JPH08284013A - 優れた耐熱水性を有する高強度,高初期弾性率ポリビニルアルコール系モノフィラメント糸とその製造方法 - Google Patents

優れた耐熱水性を有する高強度,高初期弾性率ポリビニルアルコール系モノフィラメント糸とその製造方法

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JPH08284013A
JPH08284013A JP8231195A JP8231195A JPH08284013A JP H08284013 A JPH08284013 A JP H08284013A JP 8231195 A JP8231195 A JP 8231195A JP 8231195 A JP8231195 A JP 8231195A JP H08284013 A JPH08284013 A JP H08284013A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊度が 100デニール以上で,高強度,高初期
弾性率を有し,しかも優れた耐熱水性を有するポリビニ
ルアルコール(PVA)系モノフィラメント糸とその製
造方法を提供する。 【構成】 重合度が1700〜7000のPVAからなり,繊度
が 100デニール以上,引張り強度が12g/d以上,初期
弾性率が 350g/d以上であり,かつ耐熱水温度が 120
℃以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,高強度,高初期弾性率
を有し,繊度が 100デニール以上であり,しかも優れた
耐熱水性を有するポリビニルアルコール(以下,PVA
と略記する)系モノフィラメント糸とその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は, 汎用繊維の中でも強
度,初期弾性率が高く,ゴムホース,コンベアベルト,
セメント強化用繊維,アスベスト代替繊維,資材用縫
糸,畳糸,漁網,重布,ロープ等の様々な産業資材分野
に使用されている。
【0003】近年,ますます高度化する市場のニーズに
対応するために,PVA系繊維の機械的性質をさらに高
めるための種々の提案がなされている。例えば,特開昭
61-215711 号公報には,重合度1500以上のPVAをジメ
チルスルホキシド(以下,DMSOと略記する)に溶解
させた紡糸原液を乾湿式紡糸あるいはゲル紡糸し, 得ら
れた未延伸糸を乾熱チューブを用いて19倍以上に熱延伸
して, 強度15g/d以上,初期弾性率 250g/d以上の
PVA系繊維を製造する方法が開示されている。また,
特開昭62-162010 号公報には,重合度1500以上のPVA
のDMSO溶液を25℃以下の凝固浴に湿式紡糸あるいは
乾湿式紡糸して得られるゲル繊維を延伸することによ
り, 強度16g/d以上,初期弾性率 400g/d以上のP
VA系繊維を製造する方法が開示されている。しかしな
がら,これらの方法で得られるPVA系繊維の単糸繊度
は, いずれも20デニール以下であって,100デニール以上
の高強度・高初期弾性率PVA系モノフィラメント糸は
開示されていない。
【0004】一方,本発明者らは,特開平3-807 号公報
において, 強度10g/d以上,初期弾性率 200g/d以
上で,繊度が100 デニール以上のPVA系モノフィラメ
ント糸を提案した。このモノフィラメント糸は,太繊度
で, かつ高強度, 高初期弾性率を有する糸条ではある
が,PVA系繊維特有の熱水に対する抵抗性が低いとい
う問題を依然として有しており, このため,産業資材用
途への拡大が阻まれているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決し,繊度が 100デニール以上でありながら,優れた
強度と初期弾性率を有し,かつ優れた耐熱水性を有する
高強度,高初期弾性率PVA系モノフィラメント糸と,
このPVA系モノフィラメント糸を安定して生産性よく
製造することのできる方法を提供することを技術的な課
題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち, 本発明は,次の構成を有するものであ
る。 (A)重合度が1700〜7000のPVAからなり,繊度が 1
00デニール以上,引張り強度が12g/d以上,初期弾性
率が 350g/d以上であり,かつ耐熱水温度が 120℃以
上であることを特徴とする優れた耐熱水性を有する高強
度, 高初期弾性率PVA系モノフィラメント糸。
【0007】(B)PVAを溶媒に溶解して得た紡糸原
液を, 凝固作用,もしくはゲル化作用を有する有機溶媒
中に湿式もしくは乾湿式紡糸し,次いで, 紡出糸から溶
媒を抽出し,得られた未延伸モノフィラメント糸 (以
下, 未延伸糸と称する。) を乾燥した後,熱延伸してP
VA系モノフィラメント糸を製造するに際し,(1) 重合
度が1700〜7000のPVAを使用して紡糸原液を作製する
こと,(2) 紡出糸を, 脱水促進用触媒 (以下, 触媒と称
する。) を添加した抽出浴に導入して溶媒を抽出すると
ともに触媒を付与し,次いで,抽出浴を出た紡出糸に再
度触媒を付与した後,乾燥して未延伸糸を作製するこ
と,(3) 脱水促進用触媒の全付与量を, PVAに対して
0.01〜5.0重量%とすること,(4) 乾燥して得られた未
延伸糸を全延伸倍率が13倍以上となるように熱延伸する
こと,を特徴とする優れた耐熱水性を有する高強度,
高初期弾性率PVA系モノフィラメント糸の製造方法。
【0008】以下,本発明について詳細に説明する。
【0009】本発明において,使用する原料のPVA
は,重合度が1700〜7000であることが必要である。重合
度が1700より低いと欠陥部になり易い分子鎖末端が多く
なり,高強度, 高初期弾性率繊維を得ることが困難とな
る。また,重合度の上限は,製造コストの面から7000で
ある。さらに,PVAのケン化度は99モル%以上である
ことが好ましい。
【0010】PVAの溶媒としては,DMSOやエチレ
ングリコール,水等があるが,PVAが溶媒に溶解した
際の分子鎖の広がり状態,分子鎖の絡み具合,溶媒とし
ての安定性やゲル化の際の非晶の状態,その時の分子の
絡み具合,さらに作業上の問題等から考えるとDMSO
が好ましい。
【0011】紡糸原液を調製する際のPVA濃度は,良
好な物性の繊維を得るためには3〜35重量%が好まし
い。なお, この紡糸原液中にPVAの酸化防止剤,耐熱
剤,架橋剤等を添加してもよい。
【0012】上記で得られた紡糸原液の紡糸方法として
は,紡糸原液の溶媒に有機溶媒を用い,これを有機溶媒
からなる凝固,あるいは冷却浴中に不活性雰囲気層を通
して吐出する乾湿式紡糸方法,水を溶媒として紡糸原液
を調製し,これを凝固浴中に吐出する湿式紡糸方法等を
採用することができるが,有機溶媒を用いる乾湿式紡糸
方法が好ましい。
【0013】紡糸に用いる口金の紡糸孔径は,0.7〜5.0
mmが好ましく,さらに好ましくは1.0〜3.0mmである。
孔径が0.7mm未満になると,未延伸糸の繊度が小さくな
るため,本発明の目的とする繊度 100デニール以上のモ
ノフィラメント糸を得ることができ難くなる。また,孔
径が5.0mmを超えると,紡糸ドラフトを大きくしても糸
状体が太くなるので溶媒の抽出が充分に行えず,延伸工
程で糸が切断しやすくなる。したがって,延伸工程での
糸条の切断を防止するためには,目的とする延伸後のモ
ノフィラメント糸の繊度を 400デニール以下とすること
が好ましい。さらに,特開平3-807号公報で提案されて
いるように,紡糸口金から吐出させた直後に複数の糸条
体を不活性雰囲気層において密着,一体化させてモノフ
ィラメント糸を形成する場合には,紡糸孔の孔径を0.7m
m 未満としてもよい。
【0014】紡糸口金から吐出された糸状体は,乾湿式
紡糸方法の場合,空気層あるいは不活性気体層を通して
凝固浴に押し出され,また,湿式紡糸方法の場合は凝固
浴に直接押し出されて凝固した後,抽出浴に送られる。
【0015】凝固液としては,凝固作用を有するメタノ
ール,エタノール,プロパノール等の低級アルコ−ル
類,ぼう硝のアルカリ水溶液,アセトン類,エーテル類
そしてこれらとPVAの溶媒との混合溶液等が用いられ
るが,特に凝固速度の点からメタノールや,ぼう硝のア
ルカリ水溶液が好ましい。また, 紡糸口金から吐出され
た糸状体を, 凝固浴の代わりにデカリン,パラフィン油
等を使用した冷却浴で固化させてもよい。
【0016】上記で得られた紡出糸は, 抽出浴に送られ
て溶媒を抽出されるが,抽出液としては凝固液と同様の
ものを使用することができる。
【0017】本発明において,最も重要な点は,繊維の
内, 外層にポリエン構造を形成し,耐熱水性を向上させ
ることであるが,このためには,熱延伸前の段階で,紡
出糸の内, 外層に触媒を付与し, 次いで触媒が付与され
た未延伸糸に熱延伸を施すことが必要である。
【0018】紡出糸の内, 外層に触媒を付与するために
は,次の2段階で行う必要がある。まず,第1段階は,
触媒を添加した抽出浴に紡出糸を導入して繊維中の溶媒
を抽出すると同時に繊維内部に触媒を浸透させ,触媒を
紡出糸の内部に均一に分散させる。次いで, 第2段階
は,抽出浴を出た乾燥前の紡出糸に,触媒を混合した油
剤をオイリングローラ等で付与する。以上の2段階で,
紡出糸の内, 外層に触媒を均一に分散させる。
【0019】紡出糸に対する触媒の付与量はPVAに対
して0.01〜5.0重量%が好ましく,そのうち,第1段階
で全触媒付与量の20〜30%を,第2段階では残りを付与
することが好ましい。触媒の付与量が0.01重量%より少
ないと,熱処理しても繊維表面に均一に脱水作用が起生
されず,耐熱水性の向上効果が得られない。また, 5.0
重量%よりも多いと,脱水作用により極度の強度低下を
引き起こすので好ましくない。
【0020】紡出糸に上記範囲の触媒を付与するために
は,2段階で付与することが必要であり,どちらか1段
階で触媒を付与すると,所定量の触媒を付与することが
困難となり,優れた耐熱水性のモノフィラメント糸が得
られない。
【0021】本発明で使用できる触媒は,熱処理するこ
とによりPVAが脱水反応を起こすものであれば特に限
定されるものではなく,例えば硫酸,塩酸,リン酸,ポ
リリン酸などの無機酸,酢酸,イタコン酸,アルキルス
ルホン酸,リン酸モノアルキル,リン酸モノジアルキ
ル,ポリアクリル酸等がある。これらの中で, PVAに
対する熱分解反応と脱水反応の点でリン酸が好ましい。
【0022】本発明において, 紡出糸に触媒を付与する
第2段階は,触媒を混合した油剤をオイリングローラで
付与するのが好ましい。ここで使用する油剤は特に限定
されるものではないが,ポリオキシエチレンソルビタン
トリオレエート,ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル,ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等を主
成分とし,鉱物油を希釈剤とする,いわゆるストレート
油剤が好ましい。
【0023】本発明では,触媒を2段階で付与した紡出
糸を乾燥し,未延伸糸とする。なお,紡糸工程中で延伸
(紡糸延伸) する際は,溶媒の抽出中又は溶媒を抽出
後,浴中で延伸し,次いで乾燥して未延伸糸とする。
【0024】本発明では,このようにして得られた未延
伸糸を一旦捲き取るか, 又は連続して熱延伸工程に供給
し,熱延伸を施す。延伸倍率は,紡糸から熱延伸までの
全延伸倍率(紡糸延伸倍率×熱延伸倍率)が13倍以上に
なるように設定する必要があり,全延伸倍率が13倍より
も低いと,目的とする引張り強度と初期弾性率が得られ
ない。
【0025】また,熱延伸時の熱処理方法としては,加
熱ローラ,熱風炉,ホットプレート等を使用する方法が
あるが,特に限定されるものではない。また,熱処理条
件としては, 150℃以上,繊維の融点以下の温度,好ま
しくは 180℃〜 260℃の温度で, 1〜60秒間行うのが好
ましい。熱処理温度が 150℃よりも低く,かつ処理時間
が1秒間より短いと脱水反応が不十分となりやすく,目
的とする耐熱水性が得られ難くなる。また,熱処理温度
が 260℃よりも高く,かつ熱処理時間が60秒間よりも長
い場合は, 糸条の強度低下が生じやすいので好ましくな
い。
【0026】本発明では,熱延伸に引き続いて熱処理を
施してもよいが,この場合,熱処理時のオーバーフイー
ド率は−10〜10%となるように設定するのが好ましい。
【0027】以上,本発明の製造方法を採用することに
より,商業的に入手可能な重合度のPVAを用いて,高
強度と高初期弾性率を有し, かつ耐熱水性に優れたPV
A系モノフィラメント糸を生産性よく製造することがで
きるのである。
【0028】このようにして得られる本発明のPVA系
モノフィラメント糸は,単糸繊度が100デニール以上で
ありながら,引張り強度12g/d以上,初期弾性率 350
g/d以上,耐熱水性温度が 120℃以上と極めて高い機
械的性質を有する繊維であり,このため,PVA繊維の
代表的な用途である漁網やロープとしての用途拡大が図
れるばかりでなく,セメント,プラスチック等のアスベ
スト代替補強材料としての使用も可能であり,各種の産
業資材用途に好適な繊維となるものである。
【0029】
【作用】本発明において,単糸繊度が 100デニール以上
でありながら,12g/d以上の引張り強度と 350g/d
以上の初期弾性率を有し,かつ,耐熱水温度が 120℃以
上と優れた耐熱水性を有するPVA系モノフィラメント
糸が得られる理由は明確ではないが,次のように推論さ
れる。
【0030】すなわち, 紡出糸を,第1段階で,触媒を
添加した抽出浴に導入して繊維中の溶媒を抽出すると同
時に繊維内部に触媒を浸透させるので,触媒を紡出糸の
内部に均一に分散させることが可能となる。また, 第2
段階で,抽出浴を出た紡出糸に触媒を付与するので,紡
出糸の内, 外層に触媒が均一に付与され,次いで触媒が
付与された乾燥後の未延伸糸に熱延伸を施すので,繊維
の内, 外層にポリエン構造が形成され,耐熱水性が向上
するものと認められる。
【0031】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,実施例中の引張り強度(以下, 強度と略記す
る。)と初期弾性率(以下, 弾性率と略記する。)は,
JIS-L-1013に準じて,試料長20cm,引張り速度20cm/分
で測定したものである。また, 耐熱水性は,次の方法で
得られる耐熱水温度で評価した。 装置 :パーキンエルマー社製DSCー2C型示差
走査熱量計 昇温速度 :10℃/分 試料セル :高耐圧(50気圧)セル 試料調製法:長さ約50mmに切断した繊維サンプル約5m
gを水10mgと共に試料セル中に封入する。 耐熱水温度:上記の方法で得られる融解(溶解)曲線の
ピーク温度を耐熱水温度と定義する。
【0032】実施例1〜5,比較例1〜2 重合度1300,1700,3300,4000,7000のPVAを,溶媒
であるDMSOに溶解し,それぞれPVA濃度24,21,
17,16,10重量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液
を 100℃で孔径2mm,孔数3の紡糸孔が備わった紡糸口
金から,メタノールからなる凝固浴中に紡糸ドラフト2.
0,エアギャップ30mmで乾湿式紡糸した。次いで,リン
酸を0.3重量%添加したメタノールからなる抽出浴でD
MSOを抽出除去し,次いでポリオキシエチレンオレイ
ルエーテルを主成分とし,リン酸を4.0重量%添加した
油剤を付与した後,乾燥させて未延伸糸を得た。
【0033】この未延伸糸を, 加熱ローラ間に熱風延伸
炉を配置した延伸装置を用い,表1,2に示した条件
で,最終ローラ速度を40m/分として熱延伸を行い,P
VA系モノフィラメント糸を得た。表1,2に,これら
の紡糸及び熱延伸条件と,得られたPVA系モノフィラ
メント糸の糸質性能を示す。なお,表中,最終ローラ温
度とは, 最終熱延伸の出口ローラ温度のことである。
【0034】比較例3 全延伸倍率を10倍とした以外は,実施例3と同様に操作
してPVA系モノフィイメント糸を得た。表2に得られ
たPVA系モノフィラメント糸の糸質性能を示す。
【0035】比較例4,5 リン酸の付与量を0.001 重量%とした (比較例4) , あ
るいはリン酸の付与量を7.0重量%とした (比較例5)
以外は,実施例3と同様に操作してPVA系モノフィラ
メント糸を得た。表2に得られたPVA系モノフィラメ
ント糸の糸質性能を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1から明らかなように,実施例1〜5で
得られたPVA系モノフィラメント糸は,いずれも強度
12g/d以上,弾性率 360g/d以上と高強度, 高弾性
率であり,かつ耐熱水温度が 130℃以上という優れた耐
熱水性を有していた。
【0039】一方,PVAの重合度が1700未満の比較例
1,全延伸倍率が13倍未満の比較例3,触媒の付与量が
本発明で規定した範囲を外れる比較例2,4,5で得ら
れたPVA系モノフィラメント糸には,本発明で規定し
た強度と弾性率及び耐熱水温度を同時に満足するものは
なかった。
【0040】比較例6,7 リン酸10重量%を添加した抽出浴だけでリン酸を付与し
た (比較例6) , あるいはリン酸10重量%を添加した油
剤だけでリン酸を付与した (比較例7) 以外は,実施例
3と同様に操作してPVA系モノフィラメント糸を得
た。表3に得られたPVA系モノフィラメント糸の糸質
性能を示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3から明らかなように,比較例6〜7で
得られたPVA系モノフィラメント糸は,強度と弾性率
及び耐熱水温度の3つとも本発明で規定した範囲を満足
するものはなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明のPVA系モノフィラメント糸
は,繊度が 100デニール以上でありながら,12g/d以
上の強度と,350g/d以上の初期弾性率を有し,かつ,
耐熱水温度が 120℃以上という優れた耐熱水性を有す
る, 従来にない高強度, 高弾性率モノフィラメント糸で
あり,PVA繊維の代表的な用途である漁網あるいはロ
ープとしての用途拡大が図れるばかりでなく,セメン
ト,プラスチック等のアスベスト代替補強材料としての
使用も可能であり,各種の産業資材用途に好適な繊維で
ある。また,本発明の製造方法によれば,上記の利点を
有するPVA系モノフィラメント糸を生産性よく,低コ
ストで製造することが可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 村井 計介 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度が1700〜7000のポリビニルアルコ
    ールからなり,繊度が 100デニール以上,引張り強度が
    12g/d以上,初期弾性率が 350g/d以上であり,か
    つ耐熱水温度が 120℃以上であることを特徴とする優れ
    た耐熱水性を有する高強度, 高初期弾性率ポリビニルア
    ルコール系モノフィラメント糸。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールを溶媒に溶解して
    得た紡糸原液を, 凝固作用,もしくはゲル化作用を有す
    る有機溶媒中に湿式もしくは乾湿式紡糸し,次いで, 紡
    出糸から溶媒を抽出し,得られた未延伸モノフィラメン
    ト糸を乾燥した後,熱延伸してポリビニルアルコール系
    モノフィラメント糸を製造するに際し,(1) 重合度が17
    00〜7000のポリビニルアルコールを使用して紡糸原液を
    作製すること,(2) 紡出糸を, 脱水促進用触媒を添加し
    た抽出浴に導入して溶媒を抽出するとともに脱水促進用
    触媒を付与し,次いで,抽出浴を出た紡出糸に再度脱水
    促進用触媒を付与した後,乾燥して未延伸モノフィラメ
    ント糸を作製すること,(3) 脱水促進用触媒の全付与量
    を, PVAに対して0.01〜5.0重量%とすること,(4)
    乾燥して得られた未延伸モノフィラメント糸を全延伸倍
    率が13倍以上となるように熱延伸すること,を特徴とす
    る優れた耐熱水性を有する高強度, 高初期弾性率ポリビ
    ニルアルコール系モノフィラメント糸の製造方法。
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