JPH08269868A - ポリエステル中空糸織編物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル中空糸織編物およびその製造方法

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JPH08269868A
JPH08269868A JP7103044A JP10304495A JPH08269868A JP H08269868 A JPH08269868 A JP H08269868A JP 7103044 A JP7103044 A JP 7103044A JP 10304495 A JP10304495 A JP 10304495A JP H08269868 A JPH08269868 A JP H08269868A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】中空率が5〜40%の中空部が異形であるポリ
エステル中空糸からなる織編物であって、中空糸は外層
成分が5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜10モ
ル共重合したポリエステルであり、外表面に溝幅0.0
5〜3.0μm、溝深さ0.1〜5.0μm、溝数0.
05〜0.3本/μm2 の繊維軸にほぼ直交した溝を有
し、内層成分がポリエステルホモポリマーからなる複合
中空糸であることを特徴とするポリエステル中空糸織編
物およびその製造方法。 【効果】ドライ感、清涼感、反発性にすぐれ、ふくらみ
感のある風合いの織編物の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル中空糸織編
物およびその製造方法に関する。
【0002】本発明の織編物はその特徴を生かして高級
衣料用途に最適に用いられるものである。
【0003】
【従来の技術】従来、ポリエステル中空糸は軽量性、保
温性があり、また、中空糸の高剛性から、反発性のある
風合いを有することが知られている。
【0004】近年、風合いの更なる高質化が求められ、
反発性を有し、更にドライ感や清涼感のある風合いの要
求が強くなっている。
【0005】これらの要求に対し、特開平2−9963
1号公報に記載されているような、シャープな縁を繊維
面に付与する方法があるが、それらの特徴が十分満足さ
れるものではない。また、特開昭56−31035号公
報記載のルーメン状の中空部又は湾入部を有する異形中
空糸であっても、ドライな風合いは満足されるものでは
ない。
【0006】また、特開平4−308214号公報や特
開平4−308237号公報では、外層にアルカリ溶解
性の高い共重合ポリマーを用いた中空糸が例示されてい
るが、該共重合ポリマーを完全にアルカリ溶解するもの
であり、表面が平滑で、且つシャープな縁が強すぎて、
ギシギシした風合いとなることや嵩高性に乏しくふくら
み風合いに欠け、また、発色性不良や耐磨耗性(抗フロ
スティング)に問題が残り、十分満足されるものではな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上の
従来技術やそれらの組合せでは、達成できなかった、ワ
キシー感のないドライ感とサラサラした清涼感で、反発
性が大きくふくらみのある風合いを有し、高い発色性と
耐磨耗性など問題ない物性と軽量・保温性を兼備するポ
リエステル中空糸織編物およびその製造方法を提供する
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステル織
編物は上記課題を解決するため、次の構成を有する。す
なわち、中空率が5〜40%の中空部が異形であるポリ
エステル中空糸からなる織編物であって、中空糸は外層
成分が5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜10モ
ル共重合したポリエステルであり、外表面に溝幅0.0
5〜3.0μm、溝深さ0.1〜5.0μm、溝数0.
05〜0.3本/μm2 の繊維軸にほぼ直交した溝を有
し、内層成分がポリエステルホモポリマーからなる複合
中空糸であることを特徴とするポリエステル中空糸織編
物である。
【0009】また、本発明のポリエステル織編物の製造
方法は次の構成を有する。すなわち、 5−ナトリウム
スルホイソフタル酸を1〜10モル%共重合したポリエ
ステル成分を外層に10〜70wt%、ホモポリマーポ
リエステルホモポリマーを内層に30〜90wt%に複
合した中空率3〜35%の異形中空複合繊維を製編織
後、外層の共重合ポリエステルを10〜90%減量処理
し、仕上げることを特徴とするポリエステル中空糸織編
物の製造方法である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の織編物を構成する異形断面中空ポ
リエステル糸は、内外層複合繊維の外層部分を溶解除去
して得られるものであり、この内外層複合繊維は単繊維
の横断面に中空部を有しているものである。
【0012】中空部を有するとその分だけ排除体積が増
加するため中実繊維(非中空繊維)に比べて軽量感の優
れた素材が得られる他、曲げ剛性率が高いといった利点
がある。ここで言う中空率とは、繊維横断面における内
層部分の断面積と中空部の断面積の和に対する中空部の
断面積によって表わす。中空率の測定は走査型顕微鏡
(SEM)で繊維横断面の切片を1000〜2000倍
に拡大し、求めることが好ましい。
【0013】本発明の織編物に用いる異形断面中空ポリ
エステル糸の中空率(溶解後)は5%以上40%以下未
満とするものであり、さらには15%〜25%が好まし
い。中空率が40%を越える場合には、軽量感も増す
が、製織工程以降の張力などの付加により、断面の形状
保持性が著しく低下し、中空部が潰れたり破れたりしや
すくなる。一方、5%未満では軽量化が不十分である。
【0014】なお、本発明の織編物に用いる異形断面中
空ポリエステル糸の中空率(溶解前)は、溶解後におい
て外層の一部が除去されるのを見越して、3%以上35
%未満とするものであり、さらには5%〜40%が好ま
しい。中空率が40%を越える場合には、軽量感も増す
が、製織工程以降の張力などの付加により、断面の形状
保持性が著しく低下し、中空部が潰れたり破れたりしや
すくなる。一方、5%未満では軽量化が不十分である。
【0015】本発明において用いる中空糸の中空部形状
は異形とするものである。中空部形状が円形(同心円)
の場合には曲げ剛性(曲げモーメント)を大きくするこ
とができず、反発性、清涼感などの風合いを付与するこ
とができない。異型とすることにより円形に比べて、曲
げ剛性(曲げモーメント)を1.2〜1.8倍大きくす
ることができ、反発性、清涼感のある特徴ある風合いを
得ることができる。異形の形状は、四角形、六角形、三
角形、五角形、十字形などが特に好ましい。
【0016】本発明の内外層複合中空糸はその外層成分
に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1〜10モル共
重合したポリエステルである。これは製織或いは製編後
に外層成分を一部分溶解、一部分残存させることによ
り、表面に細かな横溝を形成させ、ドライ感とサラサラ
感の風合い、発色性、物性を得ようとするものである。
【0017】この場合、共重合量は10モルを越えると
溶解速度が速くなりすぎて共重合成分を残存させること
が困難となる。また、1モル未満の共重合量では表面の
溝の形成が困難となり、サラサラした風合いができず、
また発色性が低下するのでいずれも好ましくない。風合
い、発色性、溶解制御面からとくに好ましくは2〜7モ
ル共重合したポリエステルがよい。
【0018】また、かかる外層成分の繊維全体に対する
複合比は溶解後の断面形状、シャープ性を変動を左右す
る要素であり、本発明の効果を最大限に発揮するために
は、溶解前における外層成分の繊維全体に対する複合比
を10〜70wt%好ましくは20〜50wt%とする
ものである。複合比が10wt%未満では発色性が低く
なる。また、70wt%を越えるものは強度が低くな
る。
【0019】内層成分はホモポリマーのポリエステル成
分であり、内層成分の繊維全体に対する複合比は30〜
90wt%、好ましくは50〜80wt%とするもので
ある。この値は前記外層成分の複合比との合計で100
wt%となるものであり、この複合比の範囲を外れると
上記と同様の問題がある。
【0020】本発明では、原糸(延伸糸)でも特徴が十
分発揮できるものであるが、耐マモウ性(抗フロスティ
ング性)の点およびシャリ味のある風合いを付与する点
から、先撚仮撚加工糸を用いるのが好ましい。撚数は実
撚で200〜1000回/mとするのが好ましい。
【0021】なお、本発明でいう先撚仮撚加工糸とは、
S或いはZ方向のいずれか一方向の撚が糸束に部分的に
残存している捲縮加工糸とするものであり、例えば、前
記実撚加工後にウーリー加工、ブレリヤ加工と呼ばれる
仮ヨリ加工またはタスラン加工、交絡加工した加工糸で
あり、ウーリー加工糸が特に好ましく適用される。
【0022】先撚仮撚加工糸の具体的な製造方法は、原
糸(延伸糸)に200〜1000回/mのS或いはZ方
向に撚をかけ、次いで、捲縮特性を十分として耐マモウ
性を向上させる一方ジャリジャリした風合いとなるのを
防止する観点から、仮撚ヒーター温度130〜180
℃、仮撚数1000〜2000回/mで仮撚加工するこ
とが好ましい。
【0023】本発明でいう中空糸の内層成分はホモポリ
マーのポリエステルを用いるものである。かかる素材を
用いなければ強力面で問題がある。つまり、単独成分と
してのホモポリマーポリエステルの糸強度が5〜5.5
g/デニールであり、単独成分として外層成分の共重合
ポリエステルの糸強度の3〜3.5g/デニールを上回
るので、内層/外層を複合させた場合に、補強する役割
をもつものである。
【0024】本発明の中空糸の外形状については特定す
るものではなく、三角形〜六角形、或いはダ円形が風合
いの点から好ましく適用できる。
【0025】本発明に用いる中空糸の外表面には、溝幅
0.05〜3.0μm、溝深さ0.1〜5.0μm、溝
数0.05〜0.3本/μm2 の繊維軸にほぼ直交した
溝を有するものである。溝がこれらの範囲を外れた場合
には、いずれも可視光線の反射率を低くして発色性を著
しく高めることができない。
【0026】また、本発明の中空糸の構成繊度について
は、総繊度および単繊維繊度を例示するならば、薄地は
50〜100デニール(単繊維繊度;0.5〜2.0デ
ニール)、厚地は150〜400デニール(単繊維繊
度;1.0〜5.0デニール)が好ましく適用できる。
【0027】本発明でいう織物、編物の組織については
特に限定するものではないが、薄地織物では、ジョーゼ
ット、アムンゼン、ツィルが、また厚地織物では、変化
綾、格子柄、ジャガードが、本発明の特徴が発揮されや
すいので好ましい。編物はスムース、モックミラノリブ
が好ましく適用される。
【0028】このような本発明に用いるポリエステル中
空糸について、図1〜図3に例を挙げて説明する。
【0029】図1は、中空部3が四角断面で、外層部の
共重合ポリエステル1が内層部のホモポリマーポリエス
テル2の表面に残存している外形が四角中空断面のポリ
エステルである。ドライ感、反発性のある風合いおよび
高発色性、耐マモウ性が特徴である。
【0030】図2は、六角中空断面のポリエステルの例
である。サラサラした清涼感、ふくらみのある風合い、
高発色性、軽量感が特徴である。
【0031】図3は、三角断面の例である。ドライ感、
清涼感、高発色性およびシルキーな光沢が特徴である。
【0032】このように本発明の織編物はドライ感、サ
ラサラした清涼感、反発性およびふくらみのある風合い
を有するものであり、同時に高い発色性と耐マモウ性な
ど高物性を兼備する新規な織編物である。
【0033】本発明の織編物を得るには、前記した外層
成分と内層成分で複合紡糸した異形の中空部を有する複
合繊維を製織、製編後に熱アルカリ溶液で、外層の前記
共重合ポリエステルを10〜90%減量処理する。風合
い、発色性の点から40〜70%減量させることが特に
好ましい。10%未満の減量では溝の形成が不十分で風
合いに特徴が少ないこと、また、90%を越えて減量し
た場合は強度が低くなり、いずれも好ましくない。
【0034】減量処理は外層の共重合ポリエステルは内
層のホモポリマーポリエステル対比、20〜200倍減
量速度が速いので、外層より選択的に減量される。この
場合、溝サイズ、溝の形成および減量処理の制御面から
通常のポリエステル減量処理(120〜130℃)にく
らべて、マイルドな減量条件を適用することが好まし
く、60〜98℃の熱アルカリ液で処理するのがさらに
好ましい。具体的には共重合ポリエステルの共重合量3
〜6モル、外層複合比30〜50%、残存率30〜60
%の例では、NaOH(固形)0.5〜1.0%溶液で
70〜80℃、30〜90分処理で制御することが例示
される。なお、マレイン酸溶液などの酸性溶液で予め、
前処理してからアルカリ処理する方法は、共重合ポリエ
ステルの減量が速すぎて、外層の一部を残存させること
が困難なので避ける方が好ましい。
【0035】前記の処理、すなわち、異形の中空部を有
する内外層複合繊維を、、好ましくは先撚仮撚したの
ち、製織、製編し、外層部の5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸共重合ポリエステルを全部溶解することなく、
一部残存させた内外層複合中空糸とすることにより、繊
維外表面に溝幅0.05〜3.0μm、溝の深さ0.1
〜5.0μm、溝数0.05〜0.3本/μm2 、繊維
断面方向の溝(横溝)が容易に形成され、本発明の特徴
が最大限に発揮される。特に共重合ポリエステルの高染
着性に加えて、更に可視光線の反射率が低くなるので、
発色性は著しく高められる。なお、溝のサイズの制御に
ついては共重合量、複合比、減量条件などで適宜調節す
ることができる。
【0036】本発明の構成とこれにより得られる効果と
の関係を次に示す。
【0037】共重合ポリエステルからなる外表面に形
成した特定の溝によりドライ感、清涼感、高発色性効果
を得ることができる。
【0038】共重合ポリエステルを一部残存させるこ
とにより、高発色性、断面エッジを尖鋭化させることが
なく、耐マモウ性を向上させる。
【0039】共重合ポリエステルを一部溶出させるこ
とによって、布帛の空隙率を増大させ、ふくらみのある
風合いを得る。
【0040】好ましくは先撚、仮撚加工した原糸を用
いることによって、撚のもつ清涼感、耐マモウ性効果を
さらに付加することができる。
【0041】中空部を異形とすること、および中空率
を5〜40%と特定することによって、中空形状が円形
のものに比べて、曲げ剛性率を一段と高くでき、反発性
のある風合いとすることができ、しかも軽量化すること
ができる。
【0042】
【実施例】実施例での評価は次のようにした。 [風合い] A.ドライ感…ヌメリ感、ワキシー感がなく、乾いた風
合いを良好とし、 ◎:極めて良好、○:良好、△:やや不良、×:不良の
4段階で官能評価する。 B.清涼感…サラサラした風合いを良好とし、ドライ感
と同様に、4段階に官能評価する。 [ふくらみ感]織・編物の厚み(mm)を目付(g/m
2 )で除した値をふくらみ感の目安とする。値が大なる
程、カサ高であり、良好。なお、厚み(mm)はピーコ
ック型厚み計(尾崎製作所(株)製)を用いて測定す
る。 [発色性]染色布の明度をL値(%)で表わし、値が小
さいもの程発色性が高く、良好とする。測色は色差計測
色器(スガ試験機(株)製)を用いる。 [耐マモウ性]直径10cmの織編物試料を2枚サンプ
リングし、1枚を蒸留水で湿潤させ、上部にとりつけ
る。もう一方は乾いた状態のものを下部にとりつけ上部
/下部で10分間、円運動させながら互いにマサツさせ
る。摩擦後4時間放置したのちに、上部サンプル片の変
退色程度を次の5段階に視感評価する。5級:色の変退
が全くなく良好、4級:良好、3級:普通、2級:色の
変退があり不良、1級:色の変退が著しくあり不良。
【0043】[外層部の溝幅、溝の深さ、溝数および中
空率の測定]走査型顕微鏡SEM−S2300(日立製
作所(株)製)を用い、繊維横断面(1500倍)およ
び繊維側面(表面)(2000倍)を写真撮影し、測定
する。 [撚数の測定]仮撚加工糸の先撚数は、上記SEM−S
2300を用いて糸束の側面を観察し、1m当りの撚数
(回)を求める。 [糸強度]1デニール当りのグラムで、糸の破断強度
(g/デニール)を表す。値が大なる程、強度が高く、
良好。測定はインストロンII22(インストロンジャ
パン(株)製)を用いて評価する。 (実施例1,2)外層が5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸を4.9モル%共重合したポリエステル成分を複合
比40wt%に、内層がポリエステルホモポリマーを6
0wt%に、また中空部が断面中空率19.7%の異形
(変形四角)中空に溶融紡糸した。繊度170デニー
ル、48フィラメントで、単繊維繊度3.5デニールの
ポリエステルマルチフィラメント複合中空糸を得た。
【0044】次いで、該糸に300回/mの実撚をかけ
たのち、仮撚加工温度;160℃、仮撚数1500回/
mで仮撚加工した。
【0045】続いて、該先撚仮撚加工糸を双糸にして
(170D/2)、タテ糸およびヨコ糸に用いて、厚地
織物(格子柄)に製織した。
【0046】次いで、常法に従ってリラックス精練、乾
燥セット(180℃)し、苛性ソーダ(固形)1.0%
溶液で80℃×50分減量加工を実施した(実施例
1)。
【0047】また、該溶液で80℃×70分減量加工し
た(実施例2)。
【0048】次いで実施例1、実施例2とも常法に従
い、黒の分散染料 Dianix Black BG−FS(三菱ヘキ
スト(株)製)を用い、染色濃度14% owfで、130
℃×60分間染色し、仕上げた。仕上り結果を表1に示
す。
【0049】実施例1では共重合ポリエステルが選択的
に減量処理され、減量率:24.2%であった(共重合
ポリエステルの残存率:39.5%)。
【0050】実施例2では同様に減量率:32.8%で
あった(共重合ポリエステルの残存率:18.0%)。
【0051】なお、実施例1、実施例2の表面の溝幅、
溝数、溝の深さ、溝の形状を表1に併記した。また、実
施例1の繊維横断面写真(倍率1500倍)を図4、側
面写真(倍率2000倍)を図5に、実施例2の繊維横
断面写真(倍率1500倍)を図6、側面写真(倍率2
000倍)を図7にそれぞれ示す。
【0052】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1、実施例2とも、繊
維表面に細かな横溝を有し、ワキシー感のないドライ感
とサラサラした清涼感、ふくらみ感溢れる素晴らしい風
合いの黒色の厚地織物が得られた。また、黒発色性およ
び耐マモウ性、糸強度も極めて良好であった。
【0053】なお、織物の構成糸は撚数が297回/m
の撚のある、先撚仮撚加工糸であった。また、仮撚加
工、減量加工など全く問題がなく、効率よく製造するこ
とができた。 (比較例1、比較例2)比較例1は減量加工を適用しな
いほかは、実施例1に準じて仕上げた例である。比較例
2は複合している前記共重合ポリエステルを減量温度8
0℃で減量時間110分で処理して、完全に溶出(減量
率:40.0%)したほかは、実施例1,2に準じて仕
上げた例である。比較例1、比較例2とも評価結果を表
1に併記する。また、比較例1の繊維横断面写真(倍率
1500倍)を図8、側面写真(倍率2000倍)を図
9に、比較例2の繊維横断面写真(倍率1500倍)を
図10に、側面写真(倍率2000倍)を図11にそれ
ぞれ示す。
【0054】このように、比較例1はドライ感、清涼感
に乏しく、平凡な風合いであった。比較例2では発色性
不足と耐マモウ性に問題があった。 (実施例3)複合形態が、中空部が六角中空で、外層の
共重合ポリエステルの複合比が25wt%であり、繊度
85デニール、24フィラメントの複合中空糸であるこ
とを除いて、実施例1に準じて溶融紡糸した。次いで、
600回/mの実撚をかけ、仮撚数1700回/mで仮
撚加工し、梨地ジョーゼットクレープに製織したほかを
除いて、実施例1に準じて減量加工し、染色、仕上げ
た。
【0055】評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】 表2に示すように、ドライ感、清涼感、ふくらみのある
特徴ある風合いの黒色の梨地ジョーゼットクレープ織物
が得られた。発色性、耐マモウ性も問題なく高品質のも
のであった。なお、繊維表面は細かな横溝を有し、糸束
には602回/mの撚がある、先撚仮撚加工糸で構成さ
れていた。
【0057】また、全工程を通じて、加工トラブルはな
く、円滑に製造することができた。得られた繊維断面は
図2に近似するものであった。 (比較例3)複合糸外層の共重合ポリエステルを完全に
減量、溶解したことを除いて、実施例2に準じて染色・
仕上げた。評価結果を表2に併記する。
【0058】比較例3ではドライ感、清涼感に欠け、ま
た、発色性が低く、耐マモウ性も問題があった。
【0059】
【発明の効果】本発明の効果は次のとおりであり、高品
質の織編物およびそれを効率よく製造する方法を提供で
きる。 (1)ワキシー感のないドライ感、サラサラした清涼感
で、反発性にすぐれ、ふくらみ感のある風合いが得られ
る。 (2)高い発色性の中空糸織編物とできる。 (3)優れた耐マモウ性を付与できる。 (4)軽量である。 (5)酸処理など必要でなく、簡単にアルカリ減量でき
る。 (6)先撚仮撚加工、減量加工など簡単にでき、効率よ
く加工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の織編物に用いる四角中空糸の例を示す
繊維横断面。
【図2】本発明の織編物に用いる六角中空糸の例を示す
繊維横断面。
【図3】本発明の織編物に用いる三角中空糸の例を示す
繊維横断面図。
【図4】本発明の織編物に用いる繊維横断面の例を示す
写真。
【図5】本発明の織編物に用いる繊維側面の例を示す写
真。
【図6】本発明の織編物に用いる繊維横断面の例を示す
写真。
【図7】本発明の織編物に用いる繊維側面の例を示す写
真。
【図8】従来の繊維(減量前)の横断面の例を示す写
真。
【図9】従来の繊維(減量前)の側面の例を示す写真。
【図10】従来の繊維(減量後)の横断面の例を示す写
真。
【図11】従来の繊維(減量後)の側面の例を示す写
真。
【符号の説明】
1:外層成分の共重合ポリエステル 2:内層成分のホモポリマーポリエステル 3:中空部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 D03D 15/00 B // D06M 101:32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空率が5〜40%の中空部が異形である
    ポリエステル中空糸からなる織編物であって、中空糸は
    外層成分が5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜1
    0モル共重合したポリエステルであり、外表面に溝幅
    0.05〜3.0μm、溝深さ0.1〜5.0μm、溝
    数0.05〜0.3本/μm2 の繊維軸にほぼ直交した
    溝を有し、内層成分がポリエステルホモポリマーからな
    る複合中空糸であることを特徴とするポリエステル中空
    糸織編物。
  2. 【請求項2】中空糸が200〜1000回/mの実撚を
    有する先撚仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1
    項記載のポリエステル中空糸織編物。
  3. 【請求項3】5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜
    10モル%共重合したポリエステル成分を外層に10〜
    70wt%、ホモポリマーポリエステルホモポリマーを
    内層に30〜90wt%に複合した中空率3〜35%の
    異形中空複合繊維を製編織後、外層の共重合ポリエステ
    ルを10〜90%減量処理し、仕上げることを特徴とす
    るポリエステル中空糸織編物の製造方法。
  4. 【請求項4】異形中空複合繊維に200〜1000回/
    mの実撚をかけ、仮撚加工温度130〜180℃、仮撚
    数1000〜2000回/mで仮撚加工した後、製編織
    することを特徴とする請求項3項記載のポリエステル中
    空糸織編物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100872304B1 (ko) * 2006-11-28 2008-12-05 주식회사 코오롱 편물로 보강된 복합 중공사막
CN102851805A (zh) * 2011-06-30 2013-01-02 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种假捻加工纤维
WO2024018818A1 (ja) * 2022-07-22 2024-01-25 東レ株式会社 複合繊維、構造糸、織編物及び衣類

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