JPH08269388A - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JPH08269388A
JPH08269388A JP7097768A JP9776895A JPH08269388A JP H08269388 A JPH08269388 A JP H08269388A JP 7097768 A JP7097768 A JP 7097768A JP 9776895 A JP9776895 A JP 9776895A JP H08269388 A JPH08269388 A JP H08269388A
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義朗 松原
Kenichi Arakawa
賢一 荒川
Yasuhide Akiba
保秀 秋葉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実際の船舶における生物付着の最大の問題で
ある藻類の付着阻害効果にすぐれ、かつ塗膜の消耗性が
経時変化などなく良好であり、しかもハガレ、クラツク
などの不具合を生じない加水分解型自己研磨性塗料組成
物を提供する。 【構成】 塗料組成物の必須成分として、トリオルガノ
シリル基を有する不飽和単量体とアルコキシまたはアリ
―ロキシエチレンオキサイド基を有する不飽和単量体と
を含む単量体混合物の共重合体と、ビス(2−ピリジン
チオ―ル−1−オキシド)銅塩とを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料組成物に関し、よ
り詳しくは主として船舶用海棲生物付着阻害用の塗料組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶や海上構造物、ブイ、定置お
よび養殖養魚網、各種水管、汚濁防止膜などの没水部へ
のフジツボ、イガイ、コケムシ、ホヤ、海藻など海棲生
物の付着を防ぐために、有機錫化合物よりなる塗料組成
物が広く用いられてきた。しかしながら、近年では、環
境汚染の問題から、その使用が規制されている。これに
代わるものとして、ロジン、種々の加水分解性樹脂、微
水溶性樹脂などと生物付着阻害剤とからなる塗料組成物
が使用され、また提案されているが、いずれも、十分な
実用化に至つていない。
【0003】有機錫重合体よりなる塗料組成物が非常に
すぐれた海棲生物付着阻害効果を持つ理由は、有機錫化
合物自体の持つ海棲生物付着阻害性と、有機錫重合体中
の側鎖である有機錫化合物が海水中で加水分解を起こす
ことにより加水分解後の樹脂が徐々に海水中に溶解して
いく点とにある。ただ単に海水中へ溶解するだけではな
く、加水分解を伴つた溶解が有機錫重合体の最も大きな
特徴である。加水分解を伴つた溶解は常に塗膜表面に海
棲生物付着阻害剤を露呈させ塗膜表面を活性化するた
め、有機錫重合体よりなる塗料組成物は海棲生物付着阻
害性に非常にすぐれた効果を発揮するのである。
【0004】加水分解を伴わない樹脂では必ず海棲生物
付着阻害剤の海水中への溶出が先行してしまう。したが
つて、現在使用または提案されている微水溶性樹脂や微
水溶性樹脂とロジンなどとの組み合わせ、不溶性樹脂と
ロジンなどとの組み合わせでは、有機錫化合物よりも海
棲生物付着阻害効果にすぐれた化合物を用いても、有機
錫重合体よりなる塗料組成物の性能以上の塗料組成物を
得ることができない。有機錫重合体よりなる塗料組成物
以上の性能を得るためには有機錫重合体に代わる新たな
加水分解性樹脂が不可欠である。
【0005】また、有機錫重合体よりなる塗料組成物の
もう一つの大きな特徴は、有機化合物が海棲付着生物に
対して良好な阻害剤として働く点にある。非錫系海棲生
物付着阻害用の塗料組成物の開発においては、海水に対
し良好な溶解性を持つ非錫型加水分解性重合体と海棲付
着生物に対して良好な阻害効果を持つ化合物が必須成分
となる。したがつて、非錫系の加水分解型樹脂を用いる
場合、有機錫化合物に代わる、海棲付着生物に対し阻害
効果の高い有機化合物が必要となる。
【0006】これまでの本発明者らの研究で、加水分解
性樹脂と、付着阻害剤としての有機化合物を組み合わせ
る場合、無機系付着阻害剤を使用する場合とは全く異な
り、ハガレやクラツクなどの物性的欠陥を生じたり、海
棲生物付着阻害性に密接に関係する塗膜の研磨性を著し
く高めたり、著しく低下させた。その結果、それがどん
なにすぐれた性能を持つ化合物であつたとしても、海棲
生物付着阻害効果を長期にわたり発揮することができな
かつた。逆にそれがどんなにすぐれた加水分解性樹脂で
あつたとしても、満足のいく性能を発揮することはでき
なかつた。これは有機化合物と加水分解性樹脂は海水中
への溶解に対して相互に影響を及ぼしあうためであり、
現在までの加水分解性樹脂または海棲生物付着阻害剤単
独の開発ではこれをなし得ることができなかつた。
【0007】また、実際の船舶で起こつているアオノ
リ、アオサなどの藻類に対する付着阻害性を評価する試
験法が確立されていないため、実際の船底部に付着する
藻類への付着阻害効果の高い塗料組成物を開発すること
ができなかつた。今まで、海棲生物付着阻害効果の評価
方法は、海棲生物付着阻害用の塗料組成物を塗布した試
験片を一定の深度(通常1.5m前後)で海水中に浸漬
し、一定期間後の海棲生物汚損度合いを調査するという
ものである(以下、この評価方法を静的評価法と呼
ぶ)。この評価方法が海棲生物付着阻害用の塗料組成物
の評価方法として適していないということは従来から指
摘されている。
【0008】これは、静的評価法が実際の船舶における
海棲生物阻害性を正確に表していないためである。海
域、季節によつて海棲付着生物の種類は大きく異なるた
め、静的評価法ではその海域の生物種に対する評価しか
できず再現性も低い。また、静的評価法では藻類以外の
生物が多種付着することが多い。海棲付着生物はそれぞ
れの生物種間でその生活基盤となる付着場所を占有し合
うため、つまり生物種間で相互作用を及ぼしながら付着
するため、たとえ藻類の付着が起こつてもそれは他の生
物も交えた付着であり、実際の船舶で付着する藻類のみ
の付着を評価することにはならない。
【0009】静的評価法が実際の船底部での生物付着を
評価できないもう1つの理由は、それが静的なため、運
行を伴う船底部の塗膜状態を模擬できないことにある。
加水分解を伴う自己研磨型塗料組成物では、塗膜が海水
中へ徐々に消耗することによつてその効果を長期にわた
り発揮する。この塗膜消耗性は船舶の運行条件にも依存
するため、船底部の海棲生物付着阻害性は塗膜の消耗も
加味して評価する必要がある。しかし、静的評価法では
塗膜消耗性も含めた評価ができない。たとえば、兵庫県
相生湾での静置浸漬で2年以上海棲生物付着阻害効果に
すぐれた塗料組成物を実際の船底部に塗装したところ、
1年以内に塗膜全面にアオノリの付着が起こり、また逆
に同浸漬で生物付着の認められた製品でも実際の船底部
では2年以上良好な性能を発揮するということが頻繁に
起こつた。
【0010】海棲生物付着阻害剤としては、数多くの化
合物が提案されており、ビス(2−ピリジンチオ―ル−
1−オキシド)銅塩についても、いくつか提案されてい
る。このビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシド)
銅塩化合物の例としては、特開昭54−15939号公
報、米国特許第5,185,033号明細書、特開平6
−25560号公報などが挙げられる。
【0011】また、この海棲生物付着阻害剤を長期間に
わたり海水中に徐放させ、海棲生物付着防止効果を長期
間保たせる樹脂としては、加水分解型樹脂が最も望まし
い。加水分解型樹脂は、加水分解基が海水中で徐々に加
水分解し樹脂が溶出する機構をとるため、常に海棲生物
付着阻害剤が塗膜表面に露出され、海棲生物付着阻害期
間を長期に保つことができるからである。このような加
水分解型樹脂からなる塗料組成物も数多く提案されてい
る。中でも、特公平5−32433号公報、特開昭63
−215780号公報には、トリオルガノシリル基を側
鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体などを用
いた加水分解性自己研磨型の海棲生物付着阻害用の塗料
組成物が提案されている。
【0012】しかるに、これらの公報などでは、藻類に
対する付着阻害性は確認されておらず、船舶用の海洋生
物付着阻害用の塗料組成物としては効果を示さないもの
がほとんどである。このように、海棲生物付着阻害剤、
加水分解型樹脂については、多くの提案がなされている
ものの、良好な藻類付着阻害性を有する塗料組成物はい
まだ実用化に至つていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
知見を踏まえて、種々の樹脂、種々の海棲生物付着阻害
剤について、鋭意検討を行つた結果、多くの塗料組成物
において、実際の船舶における生物付着の最大の問題で
ある藻類の付着が起こつたり、塗膜にハガレ、クラツク
などの不具合を生じたりして、海棲生物付着阻害用の塗
料組成物としての機能を果たさないという問題があるこ
とがわかつた。
【0014】本発明は、このような事情に鑑み、実際の
船舶における生物付着の最大の問題である藻類の付着阻
害効果にすぐれ、かつ塗膜の消耗性が経時変化などなく
良好であり、しかもハガレ、クラツクなどの不具合を生
じない加水分解型自己研磨性塗料組成物を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な塗料組成物について、鋭意検討を重ねた結果、加水分
解性樹脂としては重合体側鎖にトリオルガノシリル基を
有し、かつアルコキシまたはアリ―ロキシエチレンオキ
サイド基を導入した特定の樹脂のみが塗膜消耗性を有
し、加水分解性樹脂として最も有効であることを見い出
し、これを特願平5−269695号として既に提案し
た。また、この加水分解性樹脂について、引き続き検討
を行つた結果、実際の船舶における生物付着の最大の問
題である藻類の付着阻害効果に改良の余地があることを
知り、この加水分解性樹脂と種々の海棲生物付着阻害有
機化合物についてさらに検討を加えた。
【0016】海棲生物付着防止剤である生理活性物質が
有機化合物である場合、加水分解性樹脂とその生理活性
物質よりなる塗膜は相互作用型微水溶性ハイブリツド材
料であるといえる。加水分解性樹脂は海水中で加水分解
を起こし、加水分解後の樹脂が海水中へ微溶解する機構
をとり、海棲生物付着阻害剤である生理活性物質もまた
海水中へ微溶解することで初めて活性となり海棲付着生
物に対しその薬効を発揮する性質のものである。したが
つて、双方とも水分子との接触によりその効力を発揮す
るため、各々の物質の水分子との親和性が重要な因子と
なる。各物質にはその物質固有の水との親和性がある
が、それらの物質からなる塗膜は微水溶性のハイブリツ
ド材料全体としてその機能を発揮するのである。
【0017】また、現在までの本発明者らの実験から、
生理活性物質が有機化合物である場合、その生理活性物
質は上記の作用だけではなく樹脂の加水分解に対し正ま
たは負の触媒的働きをするため、無機化合物の場合とは
比較にならないほど、その生理活性物質が微水溶性ハイ
ブリツド材料全体の性能に大きく影響を及ぼすという知
見を得ている。したがつて、生理活性物質が有機化合物
である場合、加水分解性樹脂とその化合物よりなる塗膜
は、お互いに影響を及ぼしあい、海水中に微少量溶解す
ることで機能を発揮するハイブリツド材料、つまり相互
作用型微水溶性ハイブリツド材料ということができる。
【0018】海棲生物付着阻害用の塗料組成物では、塗
膜表面を経時的に消耗させる、つまり微小に劣化させる
ことを目的としているのに対し、他の多くの種類の塗料
組成物(たとえば、自動車用塗料組成物)では塗膜を劣
化させないことを目的としており、したがつて、上記前
者の塗料組成物には、上記後者の塗料にはみられないよ
うな現象、つまり塗膜全体の性能に海棲生物付着阻害剤
と樹脂の性能が相互に作用しあいながら深く係わるとい
う現象が現れるのである。
【0019】多くの場合、すぐれた海棲生物付着阻害効
果を持つ化合物を用いても、塗膜に膨れ、クラツク、剥
がれなどの欠陥を生じたり、塗膜消耗性が低下または過
剰となる。塗膜に欠陥が生じる場合はもちろんである
が、塗膜消耗性が低下しても、海棲生物付着阻害剤本来
の性能は発揮できないし、塗膜消耗性が過剰な場合も、
設計よりも早期に塗膜が消失してしまいその後生物付着
が起こつてしまうため、結果として海棲生物付着阻害効
果を発揮できないことになる。
【0020】実際の船舶における生物付着の最大の問題
である藻類の付着阻害効果にすぐれた新規な海棲生物付
着阻害用の塗料組成物の開発は、この相互作用型微水溶
性ハイブリツド材料を月当たり数ミクロンという非常に
微小な速度で均一に消耗させることで成り立つものであ
る。これは、生理活性物質の親水性を制御するだけ、あ
るいは加水分解性樹脂の親水性を制御するだけでは成り
立たず、双方の親水性のバランスと他の相互作用をも制
御して初めて高性能な相互作用型微水溶性ハイブリツド
材料の開発が可能となるのである。
【0021】また、実際の船舶で起こつている生物付着
である藻類に対する付着阻害効果を的確に評価する方法
を確立しなければ、藻類付着阻害効果にすぐれた塗料組
成物の開発は不可能である。本発明者らは、実船底と静
的評価法の生物付着が全く異なることから、動的要素が
この原因であろうと考えた。すなわち、試験片にある程
度の動的要素を加えることで、藻類のみを付着させるこ
とが可能となるのではないかと言うことである。これ
は、藻類以外の生物幼生の付着はある時間以上の静的条
件が必要なため、動的要因を加えることによつてこれら
の付着を妨げ藻類のみの付着を可能にするためだと考え
られる。
【0022】また、海水表層に多くの藻類が付着してい
るという事実から、試験片をとりつけた円形ドラムを海
面付近において一定周速となるよう回転させ、その後一
定時間停止させるという稼働と停止を繰り返す試験方法
を案出した。この動的要因は塗膜消耗を加味した生物付
着阻害性の評価も可能にする。対象生物が異なれば阻害
効果の評価も当然異なる。したがつて、我々の開発した
実船シミユレ―シヨン藻類付着阻害性評価法は、従来よ
り行われている静的評価法とは全く異なる評価法として
考えなければならない。
【0023】本発明者らは、この新しい評価法を用い
て、前記既提案のシリル系加水分解型樹脂、つまりトリ
オルガノシリル基とアルコキシまたはアリ―ロキシエチ
レンオキサイド基とを持つ加水分解型樹脂と、海棲生物
付着阻害有機物質とからなる種々の相互作用型微水溶性
ハイブリツド材料、またこれとは別に、従来から海棲生
物付着阻害用の塗料組成物として用いられてきた各種の
樹脂と付着阻害有機物質とからなる塗料組成物につい
て、検討を行つた。
【0024】その結果、前記既提案のシリル系加水分解
型樹脂と海棲生物付着阻害有機物質であるビス(2−ピ
リジンチオ―ル−1−オキシド)亜鉛塩とよりなる塗料
組成物では、6ケ月後に藻類の付着が認められた。上記
の塗料成分にさらに亜酸化銅を加えた塗料組成物でも、
1年後に藻類の付着が認められた。また、上記のシリル
系加水分解型樹脂とN−(フルオロジクロロメチルチ
オ)フタルイミドや3−ヨ―ド−2−プロピニルブチル
カ―バメ―トとからなる塗料組成物でも、5〜7ケ月で
藻類の付着が起こつた。さらに、海棲生物付着阻害有機
物質として、ビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシ
ド)銅塩を用い、これと従来用いられてきたブタジエン
系樹脂/ロジンまたは塩化ビニル系樹脂/ロジンとを組
み合わせた塗料組成物では、6〜7ケ月で藻類の付着が
起こつた。
【0025】ところが、上記のビス(2−ピリジンチオ
―ル−1−オキシド)銅塩と、前記既提案のシリル系加
水分解型樹脂とを組み合わせ使用すると、驚くべきこと
に、1年後でも良好な藻類付着阻害効果を示した。これ
は要するに、ビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシ
ド)銅塩を用いても、前記既提案のシリル系加水分解型
樹脂以外の樹脂では良好な藻類付着阻害効果を示さず、
また上記のシリル系加水分解型樹脂を用いても、ビス
(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシド)銅塩以外の付
着阻害剤ではすぐれた藻類付着阻害効果を示さないのに
対し、上記のシリル系加水分解型樹脂とビス(2−ピリ
ジンチオ―ル−1−オキシド)銅塩とを組み合わせる
と、樹脂組成と塗料配合に依存する相互作用型微水溶性
ハイブリツド材料全体の海水との親和性のバランスが良
好に保たれて、すぐれた藻類付着阻害効果を発揮する塗
料の設計が可能となるものである。
【0026】ビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシ
ド)亜鉛塩は、ビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキ
シド)銅塩とは金属種が異なるだけであるが、藻類付着
阻害効果は銅塩と比較して大きく異なる。これは、金属
種の差だけでもその化合物の海水との親和性が大きく異
なるためであり、亜鉛塩は銅塩よりも海水との親和性が
高いために藻類付着阻害性に大きな差が生じるものと考
えられる。
【0027】本発明者らは、上述のとおり、加水分解性
樹脂としては、加水分解基として分子中にトリオルガノ
シリル基を持ち、さらにアルコキシまたはアリ―ロキシ
エチレンオキサイド基を導入した特定の樹脂が良好な塗
膜消耗性を示し、この樹脂とビス(2−ピリジンチオ―
ル−1−オキシド)銅塩とよりなる塗料組成物による
と、実際の船舶における生物付着の最大の問題である藻
類の付着阻害効果にすぐれ、かつ塗膜欠陥を生じず、し
かも海水に対して適度な消耗性を持つ自己研磨型塗料組
成物となりうることを見い出し、本発明を完成するに至
つた。
【0028】すなわち、本発明は、つぎの一般式
(1); (式中、R1 〜R3 はいずれも炭素数1〜20の炭化水
素基であつて、互いに同一の基であつても異なる基であ
つてもよい。Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイ
ルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ
基またはイタコノイルオキシ基である。)で表される単
量体Aと、つぎの一般式(2); Y−(CH2 CH2 O)n−R4 …(2) (式中、R4 はアルキル基またはアリ―ル基である。Y
はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、マ
レイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基またはイタコ
ノイルオキシ基である。nは1〜25の整数である。)
で表される単量体Bとを含む単量体混合物の共重合体
と、下記の構造式(3);
【0029】
【化2】
【0030】で表されるビス(2−ピリジンチオ―ル−
1−オキシド)銅塩とを、必須成分として含有する塗料
組成物に係るものである。
【0031】
【発明の構成・作用】本発明の塗料組成物においては、
その必須成分のひとつとして、上記の一般式(1)で表
される単量体Aの1種または2種以上と、上記の一般式
(2)で表される単量体Bの1種または2種以上とを含
有し、必要によりこれらと共重合可能な他の単量体の1
種または2種以上を含ませた単量体混合物の共重合体
(以下、共重合体ABという)を使用する。
【0032】単量体Aは、一般式(1)にて表わされる
ように、分子内に不飽和基(X)として、アクリロイル
オキシ基、メタクリロイルオキシ基、マレイノイルオキ
シ基〔主にモノアルキル(炭素数1〜6)エステルマレ
イノイルオキシ基〕、フマロイルオキシ基〔主にモノア
ルキル(炭素数1〜6)エステルフマロイルオキシ
基〕、またはイタコノイルオキシ基〔主にモノアルキル
(炭素数1〜6)エステルイタコノイルオキシ基〕を有
するとともに、トリオルガノシリル基を有するものであ
る。
【0033】トリオルガノシリル基において、3個の炭
化水素基(R1 〜R3 )は、同一の基であつても異なる
基であつてもよい。具体的には、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチルなどの炭素数が20以下の直鎖状または分
岐状のアルキル基や置換アルキル基;シクロプロピル、
シクロヘキシルなどの環状アルキル基;フエニル基のよ
うなアリ―ル基、ナフチル基のような多環式アリ―ル基
などがある。また、置換アルキル基の置換基としては、
ハロゲン、アリ―ル基、アシル基、アルコキシ基、アリ
ロキシ基、ニトロ基またはアミノ基などが、置換アリ―
ル基の置換基としては、ハロゲン、アルキル基、アシル
基、アルコキシ基、アリロキシ基、ニトロ基またはアミ
ノ基などが、それぞれ挙げられる。
【0034】このような単量体Aとしては、分子内に
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、ト
リメチルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリエチルシリ
ル(メタ)アクリレ―ト、トリn−プロピルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、トリi−プロピルシリル(メタ)ア
クリレ―ト、トリn−ブチルシリル(メタ)アクリレ―
ト、トリi−ブチルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリ
s−ブチルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリn−アミ
ルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリi−アミルシリル
(メタ)アクリレ―ト、トリn−ヘキシルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、トリn−オクチルシリル(メタ)ア
クリレ―ト、トリn−ドデシルシリル(メタ)アクリレ
―ト、トリn−イコサンシリル(メタ)アクリレ―ト、
トリフエニルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリp−メ
チルフエニルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリベンジ
ルシリル(メタ)アクリレ―ト、トリ2−メトキシエチ
ルシリル(メタ)アクリレ―トなどが挙げられる。
【0035】また、分子内に(メタ)アクリロイルオキ
シ基を有する他の例として、エチルジメチルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、ジメチルn−プロピルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、ジメチルi−プロピルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、n−ブチルジメチルシリル(メタ)
アクリレ―ト、s−ブチルジメチルシリル(メタ)アク
リレ―ト、i−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレ
―ト、t−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレ―
ト、n−アミルジメチルシリル(メタ)アクリレ―ト、
i−アミルジメチルシリル(メタ)アクリレ―ト、n−
イコサンジメチルシリル(メタ)アクリレ―ト、n−オ
クチルジn−ブチルシリル(メタ)アクリレ―ト、ジi
−プロピルステアリルシリル(メタ)アクリレ―ト、ジ
シクロヘキシルフエニルシリル(メタ)アクリレ―ト、
ラウリルジフエニルシリル(メタ)アクリレ―ト、エチ
ルジn−オクチルシリル(メタ)アクリレ―ト、t−ブ
チルジフエニルシリル(メタ)アクリレ―ト、シクロヘ
キシルジ−p−トリルシリル(メタ)アクリレ―ト、ジ
t−ブチルメチルシリル(メタ)アクリレ―ト、n−イ
コサンジo−ニトロフエニルシリル(メタ)アクリレ―
ト、i−アミルジm−クロロフエニルシリル(メタ)ア
クリレ―ト、エチルメチルn−プロピルシリル(メタ)
アクリレ―ト、i−アミルt−ブチルメチルシリル(メ
タ)アクリレ―ト、o−シアノフエニルシクロヘキシル
ナフチルシリル(メタ)アクリレ―トなどが挙げられ
る。
【0036】分子内にマレイノイルオキシ基を有するも
のとして、トリメチルシリルメチルマレ―ト、トリエチ
ルシリルn−プロピルマレ―ト、トリi−プロピルシリ
ルメチルマレ―ト、トリi−プロピルシリルn−アミル
マレ―ト、トリn−プロピルシリルn−アミルマレ―
ト、トリi−プロピルシリルi−アミルマレ―ト、トリ
n−ブチルシリルn−ブチルマレ―ト、t−ブチルジフ
エニルシリルメチルマレ―ト、t−ブチルジフエニルシ
リルn−ブチルマレ―ト、トリn−ブチルシリル2−エ
チルヘキシルマレ―ト、トリs−ブチルシリルn−オク
チルマレ―ト、トリn−アミルシリルフエニルマレ―
ト、トリi−アミルシリルベンジルマレ―ト、トリn−
ドデシルシリルo−ニトロフエニルマレ―ト、トリn−
イコサンシリルp−トリルマレ―ト、トリフエニルシリ
ル2−メトキシエチルマレ―ト、トリベンジルシリルm
−ブロモフエニルマレ―ト、トリ2−メトキシエチルシ
リルシクロヘキシルマレ―ト、エチルジメチルシリルメ
チルマレ―ト、ジメチルn−プロピルシリルメチルマレ
―ト、ジメチルi−プロピルシリルn−アミルマレ―
ト、n−ブチルジメチルシリルi−アミルマレ―ト、s
−ブチルジメチルシリルフエニルマレ―ト、i−ブチル
ジメチルシリルシクロヘキシルマレ―ト、t−ブチルジ
メチルシリルo−N,N−ジメチルアミノフエニルマレ
―ト、n−アミルジメチルシリルt−ブチルマレ―ト、
i−アミルジメチルシリル2−メトキシエチルマレ―
ト、n−イコサンジメチルシリル2−エトキシエチルマ
レ―ト、エチルジ−n−オクチルシリルp−トリルマレ
―ト、t−ブチルジフエニルシリル3−メトキシシクロ
ヘキシルマレ―ト、ジt−ブチルメチルシリルi−プロ
ピルマレ―ト、n−イコサンジo−ニトロフエニルシリ
ルm−フルオロフエニルマレ―ト、i−アミルジm−ク
ロロフエニルシリル2−エチルヘキシルマレ―ト、エチ
ルメチルn−プロピルシリルi−ブチルマレ―ト、i−
アミルt−ブチルメチルシリルs−ブチルマレ―ト、o
−シアノフエニルシクロヘキシルナフチルシリルメチル
マレ―トなどが挙げられる。
【0037】分子内にフマロイルオキシ基を有するもの
として、メチルトリメチルシリルフマレ―ト、トリi−
プロピルシリルメチルフマレ―ト、トリi−プロピルシ
リルn−アミルフマレ―ト、ジトリエチルシリルフマレ
―ト、トリn−プロピルシリルn−アミルフマレ―ト、
トリi−プロピルシリルi−アミルフマレ―ト、トリn
−ブチルシリル2−エチルヘキシルフマレ―ト、トリn
−ブチルシリルn−ブチルフマレ―ト、t−ブチルジフ
エニルシリルメチルフマレ―ト、トリs−ブチルシリル
n−オクチルフマレ―ト、トリi−ブチルシリルn−ブ
チルフマレ―ト、t−ブチルジフエニルシリルn−ブチ
ルフマレ―ト、トリn−アミルシリルフエニルフマレ―
ト、トリi−アミルシリルベンジルフマレ―ト、トリn
−ドデシルシリルo−ニトロフエニルフマレ―ト、トリ
n−イコサンシリルp−トリルフマレ―ト、トリフエニ
ルシリル2−メトキシエチルフマレ―ト、トリベンジル
シリルm−ブロモフエニルフマレ―ト、トリ2−メトキ
シエチルシリルシクロヘキシルフマレ―ト、エチルジメ
チルシリルメチルフマレ―ト、エチルジメチルn−プロ
ピルシリルフマレ―ト、ジメチルi−プロピルシリルn
−アミルフマレ―ト、n−ブチルジメチルシリルi−ア
ミルフマレ―ト、s−ブチルジメチルシリルフエニルフ
マレ―ト、i−ブチルジメチルシリルシクロヘキシルフ
マレ―ト、t−ブチルジメチルシリルo−N,N−ジメ
チルアミノフエニルフマレ―ト、n−アミルジメチルシ
リルt−ブチルフマレ―ト、i−アミルジメチルシリル
2−メトキシエチルフマレ―ト、n−イコサンジメチル
シリル2−エトキシエチルフマレ―ト、エチルジn−オ
クチルシリルp−トリルフマレ―ト、t−ブチルジフエ
ニルシリル3−メトキシシクロヘキシルフマレ―ト、ベ
ンジルシクロヘキシルジp−トリルシリルフマレ―ト、
ジt−ブチルメチルi−プロピルフマレ―ト、n−イコ
サンジo−ニトロフエニルシリルm−フルオロフエニル
フマレ―ト、i−アミルジm−クロロフエニルシリル2
−エチルヘキシルフマレ―ト、エチルメチルn−プロピ
ルシリルi−ブチルフマレ―ト、i−アミルt−ブチル
メチルシリルs−ブチルフマレ―ト、o−シアノフエニ
ルシクロヘキシルナフチルシリルメチルフマレ―トなど
が挙げられる。
【0038】分子内にイタコノイルオキシ基を有するも
のとして、トリメチルシリルメチルイタコネ―ト、トリ
エチルシリルn−プロピルイタコネ―ト、トリn−プロ
ピルシリルn−アミルイタコネ―ト、トリi−プロピル
シリルi−アミルイタコネ―ト、トリn−ブチルシリル
2−エチルヘキシルイタコネ―ト、トリs−ブチルシリ
ルn−オクチルイタコネ―ト、トリn−アミルシリルフ
エニルイタコネ―ト、トリi−アミルシリルベンジルイ
タコネ―ト、トリn−ドデシルシリルo−ニトロフエニ
ルイタコネ―ト、トリn−イコサンシリルp−トリルイ
タコネ―ト、トリフエニルシリル2−メトキシエチルイ
タコネ―ト、トリベンジルシリルm−ブロモフエニルイ
タコネ―ト、トリ2−メトキシエチルシリルシクロヘキ
シルイタコネ―ト、エチルジメチルシリルメチルイタコ
ネ―ト、ジメチルn−プロピルシリルメチルイタコネ―
ト、ジメチルi−プロピルシリルn−アミルイタコネ―
ト、n−ブチルジメチルシリルi−アミルイタコネ―
ト、s−ブチルジメチルシリルフエニルイタコネ―ト、
i−ブチルジメチルシリルシクロヘキシルイタコネ―
ト、t−ブチルジメチルシリルo−N,N−ジメチルア
ミノフエニルイタコネ―ト、n−アミルジメチルシリル
t−ブチルイタコネ―ト、i−アミルジメチルシリル2
−メトキシエチルイタコネ―ト、n−イコサンジメチル
シリル2−エトキシエチルイタコネ―ト、エチルジn−
オクチルシリルp−トリルイタコネ―ト、t−ブチルジ
フエニルシリル3−メトキシシクロヘキシルイタコネ―
ト、ジt−ブチルメチルi−プロピルイタコネ―ト、n
−イコサンジo−ニトロフエニルシリルm−フルオロフ
エニルイタコネ―ト、i−アミルジm−クロロフエニル
シリル2−エチルヘキシルイタコネ―ト、エチルメチル
n−プロピルシリルi−ブチルイタコネ―ト、i−アミ
ルt−ブチルメチルシリルs−ブチルイタコネ―ト、o
−シアノフエニルシクロヘキシルナフチルシリルメチル
イタコネ―トなどが挙げられる。
【0039】単量体Bは、一般式(2)にて表わされる
ように、分子内に不飽和基(Y)として、アクリロイル
オキシ基、メタクリロイルオキシ基、マレイノイルオキ
シ基〔主にモノアルキル(炭素数1〜6)エステルマレ
イノイルオキシ基〕、フマロイルオキシ基〔主にモノア
ルキル(炭素数1〜6)エステルフマロイルオキシ基、
またはイタコノイルオキシ基(主にモノアルキル(炭素
数1〜6)エステルイタコノイルオキシ基〕を有すると
ともに、アルコキシまたはアリ―ロキシエチレンオキサ
イド基を有するものである。
【0040】アルコキシまたはアリ―ロキシエチレンオ
キサイド基において、エチレンオキサイド基の重合度
(n)は1〜25である。また、アルキル基またはアリ
―ル基(R4 )としては、メチル、エチル、プロピル、
ブチルなどの炭素数が12以下の直鎖状または分岐状の
アルキル基;シクロヘキシルや置換シクロヘキシルなど
の環状アルキル基;アリ―ル基や置換アリ―ル基などが
挙げられる。置換アリ―ル基には、ハロゲン、炭素数1
8程度までのアルキル基、アシル基、ニトロ基またはア
ミノ基などで置換されたアリ―ル基などがある。なお、
単量体Bを2種以上用いる場合に、単量体B全体のエチ
レンオキサイド基の重合度(n)の平均値が整数となら
ないこともあるが、本発明では、このような単量体Bの
2種以上の混合物を用いてもなんら差し支えない。
【0041】このような単量体Bとしては、分子内に
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、メ
トキシエチル(メタ)アクリレ―ト、エトキシエチル
(メタ)アクリレ―ト、プロポキシエチル(メタ)アク
リレ―ト、ブトキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヘキ
サオキシエチル(メタ)アクリレ―ト、メトキシジエチ
レングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、メトキシトリエ
チレングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、エトキシジエ
チレングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、エトキシトリ
エチレングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、メトキシポ
リエチレングリコ―ル(メタ)アクリレ―トなどが挙げ
られる。
【0042】また、分子内にマレイノイルオキシ基、フ
マロイルオキシ基またはイタコノイルオキシ基を有する
ものとして、たとえば、メトキシエチルn−ブチルマレ
―ト、エトキシジエチレングリコ―ルメチルマレ―ト、
エトキシトリエチレングリコ―ルメチルマレ―ト、プロ
ポキシジエチレングリコ―ルメチルマレ―ト、ブトキシ
エチルメチルマレ―ト、ヘキサオキシエチルメチルマレ
―ト、メトキシエチルn−ブチルフマレ―ト、エトキシ
ジエチレングリコ―ルメチルフマレ―ト、エトキシトリ
エチレングリコ―ルメチルフマレ―ト、プロポキシジエ
チレングリコ―ルメチルイタコネ―ト、ブトキシエチル
メチルイタコネ―ト、ヘキサオキシポリエチレングリコ
―ルメチルイタコネ―トなどが挙げられる。
【0043】これらの単量体A,Bと共重合可能な他の
単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエ
ステル類、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロ
トン酸エステル類、イタコン酸エステル類などの各種の
ビニル系単量体を使用することができる。
【0044】単量体混合物において、単量体A,Bおよ
びこれらと共重合可能な他の単量体の使用割合は、塗料
組成物の使用目的に応じて適宜設定できるが、一般に
は、単量体Aが1〜95重量%、単量体Bが1〜95重
量%、これらと共重合可能な他の単量体が0〜98重量
%となるようにするのがよい。
【0045】共重合体ABは、このような単量体混合物
を、ビニル重合開始剤の存在下、公知の重合方法、たと
えば溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの各
種方法で重合させることにより、得ることができる。こ
の共重合体ABを塗料用とする際、有機溶剤で希釈して
適当な粘度の重合体溶液とするのが好都合であり、その
ためには、溶液重合法または塊状重合法を採用するのが
望ましい。
【0046】上記のビニル重合開始剤としては、通常の
重合で使用される開始剤を重合法に合わせて選択し、使
用することができる。具体例としては、2,2´−アゾ
ビス−イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−
メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−
ジメチルバレロニトリル、1,1´−アゾビス−1−シ
クロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2´−ア
ゾビスイソブチレ―ト、4,4´−アゾビス−4−シア
ノバレリツク酸、2,2´−アゾビス−(2−アミジノ
プロパン)ジハイドロクロライドなどのアゾビス系開始
剤、ベンゾイルパ―オキサイド、t−ブチルパ―オキシ
(2−エチルヘキサノエ―ト)、t−ブチルパ―オキシ
イソプロピルカ―ボネ―ト、t−ブチルパ―オキシベン
ゾエ―トなどの過酸化物系開始剤などが挙げられる。
【0047】また、上記の有機溶剤としては、種々の有
機溶剤の中から、単量体の種類や重合温度によつて選択
し、1種または2種以上を混合して使用することができ
る。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの
脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
などのケトン系溶剤、エタノ―ル、イソプロパノ―ル、
ブタノ―ルなどのアルコ―ル系溶剤などが挙げられる。
【0048】このような方法で得られる共重合体ABの
分子量は、重量平均で1,000〜300,000の範
囲にあるのが望ましい。分子量が低すぎると、正常な塗
膜の形成が難しく、また高すぎると、塗膜時に多くのシ
ンナ―を必要とするため、必要濃厚を得るために多くの
塗装回数を要するという不具合が出てくる。また、この
共重合体ABからなる重合体溶液の粘度は、25℃で1
50ポイズ以下であるのが好都合であり、そのために
は、重合体溶液の固型分は5〜90重量%、好ましくは
15〜85重量%の範囲となるようにするのがよい。
【0049】本発明の塗料組成物は、必須成分の他のひ
とつとして、ビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシ
ド)銅塩を使用する。この銅塩の使用量は、塗料固形分
中、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜4
0重量%の範囲がよい。過少では海棲生物付着阻害効果
を期待できず、過多となると塗膜にクラツク,剥離など
の欠陥が生じやすくなり、やはり良好な阻害効果が得ら
れない。
【0050】本発明においては、上記のビス(2−ピリ
ジンチオ―ル−1−オキシド)銅塩とともに、必要によ
り、塗料業界で公知の他の海棲生物付着阻害剤を併用す
ることもできる。併用できる他の海棲生物付着阻害剤と
しては、無機系阻害剤と有機系阻害剤とに大別でき、ま
た後者の有機系阻害剤は、金属を含有する有機系阻害剤
と金属を含有しない有機系阻害剤に分類できる。
【0051】無機系阻害剤としては、たとえば、亜酸化
銅、銅粉、銅ニツケル合金、チオシアン酸第一銅、炭酸
銅、硫酸銅などの銅化合物、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸
ニツケルなどが挙げられる。
【0052】金属を含有する有機系阻害剤としては、た
とえば、有機銅系化合物、有機ニツケル系化合物および
有機亜鉛系化合物などがあり、その他マンガニ―ズエチ
レンビスジチオカ―バメ―トやフエニル(ビスピリジ
ル)ビスマスクロライドなど、またマンネブ、マンセ
ブ、プロピネブなども使用できる。有機銅系化合物とし
ては、オキシン銅、ノニルフエノ―ルスルホン酸銅、カ
ツパ―ビス(エチレンジアミン)−ビス(ドデシルベン
ゼンスルホネ―ト)、酢酸銅、ナフテン酸銅、ビス(ペ
ンタクロロフエノ―ル酸)銅などが、有機ニツケル系化
合物としては、酢酸ニツケル、ジメチルジチオカルバミ
ン酸ニツケルなどが、有機亜鉛系化合物としては、酢酸
亜鉛、カルバミン酸亜鉛、ジンクジメチルジチオカ―バ
メ―ト、ジンクエチレンビスジチオカ―バメ―ト、ビス
(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシド)亜鉛塩、ビス
ジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオ
カ―バメ―トなどが、それぞれ挙げられる。
【0053】金属を含有しない有機系阻害剤としては、
たとえば、N−トリハロメチルチオフタルイミド、ジチ
オカルバミン酸、N−アリ―ルマレイミド、3−置換ア
ミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、ジチオ
シアノ系化合物、トリアジン系化合物およびその他のも
のがある。
【0054】N−トリハロメチルチオフタルイミドとし
ては、N−トリクロロメチルチオフタルイミド、N−
(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミドなどが、
ジチオカルバミン酸としては、ビス(ジメチルチオカル
バモイル)ジスルフイド、N−メチルジチオカルバミン
酸アンモニウム、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)
アンモニウム、ミルネブなどが、それぞれ挙げられる。
【0055】N−アリ―ルマレイミドとしては、N−
(2,4,6−トリクロロフエニル)マレイミド、N−
4−トリルマレイミド、N−3−クロロフエニルマレイ
ミド、N−(4−n−ブチルフエニル)マレイミド、N
−(アニリノフエニル)マレイミド、N−(2,3−キ
シリル)マレイミドなどが、挙げられる。
【0056】3−置換アミノ−1,3−チアゾリジン−
2,4−ジオンとしては、3−ベンジリデンアミノ−
1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−メ
チルベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−
2,4−ジオン、3−(2−ヒドロキシベンジリデンア
ミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−
(4−ジメチルアミノベンジリデンアミノ)−1,3−
チアゾリン−2,4−ジオン、3−(2,4−ジクロロ
ベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4
−ジオンなどが挙げられる。
【0057】ジチオシアノ系化合物としては、ジチオシ
アノメタン、ジチオシアノエタン、2,5−ジチオシア
ノチオフエンなどが、トリアジン系化合物としては、2
−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロ
ピルアミノ−s−トリアジンなどが、それぞれ挙げられ
る。
【0058】その他の金属を含まない有機化合物として
は、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリ
ル、N,N−ジメチル−N´−ジクロロフエニルウレ
ア、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)
イソチアゾロン、N,N−ジメチル−N’−フエニル−
N´−フルオロジクロロメチルチオスルフアミド、テト
ラメチルチウラムジサルフアイド、3−ヨ―ド−2−プ
ロピニルブチルカ―バメ―ト、2−(メトキシカルボニ
ルアミノ)ベンズイミダゾ―ル、2,3,5,6−テト
ラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、ジヨ―
ドメチルパラトリルスルホン、2−(4−チアゾリル)
ベンズイミダゾ―ル、トリフエニルボロンピリジンなど
が挙げられる。
【0059】本発明において、このような他の海棲生物
付着阻害剤の使用量としては、ビス(2−ピリジンチオ
―ル−1−オキシド)銅塩との合計量が、塗料固形分
中、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下の
範囲がよい。あまり多く用いすぎると、塗膜特性が低下
したり、良好な生物付着阻害効果が得られにくい。
【0060】本発明の塗料組成物には、溶解速度を調整
する目的で、ロジン、ロジン誘導体、ロジン金属塩、シ
リコ―ンオイル、流動パラフインなどを必要に応じて添
加できる。具体的には、水添ロジン、マレイン化ロジ
ン、ジンクロジネ―ト、カルシウムロジネ―ト、カツパ
―ロジネ―ト、ジメチルシリコ―ンオイル、メチルフエ
ニルシリコ―ンオイル、ポリエ―テル変性シリコ―ンオ
イル、パラフインワツクス、ペトロラタム、ポリブテン
などが挙げられる。
【0061】本発明の塗料組成物には、その他、通常の
塗料に用いられる弁柄、二酸化チタン、タルク、酸化亜
鉛などの顔料や染料などの着色剤、塗料で常用されてい
るタレ止め剤、色分かれ防止剤、沈降防止剤、消泡剤な
ど、また可塑剤、その他の樹脂、溶剤などを、必要に応
じて配合することができる。上記の可塑剤としては、塩
素化パラフイン、ジアルキルフタレ―ト、トリクレジル
フオスフエ―ト、トリフエニルフオスフエ―トなどが挙
げられる。
【0062】本発明の塗料組成物は、従来から知られて
いる塗料の製造方法を用いて製造することができ、塗装
方法も、スプレ―塗装、ハケ塗り、ロ―ラ―塗装、浸漬
などの手段を用いて塗装することができる。
【0063】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、有機錫重合体に
代わるものとして、側鎖にトリオルガノシリル基を有
し、かつアルコキシまたはアリ―ロキシエチレンオキサ
イド基を有する特定の加水分解性樹脂と、藻類付着阻害
性に効果の高いビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキ
シド)銅塩とを必須成分としたことを特徴としており、
それからなるハイブリツド材料である塗膜は、全体とし
て海水との親和性が塗膜の消耗性に対して非常に良好に
設計されているため、実際の船底部への生物付着の最大
の問題点であるアオノリ、アオサなどの藻類に対して、
長期にわたり非常にすぐれた付着阻害性能を発揮する。
【0064】また、本発明の塗料組成物は、塗膜消耗性
に経時的な変化がなく、一定速度で消耗し、ハガレ、ク
ラツクなどの塗膜欠陥がないばかりでなく、自己研磨型
塗料であるため塗膜表面に樹脂残査層を形成せず、従来
の非加水分解型塗料と比較して、非常に良好なリコ―ト
性を示すものである。
【0065】さらに、本発明の塗料組成物は、実際の船
底部への藻類付着阻害性能において非常にすぐれている
が、従来の付着阻害性能評価法である静置評価法におい
ても良好な生物付着阻害性能を示すものである。また、
塗膜の良好な溶解性のために塗膜表面を常に平滑に保つ
ことができる。このため船舶などの燃費を低減すること
ができ、ひいては二酸化炭素による地球の温暖化防止に
も貢献できる。
【0066】
【実施例】つぎに、本発明を製造例、実施例および比較
例によつて具体的に説明する。なお、例中の部は重量部
であり、分子量はGPCによるポリスチレン換算重量平
均分子量である。また、製造例で用いた単量体A(A1
〜A8 )は、前記の一般式(1)で示される単量体であ
つて、一般式(1)中のR1 〜R3 およびXは、つぎの
表1に示すとおりである。さらに、製造例で用いた単量
体B(B1 〜B8 )は、前記の一般式(2)で示される
単量体であつて、一般式(2)中のY、nおよびR4
は、つぎの表2に示すとおりである。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】製造例1〜5 攪拌機付きのフラスコに、つぎの表3の配合に準じて溶
剤aを仕込み、所定の反応温度に昇温させ、攪拌しなが
ら単量体A、単量体B、その他の単量体および重合触媒
aの混合液をフラスコの中へ3時間で滴下し、滴下終了
後同温度で30分間保持した。ついで、溶剤bと重合触
媒bとの混合物を20分間で滴下し、さらに同温度で2
時間攪拌を続けて重合反応を完結させた。最後に、希釈
溶剤を加えて希釈し、各重合体溶液S1 〜S5 を得た。
なお、表3において、重合触媒としての「パ―ブチル
I」(日本油脂(株)製の商品名)は、t−ブチルペル
オキシイソプロピルカ―ボネ―トである。
【0070】
【表3】
【0071】製造例6 耐熱耐圧の容器中に、つぎの表4の配合に準じて単量体
A、単量体B、その他の単量体および重合触媒を仕込
み、完全に密封して振蕩しながら所定の反応温度に昇温
させ、同温度で8時間振蕩を続けて反応を完結させた。
つぎに、希釈溶剤を加えて1時間振蕩して溶解し、重合
体溶液S6 を得た。表中、重合触媒としての「パ―ブチ
ルI」は、表3の場合と同じである。
【0072】製造例7,8 攪拌機付きのフラスコに、つぎの表4の配合に準じて溶
剤a,単量体A、単量体B、その他の単量体および重合
触媒を仕込み、攪拌しながら所定の反応温度に昇温さ
せ、同温度で6時間攪拌を続けて反応を完結させた。つ
ぎに、希釈溶剤で希釈して、重合体溶液S7 ,S8 を得
た。
【0073】
【表4】
【0074】実施例1〜21 重合体溶液S1 〜S8 を用いて、つぎの表5〜表10に
示す配合組成(表中の数値は重量%)により、各成分を
混合し、2,000rpm のホモミキサ―で混合分散し
て、21種の塗料組成物を調製した。なお、各表中、
「TSF−4445」〔東芝シリコ―ン(株)製の商品
名〕はポリエ―テル変性シリコ―ンオイルであり、ま
た、「デイスパロンA630−20X」〔楠本化成
(株)製の商品名〕および「ベントンSD−2」〔ナシ
ヨナルレツド(株)製の商品名〕は、いずれもタレ止め
用添加剤である。
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
【表10】
【0081】比較例1 市販品として、「スリ―エル2号クリ―ンNo.30」
〔日本油脂(株)製の商品名、ロジン系樹脂と亜酸化銅
を防汚剤とする非錫型防汚塗料〕を、塗料組成物とし
た。
【0082】比較例2〜5 「ラロフレツクスMP−15」(BASF社製の商品
名、塩化ビニル系樹脂)または重合体溶液S3 ,S4
6 ,S7 を用い、つぎの表11に示す配合組成(表中
の数値は重量%)により、各成分を混合し、2,000
rpm のホモミキサ―で混合分散して、4種の塗料組成物
を調製した。表中、「TSF−4445」、「デイスバ
ロンA630−20X」および「ベントンSD−2」
は、前記の表5〜表10の場合と同じである。
【0083】
【表11】
【0084】以上の実施例1〜21および比較例1〜5
の各塗料組成物について、下記の要領により、実船シミ
ユレ―シヨン藻類付着阻害性試験、実船試験、海棲生物
付着阻害性静置評価試験および塗膜消耗試験を行つた。
【0085】<実船シミユレ―シヨン藻類付着阻害性試
験>防錆塗装をした鋼板(100mm×200mm×1mm)
の表面に、各塗料組成物を2回のスプレ―塗装にて乾燥
膜厚が240μmとなるよう塗装し、温度20℃の乾燥
機中で1週間乾燥させて、試験片を作製した。これを直
径50cmの円筒形ドラムの外面に固定したのち、兵庫県
由良湾において、水面下100cmの深度で回転と停止を
繰り返した。回転時の周速は16ノツトとした。また、
予め藻類のみを付着させた漁網をドラムの中心から2m
の距離に設置した。この試験片上の藻類付着面積の割合
を経時的に24ケ月間測定し、その結果を表12に示し
た。また、12ケ月後の付着生物の種類を調べ、その結
果を表13に示した。
【0086】<実船試験>実船での試験は、右舷中央部
の船底垂直部で行い、実施例1について、中央部から船
首側へ喫水線に平行に3.8m、喫水線から下部に向か
い3.8mの約14m2の面積で、また実施例2につい
て、中央部から船尾部へ約10m2の面積で、行つた。塗
装方法は、まず、旧塗膜に対して高圧洗浄を行い付着生
物などを除去したのち、1晩乾燥させた。つぎに、旧塗
膜の影響を避けるため、シ―ラ―コ―トとして一般的に
使用されている「QD1号HB」〔日本油脂(株)製の
商品名〕を乾燥膜厚が70μmとなるように塗布し、6
時間乾燥させた。しかるのち、その上に、実施例1,2
の各塗料組成物を、1回あたりの乾燥膜厚が100μm
となるようエアレススプレ―にて2回塗装した。また、
この周囲に比較例1の塗料組成物を実施例1,2と同じ
膜厚で塗装した。この実船における生物付着面積の割合
および付着生物の種類を、12ケ月後に調査した。これ
らの結果を、表14に示した。
【0087】<海棲生物付着阻害性静置評価試験>サン
ドブラスト処理鋼板にタ―ルエポキシ系防錆塗料を1回
あたり125μmの乾燥膜厚となるようにスプレ―塗装
で2回塗りし、さらにタ―ルビニル系シ―ラ―コ―トを
乾燥膜厚が70μmとなるように塗装した。しかるの
ち、この上に、各塗料組成物を、1回あたり乾燥膜厚が
100μmとなるようにスプレ―塗装により2回塗装
し、温度20℃、湿度75%の恒温恒湿室において1週
間乾燥させて、試験片を作製した。この試験片を、兵庫
県相生湾にて、1.5mの深度で静置浸漬し、試験片上
の生物付着面積の割合を経時的に24ケ月測定し、その
結果を表15に示した。また、12ケ月後の付着生物の
種類を調べ、その結果を表16に示した。
【0088】<海棲付着生物阻害性能評価法の比較>
「実船シミユレ―シヨン藻類付着阻害性試験」の試験法
の妥当性を評価するため、この試験結果(12ケ月後)
を、「実船試験」の結果および「海棲生物付着阻害性静
置評価試験」の結果(12ケ月後)と比較した。生物付
着が認められる場合を×(不合格)、生物付着が認めら
れない場合を○(合格)とした。これらの結果を、表1
7に示した。
【0089】<塗膜消耗性試験>防錆塗装した鋼板(1
00mm×100mm×1mm)の表面に、各塗料組成物を、
1回の乾燥塗膜厚が200μmとなるように2回スプレ
―塗装し、温度20℃の乾燥機において1週間乾燥させ
て、試験片を作製した。この試験片を直径50cmの円
柱上ドラムに取り付け、これを海水中で一定期間回転さ
せたのち、塗膜の消耗膜厚を24ケ月間測定した。ま
た、塗膜厚消耗速度(μm/月)を算出した。使用した
試験機は工場内設置のロ―タ―試験機で、周速が16ノ
ツトとなるようにした。これらの結果を表18に示し
た。なお、塗膜厚消耗速度は、3μm/月以上であれば
良好な実船シミユレ―シヨン藻類付着阻害性能と相関す
る。また、試験中にハガレなどの塗膜欠陥が発生した場
合は、測定は不可能なため、塗膜物性のみを記した。
【0090】
【表12】
【0091】
【表13】
【0092】
【表14】
【0093】
【表15】
【0094】
【表16】
【0095】
【表17】
【0096】
【表18】
【0097】上記の表12,表13の結果から明らかな
ように、比較例1〜5の各塗料組成物では、藻類の付着
が確認されているが、実施例1〜21では実際の船底部
での生物付着で最も問題となる藻類の付着は全く認めら
れず、本発明の塗料組成物は非常にすぐれた藻類付着阻
害効果を持つことがわかる。
【0098】また、上記の表14の実船試験結果によ
り、試験に供した塗料組成物は実施例1,2の塗料組成
物だけであるが、実際の船底部での試験において、非常
にすぐれた藻類付着阻害性を持つことがわかる。実施例
の周囲に塗布された比較例1の塗料組成物ではアオノ
リ、アオサの付着が確認された。
【0099】さらに、上記の表15,表16の結果よ
り、通常の海棲生物付着阻害性試験である静置試験法で
は実施例、比較例とも生物付着は認められず良好である
が、各試験法の結果をまとめた表17から、静置評価法
は藻類付着阻害性試験とは一致しないことがわかる。ま
た、表17から実船シミユレ―シヨン藻類付着阻害性試
験は実船試験結果と一致することから、この試験法が船
舶用海棲生物付着阻害用の塗料組成物に求められる藻類
付着阻害性能の評価法として妥当であり、このことから
も本発明の塗料組成物は実際の船底部での生物付着で最
も問題となる藻類に対する付着阻害性能に非常にすぐれ
ていることが確認できる。
【0100】また、表18より、塗膜消耗速度は、実施
例1〜21の各塗料組成物では、塗膜欠陥はなく、塗膜
消耗性に経時変化のない良好な塗膜消耗性を示すが、比
較例1〜5では塗膜消耗性が3μm/月以下とほとんど
消耗性が認められないか、塗膜物性的に欠陥を起こして
しまうことがわかる。
【0101】以上の試験結果から、本発明の塗料組成物
がすぐれた藻類付着阻害性能、すぐれた塗膜消耗性能、
良好な塗膜物性を具備しており、海棲生物付着阻害用の
塗料組成物として非常にすぐれたものであることがわか
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの一般式(1); (式中、R1 〜R3 はいずれも炭素数1〜20の炭化水
    素基であつて、互いに同一の基であつても異なる基であ
    つてもよい。Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイ
    ルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ
    基またはイタコノイルオキシ基である。)で表される単
    量体Aと、つぎの一般式(2); Y−(CH2 CH2 O)n−R4 …(2) (式中、R4 はアルキル基またはアリ―ル基である。Y
    はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、マ
    レイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基またはイタコ
    ノイルオキシ基である。nは1〜25の整数である。)
    で表される単量体Bとを含む単量体混合物の共重合体
    と、下記の構造式(3); 【化1】 で表されるビス(2−ピリジンチオ―ル−1−オキシ
    ド)銅塩とを、必須成分として含有する塗料組成物。
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