JPH08264401A - 傾斜表面シリコンウエハ及びその表面構造の形成方法 - Google Patents

傾斜表面シリコンウエハ及びその表面構造の形成方法

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JPH08264401A
JPH08264401A JP7087593A JP8759395A JPH08264401A JP H08264401 A JPH08264401 A JP H08264401A JP 7087593 A JP7087593 A JP 7087593A JP 8759395 A JP8759395 A JP 8759395A JP H08264401 A JPH08264401 A JP H08264401A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱処理等により再構成される傾斜シリコンウ
エハの表面ステップ構造を原子間力顕微鏡で確認可能と
して、表面構造を制御して形成させより高性能な半導体
基板を提供する。 【構成】 面方位(100)の単結晶シリコンウエハ
を、(001)面の垂線を[110]方向に0.01°
〜0.2°の角度に傾斜してスライスし洗浄処理した
後、窒素ガス含有量0.1ppm以下の超純度アルゴン
雰囲気中、600〜1300℃で1分間以上熱処理(ア
ニール)処理して、Sa及びSbのステップ段を含むス
テップ構造の結晶面とすることを特徴とする傾斜表面シ
リコンウエハの表面構造の形成方法。ステップ構造が、
原子間力顕微鏡により確認されてなることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、傾斜表面シリコンウエ
ハ及びその表面構造の形成方法に関し、詳しくは特定構
造の傾斜表面を有し、その上部に形成された酸化膜に優
れた特性を付与する半導体用傾斜表面シリコンウエハ及
びその特定構造の傾斜表面を形成する方法に関する。
【0002】
【従来技術】半導体シリコンウエハの表面状態が、酸化
膜の欠陥や耐圧特性に影響を与えることはよく知られて
いる。そのため、表面をできるだけ清浄とすることや、
原子レベルの変位による結晶表面構造を再構成する方
法、例えば、超高真空で繰り返して脱ガスを行う方法
(ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノ
ロジー(Journal of Vacuum Sci
ence Technology)第7A巻、第290
1頁(1989年)参照)、特定方向に電流加熱する方
法(ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J
ournalofApplied Physics)第
31巻、第1164頁(1992年)参照)が提案され
ている。従来、これらの結晶表面構造の観察は、走査ト
ンネル顕微鏡(STM)や反射高速電子線回折(RHE
ED)の分析機器を用いて観察されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
STMやRHEEDによる表面結晶構造の観察は、シリ
コン表面の自然酸化膜を除去する必要があり、10-8
a以下の超高真空中で高温処理することにより自然酸化
膜を除去した後観察を行う。この際、真空度が10-6
a以下となると表面は再び酸化され再構成表面の観察が
困難になる。発明者らは、上記従来法によるシリコンウ
エハ結晶表面の再構成及び確認における不都合に鑑み、
再構成が容易に行われ、且つ、その再構成された結晶表
面状態も簡便に確認できる方法を見出し、熱酸化誘起積
層欠陥が少なく耐圧特性の優れた高性能な熱酸化膜の形
成可能な表面結晶状態を有するシリコンウエハを、表面
制御しながら工業的に形成実施可能とすることを目的に
鋭意検討した。
【0004】その結果、発明者らは、窒素含有量0.1
ppm以下の超純度Arガス中において高温熱処理する
ことにより、ウエハ表面の自然酸化膜を分解できると共
に脱ガスもでき表面の再構成を行うことができることを
知見した。また、従来法においては高温処理後の分析観
察までの間に、ウエハは空気中に露出されるため自然酸
化膜が再形成されており、その酸化膜は絶縁体であるた
め、STM等の分析方法では分析が不正確となるおそれ
があった。一方、発明者らは、再構成された表面構造の
確認を容易にするため、特定方向に微小角度の傾斜表面
となすと同時に所定の原子レベルステップ構造を形成す
ることにより、原子間力顕微鏡(AFM)により分析可
能となり、多少の自然酸化膜の形成によってもウエハ表
面結晶の再構成状態を推測できることを知見した。本発
明は、上記知見に基づきなされたものであり、確認可能
な工業化できる表面ステップ構造を有するシリコンウエ
ハ及びその表面構造の形成方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、面方位
(100)のシリコンウエハであり、(001)面の垂
線を[110]方向に0.01〜0.2°の角度で傾斜
する傾斜表面において、規則性の高いステップSa及び
ステップSbのステップ段を含むステップ構造結晶面を
有することを特徴とする傾斜表面シリコンウエハが提供
される。上記本発明の傾斜表面シリコンウエハにおい
て、ステップ構造が原子間力顕微鏡により確認されてな
ることが好ましい。
【0006】また、本発明は、面方位(100)の単結
晶シリコンウエハを、(001)面の垂線を[110]
方向に0.01°〜0.2°の角度に傾斜してスライス
し洗浄処理した後、窒素ガス含有量0.1ppm以下の
超純度アルゴン雰囲気中、600〜1300℃で1分間
以上熱処理(アニール)処理して、Sa及びSbのステ
ップ段を含むステップ構造の結晶面とすることを特徴と
する傾斜表面シリコンウエハの表面構造の形成方法を提
供する。上記本発明の傾斜表面シリコンウエハの表面構
造の形成方法において、ステップ構造が原子間力顕微鏡
により確認されてなることが好ましい。
【0007】なお、ステップSaは、フィジカル・レビ
ュー・レターズ(PhysicalReview Le
tters)1691頁、第59巻(1987年)(以
下レポート1とする)において、著者チャディ(Cha
di)により、傾斜構造のシリコンウエハ表面におい
て、傾斜表面に生じる原子的段差のうち、単原子層に高
さに相当すると共に、段上のシリコン原子列に平行な方
向に延びている段として定義された原子的傾斜段差をい
う。また、同時に、ステップSbとしては、段差が単原
子層の高さに相当し且つ段上のシリコン原子列に対して
垂直方向に延びた原子的傾斜段差が定義されている。本
発明において、ステップSa及びSbは、上記チャディ
の定義に従うものである。本発明の傾斜表面シリコンウ
エハの表面構造の模式的説明図を上記の説明に従い図1
に示す。図1において、シリコンウエハ1は、ステップ
構造を特定方位、例えば、[110]方向に傾斜角度
(θ)0.01°〜0.2°の角度に傾斜されている
(100)シリコンウエハに対して、[10]方向
に、ステップSa、ステップSb、ステップSa・・・
のステップ段からなるステップ構造が形成されている。
このステップ構造は、ウエハ1面内で相互的に平行に配
列している直線Sa平面と曲線Sb平面からなることを
特徴とする。隣接する二つのステップ段の間隔Lは傾斜
角度θで支配され、次式により表わすことができる。即
ち、L=(格子定数/4)/tanθである。
【0008】
【作用】本発明は上記のように構成され、従来のシリコ
ンウエハにおいて一般的な傾斜表面形成を、傾斜角度を
0.01°〜0.2°と微小角度に調整することによ
り、表面結晶の原子レベルステップ構造をAFMで確認
することができ、それにより得られた原子ステップ構造
が、ステップSa及びSbの双方を含んでなることが推
測でき、所望により表面構造の制御調整が可能である。
例えば、結晶表面の安定性に欠けるステップSbの生成
を抑制するように確認して形成し、表面を安定化して酸
化膜特性を向上させることができる。
【0009】また、本発明は上記のように構成され、超
純度Arガスを用いて表面熱処理するため、Arガス中
には不純物濃度が非常に低く、酸素や水の濃度が従来の
脱ガス可能な超高真空と同等であり、且つ、窒素含有を
著しく抑制しているため、Arガスの極めて不活性であ
る特性を有効に維持しでき、シリコンウエハ表面と全く
反応することがなく、シリコンウエハの表面状態が再構
成されて、AFMによりステップSa及びSbを含むス
テップ構造を有していることが確認される。
【0010】一般に、シリコンウエハ表面は、STMの
観察等により、清浄なシリコンウエハ表面は高温熱処理
で再構成され、2原子(dimer)化していることは
よく知られている。本発明の[110]方向に傾斜した
面方位(100)のウエハ結晶表面には、原子レベルス
テップ構造が傾斜方向に周期的に配列し、そのまま傾斜
の角度を担っている。原子レベルステップの高さは、1
個原子層S(0.13nm)、または2個原子層D
(0.27nm)の2種がある。また、ステップ段の種
類は、ステップ平面上の原子層中の2原子の列の配列方
向により区別できる。前記のレポート1の記載によれ
ば、ステップSaは、ステップ平面上の原子層の2原子
の列方向と平行する方向に延び、ステップSbは、2原
子の列に垂直する方向に延びている。従って、[11
0]方向に傾斜した面方位(100)の結晶表面は、4
種類の原子レベルステップ、即ちSa、Sb、Da及び
Dbからなる。簡便法としてよく利用されるウッドの記
号では、ステップSa段上の原子再構成方式は1×2で
あり、ステップSb段上の原子再構成方式は2×1であ
る。言い換えれば、ステップSa=(1×2→2×
1)、ステップSb=(2×1→1×2)ような関係が
ある。また、多くのSTM観察、例えば、前記ジャーナ
ル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー第7
A巻、第2901頁(1989年)及びジャーナル・オ
ブ・アプライド・フィジックス第31巻、第1164頁
(1992年)によれば、ステップSaは直線であり、
ステップSbは曲線である。
【0011】本発明におけるシリコンウエハは、特に制
限されるものでなく、従来から通常の半導体基板として
製造される、例えばチョクラルスキー(CZ)法等によ
り製造されたシリコン単結晶を、面方位(100)にス
ライスされた形成されたもの等を用いることができる。
本発明において、(100)面のシリコンウエハの傾斜
スライス角度は、(001)面の垂線を[110]方向
に0.01°〜0.2°の範囲である。この範囲の傾斜
角度は、ステップ形態を判別して制御するためであり、
この範囲を外れた場合は、判別ができず制御することが
できないためである。また、0.01°より小さな傾斜
角度は、現時点で機械的に制御し難いためである。傾斜
方向が[110]方向以外では規則的なステップの形成
ができないためである。また、傾斜方向は、厳密に[1
10]方向である必要はなく実質的に[110]方向で
あればよく、具体的には[110]方向に対して±2度
程度のずれがあってもよい。なお、本明細書では、理解
を容易にするために[110]方向という表記をしてい
るが、[10]、[110]、[10]方向は、い
ずれも[110]方向と等価(相対的なもの)であり、
これらの方向に傾斜させたものも本発明の範囲に包含さ
れるものである。なお、結晶の方向を表示する[ ]
内及び結晶の面を表示する( )内の数字に、通常、
オーバーラインを付して表示する方向及び面に関し、本
明細書中では便宜上アンダーラインを付して表示する。
上記のように傾斜スライスしたシリコンウエハは、公知
のシリコンウエハ製造工程での洗浄方法、例えば、フッ
化水素−硝酸等を用いて洗浄後、超純度Arガス雰囲気
下で熱処理する。本発明の超純度Arガスとしては、上
記のように酸素、水分等の不純物を含むことなく、特に
窒素を0.1ppm以下とする。0.1ppmより多く
含有すると、高温においてシリコンと反応して窒化膜を
形成するため表面構造の再構成を抑制するためである。
本発明の熱処理温度は、600℃〜1300℃であり、
処理温度が1300℃より高いと石英炉芯管の寿命は短
くなり易く実用的でない。一方、処理温度が600℃未
満になるとアルゴンガスによるシリコン表面の原子の再
構成がなされなくなってしまうためである。また、Ar
ガス雰囲気下の熱処理時間は、処理すべきシリコンウエ
ハ表面構造や傾斜角度及びスライス表面構造に応じて適
宜選択することができ、所望のステップ構造に応じて適
宜選択して制御することができる。通常、5〜240分
である。なお、本発明においては、傾斜表面シリコンウ
エハの表面構造のステップ構造をAFMで確認するが、
この場合、確認し易い鮮明なAFM写真が撮れるため
に、試料保存時間はできるだけ短くし、空気を窒素パー
ジする等の対策が必要となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。但し、本発明は下記実施例により制限されるもので
ない。本実施例において、シリコンウエハ試料は、面方
位(100)の6インチのCZシリコン結晶の(00
1)面の垂線を[110]方向に0.05°傾斜してス
ライスされたシリコンウエハを用いた。シリコンウエハ
試料を、例えば、フッ化水素−硝酸等の通常の洗浄を行
った後、ミラー研磨されたウエハ表面をAFMで観察
し、そのミラー研磨した傾斜表面ウエハの表面結晶構造
を示すAFM写真を図2に示した。このウエハを、更に
窒素含有量0.01ppmのArガス雰囲気中で120
0℃で1時間熱処理を行った。上記の熱処理した傾斜表
面ウエハの表面をAFMで観察し、その熱処理した傾斜
表面ウエハの表面結晶構造を示すAFM写真(A)及び
説明の便宜のためにそのAFM写真を部分的にカットし
た写真(B)を図3に示した。図3において、[11
0]方向に傾斜した面方位(100)の結晶表面には、
直線的なステップSaと曲線的なステップSbが配置さ
れていることが観察された。また、相隣接する2つのス
テップ平面(ドメイン:domain)間に、L=原子
層の高さ/tanα(αは傾斜角度=0.05、L=
0.2μm)から、原子層の高さが0.13nmで、1
個原子層(a/4=0.13nm、但し、aは結晶格子
定数)の高さが認められた。
【0013】
【発明の効果】本発明の傾斜表面シリコンウエハは、傾
斜スライス角度を所定の微小角とすることにより、超高
純度のアルゴン雰囲気下で熱処理され再構成されステッ
プ構造となる表面構造を、原子間力顕微鏡で確認可能で
あり、工業的に所望の表面ステップ構造となるように確
認制御して形成し得る。そのため、例えば、表面が不安
定となり易いステップSbの形成を抑制等して、その表
面上に高性能な熱酸化膜を形成するように調整すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の傾斜表面シリコンウエハの表面構造を
模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の実施例で得られたミラー研磨後の傾斜
表面シリコンウエハの表面結晶構造のAFM写真である
(視野広さ2μm×2μm)。
【図3】本発明の実施例で得られた熱処理後の傾斜表面
シリコンウエハの表面結晶構造のAFM写真(視野広さ
2μm×2μm)(A)及び説明の便宜のためそのAF
M写真を部分的にカットした写真(B)である。
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】なお、ステップSaは、フィジカル・レビ
ュー・レターズ(PhysicalReview Le
tters)1691頁、第59巻(1987年)(以
下レポート1とする)において、著者チャディ(Cha
di)により、傾斜構造のシリコンウエハ表面におい
て、傾斜表面に生じる原子的段差のうち、単原子層に高
さに相当すると共に、段上のシリコン原子列に平行な方
向に延びている段として定義された原子的傾斜段差をい
う。また、同時に、ステップSbとしては、段差が単原
子層の高さに相当し且つ段上のシリコン原子列に対して
垂直方向に延びた原子的傾斜段差が定義されている。本
発明において、ステップSa及びSbは、上記チャディ
の定義に従うものである。本発明の傾斜表面シリコンウ
エハの表面構造の模式的説明図を上記の説明に従い図1
に示す。図1において、シリコンウエハ1は、ステップ
構造を特定方位、例えば、[110]方向に傾斜角度
(θ)0.01゜〜0.2°の角度に傾斜されている
(100)シリコンウエハに対して、[10]方向
に、ステップSa、ステップSb、ステップSa・・・
のステップ段からなるステップ構造が形成されている。
このステップ構造は、ウエハ1面内で相互的に平行に配
列している直線Sa平面と曲線Sb平面からなることを
特徴とする。隣接する二つのSaステップ段の間隔Lは
傾斜角度θで支配され、次式により表わすことができ
る。即ち、L=2×(格子定数/4)/tanθであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面方位(100)のシリコンウエハであ
    り、(001)面の垂線を[110]方向に0.01〜
    0.2°の角度で傾斜する傾斜表面において、規則性の
    高いステップSa及びステップSbのステップ段を含む
    ステップ構造結晶面を有することを特徴とする傾斜表面
    シリコンウエハ。
  2. 【請求項2】 前記ステップ構造が、原子間力顕微鏡に
    より確認されてなる請求項1記載の傾斜表面シリコンウ
    エハ。
  3. 【請求項3】 面方位(100)の単結晶シリコンウエ
    ハを、(001)面の垂線を[110]方向に0.01
    °〜0.2°の角度に傾斜してスライスし洗浄処理した
    後、窒素ガス含有量0.1ppm以下の超純度アルゴン
    雰囲気中、600〜1300℃で1分間以上熱処理(ア
    ニール)処理して、Sa及びSbのステップ段を含むス
    テップ構造の結晶面とすることを特徴とする傾斜表面シ
    リコンウエハの表面構造の形成方法。
  4. 【請求項4】前記ステップ構造が、原子間力顕微鏡によ
    り確認されてなる請求項3記載の傾斜表面シリコンウエ
    ハの表面構造の形成方法。
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