JPH08259957A - 活性炭繊維製造用金属含有ピッチの製造方法、活性炭繊維の製造方法および活性炭繊維 - Google Patents

活性炭繊維製造用金属含有ピッチの製造方法、活性炭繊維の製造方法および活性炭繊維

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JPH08259957A
JPH08259957A JP6787095A JP6787095A JPH08259957A JP H08259957 A JPH08259957 A JP H08259957A JP 6787095 A JP6787095 A JP 6787095A JP 6787095 A JP6787095 A JP 6787095A JP H08259957 A JPH08259957 A JP H08259957A
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久司 玉井
Shigeji Mizutori
重司 水取
Takayoshi Kaneda
隆義 金田
Sanenoshin Shinohara
誠之進 篠原
Shigeaki Sawada
重明 澤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、細孔容積が大きい活性炭繊維を高い
炭化収率で製造する方法を提供することを主な目的とす
る。 【構成】1.低軟化点ピッチと有機金属化合物の炭化水
素溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化水
素を除去した後、得られた蒸留ピッチと高軟化点ピッチ
とを混合することを特徴とする活性炭繊維製造用金属含
有ピッチの製造方法;該ピッチを使用する活性炭繊維の
製造方法;および得られた活性炭繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性炭繊維製造用金属
含有ピッチの製造方法、該金属含有ピッチを製造原料と
する活性炭繊維の製造方法および該方法により得られた
新規な特性を有する活性炭繊維に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】現用の活性炭において、比表
面積800m2/g程度の場合の細孔容積は、0.3〜
0.35ml/g程度であり、比表面積1200m2
g程度の場合の細孔容積は、0.65〜0.7ml/g
程度である。一方、ピッチ系の活性炭繊維においては、
比表面積1500m2/g程度の場合の細孔容積は、
0.8ml/g程度であり、比表面積2000m2/g
程度の場合の細孔容積は、1.1ml/g程度である。
【0003】本発明者らは、ピッチ系活性炭の特性改善
を目的として、従来から種々研究を重ね、その成果の一
部は、特開平3−265510号、特開平4−1241
05号、特開平5−294607号などに記載されてい
る。
【0004】本発明者は、繊維状活性炭の細孔径および
吸着容量をより一層増大させることを主な目的として、
上記の研究をさらに進めてきた。
【0005】従来の活性炭は、ミクロポア(口径:0.
8〜2nm)およびサブミクロポア(口径:0.8nm
未満)の発達した活性炭である。メソポア(口径:2〜
50nm)の発達した活性炭で、吸着容量の大きい活性
炭を得るには、比表面積を高め、最高容積をも増大させ
る必要がある。
【0006】そこで、例えば、低軟化点ピッチに酸素含
有気体を吹き込んでその軟化点を高めた後、生成物(エ
アーブローンピッチ)に金属化合物を混入し、次いで、
このエアーブローンピッチと紡糸ピッチとの混合物を紡
糸し、不融化し、炭化し、次いで賦活処理することによ
り、細孔容積の大きい活性炭繊維を製造するに際しての
炭化収率を改善することが提案されている。しかしなが
ら、この方法では、金属化合物が低融点ピッチ中に均一
に分散され難いので、混合紡糸原料中にも金属化合物が
均一に混合されず、その結果、品質の安定した活性炭繊
維が得られないし、平均細孔径がメソポア領域の活性炭
は、得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、細
孔径が大きく且つ細孔容積が大きい活性炭繊維を製造す
る方法を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な技術の現状を背景として、さらに研究を進めた結果、
低融点ピッチと金属化合物とを液状炭化水素中で混合
し、次いで液状炭化水素を蒸留により除去し、得られた
蒸留ピッチと紡糸ピッチとを混合する場合には、混合物
中に金属化合物が均一に分散されることを見出した。
【0009】そして、この様にして得られたピッチ混合
物は、活性炭繊維の製造原料として好適であること、こ
れから得られる活性炭繊維は、比表面積が大きく、且つ
細孔容積が従来品に比して極めて大きいという特異な物
性を有していることなども、同時に見出された。
【0010】さらに、引き続く研究において、低融点ピ
ッチと金属化合物とを液状炭化水素中で混合し、次いで
液状炭化水素を蒸留により除去し、得られた蒸留ピッチ
に酸素含有気体を吹き込むことにより得られるエアブロ
ーンピッチも、上記混合ピッチと同様に活性炭繊維の製
造原料として好適であることを見出した。
【0011】さらにまた、コールタールと金属化合物と
を液状炭化水素中で混合し、次いで液状炭化水素を蒸留
により除去し、得られた蒸留ピッチに酸素含有気体を吹
き込むことにより得られるエアブローンピッチも、やは
り上記混合ピッチと同様に活性炭繊維の製造原料として
好適であることを見出した。
【0012】すなわち、本発明は、下記の活性炭繊維製
造用金属含有ピッチの製造方法、活性炭繊維の製造方法
および活性炭繊維を提供するものである: 1.低軟化点ピッチと有機金属化合物の炭化水素溶液と
を混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化水素を除去
した後、得られた蒸留ピッチと高軟化点ピッチとを混合
することを特徴とする活性炭繊維製造用金属含有ピッチ
の製造方法。
【0013】2.低軟化点ピッチと有機金属化合物の炭
化水素溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭
化水素を除去した後、得られた蒸留ピッチに酸素含有気
体を吹き込むことを特徴とする活性炭繊維製造用金属含
有ピッチの製造方法。
【0014】3.コールタールと有機金属化合物の炭化
水素溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化
水素を除去した後、得られた蒸留生成物に酸素含有気体
を吹き込むことを特徴とする活性炭繊維製造用金属含有
ピッチの製造方法。
【0015】4.上記項1〜3のいずれかの方法で得ら
れた金属含有ピッチを紡糸した後、得られたピッチファ
イバーを不融化処理し、炭素化処理し、賦活処理するこ
とを特徴とする活性炭繊維の製造方法。
【0016】5.比表面積が700〜2000m2/g
の範囲にあり、細孔容積(y:ml/g)を縦軸にと
り、比表面積(x:m2/g)を横軸にとった場合に、
xとyとが下記の関係式を満足することを特徴とする比
表面積が大きく且つ細孔容積の大きい活性炭繊維: y≧−a+bx+cx2 (但し、a=0.3177、b=9.68×10-4、c
=2.49×10-8) 以下、上記項1〜5に記載された発明をそれぞれ本願第
1発明乃至本願第5発明といい、これらを総括して単に
本願発明という。
【0017】I.本願第1発明 本願第1発明で使用する低軟化点ピッチとは、メトラー
法(ASTM)による軟化点60〜150℃程度、より
好ましくは70〜120℃程度のピッチをいい、石炭系
ピッチ、石油系ピッチ、これらピッチの有機溶媒可溶成
分などの任意の由来のものを使用することが出来る。
【0018】また、高軟化点ピッチとは、メトラー法
(ASTM)による軟化点180〜330℃程度、より
好ましくは250〜300℃程度のピッチをいい、この
場合にも、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、これらピッチ
の有機溶媒可溶成分などの任意の由来のものを使用する
ことが出来る。
【0019】本願発明で使用する有機金属化合物とは、
イットリウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合
物、イッテルビウム化合物、サマリウム化合物およびネ
オジウム化合物の少なくとも1種である。
【0020】イットリウム化合物としては、イットリウ
ムアセチルアセトナート、トリスシクロペンタジエニル
イットリウム、イットリウムナフトエ酸、イットリウム
イソプロポキシドなどが例示される。
【0021】チタン化合物としては、チタンオキソアセ
チルアセトナートなどが例示される。
【0022】ジルコニウム化合物としては、ジルコニウ
ムアセチルアセトナートなどが例示される。
【0023】イッテルビウム化合物としては、沃素化イ
ッテルビウム、トリスシクロペンタジエニルなどが例示
される。
【0024】サマリウム化合物としては、サマリウムイ
ソプロポキシド、サマリウムアセチルアセトナートなど
が例示される。
【0025】ネオジウム化合物としては、トリスシクロ
ペンタジエニルネオジウム、ネオジウムアセチルアセト
ナートなどが例示される。
【0026】有機金属化合物としては、イットリウム化
合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などがより好
ましい。
【0027】低軟化点ピッチと有機金属化合物との混合
に際して使用される液状炭化水素としては、特に制限は
なく、有機金属化合物を溶解しうるものが挙げられ、よ
り具体的には、キノリン、テトラヒドロフラン、ジクロ
ロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが例示さ
れる。
【0028】本願第1発明においては、まず低融点ピッ
チと有機金属化合物の炭化水素溶液とを均一に混合す
る。或いは、低融点ピッチと有機金属化合物とを炭化水
素中で均一に混合しても良い。有機金属化合物の使用量
は、低融点ピッチ重量を基準として、通常0.3〜15
%程度(金属として;以下同じ)、より好ましくは1〜
15%程度である。有機金属化合物の使用量が過剰とな
る場合には、紡糸ピッチの紡糸性が低下したり、賦活に
際して比表面積が増大しなかったりするのに対し、少な
すぎる場合には、得られる活性炭繊維の性状が改善され
ず、通常の活性炭繊維のそれと変わりなくなる。
【0029】次いで、上記のようにして得られた混合物
を減圧蒸留する。減圧蒸留の条件は、特に限定されるも
のではないが、一例として圧力50〜100Torrで温度
200℃程度である。
【0030】上記の減圧蒸留で得られる蒸留ピッチは、
当初の低軟化点ピッチの性状に主に依存して変わりうる
が、通常軟化点80〜160℃程度、より好ましくは9
0〜140℃程度である。
【0031】次いで、上記で得られた蒸留ピッチと高軟
化点ピッチとを混合することにより、金属含有紡糸ピッ
チを得る。
【0032】蒸留ピッチと高軟化点ピッチとの混合割合
は、混合すべき両ピッチの性状、紡糸ピッチに対して要
求される性状などに応じて種々変わりうるが、通常蒸留
ピッチ100重量部に対し、高軟化点ピッチ200〜1
200重量部程度(より好ましくは300〜1000重
量部程度)で、且つ紡糸ピッチ(混合物)の軟化点25
0〜330℃程度(より好ましくは210〜300℃程
度)で、その金属含有量が0.1〜5%程度(より好ま
しくは0.3〜1%程度)となる様な割合である。
【0033】II.本願第2発明 本願第2発明においては、低軟化点ピッチと有機金属化
合物との混合物を減圧蒸留した後、得られた蒸留ピッチ
に酸素含有気体を吹き込んで処理し、エアブローンピッ
チを得る。
【0034】使用する低融点ピッチと有機金属化合物
は、本願第1発明と同様であり、その混合物の調製も、
本願第1発明と同様にして行う。
【0035】本願第2発明においては、エアブローンピ
ッチ中の金属含有量が所定値となるように、低軟化点ピ
ッチと有機金属化合物との混合物中の金属含有量を予め
調整しておく。この混合物の減圧蒸留条件は、本願第1
発明と同様である。
【0036】蒸留ピッチの吹き込み用酸素含有気体とし
ては、空気、オゾン含有空気、酸素富化空気、酸素など
が例示される。吹き込み処理は、温度250〜500℃
程度(より好ましくは300〜400℃程度)、気体吹
き込み量(空気として)ピッチ1kg当たり0.1〜1
0l/分程度(より好ましくは0.2〜5l/分程度)
の条件下に行う。
【0037】本願第2発明で得られる金属含有紡糸ピッ
チは、軟化点250〜350℃程度(より好ましくは2
70〜300℃程度)で、金属含有量0.1〜5%程度
(より好ましくは0.3〜1%程度)である。
【0038】III.本願第3発明 本願第3発明においては、コールタールと有機金属化合
物の炭化水素溶液とを均一に混合する。或いは、コール
タールと有機金属化合物とを炭化水素中で均一に混合し
ても良い。有機金属化合物の使用量は、コールタール重
量を基準として、通常0.02〜1%程度(金属とし
て;以下同じ)である。
【0039】次いで、コールタールと有機金属化合物と
の混合物を減圧蒸留した後、得られた蒸留ピッチに酸素
含有気体を吹き込んで処理し、エアブローンピッチ(紡
糸ピッチ)を得る。 コールタールと有機金属化合物と
の混合物の減圧蒸留条件は、本願第1発明と同様であ
る。
【0040】また、蒸留ピッチに対する酸素含有気体吹
き込み条件は、本願第2発明と同様である。
【0041】本願第3発明で得られる金属含有紡糸ピッ
チは、軟化点250〜350℃程度(より好ましくは2
70〜300℃程度)で、金属含有量0.1〜5%程度
(より好ましくは0.3〜1%程度)である。
【0042】IV.本願第4発明 本願第4発明においては、本願第1発明乃至本願第3発
明で得られた金属含有紡糸用ピッチを紡糸し、不融化処
理し、炭化処理し、賦活処理することにより、活性炭繊
維を得る。
【0043】ピッチの紡糸から賦活に至る各工程は、常
法に従って実施することが出来るので、条件などは、特
に限定されるものではないが、通常以下の通りである。
【0044】紡糸工程においては、上記の本願第1発明
乃至本願第3発明で得られた金属含有ピッチを軟化点以
上の温度、好ましくは軟化点よりも30〜100℃程度
高い温度で融解し、紡糸することによりピッチファイバ
ーを得る。
【0045】不融化工程においては、ピッチファイバー
を酸化性雰囲気中、例えば空気中で軟化温度以下の温度
から昇温し、400℃までの温度で必要時間保持する。
【0046】炭化は、不融化したピッチファイバーをア
ルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下に、5〜10℃
/分程度の速度で800〜1200℃程度の所定最高温
度まで昇温させた後、最高温度で最大10分間程度保持
して行う。
【0047】賦活処理は、炭化繊維を水蒸気、二酸化炭
素、酸素、これらの混合物、これらを窒素などの不活性
ガスで希釈したガスなどの雰囲気中800〜1200℃
程度の温度で5〜120分間程度保持することにより行
う。
【0048】V.本願第5発明 本願第4発明で得られる活性炭繊維は、比表面積が70
0〜2000m2/g程度の範囲にあり、その細孔容積
が下記の関係式を満足する。すなわち、本発明による活
性炭繊維は、その細孔容積をy(ml/g)とし、比表
面積をx(m2/g)とすると、y≧−a+bx+cx2
(a=0.3177、b=9.68×10-4、c=2.
49×10-8、700≦x≦2000)という関係式が
成立するという、従来品にはない特異な性状を備えてい
る。
【0049】因みに、本発明による活性炭繊維と市販の
活性炭繊維とについて、比表面積と細孔容積との関係を
測定した結果を図1にグラフとして示す。図1におい
て、黒四角印が本発明による結果を表し、黒三角印が市
販品についての結果を表す。また、白四角印は、本願比
較例1の結果を表す。
【0050】上記の関係式は、図1に示すような本発明
の活性炭繊維の特性をプロットすることにより得られた
ものである。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、高い賦活収率で活性炭
繊維を製造することが出来る。
【0052】得られた活性炭繊維は、細孔半径が大き
く、特定の比表面積範囲での細孔容積が著しく大きいと
いう極めて特異な性状を備えている。
【0053】従って、本発明による活性炭繊維は、大き
な分子径を有する物質の吸着剤などとして、極めて有用
である。
【0054】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0055】実施例1 キノリン不溶分3.2%およびトルエン不溶分7.8%
を含むコールタールから水分を除去した後、150℃で
濾紙を用いて濾過を行い、キノリン不溶分を除去した。
【0056】次いで、濾過処理後のコールタール110
0gを蒸留フラスコに入れ、フラスコ内を窒素雰囲気と
した後、コールタールを80℃に加温した。
【0057】次いで、予め調製しておいたキノリン10
0ml中にイットリウムアセチルアセトナート2水和物
{Y(CH3COCHCOCH33・2H2O 4gを溶
解する溶液100mlを上記のフラスコ中のコールター
ルに徐々に滴下し、約5時間混合した。
【0058】次いで、上記で得たイットリウム化合物を
含有するコールタールを減圧下に蒸留することにより、
滴下した溶液中のキノリンとコールタール中の軽質分と
を除去して、軟化点90.9℃の中間ピッチを得た。
【0059】得られた中間ピッチ600gを容量1lの
オートクレーブに計り取り、反応温度330℃、反応圧
力常圧で攪拌下にピッチ1kg当たり5l/分の割合で
中間ピッチに空気を吹き込みつつ、180分間反応を行
って、イットリウム含有紡糸用ピッチを得た。
【0060】得られた紡糸用ピッチの性状は、軟化点=
264.1℃、キノリン不溶分=20.4%、トルエン
不溶分=74.1%、アセトン可溶分=6.9%であ
り、光学的等方性組織を示した。
【0061】また、このピッチ中のイットリウム含有量
を波長分散型蛍光X線分析装置により測定したところ、
0.3%であった。
【0062】次いで、上記のピッチをバッチ式のモノホ
ール紡糸器に仕込み、ピッチ溶融温度=308℃、ノズ
ル径=0.3mm、巻取速度=380m/秒で紡糸を行
い、ピッチファイバーを得た。
【0063】得られたピッチファイバーを空気中常温か
ら300℃まで2℃/分の速度で昇温し、300℃で1
80分間保持して、不融化処理を行った。
【0064】次いで、不融化したピッチファイバーを窒
素ガス雰囲気中常温から850℃まで10℃/分の速度
で昇温し、850℃に到達した時点で水蒸気を吹き込
み、賦活を行った。
【0065】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0066】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 90 26 また、得られた活性炭繊維の性状は、表1に示す通りで
あった。
【0067】
【表1】
【0068】実施例2 キノリン100ml中のイットリウムアセチルアセトナ
ート2水和物の溶解量を13gとする以外は実施例1と
同様にして、軟化点95.0℃の中間ピッチを得た後、
この中間ピッチを実施例1と同様にして空気吹き込み処
理して、紡糸ピッチを得た。
【0069】得られた紡糸用ピッチの性状は、軟化点=
276.3℃、キノリン不溶分=21.5%、トルエン
不溶分=75.3%、アセトン可溶分=7.1%であ
り、光学的等方性組織を示した。このピッチ中のイット
リウム含有量は、1.0%であった。
【0070】次いで、上記の紡糸用ピッチを使用して実
施例1と同様にしてピッチファイバーを形成し、不融化
処理、炭化処理および賦活処理を行い、活性炭繊維を得
た。
【0071】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0072】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 30 53 90 8 また、得られた活性炭繊維の性状は、表2に示す通りで
あった。
【0073】
【表2】
【0074】比較例1 コールタールに対してイットリウムアセチルアセトナー
ト2水和物のキノリン溶液を混合しない以外は実施例1
と同様にして紡糸用ピッチを調製した。
【0075】得られた紡糸用ピッチの性状は、軟化点=
275.3℃、キノリン不溶分=20.0%、トルエン
不溶分=73.4%、アセトン可溶分=6.8%であ
り、光学的等方性組織を示した。
【0076】次いで、上記の紡糸用ピッチを使用して実
施例1と同様にしてピッチファイバーを形成し、不融化
処理、炭化処理および賦活処理を行い、活性炭繊維を得
た。
【0077】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0078】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 45 59 60 50 また、得られた活性炭繊維の性状は、表3に示す通りで
あった。
【0079】
【表3】
【0080】実施例3 軟化点90℃の低軟化点コールタールピッチ100gを
フラスコにとり、フラスコ内をAr置換した後、キノリ
ン450mlを加え、2時間攪拌した。
【0081】次いで、キノリン50ml中にY(aca
c)3・2H2O 1.45gを溶解した溶液を攪拌しつ
つAr気流中で滴下し、混合し、滴下終了後さらに3時
間攪拌混合した。
【0082】次いで、上記で得たイットリウム化合物を
含有するピッチを温度200℃、圧力75Torrで蒸留す
ることにより、滴下した溶液中のキノリンとピッチ中の
軽質分とを除去して、中間ピッチを得た。
【0083】得られた中間ピッチを実施例1と同様にし
て空気吹き込み処理して、紡糸用ピッチを得た後、これ
を紡糸し、不融化し、賦活して、活性炭繊維を得た。
【0084】なお、紡糸ピッチ中のイットリウム含有量
を波長分散型蛍光X線分析装置により測定したところ、
0.3%であった。
【0085】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0086】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 30 40 40 25 45 17 得られた活性炭繊維の性状は、表4に示す通りであっ
た。
【0087】
【表4】
【0088】実施例4 軟化点90℃の低軟化点コールタールピッチ100gを
フラスコにとり、フラスコ内をAr置換した後、キノリ
ン450mlを加え、2時間攪拌した。
【0089】次いで、キノリン50ml中にY(aca
c)3・2H2O 1.45gを溶解した溶液を攪拌しつ
つAr気流中で滴下し、混合し、滴下終了後さらに3時
間攪拌混合した。
【0090】次いで、上記で得たイットリウム化合物を
含有するピッチを温度200℃、圧力75Torrで蒸留す
ることにより、滴下した溶液中のキノリンとピッチ中の
軽質分とを除去して、中間ピッチを得た。
【0091】次いで、得られた中間ピッチ100重量部
と軟化点290℃の紡糸用ピッチ200重量部を温度3
30℃で均一に攪拌混合した後、得られた混合ピッチを
用いて実施例1と同様にして順次紡糸し、不融化し、賦
活化を行った。
【0092】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0093】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 90 20 また、得られた活性炭繊維の性状は、表5に示す通りで
あった。
【0094】
【表5】
【0095】実施例5 石油系ピッチ(エチレンボトム油)を150℃で濾紙を
用いて濾過を行い、固体成分を除去した。
【0096】次いで、濾過処理後の石油系ピッチ200
0gを蒸留フラスコに入れ、フラスコ内を窒素雰囲気と
した後、80℃に加温した。
【0097】次いで、予め調製しておいたキノリン10
0ml中にイットリウムアセチルアセトナート2水和物
{Y(CH3COCHCOCH33・2H2O 6gを溶
解する溶液100mlを上記のフラスコ中の石油系ピッ
チに徐々に滴下し、約5時間混合した。
【0098】次いで、上記で得たイットリウム化合物を
含有する石油系ピッチを減圧下に蒸留することにより、
滴下した溶液中のキノリンとピッチ中の軽質分とを除去
して、軟化点88.1℃の中間ピッチを得た。
【0099】得られた中間ピッチ600gを容量1lの
オートクレーブに計り取り、反応温度330℃、反応圧
力常圧で攪拌下にピッチ1kg当たり5l/分の割合で
中間ピッチに空気を吹き込みつつ、430分間反応を行
って、イットリウム含有紡糸用ピッチを得た。
【0100】得られた紡糸用ピッチの性状は、軟化点=
280.7℃、キノリン不溶分=20.5%、トルエン
不溶分=24.7%、アセトン可溶分=10.7%であ
り、光学的等方性組織を示した。
【0101】また、このピッチ中のイットリウム含有量
を波長分散型蛍光X線分析装置により測定したところ、
0.29%であった。
【0102】次いで、上記のピッチをバッチ式のモノホ
ール紡糸器に仕込み、ピッチ溶融温度=323℃、ノズ
ル径=0.3mm、巻取速度=360m/秒で紡糸を行
い、ピッチファイバーを得た。
【0103】得られたピッチファイバーを空気中常温か
ら300℃まで2℃/分の速度で昇温し、300℃で1
80分間保持して、不融化処理を行った。
【0104】次いで、不融化したピッチファイバーを窒
素ガス雰囲気中常温から850℃まで10℃/分の速度
で昇温し、850℃に到達した時点で水蒸気を吹き込
み、賦活を行った。
【0105】賦活処理時間と得られた活性炭繊維の収率
との関係は、以下の通りであった。
【0106】賦活処理時間(分) 活性炭繊維収率(%) 45 41 また、得られた活性炭繊維の性状は、表6に示す通りで
あった。
【0107】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による活性炭繊維と市販の活性炭繊維と
について、比表面積と細孔容積との関係を測定した結果
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 久司 広島県広島市中区舟入南5−5−15 (72)発明者 水取 重司 和歌山県橋本市城山台3−19−15 (72)発明者 金田 隆義 奈良県桜井市芝435−75 (72)発明者 篠原 誠之進 京都府城陽市寺田林の口11−249 (72)発明者 澤田 重明 京都府宇治市宇治蔭山55 ユニチカ蔭山寮 1棟144号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低軟化点ピッチと有機金属化合物の炭化水
    素溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化水
    素を除去した後、得られた蒸留ピッチと高軟化点ピッチ
    とを混合することを特徴とする活性炭繊維製造用金属含
    有ピッチの製造方法。
  2. 【請求項2】低軟化点ピッチと有機金属化合物の炭化水
    素溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化水
    素を除去した後、得られた蒸留ピッチに酸素含有気体を
    吹き込むことを特徴とする活性炭繊維製造用金属含有ピ
    ッチの製造方法。
  3. 【請求項3】コールタールと有機金属化合物の炭化水素
    溶液とを混合し、次いで混合物を減圧蒸留して炭化水素
    を除去した後、得られた蒸留生成物に酸素含有気体を吹
    き込むことを特徴とする活性炭繊維製造用金属含有ピッ
    チの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかの方法で得られた
    金属含有ピッチを紡糸した後、得られたピッチファイバ
    ーを不融化処理し、炭素化処理し、賦活処理することを
    特徴とする活性炭繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】比表面積が700〜2000m2/gの範
    囲にあり、細孔容積(y:ml/g)を縦軸にとり、比
    表面積(x:m2/g)を横軸にとった場合に、xとy
    とが下記の関係式を満足することを特徴とする細孔径が
    大きく且つ細孔容積の大きい活性炭繊維: y≧−a+bx+cx2 (但し、a=0.3177、b=9.68×10-4、c
    =2.49×10-8
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