JPH08230119A - ポリウレタン系多層フィルム - Google Patents

ポリウレタン系多層フィルム

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JPH08230119A
JPH08230119A JP4277495A JP4277495A JPH08230119A JP H08230119 A JPH08230119 A JP H08230119A JP 4277495 A JP4277495 A JP 4277495A JP 4277495 A JP4277495 A JP 4277495A JP H08230119 A JPH08230119 A JP H08230119A
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ethylene
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Toshiharu Murakami
敏治 村上
Masafumi Shirai
雅文 白井
Nobumoto Katagiri
伸基 片桐
Yuji Hirata
祐司 平田
Mitsuhiko Saito
光彦 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 共押出による製膜方法が容易で、しかも、共
押出された熱可塑性ポリウレタン樹脂層と他の樹脂層と
の層間を剥離させることは容易であるが、二次加工時に
は該層間は剥離を生ぜず、その上、加熱処理が加わって
も該層間接着強度が増して該層間を剥離させることが困
難とならないようなポリウレタン系多層フィルムを提供
しようとするものである。 【構成】 熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)、酢酸ビ
ニル含有量が、7〜35重量%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体層(B)、ポリエチレン系樹脂層、又は、ポリ
プロピレン系樹脂層(C)が、この順序に積層されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリウレタン
樹脂層に積層された他の樹脂層を、製品の最終段階、或
は、商品の使用時に剥離し、熱可塑性ポリウレタン樹脂
の単層フィルムとして使用するポリウレタン系多層フィ
ルムに関するものである。更に詳しくは、印刷等の二次
加工時に加熱処理が加わるような前記ポリウレタン系多
層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来技術】熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルムは、製
膜が困難であるために、「キャリヤーフィルム」と称す
る他のフィルムに積層させて製膜されている。例えば、
熱可塑性ポリウレタン樹脂と他の熱可塑性樹脂とを共押
出して製膜される方法が用いられている。特に、厚みの
薄い熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルムは、共押出イン
フレーション方式による製膜方法が好ましい。そして、
熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルムの印刷や切断加工等
の二次加工も他の樹脂フィルムを積層させたままの状態
で行い、製品の最終段階、或は、商品の使用時に他の樹
脂フィルムを剥離させる方法が用いられている。
【0003】このような熱可塑性ポリウレタン樹脂と共
押出して、熱可塑性ポリウレタン樹脂層に積層させる他
の樹脂としては、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチ
レン、或は、ポリプロピレン系樹脂等が多用されてい
る。しかし、これらの樹脂を用いた際には、これらの樹
脂層を剥離させるのは容易であるが、二次加工時に熱可
塑性ポリウレタン樹脂層とこれらの樹脂層との層間で剥
離を生じてしまっていた。又、熱可塑性ポリウレタン樹
脂層に積層させる他の樹脂として、不飽和カルボン酸又
はその誘導体をグラフト重合させた変性ポリエチレン系
樹脂や変性ポリプロピレン系樹脂、或はこれらの混合物
を用いると、該層間接着強度を強くして、二次加工時に
層間剥離を生じさせないようにすることはできるが、加
熱処理が加わると該層間接着強度が増してこれら他の樹
脂層を剥離させることが困難となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、共押出製膜
方法、特に、共押出インフレーション方式による製膜方
法が容易で、しかも、共押出された熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂層と他の樹脂層との層間を剥離させることは容易
であるが、二次加工時には該層間が剥離を生ぜず、その
上、二次加工時に加熱処理が加わっても該層間接着強度
が増して該層間を剥離させることが困難とならないよう
なポリウレタン系多層フィルムを提供しようとするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、次のような手段を講じた。即ち、熱可塑
性ポリウレタン樹脂層(A)、酢酸ビニル含有量が、7
〜35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体層
(B)、ポリエチレン系樹脂層、又は、ポリプロピレン
系樹脂層(C)が、この順序に積層されている。又、好
ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)が、流動
開始温度150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂から
なる。
【0006】まず、本発明のポリウレタン系多層フィル
ムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体層とポリエチレン系樹脂層、又は、ポリプ
ロピレン系樹脂層がこの順序に積層されていることを特
徴とするものである。尚、本発明のポリウレタン系多層
フィルムは、共押出法によって製膜されるが、熱可塑性
ポリウレタン樹脂層の薄いポリウレタン系多層フィルム
を得る場合には、共押出インフレーション方式による製
膜が好ましい。又、本発明のポリウレタン系多層フィル
ムの厚みとしては、特に限定されるものではないが、1
0〜200μmが好ましい。
【0007】次に、本発明のポリウレタン系多層フィル
ムに用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂は、二官能性
ポリオールとジイソシアネート及びグリコールを主原料
としてなる分子構造中にウレタン基を含有するゴム状弾
性高分子のうち、熱可塑性を有するものを総称し、具体
的には、使用される前記ポリオール等の原料の種類によ
って区別されるところのアジペートエステル系、ポリエ
ーテル系、カプロラクトンエステル系、ポリ炭酸エステ
ル系等の熱可塑性ポリウレタン樹脂の一種又は二種以上
からなるものである。
【0008】又、本発明のポリウレタン系多層フィルム
をワッペン等に使用する際には、布地や発泡シート等と
の熱密着性を良くするために、流動開始温度が150℃
以下、好ましくは、140℃以下の熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂が好ましい。流動開始温度が150℃を越える
と、布地や発泡シート等に重ねて加熱した際に良好なる
接着強度が得られるようにするためには加熱温度を高く
する必要があり、その結果、高温加熱により布地や発泡
シート等の熱劣化を生じるようになるので好ましくな
い。
【0009】本発明における流動開始温度とは、JIS
K7210に記載されている高化式フローテスターを
用いて、荷重10kgf、ダイ孔径1mm、孔長1m
m、昇温速度3℃/分、測定間隔2℃の条件のもとで、
昇温法によりフローレート値を測定した際、昇温に伴い
試料が膨張してピストンが上昇するためフローレート値
が検出できない範囲を過ぎて、ピストンが降下し、フロ
ーレート値が初めて検出される時の温度を流動開始温度
とした。尚、フローレート値(Q)は次の式で表され
る。 Q=(X/10)×(A/T) (cm3 /sec) 但し、 T:計測時間 (sec) X:計測時間Tに対するピストンの移動量 (mm) A:ピストンの断面積 (cm2
【0010】尚、本発明のポリウレタン系多層フィルム
における熱可塑性ポリウレタン樹脂層の厚みとしては、
特に限定されるものではないが、3〜100μmが好ま
しい。又、該熱可塑性ポリウレタン樹脂層には、必要に
応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着
色剤等の添加剤を適宜加えることができる。
【0011】本発明のポリウレタン系多層フィルムに用
いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸
ビニル含有量が7〜35重量%、好ましくは、10〜3
2重量%であることが必要である。酢酸ビニル含有量が
7重量%未満では、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチ
レン−酢酸ビニル共重合体層との層間接着強度が弱くな
り、二次加工時に該層間から剥離が生じ易くなり、一
方、酢酸ビニル含有量が35重量%を越えると、安定し
て製膜することが困難であった。即ち、本発明のポリウ
レタン系多層フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合
体層の酢酸ビニル含有量を7〜35重量%の範囲内で適
宜選択することにより、種々の使用目的に応じて、熱可
塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合
体層との層間接着強度を色々変化させることができる。
【0012】尚、本発明のポリウレタン系多層フィルム
に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、
エチレン−酢酸ビニル共重合体の単体のみならず、その
性質を阻害しない範囲でポリエチレン系樹脂を混合させ
ることもできる。又、本発明のポリウレタン系多層フィ
ルムにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合体層の厚みと
しては、特に限定されるものではないが、1〜100μ
mが好ましい。更に、該エチレン−酢酸ビニル共重合体
層には、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、滑剤、着色剤等の添加剤を適宜加えることができ
る。
【0013】更に、本発明のポリウレタン系多層フィル
ムに用いられるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポ
リエチレンや高密度ポリエチレン等が挙げられる。又、
エチレンを主成分とする他の成分との共重合体も使用す
ることができる。例えば、エチレンと炭素数4〜8のα
−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチ
レン等も用いることができる。又、ポリプロピレン系樹
脂としては、ポリプロピレンホモポリマーは勿論、プロ
ピレンを主成分とするエチレン等の他の成分との共重合
体も挙げることができる。
【0014】尚、本発明のポリウレタン系多層フィルム
におけるポリエチレン系樹脂層、又は、ポリプロピレン
系樹脂層は、必ずしも単層である必要はなく、これらの
樹脂の積層体であってもよい。又、これらポリエチレン
系樹脂層やポリプロピレン系樹脂層の厚みとしては、特
に限定されるものではないが、5〜100μmが好まし
い。又、これらの層には、必要に応じて酸化防止剤、熱
安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等の添加剤を適宜
加えることができる。
【0015】本発明のポリウレタン系多層フィルムの製
造方法としては、前記した如く、共押出法を用いるもの
で、従来より行われているキャリヤーフィルム付ポリウ
レタンフィルムの製膜方法をそのまま挙げることができ
る。特に、熱可塑性ポリウレタン層の薄いポリウレタン
系多層フィルムを製膜する際には、共押出インフレーシ
ョン方式が好ましい。
【0016】又、本発明のポリウレタン系多層フィルム
の用途としては、特に限定されるものではないが、熱可
塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合
体層とが剥離されるまでに、該ポリウレタン系多層フィ
ルムに熱が加わるような処理が施される分野に用いるの
が特に有用である。例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂
層の表面に印刷加工が施されるような用途に用いると、
本発明の効果を顕著に発揮させることができる。尚、印
刷加工は、一般に、印刷インクの溶剤を飛散させるため
に、印刷されたフィルムに加熱処理が施されている。
又、本発明のポリウレタン系多層フィルムは、ポリエチ
レン系樹脂層側、又は、ポリプロピレン系樹脂層側の表
面に、更に別の層を設けて使用することもできる。例え
ば、該層の表面にポリエチレン系樹脂等を押出コートし
てクラフト紙等を積層させて、布地に貼り付ける熱転写
用シートとして好適に使用される。尚、熱転写用シート
とは、印刷柄等の施されたシートを布地に熱圧着させて
模様等を付与させるものである。
【0017】
【作用】本発明のポリウレタン系多層フィルムは、熱可
塑性ポリウレタン樹脂層に特定の酢酸ビニル含有量を有
するエチレン−酢酸ビニル共重合体層とポリエチレン系
樹脂層、又は、ポリプロピレン系樹脂層とがこの順序に
積層されているために、次のような特性を有する。即
ち、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体層との層間接着強度は3〜30g/15mm
の範囲になるので、二次加工時に該層間が剥離して作業
がし難いようなことがなく、しかも、製品の最終段階、
或は、商品の使用時に該層間を剥離して熱可塑性ポリウ
レタン樹脂の単層フィルムとして使用することが容易で
ある。しかも、該層間は加熱処理が施されても層間接着
強度が極端に増加しないので、製品の最終段階、或は、
商品の使用時に該層間を剥離させるのが困難になるよう
なことはない。尚、エチレン−酢酸ビニル共重合体層と
ポリエチレン系樹脂層、又は、エチレン−酢酸ビニル共
重合体層とポリプロピレン系樹脂層との層間接着強度は
良好であるので、二次加工時に該層間が剥離したり、或
は、製品の最終段階や商品の使用時に熱可塑性ポリウレ
タン樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体層を剥離す
る際に該層間(エチレン−酢酸ビニル共重合体層とポリ
エチレン系樹脂層の層間、又は、エチレン−酢酸ビニル
共重合体層とポリプロピレン系樹脂層との層間)が剥離
するようなことはない。
【0018】更に、本発明のポリウレタン系多層フィル
ムは、製膜性が良好なポリエチレン系樹脂やポリプロピ
レン系樹脂を一層に有しているので、容易に共押出製膜
することができる。特に、これらの樹脂を一層設けてい
るので、共押出インフレーション方式によって熱可塑性
ポリウレタン樹脂層の薄いフィルムを容易に製膜するこ
とができる。尚、本願発明に用いられている特定の酢酸
ビニル含有量を有するエチレン−酢酸ビニル層と熱可塑
性ポリウレタン樹脂層からなる2層のフィルムは製膜安
定性が悪く、しかも、巻き取ったフィルムがブロッキン
グを生じ、巻き戻すことが著しく困難であった。
【0019】
【実施例】以下、実施例、及び、比較例を示し、本発明
の内容をより詳しく説明する。尚、本発明は、これらの
実施例によってのみ限定されるものでないことは当然で
ある。ここで云う熱可塑性ポリウレタン樹脂層とその上
に積層された他の樹脂層との層間接着強度とは、幅15
mmの試料フィルムの熱可塑性ポリウレタン樹脂層側の
表面に粘着紙(紙厚:130μm)を貼付し、引張試験
機を用い、剥離速度:300mm/分、剥離角度180
度の条件で測定したものである。又、常温放置された試
料については、製膜された試料を23℃、50%RHの
条件に1日放置した後に測定し、加熱処理された試料に
ついては、常温放置試料を140℃の熱風乾燥機に10
分間放置した後、23℃、50%RHの条件に1日放置
して測定した。
【0020】〔実施例1〜2〕流動開始温度が120℃
のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を外層に、
酢酸ビニル含有量が28重量%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体(実施例1)、又は、酢酸ビニル含有量が15
重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(実施例2)を
芯層に、そして、低密度ポリエチレンを内層にするよう
に、3台の押出機と3種3層のサーキュラーダイを用い
て、インフレーション方式によりポリウレタン系多層フ
ィルムの製膜を行った。その結果、両者共にバブルの揺
れも無く、安定して製膜が行え、皺の無いポリウレタン
系多層フィルムが得られた。尚、両者共に外層の熱可塑
性ポリウレタン樹脂層の厚みは10μm、芯層のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体層の厚みは15μm、そして、
内層の低密度ポリエチレン層の厚みは15μmであっ
た。
【0021】得られた2種類のポリウレタン系多層フィ
ルムを用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂層の表面に印刷
処理を行った。その結果、両者共に印刷加工時に熱可塑
性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体
層との層間が剥離するようなことも無く、しかも、印刷
加工後に該層間を手で剥離させると容易に剥離させるこ
とができた。尚、酢酸ビニル含有量が28重量%のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を用いた実施例1のポリウレ
タン系多層フィルムは、常温放置された際の層間接着強
度が18g/15mm、加熱処理された際の層間接着強
度が20g/15mmであった。又、酢酸ビニル含有量
が15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた
実施例2のポリウレタン系多層フィルムは、常温放置さ
れた際の層間接着強度が6g/15mm、加熱処理され
た際の層間接着強度が6g/15mmであった。
【0022】更に、印刷処理の施された2種類のポリウ
レタン系多層フィルムの低密度ポリエチレン層の表面に
ポリエチレン樹脂を押出コートしてクラフト紙を積層さ
せて熱転写用シートを得た。その結果、それぞれの熱転
写用シートは、共に布地に重ねて熱圧させると良好なる
接着性を呈していた。尚、エチレン−酢酸ビニル共重合
体層と低密度ポリエチレン層は、クラフト紙と共に熱可
塑性ポリウレタン樹脂層から容易に剥離させることがで
きた。
【0023】〔比較例1〜2〕流動開始温度が120℃
のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を外層に、
酢酸ビニル含有量が5重量%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(比較例1)、又は、酢酸ビニル含有量が41重
量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(比較例2)を芯
層に、そして、低密度ポリエチレンを内層にするよう
に、実施例1〜2と同様、3台の押出機と3種3層のサ
ーキュラーダイを用いて、インフレーション方式により
ポリウレタン系多層フィルムの製膜を行った。その結
果、酢酸ビニル含有量が5重量%のエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体を用いた比較例1は、バブルの揺れも無く、
安定して製膜が行え、皺の無いポリウレタン系多層フィ
ルムが得られた。しかし、酢酸ビニル含有量が41重量
%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた比較例2
は、製膜が不可能であった。尚、両者共に外層の熱可塑
性ポリウレタン樹脂層の厚みが10μm、芯層のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体の厚みが15μm、そして、内
層の低密度ポリエチレンの厚みが15μmとなるように
した。
【0024】得られた比較例1のポリウレタン系多層フ
ィルムを用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂層の表面に印
刷処理を行った。その結果、印刷加工時に熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体層との
層間が剥離し、印刷加工が不可能であった。尚、比較例
1のポリウレタン系多層フィルムは、常温放置された際
の層間接着強度が1.5g/15mm、加熱処理された
際の層間接着強度が1.5g/15mmであった。
【0025】〔比較例3〜4〕流動開始温度が120℃
のポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を外層に、
低密度ポリエチレン(比較例3)、又は、酢酸ビニル含
有量が28重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(比
較例4)を内層にするように、2台の押出機と2種2層
のサーキュラーダイを用いて、インフレーション方式に
よりポリウレタン系多層フィルムの製膜を行った。その
結果、内層に低密度ポリエチレンを用いた比較例3は、
バブルの揺れも無く、安定して製膜が行え、皺の無いポ
リウレタン系多層フィルムが得られた。しかし、酢酸ビ
ニル含有量が28重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合
体を用いた比較例4は、バブルが安定せず製膜が不可能
であった。尚、両者共に外層の熱可塑性ポリウレタン樹
脂層の厚みが10μmで、内層の低密度ポリエチレン
層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の厚みが30
μmとなるようにした。
【0026】得られた比較例3のポリウレタン系多層フ
ィルムを用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂層の表面に印
刷処理を行った。その結果、印刷加工時に熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂層と低密度ポリエチレン層との層間が剥離
し、印刷加工が不可能であった。尚、比較例3のポリウ
レタン系多層フィルムは、常温放置された際の該層間接
着強度が0.5g/15mm、加熱処理された際の層間
接着強度が0.5g/15mmであった。
【0027】〔比較例5〕流動開始温度が120℃のポ
リエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂を外層に、低密
度ポリエチレン100重量部に不飽和カルボン酸を3重
量%グラフト重合させた変性ポリエチレン系樹脂を15
重量部混合させた樹脂組成物を芯層に、そして、低密度
ポリエチレンを内層にするように、実施例1と同様、3
台の押出機と3種3層のサーキュラーダイを用いて、イ
ンフレーション方式によりポリウレタン系多層フィルム
の製膜を行った。その結果、バブルの揺れも無く、安定
して製膜が行え、皺の無いポリウレタン系多層フィルム
が得られた。尚、該フィルムの外層の熱可塑性ポリウレ
タン樹脂層の厚みは10μm、芯層の変性ポリエチレン
系樹脂層の厚みは15μm、そして、内層の低密度ポリ
エチレン層の厚みは15μmであった。
【0028】得られた比較例5のポリウレタン系多層フ
ィルムを用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂層に表面に印
刷処理を行った。その結果、印刷加工時に熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂層と変性ポリエチレン系樹脂層との層間が
剥離するようなことも無く、容易に印刷加工が行えた。
しかし、印刷加工後に該層間を手で剥離させようと試み
たが、剥離させることが困難であった。尚、比較例5の
ポリウレタン系多層フィルムは、常温放置された際の層
間接着強度が16g/15mm、加熱処理された際の層
間接着強度が80g/15mmであった。
【0029】
【効果】本発明のポリウレタン系多層フィルムは、製膜
性に優れているので、皺無く容易に製造することができ
る。又、二次加工時に熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエ
チレン−酢酸ビニル共重合体層との層間が剥離しないの
で、二次加工が容易である。しかも、本発明のポリウレ
タン系多層フィルムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂層と
エチレン−酢酸ビニル共重合体層との層間を手で簡単に
隔離させることができるので、製品の最終段階、或は、
商品の使用時に熱可塑性ポリウレタン樹脂の単層フィル
ムを容易に得ることができる。更に、加熱処理が加わっ
ても、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体層との層間接着強度が極端に増加しないの
で、該層間を容易に剥離させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 祐司 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 斉藤 光彦 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)、酢
    酸ビニル含有量が7〜35重量%のエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体層(B)、ポリエチレン系樹脂層、又は、ポ
    リプロピレン系樹脂層(C)が、この順序に積層されて
    いることを特徴とするポリウレタン系多層フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)が、
    流動開始温度150℃以下の熱可塑性ポリウレタン樹脂
    からなることを特徴とする請求項1に記載されたポリウ
    レタン系多層フィルム。
JP04277495A 1995-03-02 1995-03-02 ポリウレタン系多層フィルム Expired - Lifetime JP3549274B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108463501A (zh) * 2016-01-08 2018-08-28 三井—杜邦聚合化学株式会社 粘接性树脂组合物、层叠体及层叠体的制造方法

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