JPH08259260A - 緑色透明ガラス着色剤組成物 - Google Patents
緑色透明ガラス着色剤組成物Info
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Abstract
鮮明な透明緑色に着色することができる緑色透明ガラス
着色剤組成物を提供する。 【構成】 ガラス表面を透明緑色に着色する緑色透明ガ
ラス着色剤組成物であり、この組成物は金の超微粒子
と、少なくともFe−有機化合物とAg−有機化合物を
含む有機金属化合物と、バインダー樹脂と、そして有機
溶剤から構成されている。
Description
成物に係り、詳しくはガラス表面に緑色透明な着色を可
能にし、そして耐久性を改善した緑色透明ガラス着色剤
組成物に関する。
ス粉と着色剤との混合物をガラス基板の表面に印刷して
塗布した後、これを焼成して着色する方法がよく行われ
ていた。この方法はガラス基板に自由に着色剤を塗布で
きるところからデザイン性に優れるが、ガラス粉の溶融
界面において光の散乱があって光の平行透過率が80%
以下になり、不透明な着色になって、透明な着色には不
適当であった。
ため、従来からいくつかの方法が改良されてきた。その
一つの方法は、イオン交換法と呼ばれるものであり、A
gやCuからなる特定の無機塩をガラス基板の表面に塗
布した後、焼成し、ガラス基板の表面に付着した酸化物
を洗浄していた。得られたガラス基板は、無機塩のAg
やCuの超微粒子がガラス基板内へ浸透し、透明にコロ
イド発色させるものである。
ガラス基板に張り合わせる方法、スパッタリング法を用
いてガラス基板上に蒸着した金属の膜を作製する方法、
有機金属化合物の大気中での焼き付けによってガラス基
板上に金属酸化膜を形成する方法、あるいは原材料ガラ
スを着色する方法である。
交換法は、元素種により超微粒子が生成しにくいものが
あり、色の選択性に乏しい欠点があった。また、スパッ
タリング法では、膜の強度が期待できないこと、色調と
パターン形成に制限があること、しかも装置が大型で大
量生産には不向きであると言った問題があった。フィル
ムの張り合わせ方法では、種々な色調とパターン形成が
可能であるが、耐久性に欠けていた。また、有機金属化
合物の焼き付け方法や原材料ガラスを着色する方法で
も、パターン形成ができない問題があった。
になっており、色調やパターン形成性に優れた方法が強
く望まれている。最近の研究では、金コロイドを金属酸
化物で固定することで種々な色調を提供し、かつスクリ
ーン印刷を可能にすることで高いパターン形成性を有す
るガラス着色剤が報告されている。この方法によれば、
従来の着色方法の問題点を改善し、意匠性に優れたガラ
スを得ることができた。しかし、金コロイドのプラズモ
ン共鳴吸収による着色であり、吸収ピークがブロードな
ため、鮮やかな色調を呈さなかった。特に、緑色におい
てその傾向が強かった。
であり、ガラス表面に、パターン形成性に優れ、かつ鮮
明な透明緑色に着色することができる緑色透明ガラス着
色剤組成物を提供することを目的とする。
るところは、ガラス表面を透明緑色に着色する緑色透明
ガラス着色剤組成物であり、該組成物は金の超微粒子
と、少なくともFe−有機化合物とAg−有機化合物を
含む有機金属化合物と、バインダー樹脂と、有機溶剤を
含んでいる緑色透明ガラス着色剤組成物にある。また、
本発明は、更にTi−有機化合物、そしてSi−有機化
合物から選ばれた少なくとも一種の有機金属化合物を加
えた場合や、シリコンオイル、パラフィンオイル、そし
てナフテンオイルから選ばれた少なくとも一種の消泡剤
を含む場合を含む。
着色する緑色透明ガラス着色剤組成物であり、該組成物
は金の超微粒子と、Fe−有機化合物、Ag−有機化合
物を含む有機金属と、Ti−有機化合物、そしてSi−
有機化合物から選ばれた少なくとも一種の有機金属化合
物と、バインダー樹脂と、消泡剤と、有機溶剤を含んだ
ペースト状の緑色透明ガラス着色剤組成物にある。
1〜100nm、好ましくは1〜50nmの金の超微粒
子を高分子内に凝集させることなく分散させて得られた
もの(複合物)、あるいは粒径1〜100nm、好まし
くは10nm以下の金の超微粒子をα−テレピネオー
ル、トルエン等溶剤中に独立分散したものである。上記
金の超微粒子は、金の微粒子のプラズモン共鳴吸収によ
り赤色に発色する。
複合物を得る場合においては、高分子層を熱力学的に非
平衡化した状態に成形する必要がある。具体的には、高
分子を真空中で加熱して融解し蒸発させて基板の上に高
分子層を固化する真空蒸着方法、あるいは高分子を融解
温度以上で融解し、この状態のまま直ちに液体窒素等に
投入して急冷し、基板の上に高分子層を付着させる融解
急冷固化方法などがある。
真空蒸着装置を使用して10-4〜10-6Torrの真空
度、蒸着速度0.1〜100μm/分、好ましくは0.
5〜5μm/分で、ガラス等の基板の上に高分子層を得
ることができる。融解急冷固化方法では、高分子を融解
し、該高分子固有の臨界冷却速度以上の速度で冷却して
高分子層を得る。このようにして得られた高分子層は熱
力学的に不安定な非平衡化した状態におかれ、時間の経
過につれて平衡状態へ移行する。
6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン69、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、ポリ
メチルメタクリレート等であって、分子凝集エネルギー
として2000cal/mol以上有するものが好まし
い。この高分子は、通常言われている結晶性高分子や非
晶性高分子も含む。尚、分子凝集エネルギーについて
は、日本化学会編 化学便覧応用編(1974年発行)
の第890頁に詳細に定義されている。
子層は、その表面に金の層を密着させる工程へと移され
る。この工程では真空蒸着装置によって金の層を高分子
層に蒸着させるか、もしくは金箔を直接高分子層に密着
させる等の方法で金の層を高分子層に積層させる。
高分子のガラス転移点以上、融点以下の温度で加熱して
高分子層を安定状態へ移行させる。その結果、金は10
0nm以下で、1〜50nmの領域に粒子径分布の最大
をもつ超微粒子となって高分子層内へ拡散浸透し、この
状態は高分子層が完全に緩和するまで続き、高分子層に
付着している金の層はその厚さも減少して最終的に無く
なる。上記超微粒子は凝集することなく高分子層内に分
布している。この場合、超微粒子の含有量は0.01〜
80重量%であるが、この含有量は高分子層の作製条件
を変えたり、金の層の厚みを変えることによって調節が
できる。
は、上記の方法だけでなく、例えば溶融気化法に属する
気相法、沈殿法に属する液相法、固相法、分散法で貴金
属超微粒子を作製し、この超微粒子を溶液あるいは融液
からなる高分子と機械的に混合する方法、あるいは高分
子と貴金属とを同時に蒸発させ、気相中で混合する方法
等がある。
メタクレゾール、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサ
ン、ギ酸等の有機溶剤からなる溶媒に混合し溶解させ、
超微粒子を均一に分散させた超微粒子分散ペーストにす
る。超微粒子は粒径が小さく高分子との相互作用が存在
するためにペースト中で高分子との分離、沈澱および超
微粒子同志の凝集が生じない。
せたものは、例えば特開平3−34211号公報に開示
されているようなガス中蒸発法と呼ばれる方法によって
製造される。即ち、チャンバ内にヘリウム不活性ガスを
導入して上記金属を蒸発させ、不活性ガスとの衝突によ
り冷却され凝縮して得られるが、この場合生成直後の粒
子が孤立状態にある段階でα−テレピネオール等の有機
溶剤の蒸気を導入して粒子表面の被覆を行っている。上
記金の超微粒子の添加量は、目的とする透過率により選
択することができ、特に制限されない。
のプラズモン共鳴吸収ピークを長波長側へシフトさせる
機能を有するもので、Fe(鉄)のエトキシド、プロポ
キジド等のアルコキシド類、アセチルアセトン塩、有機
酸塩、各種錯塩等であり、具体的には、Fe−プロポキ
シド、Fe−アセチルアセトン塩、Fe−エトキシド、
酢酸Fe、プロピオン酸Fe、ナフテン酸Fe、クエン
酸Feが挙げられる。このFe−有機化合物は、着色膜
(着色剤組成物を焼成して得られた焼成膜)の透明性を
得るために着色剤組成物中の有機溶剤に可溶である。添
加量は金超微粒子の金モル数に対して2〜10倍モルで
ある。Fe−有機化合物の添加量の増加は、着色膜の耐
酸性を低下させるため、好ましくは2〜5倍モルであ
る。
のプラズモン共鳴吸収ピークをシャープにするもので、
Ag(銀)の有機酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩等
であり、具体的には、酢酸Ag、シアン酸Ag、チオシ
アン酸Agが挙げられる。このAg−有機化合物は、着
色剤組成物中の有機溶剤に溶解する必要はない。添加量
は金超微粒子の金モル数に対して0.1〜5倍モルであ
る。Ag−有機化合物の添加量の増加は、Agの析出に
よって着色膜の曇化を招くため、好ましくは0.5〜2
倍モルである。
化合物あるいはSi−有機化合物、もしくは両者の有機
金属化合物を添加して着色膜の耐久性を改善することが
できる。
トキシド、プロポキジド等のアルコキシド類、アセチル
アセトン塩、有機酸塩、各種錯塩等であり、具体的には
具体的には、Ti−プロポキシド、Ti−アセチルアセ
トン塩、ステアリン酸Tiが挙げられる。このTi−有
機化合物は、着色膜の耐アルカリ性、耐水性を改善する
効果があり、Fe−有機化合物と同様に着色剤組成物中
の有機溶剤に可溶でなければならない。添加量は金超微
粒子の金モル数に対して0.5〜10倍モルであり、好
ましくは1〜3倍モルである。この添加量の増加は、着
色膜の色調を青化させる。
トキシド、プロポキジド等のアルコキシド類、アセチル
アセトン塩、ポリオルガノシロキサン等であり、具体的
には具体的には、Si−プロポキシド、Si−アセチル
アセトン塩、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。こ
のSi−有機化合物は、着色膜の耐酸性、耐磨耗性を改
善する効果があり、Fe−有機化合物と同様に着色剤組
成物中の有機溶剤に可溶でなければならない。添加量は
金超微粒子の金モル数に対して0.5〜10倍モルであ
り、好ましくは1〜3倍モルである。この添加量の増加
は、着色膜の色調を赤化させる。
は、着色剤組成物の粘度を適度に維持してスクリーン印
刷時の取扱を良好に維持し、また印刷基板上に塗布した
着色剤組成物の膜の乾燥後の強度を保持する機能を有し
ている。このバインダー樹脂は焼成時において低温で分
解することが好ましいが、特に限定されるものではなく
有機溶剤に可溶なものであればよい。
ばニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロー
ス、ブチルセルロース等のセルロース類、ナイロン6、
ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド類、メチル
アクリレート等のアクリル類、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリオ
キシメチレン等のポリエーテル類、ポリカーボネート
類、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等
のポリビニル類等である。この添加量は印刷条件によっ
て決定され、制限はない。尚、複合物を使用する場合に
は、高分子はこのバインダー樹脂と同じであってもよ
い。
子を凝集させないものであり、例えばメタクレゾール、
カルビトール、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダ
ゾリジノン、ターピノール、ジアセトンアルコール、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル等の高沸点溶剤である。この有
機溶剤はバインダー樹脂あるいはバインダー樹脂や金の
超微粒子を分散させた高分子を溶解するものあり、一種
もしくは二種以上使用することができる。
ジメチルシロキサンに代表されるシリコンオイル、ナフ
テンオイル、あるいはパラフィンオイルといった無極性
オイルである。この消泡剤の添加量は、0.05〜0.
5重量%である。また、上記消泡剤の分子量は、10〜
10,000であり、分子量が10未満では着色剤の溶
剤系に相溶しやすくなり、消泡性が低下する。また、分
子量が10,000を超えると、微量の添加で消泡効果
が得られるが、添加量が多くなると、着色膜のヘーズ率
を増加させ、透明着色機能を低下させる。
た金属の超微粒子、Fe−有機化合物とAg−有機化合
物を含む有機金属化合物、Ti−有機化合物あるいはS
i−有機化合物を含む有機金属化合物、バインダー樹
脂、そして消泡剤を有機溶剤に溶かしたものを良く攪拌
してペースト状に得ることができる。
組成物は、例えばガラス板等の基板上にスクリーン印刷
される。この印刷手順は、水平に置かれたスクリーン
(例えば、ポリエステル平織物、255メッシュ)の下
に、数ミリメートルの間隔をもたせて印刷基板(ガラ
ス)を設置する。このスクリーンの上に上記着色剤組成
物をのせた後、スキージーを用いてスクリーン全面に着
色剤組成物を広げる。この時には、スクリーンと印刷基
板とは間隔を有している。続いて、スクリーンが印刷基
板に接触する程度にスキージーでスクリーンを押さえ付
けて移動させる。これで一回の印刷が終了し、以後これ
を繰り返す。
大気中に10分間放置して有機溶剤を除去して乾燥、あ
るいは密閉容器中で脱気しながら乾燥した後、300〜
800°Cで数分間熱処理して焼成する。
ラズモン共鳴吸収によって約530nmの波長で赤色に
発色するが、Fe−有機化合物が金の微粒子のプラズモ
ン共鳴吸収ピーク(約530nm)を長波長側(約60
0nm)へシフトさせて青色に発色させ、そしてAg−
有機化合物がAgによって黄色に発色し、また金の超微
粒子のプラズモン共鳴吸収ピークをシャープすることに
より、鮮明な緑色に発色する。また、Ti−有機化合物
は、着色膜の耐アルカリ性、耐水性を改善し、またSi
−有機化合物は、着色膜の耐酸性、耐磨耗性を改善す
る。Ti−有機化合物とSi−有機化合物の両者を添加
すれば、着色膜の耐久性が向上する。
細に説明する。尚、着色剤組成物の特性と着色膜の評価
方法は、以下の通りである。
た。また、色差計により、着色膜の色調を測定した。
を目視で調べた。
の後の光学特性の変化を濁度計、色差計で測定した。
後の光学特性の変化を濁度計、色差計で測定した。
ト5gをタングステンボード中に入れ、10-6Torr
に減圧する。次いで、電圧を印加してタングステンボー
ドを真空中で加熱してポリマーを融解させ、取り付け台
の上部に設置した基板(ガラス板)上に、10-4〜10
-6Torrの真空度で約1μm/分の速度で厚さ約5μ
mの蒸着膜の高分子層を得た。この高分子層の分子量は
前記ポリマーペレットの1/2〜1/10程度になって
いる。
入れて加熱融解して10-4〜10-6Torrの真空度で
蒸着を行って高分子層の上に金蒸着膜を付着させた。こ
れを真空蒸着装置から取り出し、120°Cに保持した
恒温槽中に10分間放置して複合物を得た。その結果、
この複合物には金が約20重量%含有し、その平均粒径
は5nmであった。得られた複合物とメタクレゾールと
を重量比1:1で混合して、複合物溶液を作製した。
組成物を得た。この着色剤組成物を前述のスクリーン印
刷によってガラス基板上に印刷し、これを120°Cに
て10分間乾燥した。この試料を炉中で650°C、1
0分間焼成し、透明な着色膜をもつガラス基板を得た。
着色剤組成物と着色膜の特性を表2に示す。
物および着色膜は、比較例1に比べて色調のa値が減少
し、緑色が鮮やかになっている。また、実施例2、3は
実施例1に比べて耐酸性、耐アルカリ性の耐久性が改善
されていることが判る。
は、金の超微粒子、Fe−有機化合物、そしてAg−有
機化合物の共存によって鮮明な緑色に発色し、またTi
−有機化合物を加えることによって着色膜の耐アルカリ
性、耐水性が改善され、更にSi−有機化合物を添加す
ることにより着色膜の耐酸性、耐磨耗性が改善され、耐
久性が向上する。
Claims (4)
- 【請求項1】 ガラス表面を透明緑色に着色する緑色透
明ガラス着色剤組成物であり、該組成物は金の超微粒子
と、少なくともFe−有機化合物とAg−有機化合物を
含む有機金属化合物と、バインダー樹脂と、有機溶剤を
含んでいることを特徴とする緑色透明ガラス着色剤組成
物。 - 【請求項2】 Ti−有機化合物、そしてSi−有機化
合物から選ばれた少なくとも一種の有機金属化合物を添
加する請求項1記載の緑色透明ガラス着色剤組成物。 - 【請求項3】 シリコンオイル、パラフィンオイル、そ
してナフテンオイルから選ばれた少なくとも一種の消泡
剤を含む請求項1記載の緑色透明ガラス着色剤組成物。 - 【請求項4】 ガラス表面を透明緑色に着色する緑色透
明ガラス着色剤組成物であり、該組成物は金の超微粒子
と、Fe−有機化合物とAg−有機化合物を含む有機金
属と、Ti−有機化合物、そしてSi−有機化合物から
選ばれた少なくとも一種の有機金属化合物と、バインダ
ー樹脂と、消泡剤と、有機溶剤を含んでいることを特徴
とする緑色透明ガラス着色剤組成物。
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JP2957438B2 JP2957438B2 (ja) | 1999-10-04 |
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