JPH08227320A - 直交座標系上で柔らかさが調節可能なサーボ系 - Google Patents

直交座標系上で柔らかさが調節可能なサーボ系

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JPH08227320A
JPH08227320A JP7055189A JP5518995A JPH08227320A JP H08227320 A JPH08227320 A JP H08227320A JP 7055189 A JP7055189 A JP 7055189A JP 5518995 A JP5518995 A JP 5518995A JP H08227320 A JPH08227320 A JP H08227320A
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    • B25J9/16Programme controls
    • B25J9/1679Programme controls characterised by the tasks executed
    • B25J9/1687Assembly, peg and hole, palletising, straight line, weaving pattern movement
    • GPHYSICS
    • G05CONTROLLING; REGULATING
    • G05BCONTROL OR REGULATING SYSTEMS IN GENERAL; FUNCTIONAL ELEMENTS OF SUCH SYSTEMS; MONITORING OR TESTING ARRANGEMENTS FOR SUCH SYSTEMS OR ELEMENTS
    • G05B2219/00Program-control systems
    • G05B2219/30Nc systems
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直交座標系上でソフトフロート機能をロボッ
トに調節すること。 【構成】 直交座標系Σ0 上における位置偏差と設定さ
れたパラメータ(Kx ,Ky ,Kz )を用い、直交座標
系Σ0 上における力(Fx ,Fy ,Fz )を求める。ス
テップS2で、求められた力(Fx ,Fy ,Fz )をロ
ボットの姿勢データを用いてツール座標系Σn+1 上のデ
ータ(Fx(n+1),Fy(n+1),Fz(n+1))に変換する。更
に、(Fx(n+1),Fy(n+1),Fz(n+1))=(fx(n+1)
fy(n+1),fz(n+1))として、Newton−Eule
r法により、各軸のトルクTi を計算し(ステップS
3)、Ti /(Kp Kv )から位置ループ入力Ei を計
算する(ステップS4)。位置ループ入力Ei を入力と
する位置ループ処理、位置ループ出力を入力とする積分
処理と速度ループ処理、積分処理と速度ループ処理の出
力を加算するトルク指令作成処理等を実行すれば(ステ
ップS5)、ソフトフロート機能が発揮される。積分処
理と速度ループ処理の出力の加算は、設定された制限範
囲を越えないように行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は産業用ロボット(以
下、単に「ロボット」と言う。)の制御技術に関し、更
に詳しく言えば、ロボット軸駆動用のサーボモータを制
御するサーボ系の柔らかさを必要に応じて変更し、可変
に指定乃至設定すること(以下、「調節」と言う。)が
出来るようにする為の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ロボットのアームを駆動する各軸のサー
ボモータの制御は、通常、位置制御ループ及び速度制御
ループを有するサーボ系によって制御されている。図1
は、これを示したブロック図で、符号1は位置ループゲ
インKp の項、符号2は速度ループゲインKv の項であ
る。また符号3,4はモータの伝達関数の項であり、3
はトルク定数Kt、4はイナーシャJである。更に、符
号5はモータ速度vを積分してモータ位置qを求める伝
達関数である。なお、sはラプラス演算子を表わしてい
る。
【0003】ロボットコントローラの内部で作成される
移動指令rとモータ位置qより位置偏差eが算出され、
該位置偏差ev に位置ループゲインKpを乗じて速度指
令vc が出力される。更に、速度偏差ev が速度指令v
c とモータ速度vより算出され、この速度偏差eに速度
ループゲインKvを乗じてトルク指令tc が出力され
る。そして、該トルク指令tc に応じた駆動電流がモー
タに供給される。なお、速度ループの制御においては、
P制御に代えてPI制御またはIP制御が適用されるこ
ともある。
【0004】このようなサーボ系(PI制御もしくはI
P制御)によって各軸のモータが制御されるロボットの
ツール先端点が目標位置に向かって移動中になんらかの
障害物に遭遇・接触した場合、ロボットのツール先端点
は障害物に抗して目標位置に向かって移動を続行しよう
とする現象が生じる。
【0005】この現象は次のように説明される。即ち、
障害物の存在に関わらずサーボモータは目標位置に向か
って移動しようとするが、実際には障害物によりその目
標位置に移動することが阻まれ位置偏差eが増大する。
その結果、この位置偏差に位置ゲインKpを乗じて得ら
れる速度指令vc も増大する。そして、この増大する速
度指令vc とモータの速度v(障害物に当接していると
きには、速度vは「0」に近いと考えられる。)との差
は、速度ループの持つ積分器によって積分されて増大
し、トルク指令Tc は大きな値となる。
【0006】結局、サーボモータは目標位置への移動を
実現しようとして最大のトルクを出力するようになり、
ロボットの停止やワーク、エンドエフェクタ等の破壊事
故(干渉事故)を招く原因となる。そこで、このような
不都合を回避する手段として、必要に応じて位置ループ
ゲインKp及び速度ループゲインKvを低下させること
により速度指令vc 及びトルク指令tc の値の増大を抑
止する方式が用いられている。
【0007】この方式においては、通常、柔軟制御用の
ゲイン値Kp’,Kv’が予め設定され、柔軟制御指令
の入力時にゲインの値がKp,KvからKp’,Kv’
に各々切り換えられる。
【0008】このような従来方式は、サーボ系の柔らか
さを各ロボット軸(以下、単に「各軸」とも言う。)毎
に調節することを通して「各軸空間上でのソフトフロー
ト機能」を実現するものである。
【0009】例えば、ロボットの手首側の3軸について
非常に小さなKp’,Kv’を設定し、手首側の3軸に
ついて特に柔らかいサーボ制御が実現される。また、全
軸について非常に小さなKp’,Kv’を設定すれば、
全軸について非常に柔らかいサーボ系が構成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
方式では、サーボ系の柔らかさは各軸上でしか調節する
ことが出来ないので、作業空間内の方向別に柔らかさを
調節し、嵌め合い、バリ取り加工等、実際の作業に適合
した柔らかさをロボットに持たせることが困難であっ
た。
【0011】例えば、嵌め合いにおいては、一般に、ロ
ボットに把持されたワークの挿入方向に関しては硬く、
挿入方向と直交する方向に関しては柔らかいサーボ系に
よる制御が行なわれることが望ましいと考えられが、作
業空間内に定義された座標系上でサーボ系の柔らかさを
調節出来ない従来方式ではこのようなニーズには応えら
れない。
【0012】また、バリ取り加工においては、加工線の
延在方向とそれに直交する2方向の動作について各々別
の柔らかさを持たせることが望ましいが、それをロボッ
トの各軸についてサーボ系の柔らかさを調節する従来方
式で実現することも極めて困難である。
【0013】そこで本願発明の目的は、作業空間内に定
義された直交座標系(以下、単に「直交座標系」とも言
う。)上で柔らかさを調節することが出来るサーボ系を
提供し、ロボットに直交座標系上でのソフトフロート機
能を持たせることにある。また、本願発明は、そのこと
を通して、ロボットを用いた作業の精度と安全性を向上
させることを企図するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ロボットの
各軸を駆動するサーボモータを制御する為に各軸毎に位
置ループ処理と速度ループ処理を含む処理を行なうサー
ボ系に、直交座標系上でソフトフロート機能を持たせる
ようにしたものである。先ず、作業空間内に定義された
直交座標系上でのサーボの柔らかさを表わすパラメータ
の組を設定する。設定は、例えばロボットコントローラ
に付属した教示操作盤から画面入力することで行なわれ
る。ソフトフロート機能を有効化した場合には、前記設
定されたパラメータの組と、直交座標系上での位置偏差
から直交座標系上での力を計算する。
【0015】そして、この力を逆動力学で解いて各軸の
トルクTi (i=1,2・・・n;但し、nはロボット
の軸数)を求め、このトルクTi と位置ループ処理のゲ
インKp と、速度ループ処理のゲインKv に基づいて算
出されたEi を、各軸の前記位置ループ処理の入力とし
た処理を行なうことにより、直交座標系上で指定された
柔らかさが実現される。柔らかさの調節は、パラメータ
の組の設定を通して実行される。位置ループ処理の入力
Ei は、前記トルクTi (i=1,2・・・n;但し、
nはロボットの軸数)を前記位置ループ処理のゲインK
p と速度ループ処理のゲインKv の積で除すことによっ
て算出することが出来る。
【0016】重力の影響を考慮する必要のある場合に
は、位置ループ処理の出力が予め定められた積分ゲイン
で積分され、速度ループ処理の出力に足し込まれてトル
ク指令が出力される。その際の足し込み量には一定の制
限を設けることで、柔らかさが失われることを防止す
る。
【0017】
【作用】本願発明は、ロボットの各軸を駆動するサーボ
モータを制御するサーボ系についてソフトフロート機能
を拡充するものである。即ち、本願発明によれば、直交
座標系上で柔らかさを指定することが出来るサーボ系が
構築され、「直交座標系上でのソフトフロート機能」が
実現される。本願発明の原理の概要を説明すれば、次の
通りである。
【0018】直交座標系(O−XYZ)上でのロボット
動作制御の柔らかさは、次のように表わすことが出来
る。 Kx (xd −x)=Fx ・・・(1) Ky (yd −y)=Fy ・・・(2) Kz (zd −z)=Fz ・・・(3) ここで、 Kx ,Ky ,Kz ;X,Y,Z各座標系軸方向に関する
柔らかさの程度を表わすパラメータ x,y,z ;直交座標系上でのフィードバック(X,
Y,Z各成分) xd ,yd ,zd ;直交座標系上での位置指令(X,
Y,Z各成分) Fx ,Fy ,Fz ;ツール先端点にかかる力(位置指令
で指定された位置に移動しようとする力のX,Y,Z各
成分)、 である。
【0019】従って、直交座標系上でソフトフロート機
能を実現する為には、ロボットの動作時に上記(1)〜
(3)式中のパラメータKx ,Ky ,Kz の値を(可変
に定められた)一定値に保つような各軸の柔軟制御を行
なうサーボ系を構築すれば良いことになる。
【0020】上記(1)〜(3)式は、ツール先端点に
かかる力Fx ,Fy ,Fz が、パラメータKx ,Ky ,
Kz と、直交座標系上における位置偏差で表わされるこ
とを示している。
【0021】一方、逆動力学のアルゴリズムとして良く
知られているNewton−Eeler法(Luhのア
ルゴリズムとも呼ばれる。)を用いれば、ツール先端点
にかかる力Fx ,Fy ,Fz から、ロボットの各軸に必
要なトルクτi (i=1,2・・・n;nはロボットの
軸数、以下同様。)を求めることが出来る。
【0022】Newton−Eeler法は、例えば
「機械系のためのロボティクス」(遠山茂樹 著;総合
電子出版社、1991年5月30日第2版発行;p55
〜p65)に詳しいのでその詳細は省略し、使用される
アルゴリズムの結論部分のみを記せば次のようになる。
このアルゴリズムは、初期化、フォワードルーチン、バ
ックワードルーチンで構成される。
【0023】フォワードルーチンでは、ベース座標系Σ
0 側からロボット手先側に向かって各リンクの運動学的
な情報が計算される。一方、バックルーチンでは、ロボ
ット手先側からベース座標系Σ0 側へ向かって各リンク
に作用する力/モーメントかが計算される。
【0024】
【数1】 各記号の意味は次の通りである。 ni (i);i−1番目の軸で駆動されるリンク(以下、リ
ンクi−1などと言う。)からリンクiに及ぼされるト
ルクのΣi 表示。但し、Σi はi番目の軸上に設定され
た座標系Σi を表わす。 fi (i);リンクi−1からリンクiに及ぼされる力のΣ
i 表示 Fi (i);リンクiに及ぼされる外力ベクトルのΣi 表示 Ni (i);リンクiに及ぼされるモーメントベクトルのΣ
i 表示 Ri ;座標系変換行列Ai の主座の3×3行列で、回転
を表わす。なお、座標系変換行列Ai は、i番目の軸上
に設定された座標系Σi からi−1番目の軸上に設定さ
れた座標系Σi-1 への座標変換行列である。但し、座標
系Σ0 は前記直交座標系よ一致させたベース座標系にと
る。
【0025】pi *;Σi 表示のΣi-1 原点からΣi 原点
への位置ベクトル g;重力ベクトル si バー;Σi 表示のリンクiの重心位置を示す位置ベ
クトル Ii ;Σi 表示のリンクiの重心周りの慣性モーメント z0 ;Σ0 のZ軸方向の単位ベクトルで、Σ0 上では
(0,0,1)と表わされる bi ;i番目の関節軸の粘性抵抗 qi ;i番目の関節軸の軸変数で、qi =θi (リンク
iの角度)として良い ω,ωドット;Σ0 表示のリンクiの角速度、角加速度 上記アルゴリズムにおいて使用される諸量は、ロボット
の構造パラメータ、各軸の位置、速度、加速度等から計
算される。また、前述の式(1)〜(3)に従って位置
偏差(xd −x),(yd −y),(zd −z)と柔ら
かさを表わすパラメータKx ,Ky ,Kz から定められ
るFx ,Fy ,Fz は、上記アルゴリズム中のfn+1
(n+1) に取入れられる。fn+1(n+1) は、Σn+1 をツー
ル座標系として定義することにより、ツール座標系の原
点に働く力をツール座標系上で表わしていると考えるこ
とが出来る。
【0026】そこで、ツール座標系の姿勢を表わす現在
データを行列Uとし、F=(Fx ,Fy ,Fz )T
(Fx(0),Fy(0),Fz(0)T とすれば、行列演算UF
によって、Fx ,Fy ,Fz のツール座標系上の表現が
計算される。これをF(n+1) =(Fx(n+1),Fy(n+1)
Fz(n+1)T とすれば、fn+1(n+1)=F(n+1) となる。
【0027】ここで、重力を考慮しない条件;g=
(0,0,0)で上記アルゴリズムを用いて求められた
軸iのトルクτi (g=0)をTi とすれば、その軸の
サーボ系は次のように表わされる。
【0028】 Kp Kv Ei =Ti ・・・(5) 但し、Kp は位置ループゲイン、Kv は速度ループゲイ
ン、Ei は軸iの位置ループの入力を表わしている。図
2は、このサーボ系を図1に準じた表記で示したもので
ある(Kp ,Kv は便宜上各軸共通の表記としたが、各
軸毎に設定される場合にはKp ,Kv に代えてKpi,K
viとすれば良い)。図1と図2の差異は位置ループ処理
への入力がeからEi に変わっていることである。即
ち、各軸の位置ループ入力Ei は従来のサーボ系(図1
参照)における位置偏差eのように、その軸iの位置指
令rと位置フィードバックqの偏差で定義されるもので
はないことである。
【0029】このEi は、直交座標系上でのサーボの柔
らかさを表わすパラメータの組Kx,Ky ,Kz と直交
座標系上での位置偏差(xd −x),(yd −y),
(zd−z)から計算される力を逆動力学で解いて求め
られた各軸のトルクTi と、位置ループゲインKp と、
速度ループゲインKv に基づいて算出されたものであ
る。
【0030】換言すれば、このEi は、直交座標系上で
パラメータKx ,Ky ,Kz で表わされる柔らかさを実
現させる為にそのロボット軸のサーボ系が持つべき柔ら
かさに応じて各軸の位置偏差eを修正したものと解釈す
ることも出来る。Eを次式(6)で記す。 E=T/(Kp Kv ) ・・・(6) 以上のことから、各軸について上記(6)式で決定され
るEi を各軸の位置ループ入力とすることにより、前述
の関係式(1)〜(3)で表わされる直交座標系上での
柔らかさを実現するに必要なトルクTi が発生する。
【0031】次に重力の作用を考慮する。重力の作用を
考慮に入れた制御は、図2に示したサーボ系に積分器を
付加することで達成出来る。これを、図2に準じた表記
で図3に示す。図3において、Kp ,Kv は便宜上各軸
共通の表記としたが、各軸毎に設定される場合にはKp
,Kv に代えてKpi,Kviとすれば良いことは図2の
場合と同様である。図2と図3の差異は、Ei を入力と
する位置ループ処理で出力される速度指令vc に対して
重力分を補償する積分項6(Kg /s;但し、Kg は積
分器のゲイン)が計算され、速度指令vc を入力とする
速度ループ処理で計算されるトルクTi に足し込まれる
ことである。
【0032】この積分項6は、鉛直上向き方向について
トルク不足となる状態を回避する手段を提供するもので
ある。例えば直交座標系のZ軸を鉛直上向き方向にと
り、Kz を小さく(柔らかさは大)に設定した場合、積
分項6がない場合にはTi だけでは重力に打ち勝つこと
さえ出来ず、落下事故を起こす可能性がある。積分項6
があれば、Ti だけでは重力に打ち勝つことが出来なく
とも、ゲインKg に応じてトルクTi'が増大し、十分な
トルクが発生する。
【0033】但し、この積分項6で表わされる積分器に
は重力分のトルクが溜まる性質があるので、積分器の出
力に一定の制限値を設ける必要がある。もし、制限値を
設けないと、積分器に外力以上の力が溜り、柔らかさを
失ってその軸の指令位置に向かう強制的な動きが発生す
る。
【0034】そこで、ソフトフロート機能起動時に積分
器に溜っている値(出力)をIGRとして、ソフトフロー
ト機能時には次のような制限を設ける。ISOFT-LIMの値
はチューニング等によって各軸毎に適当に設定される。 IF I>IGR+ISOFT-LIM THEN I=IGR+ISOFT-LIM ・・・(7) IF I<IGR−ISOFT-LIM THEN I=IGR−ISOFT-LIM ・・・(8) 以上説明した手法に従って各軸のサーボ系を構成するこ
とによって、ロボットに直交座標系上で指定された柔ら
かさを持たせることが出来る。例えば、Z軸方向を挿入
方向とする嵌め合いにおいては、Kx とKy は比較的小
さく、Kz は比較的大きく指定することで、嵌め合いを
スムーズに行なうことが出来る。また、バリ取り加工に
おいては、加工線の延在方向(例えばX軸方向)とそれ
に直交する2方向(例えばY軸、Z軸方向)について、
個別に適正なKx ,Ky ,Kz の値を設定し、バリ取り
加工の作業精度を向上させることが出来る。
【0035】
【実施例】図4は、本願発明の実施例で使用されるロボ
ットコントローラRCを関連機器と共に要部ブロック図
で示したものである。先ず、ソフトフローティングサー
ボ制御に直接関係のある部分から説明すると、符号10
はシステム全体を制御するホストコンピュータを表わし
ている。符号16は、ホストコンピュータ10から出力
される移動指令や制御信号を後述のディジタルサーボ回
路のプロセッサに引渡し、あるいは、逆にディジタルサ
ーボ回路のプロセッサからの各種信号をホストコンピュ
ータ10に引き渡すための共有RAMメモリを表わして
いる。
【0036】符号17は、上述したサーボ制御を実行す
るディジタルサーボ(ソフトウェアサーボ)回路で、プ
ロセッサ、ROM、RAM等のメモリ等で構成される。
符号18は、ロボット30における各軸のサーボモータ
の位置のフィードバック値、速度のフィードバック値、
電流のフィードバック値等が書き込まれる帰還レジスタ
を表わしている。
【0037】他の部分について見ると、ホストCPU1
0にはバスライン19を介してROM11、RAM1
2、不揮発性メモリ13、外部装置40とのインターフ
ェイスの役割を果たす入出力装置(I/O)14、教示
操作盤20とのインターフェイス(I/F)15が接続
されている。ROM11には、各種のシステムプログラ
ムが格納される。RAM12は、ホストCPU10によ
るデータの一時記憶に使用されるメモリである。不揮発
性メモリ13には、ロボット30及び外部装置40の動
作内容に関する各種プログラム、関連設定値等が格納さ
れる。
【0038】教示操作盤20は、液晶ディスプレイ(L
CD)及びキーボードKBを備え、プログラム再生運転
指令、ジョグ送り指令、プログラムデータの入力/変
更、関連設定値入力/変更等が可能である。本実施例で
は、後述する柔らかさ設定画面で画面入力されるXYZ
各軸方向の柔らかさのデータ、並びに教示操作盤20か
ら入力されるISOFT-LIMの値が不揮発性メモリ13に格
納される。
【0039】入出力装置14に接続される外部装置は、
アプリケーションによって異なる。例えば、ワークの把
持を伴う作業であればロボットハンド、バリ取り加工で
あればバリ取りツール(電源等を含む。)が入出力装置
14に接続される。
【0040】図5は、本願発明の適用例として考えられ
る嵌め合い作業について説明する図である。同図におい
て、符号W1 ,W2 は嵌め合い対象のワークを表わして
いる。ワークW1 は図示を省略したロボットハンドに把
持されて、ワークW2 の孔HL内に嵌入される。嵌入方
向はロボットコントローラRCに設定済みの直交座標系
Σ0 のZ軸方向と一致しているものとする。符号GPは
ワークW1 の先端部に設けられたガイドピンを表わし、
TCPはツール先端点を表わす。
【0041】また、P1 ,P2 は各々後述する動作プロ
グラムでイチ[1]及びイチ[2]として教示された位
置を表わす。このような嵌め合いにおいては、教示ライ
ンP1 P2 が孔HLの軸線とある程度ずれることが多
い。従って、イチ[1]からイチ[2]への移動時に通
常の硬いサーボ制御を行なうと、TCPはあくまで教示
ラインP1 P2 に沿って進もうとするので、ガイドピン
GPが孔HLの入口でつかえて動けなくなり、場合によ
ってはワークW1 ,W2 やロボットハンドの破損事故を
起こす。本願発明を適用すれば、このような事態が回避
される。以下、その為の手順を説明する。
【0042】先ず、ユーザは、教示操作盤20に付設さ
れたLCDに図6に示されたような柔らかさ入力画面を
呼び出す。そして、Σ0 のX軸、Y軸、Z軸方向の各々
について個別に所望の値を画面入力する。入力される数
値が小さい程柔らかい状態が設定され、入力される数値
が大きい程硬い状態が設定さる。ここでは、X軸方向;
Kx =200g/cm、Y軸方向;Ky =200g/c
m、Z軸方向;Kz =500g/cmが各々設定される
例が示されている。
【0043】図7は、図5に示した嵌め合いを実行する
為に直交座標系ソフトフロート機能を用いた動作プログ
ラムの一例を表わしている。
【0044】図6の画面入力後に図7の動作プログラム
の再生運転を開始すると、ロボットのツール先端点はイ
チ[1]まで各軸移動形式で移動し、位置決めされる。
そして、ハンドを閉じてワークW1 を把持した後に、直
交座標系ソフトフロート機能を有効にして、イチ[2]
に向かって指令速度50mm/secで移動する。直交
座標系ソフトフロート機能が有効にされると図8に示し
た処理が所定周期で実行され、作用の欄で説明した原理
によって、ソフトフロート機能が発揮される。先ず、ス
テップS1では、直交座標系Σ0 上における位置偏差と
設定されたパラメータ(Kx ,Ky ,Kz )を用いて、
直交座標系Σ0 上における力(Fx,Fy ,Fz )を求
める。直交座標系Σ0 上における位置偏差は、各軸にお
ける位置偏差から順運動学で計算出来る。続くステップ
S2では、直交座標系Σ0 上で求められた力(Fx ,F
y ,Fz )をロボットの姿勢データを用いてツール座標
系Σn+1 上のデータ(Fx(n+1),Fy(n+1),Fz(n+1)
に変換する。
【0045】更に、(Fx(n+1),Fy(n+1),Fz(n+1)
=(fx(n+1),fy(n+1),fz(n+1))として、作用の欄
で説明したNewton−Euler法により、各軸の
トルクTi を計算し(ステップS3)、Ti /(Kp K
v )から位置ループ入力Eiを計算する(ステップS
4)。計算された位置ループ入力Ei を入力とする位置
ループ処理、位置ループ出力を入力とする積分処理と速
度ループ処理、積分処理と速度ループ処理の出力を加算
するトルク指令作成処理等を実行すれば(ステップS
5)、図6の設定画面通りのソフトフロート機能が発揮
される。積分処理と速度ループ処理の出力の加算は、設
定されたISOFT-LIMの下で、前出の(7),(8)式の
制限を守った範囲で行なわれる。
【0046】これにより、ワークW1 のガイドピンGP
が孔HLの上縁部に当接すると、ツール先端点TCPは
孔HLの内壁をなぞるように孔HLの軸線WJ上の点Q
(教示位置P2 に対応する位置)まで円滑に移動する。
次いで、ロボットハンドを開放して、ワークW1 の把持
を解けば嵌め合い作業は完了する。
【0047】なお、上記実施例では、直交座標系上で柔
らかさを表わすパラメータの設定は画面入力で行なった
が、動作プログラムの中で指定する方式としても良い。
例えば、バリ取りへのアプリケーションにおいて、加工
線の延在方向が屈曲している場合に、動作プログラム中
でそれに応じたパラメータ変更を行なえば、加工線の延
在方向に即した柔らかさの設定が可能となる。
【0048】
【発明の効果】本願発明によれば、作業空間内に定義さ
れた直交座標系上で柔らかさを調節することが出来る。
本願発明の手法に従って各軸のサーボ系を構成すること
によって、例えば、嵌め合い、バリ取り等の作業精度を
向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のサーボ系の構成を示したブロック図であ
る。
【図2】重力を考慮しない場合の本願発明のサーボ系の
構成を示したブロック図である。
【図3】重力を考慮した場合の本願発明のサーボ系の構
成を示したブロック図である。
【図4】本願発明の実施例で使用されるロボットコント
ローラの概要を説明する要部ブロック図である。
【図5】本願発明の適用例として考えられる嵌め合い作
業について説明する図である。
【図6】直交座標系上で柔らかさを入力する為の画面を
説明する図である。
【図7】図5に示した嵌め合いを実行する為に直交座標
系ソフトフロート機能を用いた動作プログラムの一例を
表わたものである。
【図8】実施例におけるソフトフロート機能有効化時の
処理の概要を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 位置ループゲインの項 2 速度ループゲインの項 3,4 モータの伝達関数の項 5 モータ速度からモータ位置を求める伝達関数 6 重力分を補償する積分項 10 ホストCPU 11 ROM 12 RAM 13 不揮発性メモリ 14 入出力装置 15 インターフェイス 16 共有RAM 17 ディジタルサーボ回路 18 帰還レジスタ 19 バスライン 20 教示操作盤 30 ロボット 40 外部装置 KB キーボード Kp 位置ゲイン Kv 速度ループゲイン Kt トルク定数 Kg 積分ゲイン GP ガイドピン HL 孔 LCD 液晶ディスプレイ P1 ,P2 教示点 RC ロボットコントローラ W1 ,W2 嵌め合い対象ワーク WJ 孔の軸線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロボットの各軸を駆動するサーボモータ
    を制御する為に前記各軸毎に位置ループ処理と速度ルー
    プ処理を含む処理を行なうサーボ系であって、 作業空間内に定義された直交座標系上での前記サーボの
    柔らかさを表わすパラメータの設定値の組と、前記直交
    座標系上での位置偏差から計算される前記直交座標系上
    での力を逆動力学で解いて求められた各軸のトルクTi
    (i=1,2・・・n;但し、nはロボットの軸数)
    と、前記位置ループ処理のゲインKp と、速度ループ処
    理のゲインKv に基づいて算出されたEi を、各軸の前
    記位置ループ処理の入力とした、直交座標系上で柔らか
    さが調節可能な前記サーボ系。
  2. 【請求項2】 ロボットの各軸を駆動するサーボモータ
    を制御する為に前記各軸毎に位置ループ処理と速度ルー
    プ処理を含む処理を行なうサーボ系であって、 作業空間内に定義された直交座標系上での前記サーボの
    柔らかさを表わすパラメータの設定値の組と前記直交座
    標系上での位置偏差から計算される前記直交座標系上で
    の力を逆動力学で解いて求められた各軸のトルクTi
    (i=1,2・・・n;但し、nはロボットの軸数)を
    前記位置ループ処理のゲインKp と速度ループ処理のゲ
    インKv の積で除した値Ei =Ti /(Kp Kv )を、
    各軸の前記位置ループ処理の入力とした、直交座標系上
    で柔らかさが調節可能な前記サーボ系。
  3. 【請求項3】 ロボットの各軸を駆動するサーボモータ
    を制御する為に前記各軸毎に位置ループ処理と速度ルー
    プ処理を含む処理を行なうサーボ系であって、 作業空間内に定義された直交座標系上での前記サーボの
    柔らかさを表わすパラメータの設定値の組と前記直交座
    標系上での位置偏差から計算される前記直交座標系上で
    の力を逆動力学で解いて求められた各軸のトルクTi
    (i=1,2・・・n;但し、nはロボットの軸数)
    と、前記位置ループ処理のゲインKp と、速度ループ処
    理のゲインKv に基づいて算出されたEi を、各軸の前
    記位置ループ処理の入力とすると共に、 前記位置ループ処理の出力を予め定められた積分ゲイン
    で積分し、前記速度ループ処理の出力に予め定められた
    所定の制限内で足し込んでトルク指令を出力するように
    した、直交座標系上で柔らかさが調節可能な前記サーボ
    系。
  4. 【請求項4】 ロボットの各軸を駆動するサーボモータ
    を制御する為に前記各軸毎に位置ループ処理と速度ルー
    プ処理を含む処理を行なうサーボ系であって、 作業空間内に定義された直交座標系上での前記サーボの
    柔らかさを表わすパラメータの設定値の組と前記直交座
    標系上での位置偏差から計算される前記直交座標系上で
    の力を逆動力学で解いて求められた各軸のトルクTi
    (i=1,2・・・n;但し、nはロボットの軸数)を
    前記位置ループ処理のゲインKp と速度ループ処理のゲ
    インKv の積で除した値Ei =Ti /(Kp Kv )を、
    各軸の前記位置ループ処理の入力とすると共に、 前記位置ループ処理の出力を予め定められた積分ゲイン
    で積分し、前記速度ループ処理の出力に予め定められた
    所定の制限内で足し込んでトルク指令を出力するように
    した、直交座標系上で柔らかさが調節可能な前記サーボ
    系。
  5. 【請求項5】 前記作業空間内に定義された直交座標系
    上での前記サーボの柔らかさを表わすパラメータの組
    が、画面入力により設定される請求項1〜請求項4いず
    れか1項に記載された、直交座標系上で柔らかさが調節
    可能な前記サーボ系。
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