JPH08218271A - 耐湿熱性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法 - Google Patents

耐湿熱性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法

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JPH08218271A
JPH08218271A JP2264595A JP2264595A JPH08218271A JP H08218271 A JPH08218271 A JP H08218271A JP 2264595 A JP2264595 A JP 2264595A JP 2264595 A JP2264595 A JP 2264595A JP H08218271 A JPH08218271 A JP H08218271A
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洋文 佐野
Shinji Yamaguchi
新司 山口
Tomoyuki Sano
友之 佐野
Isao Sakuragi
功 桜木
Yuji Ogino
裕二 荻野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温オートクレーブ養生が可能なセメント製
品の補強用として、また長期間水や湿熱にさらされるゴ
ム製品やプラスチックス製品の補強用として適した、耐
湿熱性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維を提
供する。 【構成】 炭素数8以上の脂肪族ジアルデヒド化合物を
ポリビニルアルコール系繊維の紡糸原糸に含有させ、総
延伸倍率14倍以上の乾熱延伸を行ったのち酸処理を行
い、繊維に含有されている該ジアルデヒド化合物とポリ
ビニルアルコールとを反応させ、架橋結合を生じさせ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐湿熱性と高強度が要
求される漁網、ロープ、テント、土木シートなどの一般
産業資材やセメント、ゴム、プラスチックの補強材に有
効なポリビニルアルコール(以下、PVAと略記)系合
成繊維及びその製造法に関するものであり、特にオート
クレーブ養生を行なうセメント製品の補強に効果を発揮
するPVA系繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は汎用繊維の中で最も高強
力高弾性を有し、かつ接着性や耐アルカリ性が良好な
為、特に石綿代替のセメント補強材として脚光を浴びて
いる。しかしながらPVA系繊維は耐湿熱性に乏しく、
一般産業資材や衣料素材として用いられるにしても用途
が制限され、さらに高温でのオートクレーブ養生が不可
能であった。現在セメント補強材にPVA系繊維を使用
する場合は、室温養生に頼っており、セメント製品の寸
法安定性や強度が十分でなく、かつ養生日数が長いなど
の欠点を有していた。
【0003】一方、高温オートクレーブ養生に炭素繊維
が一部用いられているが、セメントマトリックスとの接
着性が悪く、補強効果に乏しく、かつ高価であるなどの
問題点があった。PVA系繊維の耐湿熱性を改良しよう
とする試みは古くからなされて来た。たとえば特公昭3
0−7360号公報や特公昭36−14565号公報に
は、ホルマリンを用い、PVAのOH基と架橋反応(ホ
ルマール化)して疎水化により染色や洗濯に耐えられる
PVA系繊維が記載されている。しかし、これらの繊維
は強度が低く、本発明に言う一般産業資材やセメント、
ゴム、プラスチックの補強材には向かないものであっ
た。また、高強力PVA繊維をホルマール化する事が特
開昭63−120107号に開示されているが、ホルマ
ール化度が5〜15モル%と低く、PVA系繊維の非晶
領域の極く一部が疎水化されているに過ぎず、耐湿熱性
は十分でなく、くり返し長期間湿熱にさらされる産業資
材や高温オートクレーブ養生されるセメント補強材には
到底満足できるものではなかった。
【0004】一方、特開平2−133605号公報や特
開平1−207435号公報には、アクリル酸系重合体
をブレンドするか、又は繊維表面を有機系過酸化物やイ
ソシアネート化合物、ウレタン系化合物、エポキシ化合
物などで架橋せしめる方法が記述されている。しかしア
クリル系重合体による架橋はエステル結合である為、セ
メントのアルカリで容易に加水分解してその効果を失う
事、及び他の架橋剤も繊維表面架橋である為、オートク
レーブ養生中やくり返し湿熱にさらされている時に繊維
の中心部から膨潤、溶解が起こる事などの問題点を抱え
ていた。他に酸を用いて脱水架橋により耐湿熱性を向上
させる方法が特開平2−84587号公報や特開平4−
100912号公報などで公知であるが、本発明者らが
追試したところ繊維内部まで架橋させようとするとPV
A繊維の分解が激しく起こり、繊維強度の著しい低下を
招いた。
【0005】一方、ジアルデヒド化合物による架橋は特
公昭29−6145号公報や特公昭32−5819号公
報などに明記されているが、ジアルデヒド化合物と反応
触媒である酸の混合浴で後処理する為繊維分子が高度に
配向結晶化した高強力繊維ではジアルデヒド化合物が浸
透しずらく内部架橋が困難であった。また特開平5−1
63609号公報にはジアルデヒド又はそのアセタール
化合物を紡糸原糸に付与し、高倍率に乾熱延伸したあと
酸処理により繊維内部に架橋を生じさせる事が記載され
ている。しかしながらこれは炭素数が6以下の脂肪族ジ
アルデヒドや芳香族ジアルデヒド化合物である為、耐湿
熱性に有効なPVA系分子鎖間の架橋(分子間架橋)が
少ないか又は立体障害で内部浸透が難しく、かつ強度低
下が起こり易いなど耐湿熱性と高強度の両方を十分満足
するものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえて
本発明者らは如何に強度低下を抑え、かつ耐湿熱性向上
に有効な分子間架橋を繊維内部まで生じさせるか鋭意検
討を重ねた結果、高沸点で分子間架橋し易い炭素数8以
上の脂肪族ジアルデヒドを紡糸原糸の内部まで含有さ
せ、高倍率に乾熱延伸したあと酸処理によりアセタール
化の架橋を生じさせることが有効である事を見出し本発
明に至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素数8以上
の脂肪族ジアルデヒド化合物によりアセタール化された
PVA系繊維であって、該繊維の80%強力保持時の熱
水温度が160℃以上であり、かつ単繊維強度が13g
/d以上であるPVA系繊維である。そしてこのような
繊維の製造方法として、PVA系ポリマーを溶剤に溶解
して紡糸原液とし、この紡糸原液を紡糸した後、得られ
る紡糸原糸を乾燥し、そして乾熱延伸してPVA系繊維
を製造する方法において、該紡糸原液から該乾燥までの
いずれかの工程で炭素数8以上の脂肪族ジアルデヒド化
合物を乾熱延伸糸に対して0.5〜10重量%になるよ
うに付与し、次いで総延伸倍率が14倍以上となる乾熱
延伸を行ったのち、酸処理を行うことを特徴とするPV
A系繊維の製造方法である。
【0008】すなわち本発明は、PVA系ポリマーを溶
剤に溶解して紡糸原液とし、常法にて紡糸後、該溶剤を
抽出又は蒸発にて除去して乾燥するまでのいずれかの工
程でPVAのOH基と分子間架橋を生じ易い炭素数が8
以上の脂肪族ジアルデヒド化合物を乾熱延伸糸に対し
0.5〜10重量%になるように含有させ、次いで高倍
率乾熱延伸で高強力繊維を得たあと、酸処理により繊維
内部までアセタール化させることにより従来に見られな
い耐湿熱性と高強力を兼備したPVA系合成繊維が得ら
れることを見出したものである。
【0009】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系ポリマーとは、粘度平均重合
度が1500以上のものであり、ケン化度が98.5モ
ル%以上、好ましくは99.0モル%以上で分岐度の低
い直鎖状のものである。PVA系ポリマーの平均重合度
が高いほど結晶間を連結するタイ分子の数が多く、かつ
欠点となる分子末端数が少なくなるので高強度、高弾性
率、高耐湿熱性が得られやすく、好ましくは3000以
上、さらに好ましくは6000以上である。
【0010】PVA系ポリマーの溶剤としては、たとえ
ばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ブタンジオールなどの
多価アルコール類やジメチルスルホキシド、ジメチルホ
ルムアミド、ジエチレントリアミン、水及びこれら2種
以上の混合溶剤などが挙げられる。ただし、本発明の脂
肪族ジアルデヒドを該溶剤に混合添加する場合は、該ア
ルデヒドを凝集させたり、分離させる溶剤は望ましくな
く、均一分散又は溶解する溶剤が好ましい。この点で、
上記したジメチルスルホキシドやグリセリンなどが好ま
しい。またPVA系ポリマーを溶剤で溶解する際にホウ
酸、界面活性剤、分解抑制剤、染料、顔料などを添加し
ても支障ないが、紡糸性や延伸性を悪化させるものは好
ましくない。
【0011】このようにして得られた紡糸原液は常法に
より湿式、乾式、乾湿式のいずれかの方法でノズルより
吐出され固化する。湿式および乾湿式紡糸では凝固浴に
て固化し繊維化させるがその凝固剤はアルコール、アセ
トン、メチルエチルケトン、アルカリ水溶液、アルカリ
金属塩水溶液などいずれでも良い。なお、凝固における
溶剤抽出をゆっくりさせて均一ゲル構造を生成させ、よ
り高い強度と耐湿熱性を得るため、該凝固剤に該溶剤を
10重量%以上混合させるのが好ましい。特にメタノー
ルで代表されるアルコールと原液溶剤との混合液が好ま
しい。さらに凝固温度を20℃以下にして急冷させるの
も均一な微結晶構造を得るのに都合が良い。また、繊維
間の膠着を少なくし、その後の乾熱延伸を容易にするた
めに溶剤を含んだ状態で2倍以上の湿熱延伸をするのが
望ましい。なお、アルカリ凝固の場合は、湿熱延伸の前
で張力下で中和を行うのが良い。次いで溶剤の抽出を行
なうが抽出剤としては、メタノール、エタノール、プロ
パノールなどのアルコール類やアセトン、メチルエチル
ケトン、エーテル、水などが使用できる。続いて、必要
に応じ、油剤などを付与して該抽出剤を乾燥させるが、
乾式の場合は、抽出剤を使用せずに紡糸時及び紡糸後で
該溶剤を蒸発させて乾燥させる。
【0012】本発明の特徴は脂肪族ジアルデヒドを紡糸
原液から乾燥直前までのいずれかの工程で紡糸原糸の内
部まで含有させる事である。乾燥後、乾熱延伸直前まで
に付与する場合は、該アルデヒドの分子量が大きい為繊
維内部に浸透しずらく、表面架橋により耐湿熱性は十分
満足するものが得がたい。好ましい付与方法は抽出浴の
アルコールやケトン類に該ジアルデヒドを溶解し、その
中に膨潤状態の糸条を通過させて繊維内部へ含有させる
方法である。
【0013】本発明に言う炭素数8以上の脂肪族ジアル
デヒドとは例えばオクタンジアール、ノナンジアール、
デカンジアール、ドデカンジアール、2,4−ジメチル
ヘキサンジアール、5−メチルヘプタンジアール、4−
メチルオクタンジアール、2,5−ジメチルオクタンジ
アール、3,6−ジメチルデカンジアールなどであり、
沸点が200℃以上のものである。特にC4以上の直鎖
アルキレン基の両末端にアルデヒド基が結合している、
側鎖にメチル基を有してもよい長鎖脂肪族ジアルデヒド
が好ましい。沸点が200℃未満のたとえばスクシンア
ルデヒド(C4)、グルタルアルデヒド(C5)、ヘキサ
ン−1,6−ジアール(C6)などでは、その後の20
0℃以上の乾熱延伸で大部分が飛散してしまい、その効
力を失ったり公害をまき散らすので好ましくない。な
お、炭素数が18以上の脂肪族ジアルデヒド及び炭素数
が8以上の芳香族ジアルデヒドは架橋反応が起こりずら
く、かつ分子配向を阻害して高強度が得がたいなどの問
題があり、いずれも好ましくない。
【0014】本発明におけるジアルデヒドの付着量は乾
熱延伸糸に対し0.5〜10重量%であり、好ましくは
2〜7重量%である。付着量が0.5重量%未満では架
橋密度が少ないため耐湿熱性が不十分であり、10重量
%を超えると分子配向を乱したりPVAの分解が促進さ
れて強度低下を招き易い。
【0015】次いで該ジアルデヒド含有の乾燥後紡糸原
糸を200℃以上、好ましくは230℃以上で総延伸倍
率が14倍以上、好ましくは16倍以上となるように乾
熱延伸する。脂肪族ジアルデヒドは酸が存在しない状態
では架橋せず、高倍率延伸が可能であり、単繊維強度1
5g/d以上のものが得られる。延伸温度は高重合度ほ
ど高くして高倍率を維持するのが好ましいが、260℃
以上では該ジアルデヒドの蒸発やPVAの分解が生じ易
く好ましくない。なお、総延伸倍率は湿熱延伸倍率と乾
熱延伸倍率の積で表される。
【0016】このようにして得られた脂肪族ジアルデヒ
ド含有の高強力延伸糸を硫酸、リン酸、塩酸、硝酸など
の無機酸あるいはカルボン酸、スルホン酸などの有機酸
で濃度0.1規定以上の水溶液に60〜100℃で10
〜120分浸漬するか、あるいは該酸水溶液又は/及び
アルコール液を付着させて200℃以上で熱処理する事
によりアセタール化の分子間架橋を生じさせる。なお、
酸と共にホルマリンを添加し、ホルマール化を同時に起
こさせても何んら支障ないが、いずれの酸処理において
も強度低下を抑さえるように酸濃度や熱処理温度及び時
間を調節するのが好ましい。
【0017】本発明で得られる炭素数8以上の脂肪族ジ
アルデヒドが繊維の内部まで分子間架橋したPVA系繊
維は80%強力保持時の熱水温度(WT80)が160℃
以上を示し、かつ単繊維強度が13g/d以上を維持す
る事が判明し、水又は湿熱にくり返しさらされる一般産
業資材やゴム、プラスチックの補強材は勿論の事、セメ
ント補強材として160℃以上のオートクレーブにも耐
える従来にない高付加価値の繊維であった。WT80が1
60℃未満あるいは単繊維強度が13g/d未満の場合
には、水や湿熱に繰り返しさらされる一般産業資材やゴ
ム、プラスチックの補強繊維として不十分なものとな
り、特に160℃の高温オートクレーブ養生されるセメ
ント製品には使用することができない。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
なお、本発明における各種の物性値は以下の方法で規定
されたものである。 1)PVAの粘度平均重合度PA JIS K−6726に基づき30℃におけるPVA希
薄水溶液の比粘度ηSPを5点測定し、次式(1)より極
限粘度〔η〕を求め、さらに次式(2)より粘度平均重
合度PAを算出した。 〔η〕=lim(C→O)ηSP/C・・・(1) PA=(〔η〕×104/8.29)1.613・・・(2) 2)脂肪族ジアルデヒドの含有量 乾熱延伸後の未架橋繊維を100〜140℃の熱水に溶
解せしめNMRによりPVAのCH2基ピークに対する
該ジアルデヒドのピーク比を算出し、予め作成した検量
線より含有量を求めた。
【0019】3)単繊維の引張強伸度、弾性率 JIS L−1015に準じ、予め調湿された単繊維を
試長10cmになるように台紙に貼り25℃×60%R
Hで12時間以上放置。次いでインストロン1122で
2kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張
速度50%/minにて破断強伸度及び初期弾性率を求
めn≧10の平均値を採用した。デニールは1/10g
/d荷重下で30cm長にカットし重量法により求め
た。なお、デニール測定後の単繊維を用いて強伸度、弾
性率を測定し、1本ずつデニールと対応させた。
【0020】4)80%強力保持時の熱水温度(W
80) マルチヤーンをステンレスパイプ(30〜40φ×10
0〜150mmL)に軽い張力下で捲いて固定し、20
kg/cm2以上の耐圧ステンレスポット(容量200
〜500ml)の中に入れる。次いでその中に試料付ス
テンレスパイプが隠れるまで水を注ぎステンレスポット
を密栓する。その後予め所定の温度に加熱しているオイ
ルバスの中にステンレスポットを浸漬させ、昇温時間3
0分+処理時間60分(計90分)静置したあと、オイ
ルバスより取出し水冷後ステンレスポットより試料を出
して乾燥し、試長10cm、引速50%/min、初荷
重0.1g/d、n≧5にてヤーンの強力を測定する。
熱水処理前のヤーン強力に対する保持率を算出し、80
%維持する時の熱水温度WT80を求める。なお、処理温
度は5℃間隔で行い、強力保持率と処理温度のカーブよ
りWT80を求めた。
【0021】5)耐オートクレーブ性(スレート板の湿
潤曲げ強度WBS) PVA系合成繊維を6mmの長さに切断し、ハチエック
マシンで該繊維2重量部、パルプ3重量部、シリカ38
重量部、セメント57重量部の配合で湿式抄造し、50
℃で12時間一次養生したのち150℃×20hr又は1
60℃×15hr又は170℃×15hr又は180℃×1
hrでオートクレーブ養生を実施し、スレート板を作成
したあとJIS K−6911に準じて1日水中に浸漬
後、濡れている状態で曲げ強度を測定した。
【0022】実施例1,2及び比較例1,2 粘度平均重合度が1700(実施例1)と4000(実
施例2)でケン化度がいずれも99.5モル%のPVA
をそれぞれ濃度14重量%と9重量%になるようにジメ
チルスルホキシド(DMSO)に100℃で溶解し、得
られた各溶液を1000ホールのノズルより吐出させ、
メタノール/DMSO=7/3重量比、5℃の凝固浴で
湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で3.5倍湿
延伸したあとメタノールで該溶剤をほとんど全部除去し
た。最後のメタノール抽出浴にノナンジアールを5重量
%/浴になるように添加し、均一溶液としたあと、繊維
を1.5分間滞留させてメタノール含有繊維の内部およ
び表面にノナンジアールを含有させ、120℃にて乾燥
した。得られた紡糸原糸を実施例1では170℃,20
0℃,235℃の3セクションからなる熱風炉で総延伸
倍率18.1倍に、実施例2では170℃,200℃,
242℃で17.8倍になるように延伸した。次いで両
延伸糸を硫酸80g/lの水溶液中で80℃×60分浸
漬して架橋反応を起こさせた。
【0023】比較例1として実施例2でノナンジアール
の代わりにグルタルアルデヒドを用いたが乾熱延伸時の
蒸発飛散が大きく第3炉の温度を237℃に下げて1
6.5倍で延伸した。また比較例2では、実施例1でノ
ナンジアールを含有していない延伸糸を用いホルマリン
100g/l+硫酸80g/lの水溶液で80℃×60
分浸漬してホルマール化反応を起こさせた。得られた繊
維の物性等を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】実施例1は粘度平均重合度PAが1700
で延伸温度が235℃と比較的低い為ノナンジアールの
蒸発が少なく4.1%の含有量を示した。PA=170
0にもかかわらず単繊維強度14.3g/d、80%強
力保持時の熱水温度WT80が172℃を示し、かつオー
トクレーブ養生ではスレート板湿潤曲げ強度WBSが目
標の250kg/cm2以上となる温度が160℃をク
リアしており、ノナンジアールの内部架橋効果がみられ
た。実施例2はPA=4000で延伸温度を242℃に
し、17.8倍延伸したが、強度は17.9g/dと従
来の内部架橋糸より強度低下は少なく、かつWT80が1
90℃で180℃オートクレーブでもWBS=257g
/cm2と補強効果を示し従来に見られない高付加価値
繊維であった。また湿熱が関与する一般産業資材や衣料
素材にも適用できることが判った。
【0026】比較例1はPA=4000でノナンジアー
ルの代わりにグルタルアルデヒドを用いた場合である
が、延伸時の蒸発が激しく延伸温度を237℃に下げて
含有量3.2%の延伸糸を得た。次いで実施例2と同様
に硫酸処理で架橋したが実施例2に比べ強度は15.1
g/dと低く、かつ分子内架橋も多く生じている為か、
WT80=154℃で150℃のオートクレーブにギリギ
リ耐えるもので明らかにノナンジアールの場合より繊維
性能が劣っていた。比較例2はPA=1700でジアル
デヒドを含有しない通常の延伸糸をホルマール化したも
のであるが、強度、耐湿熱姓共に実施例1より劣る事が
判明した。
【0027】実施例3及び比較例3 粘度平均重合度が8000でケン化度が99.9モル%
のPVAを濃度7重量%になるように180℃でグリセ
リンに溶解した。得られた溶液を200ホールのノズル
より吐出させ、乾湿式紡糸によりエタノール/グリセリ
ン=8/2重量比、−5℃の凝固浴で急冷ゲル化させ
た。さらに40℃重量比、−5℃の凝固浴で急冷ゲル化
させた。さらに40℃メタノール浴で4倍湿延伸したあ
とエタノール該溶剤をほとんど全部除去した。最後のエ
タノール抽出浴に2,5−ジメチルオクタンジアールを
3重量%/浴になるように添加し、均一溶液としたあと
繊維を3分間滞留させて繊維の内部及び表面に該ジアル
デヒドを含有させ、130℃にて乾燥した。得られた紡
糸原糸を170℃,250℃の2セクションからなる輻
射炉で総延伸倍率19.5倍になるように延伸し、該ジ
アルデヒド含有量が2.2重量の延伸糸を得た。次いで
リン酸0.1%のメチロール/水=6/4重量比の溶液
をローラタッチで付着させ、240℃×30秒、1g/
dの張力下で連続処理し、架橋反応を行なった。得られ
た繊維の強度は18.9g/d、WT80は195℃であ
り、180℃オートクレーブでもWBSは290kg/
cm2と非常に優れた性能を示した。またタイヤベルト
部やカーカス部さらにはオイルブレーキホースの補強材
としても適したものであった。
【0028】比較例3として、2,5−ジメチルオクタ
ンジアールの代わりにリン酸を0.05重量%/浴添加
して、実施例3と同様に乾熱延伸して酸架橋のみの繊維
を得たが、強度は16.1g/d、WT80は172℃と
実施例3より劣っていた。
【0029】実施例4 粘度平均重合度が3000の完全ケン化PVAを11%
の濃度で水に溶解し、同時にホウ酸をPVAに対し2重
量%添加し、更にドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ3
重量%及びノナンジアール2重量%を添加して紡糸原液
を調製した。該紡糸原液を水酸化ナトリウム25g/
l、芒硝320g/lの65℃の凝固浴へ湿式紡糸し、
常法に従ってローラ延伸、中和、湿熱延伸、水洗後乾燥
した。次いで235℃で総延伸倍率が25倍となるよう
に乾熱延伸し、ノナンジアール含量1.8重量%の延伸
糸を得た。その後ホルマリン100g/l+硫酸80g
/lで80℃×60分処理し、ノナンジアールの架橋と
同時にホルマール化を実施した。得られた繊維の強度は
17.1g/d,WT80は182℃、170℃オートク
レーブのWBSは268kg/cm2と耐湿熱性のある
高強力PVA系繊維であった。
【0030】実施例5 粘度平均重合度4100の完全ケン化PVAを濃度20
%になるように水に溶解し、同時にPVAに対しドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ2重量%及びノナンジアー
ル3重量%を添加して、紡糸原液とし200ホールのノ
ズルを用いて乾式紡糸した。水を蒸発乾燥後、248℃
にて16.5倍延伸し、続いて硫酸80g/lの水溶液
で80℃×60分浸漬して、架橋処理を施した。得られ
た繊維は強度16.8g/d,WT80=183℃と、高
強力で耐湿熱性に優れたPVA系繊維であった。
【0031】
【発明の効果】本発明により従来にない高強力でかつ耐
湿熱性のPVA系繊維が得られ、ロープ、漁網、テン
ト、土木シートなどの一般産業資材は勿論の事、高温オ
ートクレーブが可能なセメント補強材など広幅い用途に
利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜木 功 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 荻野 裕二 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社ク ラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数8以上の脂肪族ジアルデヒド化合
    物によりアセタール化されたポリビニルアルコール系繊
    維であって、該繊維の80%強力保持時の熱水温度が1
    60℃以上であり、かつ単繊維強度が13g/d以上で
    あるポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系ポリマーを溶剤
    に溶解して紡糸原液とし、この紡糸原液を紡糸した後、
    得られる紡糸原糸を乾燥し、そして乾熱延伸してポリビ
    ニルアルコール系繊維を製造する方法において、該紡糸
    原液から該乾燥までのいずれかの工程で炭素数8以上の
    脂肪族ジアルデヒド化合物を乾熱延伸糸に対して0.5
    〜10重量%になるように付与し、次いで総延伸倍率が
    14倍以上となる乾熱延伸を行ったのち、酸処理を行う
    ことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016030862A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 株式会社クラレ フィブリル化繊維およびその製造方法
CN113373539A (zh) * 2021-06-29 2021-09-10 东华大学 一种高强高模聚乙烯醇纤维的制备方法及其应用

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JP2016030862A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 株式会社クラレ フィブリル化繊維およびその製造方法
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