JP4137545B2 - 車両用の油圧緩衝器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用の油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最圧縮ストロークを規制するためのオイルロック機構を備えた油圧緩衝器として、実開昭62-102791に記載の如く、シリンダの内部にピストンを摺動自在に設け、シリンダにオイルロックカラーを、ピストンにオイルロックピースを設け、最圧縮時にオイルロックピースをオイルロックカラーに微小隙間を介して嵌合するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
モトクロス、トライアル等のオフロード系二輪車では、ジャンプ着地時等のピストン速度の高速作動時に生ずる非常に大きな衝撃荷重を、懸架スプリングのばね特性だけでは緩衝できず、オイルロック機構によりその大きな衝撃荷重を吸収させる必要があることから、オイルロックストロークを長くとって吸収エネルギの拡大を図る。
【0004】
しかしながら、従来技術では、オイルロックストロークをピストン速度に依存させていないから、オイルロックストロークを長くとると、通常走行時の通常速度作動時にも圧縮の早い段階からオイルロックストロークに入ってしまう。この場合には、通常走行時の旋回走行段階等で、圧縮ストロークの奥側まで通常の緩衝作用を常用するに至らず、操縦安定性を損なう。
【0005】
本発明の課題は、オイルロックストロークをピストン速度に依存させ、ジャンプ着地時等の衝撃吸収性を確保するとともに、通常走行時の操縦安定性を確保することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、内部に油室を形成したシリンダの内周に、ピストン部材を摺動自在に設け、前記油室の内部に一方のオイルロック部材を配置し、前記ピストン部材に、該一方のオイルロック部材に微小隙間を介して嵌合し、最圧縮時の緩衝をなす他方のオイルロック部材を設けた車両用の油圧緩衝器において、前記一方のオイルロック部材を前記シリンダ内周に摺動可能に設け、該シリンダの内部の油室を二分し、該オイルロック部材に上記二分した油室を連通するオリフィスを設け、前記ピストン部材と前記シリンダとの間に配設される懸架スプリングを分割し、分割した懸架スプリングの間に該オイルロック部材を挟持したものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記一方のオイルロック部材が、他方のロック部材の側に向かって縮径するテーパ状の突起部と、該突起部の外周に連設し、前記シリンダの内周に摺動可能にされる隔壁部を備えたオイルロックピースであり、前記他方のオイルロック部材が、一方のオイルロック部材の突起部に、前記微小隙間を介して嵌合する円筒部を有するオイルロックカラーであるようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記オイルロックピースの隔壁部の外周と前記シリンダの内周との間に隙間を形成し、該隙間を前記オリフィスとしたものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において更に、前記オイルロックピースの突起部の上端部に小孔を形成し、該小孔を前記オリフィスとしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は油圧緩衝器の全体を示す断面図、図2は図1の下端側の要部を示す断面図、図3は図1の上端側の要部を示す断面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図、図5はロッドガイドを示す断面図、図6はオイルロック機構を示す断面図である。
【0011】
油圧緩衝器10は、アウタチューブ11を車体側に、インナチューブ12を車輪側に配置する倒立型フロントフォークであり、図1〜図3に示す如く、アウタチューブ11の下端開口部の内周に固定したガイドブッシュ11Aと、インナチューブ12の上端開口部の外周に固定したガイドブッシュ12Aを介して、アウタチューブ11の内部にインナチューブ12を摺動自在に挿入する。11Bはオイルシール、11Cはダストシールである。アウタチューブ11の上端開口部にはキャップ13が液密に螺着され、アウタチューブ11の外周には車体側取付部材14A、14Bが設けられる。インナチューブ12の下端開口部にはボトムブラケット15がOリング12Bを介して液密に挿着されて螺着され、ボトムブラケット15には車輪側取付部16が設けられる。
【0012】
油圧緩衝器10は、アウタチューブ11の内周と、インナチューブ12の外周と、前記2つのガイドブッシュ11A、12Aにて区画される環状油室17を区画する。
【0013】
油圧緩衝器10は、インナチューブ12を本発明のシリンダとするものであり、インナチューブ12の上端側内周にOリングを介する等により液密に、隔壁部材19を設け、隔壁部材19のロッドガイド部19Aより下部に油室21を区画するとともに、上部に油溜室22を区画する。油溜室22の中でその下側領域は油室22A、上側領域は空気室22Bである。
【0014】
隔壁部材19は、ロッドガイド部19Aの外周から上方に延びる筒状部19Bをインナチューブ12の内周に螺着し(19Cは筒状部19Bの先端面に設けた工具係合溝)、インナチューブ12の先端部より下方にロッドガイド部19Aを位置付けた。これにより、伸張時におけるアウタチューブ11とインナチューブ12の嵌合長を十分に確保しながら、油溜室22の容積を確保、ひいては空気ばね(エア反力)発生のための空気室22Bの容積を確保できる。
【0015】
油圧緩衝器10は、アウタチューブ11に取付けたピストンロッド23を隔壁部材19のロッドガイド部19Aに摺動自在に挿入する。具体的には、キャップ13の中心部にばね荷重調整スリーブ24を液密に螺着し、油溜室22に挿入されたスリーブ24の下端部に中空ピストンロッド23を螺着し、これをロックナット25で固定する。
【0016】
油圧緩衝器10は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aからインナチューブ12に挿入したピストンロッド23の先端部に、インナチューブ12の内周に摺接するピストン26を固定し、前記油室21をピストンロッド23が収容されるピストンロッド側油室21Aと、ピストンロッド23が収容されないピストン側油室21Bに区画する。ピストン26はナット27により固定される。
【0017】
油圧緩衝器10は、前記環状油室17を、インナチューブ12に設けた油孔28を介して、ピストンロッド側油室21Aに常時連通する。このとき、環状油室17は、油圧緩衝器10の伸縮に伴なって容積を変化し、圧縮時には、拡大してピストンロッド23の油室21への進入分の作動油をピストンロッド側油室21Aからインナチューブ12の油孔28を介して吸収し、伸張時には、縮小してピストンロッド23の油室21からの退出分の作動油をインナチューブ12の油孔28を介してピストンロッド側油室21Aに補給し、ピストンロッド23の進入/退出分の体積補償室を構成する。
【0018】
油圧緩衝器10は、ピストン26のピストン側油室21Bに臨む下端面にスプリングカラー31を衝合し、ボトムブラケット15が形成するインナチューブ12の底部にスプリングシート32を着座させ、スプリングカラー31の後述するテーパ部31Aに連なる最下端縮径部31Bとの段差部に設けたスプリングシート31Cとスプリングシート32の間に懸架スプリング33を介装している。油圧緩衝器10は、前述のばね荷重調整スリーブ24を螺動することにより、ピストンロッド23及びピストン26を上下動し、この上下動により懸架スプリング33のばね荷重を調整する。油圧緩衝器10は、車両走行時に路面から受ける衝撃力を懸架スプリング33の伸縮振動により吸収する。
【0019】
油圧緩衝器10は、ピストン26に減衰力発生装置40を備える。
減衰力発生装置40は、圧側流路41と伸側流路42を備える。圧側流路41は、バルブストッパ41Bにバックアップされる圧側ディスクバルブ41Aにより開閉される。伸側流路42は、バルブストッパ42Bにバックアップされる伸側ディスクバルブ42Aにより開閉される。尚、バルブストッパ41B、バルブ41A、ピストン26、バルブ42A、バルブストッパ42Bは、ピストンロッド23に挿着されるバルブ組立体を構成し、ピストンロッド23に係着されたストッパリング41Cと、ピストンロッド23に螺着されるナット27に挟まれて固定される。
【0020】
減衰力発生装置40は、ばね荷重調整スリーブ24の中心部にアジャストロッド43を液密に螺着し、アジャストロッド43に固定したニードルバルブ44をピストンロッド23の中空部に挿入し、ピストンロッド23に設けたバイパス路45の開度をニードルバルブ44の上下動により調整する。バイパス路45は、ピストン26をバイパスし、ピストンロッド側油室21Aとピストン側油室21Bを連絡する。
【0021】
減衰力発生装置40は、圧側行程では、低速域で、ニードルバルブ44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。また、伸側行程では、低速域で、ニードルバルブ44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。この圧側減衰力と伸側減衰力により、前述した懸架スプリング33の伸縮振動を制振する。
【0022】
油圧緩衝器10は、キャップ13の下端面に、インナチューブ12に設けた隔壁部材19の上端部が最圧縮ストロークで衝合するストッパラバー13Aを固着しており、このストッパラバー13Aによって最圧縮ストロークを規制する。
【0023】
油圧緩衝器10は、インナチューブ12の上端側の隔壁部材19のピストンロッド側油室21Aに臨む下端面に加締め固定したスプリングシート51と、ピストン26の上端面の側に設けたバルブストッパ41Bとの間にリバウンドスプリング52を介装してある。油圧緩衝器10の最伸長時に、隔壁部材19がリバウンドスプリング52をバルブストッパ41Bとの間で加圧することにより、最伸長ストロークを規制する。
【0024】
しかるに、油圧緩衝器10にあっては、図4に示す如く、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間からなる前記環状油室17の断面積S1を、ピストンロッド23の断面積(外径に囲まれる面積)S2より大きく形成している(S1>S2、但しS1≧S2でも可)。
【0025】
また、図5に示す如く、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに、圧側行程では油溜室22からピストンロッド側油室21Aへの油の流れを許容し、伸側行程ではピストンロッド側油室21Aから油溜室22への油の流れを阻止するチェック弁60を設けている。隔壁部材19のロッドガイド部19Aの内周にはバルブ室61が設けられ、バルブ室61の上端側の段差部61Aと、バルブ室61の下端側に設けられた前述のスプリングシート51との間にチェック弁60が収容される。チェック弁60は、段差部61Aとスプリングシート51の間隔より短尺とされ、下端面に横溝62を形成される。チェック弁60は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに設けたバルブ室61の内周に摺接して上下変位可能に設けられる。チェック弁60の外周は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに設けたバルブ室61の内周との間に、油溜室22からピストンロッド側油室21Aへの油の流れを許容する流路を形成する。チェック弁60は、ピストンロッド23を摺動自在に支持するブッシュ60Aをその内周に圧入されて備える。圧側行程では、チェック弁60はインナチューブ12に進入するピストンロッド23に連れ移動して図5の下方に移動し、スプリングシート51に衝合するとともに、段差部61Aとの間に隙間を形成し、ピストンロッド側油室21Aの油を横溝62からその外周経由で段差部61Aとの隙間を通って油溜室22へ排出可能とする。伸側行程では、チェック弁60はインナチューブ12から退出するピストンロッド23に連れ移動して図5の上方に移動し、段差部61Aに衝合して該段差部61Aとの間の隙間を閉じ、ピストンロッド側油室21Aの油が上述した圧側行程の逆経路で油溜室22へ排出されることを阻止する。
【0026】
また、図5に示す如く、隔壁部材19のロッドガイド部19Aには、ピストンロッド側油室21Aと油溜室22を連通する微小流路71を穿設して形成している。
【0027】
しかるに、油圧緩衝器10にあっては、圧縮位置に依存した圧側減衰力を発生させるため、以下の構成を備える。
【0028】
油圧緩衝器10では、環状油室17とピストンロッド側油室21Aを連通するようにインナチューブ12に設けた前述の油孔28を第1の油孔とし、環状油室17とピストン側油室21Bを連通する第2の油孔29をインナチューブ12に設け、乗車1G(Gは重力の加速度)位置を中心とする小さなストロークを超えて圧縮するときにピストン26の外周に設けたピストンリング26Aによって第2の油孔29をピストン側油室21Bに対し遮断する(スプリングカラー31等のピストン26に付帯する部材により第2の油孔29をピストン側油室21Bに対し遮断するものでも良い)。
【0029】
ここで、ピストン26の下端面に前述の如く支持されているスプリングカラー31は、圧縮ストロークでピストン26が第2の油孔29に到達する前段階で、第2の油孔29が設けられているインナチューブ12の内周との間に環状の間隙を形成する。そして、スプリングカラー31は、ピストン26に衝合する上端外径をピストン26の外周径に等しくする状態下で、インナチューブ12の底部側に向かって縮径するテーパ部31Aをその外周に備え、圧縮ストロークが大きくなるに従い、第2の油孔29との間隙(第2の油孔29の開度)を徐々に狭める。
【0030】
油圧緩衝器10の動作は以下の如くになる。
(圧側行程)
圧側行程でインナチューブ12に進入するピストンロッド23の進入容積分の作動油がインナチューブ12の内周の油室21Aからインナチューブ12の油孔28を介して環状油室17に移送される。このとき、環状油室17の容積増加分ΔS1(補給量)がピストンロッド23の容積増加分ΔS2より大きいから、環状油室17への油の必要補給量のうち、(ΔS1−ΔS2)の不足分が油溜室22からチェック弁60を介して補給される。
【0031】
この圧側行程では、前述した通り、低速域で、ニードルバルブ44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。
【0032】
また、この圧側行程では、圧側減衰力を下記(a)〜(c)の如くに圧縮位置に依存せしめる。
【0033】
(a)乗車1G位置(図1)を中心とした小ストローク域では、ピストン26は第2の油孔29をピストン側油室21Bに全開させており、ピストンロッド側油室21Aとピストン側油室21Bを、環状油室17が第1の油孔28、第2の油孔29とともに形成するバイパス油路により導通し、ピストン側油室21Bからピストンロッド側油室21Aへの作動油の流れを減衰力発生装置40に対しバイパスさせるから、圧側減衰力は低い。やわらかい乗り心地が得られる。
【0034】
(b)圧縮ストロークが大きくなるに従い、スプリングカラー31のテーパ部31Aが第2の油孔29との間隙を徐々に狭め、上述(a)のバイパス油路の入口開度を狭めるから、減衰力発生装置40を通過するピストン側油室21Bからピストンロッド側油室21Aへの作動油の流れが次第に多くなり、圧側減衰力は次第に高くなる。第2の油孔29の開閉の切替えに伴なう減衰力変化の違和感をなくすことができ、圧側減衰力を圧縮位置に依存してスムースに変化させることができる。
【0035】
(c)乗車1G位置を中心とする小さなストローク域を超えて圧縮ストロークが更に大きくなると、ピストン26が第2の油孔29をピストン側油室21Bに対し遮断する。ピストン側油室21Bからピストンロッド側油室21Aヘ流れる作動油の全量が減衰力発生装置40を通過するものとなり、高い圧側減衰力を発生させる。大入力を緩衝し、ふんばり感(底突き防止)を得ることができる。
【0036】
(伸側行程)
伸側行程でインナチューブ12から退出するピストンロッド23の退出容積分の作動油が環状油室17からインナチューブ12の油孔29を介してインナチューブ12の内周の油室21Aに移送される。このとき、環状油室17の容積減少分ΔS1(排出量)がピストンロッド23の容積減少分ΔS2より大きいから、環状油室17からの油の排出量のうち、(ΔS1−ΔS2)の余剰分が微小流路71を介して油溜室22へ排出される。
【0037】
この伸側行程では、前述した通り、低速域で、ニードルバルブ44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。また、上述の微小流路71の通路抵抗による伸側減衰力も発生する。
【0038】
この伸側行程でも、最圧縮ストローク側では、ピストン26が第2の油孔29をピストン側油室21Bに対し遮断しており減衰力発生装置40による伸側減衰力は高い。他方、乗車1G位置を中心とした小ストローク域では、ピストン26が第2の油孔29をピストン側油室21Bに対し全開させ伸側減衰力は低い。中間ストローク域では、スプリングカラー31のテーパ部31Aが第2の油孔29との間隙を徐々に開き、伸側減衰力は次第に低くなる。
【0039】
尚、インナチューブ12の内部の油の温度変化による容積変化量は、微小流路71を介して油溜室22に排出され、又は油溜室22から補給されて補償される。
【0040】
更に、油圧緩衝器10にあっては、最圧縮時の緩衝を行なうオイルロック機構において、オイルロックストロークをピストン速度に依存させるため、以下の構成を備える。
【0041】
油圧緩衝器10は、本発明の一方のオイルロック部材としてのオイルロックピース80と、他方のオイルロック部材としてのオイルロックカラー90を有する。
【0042】
オイルロックピース80は、インナチューブ12の内周に摺動可能に設けられ、インナチューブ12の内部のピストン側油室21Bを上下の油室21C、21Dに二分し、上下の油室21C、21Dを連通するオリフィス81A、83Aを備える。そして、前述の懸架スプリング33を上下に分割し、上懸架スプリング33Aと下懸架スプリング33Bの間にオイルロックピース80を挟持する。
【0043】
具体的には、オイルロックピース80は、オイルロックカラー90の側に向かって縮径するテーパ状外周面を備えた有天筒状の突起部81と、突起部81の外周に連設するストレート状外周面を備えた筒状のストレート部82と、ストレート部82の下部に連設してインナチューブ12の内周に後述する隙間(オリフィス83A)を介する状態(隙間83Aは介さなくても可)で摺動可能にされる隔壁部83とを備える。オイルロックピース80は、突起部81の天部(上端部)に小孔を形成し、この小孔を前述のオリフィス81Aとする。また、オイルロックピース80は、隔壁部83の外周とインナチューブ12の内周との間に環状隙間(環状でなくても可)を形成し、この隙間を前述のオリフィス83Aとする。
【0044】
オイルロックカラー90は、ピストン側油室21Bの上油室21Cに設置されている前述のスプリングカラー31の最下端縮径部31Bにて構成され、オイルロックピース80の突起部81、ストレート部82に微小隙間91を介して嵌合する円筒部90Aを有する。
【0045】
油圧緩衝器10にあっては、圧縮ストロークで、オイルロックカラー90がオイルロックピース80の突起部81から嵌合開始してストレート部82に嵌合し、該オイルロックピース80との間に、インナチューブ12の内周に囲まれるオイルロック室92を形成し、油圧緩衝器10の最圧縮時の緩衝をなす。これにより、油圧緩衝器10の最圧縮ストロークを規制し、底付きを防止する。
【0046】
油圧緩衝器10が最圧縮時のオイルロック状態から伸張するときには、オイルロックピース80に形成してあるオリフィス81A、83Aが、ピストン側油室21Bをオイルロック油室92に連通し、ピストン側油室21Bの油をそれらのオリフィス81A、83Aからオイルロック室92に供給し、オイルロックカラー90をオイルロックピース80から抜け易くする。これにより、油圧緩衝器10の伸張状態への戻りを良くして走行安定性を向上し、抜け音の発生もなくす。
【0047】
本実施形態によれば以下の作用がある。
(請求項1、2に対応する作用)
(a)オイルロックピース80(一方のオイルロック部材)は作動油の流速の高速化に応じて大きな減衰力を発生させるオリフィス81A、83Aを備える。このため、圧縮工程で、ピストン速度が高速になると、オイルロックピース80のオリフィス81A、83Aを通過する下油室21Dから上油室21Cへの油の流れに対して該オリフィス81A、83Aで発生する減衰力が高くなり、この減衰力と下懸架スプリング33Bの反力のが、上懸架スプリング33Aの反力を上回るに至る以後、下懸架スプリング33Bが全屈(密着)する前から該下懸架スプリング33Bのたわみが少なくなって上懸架スプリング33Aが主としてたわむようになり、オイルロックカラー90(他方のオイルロック部材)がオイルロックピース80に嵌合してオイルロック油室92を形成し、オイルロックピース80のオリフィス81A、83Aを通過する下油室21Dから上油室21Cへの油の流れに対して該オリフィス81A、83Aで発生する減衰力と、オイルロック油室92からオイルロックピース80とオイルロックカラー90の微小隙間91を流出する流れに対して該微小隙間91で発生する減衰力に起因のオイルロック荷重を浅いストロークで生ずる。圧縮ストロークが更に進むと、オイルロックカラー90はオイルロックピース80を押し込みながら移動するが、オイルロックピース80のオリフィス81A、83Aと、オイルロックピース80とオイルロックカラー90の微小隙間91に基づく上述のオイルロック荷重はなお継続して発生する。
【0048】
(b)ジャンプ着地時等のピストン速度の高速作動時には、上述(a)により、浅いストロークからオイルロック荷重を生じ、オイルロックストロークを長くとるものになり、吸収エネルギの拡大を図り、大きな衝撃荷重を確実に吸収し底付きを防ぐ。
【0049】
(c)通常走行時の通常速度作動時には、オイルロックピース80のオリフィス81A、83Aにおける上述(a)の減衰力の発生がなく、下懸架スプリング33Bが全屈してから、オイルロックカラー90がオイルロックピース80に嵌合してオイルロック油室92を形成する。従って、上述(a)の浅いストロークでのオイルロック作用の発生がなく、圧縮ストロークの奥側まで通常の緩衝作用を常用でき、旋回走行等においても操縦安定性を確保できる。
【0050】
(請求項3に対応する作用)
(d)オイルロックピース80のオリフィス83Aを、オイルロックピース80の隔壁部83の外周とインナチューブ12の内周との間に形成した環状の隙間により構成できる。
【0051】
(請求項4に対応する作用)
(e)オイルロックピース80のオリフィス81Aを、オイルロックピース80の突起部81の上端部に形成した小孔により構成できる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、第2の油孔29は必須でない。
【0053】
また、本発明の実施において、オイルロック部材を配置する油室が形成されるシリンダは、インナチューブに限らず、インナチューブに内蔵されるダンパシリンダであっても良い。また、オイルロック部材が設けられるピストン部材は、ピストンロッドの先端部に設けられても良いし、インナチューブの先端部の内周等に設けられても良い。
【0054】
本発明が適用される油圧緩衝器は、インナチューブに進入/退出するピストンロッドの進入容積分/退出容積分の作動油の容積変化や、インナチューブ内の油室の温度変化による作動油の容積変化を補償する体積補償室を、アウタチューブとインナチューブの間の環状油室により構成するものに限らず、この体積補償室をインナチューブの内部に設けたり、又はインナチューブの外部に設けるものであっても良い。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、オイルロックストロークをピストン速度に依存させ、ジャンプ着地時等の衝撃吸収性を確保するとともに、通常走行時の操縦安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は油圧緩衝器の全体を示す断面図である。
【図2】図2は図1の下端側の要部を示す断面図である。
【図3】図3は図1の上端側の要部を示す断面図である。
【図4】図4は図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5はロッドガイドを示す断面図である。
【図6】図6はオイルロック機構を示す断面図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器
12 インナチューブ(シリンダ)
21 油室
21A ピストンロッド側油室
21B ピストン側油室
21C 上油室
21D 下油室
23 ピストンロッド
26 ピストン(ピストン部材)
33 懸架スプリング
33A 上懸架スプリング
33B 下懸架スプリング
80 オイルロックピース
81 突起部
82 ストレート部
83 隔壁部
81A、83A オリフィス
90 オイルロックカラー
90A 円筒部
91 微小隙間

Claims (4)

  1. 内部に油室を形成したシリンダの内周に、ピストン部材を摺動自在に設け、前記油室の内部に一方のオイルロック部材を配置し、前記ピストン部材に、該一方のオイルロック部材に微小隙間を介して嵌合し、最圧縮時の緩衝をなす他方のオイルロック部材を設けた車両用の油圧緩衝器において、
    前記一方のオイルロック部材を前記シリンダ内周に摺動可能に設け、該シリンダの内部の油室を二分し、該オイルロック部材に上記二分した油室を連通するオリフィスを設け、
    前記ピストン部材と前記シリンダとの間に配設される懸架スプリングを分割し、分割した懸架スプリングの間に該オイルロック部材を挟持したことを特徴とする車両用の油圧緩衝器。
  2. 前記一方のオイルロック部材が、他方のロック部材の側に向かって縮径するテーパ状の突起部と、該突起部の外周に連設し、前記シリンダの内周に摺動可能にされる隔壁部を備えたオイルロックピースであり、
    前記他方のオイルロック部材が、一方のオイルロック部材の突起部に、前記微小隙間を介して嵌合する円筒部を有するオイルロックカラーである請求項1に記載の車両用の油圧緩衝器。
  3. 前記オイルロックピースの隔壁部の外周と前記シリンダの内周との間に隙間を形成し、該隙間を前記オリフィスとした請求項2に記載の車両用の油圧緩衝器。
  4. 前記オイルロックピースの突起部の上端部に小孔を形成し、該小孔を前記オリフィスとした請求項2又は3に記載の車両用の油圧緩衝器。
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