JPH0822233B2 - 醗酵法によるl−スレオニンの製造法 - Google Patents

醗酵法によるl−スレオニンの製造法

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JPH0822233B2 JP12699888A JP12699888A JPH0822233B2 JP H0822233 B2 JPH0822233 B2 JP H0822233B2 JP 12699888 A JP12699888 A JP 12699888A JP 12699888 A JP12699888 A JP 12699888A JP H0822233 B2 JPH0822233 B2 JP H0822233B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 L−スレオニンは、必須アミノ酸の一つであり医薬品
や食品添加物、飼料添加物等に利用されている。本発明
は、醗酵法によるL−スレオニンの製造方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
従来、プロテウス属に属する微生物を用いた醗酵法に
よるL−スレオニンの製造法として、具体的な種とし
て、プロテウス レトゲリが多く使用されてきた。しか
し、現在このプロテウス・レトゲリは、バージーズ マ
ニュアル オブ システマティック バクテリオロジー
第1版(BERGEY'S MANUAL OF Systematic Bacter
iology Volume 1)では、プロビデンシア属に属して
いる。
プロテウスまたはプロビデンシア属に属する微生物を
用いた醗酵法によるL−スレオニンの製造法としては、
例えばL−イソロイシン要求性を有する微生物を用いる
方法(特公昭43−4440)が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、この方法によるL−スレオニンの生成蓄積濃
度は高価なホモセリンを培地に添加しない限り十分に満
足できるものではなかった。本発明者らは、ホモセリン
を使用しない場合でも生産性の高いL−スレオニンの製
造法について鋭意研究した結果、プロビデンシア属に属
し8−アザグアニン耐性を有する変異株が著量のL−ス
レオニンを蓄積することを見出し本発明を完成するに至
った。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、プロビデンシア属に属し、8−アザグアニ
ン耐性を有し、かつL−スレオニン生産能を有する微生
物を培養し、培地中にL−スレオニンを生成蓄積せし
め、該培養物からL−スレオニンを採取することを特徴
とする醗酵法によるL−スレオニンの製造法に関する。
本発明で使用される微生物としてはプロビデンシア属
に属し8−アザグアニン耐性、例えば8−アザグアニン
を25μg/ml添加した培地中での相対生育度が約50%以上
の耐性を有する微生物が好ましく、該耐性を有していれ
ば他の薬剤に対する耐性あるいはアミノ酸、核酸、ビタ
ミンなどの栄養要求性などいくつかの性質をあわせて持
っている微生物のいずれも使用できる。
このような微生物の代表的なものとしては、プロビデ
ンシア属に属する微生物に紫外線照射、γ−線照射、N
−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジンなど
の薬剤処理等の変異処理をして得た変異株をあげること
ができる。
変異処理した菌体から本発明の変異株を分離する方法
は、親株が生育できないような量の8−アザグアニンを
含む固体培地中に生育できるような菌株を採取すること
により行われる。
本発明で使用される微生物として具体的には、例えば
プロビデンシア レトゲリNK−878002株(微工研菌寄第
10009号)があげられる。このプロビデンシア レトゲ
リNK−878002株(微工研菌寄第10009号)は、プロビデ
ンシア レトゲリを変異処理して得られたもので、その
菌学的諸性質は以下のとおりである。
(a) 形 態 肉汁寒天斜面上で30℃2日間培養後の観察では細胞は
直径0.6〜0.8μ長さ1.5〜2.5μの長桿菌である。細胞の
多形性はない。運動性はあり、周鞭毛を有する。又、胞
子は形成しない。グラム染色は陰性で、抗酸性を示さな
い。
(b) 各種培地上での生育状態 30℃で培養し、1ないし7日間にわたって観察した。
肉汁寒天平板培養:コロニーは正円、円状に隆起し、
周縁表面とも平滑乳白色やや透明、幾分光沢を有する。
生育は普通である。色素は生成しない。
肉汁寒天斜面培養:疣状から広布状で光沢があり乳白
色、やや透明、隆起状、あるいは中凹状となる。
肉汁液体培養:表面発育認められず、濁度中位で余剰
菌体は沈澱する。
ゼラチンさくし培養:ゼラチンは液化しない。
(c) 生理的性質 硝酸塩の還元:陽性 MRテスト:陽性 VPテスト:陰性 インドールの生成:陽性 クエン酸の利用:陽性 ウレアーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 フェニールアラニン デアミナーゼ:陽性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 アルギニン ジヒドロラーゼ:陰性 リジン デカルボキシラーゼ:陰性 オルニチン デカルボキシラーゼ:陰性 硫化水素の生成:陰性 酸素に対する態度:嫌気性、好気性で発育 糖からの酸の生成 L−アラビノース 陰性 D−グルコース 陽性 D−マンノース 陽性 シヨ糖 陰性 マルトース 陰性 トレハロース 陰性 D−ソルビット 陰性 D−マンニット 陽性 イノシット 陽性 エスクリン 陰性 D−アラビトール 陽性 アドニット 陽性 ラムノース 陽性 メリビオース 陰性 アミグダリン 陰性 以上の菌学的諸性質をバージーズ マニュアル オブ
システマティック バクテリオロジー 第1版(BERG
EY'S MANUAL OF Systematic Bacteriology Volume
1)に記載の種と照合すると、プロビデンシア レト
ゲリと一致する。
本発明で使用するNK−878002株と親株について、8−
アザグアニン添加濃度の変化に伴う生育度の変化を調べ
たところ表1に示す通りであった。
尚、本試験は、次のようにして行った。即ち、表2の
最小培地に8−アザグアニンを添加した培地を用い、長
さ180mm、径18mmの試験官に10mlの培地を分注・殺菌し
たものにそれぞれの菌株を接種し24時間、30℃で振盪培
養した後、610nmにおける吸光度を測定した。
本発明におけるL−スレオニン生産用の培地は、炭素
源としてはグルコース、フラクトース、澱粉およびその
分解物等の種類、フマール酸、コハク酸、クエン酸等の
有機酸などが好適であり、窒素源としては硫酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、アンモニア水、アンモニアガ
ス等が好適である。無機塩としてはナトリウム、カリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、リン酸など
の塩類を必要に応じて使用する。
又、微量のビタミン類、核酸類は必要に応じて添加す
る。又、使用菌の要求物質は単品として添加してもそれ
を含有する天然系物質のいずれを用いてもよく、天然系
物質として例えばコーンスチープリカー、ペプトン、肉
エキス、酵母エキス等がある。
培養条件は振盪培養、通気撹拌培養などの好気的条件
下で行うのが良く培養中のpHは4〜9の範囲に炭酸カル
シウムやアンモニア水、アンモニアガス、鉱酸で保つの
がよい。又、培養温度は20℃〜40℃の間が良く、培養日
数は通常2〜6日である。
培養終了液からL−スレオニンを採取する方法は公知
のイオン交換樹脂法、濃縮法、吸着法、塩析法などを併
用して行うことが出来る。
〔効 果〕
後記実施例及び参考例に示す如く、8−アザグアニン
耐性変異株とその親株を培養した結果を表3に示した。
本発明例のプロビデンシア レトゲリNK−878002株で
は、スレオニンの蓄積濃度が顕著に向上した。
参考例 8−アザグアニン耐性株の取得 プロビデンシア レトゲリの菌体を100γ/ml N−メチ
ル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン溶液(0.05
Mリン酸緩衝液)にけん濁し、30℃に10分保った後遠沈
集菌し生理食塩水で洗浄する。これを再び遠沈集菌し、
生理食塩水にけん濁した菌液を8−アザグアニン100g/l
を含有した寒天平板培地(グルコース0.2%、硫安0.1
%、K2HPO40.7%、KH2PO40.3%、MgSO40.01%、クエン
酸ナトリウム0.01%、L−イソロイシン0.05%)に塗布
し30℃、72時間培養し生育した大きなコロニーを釣菌分
離して、8−アザグアニン耐性株(プロビデンシア レ
トゲリNK−878002株)を取得した。
〔実施例〕
表4に示す組成のシード培地100mlを500ml容三角コル
ベンに分注し、115℃で15分間殺菌する。次いでそのシ
ード培地にNK−878002株を接種し、30℃で24時間培養す
る。その後表4に示す生産培地20mlを500ml容三角コル
ベンに分注し、115℃で15分間殺菌した培地にその培養
物を5%となるよう接種し、30℃で4日間振盪培養す
る。培養終了時のL−スレオニン蓄積量は6.2g/であ
った。培養終了液1000mlを遠心して菌体及び炭酸カルシ
ウム等の不溶物を除去し上澄液を陽イオン交換樹脂(H+
型)に通塔する。吸着したL−スレオニンを3.0%のア
ンモニア水で溶出しL−スレオニン含有区分を濃縮して
L−スレオニンの粗結晶を得た。粗結晶を水で溶解して
再び濃縮してL−スレオニンの結晶4.5gを得た。
〔比較例〕
実施例で使用した菌株を親株におきかえて同様の方法
で培養した。培養終了時のL−スレオニン蓄積量は1.8g
/であった。また、実施例と同様の方法で精製しL−
スレオニンの結晶1.3gを得た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロビデンシア属に属し、8−アザグアニ
    ン耐性を有し、かつL−スレオニン生産能を有する微生
    物を培養し、培地中に生成蓄積したL−スレオニンを採
    取することを特徴とするL−スレオニンの製造法。
  2. 【請求項2】プロビデンシア属に属し8−アザグアニン
    耐性を有しかつL−スレオニン生産能を有する微生物。
JP12699888A 1988-05-26 1988-05-26 醗酵法によるl−スレオニンの製造法 Expired - Fee Related JPH0822233B2 (ja)

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