JP2569352B2 - 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法 - Google Patents

高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

Info

Publication number
JP2569352B2
JP2569352B2 JP63136283A JP13628388A JP2569352B2 JP 2569352 B2 JP2569352 B2 JP 2569352B2 JP 63136283 A JP63136283 A JP 63136283A JP 13628388 A JP13628388 A JP 13628388A JP 2569352 B2 JP2569352 B2 JP 2569352B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
fiber
yarn
pva
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63136283A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01229805A (ja
Inventor
富士男 上田
政彦 林
宏佳 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP63136283A priority Critical patent/JP2569352B2/ja
Publication of JPH01229805A publication Critical patent/JPH01229805A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2569352B2 publication Critical patent/JP2569352B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高強度水溶性ポリビニルアルコール(以
下、PVAと略す。)系繊維およびその製造法に関し、さ
らに詳しくは、従来の水溶性PVA系繊維とは異なり、ア
ラミド繊維に近い優れた機械的性能を有し、さらに水溶
解時の収縮率、収縮応力が著しく高い新規水溶性PVA系
繊維およびその工業的製造法に関する。
[従来技術] 従来、熱水あるいは室温の水に溶解する水溶性繊維と
しては、PVA系繊維、アルギン酸系繊維、セルロース系
繊維、ポリエチレンオキサイド系繊維等がよく知られて
いるが、紡績、編織等の高次加工に必要とされる機械的
性能を満足するものは、PVA系繊維のみであり、ケミカ
ルレース用基布、靴下製造分野における抜き糸用として
工業的に製造されている。かかる水溶性PVA系繊維の製
法としては、ケン化度99モル%以下の低ケン化度PVAの
濃厚水溶液を乾式紡糸する(特公昭43−8992号公報)、
あるいは、ケン化度99モル%以上の完全ケン化PVAの水
溶液を飽和ボウ硝水溶液中に湿式紡糸した後、アセター
ル化処理を施さない等の方法がある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記した方法で得られる水溶性PVA系
繊維の引張り強度は3〜4g/d、初期弾性率も50〜60g/d
程度であり、上記した特殊用途のみに用いられる程度
で、高い機械的性能の要求される産業用途への進出は不
可能であった。
また、上記方法で得られる水溶性PVA系繊維は、水溶
解時、収縮をともなって溶解するという特徴を有してい
るが、水溶解時の最大収縮率は、50%、最大収縮応力
は、200mg/d程度に達する。
最近になって、このような水溶性PVA系繊維の収縮特
性を活かして、シボ立て織物用原糸として用いる検討が
なされているが、収縮率が低く、シボ立て効果が十分で
ないといった問題や、使いすておむつの横漏れ防止用吸
水収縮糸として用いた場合も、収縮応力が低く、横漏れ
防止効果が十分でないという問題があり、さらにより高
収縮でかつ、収縮応力の高い水溶性PVA系繊維の出現が
望まれていた。
本発明者らは、上記した水溶性PVA系繊維の機械的性
能、および水溶解時の収縮特性を高めるべく鋭意検討を
行った結果、高重合度低ケン化PVA系重合体を高倍率延
伸することにより、従来の水溶性PVA系繊維に比べ、高
強度・高弾性率で、かつ、水溶解時の収縮率、収縮応力
ともに極めて高い新規高強度水溶性PVA系繊維が得られ
ることを見いだし、本発明を為すにいたった。
即ち、本発明の課題とするところは、従来の水溶性PV
A系繊維に比べ、水溶解時の収縮率、収縮応力ともに極
めて高いうえ、強度、初期弾性率等の機械的性能も高
く、収縮特性を活かした衣料用途ばかりでなく、産業用
途にも展開可能な新規高強度水溶性PVA系繊維を提供す
るにある。また他の課題は、このような卓越した繊維特
性を有する水溶性PVA系繊維の工業的または商業的な製
造方法を提供するにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の上記課題は、 (1)引張り強度が10g/d以上、初期弾性率が100g/d以
上であり、かつ、水溶解温度が95℃以下である高強度水
溶性PVA系繊維、および、 (2)水溶解時の最大収縮率が60%以上、最大収縮応力
が300mg/d以上である特許請求の範囲第(1)項記載の
高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維、および、 (3)重合度が少なくとも1500、ケン化度が80〜99モル
%であるポリビニルアルコール系重合体を、凝固浴また
は冷却浴中での凝固糸あるいはゲル化糸の滞留時間が5
秒以上になるように乾湿式紡糸またはゲル紡糸した後、
180〜230℃の温度下で全延伸倍率が10倍以上になるよう
に延伸することを特徴とする高強度水溶性ポリビニルア
ルコール系繊維の製造法、 によって解決することができる。
本発明における高強度水溶性PVA系繊維は、引張り強
度が10g/d以上、好ましくは11g/d以上、さらに好ましく
は12g/d以上であり、初期弾性率が100g/d以上、好まし
くは150g/d以上、さらに好ましくは180g/d以上、最も好
ましくは200g/d以上である。引張り強度が10g/d以上、
初期弾性率が100g/d以上でないと産業用繊維として用い
るには十分でなく、また用途も限られてくる。
さらに本発明の高強度水溶性PVA系繊維の水溶解温度
は95℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70
℃以下である。水溶解温度が100℃を上回ると、繊維を
溶解するためには加圧沸騰水中で長時間処理をする必要
があり、水溶性繊維としては好ましくない。
本発明における高強度水溶性PVA系繊維は水溶解時の
最大収縮率が60%以上、好ましくは65%以上、さらに好
ましくは70%以上、最も好ましくは75%以上である。ま
た、水溶解時の最大収縮応力は、300mg/d以上、好まし
くは350mg/d以上、さらに好ましくは400mg/d以上、最も
好ましくは500mg/d以上である。水溶解時の最大収縮率
が60%を下回ったり、最大収縮応力が300mg/dを下回る
と、水溶性PVA系繊維をシボ立て織物用収縮原糸として
用いる場合、収縮率が不足気味になるため、シボ立て効
果が十分でなかったり、使いすておむつ・生理綿用横漏
れ防止用吸水収縮糸として用いる場合、収縮応力が不足
気味なため、横漏れ防止効果が十分でない。
さらに本発明の高強度水溶性PVA系繊維は、産業用繊
維として高い値の要求される結節強度に関しても、5g/d
以上であるのが望ましい。
本発明におけるPVAの重合度、ケン化度、繊維の機械
的性能、水溶解温度、水溶解時の最大収縮率、水溶解時
の最大収縮応力は、次のように定義(測定)される。
(a)PVAの重合度 JIS K6726に基づき、30℃における水溶液の極限粘度
[η]から次式により重合度(Pn)を算出した。
log(Pn)=1.613×log([η]×104/8.29) ただし、[η];ml/g (b)PVAのケン化度 JIS K6726に基づき、中和滴定法により求めた残存酢
酸基量より計算で求めた。
(c)繊維の機械的性能 繊維を予め20℃、65%の相対湿度下に24時間調湿し、
繊維を構成する単糸の試料長20mm、引張速度100mm/分の
条件で単糸強度および初期弾性率を測定した。
(d)水溶解温度および水溶解時の最大収縮率繊維束に
対して2mg/dの初荷重をかけ、10℃の水中に入れ、昇温
速度1℃/分で昇温して、繊維が溶断するまでの収縮挙
動を調べた。溶断時の水温を水溶解温度、溶断に至るま
での最大収縮率を水溶解時の最大収縮率とした。
(e)水溶解時の最大収縮応力 単繊維に5mg/dの張力をかけて、テンシロン引張試験
機につかみ間隔20mmとして取付け、次いで、繊維を10℃
の水中に浸漬し、つかみ間隔一定の状態で、昇温速度1
℃/分で昇温し、収縮応力と水温の関係を測定する。繊
維が溶解するまでの最大収縮応力を水溶解時の最大収縮
応力とした。
次に、本発明の高強度水溶性PVA系繊維の製造例につ
いて説明する。
本発明の高強度水溶性PVA系繊維は、重合度が少なく
とも1500、好ましくは2000以上、さらに好ましくは2500
以上で、ケン化度が80〜99モル%、好ましくは85〜98モ
ル%、さらに好ましくは87〜97モル%であるPVA系重合
体を、凝固浴または冷却浴中での凝固糸あるいはゲル化
糸の滞留時間が5秒以上になるように乾湿式紡糸または
ゲル紡糸した後、180〜230℃の温度下で全延伸倍率が10
倍以上になるように延伸することによって工業的に製造
できる。この際、PVA系重合体の重合度が1500を下回る
と、本発明の高強度水溶性PVA系繊維の機械的性能(引
張り強度が10g/d以上、初期弾性率100g/d以上)、およ
び水溶解時の収縮特性(最大収縮率が60%以上、最大収
縮応力が300mg/d以上)を達成することができない。ま
たケン化度が99モル%を越えると、耐熱水性が高くなる
ため、100℃以下の水中では溶解しなくなるし、ケン化
度が80モル%を下回ると、繊維として必要な機械的性能
・熱安定性の点で十分でないうえ、繊維化も困難にな
る。
本発明においては、上記したPVA系重合体を180〜230
℃の温度下で全延伸倍率が10倍以上になるように高度に
延伸配向する必要がある。延伸倍率が10倍を下回ると、
本発明の高強度水溶性PVA系繊維に必要な機械的性能、
および水溶解時の収縮特性を達成できない。
本発明においては、上記したように高重合度低ケン化
度PVA系重合体を高度に延伸配向せしめる必要があり、
このような高倍率延伸を可能ならしめる紡糸方法とし
て、乾湿式紡糸またはゲル紡糸が好適である。
そこで、本発明における乾湿式紡糸およびゲル紡糸に
ついて説明する。
まず、乾湿式紡糸とは、紡糸溶液を紡糸口金から一旦
空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気中に
吐出し、次いでこの吐出糸条を凝固浴中に導入して凝固
せしめる方法である。
この際、乾湿式紡糸の紡糸溶媒としては、ジメチルス
ルホキシド(以下、DMSOと略す。)、水、グリセリン、
エチレグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、チオシアン酸ナトリウムの濃厚水溶液、
および、これらの混合溶媒等があるが、好ましくはDMS
O、水、グリセリン、エチレングリコールがよく、さら
に好ましくはDMSOがよい。
更に、本発明においては、前記したPVA系重合体のケ
ン化度は、繊維段階においても保持することが不可避で
あり、このためには、紡糸原液の調整に当り、80℃以上
の温度下で長時間(例えば、6時間以上)放置してもケ
ン化反応が進行しない溶剤、具体的に一例をあげれば、
25℃における水素イオン濃度(pH)が6〜8になるよう
に酸で調整されたDMSOを用いるなどの配慮が望ましい。
また、本発明における凝固浴としては、低ケン化度PV
A系重合体が水溶性であるため、メタノール、エタノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、ベンゼ
ン、トルエンなどの有機溶剤、および、これらの溶剤の
一種以上と前記した紡糸溶媒との混合溶剤があるが、好
ましくは、メタノールとDMSOの混合溶剤(混合比は、メ
タノール/DMSO=100/0〜80/20重量比、好ましくは100/0
〜85/15重量比)がよい。
次にゲル紡糸とは、紡糸原液を紡糸口金から不活性雰
囲気の微少空間に吐出し、次に吐出糸条を紡糸原液の溶
剤に対して非混和性の溶剤からなる冷却浴中に導いてそ
のまま(吐出糸条の重合体濃度を実質的に変化させるこ
となく)冷却ゲル化させる紡糸法である。
このゲル紡糸における紡糸原液の溶媒としては、PVA
系重合体を高温で加熱、溶解して得られる溶液を、冷却
するとゲル化するものが好ましい。具体的には、グリセ
リン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの多
価アルコール類、ベンゼンスルホンアミド、カプロラク
タムなど常温で非揮発性の溶剤を例示することができる
が、好ましくは、グリセリン、およびエチレングリコー
ルがよい。
また本発明においては、低ケン化PVA系重合体の熱安
定性が低いため(190〜230℃で分解)、原液作製・紡糸
にあたっては、原液温度を190℃以下、好ましくは180℃
以下にするのが望ましい。
ゲル紡糸の冷却浴としては、上記紡糸原液の溶剤に対
して混和性を有せず、PVA系重合体に対して、非溶剤の
もの、例えば、デカリン、トリクロルエチレン、四塩化
炭素、パラフィンオイルなどが用いられる。
本発明においては、低ケン化度PVA系重合体の凝固・
ゲル化速度が極めて遅く、単糸間の接着が起りやすいた
め、接着を防ぐために紡糸原液におけるPVA系重合体濃
度を12〜30重量%、好ましくは15〜25重量%にするのが
望ましい。
また、本発明においては単糸間の接着を回避するた
め、凝固浴中または冷却浴中での凝固糸あるいはゲル化
糸の滞留時間を5秒以上、好ましくは10秒以上にする必
要がある。滞留時間が5秒を下回ると、糸条が接着した
り、凝固・ゲル化が十分でないため、延伸性が低下す
る。
本発明では、さらに接着を回避するため、凝固・ゲル
化糸条、未延伸糸条の乾燥温度を70℃以下、好ましくは
60℃以下にするとよい。また、熱延伸前にフッソ系、シ
リコン系等の接着防止用工程油剤を未延伸糸に付与する
ことも好ましい。
本発明において、得られた凝固糸またはゲル化糸を高
度に延伸するため、温度が180〜230℃、好ましくは190
〜225℃の加熱チューブ、熱板、熱媒浴等により全延伸
倍率が10倍以上、好ましくは12倍以上、さらに好ましく
は15倍以上になるよう延伸する。高重合度でかつ99モル
%以下の低ケン化度PVA系重合体を、このような高い温
度で10倍以上の高倍率に延伸して水溶性PVA系繊維を得
る方法についてはこれまで全く知られておらず、かかる
高重合度、低ケン化度、高温・高倍率延伸の組み合わせ
によってはじめて本発明のPVA系繊維の有する特性、即
ち、水溶性、高強度・高弾性率でかつ、水溶解時高収縮
率・高収縮応力特性を達成することが可能になるのであ
る。
また、本発明においては、上記した熱延伸の前に、凝
固糸を1〜7倍冷延伸、湿熱延伸してもよい。
[実施例] 以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1 ケン化度が95モル%、重合度が2500のPVAを重合体濃
度が20重量%になるようにDMSOに溶解し、紡糸原液を作
製した。なお、溶解に先だち、DMSO中にパラトルエンス
ルホン酸を加えて、原液の水素イオン濃度(pH;25℃)
を6.4に調整した。
得られた原液を100℃の温度に保ち、口径0.08mmφ、
孔数500の口金から、150cc/分の吐出量で空気中に吐出
し、10mmの空間部(口金面と凝固浴液面間の距離)を走
行させた後、2重量%のDMSOを含む温度15℃のメタノー
ル凝固浴中に導入して凝固せしめ、10m/分で引きとっ
た。なお、この場合の凝固糸条の凝固浴中での滞留時間
は、15秒であった。
得られた未延伸糸条はメタノールで洗浄し、二連ロー
ラにより4倍に冷延伸し、シリコン系油剤(東レシリコ
ン(株);TE−1002)を1重量%メタノールに溶解した
油剤浴中を通過せしめた後、60℃の加熱ローラで乾燥し
た。乾燥糸条は220℃の窒素気流を有する加熱筒を通し
て4.5倍に延伸し、ワインダーにて巻き取った。得られ
た延伸糸条の全延伸倍率は18.0倍で単糸間の接着は全く
なく、単糸繊度は3.3d、単糸強度は16.5g/d、伸度は8.0
%、初期弾性率は230g/d、結節強度は5.3g/d、水溶解温
度は52℃、水溶解時の最大収縮率は80%、水溶解時の最
大収縮応力は560mg/dであった。
実施例2,3,4、比較例1 実施例1で得られた4倍冷延伸糸を220℃の窒素気流
を有する加熱筒を通して全延伸倍率が、7倍、12倍、16
倍、19倍になるように延伸し、得られた糸条の引張り強
度、初期弾性率、水溶解時の最大収縮率、最大収縮応力
を測定した。結果を表−1に示す(なお、これら延伸糸
条の水溶解温度は50℃〜52℃であり大きな差はなかっ
た。)。
比較例−2 ケン化度95モル%、重合度800のPVAを重合体濃度が25
重量%にした以外は実施例1と同様の方法で糸条を作製
した。ただし、実施例−1に比べて延伸性が低く、全延
伸倍率は15倍にとどまった。得られた繊維の繊度は4.8
d、引張強度は7.8g/d、伸度は9.8%、初期弾性率は143g
/d、結節強度は3.2g/d、水溶解温度は56℃、水溶解時の
最大収縮率は54%、最大収縮応力は285mg/dであった。
実施例−5、比較例−3 ケン化度88モル%、重合度3300のPVAを重合体濃度が1
8重量%になるようにDMSOに溶解した以外は、実施例−
1と同様の方法で4倍冷延伸糸を作製した。得られた冷
延伸糸を195℃の窒素気流を有する加熱筒を通して3.8倍
に延伸し、ワインダーに巻き取った。得られた延伸糸条
の繊度は3.5d、引張強度は13.1g/d、初期弾性率は152g/
d、伸度は10.2%であり、水溶解温度は20℃、水溶解時
の最大収縮率は78%、水溶解時の最大収縮応力は380mg/
dであった。
なお、本実施例において、凝固浴を変更し、凝固糸条
の凝固浴中での滞留時間を2秒にして紡糸を行ったとこ
ろ、単糸間の接着がひどく、単糸物性を測定することが
できなかった。
実施例−6 ケン化度96モル%、重合度4000のPVAを重合体濃度が1
5重量%なるようにグリセリンに160℃で溶解し、紡糸原
液を作製した。
得られた原液を170℃の温度に保ち、口径0.10mmφ、
孔数100の口金から、45cc/分の吐出量で空気中に吐出
し、20mmの空間部(口金面と冷却浴液面間の距離)を走
行させた後、温度5℃のデカリンからなる冷却浴中に導
入してゲル化せしめ、10m/分で引きとった。なお、この
場合のゲル化糸条の冷却浴中での滞留時間は20秒であっ
た。
得られたゲル化糸条を20℃のメタノール洗浄浴中でグ
リセリンを抽出した後、二連ローラにより4倍に冷延伸
し、シリコン系油剤(東レシリコン(株)TE−1002)を
1重量%メタノールに溶解した油剤浴中を通過せしめた
後、50℃の加熱ローラで乾燥した。乾燥糸条は225℃の
窒素気流を有する加熱筒を通して4.1倍に延伸し、ワイ
ンダーにて巻き取った。得られた延伸糸条の全延伸倍率
は16.4倍で単糸間接着は全くなく、単糸繊度は4.5d、単
糸強度は18.6g/d、伸度は7.8%、初期弾性率は262g/d、
結節強度は5.8g/d、水溶解温度は61℃、水溶解時の最大
収縮率は81%、水溶解時の最大収縮応力は573mg/dであ
った。
実施例−7、比較例−4 実施例−1において、口金孔数を50、吐出量を23cc/
分に変更した以外は実施例−1と同様の方法で紡糸・延
伸を行い、マルチ繊度252Dの延伸糸条を得た。得られた
繊維の水溶解温度は52℃、水溶解時の最大収縮率は80
%、水溶解時の最大収縮応力は562mg/dであった。
別に、口金孔数を50、吐出量を10cc/分、全延伸倍率
を8倍にした以外は実施例−1と同様の方法で紡糸・延
伸を行い、マルチ繊度が255D、水溶解温度が48℃、水溶
解時の最大収縮率が38%、水溶解時の最大収縮応力が20
5mg/dの延伸糸条を得た。
各々の糸条をポリエステルフィラメント(マルチ繊
度;980D)と撚数80に共撚し、熱水90℃で撚止めを行っ
た後、沸騰水中でPVA繊維を収縮・溶解してシボ立て織
物用原糸を作製した。シボ立て効果について表−2に示
す。
[発明の効果] 本発明の高強度水溶性PVA系繊維は、アラミド繊維に
匹敵する優れた機械的性能と95℃以下の水に溶解すると
いう性能を併せ有するうえ、水溶解時の最大収縮率が60
%以上で、かつ、最大収縮応力も300mg/d以上という高
い収縮特性を同時に兼ね備えているため、水中崩壊型の
高強度繊維資材、高強度ロープ、漁網、ハリス、テグス
類や、高強力合成紙用バインダー、ジオテキスタイル、
土木用シート等の産業用途、収縮しばり紐、植物用根巻
き材等の産業用収縮糸ばかりでなく、使いすておむつ・
生理綿の横漏れ防止用吸水収縮糸、シボ立て織物用溶解
収縮糸、水感布帛用原糸等の衣料用途への展開が大いに
期待される。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張り強度が10g/d以上、初期弾性率が100
    g/d以上であり、かつ、水溶解温度が95℃以下である高
    強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】水溶解時の最大収縮率が60%以上、最大収
    縮応力が300mg/d以上である特許請求の範囲第(1)項
    記載の高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維。
  3. 【請求項3】重合度が少なくとも1500、ケン化度が80〜
    99モル%であるポリビニルアルコール系重合体を、凝固
    浴または冷却浴中での凝固糸あるいはゲル化糸の滞留時
    間が5秒以上なるように乾湿式紡糸またはゲル紡糸した
    後、180〜230℃の温度下で全延伸倍率が10倍以上になる
    ように延伸することを特徴とする高強度水溶性ポリビニ
    ルアルコール系繊維の製造法。
JP63136283A 1987-06-12 1988-06-02 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法 Expired - Fee Related JP2569352B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63136283A JP2569352B2 (ja) 1987-06-12 1988-06-02 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62-147722 1987-06-12
JP14772287 1987-06-12
JP63136283A JP2569352B2 (ja) 1987-06-12 1988-06-02 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01229805A JPH01229805A (ja) 1989-09-13
JP2569352B2 true JP2569352B2 (ja) 1997-01-08

Family

ID=26469916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63136283A Expired - Fee Related JP2569352B2 (ja) 1987-06-12 1988-06-02 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2569352B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR9206199A (pt) * 1991-06-24 1995-01-10 Minnesota Mining & Mfg Processo de fixação de um artigo polpável, dispositivo de fixação repolpável, fita adesiva sensível a pressão repolpável, cinta repolpável, e combinação do dispositivo
EP0636716B1 (en) * 1993-07-29 1999-01-20 Kuraray Co., Ltd. Water soluble polyvinyl alcohol-based fiber
JP2001310570A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Meiji Rubber & Chem Co Ltd 印刷用ブランケット
WO2012003367A2 (en) 2010-07-02 2012-01-05 The Procter & Gamble Company Method for delivering an active agent
CN103003476B (zh) 2010-07-02 2016-02-10 宝洁公司 纤维网材料以及用于制造纤维网材料的方法
JP5676207B2 (ja) * 2010-10-29 2015-02-25 株式会社クラレ 不定形耐火物の耐爆裂性向上に適した繊維およびそれを添加した不定形耐火物
JP5676343B2 (ja) * 2011-03-31 2015-02-25 株式会社クラレ 耐爆裂性水硬性硬化体
CN105121163B (zh) * 2013-03-15 2017-07-18 东丽株式会社 使用了聚乳酸系树脂的层叠膜
JPWO2015030084A1 (ja) 2013-08-30 2017-03-02 株式会社クラレ 新規なビニルアルコール系共重合体、その製造方法およびイオン交換膜
TWI637969B (zh) * 2013-12-26 2018-10-11 可樂麗股份有限公司 改性聚乙烯醇及其製造方法
JP6470312B2 (ja) * 2014-04-22 2019-02-13 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー フィラメント及びそれを利用する繊維性構造体
WO2018140675A1 (en) 2017-01-27 2018-08-02 The Procter & Gamble Company Compositions in the form of dissolvable solid structures comprising effervescent agglomerated particles
MX2023001042A (es) 2020-07-31 2023-02-16 Procter & Gamble Bolsa fibrosa soluble en agua que contiene granulos para el cuidado del cabello.

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61215711A (ja) * 1985-03-19 1986-09-25 Toray Ind Inc 高強度・高弾性率ポリビニ−ルアルコ−ル系マルチフイラメントヤ−ン
JPH0759763B2 (ja) * 1986-03-24 1995-06-28 株式会社バイオマテリアル・ユニバース 高強度、高弾性率ポリビニルアルコ−ル繊維およびその製造法
JPH0694604B2 (ja) * 1986-06-02 1994-11-24 東レ株式会社 高強度・高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造法
JPH0452531Y2 (ja) * 1986-07-15 1992-12-10

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01229805A (ja) 1989-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5208104A (en) High-tenacity water-soluble polyvinyl alcohol fiber and process for producing the same
KR0131274B1 (ko) 수용성 폴리비닐 알콜계 섬유
JP2569352B2 (ja) 高強度水溶性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
Fujiwara et al. Preparation of high‐strength poly (vinyl alcohol) fibers by crosslinking wet spinning
JPH0611927B2 (ja) 高強度、高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維およびその製造法
JPH0627366B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維、該繊維からなるタイヤコード並びにそれらの製造法
JPH01104815A (ja) ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JPS63120107A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維およびその製造法
JPS61108711A (ja) 高強度、高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造法
CA1312432C (en) High-tenacity water-soluble polyvinyl alcohol fiber and process for producing the same
JPH01156517A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JPS6285013A (ja) 高強力高モジユラスpva繊維およびその製造法
TW202200860A (zh) 聚醯胺4纖維之製造方法
JPH0670283B2 (ja) 高強度・高弾性率ポリビニルアルコール系繊維の製造方法
JP3364099B2 (ja) 分割性アクリル系合成繊維及びその製造方法
JP2008190063A (ja) ソフトで風合いの良好な紡績原糸の製造方法及びそれから得られる繊維製品
JP3423814B2 (ja) 優れた耐熱水性を有する高強度,高初期弾性率ポリビニルアルコール系モノフィラメント糸の製造方法。
JPS62238812A (ja) 高強度高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造法
JP2905545B2 (ja) 耐熱水性にすぐれた高強度高弾性率ポリビニルアルコール系繊維
JP2856837B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
WO2022138241A1 (ja) ポリビニルアルコール系繊維、繊維構造体およびその製造方法
JPS61119710A (ja) 高強度、高弾性率アクリル系繊維の製造法
JPH06212513A (ja) 高強度ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPH0457769B2 (ja)
JPH07305222A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees