JPH08224481A - 光触媒作用を有する部材 - Google Patents

光触媒作用を有する部材

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JPH08224481A
JPH08224481A JP7322538A JP32253895A JPH08224481A JP H08224481 A JPH08224481 A JP H08224481A JP 7322538 A JP7322538 A JP 7322538A JP 32253895 A JP32253895 A JP 32253895A JP H08224481 A JPH08224481 A JP H08224481A
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JP
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tio
sno
thin film
sol
tio2
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JP7322538A
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Makoto Hayakawa
信 早川
Keiichiro Norimoto
圭一郎 則本
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な緻密性および膜強度を有する基材表面
に光触媒薄膜を形成した部材において、光触媒薄膜の光
触媒活性を向上させる。 【解決手段】 基材表面にルチル型TiOと結晶径
0.01μm未満の酸化スズの混合物からなる薄膜を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイル、ガラス
(鏡)あるいは衛生陶器の表面に、抗菌性、防汚性、脱
臭性やNOx等の有害物質を分解する機能を有する部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】TiOは紫外線を吸収して特異な化学
反応を誘起する光触媒としての活性を示す。例えば空気
の存在下で紫外線を照射すると、酸素分子の吸着あるい
は脱着が起こり、悪臭の成分である有機化合物の分解を
促進する。また、TiOにはアナターゼ型、ブルッカ
イト型およびルチル型の異なる結晶型があり、光触媒活
性についてはアナターゼ型が優れており、他の結晶型の
場合には活性がそれほど大きくない。しかし、ルチル型
のTiOであっても、Pt等の金属を担持させること
で光触媒活性が向上することが雑誌「表面」1987、
25巻に報告されている。
【0003】そして、タイル等の表面に光触媒薄膜を形
成する従来の方法は、TiO粒子をバインダーに混練
し、これをタイル等の表面に塗布して熱処理するように
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして形成
した光触媒は悪臭除去率、緻密性および密着性の点で充
分ではなかった。光触媒薄膜を形成する際に緻密性を向
上させるためにはTiO薄膜を焼結するのが最も有効
である。また良好な密着性を得るためにはTiO薄膜
の強度を充分に高めることが最も重要であり、その具体
的な方法としては、やはり焼結によるのが最も簡易な方
法である。しかしながら充分な焼結反応を生じるために
は800℃をこえる温度で焼成することが必要であり、
この温度ではアナターゼはルチルに相転移を起こしてし
まう。したがって悪臭除去率、緻密性および密着性の点
で充分なTiO薄膜を得るには、ルチル型TiO
膜において触媒活性の向上を図らなければならない。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】本発明では上
記課題を解決するために、基材表面にルチル型TiO
と結晶径0.01μm未満のSnOの混合物からなる
薄膜を形成した。
【0006】ここで基材の材質は、陶磁器、セラミッ
ク、ガラス、金属あるいはそれらの複合物等基本的に何
でもよいが、特に高温で焼成する陶磁器、セラミックが
適している。基材の形状は、どのようなものでもよく、
板状、球状などの単純形状のものでも、衛生陶器、洗面
台、浴槽等の複雑形状のものでも構わない。基材表面と
は、最表面およびその近傍をいう。それは一部であって
も全面であってもよい。したがって、基材表面にルチル
型TiO薄膜がある程度埋設あるいは含浸された場
合、その埋設、含浸部分までを含む。
【0007】SnOの結晶径は、粉末X線回折におけ
る回折線ピークの積分幅からScherrerr式によ
り求める。
【0008】薄膜の形成方法は、下記2つの方法のいず
れかによる。1つはTiOゾルとSnOゾルを予め
混合して基材表面に塗布し、焼成する方法である。Ti
ゾルとSnOゾルの混合は、塩基性水溶液中で行
う。両者共に良好な分散を示すのは電気化学的にみてア
ルカリ側だからである。塩基性水溶液としてはアンモニ
ア、アルカリ金属またはアルカリ上類金属を含む水酸化
物があげられるが、熱処理後に金属汚染物が生成しない
ことからアンモニアが特に好ましい。なお、これらの分
散液にさらに有機系、リン酸系の分散剤、表面処理剤、
表面活性剤を添加してもよい。
【0009】塗布方法としては、上記混合液をスプレー
・コーティング、ディップ・コーティング、ロール・コ
ーティング、スピン・コーティング、CVD、電子ビー
ム蒸着、スパッタなどして塗膜する方法があるが、その
いずれでもよいし、それ以外の方法でもよい。ただしス
プレー・コーティング、ディップ・コーティング、ロー
ル・コーティングはCVD、電子ビーム蒸着、スパッタ
などと比較して特別の設備を必要とせず、安価に塗膜可
能である利点がある。
【0010】塗布後、焼成する前に膜を乾燥させてもよ
い。乾燥は室温〜100℃程度で行うのがよい。焼成温
度は、この条件でルチルの生成するのに充分な温度で行
う。その温度は常圧下ではSnO共存下で830℃以
上である。TiOとSnOの固溶体を形成する必要
はない。TiOとSnOの固溶体を形成するには長
時間高温で保持する必要があり、生産効率が悪くなるか
らである。
【0011】もう1つの方法はルチル型TiO薄膜の
形成後、SnOゾルをその上から添加し、焼成する方
法である。この方法ではまずチタンを含む出発原料を基
材に塗布する。ここで出発原料としてはTiOゾル、
チタンアルコキシド、チタンの硫酸塩、チタンの塩化物
溶液等を用いる。TiOゾルを用いる場合は、TiO
の等電点がpH6.5とほぼ中性であることから、酸
またはアルカリで分散した水溶液を用いて基材上に塗布
すると均一に塗布しやすい。このとき基材が金属のとき
は耐蝕性の観点からアルカリ分散液が好ましい。陶磁
器、タイル、セラミック等の場合は酸、アルカリいずれ
の分散液を用いてもよい。酸としては硝酸、硫酸、、塩
酸、酢酸、リン酸、有機酸等があげられる。アルカリ性
水溶液としてはアンモニア、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属を含む水酸化物があげられるが、熱処理後に
金属汚染物が生成しないことからアンモニアが特に好ま
しい。なお、これらの分散液にさらに有機系、リン酸系
の分散剤、表面処理剤、表面活性剤を添加してもよい。
なお出発原料のTiOゾルの平均粒径は0.05μm
以下、好ましくは0.01μm以下がよい。粒径が小さ
いと初期焼結がより低温で生じるので、低い温度で剥離
強度に優れた光触媒薄膜をを生成しうるからである。基
材への塗布方法は、これらをスプレー・コーティング、
ディップ・コーティング、ロール・コーティング、スピ
ン・コーティング、CVD、電子ビーム蒸着、スパッタ
などして塗膜する方法があるが、そのいずれでもよい
し、それ以外の方法でもよい。ただしスプレー・コーテ
ィング、ディップ・コーティング、ロール・コーティン
グはCVD、電子ビーム蒸着、スパッタなどと比較して
特別の設備を必要とせず、安価に塗膜可能である利点が
ある。塗布後、焼成する前に膜を乾燥させてもよい。乾
燥は室温〜100℃程度で行うのがよい。
【0012】次いで塗布した複合部材を焼成する。焼成
はルチルの生成する温度で行う。その温度は常圧下では
900℃以上である。その後冷却固化した複合部材の上
にさらにSn元素を含む出発原料を塗布し、焼成する。
Sn元素を含む出発原料としてはSnOゾル等があ
る。SnOゾルには塩基性水溶液を用いるとよい。S
nOゾルは電気化学的にみてアルカリ側で安定だから
である。塩基性水溶液としてはアンモニア、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属を含む水酸化物があげれる
が、熱処理後に金属汚染物が生成しないことからアンモ
ニアが特に好ましい。なお、これらの分散液にさらに有
機系、リン酸系の分散剤、表面処理剤、表面活性剤を添
加してもよい。基材への塗布方法は、これらをスプレー
・コーティング,ディップ・コーティング、ロール・コ
ーィング、スピン・コーティング、CVD、電子ビーム
蒸着、スパッタなどして塗膜する方法があるが、そのい
ずれでもよいし、それ以外の方法でもよい。ただし、ス
プレー・コーティング、ディップ・コーティング、ロー
ル・コーティングはCVD、電子ビーム蒸着、スパッタ
などと比較して特別の設備を必要とせず、安価に塗膜可
能である利点がある。塗布後、焼成する前に膜を乾燥さ
せてもよい。乾燥は室温〜100℃程度で行うのがよ
い。焼成温度は、SnOから有機添加物成分が蒸発す
る温度であればよい。その温度は常圧下では300℃以
上である。またTiOとSnOの固溶体を形成する
必要はない。TiOとSnOの固溶体を形成するに
は長時間高温で保持する必要があり、生産効率が悪くな
るからである。
【0013】また基材表面にルチル型TiOと結晶径
0.01μm未満のSnOの混合物からなる薄膜を形
成し、さらにその上にCu、Ag、Pt、Fe、Co、
Ni、Pdのうち少なくとも1種の金属を固定化しても
よい。これらの金属は、電子捕捉作用があり、それによ
りルチル型TiOと結晶径0.01μm未満のSnO
の混合物からなる薄膜の光触媒活性が向上する。特
に、Cu、Agではそれ自体に抗菌力があり、抗菌性に
関する暗活性を付与できるので、光照射しなくてもある
程度の抗菌力を持たせることが可能となる。Cu、A
g、Pt、Fe、Co、Ni、Pdのうち少なくとも1
種の金属の固定化方法は、これら金属のうちの少なくと
も1種の金属塩水溶液を塗布し、この後、光還元法また
は熱処理法により固定化する。
【0014】金属塩水溶液は、金属種が基本的に陽イオ
ンとして溶解していればよい。具体的には酢酸銅、硝酸
銀、炭酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化白
金酸、塩化パラジウム、塩化ニッケル、塩化コバルト、
塩化第一鉄、塩化第二鉄などがあげられる。
【0015】金属塩水溶液の塗布方法は、スプレー・コ
ーティング法またはディップ・コーティング法等がある
が、使用量が少なくてすむこと、均一に塗布できるこ
と、膜厚を制御しやすいこと、裏面に付けたくないとき
にそれが可能であることなどの理由によりスプレー・コ
ーティング法がより好ましい。
【0016】光還元法の場合には、その後、紫外線を含
む光を照射して金属イオンを還元してルチル型TiO
と結晶径0.01μm木満のSnOの混合物からなる
薄膜の上にCu、Ag、Pt、Fe、Co、Ni、Pd
のうち少なくとも1種の金属を固定化する。紫外線を含
む光を照射する光源は、紫外線を含む光を照射しうるも
のであればよく、具体的には、紫外線ランプ、BLBラ
ンプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯等のいずれでも
よい。紫外線を含む光の照射方法は、照射面に垂直に光
があたるように試料を配置するのが好ましい。照射効率
が最も優れるからである。試料の光源からの距離は1c
m〜30cmが好ましい。距離が短すぎると試料面全体
にほぼ均一な照度で光が照射されず上記金属種の付着に
ばらつきが生じやすくなる。照射される光の照度は距離
の2乗に反比例するので、距離が長すぎると照度が小さ
くなり金属種を強固に付着することが困難になる。
【0017】熱処理法の場合には、その後、金属が固着
するのに充分な温度に加熱して固定化する。その温度は
100℃以上が好ましい。ただし例えば800℃以上と
いった高温で処理すると金属が酸化されるので、その場
合には酸化されても電子捕捉効果を失わない、あるいは
抗菌性を失わない金属に限定される。すなわちAg、C
uに限定されることになる。Ag、Cuの場合には高温
で焼成しても電子捕捉効果または抗菌性を失わないので
以下に示す製法も可能である。すなわちTiOゾルと
SnOゾルを予め混合して基材表面に塗布し、次いで
金属塩水溶液を塗布した後焼成する方法である。この方
法によれば、焼成工程を1回ですますことが可能とな
り、生産性向上、製造コスト低減に効果がある。
【0018】光触媒が最表面に露出することにより、悪
臭物質、菌類等の反応物と直接触媒が接することになる
ので、光触媒活性が有効に発揮されると共に、TiO
が高温安定相のルチルなので、830℃以上の高温処理
をしてもアナターゼ型のように他の相に転移することは
ない。TiOの焼結開始温度は出発原料の粒径に依存
するが、大気中では、アルコキシド法による場合(3〜
100nm程度)は600℃、サブミクロン・オーダー
の粉体を用いた場合でも800℃程度である。したがっ
て830℃以上で熱処理可能となることにより、TiO
粒子同士を強固に結合でき、膜強度を向上させること
ができ、更に、ルチル型TiOに結晶径0.01μm
未満のSnOを添加することで光触媒活性が向上す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】
【0020】
【実施例】
(実施例1)結晶径0.01μmのTiOゾルをpH
11に調整したアンモニア水溶液に4〜6重量%添加し
て懸濁液Aを作製した。別の容器に結晶径0.0035
μmのSnOゾルをpH11に調整したアンモニア水
溶液に10重量%添加して懸濁液Bを作製した。懸濁液
Aと懸濁液Bを所定の割合で混合させた後、15cm角
のタイル基材表面にスプレー・コーティング法により塗
布し、乾燥後850℃で2時間焼成して試料を得た。得
られた試料におけるTiOの結晶型はルチル型であっ
た。また粉末X線回折でTiOの格子定数を測定した
ところ、TiO格子中へのSnOの固溶は認められ
なかった。得られた試料について光触媒活性および耐摩
耗性を評価した。
【0021】光触媒活性については、試料表面にヨウ化
カリウム水溶液を滴下し、次いで滴下したヨウ化カリウ
ム水溶液に30分間紫外線を照射し、照射前のヨウ化カ
リウム水溶液のpHと照射後のヨウ化カリウム水溶液の
pHとの差(△pH)により評価した。すなわちこの方
法によれば試料表面の光触媒活性が高ければ下記に示す
ような酸化還元反応がより進行するので照射後のpHは
照射前のpHより高くなっていく。 酸化反応:2I+2h→I 還元反応:O+2HO+4e→4OH
【0022】また耐摩耗性はプラスチック消しゴムを用
いた摺動摩耗を行い、外観の変化を比較し、評価した。
評価指標を下記に示す。 ◎:40回往復に対して変化なし ○:10回以上40回未満の摺動で傷が入り、光触媒層
(TiO膜)が剥離 △:5回以上10回未満の摺動で傷が入り、光触媒層
(TiO膜)が剥離 ×:5回未満の摺動で傷が入り、光触媒層(TiO
膜)が剥離 図1に薄膜中におけるSnOの重量比に対する耐摩耗
性の変化を示す。SnOの有無にかかわらず耐摩耗性
は良好な結果を示し、◎または○となった。850℃と
いう高温で処理したために焼結が生じ、膜中の粒子同士
が強固に結合したためと考えられる。
【0023】特にSnOが30%をこえると◎となっ
た。これは出発原料のTiOゾル(結晶径0.01μ
m)とSnOゾル(結晶径0.0035μm)との粒
径比が2以上であることから、微粒のSnO粒子がT
iO粒子の間隙を埋めることにより充填性が向上し、
膜がより緻密化したためと考えられる。図2に薄膜中に
おけるSnOの重量比に対する光触媒活性の変化を示
す。比較のため良好な抗菌性および防臭特性を示すルチ
ル型TiOにCuを担持した試料(R30(L)で6
0%)の△pHおよび非常に良好な抗菌性および防臭特
性を示すアナターゼ型TiO試料(R30(L)で9
7%)の△pHも合わせて示した。R30とは、30分
後における悪臭除去率のことであり、以下に示す試験に
より求める。分解ガスにはメチルメルカプタンを用い、
メチルメルカプタン初期濃度が2ppmに調整された直
径26cm×高さ21cmの円筒形容器に試料を設置す
る。光照射時の防臭特性R30(L)は、次いで4Wの
BLB蛍光灯を試料から8cm離して光を30分照射
し、メチルメルカプタンの濃度減少率を算出し求める。
また暗時の防臭特性R30(D)は、光を当てずに30
分経過したときのメチルメルカプタンの濃度減少率を算
出し求める。SnOを添加したルチル型TiOの△
pHは、アナターゼ型TiOには及ばないものの、S
nOの添加重量比が10%をこえ80%未満好ましく
は20%以上70%以下ではルチル型TiOにCuを
担持した試料の△pHより大きな値を示し、良好な光触
媒活性があることが判明した。
【0024】10%をこえると特に充分な光触媒活性を
生じるのは、添加したSnO粒子がTiO粒子の結
晶粒界に充分な量介在し、焼成時のTiOの粒成長に
基づく比表面積の低下、すなわち触媒活性の低下を有効
に防止するためと考えられる。一方80%未満の方が効
果が大きいのは、主に2つの原因が考えられる。1つ
は、SnO量がTiO粒子を覆うぼど多くないた
め、充分な光触媒活性が維持されやすいからである。も
う1つは、SnO粒子同士が隣接して粒成長する確率
が低いため、SnO粒子の平均粒径は0.01μm末
満に維持されやすいからである。一般にSnOはH
発生のためのポテンシャルエネルギーより伝導帯準位下
端が正側にあるため、活性酸素を生成する反応は生じに
くいとされているが、微粒になると界面において伝導帯
準位が上方に移行するため、活性酸素が生成する可能性
が生じる。おそらく、SnOは粒径が0.01μm未
満になると、H発生のためのポテンシャルエネルギー
よりも界面の伝導帯準位下端の方が負側に大きくなるた
め、SnOによる光触媒活性も付加されるのであろ
う。
【0025】(比較例)結晶径0.01μmのTiO
ゾルをpH11に調整したアンモニア水溶液に4〜6重
量%添加して懸濁液Aを作製した。別の容器に結晶径
0.01μmのSnOゾルをpH11に調整したアン
モニア水溶液に10重量%添加して懸濁液Cを作製し
た。懸濁液Aと懸濁液Cを所定の割合で混合させた後、
15cm角のタイル基材表面にスプレー・コーティング
法により塗布し、乾燥後850℃で2時間焼成して試料
を得た。得られた試料におけるTiOの結晶型はルチ
ル型であった。また粉末X線回折でTiOの格子定数
を測定したところ、TiO格子中へのSnOの固溶
は認められなかった。この試料について光触媒活性およ
び耐摩耗性を評価した。
【0026】図3に薄膜中におけるSnOの重量比に
対する耐摩耗性の変化を示す。SnOの有無にかかわ
らず耐摩耗性は良好な結果を示し○となった。850℃
という高温で処理したために焼結が生じ、膜中の粒子同
士が強固に結合したためと考られる。ただし、今回はS
nOの添加量を増加させてもそれ以上耐摩耗性を向上
させることはできなかった。これは出発原料のTiO
ゾル(結晶径0.01μm)とSnOゾル(結晶径
0.01μm)との粒径比がほぼ等かったため、SnO
粒子がTiO粒子の間隙を埋めることによる充填性
の向上がなく、膜が緻密化しなかったためと考えられ
る。
【0027】図4に薄膜中におけるSnOの重量比に
対する光触媒活性の変化を示す。比較のため良好な抗菌
性および防臭特性を示すルチル型TiOにCuを担持
した試料の△pHおよび非常に良好な抗菌性および防臭
特性を示すアナターゼ型TiO試料の△pHも合わせ
て示した。SnOを添加したルチル型TiOの△p
Hは、今回はアナターゼ型TiO試料の△pHにもル
チル型TiOにCuを担持した試料の△pHにもはる
かに及ばなかった。
【0028】(実施例2)結晶径0.01μmのTiO
ゾルをpH11に調整したアンモニア水溶液に4〜6
重量%添加して懸濁液Aを作製した。別の容器に結晶径
0.0035μmのSnOゾルをpH11に調整した
アンモニア水溶液に10重量%添加して懸濁液Bを作製
した。懸濁液Aと懸濁液Bを所定の割合で混合させた
後、15cm角のタイル基材表面にスプレー・コーティ
ング法により塗布し、乾燥後850℃で2時間焼成して
部材Kを得た。得られた部材KにおけるTiOの結晶
型はルチル型であった。また薄膜中のSnOの重量比
は60%であった。また粉末X線回折でTiOの格子
定数を測定したところ、TiO格子中へのSnO
固溶は認められなかった。さらに部材Kに5重量%酢酸
銅水溶液をスプレー・コーティング法により塗布後乾燥
し、この後光還元(光源は20ワットBLBランプ、光
源から試料までの距離10cm、照射時間1分)して試
料を得た。得られた試料について防臭特性R30を評価
した。
【0029】結果を表1に示す。なお比較のため実施例
1および比較例において作製した試料(SnOの重量
比60%)についても合わせて試験した。表1よりCu
を添加したことにより以下に示す効果があることが判明
した。
【0030】
【表1】
【0031】(1)実施例1の試料と比較してR30
(L)に若干の向上がみられた。これはCuによる電子
捕捉効果によると考えられる。 (2)実施例1および比較例の試料と比較してR30
(D)が著しく向上した。この暗活性の向上は銅の触媒
効果によると解される。
【0032】
【発明の効果】基材表面に光触媒薄膜を形成した部材に
おいて、光触媒薄膜のTiO成分がルチル型となる焼
成温度で処理することにより、充分な緻密性およびTi
膜強度を持たせることができる。その際、ルチル型
TiO以外に結晶径0.01μm未満のSnOがあ
ると、光触媒薄膜の光触媒活性を向上させることができ
る。
【0033】さらに光触媒薄膜上にCu、Ag、Pt、
Fe、Co、Ni、Pdのうち少なくとも1種の金属を
固定化することにより、電子捕捉作用により光触媒活性
をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜中のSnO重量比に対する耐摩
耗性を示すグラフ。
【図2】本発明の薄膜中のSnO重量比に対する光触
媒活性を示すグラフ。
【図3】比較例としての薄膜中のSnO重量比に対す
る耐摩耗性を示すグラフ。
【図4】比較例としての薄膜中のSnO重量比に対す
る光触媒活性を示すグラフ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面にルチル型TiOと結晶径
    0.01μm未満のSnOの混合物からなる薄膜を形
    成することを特徴とする光触媒作用を有する多機能部
    材。
  2. 【請求項2】 基材表面にルチル型TiOと結晶径
    0.01μm未満のSnOの混合物からなる薄膜を形
    成し、さらにその上にCu、Ag、Pt、Fe、Co、
    Ni、Pdのうち少なくとも1種の金属を固定化するこ
    とを特徴とする光触媒作用を有する多機能部材。
  3. 【請求項3】 前記薄膜中のSnOの重量比が10%
    をこえ80%未満であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載された光触媒作用を有する多機能部材。
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