JP2827460B2 - 正特性サーミスタ発熱体の製造方法 - Google Patents

正特性サーミスタ発熱体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、正特性サーミスタと金属放熱体とから成る
発熱体の製造方法に関する。
[従来の技術] この種の発熱体は、例えば、特開昭57−63790号公報
に開示されているように、表面に電極を形成した正特性
サーミスタと金属放熱体とを、導電性を有する熱硬化性
接着剤で接合する方法が知られている。
ところが、この場合には、金属放熱体を接着した際
に、端からはみ出た接着剤が、反対側の電極や金属放熱
体と接触してショートする恐れがある。
そこで、サーミスタの電極面や金属放熱体の表面を微
視的に見ると小さな凹凸があるため、絶縁性の熱硬化性
接着剤(例えば、シリコン系接着剤)を使用して、金属
放熱体をサーミスタの電極面に押圧しながら接着する方
法が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかるに、上記の場合、サーミスタの定格電圧以下の
電圧を印加して通電加熱するか、あるいはサーミスタの
キュリー温度以下の温度で熱処理(外部加熱)すること
によって、接着剤を硬化させていた。
従って、発熱体の使用時(通電時)には、接着剤の硬
化温度よりも高温になるため、サーミスタと金属放熱体
との間には、接着剤の熱膨脹に伴って、両者を押し広げ
る力が作用する。その結果、サーミスタの電極面と金属
放熱体との接触が失われて、導通不良やヒータ性能の低
下などの耐久劣化を生じるとともに、信頼性を損ねるな
どの課題を有していた。
本発明は上記事情に基づいてなされたもので、その目
的は、耐久性に優れ、且つ信頼性の高い正特性サーミス
タ発熱体の製造方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するために、正特性サーミス
タの主面に形成された電極に、実質的に絶縁性を有する
熱硬化性接着剤を用いて金属放熱体を接合して成る正特
性サーミスタ発熱体の製造方法において、前記熱硬化性
接着剤を、前記発熱体の使用温度よりも高い温度で硬化
させることを技術的手段とする。
なお、本発明の熱硬化性接着剤は、絶縁性を有すると
したが、100%絶縁性である必要はなく、導電性材料が
添加されていても、全体として絶縁性の高い特性であれ
ば良い。
[作用および発明の効果] 上記構成よりなる本発明の正特性サーミスタ発熱体
は、その使用温度より高い温度で接着剤を硬化させて製
造される。つまり、発熱体は、接着剤の硬化温度より
も、常に低い温度で使用されるため、発熱体の使用時
に、接着剤が硬化時よりも膨脹することはない。逆に、
発熱体の使用温度が接着剤の硬化温度より低いことか
ら、接着剤には収縮力が作用し、サーミスタと金属放熱
体との接触圧力が生じる。
この結果、本発明によれば、サーミスタの電極と金属
放熱体との電気的な接続を確実に行うことができるた
め、導通不良やヒータ性能の低下を防止して、耐久性に
優れ、且つ信頼性の高い正特性サーミスタ発熱体を製造
することができる。
なお、接着剤を発熱体の使用温度より高い温度で硬化
させる方法として、例えば、正特性サーミスタに定格電
圧より高い電圧を印加して通電加熱するか、あるいは正
特性サーミスタのキュリー温度以上の温度(但し、接着
剤の耐熱限界を越えない温度)で熱処理(外部加熱)す
る等の方法がある。
[実施例] 次に、本発明の正特性サーミスタ発熱体の製造方法を
図面に示す一実施例に基づき説明する。
第1図は発熱体の部分断面図、第2図は第1図の要部
拡大断面図である。
本実施例では、定格電圧:100Vの正特性サーミスタ発
熱体(以下発熱体と言う)1について説明する。
この発熱体1は、キュリー温度Tc:200℃の正特性サー
ミスタ(以下サーミスタと言う)2と、このサーミスタ
2の両側に配置される金属放熱体3とから構成され、温
風ヒータ、衣類乾燥機、布団乾燥機などに使用される。
サーミスタ2は、その両主面(第1図上下面)の全面
に、銀電極4が印刷後、焼き付けされ、さらに、その銀
電極4の表面には、溶射法による銅電極5が形成されて
いる(第2図参照)。この銅電極5は、銀電極4の表面
上に、均一に分布した状態で凸部を形成している。
金属放熱体3は、波形に形成された放熱フィン3aと、
この放熱フィン3aを挟む2枚の金属板3b、3cとで構成さ
れ、放熱フィン3aが、2枚の金属板3b、3cの間に半田つ
け、またはろう付けによって接合されている。
この金属放熱体3とサーミスタ2とは、耐熱性や熱伝
導性に優れるシリコン系の熱硬化性接着剤(以下、接着
剤と言う)6によって接合される。以下に、その接合方
法を説明する。
まず、全長L1:150mm、全幅W1:16mmの大きさで、4組
の金属放熱体3を作成する(第5図および第6図参
照)。そして、各金属放熱体3の一方の金属板(サーミ
スタ2側に配置される金属板)3bの表面に、それぞれス
クリーン印刷により接着剤6を塗布する。
次に、全長L2:25mm、全幅W2:16mmの大きさに設けられ
たサーミスタ2を12個用意し、縦長(全長方向)に並べ
た6個ずつのサーミスタ2を、接着剤6が塗布された金
属板3bを内側にして、それぞれ2組の金属放熱体3で挟
み込む(第5図および第6図参照)。
そして、両外側の金属板3c側より加圧する。
次に、発熱体1の使用温度(200℃)以上の温度で接
着剤6を硬化させて、サーミスタ2と金属放熱体3とを
接合し、全長150mm、全幅16mm、全高H:20mmの発熱体1
(第5図および第6図参照)を2組製造する。
このようにして、第2図に示されるように、銀電極4
の表面上に分布した凸部によりサーミスタ2と放熱フィ
ン3aとを電気的に導通させることができる。また、銀電
極4の表面上に形成された凹部に、接着剤6を設けるこ
とができるため、サーミスタ2と放熱フィン3aとを接合
することができる。
即ち、絶縁性接着剤により、サーミスタ2と放熱フィ
ン3aとを接合することができるにもかかわらず、サーミ
スタ2と放熱フィン3aとを電気的に導通させることがで
きるものである。
従来においては、導電性接着剤を使用した場合には、
サーミスタ2と放熱フィン3aとの加圧時に、余分な導電
性接着剤がサーミスタ2と放熱フィン3aとの間よりはみ
出してしまう。この場合、はみ出した導電性接着剤が、
反対側の銀電極4まで到達し、サーミスタ2の両面に形
成された銀電極4間の短絡という問題が生ずる。
しかしながら、本実施例では、接着剤として、絶縁性
接着剤を使用しているので、たとえ、接着剤がサーミス
タ2と放熱フィン3aとの間よりはみ出し、対向する電極
4まで到達したとしても、短絡という問題が生じないの
である。
また、発熱体1の使用温度以上で接着剤6を硬化させ
る方法としては、 a)発熱体1の定格電圧(100V)以上の電圧を印加して
サーミスタ2を発熱させ、その自己発熱を利用して接着
剤6を硬化させる方法、 b)熱風炉などを用いて、サーミスタ2のキュリー温度
Tc(200℃)以上の温度(但し、接着剤6の耐熱限界を
越えない温度)で熱処理する外部加熱による方法、 がある。
ここで、サーミスタ2の自己発熱を利用して接着剤6
を硬化させて製造した発熱体1、および外部加熱により
接着剤6を硬化させて製造した発熱体1において、それ
ぞれ熱処理温度と耐久性との関係を測定し、その測定結
果を、第3図および第4図に示す。なお、耐久性評価と
しては、断続通電(115V印加、1分オン−1分オフ、 を行った場合の発熱体1の消費電力変化率で表した。
サーミスタ2の自己発熱による方法では、第3図に示
すように、印加電圧が115V以上で良好な結果が得られ
た。
また、外部加熱による方法では、第4図に示すよう
に、加熱温度が約210℃以上で良好な結果が得られた。
従って、サーミスタ2の自己発熱を利用して接着剤6
を硬化させる場合には、サーミスタ2への印加電圧を11
5V以上とし、また、外部加熱により接着剤6を硬化させ
る場合には、加熱温度を約210℃以上とすることが望ま
しい。
この接着剤6を硬化させる処理時間としては、接着が
十分に硬化する時間(10分程度が適当)であれば良い。
上記の方法で接着剤6を硬化させた後、第5図および
第6図に示すように、2組の発熱体1を上下2段に重ね
て接着し、サーミスタ2の外周部にシール材(図示しな
い)を塗布して乾燥させた後、端子7およびリード線8
を取り付けて完了する。
上述したように、本実施例の発熱体1は、その使用温
度(200℃)より高い温度で接着剤6を硬化させて製造
される。従って、発熱体1は、接着剤6の硬化温度より
も常に低い温度で使用されるため、発熱体1の使用時
に、接着剤6が硬化時よりも膨脹することはない。その
結果、従来のような、接着剤6の熱膨脹に伴う導通不良
を防止することができる。
逆に、発熱体1の使用温度が接着剤6の硬化温度より
低いことから、発熱体1の使用時においても、接着剤6
には収縮力が作用し、サーミスタ2と金属放熱体3との
接触圧力が生じるため、サーミスタ2の銅電極5と金属
板3bとの電気的な接続を確実に行うことができる。
これらの結果、本発明によれば、従来と比較して、導
通不良やヒータ性能(放熱性)の低下などの耐久劣化を
防止して、信頼性の高い発熱体1を製造することができ
る。
なお、本実施例で使用した熱硬化性接着剤6は、シリ
コン系の絶縁性を有するものであるが、100%絶縁性で
ある必要はなく、導電性材料が添加されていても、全体
として絶縁性の高い特性であれば良い。また、シリコン
系以外に、エポキシ系、イミド系など他の絶縁性接着剤
でも良い。
【図面の簡単な説明】
第1図は発熱体の部分断面図、第2図は第1図の要部拡
大断面図、第3図および第4図は熱処理温度に対する耐
久性の変化を示す測定結果、第5図は発熱体の側面図、
第6図は発熱体の正面図である。 図中 1……正特性サーミスタ発熱体 2……正特性サーミスタ、3……金属放熱体 4……銀電極(電極)、5……銅電極(電極) 6……熱硬化性接着剤
フロントページの続き (72)発明者 奈良 昭夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−109283(JP,A) 特開 昭59−87788(JP,A) 特開 昭57−63760(JP,A) 特開 平2−155188(JP,A) 特開 昭59−117101(JP,A) 特開 昭57−154783(JP,A) 特開 昭59−224088(JP,A) 特開 昭63−58903(JP,A) 特開 平3−261089(JP,A) 特開 昭63−58904(JP,A) 特開 昭62−179102(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 3/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正特性サーミスタの主面に形成された電極
    に、実質的に絶縁性を有する熱硬化性接着剤を用いて金
    属放熱体を接合して成る正特性サーミスタ発熱体の製造
    方法において、 前記熱硬化性接着剤を、前記発熱体の使用温度よりも高
    い温度で硬化させることを特徴とする正特性サーミスタ
    発熱体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記正特性サーミスタの主面に形成された
    前記電極表面には凹凸部が形成され、前記電極の凸部に
    より前記正特性サーミスタと前記金属放熱体とが電気的
    に導通されるとともに、前記電極の凹部には、前記熱硬
    化性接着剤が設けられていることを特徴とする請求項1
    記載の正特性サーミスタ発熱体の製造方法。
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