JPH0825702B2 - エレベータ用ガイドレールの支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、エレベータ昇降用ガイトレールの支持構
造に関し、特に、ガイトレールに作用するブレーキ装置
を設けた場合のガイトレールの支持構造に関するもので
ある。

［従来の技術］ 従来の巻き上げ式エレベータにおいては、かごと釣り
合いおもりとを吊り下げるロープが、駆動源である巻き
上げ機のドラムに巻かれており、このロープとドラム間
の摩擦力によってロープが繰り出されてかごの上昇及び
下降が行われる。このような一般的な巻き上げ方式エレ
ベータの場合には、巻き上げ機を構成する電気モータの
駆動制御によって制動力を得ることができる。また、近
年リニアモータを駆動源としたエレベータが提案されて
いるが、この場合においてもリニアモータの駆動制御に
よって巻き上げ機同様の制動力が得られる。

しかしながら、安全面を考慮して、巻き上げ駆動方式
においてはモータと巻き上げドラム間に電磁ブレーキ等
を設けることにより緊急時及び各フロアでのエレベータ
の停止時に作動させている。一方、リニアモータ駆動方
式の場合においても釣り合いおもり用のガイドレールに
直接作用する制動装置を釣り合いおもり本体に設けるこ
と等が考えられている。

さらに、ロープが切断した場合等の最悪の事態を考慮
して、かごの落下加速度に反応する機械的な制動装置を
備えた加速度計がかご本体に設けられているが、より安
全面を考慮すれば巻き上げ機本体にもうける制動手段を
直接かご本体に設けてガイドレールに対して作用するよ
うにすることも考えられる。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、ガイドレールに直接作用する制動装置
を設ける構成においては、かごが昇降中に緊急停止した
場合に、かご及び釣り合いおもりの慣性力がガイドレー
ルに対して、特に、上方に引き上げるように作用する。
そこで、ガイドレールの熱膨張等を考慮してレール長手
方向の動きを許容するような取り付け構造のガイドレー
ルの場合には、レールが引き抜かれるなどの事態が考え
られ、そのレール支持方法が問題となる。

そこで、この発明は上記事態に鑑みてなされたもので
あり、ガイドレールに直接作用する制動装置を設ける構
成において、かごの昇降中の緊急停止においてもガイド
レールの安全性を確保できるガイドレール支持構造を提
供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本発明にあっては、昇降
用ガイドレールに対して作用する制動装置を釣り合いお
もり側又はかご側の少なくともいずれか一方に設ける構
成としたエレベータにおいて、前記ガイドレールの長手
方向の少なくとも一箇所以上において該ガイドレールの
幅方向の動きを阻止するとともに長手方向の動きを許容
する第１支持手段を介して建屋側に固定し、前記ガイド
レールの長手方向の動きを所定の範囲内において許容す
る第２支持手段を介して該ガイドレールの上端部を建屋
側に固定し、また前記第２支持手段は弾性部材を介して
前記ガイドレールの上端部を建屋側に支持するようにし
た構成としている。

［作 用］ 上記した課題を解決する手段は以下のように作用す
る。

エレベータ昇降用ガイドレールの長手方向の少なくと
も１箇所において、ガイドレールの長手方向の動きを許
容し、幅方向の動きを阻止する支持部材を介して建屋側
に固定し、ガイドレールの上端部においては、所定の範
囲内においてのみ長手方向の動きを許容する支持部材を
介して建屋側に固定することにより、ガイドレールに対
して作用する制動装置を、釣り合いおもり又はがごある
いはその双方に設けた制動システムによる構成としたエ
レベータにおいても、ガイドレールの熱膨張等に十分対
応するとともに、制動装置の緊急停止等によるかご及び
釣り合いおもりに起因するガイドレール長手方向への作
用力に対してもガイドレールの支持を保護するように作
用する。

［実 施 例］ 以下、添付図面に基づいてこの発明の実施例を説明す
る。

なお、リニアモータ駆動方式エレベータに関して以下
記載するが、上述したことから明らかなようにこの発明
は巻き上げ駆動方式エレベータ等にも十分適用できるも
のである。

第１図は、円筒型リニアモータの概略図である。円筒
型リニアモータは、建屋に設けられたエレベータ昇降路
に対して固定される２次側導体として機能する固定子で
あるコラム１及び１次側として機能する円筒形状の可動
子２から構成されており、その両側におもり３を配置す
る構成としてチャネル部材からなるケーシング内に取り
付けられて、全体としてかご４に対する釣り合いおもり
５を構成している。この釣り合いおもり５は、通常かご
４の約1.5倍の荷重になるように設定されている。かご
４及び釣り合いおもり５は、上部に設置した４個のシー
ブ６を介して４本のロープ７によって連結されている。
また、その各々が両側にかご用ガイドレール８及び釣り
合いおもり用ガイドレール９を有しており、スライド部
材10を介して昇降する構成とされている。なお、ケーシ
ングフレーム17内に設けられた制動装置19は、直接ガイ
ドレール９に作用して釣り合いおもり５を停止させるよ
うに機能する。リニアモータの２次側導体としてのコラ
ム１はアルミ合金でできており、釣り合いおもり用ガイ
ドレール９の中間部において可動子２を貫通して、ガイ
ドレール９の下部に設けられた支持枠部材11からなる建
屋側下部固定部及び上部支持チャネル12からなる上部固
定部にコラム支持部材13及び14を介して設置されてい
る。この上部支持チャネルは後述するガイドレール取り
付け部材を介してガイドレール９と接合しており、さら
に、支持部材18を介して建屋側に固定されている。な
お、実際におけるコラム１は、積載重量600kgのエレベ
ータにおいて、１本の長さが1500mm、直径100mmとなっ
ており、これを複数本接合することにより全体として所
望する長さを得ている。

円筒型リニアモータは、周知のように、１次側と２次
側間に一定のギャップを設ける必要があり、リニアモー
タの上下に各々４個ずつ設けられたローラ15によって所
望するギャップを保持するように支持されている。ま
た、振動、衝撃、ローラ15の摩耗等によりこのギャップ
に変動が生じた場合を考慮して、ギャップセンサ16が釣
り合いおもり５のケーシングフレーム17の上下に取り付
けられている。なお、第１図においては、リニアモータ
を釣り合いおもりに設ける構造としたが、かご自体にモ
ータを設けて昇降させることも十分可能である。

次に、第２図及び第３図に基づいてガイドレールに作
用する制動装置19に関して以下説明する。

一対のブレーキアーム101の先端部にはブレーキシュ
ー102が付設されており、その後端部の中間にはブレー
キユニット100が支持されている。ブレーキユニット100
について詳述すると、このユニットは、マグネットコア
104、伸縮シャフト105、ブラケット106及び圧縮スプリ
ング107とから構成されており、シャフト105及びブラケ
ット106の端部に形成された丸穴に挿入されたピン108に
よって保持されている。

ブレーキユニット100がON状態の場合は、伸縮シャフ
ト105がブレーキユニット内部に引っ込む方向に摺動す
るので、ブレーキアーム101の先端部は開こうとする。
この結果、ブレーキシュー102は、ガイドレール９から
離れて制動力を解除する。逆に、ブレーキユニット100
をOFF状態とした場合には、このユニットに内臓された
圧縮スプリング107によって常にシャフト105は突出方向
に付勢されるためにブレーキシュー102はガイドレール
９を強く挟み込む方向に動作する。この結果、制動力が
与えられ釣り合いおもり５が停止するとともにかご４も
停止する。

第４図及び第５図について以下説明する。

第４図は釣り合いおもり用ガイドレール９の上下端部
の支持構造を示している。

第１図に示したように、釣り合いおもり用ガイドレー
ル９は、その下側を下部支持枠部材11、その上側を上部
支持チャンネル12及び支持部材18を介して昇降路固定部
に固着されているが、実際には、さらに、ガイドレール
の数箇所にわたって昇降路固定部に支持されている。こ
の支持方法について詳述すると、ガイドレール９の下端
においては、下部支持枠部材11に対して直接的に接合さ
れてはおらず、レールブラケット200を介して昇降路固
定部に取り付けられている。このレールブラケット200
は２つのＬ型鋼をボルト203を介して組み合わせた構成
とされており、ボルト201を介して昇降路固定部に固着
されている。なお、レールブラケット200の形状は、こ
れら図示した形状に限定されるものではない。一方、ガ
イドレール９の固定に関しては、第１支持手段としての
ガイドレール取り付け部材202を介してボルト204により
取り付けられている。このガイドレール取り付け部材20
2は第５図に示すような形状をしており、レールブラ
ケット200とともにガイドレール９を軽く挟み込むよう
に、つまり、上下方向の動きを許容するようにして左右
より支持している。したがって、この取り付け部材202
によるガイドレール支持方法によれば、ガイドレール９
の横方向の動きに関しては完全に固定されるが、レール
の長手方向においては、例えば、昇降路内の温度変化に
起因する熱膨張が生じた場合等に上下方向へのレールの
伸縮は許容されることとなる。

一方、ガイドレール９の上部においても、レールブラ
ケット200を介して下部支持方法と同様の構成にて昇降
路固定部に固着されている。さらに、レール上端におい
ては上端部支持部材206にボルト207により取り付けられ
ている弾性部材205を介して昇降路固定部に対して支持
されている。したがって、このガイドレール支持構造に
よれば、ガイドレールの横の動きは完全に固定される
が、長手方向に関しては弾性部材205の弾性許容範囲内
で動くことが可能となる。なお、ガイドレール取り付け
部材202および弾性部材205は全体として第２支持手段を
構成している。さらに、上述したようにエレベータが建
屋の各フロアに停止している間及びかご４の昇降中に緊
急停止をかけるように制動装置19が作動した場合におい
て、釣り合いおもり５等の慣性力がガイドレールを上方
に引き上げるように作用しても、適度にガイドレール長
手方向の動きが許容されるに止どまり、弾性部材205の
機能によりガイドレールが引き抜かれるようなことはな
い。

［発明の効果］ この発明の特有の効果としては、ガイドレールの長手
方向の動きを許容するとともに幅方向の動きを阻止する
支持手段と、ガイドレールの上端部において所定範囲内
においてのみ長手方向の動きを許容する構成とした支持
手段とによりガイドレール全体を建屋側に支持している
ために、ガイドレールの熱膨張等に起因する長手方向の
伸び及びガイドレールに直接作用する制動力に対しても
ガイドレールの機能を損なうことなく支持することが可
能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、エレベータの概略図である。 第２図は、釣り合いおもり本体に取り付けたエレベータ
昇降用ガイドレールに直接作用する制動装置を示す斜視
図である。 第３図は、制動装置の一部断面図である。 第４図は、ガイドレールの建屋側への支持構造を示す図
である。 第５図は、ガイドレールの取り付け部材を示す斜視図で
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降用ガイドレールに対して作用する制動
   装置を釣り合いおもり側又はかご側の少なくともいずれ
   か一方に設ける構成としたエレベータにおいて、前記ガ
   イドレールの長手方向の少なくとも一箇所以上において
   該ガイドレールの幅方向の動きを阻止するとともに長手
   方向の動きを許容する第１支持手段を介して建屋側に固
   定し、前記ガイドレールの長手方向の動きを所定の範囲
   内において許容する第２支持手段を介して該ガイドレー
   ルの上端部を建屋側に固定し、また前記第２支持手段は
   弾性部材を介して前記ガイドレールの上端部を建屋側に
   支持するようにしたことを特徴とするエレベータ用ガイ
   ドレールの支持構造。