JP5676207B2 - 不定形耐火物の耐爆裂性向上に適した繊維およびそれを添加した不定形耐火物 - Google Patents
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Description
そして、これら特許文献1〜3においては、不定形耐火物の加熱乾燥時に有機繊維が溶融または溶解して消失することにより、施工体の組織に微細な通気孔が形成され、この通気孔を介して水蒸気が容易に散逸するため、施工体の水蒸気爆裂等を防止できることが開示されている。
そして、本発明は上記の有機繊維が0.005〜0.5質量%添加された不定形耐火物である。
なお、本明細書において、「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。
[有機繊維の種類]
本発明での有機繊維は、PVA系繊維、エチレンービニルアルコール共重合体繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維等の合成繊維や、セルロース系繊維等の半合成繊維等が挙げられる。
これらの中で特に好適な有機繊維としては、低温で溶融ないしは水に溶解する点より、PVA系繊維、エチレンービニルアルコール共重合体繊維、またはポリプロピレン系繊維が特に好ましい。
またPVA系樹脂には他のモノマーが共重合されていてもよく、共重合成分としてはカルボン酸含有ポリマーが吸液性向上に効果あり、たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、あるいはこれら不飽和ニ塩基酸の無水物たとえば無水マレイン酸、無水イタコン酸等が上げられる。またエチレン、酢酸ビニル、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビニル、スルホン酸含有ビニル化合物なども使用できる。実用的な機械的性能の点からはビニルアルコールユニットを全構成ユニットの70モル%以上有するポリマーとするのが好ましい。
繊維の繊度は0.1〜5dtexのものが好ましい。5dtexを超えると、同一重量での構成本数が少ないため、通気孔の形成確率が格段に低下して爆裂抑制効果が低減するため好ましくない。また一方で、0.1dtex未満では不定形耐火物の流動性が非常に悪化し、施工性の点で問題となるため好ましくない。好ましくは0.2〜4.5dtex、更に好ましくは0.3〜4dtexである。
また、繊維長は、2〜10mmのものが好ましい。繊維長が10mmを超えると不定形耐火物混練時にファイバーボールになり易いばかりか、流動性も極端に悪くなるため好ましくない。また一方で、2mm未満では通気孔の形成確率が低下するため爆裂抑制効果が低減するだけでなく、所定の繊維長にカットする場合のカット効率が非常に低下し、生産性にも欠けるため好ましくない。好ましくは2.5〜9mmであり、更に好ましくは3〜8mmである。
繊維強度は、高い方が好ましく、具体的には7cN/dtex以上の強度が好ましい。繊維強度が高いと、不定形耐火物の拘束力を増すことになるため、内部蒸気圧が上昇して爆裂しようとするのを阻止する方向に働くので好ましい。繊維強度が7cN/dtex未満では、そのような拘束力が期待できない。より好ましくは8cN/dtex以上、更には9cN/dtex以上が好ましい。一方で20cN/dtexを越えるような非常に安定な繊維は、爆裂を発生する温度でも安定であり爆裂抑制効果が得られないため、好ましくない。
本発明における繊維は、熱収縮応力が0.1〜2cN/dtexでなければならない。このことが、本発明で最も重要な性能である。
不定形耐火物は、温度上昇に伴い内部蒸気圧が増加して爆裂しようとする力が働き、耐火物の圧縮強度よりも内部蒸気圧が勝った場合に爆裂することとなる。これを防止するため、従来の技術では、不定形耐火物の加熱乾燥時に繊維が溶解・溶融・分解することで施工体の組織に微細な通気孔が形成され、この通気孔を介して水蒸気が容易に散逸させて施工体の水蒸気爆裂等を防止することを目的に、水溶性PVA系繊維やポリプロピレン系繊維が用いられてきた。
しかしながら、近年の不定形耐火物の耐久性向上の流れの中、セメント分をできるだけ減少させるために空隙の少ない緻密な構造を持つ不定形耐火物が増えてきている。そのような緻密な耐火物においては、水溶性PVA系繊維あるいはポリプロピレン系繊維は、溶解或いは溶融してもそのままの状態で耐火物内で閉じ込められるだけであり、繊維空隙が形成されにくいため、爆裂しやすい状況にあった。
これに対し、本発明の熱収縮応力が0.1cN/dtex以上の繊維を不定形耐火物に添加した場合は、該繊維の融点付近から急激に収縮応力が発現するため、緻密な構造の不定形耐火物においても空隙が形成されやすくなる。そのため、該空隙を起点として蒸気が散逸しようとして微小なひび割れが形成され、そのひび割れが別の空隙に伝播、あるいは別の空隙由来のひび割れと合流することで、耐火物全体にひび割れが伝播し、結果として水蒸気が散逸しやすくなるため爆裂が抑制されるものと思われる。
従って、熱収縮応力は0.1cN/dtex以上であることが重要である。収縮応力が0.1cN/dtex未満であると、上記の通り空隙が形成されない。好ましくは、0.15cN/dtex以上、更には0.2cN/dtex以上が好ましい。
一方、繊維の熱収縮応力が2cN/dtexよりも高い場合は、繊維構造的には極めて不安定であり、温度や湿度等の環境変化で容易に収縮するため、製品としての安定性に欠ける。好ましくは1.9cN/dtex以下、更には1.8cN/dtex以下が好ましい。
なお、熱収縮応力は後述する方法により測定することで得られる。
繊維添加量については、0.005〜0.5質量%が好ましい。繊維添加量が0.5質量%よりも多いと、爆裂抑制効果は高いが、耐火物の強度や混練時の流動性が低下するため好ましくない。また一方で、0.005質量%未満では、爆裂抑制効果に乏しいため好ましくない。0.008〜0.45質量%であることが好ましく、更には0.01〜0.4質量%であることが好ましい。
上記したように、不定形耐火物は急激な加熱乾燥時には蒸気圧の上昇が著しく爆裂を起こしやすいが、本発明の繊維を添加すると、収縮して得られる空隙を起点としてひび割れが発生することで水蒸気の散逸に充分な通気孔が形成され、高い爆裂抑制効果が達成される。ここで水蒸気の散逸性としては、JIS−R2115に規定されている通気率によって表すことができる。物質の通気率とは、圧力差の下で物質がガスを通過させる特性であり、通気率(μ)は、一定時間中に物質を通過するガス容量によって与えられる下記式(1)から計算することにより得られる。
V/t=μ*(1/η)*(A/δ)*(p1−p2)*(p1+p2)/2P・・(1)
ここで、 V:物質を通過した圧力p1におけるガス量(m3)
t:ガス量(V)が物質を通過するのに要した時間(s)
μ:物質の通気率(m2)
η:試験温度におけるガスの粘度(Pa・s)
A:ガスが通過する物質の断面積(m2)
δ:ガスが通過する物質の厚み(m)
P:ガス容量測定時のガスの絶対圧(Pa)
p1:物質へのガス侵入絶対圧(Pa)
p2:物質からのガス離脱絶対圧(Pa)
上記式(1)において、物質の通気率μが高い場合は、内部の空隙も多いと推察できるので、蒸気散逸の良好性を示す指標であると考えることができる。即ち通気率は、爆裂抑制効果を反映する重要な指標と言える。
通気率は、不定形耐火物の種類等により最適値が変化するが、本発明での環境では、0.6×10−15〜9.9×10−14m2が好ましい。9.9×10−14m2を超えると不定形耐火物の構造が非常にポーラスな状態にあり、機械的強度が欠けるため好ましくない。一方、0.6×10−15m2未満では通気率が非常に低く、水蒸気を十分散逸させることができないため爆裂抑制効果が低くなる。好ましくは、0.7×10−15〜9.5×10−14m2であり、更には0.8×10−15〜9.0×10−14m2が好ましい。
次に有機繊維の製造方法について説明する。
本発明に用いられる有機繊維の製造は、一般的な溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾式紡糸法、乾湿式紡糸法等の紡糸によるものであり、特には限定されない。さらに延伸等の工程を経てもよい。
ただし、本発明の高い収縮応力を有する有機繊維を得るには、高い配向結晶化を進めることが重要である為、高延伸化を進めることが好ましい。特に好ましくは、延伸性を確保した状態でできるだけ高張力下で延伸することが、高い収縮応力を得る上で重要な条件であり、そのためには低温で延伸する等、各繊維において高張力が得られる条件を適宜設定すればよい。延伸張力としては、1cN/dtex以上、好ましくは1.1cN/dtex以上、更に好ましくは1.2cN/dtex以上が、高収縮応力糸を得る上で好ましい。またそのような延伸張力を得るためには、延伸温度については、少なくとも原料ポリマーの融点以下、好ましくは融点−5℃以下、更に好ましくは融点−10℃以下が好ましい。 上記したような条件下で、工程性の許す限りできるだけ高倍率で延伸することが、高収縮応力糸を得るうえで重要な点である。PVA系繊維については総延伸倍率が7倍以上、好ましくは10倍以上、更に好ましくは12倍以上である。またエチレンービニルアルコール共重合体繊維については、紡糸巻取り後からの延伸倍率が2倍以上、好ましくは2.3倍以上、更には2.6倍以上が好ましい。更には、ポリプロピレン系繊維についても、紡糸巻取り後からの延伸倍率が4倍以上、好ましくは5倍以上、更には6倍以上が好ましい。
次に本発明の不定形耐火物について説明する。
不定形耐火物とは、粉粒体または練り土状の耐火物で、一般的な耐火耐熱水硬性複合物である。通常、使用目的によって構造用と補修用に大別され、構造用としてキャスタブル耐火物・プラスチック耐火物・ラミング耐火物・築造用耐火モルタルに分類され、補修用として吹付耐火物・パッチング耐火物・コーティング耐火物・圧入耐火物・補修用耐火モルタルに分類される。また、上記の不定形耐火物は、使用目的によって断熱用と緻密質耐火物に分類される。近年の高度成長以後伸びているのはキャスタブルと吹付け材、並びにコーティング材である。
この中で本発明での不定形耐火物は、種類について特に限定するものではないが、施工後、加熱乾燥する際に水蒸気爆裂が発生する可能性のある不定形耐火物に対し特に好適に使用される。
また、耐火性原料には、分散剤をさらに添加してもよい。分散剤としては、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ等の無機塩、クエン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、ポリメタリン酸塩、ポリカルボン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸、カルボキシル基含有ポリエーテル等が挙げられる。分散剤を添加する場合は、その添加量は、耐火性原料100質量%に対して外掛けで0.01〜0.3質量%であることが好ましい。
また、本発明の不定形耐火物に用いられる結合剤としては、アルミナセメント、リン酸塩、珪酸塩、塩化物、硫化物、シリカゾル、アルミナゾル、ρ−アルミナなどの無機結合剤や各種樹脂、有機糊剤等の有機結合剤が使用できる。このうち例えばアルミナセメントの場合、分散している超微粉を凝集させる凝集剤としての働きもある。アルミナセメントの場合、添加量は1〜15質量%が望ましい。1質量%未満では十分な結合強度が得られず、一方、15質量%を超えると耐食性の低下が大きくなるので好ましくない。
なお、本発明の不定形耐火物には、硬化時間を調整するため、消石灰等のカルシウム化合物、珪酸ソ−ダ等の珪酸アルカリ塩、炭酸リチウムや炭酸ソ−ダ等の炭酸塩、クエン酸や酒石酸等のカルボン酸、硼砂、硼酸アルカリ塩などの硬化調整剤を少量添加することができる。また、本発明の不定形耐火物は、流し込み施工、吹付け施工、スタンプ施工、圧入施工、パッチング施工、振動施工等の各種施工方法に適した性状に調整して使用することができる。
本発明における不定形耐火物は、施工水を添加して施工される。施工水の添加量は、施工方法等に応じて決定される。例えば、流し込み施工においては、施工水の添加量は、不定形耐火物100質量%に対して、外掛けで例えば3〜10質量%程度である。また、吹き付け施工においては、施工水の添加量は、不定形耐火物100質量%に対して、外掛けで例えば5〜15質量%程度である。
本発明の不定形耐火物は、その効果を損なわない範囲において、金属Si粉、セラミック繊維、塩基性乳酸アルミニウム、酸化防止剤、硬化剤、硬化遅延剤等を含んでもよい。また、本発明の不定形耐火物の施工方法は、特に流し込み施工又は吹き付け施工に限られず、圧入施工等の他の施工方法によって施工されてもよい。
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
フィラメント状繊維試料を、熱収縮・応力測定装置(機器名:大栄科学精器製作所製テストライト)の測定部に0.01g/dtex荷重下でセットし、その状態で所定の温度(各繊維の融点又は軟化点又は分解温度+20℃)に調整された高温雰囲気室内に挿入し、この時の最大収縮応力(cN)を測定し、繊度からdtex当りの熱収縮応力(cN/dtex)を計算した。
繊維と不定形耐火物材料、混練水を加えてミキサーで混練後、φ50mm×高さ50mmの型枠に流し込み、20℃で24時間養生を実施した後、脱型し供試体を作成した。
この供試体を所定の温度に保持した電気炉(丸祥電気株式会社製、炉床昇降式電気炉「型式SPB2022−16」)に投入し、加熱することで爆裂発生の有無を評価した。
なお、爆裂温度とは爆裂が発生した設定電気炉温度とし、また爆裂限界温度とは爆裂温度から50℃低い温度として規定する。
あらかじめ爆裂温度がわかっている供試体に対し、爆裂限界温度に設定された電気炉で25分間加熱処理を施し、その後デシケーター中で20℃×24時間静置冷却後、JIS R2115「定形及び不定形耐火物の通気率の測定」に記載の装置に準拠した測定装置(セリオ株式会社製 通気率測定装置「型式S−1000」)を用いて装置にセットし、上記JIS R2115に準じて測定し、計算により通気率を求め評価した。
(1)ポリマー重合度1750、ケン化度99.9モル%のPVAを用い、PVA濃度が16.5質量%となるように溶解し棚酸を添加して水溶液とし、苛性ソーダ11.0g/lと芒硝350g/lの混合水溶液を固化浴に用いて湿式紡糸にて紡糸した。さらに湿延伸、中和、湿熱延伸、水洗、乾燥後、高延伸(延伸温度230℃、総延伸倍率20倍、延伸張力1.6cN/dtex)を実施した後、切断してPVA繊維(以下、PVA繊維1と称す)を得た。
得られたPVA繊維1の物性は、単繊維繊度0.5dtex、カット長6mm、強度14.0cN/dtex、収縮応力0.51cN/dtexであった。
(2)不定形耐火物材料については、次の配合のものを使用した。
アルミナセメント(電気化学工業社製「ハイアルミナセメント」) :5質量%
アルミナ:市販品A1203純度99%以上、5−3mm :18質量%
アルミナ:市販品A1203純度99%以上、1−3mm :25質量%
アルミナ:市販品A1203純度99%以上、0−1mm :20質量%
アルミナ:市販品A1203純度99%以上、0−0.075mm :25質量%
シリカフューム(エルケム社製「940U」) :7質量%
この不定形耐火物材料に上記PVA繊維1を0.01質量%添加し、丸菱科学機械製作所製MKSモルタルミキサー「型式MS−120」に添加し、Dry状態で60秒混練した後、混練水6.0質量%添加後さらに60秒混練し、底部をゴムヘラでかき混ぜた後、さらに120秒ミキサーで混練を実施した。
次にφ50mm×高さ50mmの型枠内に流し込み、20℃×24時間養生を実施して、供試体を作成した。この供試体の耐爆裂性の評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、1000℃の温度でも爆裂せず非常に耐爆裂性の高いものであった。また、通気率も2.79×10−15m2と高く、蒸気散逸がスムーズに行われたため、高い耐爆裂性が得られたものと推察される。
繊維の単繊度を2.0dtexに変更した他は、実施例1と同様に作成してPVA繊維(以下、PVA繊維2と称す)を得た。この得られたPVA繊維2の物性は、単繊維繊度2.0dtex、カット長6mm、強度14.3cN/dtex、収縮応力0.36cN/dtexであった。
さらに、このPVA繊維2を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、爆裂温度が1000℃であり、耐爆裂性の高いものであった。また、通気率も2.07×10−15m2と高く、蒸気散逸がスムーズに行われたため、高い耐爆裂性が得られたものと推察される。
繊維の単繊度を2.0dtexに変更し、さらに乾燥後に一旦巻取った後、非直結で延伸・熱処理した以外は実施例1と同様に作成して、PVA繊維(以下、PVA繊維3と称す)を得た。この得られたPVA繊維3の物性は、単繊維繊度2.0dtex、カット長6mm、強度13.2cN/dtex、収縮応力0.61cN/dtexであった。
さらに、このPVA繊維3を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、1000℃の温度でも爆裂せず耐爆裂性の非常に高いものであった。また、通気率も2.52×10−15m2と高く、蒸気散逸がスムーズに行われたため、高い耐爆裂性が得られたものと推察される。
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製「Y2000GV」)を溶融紡糸装置の押出機に投入して溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた紡糸口金から吐出させた後、延伸(延伸温度160℃、総延伸倍率8倍、延伸張力1.0cN/dtex)してポリプロピレン繊維(以下、PP繊維1と称す)を製造し、切断した。
この得られたPP繊維1の物性は、単繊度1.1dtex、カット長6mm、強度9.0cN/dtex、収縮応力0.34cN/dtexであった。
さらにこのPP繊維1を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、爆裂温度が950℃であり、耐爆裂性の高いものであった。また、通気率も1.14×10−15m2と高く、蒸気散逸がスムーズに行われたため、高い耐爆裂性が得られたものと推察される。
エチレン含有量47モル%、ケン化度99モル%、メルトインデックス6.4g/10minのエチレンービニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製「G156」)を押出機により押し出し、口金温度250℃の条件でノズルより吐出し、紡糸を行った。その後65℃の熱ローラー及び120℃の熱プレートに接触させ、延伸(延伸倍率4倍、延伸張力0.9cN/dtex)を行い、エチレンービニルアルコール共重合体繊維(以下、EVOH繊維と称す)を製造し切断を実施した。
得られたEVOH繊維の物性は、単繊度3.0dtex、カット長6mm、強度7.0cN/dtex、収縮応力0.20cN/dtexであった。
さらにこのEVOH繊維を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、爆裂温度が900℃と、耐爆裂性の高いものであった。また、通気率も1.08×10−15m2と高く、蒸気散逸がスムーズに行われたため、高い耐爆裂性が得られたものと推察される。
繊維を添加しない以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、800℃の温度で爆裂が起こり、耐爆裂性の低いものであった。また、通気率は0.40×10−15m2と低く、蒸気散逸が悪かったものと推測される。
ポリマー重合度1750、ケン化度98.2モル%のPVAを用い、PVA濃度が15.8質量%となるように溶解して水溶液とし、飽和芒硝水溶液を固化浴に用いて湿式紡糸で紡糸し、乾燥処理した後に切断し、PVA繊維(以下、PVA繊維4と称す)を得た。
この得られたPVA繊維4の物性は、単繊度1.5dtex、カット長6mm、強度2.7cN/dtex、収縮応力0.04cN/dtexであった。
さらにこのPVA繊維4を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、850℃の温度で爆裂が起こり、耐爆裂性の低いものであった。また、通気率も0.51×10−15m2と低く、蒸気散逸が悪かったものと推測される。
延伸を施さない以外は実施例4と同様にしてポリプロピレン繊維(以下PP繊維2と称す)を得た。この得られたPP繊維2は、単繊度6.3dtex、カット長6mm、強度4.5cN/dtex、収縮応力0.06cN/dtexの物性であった。
このPP繊維2を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、850℃の温度で爆裂が起こり、耐爆裂性の低いものであった。また、通気率も0.59×10−15m2と低く、蒸気散逸が悪かったものと推測される。
単繊度1.7dtex、カット長6mm、強度20.0cN/dtex、収縮応力0.04cN/dtexの物性を有するアラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29(登録商標)」)を使用する以外は実施例1と同様の方法で供試体を作成し、耐爆裂性の評価を実施した。
評価結果を表1に示す。表1に示すとおり、800℃の温度で爆裂が起こり、耐爆裂性の低いものであった。また、通気率も0.45×10−15m2と低く、蒸気散逸が悪かったものと推測される。
本発明の不定形耐火物の被施工部位としては、例えば各種の溶融金属容器、溶融金属樋、溶融金属処理装置、高温炉、煙道、セメントロータリーキルン、ごみ焼却炉、ごみ焼却灰・飛灰溶融炉、産業廃棄物処理炉、電気炉(炉蓋)、タンディシュ、ランスパイプ等が挙げられる。
Claims (6)
- 不定形耐火物に添加する繊維であって、熱収縮応力が0.1〜2cN/dtexである有機繊維。
- 繊維強度が7cN/dtex以上である請求項1記載の有機繊維。
- ポリビニルアルコール系繊維、エチレンービニルアルコール共重合体繊維、またはポリプロピレン繊維である請求項1または2記載の有機繊維。
- ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなり、総延伸倍率20倍以上のポリビニルアルコール系繊維である請求項1または2記載の有機繊維。
- 繊維繊度が0.1〜5dtexである請求項1〜4のいずれかに記載の有機繊維。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の有機繊維が0.005〜0.5質量%添加された不定形耐火物。
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