JPH08253592A - ポリオルガノシロキサン組成物の赤外賦活化硬化法 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン組成物の赤外賦活化硬化法

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JPH08253592A
JPH08253592A JP4696A JP4696A JPH08253592A JP H08253592 A JPH08253592 A JP H08253592A JP 4696 A JP4696 A JP 4696A JP 4696 A JP4696 A JP 4696A JP H08253592 A JPH08253592 A JP H08253592A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロシリル化型組成物を分解することなく
均一に硬化させられるように改良された赤外加熱法を開
発すること。 【解決手段】 波長が700〜3,000nmの範囲に
限られた赤外線で約100〜210℃の範囲の温度に加
熱することによってヒドロシリル化型組成物を硬化させ
る。この範囲内の放射線を使用するとこれより広い範囲
の放射線を使用する場合より均一に加熱することができ
ると共に、ヒドロシリル化型組成物の表面からの煙の発
生が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオルガノポリシロキサン
組成物の赤外により賦活化された硬化に係り、特にヒド
ロシリル化による硬化に係る。
【0002】
【従来の技術】オルガノポリシロキサン組成物(以下単
に「シリコーン」ということがある)のヒドロシリル化
による硬化は数多くの特許その他の刊行物に開示されて
いる。関与する反応は、アルケニルで置換されたシリコ
ーンと少なくとも1個のSi−H結合を含有するシリコ
ーンとの反応であり、通常白金族金属を含有する触媒に
よって触媒される。硬化した物質は一般に架橋したシリ
コーンゴムである。
【0003】多くのヒドロシリル化反応は単に硬化性組
成物を通常通り加熱することによって促進されるが、加
熱による別のタイプの賦活化も知られている。たとえ
ば、特開昭57−110433号および本出願人による
同時係属中の米国特許出願第07/970,498号に
は、赤外線を使用してシリコーン材料を加熱することが
開示されている。この米国特許出願に開示されているよ
うに、赤外硬化は適切な赤外吸収性または散乱性物質の
存在下で起こり、通常は700〜10,000nmの範
囲の波長の放射線を使用する。
【0004】欧州特許出願第358,452号に記載さ
れているように、ヒドロシリル化は、硬化性組成物を増
感剤の存在下で可視光に暴露することによっても実施す
ることができる。この方法による硬化は、加熱温度が特
定されていないので、室温で起こっていると思われる。
使用した可視光の波長は約400〜800nmであると
されている。しかし、当業者には分かるように、シー・
アール・シー・ハンドブック(CRC Handbook)65版(1
984年)第E−184頁によると700nm(7,0
00オングストローム)より長い波長が正確には赤外領
域である。
【0005】ヒドロシリル化型混合物の均一な硬化には
体積全体にわたって急速・均一な加熱が必要である。こ
のためには、硬化させようとする樹脂の塊全体にわたっ
て赤外線の均一な吸収が必要である。上記の広い波長範
囲の赤外線を高強度で使用すると、硬化が完了する前に
シリコーン組成物の発煙が始まるのが見られることが多
い。これは表面の分解が始まっていることを示してい
る。このような分解は通常約225℃以上、特に250
℃以上の温度で起こる。
【0006】したがって、ヒドロシリル化型組成物を分
解することなく均一に硬化させられるように改良された
赤外加熱法を開発することが望ましい。本発明によって
そのような方法が提供される。
【0007】
【発明の概要】本発明は、(A)アルケニル基で置換さ
れたポリオルガノシロキサン、(B)少なくとも1個の
Si−H結合を有するポリオルガノシロキサン、および
(C)少なくとも1種の赤外吸収性物質を含む組成物を
ヒドロシリル化により硬化させる方法である。この方法
は、700〜3,000nmの範囲に限定された波長を
有する赤外線によって100〜210℃の範囲の温度に
前記組成物を加熱することからなる。
【0008】
【発明の詳細な開示】本発明の試薬Aは少なくとも1種
のアルケニルで置換されたポリオルガノシロキサンであ
り、ケイ素に結合したビニル基を有するものが好まし
い。このようなシリコーン材料は業界でよく知られてお
り、フォームをはじめとする硬化したシリコーン材料の
製造の際に以前から使用されている。これらは、たとえ
ば、米国特許第4,418,157号、第4,851,
452号および第5,011,865号(これらの開示
内容はここで引用したことにより本明細書に含まれてい
るものとする)に記載されている。
【0009】試薬Aとして有用な線状の(ポリジオルガ
ノシロキサン)シリコーン材料の典型例は次式(I)で
表わされる。
【0010】
【化1】
【0011】ここで、R1 は各々が独立して、C1-6
アルキル、フェニル、3,3,3‐トリフルオロプロピ
ルまたはビニルであり、nはこのシリコーンの粘度が2
5℃で約100〜1,000,000センチポイズ、好
ましくは約1,000〜250,000センチポイズ、
最も好ましくは約2,500〜100,000センチポ
イズの範囲になるような値をもつ。ビニルでないR1
いずれもメチルであることが最も多い。
【0012】シリコーン構造単位をケイ素に結合した酸
素原子の数によって表わすという業界で認められている
しきたりを本明細書でも使用する。それによると、文字
M、D、T、Qを用いて、「モノ」、「ジ」、「ト
リ」、「クオータ」に対する略語として酸素原子の数を
示す。すなわち、式Iのシリコーンは末端のM基と内部
のD単位とで構成されている。T単位および/またはQ
単位が存在するとその化合物は分枝構造および/または
架橋構造をもつことになる。
【0013】試薬Aおよび混合物全体の中のM単位、D
単位、T単位およびQ単位の割合を変えて、所望の分枝
度およびその他の特性をもつ組成物を得ることができ
る。たとえば、上述の米国特許第4,418,157号
には、ケイ素に結合したビニル基を含有していてもよ
く、かつ定められた割合のM単位、D単位およびQ単位
を有するベースのシリコーン材料が記載されている。
【0014】通常、試薬Aは主として、シリコーン鎖上
の末端ケイ素原子にビニル基が結合している化合物から
なる。試薬Bは次式(II)の線状ポリシロキサンで代表
させることができる。
【0015】
【化2】
【0016】ここで、R2 は各々が独立して、C1-6
アルキル、フェニル、3,3,3‐トリフルオロプロピ
ルまたは水素である。試薬Bは、分子当たりで平均した
Si−H部分が少なくとも約3個であり、ひとつのケイ
素原子に結合している水素原子が平均で最大1個までで
あり、水素でないR2 基がいずれもメチルであることが
最も多い。
【0017】試薬Cは赤外線を吸収または散乱する少な
くとも1種の物質である。このタイプの適切な物質とし
ては、無機材料、たとえばカーボンブラック、グラファ
イト、酸化セリウム、酸化チタンおよび酸化鉄(III
)、セラミックス、たとえば磁器、赤外吸収性顔料、
たとえばプルシアンブルー、有機金属化合物、たとえば
(メチルシクロペンタジエニル)マンガントリカルボニ
ルおよび(テトラフェニルシクロブタジエン)(シクロ
ペンタジエニル)コバルト、ならびに有機化合物、たと
えばアントラセン、フェナントラセン、アントラキノン
およびフェナントラセンキノンがある。通常は無機材料
が好ましく、酸化物や塩が最も好ましいことが多い。
【0018】本発明の方法においては一般に、(D)少
なくとも1種のヒドロシリル化用触媒、最も普通の場合
には白金族触媒も使用する。「白金族」という用語は、
通常使われる周期律表の第VIII族の一部でロジウム、ル
テニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび
白金を含む金属を意味する。このグループの中で好まし
い金属はロジウム、パラジウムおよび白金であり、比較
的入手が容易であり特に適しているという点で白金が特
に好ましい。
【0019】数多くの種類の白金触媒が業界で公知であ
り、前記で引用した特許に開示されている。たとえば、
クロロ白金酸とオレフィン類、アルコール類、エーテル
類、アルデヒド類またはテトラメチルジビニルジシロキ
サンのようなビニルシロキサン類との反応生成物が包含
される。米国特許第3,775,452号に開示されて
いるように重炭酸ナトリウムの存在下でクロロ白金酸と
テトラメチルジビニルジシロキサンとを反応させた生成
物を白金約5重量%の濃度でキシレンに溶解したものが
好ましい。以後これを「カールシュテット(Karstedt)触
媒」という。
【0020】乾燥剤や充填材のような他の物質が存在し
ていてもよい。適切な充填材としては、強化用充填材、
たとえばヒュームドシリカや沈降シリカ、ならびに増量
用充填材、たとえば石英粉末、二酸化チタン、酸化亜
鉛、ケイ酸ジルコニウム、シリカエーロゲル、酸化鉄、
ケイ藻土、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、焼成ク
レーおよび炭素(たとえばグラファイトやカーボンブラ
ック)がある。シリカ、特にヒュームドシリカが好まし
いことが多い。明らかに、これらの充填材の中には赤外
吸収性物質としても有用なものがある。
【0021】試薬Aの100部当たりの試薬Bの割合は
約0.5〜50重量部であることが最も多く、約10〜
20重量部であるのが好ましい。赤外吸収性物質は入射
放射線を吸収するのに有効な量で使用する。この量は使
用する物質のタイプによって大きく変わり得るが通常は
試薬Aの100部当たり約0.0001〜10.0部の
範囲である。充填材を使用する場合これは試薬Aの10
0部当たりそれぞれ約15〜50部の量で存在するのが
典型的である。
【0022】触媒(試薬D)は試薬Aと試薬Bとのヒド
ロシリル化を触媒するのに有効であれば任意の量で使用
できる。通常は組成物全体の百万部当たり白金が約10
〜100重量部(ppm)となる量で、好ましくは白金
が約10〜50重量部となる量で使用する。本発明にお
いては、700〜3,000nmの狭まった波長範囲の
赤外線を照射することによってシリコーン組成物を10
0〜210℃の範囲の温度に加熱する。この放射線は、
通常の赤外線源、たとえばタングステン‐ハロゲンラン
プで発生させることができる。電力レベルはランプとシ
リコーンの距離および製造しようとするシリコーン物品
の大きさのようなファクターに依存するが、通常は約1
00〜5,000ワットの範囲である。
【0023】所望でない波長範囲の放射線を遮蔽するに
は当業者に公知の方法が使用できる。たとえば、ホウケ
イ酸塩ガラスのシールドは3000ナノメートル以上の
放射線を吸収する。700nm未満の放射線を除くには
「クールミラー」を使用するとよい。このような器具の
例はエドマンド・サイエンティフィック社(Edmund Scie
ntific Company) から部品番号R42,414として入
手可能である。クールミラーは通常、ホウケイ酸塩ガラ
スシールドとシリコーン組成物との間に配置する。
【0024】
【実施例の記載】液体シリコーン射出成形用組成物を硬
化可能な形態とコントロールの形態の両方で使用した一
連の実験により、入射放射線を赤外遮蔽して700〜
3,000nmの波長範囲に制限したことによる効果を
示す。ここでアルケニルで置換されたポリオルガノシロ
キサン成分は主として「マスターバッチA」として提供
されたが、これは、40,000センチポイズの粘度を
有するビニルで末端が停止したポリジメチルシロキサン
90(重量)%、4,000センチポイズの粘度を有す
るビニルで末端が停止したポリジメチルシロキサン(以
後、「4,000センチポイズビニルシリコーン」とい
う)5%、および500センチポイズの粘度を有し末端
と内部にビニル基をもつポリジメチルシロキサン5%の
混合物であった。「マスターバッチB」は、マスターバ
ッチA約80部を、200m2 /gの表面積を有するヒ
ュームドシリカ約20部とブレンドすることによって調
製した。
【0025】コントロール組成物を調製するには、マス
ターバッチBの92重量部を、4,000センチポイズ
ビニルシリコーン50重量%、酸化セリウム(IV)25
%および酸化マグネシウム25%からなる組成物4部、
ならびに、4,000センチポイズビニルシリコーン5
0%および酸化亜鉛50%からなる組成物4部とブレン
ドした。すなわち、コントロール組成物は、試薬Aの1
00部当たり試薬Cを1.3重量部、および充填材(シ
リカ、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛)を27.6部
含有していた。
【0026】コントロール組成物の厚さ4mmのサンプ
ルを600ワットのタングステン‐ハロゲンランプの8
cm下に置いた。シリコーンサンプル中に垂直に、その
表面から1mm下そしてさらに1mmの間隔で3つの熱
電対を配置し、次いでランプを賦活化した。2分後シリ
コーン組成物の表面で煙の発生が観察されたが、表面下
1mm、2mmおよび3mmのところの温度はそれぞれ
たった120℃、110℃および85℃であった。
【0027】ランプとシリコーン組成物との間にシール
ドとしてホウケイ酸塩ガラススライドを挟み、かつガラ
ススライドとシリコーンの間にクールミラーを配置し
て、前記の手順を繰返した。したがってこのシリコーン
に入射する放射線の波長は700〜3,000nmであ
った。約2.5分後表面下1mm、2mm、3mmのと
ころの温度は約150℃、145℃および130℃であ
り、表面からの煙の発生は認められなかった。すなわ
ち、高めの波長の放射線を遮蔽すると加熱がずっと均一
になる。
【0028】ホウケイ酸塩スライドと「クールミラー」
を用いた手順を繰返した。ただし、組成物は2種類のビ
ニル置換ポリジメチルシロキサンブレンドの各々を46
部使用して調製した。この第一のものには、メチルで置
換され水素で末端が停止したMQ樹脂を2部と、1分子
当たり約30個のSi−H部分構造を含有するMDM樹
脂を約0.7部追加含有させた。また第二のものには、
カールシュテット(Karstedt)触媒として白金を26pp
m追加含有させた。したがって、この組成物は、試薬A
の100部当たり試薬Bを1.6部と、合計12ppm
の白金を含有していた。700〜3,000nmの範囲
の赤外放射線で硬化させると、約2.5分後充分に硬化
したシリコーンゴムが生成した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83/07 LRN C08L 83/07 LRN (72)発明者 クリス・アレン・サンター アメリカ合衆国、ニューヨーク州、スコテ ィア、キル・ドライブ、22番

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルケニル基で置換されたポリオ
    ルガノシロキサン、(B)少なくとも1個のSi−H結
    合を有するポリオルガノシロキサン、および(C)少な
    くとも1種の赤外吸収性物質を含む組成物を、700〜
    3,000nmの範囲に限定された波長を有する赤外線
    で100〜210℃の範囲の温度に加熱することからな
    る、前記組成物をヒドロシリル化により硬化させる方
    法。
  2. 【請求項2】 アルケニル基がビニルである、請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記組成物が(D)少なくとも1種のヒ
    ドロシリル化用白金族触媒も含有している、請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 試薬Bの割合が試薬A100部につき約
    0.5〜50重量部である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 試薬A中のビニルでないオルガノ基が各
    々メチルであり、試薬B中のオルガノ基が各々メチルで
    ある、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 試薬Aが主として、ビニル基がシリコー
    ン鎖の末端ケイ素原子に結合している化合物からなる、
    請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 試薬D中の白金族金属が白金である、請
    求項3記載の方法。
  8. 【請求項8】 試薬Dがクロロ白金酸とテトラメチルジ
    ビニルジシロキサンとの反応生成物である、請求項7記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 白金の割合が組成物全体の百万部当たり
    約10〜50部である、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 試薬Cの割合が試薬A100部当たり
    約0.0001〜10.0部の範囲である、請求項3記
    載の方法。
  11. 【請求項11】 試薬Cが少なくとも1種の無機酸化物
    または無機塩である、請求項3記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物が少なくとも1種の充填材
    も含有している、請求項3記載の方法。
  13. 【請求項13】 充填材の割合が試薬A100部当たり
    それぞれ約15〜50部である、請求項12記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記充填材がシリカである、請求項1
    3記載の方法。
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