド22の伸切り衝合部41Aはブローバルブ31をスプリング32に抗して押込み、これによって押動されるブローバルブ31により開放可能とされる透孔70を、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の開口部寄り側壁に設けてある。
【0040】
尚、ブローバルブ31の押動タイミングを決定するリバウンドスプリング32のばね力(ばね係数)は以下の如く決定される。
(a) リバウンドスプリング32のばね力は、ベースバルブ装置50の隔壁部材61を付勢しているスプリング62のばね力より例えば 6倍の如く大きく設定される。フロントフォーク10の圧縮時には、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド22の進入容積分の油をベースバルブ室53の油室53Aに排出して補償すべく、油室53Aを区画する隔壁部材61を上動させる必要がある。即ち、圧縮時のダンパシリンダ21内の圧力により、ブローバルブ31は移動させることなく、隔壁部材61を移動させる必要があり、リバウンドスプリング32のばね力をスプリング62のばね力より大きく設定してある。
【0041】
(b) リバウンドスプリング32のばね力は、フロントフォーク10の伸長時にロッド側油室43Bに生ずる圧力よりも大きく設定される。これは、最大伸長時前にブローバルブ31が移動して透孔70が開いてしまうと、ピストンバルブ装置40の伸側バルブ44Aを油が流れることによる伸側減衰力が得られなくなるからである。即ち、伸長時のピストンバルブ装置40による伸側減衰力を確保するため、リバウンドスプリング32のばね力を伸長時のロッド側油室43Bの圧力よりも大きく設定してある。
【0042】
また、フロントフォーク10にあっては、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の下端部寄りの内周部で、定常位置にあるブローバルブ31の直上部に、ダンパシリンダ21の内周部を拡径したバイパス路71を設けてある。バイパス路71は、ブローバルブ31による透孔70の開放時に、ロッド側油室43Bをピストン側油室43Aに連通するものである。
【0043】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼本発明のフロントフォーク10が適用される例えばオフロード車等では、どんなライダーの使用時にも、フロントフォーク10は(最圧縮状態に到達することはなくても)必ず伸切り状態(車輪が空中に浮く状態)には行く。そこで、本発明では、フロントフォーク10の最伸長時に、ピストンロッド22の伸切り衝合部41Aが図5(A)〜図5(B)の如くに移動することにより、ダンパシリンダ21の下端部を画成しているブローバルブ31を押動し、該ダンパシリンダ21の開口部寄り側壁の透孔70を開き、結果としてダンパシリンダ21内の余剰オイルをその透孔70から排出するものである。
【0044】
尚、ダンパシリンダ21内の余剰オイルは、隔壁部材61がスプリング62の付勢力により最下位置(原位置)に設定されるまで透孔70からダンパシリンダ21外に排出される。
【0045】
▲2▼フロントフォーク10の最伸長時に、ブローバルブ31が透孔70を開き、ダンパシリンダ21内の余剰オイルをその透孔70から排出するとき、ダンパシリンダ21のロッド側油室43Bから余剰オイルを超えた量の油が余剰オイルの流れに乗って逃げ出してしまうことは防止する必要がある。本発明では、ブローバルブ31による透孔70の開放時に、ロッド側油室43Bをバイパス路71によってピストン側油室43Aに連通し、伸長過程でのロッド側油室43Bの上昇圧力をピストン側油室43Aの側に解放することにて、上述の余剰オイルを超えた量の油の逃げ出しを防止可能とした(図5(B))。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フロントフォークにおいて、ジャンプ等の激しい走行をしないライダーや体重の軽いライダーの使用時にも、ダンパシリンダの開口部に設けたシール部材を介してピストンロッドがダンパシリンダの外部からダンパシリンダの内部に持ち込んだ余剰オイルを、ダンパシリンダの外部に確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフロントフォークを示す模式図である。
【図2】図2はフロントフォークの下部拡大図である。
【図3】図3はフロントフォークの中間部拡大図である。
【図4】図4はフロントフォークの上部拡大図である。
【図5】図5はブローバルブによる透孔の開閉動作を示す模式図である。
【符号の説明】
10 フロントフォーク
11 車体側チューブ
12 車輪側チューブ
21 ダンパシリンダ
22 ピストンロッド
27 油室
28 気体室
29 ロッドガイド
31 ブローバルブ
32 リバウンドスプリング
35 オイルシール(シール部材)
40 ピストンバルブ装置(減衰力発生装置)
41A 伸切り衝合部
42 ピストン
43A ピストン側油室
43B ロッド側油室
50 ベースバルブ装置(減衰力発生装置)
52 バルブハウジング
53A 油室
53B 気体室
61 隔壁部材
70 透孔
71 バイパス路
Claims (2)
- 車体側チューブと車輪側チューブとを摺動自在に嵌合し、
車体側チューブにダンパシリンダを起立し、
車輪側チューブにピストンロッドを起立し、該ピストンロッドをダンパシリンダの開口部の内周に設けたロッドガイドで支持しつつ該ダンパシリンダ内に挿入し、
ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパシリンダの内部にロッド側油室とピストン側油室とを区画形成し、
ピストンに減衰力発生装置を設けるとともに、ダンパシリンダのピストン側油室に圧側減衰力発生装置を設け、
ダンパシリンダの圧側減衰力発生装置に対する反ピストン側に該ダンパシリンダの内部の油室を加圧する可動隔壁部材を設け、
車体側チューブと車輪側チューブの間の下部に油室を、上部に気体室を形成し、
ダンパシリンダの開口部の内周とピストンロッドの外周との間にダンパシリンダの内部の油室を密封するシール部材を設けてなるフロントフォークにおいて、
ダンパシリンダのロッド側油室の端部に該ロッド側油室を密封可能とするブローバルブを設け、このブローバルブとダンパシリンダの開口部との間にリバウンドスプリングを設け、ピストンロッドにはブローバルブに当接する伸切り衝合部を設け、フロントフォークの最伸長時にピストンロッドの伸切り衝合部が押動するブローバルブにより開放される透孔をダンパシリンダの開口部寄り側壁に設けてなることを特徴とするフロントフォーク。 - 前記ダンパシリンダの内周に、前記ブローバルブによる透孔の開放時にロッド側油室とピストン側油室とを連通するバイパス路を設けてなる請求項1記載のフロントフォーク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9818698A JP4049883B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | フロントフォーク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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