JP3139288B2 - 正特性サーミスタ発熱体の製造方法 - Google Patents

正特性サーミスタ発熱体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば温風ヒータにお
いて、空気などの流体を加熱するために用いる正特性サ
ーミスタ発熱体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は先ず、図2に示すように、アルミ
ニウムの薄板を波形に折曲げてフィン6a,6bを作
り、夫々のフィン6a,6bの上、下の頂部にアルミニ
ウムからなる電極板7a,7bをブレージングにより固
着し、導電路を兼ねる放熱体8a,8bを形成してい
た。次に、両主平面に電極を有する正特性サーミスタ9
の両主平面に、放熱体8a,8bの電極板7b,7aを
導電性接着剤を用いて、密着固定していた。
【0003】このような正特性サーミスタ発熱体の、導
電路を兼ねた2個の放熱体8a,8bに電圧を加える
と、電圧が正特性サーミスタ9に加わり発熱する。この
発熱した熱が2個の放熱体8a,8bに伝わり、これに
空気などの流体を一方から加えて、反対側から温風を得
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、発熱量を大き
くしようとする場合、放熱体8a,8bと正特性サーミ
スタ9の密着性を上げればよい。
【0005】しかし、上記構成では、フィン6a,6b
と電極板7a,7bとをそれぞれブレージングするとき
に、融点近くまで加熱することになるため、焼なまし状
態となって硬度が失われ、放熱体8a,8bと正特性サ
ーミスタ9の十分な密着性を得るだけの加圧固定ができ
ないという問題点を有していた。
【0006】また、ブレージングするときに、放熱体8
a,8bにフラックスを塗布するため、放熱体8a,8
bの表面が汚れ、正特性サーミスタ9と密着させると
き、接着剤の接着性を落としてしまう。このため、固定
させる前に、放熱体8a,8bの表面を洗浄するか、削
り取る必要があり、作業性が悪かった。
【0007】本発明は、放熱体と正特性サーミスタとの
密着性を上げて、発熱量を大きくすることおよび作業性
を高めることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、金属の薄板を波形に折曲させたフィンの上下の頂部
に夫々金属板を超音波溶接により固着すると共に前記金
属板の表面にしま模様の溶接跡を形成して放熱体を形成
し、次に、上、下両面に電極を有するサーミスタ素子の
前記上、下の電極と前記金属板の溶接跡との間に接着剤
を入れて、前記サーミスタ素子と前記放熱体を接着剤を
介して密着固定する正特性サーミスタ発熱体の製造方法
を提供するものである。
【0009】
【作用】この構成によれば、超音波溶接により、放熱体
の金属板とフィンの頂部との溶接部が荒れるため、正特
性サーミスタと放熱体を接着剤で固定するとき、この溶
接跡に接着剤が入り、接着強度が向上する。
【0010】また、超音波溶接は、コルゲートフィンと
電極板とをその融点近くまで加熱することはないため、
焼なまし状態となって硬度が失われ、機械的強度が低下
することもない。
【0011】また、超音波溶接は放熱体にフラックスを
塗布する必要がないため、放熱体の表面を洗浄したり、
削り取ったりする必要がなく、作業性が良くなる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。
【0013】図1に示すように、アルミニウムの薄板を
波形に折り曲げてフィン1a,1bを形成し、次に、こ
のフィン1a,1bの一方の頂部には、端子の取り出し
部を有するアルミニウムの薄板2a,2bを、もう一方
の頂部には、アルミニウムの薄板3a,3bをそれぞれ
頂部と薄板2a,2b,3a,3bとが接するように挟
んで、その頂部と薄板2a,2b,3a,3bとを超音
波溶接で固着して放熱体4a,4bを形成する。次に、
上、下両面にアルミニウム溶射等により電極(図示せ
ず)を設けた正特性サーミスタ5a,5b,5c,5
d,5e,5fの上、下両面に、放熱体4a,4bを薄
板3a,3bが正特性サーミスタ5a,5b,5c,5
d,5e,5f側になるようにして導電性接着剤を介し
て加圧固着し、正特性サーミスタ放熱体を得た。
【0014】ここで、超音波溶接により生じた溶接跡6
は、フィン1a,1bの頂部に沿って、深さ0.1〜0.
3mm、幅1mm程度のものが1mm感覚でしま模様になって
いる。この溶接跡6に接着剤が入り込み、正特性サーミ
スタ5a,5b,5c,5d,5e,5fと放熱体4
a,4bの接着強度を向上させている。
【0015】このように構成された、正特性サーミスタ
発熱体は、2つの放熱体4a,4bの薄板2a,2bの
端子取り出し部に電圧を加えると、放熱体4a,4bが
導電路となり、正特性サーミスタ5a,5b,5c,5
d,5e,5fに電圧が加わり発熱する。この熱が放熱
体4a,4bに伝わり、この時に、放熱体4a,4bに
空気を通過させると温風を放熱体全体から取り出すこと
ができ、発熱量を大きくすることができる。
【0016】なお、本実施例においては正特性サーミス
タは6個用いたが、これより多くても少なくても構わな
い。
【0017】さらに、正特性サーミスタ5a,5b,5
c,5d,5e,5fと放熱体4a,4bとを接着させ
るときは、導電性接着剤を用いる方が好ましいが、正特
性サーミスタ5a〜5fの表面は滑らかでないので、絶
縁性接着剤を用いたとしても、凹部に接着剤が入り込み
固定し、凸部で薄板3a,3bとの電気的接続を取るこ
とができる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、フィンと金属板とを超音波溶
接により固着させた後、正特性サーミスタと放熱体とを
接着させる際、超音波溶接の溶接跡に接着剤を入り込ま
せて、正特性サーミスタと放熱体との接着強度を向上さ
せている。この構成により、接着強度が向上し、発熱量
を大きくすることができる。
【0019】また、超音波溶接は、フィンと電極板とを
その融点近くまで加熱することはないため、焼なまし状
態となり硬度が失われたり、熱膨脹、熱収縮を起こすこ
とがないので、形状精度と機械的強度の良い正特性サー
ミスタを提供することができる。
【0020】また、超音波溶接は放熱体にフラックスを
塗布する必要がないため、放熱体の表面を洗浄したり、
削り取ったりする必要がなくなり、作業性が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における正特性サーミスタ発
熱体の斜視図
【図2】従来の正特性サーミスタ発熱体の斜視図
【符号の説明】 1a フィン 1b フィン 2a 薄板 2b 薄板 3a 薄板 3b 薄板 4a 放熱体 4b 放熱体 5a 正特性サーミスタ 5b 正特性サーミスタ 5c 正特性サーミスタ 5d 正特性サーミスタ 5e 正特性サーミスタ 5f 正特性サーミスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 H01C 17/00 H05B 3/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属の薄板を波形に折曲させたフィンの
    上下の頂部に夫々金属板を超音波溶接により固着すると
    共に前記金属板の表面にしま模様の溶接跡を形成して
    熱体を形成し、次に、上、下両面に電極を有するサーミ
    スタ素子の前記上、下の電極と前記金属板の溶接跡との
    間に接着剤を入れて、前記サーミスタ素子と前記放熱体
    を接着剤を介して密着固定する正特性サーミスタ発熱体
    の製造方法。
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