JPH0822906A - 正特性サーミスタ発熱体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円筒の空間を最大限に活用して正特性サーミ
スタの熱放散を大きくするとともに、正特性サーミスタ
発熱体を通過した後の送風温度のムラを最小限にする。 【構成】 板状の正特性サーミスタ１１の電極１２が形
成されている上，下両面に、アルミニウム薄板を半円形
状に形成した外枠１３の内側へアルミニウム薄板を波状
に析曲して形成した放熱フィン１４をブレージング加工
によって固着した金属放熱体１５の平面部を、導電性接
着剤等により接着して円板形状の正特性サーミスタ発熱
体を得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、温風ヒータ等の発熱体
として使用される正特性サーミスタ発熱体に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】正特性サーミスタは、ある一定温度にな
ると急激に抵抗値が上昇する半導体セラミクスである。
そのため、これに電圧を印加すると一定温度で発熱する
ため定温発熱体として幅広く利用されている。以下、従
来の正特性サーミスタ発熱体について図面を用いて説明
する。

【０００３】図４は、従来の正特性サーミスタ発熱体の
構成を示すものである。図４において、１は正特性サー
ミスタであり、その上，下両面にはアルミニウムを溶射
することにより形成した電極２が設けられていた。ま
た、２枚のアルミニウム薄板３ａ，３ｂは、アルミニウ
ム薄板を波状に析曲して形成した放熱フィン４を挟み、
ブレージング加工により接合することによって、金属放
熱体５を得ていた。そして、正特性サーミスタ１と金属
放熱体５とを導電性接着剤等を用いて密着固定し、同時
に電気的導通を図り、正特性サーミスタ発熱体を得てい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記構成では、ドライ
ヤーやふとん乾燥機等の送風口が円筒の形状を有する温
風発生機において、円筒の内側に、図４のごとく直方体
の正特性サーミスタ発熱体が取り付けられるため、円の
内側に収まる正特性サーミスタ発熱体の占有面積が小さ
くなり、正特性サーミスタ発熱体の熱放散が制限されて
いた。このため、正特性サーミスタ発熱体の電力が小さ
くなり、また正特性サーミスタ発熱体を通過して暖めら
れた空気は、送風口の外周付近の暖められていない空気
との温度差が生じ、送風の温度ムラが生じるという問題
を有していた。

【０００５】本発明は、空間を最大限に活用し、熱放散
を大きくすることによって電力を上げ、送風温度のムラ
を最小限にする正特性サーミスタ発熱体を提供すること
を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、半円形状で金属製の外枠の内側に放熱フィ
ンを電気的導通を図るように固着して発熱体を形成し、
この発熱体を２つ用いて、正特性サーミスタの上，下両
面を挟んだものである。

【０００７】

【作用】この構成によって、円筒の空間を最大限に活用
し、正特性サーミスタの熱放散を大きくして電力を上げ
ることができる。また円筒の空間全体を正特性サーミス
タ発熱体が占有できるため、正特性サーミスタ発熱体を
通過した後の送風温度のムラを最小限にすることができ
る。

【０００８】

【実施例】

（実施例１）以下、本発明の一実施例について、図面を
参照しながら説明する。

【０００９】図１は、本発明の第１の実施例における正
特性サーミスタ発熱体の構成を示す斜視図である。図２
はそれに用いられる正特性サーミスタの斜視図であり、
板状の正特性サーミスタ１１の両主平面にアルミニウム
溶射等の電極１２が形成されている。図１において、１
１は正特性サーミスタであり、その上，下両面に、アル
ミニウム薄板を半円形状に形成した外枠１３の内側へ、
アルミニウム薄板を波状に析曲して形成した放熱フィン
１４をブレージング加工によって固着した金属放熱体１
５の平面部を導電性接着剤等により接着している。

【００１０】（実施例２）以下、本発明の第２の実施例
について、図面を参照しながら説明する。

【００１１】図３は本発明の第２の実施例における正特
性サーミスタ発熱体の構成を示す斜視図である。図３に
おいて、１１は正特性サーミスタであり、その上，下両
面に、アルミニウム薄板を半円形状に形成した外枠１３
の内側へアルミニウム薄板を格子状に形成した放熱フィ
ン１４をブレージング加工によって固着した金属放熱体
１５の平面部を導電性接着剤等により接着している。

【００１２】実施例１，２による正特性サーミスタ発熱
体と、従来の正特性サーミスタ発熱体とを、直径６０mm
の円筒状の風洞において取り付けうる最大の面積となる
ようにサイズを設計したときの風量２．１m／秒での電
力を（表１）に、および正特性サーミスタ発熱体から５
cm風の吹く方向に離れた位置の外周部での温度と円筒の
中心部との温度の差を（表２）に示した。

【００１３】

【表１】

【００１４】

【表２】

【００１５】ここで正特性サーミスタは１５mm×２０mm
×３mmの大きさのものを２枚使用し、従来の正特性サー
ミスタ発熱体の大きさは長さ４０mm、高さ４０mm、幅１
５mmとし、実施例１，２による正特性サーミスタの大き
さは直径が５５mm、幅１５mmとした。なお、従来例、実
施例１、実施例２ともそれぞれ５個について測定した。

【００１６】（表１）から明らかなように、実施例１，
２による正特性サーミスタ発熱体は従来の正特性サーミ
スタ発熱体より実施例１で電力が約１５％、実施例２で
電力が約１７％大きくなっており、従って実施例１，２
による正特性サーミスタ発熱体は円筒の風洞を有する温
風発生機に使用される場合、金属放熱体の表面積を大き
くできることによって電力を上げることができることが
わかる。また（表２）から明らかなように、実施例１，
２による正特性サーミスタ発熱体は、正特性サーミスタ
発熱体から風の吹く方向に離れた位置の外周部での温度
と円筒の中心部との温度の差が従来の正特性サーミスタ
発熱体より小さく、従って実施例１，２による正特性サ
ーミスタ発熱体は、正特性サーミスタ発熱体を通過した
後の送風温度のムラを少なくすることができることがわ
かる。

【００１７】なお、本実施例においては、金属放熱体１
５を半円形状に成形したが、その成形法としては、押し
出し成形や、半円形の型にあわせて金属板を曲げて成形
する等がある。

【００１８】また、放熱フィン１４は、波形のものと格
子形のものを用いたが、一般的に波形のものは風の流れ
が真ん中に集中しやすく、格子形のものは風の流れが均
一になる傾向にある。

【００１９】さらに、正特性サーミスタも実施例では２
つ用いたが、いくつでもかまわない。

【００２０】また、外枠１３と放熱フィン１４とを接着
剤により接着する際、外枠１３の側面に接着剤が流れて
ショートするのを防ぐために、部分的に接着剤を塗布す
るとよいと思われる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明は、金属発熱体を、
半円形状を形成する外枠の内側に放熱フィンを固着する
構成により、円筒の空間を最大限に活用して金属放熱体
の表面積を大きくすることで、正特性サーミスタの熱放
散を大きくして電力を上げることができる。また空間全
体を正特性サーミスタ発熱体が占有できるため、正特性
サーミスタ発熱体を通過した後の送風温度のムラを最小
限にすることができる正特性サーミスタ発熱体を提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における正特性サーミス
タ発熱体の斜視図

【図２】同正特性サーミスタの斜視図

【図３】本発明の第２の実施例における正特性サーミス
タ発熱体の斜視図

【図４】従来の正特性サーミスタ発熱体の斜視図

【符号の説明】

１１ 正特性サーミスタ １２ 電極 １３ 外枠 １４ 放熱フィン １５ 金属放熱体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製の半円形の外枠の内側に、前記外
   枠と電気的に接続するようにして金属製の放熱フィンを
   設けて形成した放熱体と、２つの前記放熱体の平面部で
   上，下両面を挟み、前記放熱体と電気的に接続するよう
   にして設けた上，下両面に電極を有する正特性サーミス
   タとを備えた正特性サーミスタ発熱体。