JPH0813236A - 乾湿寸法安定性の優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製法 - Google Patents

乾湿寸法安定性の優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製法

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JPH0813236A
JPH0813236A JP14725594A JP14725594A JPH0813236A JP H0813236 A JPH0813236 A JP H0813236A JP 14725594 A JP14725594 A JP 14725594A JP 14725594 A JP14725594 A JP 14725594A JP H0813236 A JPH0813236 A JP H0813236A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリビニルアルコール系繊維の特長である高
強度、親水性、耐候性、耐アルカリ性を損なうことな
く、欠点である乾湿寸法安定性特に湿潤時収縮率を低減
させ、例えば屋外にて使用する産業資材分野や洗濯を繰
り返す衣料分野などに有用な乾湿寸法安定性に優れたポ
リビニルアルコール系繊維を得る。 【構成】 断面均質なポリビニルアルコール系繊維を乾
熱延伸により十分配向後さらに湿熱収縮処理することに
より小角X線散乱で赤道方向に長周期が観察される繊維
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾湿寸法安定性に優れ
たポリビニルアルコール(以下PVAと略記)系繊維お
よびその製造法に関するもので、例えば寒冷紗、ネッ
ト、ロープ、衣料などに好適に用いうる繊維素材を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は、汎用繊維の中では高強
度、高耐候性、高耐アルカリ性、親水性であり、その独
自の特長をいかして、ロープ、寒冷紗、セメント補強
剤、製紙分野などに多く使用されている。しかしなが
ら、親水性であるが故に、湿潤時寸法変化が大きく、特
に乾湿を繰り返すと収縮が大きいという欠点を有してお
り、親水性が不要である分野についてはポリエステル繊
維が進出し、PVA繊維は減少の傾向にある。
【0003】従来、PVA系繊維の乾湿寸法安定性を改
善することは多く試みられている。最も一般的な方法は
ホルマリンなどにより分子内あるいは分子間アセタール
化を行い水酸基を封鎖するとともに架橋をさせることに
より、耐水性を向上させるものである。この方法は確か
に水中溶解温度を高くすることはできるが、湿潤時の収
縮率低減には不十分である。同様にグルタルアルデヒド
など2価のアルデヒドで架橋反応する方法もあるが、ホ
ルマール化と同様湿潤時の収縮率低減にはあまり有効で
ない。
【0004】また、PVA系ポリマーをゲル化紡糸によ
り均一な繊維断面構造とし、それを高度に延伸すること
により、PVA系ポリマーを高配向高結晶化させて高強
度のPVA系繊維を得ることが公知であるが、分子鎖が
伸びきった状態では湿潤時分子緩和が起こり、収縮率は
あまり低減しない。さらに高度に延伸後乾熱延伸温度ま
たはそれ以上の温度で乾熱収縮することにより、伸びき
り分子鎖を緩和させることも公知である。この乾熱収縮
処理は乾熱収縮率の低減に対しては抜群の効果を有する
が、乾湿寸法安定性低減に関してはあまり有効でない。
また、断面がスキンコア構造で非円形である断面構造が
不均一な構造を有するPVA系繊維のカットステープル
を特定温度の熱水中に浸漬することにより捲縮を発現さ
せることは公知であるが、この方法は断面不均一構造の
繊維を、その繊維構造が破壊される限界近くの条件で熱
水処理を行い、断面の歪斑を増長することにより、捲縮
発現を目的としたもので、乾湿寸法安定性低減に対して
は有効でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、上記
の如く、PVA系繊維において乾湿寸法安定性の優れた
繊維は得られていない。一方、PVA系繊維の特徴であ
る親水性、高耐候性、高強度の性能は有しながら、しか
も乾湿寸法安定性の優れたPVA系繊維は屋外で使用の
寒冷紗、ネット、ロープなどの産業資材などの用途で強
く望まれている。また従来のPVA系繊維は洗濯と乾燥
を繰り返すと収縮するため、衣料分野には大きな制約と
なっているが、乾湿寸法安定性が改良されれば、親水
性、高強度、高耐候性などの特長をいかせる衣料分野に
進出可能となることが期待される。すなわち、本発明の
課題は、親水性、高耐候性、高強度の性能を有し、かつ
乾湿寸法安定性の優れたPVA系繊維を提供するにあ
る。またこのような繊維の工業的製造方法を提供するに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、平
均重合度が1000以上のPVA系ポリマーを主成分と
する断面均質繊維であって、小角X線散乱で赤道方向に
長周期が観察されることを特徴とする乾湿寸法安定性の
優れたPVA系繊維によって達成され、そしてこのよう
な繊維は、平均重合度が1000以上のPVA系ポリマ
ーを主成分とし、耐熱水温度(T)が110℃以上の断
面均質PVA繊維を85〜(T−5)℃の範囲の熱水中
あるいはスチーム雰囲気中で2%以上収縮させることに
より得られる。
【0007】本発明に使用するPVA系ポリマーの平均
重合度は1000以上である。平均重合度が1000未
満では耐熱水性が低く、乾湿寸法安定性の優れた繊維と
することができない。また強度の優れた繊維とすること
ができない。また本発明においては断面均質繊維であ
る。本発明にいう断面均質とは、繊維形成時に繊維中央
部と表層部の固化が均一に行われ、例えば、円型のノズ
ル孔より吐出された原液柱糸篠は、断面方向に均一に固
化すると、原液溶媒が断面方向に均一に抽出されるた
め、得られた繊維の断面はノズル孔形状を忠実に再現し
て円型となる。一方、原液柱糸篠が、例えば表面のみ急
激に固化され、中央の固化が遅れると、断面方向の原液
溶媒の抽出が不均一となるため、得られた繊維の断面
は、ノズル孔形状とは無関係にまゆ型など非円形の形状
となる。このような断面不均一固化繊維を光学顕微鏡で
観察すると、急速固化した繊維表層部は、緻密な構造と
なっており光の透過が大きく、明るく見えるのに対し、
遅れて固化した繊維中央部は、疎な構造となっており、
散乱のため光の透過が少なく、暗く見え、所謂スキンコ
ア構造となる。これに対し、本発明の如く均一固化した
断面均質繊維では、疎な構造がなく、光顕観察時全断面
にわたって光の透過が大きく、オールスキン構造とな
る。スキンコア構造を有する断面不均質構造では十分な
延伸ができず、分子鎖の配向を充分行うことができず、
耐水性の良好なPVA繊維とすることができない。断面
不均質繊維に無理な延伸を施すと、分子歪が断面内で不
均一に発現し、熱水処理すると歪の大きい部分が大きく
分子緩和し、繊維が不規則にちぢれ、本発明の目的であ
る乾湿寸法安定性の優れた繊維とすることができない。
【0008】次に、本発明繊維は赤道方向に長周期が観
察されることが繊維構造上のポイントである。赤道方向
に長周期が観察されないと耐熱水性の優れたPVA系繊
維は得られず、従って乾湿寸法安定性の優れたPVA系
繊維は得られない。長周期は低延伸倍率で通常子午線方
向に観察されるもので、赤道方向には散漫な散乱しか観
察されないが、赤道方向での長周期が観察されることが
本発明の重要なポイントである。赤道方向の長周期構造
があると何故乾湿寸法安定性が良好となるかは必ずしも
明確ではないが、例えば、繊維軸と垂直方向すなわち半
径方向に再配列しているため、本来水分が侵入して分子
緩和しやすい非晶領域において、水が侵入し難く分子緩
和し難く、このため湿潤時の収縮が少ないと考えられ
る。
【0009】所定長のPVA系繊維を20℃水中に16
時間浸漬し、その長さを測定し、次いで40℃で7時間
乾燥した後の長さを測定する。20℃水浸漬と40℃乾
燥を同様にさらに4回合計5回繰り返した際、繊維長が
最も小さい値、換言すれば最大の収縮長の初期繊維長に
対する百分率(%)を、本発明では乾湿5回繰り返し後
の収縮率と定義すると、この収縮率が1%以下であると
寒冷紗やロープなど産業資材として屋外で使用する場合
や洗濯を繰り返す衣料などに用いる場合、特に好ましい
態様である。
【0010】本発明に用いるPVA系ポリマーのケン化
度は耐水性の点より99モル%以上が好ましい。また、
本発明のPVA系ポリマーにはエチレンなどとの共重合
体も包含されるが、通常他のコモノマーは10モル%以
下とすべきである。また、PVA系ポリマー以外に着色
のため顔料や染料、熱老化性改良のため熱劣化防止剤、
耐光性および耐候性改良のため酸化防止剤や紫外線吸収
剤など種々の目的に応じて各種添加剤を添加した繊維も
包含される。
【0011】次に本発明繊維の製造方法について述べ
る。本発明繊維の製造のためのPVA系ポリマーの溶媒
としてはグリセリン、エチレングリコールなどの多価ア
ルコールやジメチルスルホキシド(以下DMSOと略
記)、ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノ
ン、水などの極性溶媒およびこられとロダン塩、塩化リ
チウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩
の混合物、さらにはこれら溶媒同士あるいはこれら溶媒
と水との混合物などが例示される。とりわけDMSOが
低温溶解性、低毒性、低揮発性、低腐蝕などの点で最も
好ましい。これらの溶媒にPVA系ポリマーを溶解して
得た紡糸原液をノズルを通して湿式あるいは乾湿式紡糸
法により紡糸する。湿式紡糸であろうと乾湿式紡糸であ
ろうと断面方向に均一に固化しうる紡糸法であれば特別
な限定はない。なお、紡糸原液を冷却するだけで固化す
るゲル化紡糸法は本発明においては乾湿式紡糸に包含さ
れる。
【0012】断面均質繊維とするためには、固化浴組成
および温度も重要である。ビニロンで最も一般的に用い
られている凝固性塩類の芒硝の高濃度水溶液を固化浴と
して用いると、表面のみが急速に脱水凝固されるためス
キンコア構造となり、本発明の固化浴としては不適当で
ある。メタノール、エタノール、プロパノールなどのア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチ
ルなどの脂肪族エステル類、ベンゼン、トルエンなどの
芳香族類などのPVA系ポリマーに対して凝固能を有す
る有機溶媒の単独あるいはこれらの混合物さらには原液
溶媒との混合物が固化浴として例示される。有機溶媒系
固化浴においては固化浴温度を20℃以下、好ましくは
10℃以下とすることが、断面均質繊維を得る上で重要
である。また原液溶媒として水を用い硼酸を加えたPV
A系ポリマー液を45〜90℃の高温の苛性ソーダと芒
硝の混合水液中に紡糸する硼酸架橋紡糸でも比較的均一
に固化することができるが、低温の有機溶媒系固化浴の
方が均質固化の点で優れている。有機溶媒系固化浴の中
で、メタノールと原液溶媒の−5〜15℃の混合溶液が
均一固化性、コストの点で最も好ましい。
【0013】得られた均一固化糸は2〜6倍の湿延伸
し、抽出溶媒中で原液溶媒を抽出し、次いで抽出溶媒を
乾燥し、210〜260℃で最大延伸倍率の0.7倍以
上に乾熱延伸を施す。これにより、断面均一で耐熱水温
度(T)が110℃以上の繊維とする。得られた乾熱延
伸後の断面均質PVA系繊維を85〜(T−5)℃の範
囲の熱水中あるいはスチーム雰囲気中で2%以上湿熱収
縮させることが本発明の繊維製造法における最大のポイ
ントである。収縮させる雰囲気は湿熱状態でなければな
らない。乾燥状態で(T−5)℃よりはるかに高い20
0〜250℃の溶融状態の温度範囲のいずれの温度でた
とえ10%以上の乾熱収縮を施しても乾熱収縮率は大き
く改善されるものの乾湿寸法安定性に対する改善効果は
小さい。湿熱雰囲気は熱水浸漬でもスチーム雰囲気で
も、雰囲気温度が85℃以上であれば有効である。一
方、(T−5)℃より高い湿熱温度にすると結晶領域の
部分が溶融するため繊維間膠着を避けられないので不都
合である。湿熱収縮率が2%未満では乾湿寸法安定性の
改良効果が十分でない。85〜(T−5)℃の湿熱雰囲
気下で2%以上湿熱収縮させるすなわち3つの条件を同
時に満足させる処理条件をとることにより本発明の目的
とする優れた乾湿寸法安定性を達成しうる。好ましい収
縮率は10%以下である。
【0014】特に上記湿熱収縮時の滞留時間を1秒以上
として乾湿5回繰り返し後の収縮率が1%以下と従来の
PVA系繊維では実現することができなかった乾湿寸法
安定性の優れたPVA系繊維の製造法を提供しうる。湿
熱収縮処理と乾熱収縮処理が上記の如く異なる作用効果
を奏する、すなわち湿熱収縮処理は湿潤時の収縮低減
に、乾熱収縮処理は高温乾燥時の収縮低減に有効である
ことの繊維構造上の違いについて種々検討した結果、結
晶領域に対しての効果、例えば結晶サイズの成長に対し
ては同じ方向の作用を示すのに対して、長周期構造に対
しての影響が全く逆であることを見出した。すなわち、
乾熱収縮処理では繊維軸方向に長周期が現れるのに対
し、湿熱収縮処理では繊維軸の垂直方向に長周期が現
れ、従って非晶領域の収縮方向が異なることを見出し
た。何故、このような違いが現れるのかはよくわからな
いが、上記構造差は乾熱収縮処理すると低強度、高伸
度、低ヤング率となり、湿熱収縮処理ではその傾向が軽
微であることからも窺われる。
【0015】次に本発明で用いるパラメータの測定法に
ついて述べる。 (1)PVA系ポリマーの平均重合度……30℃水溶液
で粘度法により求める。 (2)赤道方向の長周期……下記の方法により調製され
た試料にX線を入射して赤道方向の小角散乱強度を測定
し、散乱角1.5deg.付近に散乱ピークが観察され
るかどうかを目安とする。 装置:理学電機(株)製RU−300 X線:CuKα線 出力:40k
V、100mA 試料調製法:50mgを各繊維ができる限り平行になる
ように並べ、長さ1.5cm、幅1cmの短冊状とする (3)耐熱水温度(T)……水の入ったオートクレーブ
容器の中に2mg/drの荷重を吊した繊維サンプルを
水中に取り付け、約2℃/分の速度で昇温した際繊維が
溶けて荷重が落下した時の水温を測定する。 (4)乾湿5回繰り返し後の収縮率……本文中に記載済
み。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 重合度4000、ケン化度99.8モル%のPVAとD
MSOを混合し、90℃で8時間溶解し、PVAが10
重量%のDMSO溶液を得た。この紡糸原液を、孔数1
000、孔径0.08mmφの円型ノズルを通して、5
℃のメタノール/DMSOの混合重量比が70/30よ
りなる固化浴中に湿式紡糸した。得られた断面均質な固
化糸篠をメタノール/DMSO=95/5よりなる40
℃の湿延伸浴で4.0倍湿延伸を施し、次いでメタノー
ルと向流接触させてDMSOを抽出除去し、140℃熱
風乾燥機で乾燥し、240℃で全延伸倍率が17倍とな
るよう乾熱延伸した。得られた延伸糸を93℃熱水中に
20秒浸漬して連続的に4%湿熱収縮させ、100℃で
乾燥した。得られた湿熱収縮処理繊維の子午線方向及び
赤道方向の小角X線散乱強度を測定し図1に示した。こ
の図より赤道方向の散乱角1.5deg付近にピークが
観察されることがわかった。また本繊維は、強度が1
5.4g/d、伸度5.3%、ヤング率305g/d
で、耐熱水温度Tは131℃であった。また、断面を光
学顕微鏡で観察したところ断面形状は真円で光の透過度
は全断面とも大きく均一で、オールスキン構造であっ
た。さらに乾湿5回繰り返し後の収縮率は0.5%と、
PVA繊維とは思えぬ程きわめて良好であった。
【0017】比較例1 実施例1で湿熱収縮処理前の延伸糸の繊維構造及び性能
を評価した。本繊維の赤道方向の小角X線散乱強度を同
様に図1に示した。本比較例繊維ではピークは見られな
かった。耐熱水温度Tは130℃、強度は16.3g/
d、伸度は5.3%、ヤング率は318g/dであっ
た。乾湿5回繰り返し後の収縮率は1.6%と従来のP
VA繊維よりはよかったが、実施例1の湿熱収縮処理糸
に比べると3倍以上の収縮率であった。
【0018】比較例2、3 実施例1で得た延伸糸を242℃熱風中で12%及び4
%連続的に収縮をさせ、乾熱収縮処理を施した。得られ
た繊維の赤道方向の小角X線散乱強度を図1に示した。
本比較例繊維はいずれも赤道方向にはピークは認められ
なかった。強度が12.4g/dと14.3g/d、伸
度が10.2%と6.3%、ヤング率は206g/dと
296g/d、耐熱水温度(T)が134℃と131℃
であり、乾湿5回繰り返し後の収縮率が1.1%と1.
4%であった。
【0019】実施例2 重合度1750、ケン化度99.9モル%のPVAとD
MSOを混合し、窒素置換後減圧下100℃で10時間
撹拌溶解し、PVAが16重量%のDMSO溶液を得
た。この紡糸原液を孔数2000、孔径0.08mmφ
の円型ノズルを通して、3℃のメタノール/DMSOの
混合比が60/40よりなる固化浴中に湿式紡糸した。
得られた断面均質な固化糸篠をメタノール/DMSO=
90/10よりなる50℃の湿延伸浴で3.5倍湿延伸
を施し、次いでメタノールと向流接触させてDMSOを
抽出除去し、140℃で乾燥後230℃で全延伸倍率が
15倍となるよう乾熱延伸した。この延伸糸を98℃の
熱水中に15秒浸漬して連続的に5%湿熱収縮させ、1
00℃で乾燥した。得られた延伸後繊維と湿熱収縮処理
繊維を光顕で観察したところ断面は真円で、表面と中央
と光の透過性に差がなく、オールスキン構造の断面均質
繊維であった。また赤道方向の小角X線散乱強度を測定
したところ、延伸後繊維はピークは認められなかった
が、湿熱収縮処理繊維は赤道方向の散乱角1.5deg
近辺にピークが認められた。繊維の性能は耐熱水温度T
が126℃と128℃、強度が14.3g/dと13.
7g/d、伸度が5.2%と5.3%、ヤング率が27
5g/dと260g/dで、乾湿5回繰り返し後の収縮
率が1.9%と0.6%であり、湿熱収縮処理繊維は特
に乾湿寸法安定性が改良された。
【0020】比較例4 実施例2において湿熱収縮率を1%とした湿熱収縮処理
繊維について赤道方向の小角X線散乱強度を測定した
が、1.5deg付近にピークは見られなかった。また
この繊維の乾湿5回繰り返し後の収縮率は1.3%と大
きかった。
【0021】比較例5 重合度1750、ケン化度99.9モル%のPVAと水
を混合し、100℃で12時間撹拌溶解し、PVAが1
5.5重量%の水溶液を得た。この紡糸原液を孔数20
00、孔径0.08mmφの円型ノズルを通して、濃度
420g/l、温度45℃の芒硝水溶液中に湿式紡糸し
た。得られた凝固糸篠を2倍のローラー延伸し、さらに
100℃飽和芒硝水溶液中で2倍の湿熱延伸を施し、1
00℃で乾燥後230℃全延伸倍率が9倍となるよう乾
熱延伸を施し、次いで235℃で10%の乾熱収縮を施
した。なお全延伸倍率を10倍とすると断糸し、安定に
熱延伸しうる全延伸倍率の最高は9倍であった。得られ
た繊維を95℃の熱水に15秒浸漬して連続的に5%湿
熱収縮させ、80℃で乾燥した。得られた湿熱収縮処理
繊維を光顕で観察したところ、断面はまゆ型で、光の透
過性が表面層は大きいが、中央部は小さく、断面方向に
不均一であり、スキンコア構造であった。また赤道方向
の小角X線散乱強度を測定したところピークは認められ
なかった。また乾湿5回繰り返し後の収縮率は5%と大
きかった。
【0022】
【発明の効果】本発明は、断面均質なPVA系繊維を乾
熱延伸後湿熱収縮することにより、乾湿繰り返し収縮率
を従来のPVA系繊維では達成しえなかった程度に低減
することに成功したもので、しかも、他のPVA系繊維
の特徴である高強度、親水性、耐候性、耐アルカリ性は
そのまま維持しており、屋外で使用する寒冷紗やロー
プ、ネットなどにおいて雨天と好天で乾湿が繰り返され
ると収縮のため使用が制限されていた分野や、衣料用な
どとして洗濯を繰り返すと寸法が変化するため使用が制
限されていた分野などにおいてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPVA系繊維および本発明外のPVA
系繊維の代表的な赤道方向の小角X線散乱強度曲線図で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 村上 修一 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内 (72)発明者 斉藤 晃一 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均重合度が1000以上のポリビニル
    アルコール系ポリマーを主成分とする断面均質繊維であ
    って、小角X線散乱で赤道方向に長周期が観察されるこ
    とを特徴とするポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 平均重合度が1000以上のポリビニル
    アルコール系ポリマーを主成分とし、耐熱水温度(T)
    が110℃以上の断面均質ポリビニルアルコール系繊維
    を85〜(T−5)℃の範囲の熱水中あるいはスチーム
    雰囲気中で2%以上収縮させることを特徴とするポリビ
    ニルアルコール系繊維の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100390333C (zh) * 2006-01-17 2008-05-28 中国石化集团资产经营管理有限公司重庆天然气化工分公司 一种维纶长丝束的制造方法及装置
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