JPH08259211A - シラン類の分解・還元反応装置および高純度結晶シリコンの製造方法 - Google Patents
シラン類の分解・還元反応装置および高純度結晶シリコンの製造方法Info
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- JPH08259211A JPH08259211A JP7066515A JP6651595A JPH08259211A JP H08259211 A JPH08259211 A JP H08259211A JP 7066515 A JP7066515 A JP 7066515A JP 6651595 A JP6651595 A JP 6651595A JP H08259211 A JPH08259211 A JP H08259211A
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Abstract
応容器内でシリコンを析出し、高純度の析出シリコンを
得る。 【構成】 シリコンの析出反応において、反応容器の内
壁が加熱される事により、壁面からアウトガスを発生
し、析出シリコンを汚染する。このアウトガスの発生量
を低減し、汚染を防止するため、ニッケルを28重量%
以上含有する耐熱合金で反応容器およびガス予熱器の内
壁を形成する。
Description
反応装置および高純度結晶シリコンの製造方法に関し、
さらに詳しくは高純度の半導体グレ−ドの多結晶シリコ
ンを、特にド−パント不純物により汚染させることなく
製造するためのシラン類の分解・還元反応装置および該
装置に用いる高純度結晶シリコンの製造方法にに関す
る。
ン類の分解反応を利用し、気相析出反応により粒状ポリ
シリコンを製造する方法は既に知られている。この反応
に用いる反応容器は高純度の粒状ポリシリコンを得るた
めに、粒子の接触する部分は全てシリコンで作製するの
が望ましい。この反応容器は外部からヒ−タ−で加熱す
る必要がある。一方、モノシランガス類は空気に触れる
と発火するという性質があり、非常に危険なガスであ
る。従って反応容器は内部のガスが絶対に漏洩しない構
造でなければならない。
品の純度面においては最良の方法である。しかし、シリ
コンは非常に脆い材料であるため、強度面における信頼
性が極めて低い。このような理由から、粒子と接触する
部分をシリコンのような脆い材料で形成する場合、モノ
シラン類の分解反応容器は通常、内筒と外筒からなる2
重構造がとられる。外筒は装置の安全性を確保するため
に、また内筒はシリコン粒子が外筒と接触し、汚染する
ことを防ぐために使用される。
38号公報において提案されている。同公報には、反応
容器の外壁をステンレスで作製し、内壁は石英のライナ
−管を使用することが示されている。また、特開昭57
−140308号公報においては、1000℃の雰囲気
でシリコン粒子の表面に新たなシリコンを析出する装置
が提案されている。この装置において、シリコン粒子は
反応容器壁との接触汚染がほとんど無いため、反応容器
壁をステンレスまたは炭素で作製しても、シリコン粒子
の純度には、あまり影響しないとされている。
多結晶シリコンの析出方法、即ち棒状のシリコンを通電
加熱し、その表面でモノシラン類の分解反応あるいはト
リクロルシラン等のクロルシラン類の還元反応を行なう
ことにより、その周囲に新たなシリコンを析出する方法
が知られている。この反応容器にも、ステンレスが広く
一般に使用されている。ただし、反応の際、該容器壁は
水冷される必要がある。以上のように、シリコンの析出
工程において、ステンレスは高温の雰囲気においても、
内部のシリコン粒子との接触さえ無ければ、汚染の原因
にはならない、と広く一般に信じられてきた。
の研究によると、析出するシリコン粒子中への不純物の
取り込みは、単にシリコン粒子と反応容器壁との接触だ
けによるものではないことが判明した。例えば反応容器
の内壁に、一般に耐熱性ステンレスとして知られている
JIS規格、SUS−316(クロム16〜18重量
%、ニッケル10〜14重量%、モリブデン2〜3重量
%、残部が鉄、及び微量金属である合金)を使用し、そ
の部分に水素ガスを流し加熱すると、壁面より不純物ガ
スが放出されることが確認された。放出される不純物ガ
ス(以下、アウトガスと記す)の成分はメタンガス、燐
−水素化合物および硼素−水素化合物等であった。さら
に、これらのアウトガスが粒状ポリシリコンの析出に使
われる反応ガスに同伴した場合、シリコン粒子表面で分
解し、シリコン粒子中にこれらの不純物が取り込まれる
ことも確認された。
リコンは、非常に高純度であることが要求される。特
に、リン、硼素、アルミニウム、ヒ素等のド−パント不
純物、は、多結晶シリコンの品質を著しく低下させるた
め、最も敬遠される。多結晶シリコンの析出のための反
応容器や、反応に使用するガスの予熱器等の高温部にJ
IS規格、SUS−316等の一般的なステンレスを使
用することは、アウトガスにより品質を低下させるため
好ましくない。しかし安全の面から、反応容器の外壁は
金属材料で作製する必要がある。以上の理由から、高温
においてもリン、硼素、アルミニウム、ヒ素等のアウト
ガスがなく、かつ耐熱性、耐衝撃性のある金属材料でで
きた反応容器の開発が強く望まれていた。
点を解決すべく鋭意研究を行なった結果、ニッケルを2
8重量%以上含有する耐熱合金は、その温度が600℃
以下ではアウトガスをほとんど放出しないこと、また、
該合金をあらかじめ使用温度よりも高い温度で熱処理す
ることにより、さらに高温での使用が可能であることを
見出し、ここに本発明を提案するに至った。
壁がニッケルを28重量%以上含有する耐熱合金よりな
る外筒を有することを特徴とする内筒と外筒よりなるモ
ノシラン類の分解・還元反応装置、およびニッケルを2
8重量%以上含有する耐熱合金よりなる内壁を有する反
応容器中で、シラン類の分解・還元反応を行なうことを
特徴とする高純度結晶シリコンの製造方法である。
示す。図1は本発明の反応装置を流動床反応装置として
使用した場合の概略図である。反応容器内部に充填され
た充填物2は、配管1より導入される流動ガスにより流
動される。また、排ガスは、配管3より排出される。反
応容器は、内筒4および外筒5よりなる2重構造からな
る。本発明においては外筒の、特に内壁6の材質が重要
である。この部分からのガス状不純物の放出が小さいこ
とが重要である。外筒6、特に外筒6の少なくとも内壁
6を、ニッケルを28重量%以上含有する耐熱合金で作
成することにより達成される。反応容器内に導入するガ
スを予め加熱する場合、予熱器7を設置することができ
る。この場合、配管1は加熱されるため、この配管の内
壁もガス状不純物を放出しにくい材質であること、すな
わち該配管の内壁も、ニッケルを28重量%以上含有す
る耐熱合金であることが好ましい。外筒5は内部充填物
2とは直接接触しない構造である必要がある。従って、
外筒の内壁6は、耐磨耗材料である必要はない。内筒4
は充填物2が直接接触するため、その内壁は接触により
充填物の汚染が起こりにくい材料からなる必要がある。
シリコンカーバイドあるいはグラファイトの内筒の内壁
にシリコンをコーティングしたものを使用することも可
能ではあるが、その耐久性を考慮した場合、多結晶シリ
コンを加工した内筒を使用することが好ましい。
半導体用の単結晶シリコンの原料となる多結晶シリコン
である。該多結晶シリコンは、CZ法やFZ法により単
結晶化され、単結晶シリコン基板となる。従ってその原
料となる多結晶シリコンは、非常に高純度であることが
要求される。一般にこのような多結晶シリコンに要求さ
れる純度は、単結晶化した後の比抵抗値で200Ωcm
以上、好ましくは500Ωcm以上、さらに好ましくは
1,000Ωcm以上であることが有利である。
800℃、105時間におけるクリ−プ破断強度が0.5
kgf/mm2以上の、鉄−ニッケル−クロム系合金、
ニッケル基合金およびコバルト基合金を挙げることがで
きる。これらの耐熱合金はニッケルを28重量%以上含
有する必要がある。ニッケルを28重量%以上含む耐熱
合金の中で、特に鉄−ニッケル−クロム合金およびニッ
ケル基合金は、加工性に優れるため、本発明に使用する
材料として好適である。
金としては、より具体的に、例えばニッケル28〜35
重量%、クロム18〜23重量%、鉄42〜47重量
%、残部が微量金属である合金(一般名インコロイ80
0、インコロイ800H等が該当する。以下インコロイ
800等と記す)、あるいはニッケル70重量%以上、
クロム14〜17重量%、モリブデン2〜4重量%、残
部が鉄及び微量金属である合金(一般名インコネル60
0、インコネル600H等、以下インコネル600等と
記す)、あるいはニッケル57〜63重量%、クロム2
0〜26重量%、残部が鉄及び微量金属である合金(一
般名インコネル601、以下インコネル601等と記
す)あるいはニッケル38〜46重量%、クロム19〜
24重量%、残部が鉄及び微量金属である合金(一般名
インコロイ825、以下インコロイ825等と記す)、
あるいはニッケル30〜34重量%、クロム19〜22
重量%、残部が鉄及び微量金属である合金(一般名イン
コロイ801、以下インコロイ801等と記す)あるい
はニッケルを主成分(50重量%以上)とする、モリブ
デン26〜30重量%、残部がクロム、鉄及び微量金属
である合金(一般名ハステロイB、以下ハステロイB等
と記す)、あるいはニッケルを主成分(50重量%以
上)とする、モリブデン15〜17重量%、クロム14
〜17重量%、残部が鉄及び微量金属である合金(一般
名ハステロイC、以下ハステロイC等と記す)等が挙げ
られる。
のシリコンを析出する反応を行なうための容器をいう。
該容器の材質としては、少なくともその内壁がニッケル
を28重量%以上含む耐熱合金からなることが要求され
る。従って該容器が二重構造であり、容器の外壁がニッ
ケルを28重量%以上含む耐熱合金以外の組成からなっ
ていてもかまわない。また、安全性をさらに増すため
に、反応容器を鉄等の他の金属により覆うことも可能で
ある。また、反応容器の外筒の内壁の更に内側に、シリ
コン等の内筒を挿入することもできる。
が、棒状のシリコンに電流を通ずることにより加熱し、
その表面でシリコンの析出反応を起こさせる方法には、
一般にベルジャ−型の反応容器が用いられる。また流動
床中で種になるシリコン粒子を加熱流動させ、その表面
で析出反応を起こさせる方法には、一般に筒状の流動床
反応容器が用いられる。いずれの反応容器においても、
その壁の温度が300℃以上の高温になる場合には、本
発明にいう耐熱合金材料を使用することが好ましい。
使用する場合、反応の原料ガスあるいはシリコン粒子を
流動させるための流動ガスを予熱して加熱流動床に導入
すると、流動床の壁面からの加熱量を小さくできるため
加熱効率が上がり、また反応容器内で、より均一な温度
分布が得られる。このとき、モノシラン等の分解し易い
ガスはあまり高温にすると気相中で分解して微粉を形成
するため、反応ガスの温度を高くすることは好ましくな
い。従って、反応ガスと流動ガスとを分けて、流動ガス
だけを加熱することにより、さらに加熱効率を上げるこ
とができる。流動ガスや原料ガスを予熱する場合、予熱
器の壁面すなわちガスが接触する面は加熱される。従っ
てこの部分もまたアウトガスの発生しにくい材料で作製
しなくてはならない。従って本発明に言う反応容器には
粒子が存在する部分だけではなく、反応に使用するガス
の予熱器も含まれるものとする。また、同様に本発明
は、多結晶、単結晶を問わず半導体用のシリコンの熱処
理を行なうためのガス配管において、高温で使用される
部分にも採用されうる。
加熱した高純度のシリコンの存在する反応容器中にモノ
シラン、ジシラン等のシランガス類を導入し、反応容器
内でモノシラン類を分解させ、該高純度シリコンの表面
に新たなシリコンを析出させる反応を言う。この反応に
は、モノシラン類がシリコン表面以外の場所で分解し、
気相中で形成された微粉をシリコン表面に取り込む反応
も含まれる。
−型の反応容器内にモノシラン類及びその希釈ガスが導
入される。反応容器内に導入される希釈ガスとしては、
通常水素が使用される。水素の代わりにアルゴン等の不
活性ガスが好ましく使用される場合もある。
ノクロルシラン、ジクロルシラン、トリクロルシラン、
テトラクロルシランの内いずれ一種または二種以上のガ
スを水素ガスと混合し、加熱したシリコン表面に接触さ
せることにより行なわれ、それによりシリコン表面上に
新たなシリコンを析出する反応を言う。クロルシラン類
の析出においては、還元反応と同時に分解反応も起こ
る。しかし本発明においては上記クロルシラン類と水素
との混合ガスを加熱してシリコンを析出する反応は、全
て還元反応として扱う。
析出反応に使用する場合、内筒には、シリコン粒子が流
動することにより、磨耗が起こる。この磨耗により流動
するシリコン粒子が汚染されることを防ぐ目的から、内
筒の内面には高純度の多結晶シリコンが好適に採用され
る。内筒に使用するシリコンは、100Ωcm以上の比
抵抗値であることが好ましい。
ン製の板を筒状に組み合わせたものが使用できる。シリ
コン筒の替わりとして、耐熱性のあるアルミナ、ジルコ
ニア等のセラミックスにシリコンをライニングする方法
は、母材とシリコンとの熱膨張率の差により、シリコン
ライニングが剥離し易いという欠点を持つため好ましく
ない。この問題を防止するには、セラミック部分にシリ
コンとほぼ同じ熱膨張率を持つカ−ボンあるいはシリコ
ンカ−バイドを使用することが考えられる。カ−ボンを
多く含む材料は、水素ガスと反応してメタンガスを発生
し、シリコン粒子内にカ−ボンとして取り込まれるた
め、その全面をシリコンで被覆する必要がある。
をできるだけ下げたい場合には、水素ガス等の希釈ガス
を析出の温度より高い温度に設定し、反応容器の加熱源
として使用することができる。この場合、予熱器の内表
面温度は析出反応の容器内温度に比べかなり高くなる。
このような特に高温になる部分には、アウトガスの特に
少ない材料を選定する必要がある。温度が600℃以下
ではインコロイ800等、インコロイ801等、ハステ
ロイB等、ハステロイC等、インコロイ825等、イン
コネル600等、インコネル601等が好適である。さ
らにそれより高い650℃まではインコロイ800等、
インコロイ801等、ハステロイB等、ハステロイC
等、インコロイ825等、インコネル600等が好適で
あり、それより高い900℃まではインコロイ800
等、インコロイ801等、ハステロイB等、ハステロイ
C等が好ましく、更に高い940℃まではインコロイ8
00等が好適に使用できる。
〜22重量%、クロム24〜26重量%、残部が鉄及び
微量金属である合金)は、比較的ニッケルを多く含む耐
熱合金ではあるが、アウトガス量が多いため、300℃
以上で使用することは好ましくない。SUS316(ニ
ッケル10〜14重量%、クロム16〜18重量%、モ
リブデン2〜3重量%、残部が鉄及び微量金属である合
金)、SUS304(ニッケル8〜10.5重量%、ク
ロム18〜20重量%、残部が鉄及び微量金属である合
金)は、耐熱合金ではあるが、300℃以下でさえアウ
トガスを多く発生するため、反応容器に使用することは
好ましくない。
作製した反応容器は、そのままでもアウトガスを放出し
にくいが、その容器に熱処理を施すことにより、さらに
高温での使用が可能になる。例えば熱処理を施していな
いインコロイ800等を水素雰囲気中で加熱する場合、
その温度が800℃以下ではアウトガスは殆ど発生しな
いが、850℃以上では硼素化合物を主成分とするアウ
トガスが急速に増加する。ところが、この材料を、例え
ば窒素雰囲気中において、1000℃で10時間の熱処
理を行なうと、アウトガスの始まる温度は940℃に上
昇し、850℃でのアウトガスは全く認められなくな
る。この熱処理は、処理温度が高いほど、また、処理時
間が長いほど、その効果は大きい。しかし熱処理の時間
は、10時間以上の処理を行なっても大きな差はみられ
ず、また材料の強度面からあまり温度をあげることは好
ましくないため、実用的には、950℃〜1050℃で
10時間程度の処理を行なうことが好ましい。熱処理の
雰囲気は窒素中が最も好ましいが、水素中で処理をおこ
なっても効果は得られる。
としてリン、ホウ素およびカ−ボンが含まれている。こ
れらの微量元素は製造時に偶然に混入する場合もある
が、多くは材料の強度を向上させるため意図的に添加さ
れる。上記微量元素が材料表面付近に存在するとき、そ
の材料が水素を含む雰囲気中で高温にさらされた場合に
は、水素ガスは上記微量元素と結合し、PH3、B
2H6、CH4等の水素化物を形成すると考えられる。こ
れらはいずれも気体であるため、原料ガスに同伴され
る。
広く使用されているステンレスの中でも、耐熱性がある
とされている、JIS規格、SUS−316で作製し、
その配管を高温に保った状態で水素ガスを流した場合、
SUS−316の繰り返し加熱における使用温度限界は
870℃であると言われているにもかかわらず、配管の
出口では燐−水素化合物および硼素−水素化合物がアウ
トガス成分として検出された。
は、300℃付近で始まり、500℃付近で急激に増加
した。アウトガスの発生し始める温度あるいは急激に増
加する温度は金属によって異なるが、上記の傾向は、全
ての金属材料に共通している。また、炭素を多く含む種
類のステンレスからは、メタンガスも放出される。SU
S−316より耐熱温度が高く、広く一般に耐熱合金と
して使用されており、その繰り返し加熱における使用温
度限界が1035℃であるとされているJIS規格SU
S−310Sの場合、その使用温度限界はSUS−31
6よりも150℃以上高いにもかかわらず、この耐熱合
金においても、アウトガスはSUS−316と同じ30
0℃付近から始まった。ところが驚くべきことに、通常
のステンレスの替わりにニッケルを28重量%以上含む
耐熱合金を使用すれば、600℃以上においても上記の
アウトガスを極少量に抑えることが可能であることを本
発明者らは見出だした。
合金の高温における許容応力は、SUS−310Sの許
容応力とほぼ同等であるにもかかわらず、600℃での
アウトガスの量を、硼素化合物で比較した場合、インコ
ネル600等のアウトガス量は、SUS−310Sのア
ウトガス量に比べ、極めて少ない。
含有量との関係を見た場合、例えば、インコネル600
等のニッケル含有量は70重量%以上であるのに対し、
インコロイ800等のニッケル含有量は約30重量%と
低い。しかし、アウトガスの始まる温度を比較した場
合、インコネル600等は650℃以上でアウトガスが
発生し始め700℃で急激に増加するのに対し、インコ
ロイ800等のアウトガスは900℃以下では殆ど確認
されない。従って、アウトガスの発生が始まる温度は、
ニッケル含有量だけに相関しているのではないことが確
認された。
トガス量が小さい理由は、以下の現象が起こっていると
推定される。即ちニッケルは合金の熱膨脹率を下げる目
的で添加されることが多い。熱膨脹率の小さい合金は、
高温においても結晶の変形量が小さい、換言すれば原子
と原子との間隔の変化量が小さいと考えられる。硼素や
燐が、合金を構成する原子の原子間位置に存在するなら
ば、合金を構成する原子同士の間隔が小さいほど、その
拡散速度も小さくなるはずである。このような理由か
ら、ニッケルを28%以上添加した熱膨脹率の小さい合
金では、拡散速度があまり大きくならず、その結果とし
て硼素や燐が合金内部にとどまり、アウトガスとなって
外部に放出されないものと考えられる。
た、はっきりとは断定できないが、推定する限りでは、
高温で材料が変形すると、変形に伴う転位の運動も盛ん
に起こる。合金の原子間から溢れ出た硼素や、燐がこの
転位の一部に析出しているとすれば、転位の運動が盛ん
になるほど、硼素や燐が動き易くなるものと考えること
ができる。この考えによれば、高温でも転位が起きにく
い耐熱合金は、結局、硼素や燐が動きにくい材料であ
り、その結果としてアウトガスも起こりにくくなってい
るものと考えられる。上記2つの性質を合わせ持つニッ
ケルを28重量%以上含む耐熱合金は、高温においても
硼素や燐の動きが非常に遅いために、アウトガスの起こ
る温度が高くなったものと考えられる。
ッケルを28重量%以上含む耐熱合金は、耐アウトガス
性能において非常に優れた装置材料である。この合金に
て反応装置を作製し、その内部でモノシラン類あるいは
クロルシラン類を使用したシリコンの析出反応を行なう
ことにより、非常に高純度の多結晶シリコンを製造する
ことができる。また、流動床に該耐熱合金使用する場
合、耐熱合金の内側にシリコン製の内筒を設けることに
より流動による磨耗を防ぎ、シリコン粒子の汚染を防止
することができる。またシ−メンス法の反応容器に該材
料を使用した場合、容器壁の温度を上げることができる
ため、析出のためのエネルギ−が節約される。
実施例及び比較例を挙げて説明するが本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
め、図2に示す装置を作製し、評価を行なった。装置は
2本の石英ガラス製の管からなっており、石英管8で材
料を加熱し、アウトガスを放出させ、石英管9におい
て、アウトガスの成分を測定試料中に取り込ませる。ア
ウトガス量を測定するための試料10は、板状に加工さ
れ、石英管8の内部にセットされる。石英管8の周囲に
はシリコニット製のヒ−タ−11が設置され、内部の試
料を任意の温度に加熱することができる。石英管8の一
端からは、配管12を通して水素ガスが導入され、また
他端は配管13を通して石英管9に接続される。石英管
8内で放出したアウトガス成分は、水素ガスと混合、同
伴され、石英管9内に導入される。配管13の途中に
は、モノシランガスの導入ライン14があり、このライ
ンより導入されたモノシランは、石英管8より流れてき
た水素ガスと混合し、希釈される。石英管9の内部に
は、単結晶シリコンの基板15がセットされ、この基板
は、石英管の上下に設けられた赤外線ランプ16、17
により、非汚染状態で加熱される。シリコン基板上で水
素ガスとモノシランガスは加熱され、モノシランと水素
化された不純物は分解し、シリコン基板上に析出する。
は、アウトガス不純物を確実に取り込むため約1000
℃に設定した。また、析出管に導入するモノシランガス
の濃度は、キャリアガスにより0.1%程度に希釈し
た。この条件で析出したシリコンは、エピタキシャル成
長し、単結晶の析出層が得られた。また、析出管内に入
った不純物ガスは、ほぼモノシランと同等の転化率でシ
リコン中に取り込まれると考えられる。
についてはFT−IRで分析し、またド−パント不純物
についてはFT−PLにて分析した。水素ガス及びモノ
シランガス中に始めから存在している不純物量を測定す
るため、石英管8中に試料10を置かずに空の石英管を
加熱して同様の析出を行なったところ、析出したシリコ
ン中に、不純物はほとんど検出されなかった。上記の装
置を使用して、各種の試料のアウトガスを放出し始める
温度を測定した。その結果を表1に示す。アウトガスを
放出し始める温度とは、アウトガス量が 1×1014a
toms/m2hrを越える温度、すなわち1m2の表面
積を持つ材料の表面から1時間に放出されるリン、ホウ
素、アルミニウム、ひ素のいずれかの原子の個数が10
14個を越える温度を示した。
たインコロイ800H(ニッケル32.4重量%、クロ
ム20.1重量%、鉄46重量%、マンガン1.18重量
%、シリコン0.6重量%、アルミ0.34重量%)を、
窒素中、1,000℃で10時間保持し、その後水素中
1,000℃で10時間保持した後のアウトガス放出量
を調べた。その結果を図3に示す。図中の曲線1は、窒
素中で加熱処理を行なう前の試料からのアウトガス曲線
である。また、曲線2は、窒素中で加熱した後のアウト
ガス放出曲線である。窒素雰囲気中で加熱処理すること
により、インコロイ800Hのアウトガスを放出する温
度が950℃に上昇した。
ついて、アウトガスを放出し始める温度を表1に示す。
析出反応装置でシリコンを析出し、得られた粒状シリコ
ンの純度分析を行なった。反応容器の材料は、外筒19
をインコロイ800Hで作成し、まず反応容器の外に設
置したヒ−タ−20にて外筒19を1,000℃に加熱
し、20時間保持した。この時、反応容器中には、21
より水素ガスを流した。次いで反応容器の内部に多結晶
シリコン製の内筒24を設置し、また反応容器上部のフ
リ−ボ−ド部には、石英ガラス製の内張23をセットし
た。多結晶シリコン製の内筒を設置したことにより、最
終的な流動床の内径は3インチとなった。
種シリコンを充填し、配管21から流動用の水素ガスを
流すとともに、配管22よりモノシランガスを導入し、
排ガスを25より排出し、反応容器内部の粒状シリコン
18の流動析出を行なった。流動析出に伴い、粒状シリ
コンの流動体積が大きくなるため、定期的に27より抜
き出しを行なった。また、抜き出した粒状シリコンとほ
ぼ同量の種シリコンを反応容器内に補充した。抜き出し
における粒状シリコンの汚染を防止するため、27の内
部に多結晶シリコン製の内筒28を挿入した。この装置
で100時間の連続運転を行ない、得られた製品の純度
を測定したところ、非常に高純度の粒状シリコンを得る
ことができた。この粒状シリコンの分析結果を表2に示
す。
の周囲に、ガスの予熱ヒーター26を設置し、ガス予熱
器とした。予熱器、即ち配管21はインコロイ800H
で作製し、使用前に1000℃で10時間、窒素ガス中
での加熱処理を行ない、次いで内部に水素ガスを流しな
がら更に10時間加熱処理を行なった。次いで予熱装置
の温度を850℃、950℃、1000℃の3種類の温
度に設定し、それぞれ得られた製品中の不純物の分析を
行なった。その結果を表2に示す。
予熱器21をJIS規格SUS316で作製し、使用前
に1000℃で10時間、窒素ガス中での加熱処理を行
ない、次いで内部に水素ガスを流しながら更に10時間
加熱処理を行なった。次いで予熱器の温度を20℃及び
850℃に設定し、それぞれ得られた製品中の不純物の
分析を行なった。その結果を表2に示す。
る。
である。
ガスの変化である。
出装置である。
配管 14 モノシランガス導入配管 15 評価用単結晶シリコンの析出用基板 16 赤外線ランプと集光レンズ 17 赤外線ランプと集光レンズ 曲線1 窒素中での加熱処理前のアウトガス曲線 曲線2 窒素中での加熱処理後のアウトガス曲線 18 流動床内の粒状シリコン 19 反応容器外筒 20 ヒーター 21 流動用水素ガス導入配管 22 析出用モノシランガス導入配管 23 石英ガラス製内張り 24 多結晶シリコン製内筒 25 出口ガス配管 26 水素ガス予熱器ヒーター 27 製品抜き出し配管 28 シリコン製内筒
Claims (2)
- 【請求項1】 外筒の少なくとも内壁がニッケルを28
重量%以上含有する耐熱合金よりなる外筒を有すること
を特徴とする、内筒と外筒よりなるシラン類の分解・還
元反応装置。 - 【請求項2】 ニッケルを28重量%以上含有する耐熱
合金よりなる内壁を有する反応容器中で、シラン類の分
解・還元反応を行なうことを特徴とする高純度多結晶シ
リコンの製造方法。
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