JP2008189531A - 耐火物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶融金属の連続鋳造に用いられる耐火物は、アルミナ及びシリカの少なくともいずれかを含む耐火物粉末を主成分とし、フリーカーボン(FC)を含有し、長さ2mm以上4mm以下で直径10μm未満の補強用繊維を2質量%未満と、シリコンを3質量%以下と、膨張黒鉛を5質量%以下とを含んで構成される。
【選択図】なし
Description
また、このような取鍋、タンディッシュ等の底部には、内部の溶鋼を他の鋳型等に注入するために、ロングノズル、浸漬ノズル等が設けられ、これらも同様の耐火物から構成されている。
このような連続鋳造に用いられる耐火物は、予熱を行った後、溶鋼の注入を開始する。一般に予熱では、耐火物を1200℃程度まで上げるが、溶鋼注入時は、溶鋼温度が1550℃あるため、耐火物には溶鋼注入時に急激な温度上昇が生じ、耐火物には大きな熱応力が作用し、スポーリングを生じることがある。
つまり、この技術は、カーボンファイバ表面に非酸化物系反応生成物を生成させることにより、カーボンファイバの引き抜き強度を向上させて、耐スポーリング性を向上させるというものである。
また、前記特許文献2に記載の技術では、温度上昇時に膨張黒鉛により内部に隙間が発生し、強度が低下する傾向にあるため、強度不足により耐スポーリング性が低下する場合がある。
フリーカーボン(FC)を含有し、
長さ2mm以上4mm以下で直径10μm未満の補強用繊維が2質量%未満と、シリコンを3質量%以下と、膨張黒鉛を5質量%以下とを含むことを特徴とする。
ここで、補強用繊維としては、補強用繊維として用いられる種々の繊維質材料を採用することができるが、例えば、グラスファイバ、アルミナファイバ、カーボンファイバのいずれか、又はこれらを混合したものを採用することができる。
長さ4mmを超える補強用繊維を使用すると、耐火物の弾性率が高くなるため、外力の負荷による割れが起こり易くなる。一方、長さ2mm未満の繊維では、繊維による補強の効果が十分でないため、弾性率の十分な向上を望めない。
さらに、補強用繊維の直径を10μm以上とすると、耐火物の型締めの際に耐火物が締まりにくく、気孔が発生しやすくなるため、耐スポーリング性が低下する。尚、補強用繊維の直径の下限値は、特に規定するものではないが、補強用繊維の製造上の制約から3μm程度が現実的である。
そして、補強用繊維の量が2質量%以上になると、耐火物粉末との混練が困難となるため、耐火物の成型ができなくなる。また、補強用繊維の量の下限値は特に規定するものではないが、補強用繊維の量が0.01質量%を下回ると、繊維による補強効果が発現しにくくなり、耐スポーリング性があまり向上しないため、0.01質量%以上とするのが好ましい。
まず、アクリルニトリルを主体として炭素繊維に適した化合物を少量共重合してポリアクリルニトリルを得、これを製糸してアクリル繊維とする。
次に、ボビンに巻かれたアクリル繊維を200〜300℃に保たれた空気雰囲気中の耐炎化炉に連続的に通した後、1000〜1500℃の不活性気体中で緊張下に熱処理することにより炭素繊維が得られる。
一般に、耐火物にフリーカーボンを添加すると熱伝導率を向上させ、膨張係数を下げ、耐スポーリング性が向上することが知られている。
加えて、このフリーカーボンの他に膨張黒鉛を含ませた場合、ハニカム構造体による耐火物中の他の耐火材料の熱膨張・収縮を吸収して、耐スポーリング性を向上させる、という効果が期待される。
ここで、膨張黒鉛が5質量%を超えると、耐火物の曲げ強度が低下し、結果、耐スポーリング性が低下してしまうため、膨張黒鉛は5質量%以下とする。また、膨張黒鉛の含有量の下限は特に規定するものではないが、0.5質量%未満となると、膨張黒鉛を添加することの効果が小さくなり、耐火物の弾性率が低下しづらく、耐スポーリング性があまり向上しないため、0.5質量%以上とすることが好ましい。
また、膨張黒鉛は、黒鉛の層間に硫酸などを挿入させた黒鉛層間化合物を、800〜100℃の温度に急激に加熱することにより、黒鉛層間を膨張させて製造される。
シリコンの添加量が3質量%を超えると、ウィスカの生成により耐火物の弾性率が高くなり、耐スポーリング性が低下してしまう。
一方、シリコンの添加量の下限値は特に規定するものではないが、0.5質量%未満だと、シリコンカーバイドが生成しづらくなり、シリコン添加による強度の向上は小さくなるため、0.5質量%以上が好ましい。
この発明によれば、補強用繊維としてカーボンファイバを選択することにより、前記のカーボン本来の熱伝導率の向上という効果を補強用繊維自体にも期待することができる。
また、カーボンファイバ表面にシリコンカーバイドからなるウィスカが付着し易くなるため、少ない繊維量で耐スポーリング性をより向上させることができる。
本発明では、前述した成分の他、化学成分としてのアルミナ及びシリカの少なくともいずれかを含む耐火物粉末を主成分とし、FCを含有するものである。
耐火物粉末は、連続鋳造に用いられる取鍋等の耐火煉瓦として用いられる耐火材料を原料とし、化学成分としてのアルミナ及びシリカの少なくともいずれかを含む他、例えば、化学成分としてのジルコニア、マグネシア等を含んでいてもよい。
アルミナ及びシリカの少なくともいずれかを含むことにより、耐火性を向上させることができ、耐溶損性を向上させることができる。
前記の耐火物粉末及びFCの配合割合は、例えば、耐火物粉末が耐火物全量に対して略70〜90質量%程度であるとすると、FCは、全量に対して2質量%乃至20質量%程度とするのが、前記のカーボン添加による耐スポーリング性の向上を図る上で好ましい。ここで、耐火物粉末のサイズとしては、5mm以下程度のサイズが例示できる。
本発明に係る耐火物は、次の手順で製造される。
まず、秤量した原料となる耐火物粉末に、バインダ、FC、膨張黒鉛、シリコン、及び補強用繊維を所定量加え、パッグミル等により混練する。
十分に混練されたら、混練物を一軸プレス等により型締め成形する。
次に、成形体をシャトルキルン等の単独窯や、トンネルキルン等の連続焼成窯により焼成する。焼成に際しては、1000℃以上の高温での焼成を行う。
最後に、焼成体を適宜の形状に加工して耐火物を完成させる。
このように製造された耐火物は、取鍋、タンディッシュの内張り用の耐火煉瓦に使用されたり、鋳型注入用の浸漬ノズルやロングノズルに用いられるストッパーヘッドとして使用される。
前記耐火物でストッパーヘッドを製造すると、耐スポーリング性が向上するため、浸漬ノズル上部の球面部に接触させた際にも、スポーリングにより破壊されてストッパーヘッドの球面が維持できなくなることに起因した、流量制御ができなくなるトラブルが減少する。
(1)カーボンファイバの長さの影響
カーボンファイバの長さと耐スポーリング性との関係について検討を行った。
(1-1)原料
アルミナからなる耐火物粉末にFC、膨張黒鉛、シリコンを添加したものに、長さの異なるカーボンファイバを0.2質量%、1.0質量%の2水準で添加してそれぞれの実験例の原料とした。尚、用いたカーボンファイバの直径は、すべて7μmとした。
各実験例の配合を表1及び表2に示す。尚、表1における実験例1のカーボンファイバ長さ0とは、カーボンファイバを全く添加していないブランクを意味する。また、この実験例1においては、シリコン及び膨張黒鉛のいずれも添加していない。
原料とバインダーを混練して、成型圧0.98MPa(1t/cm2を換算した値)で所定の形状に成型した。その後、焼成炉に入れて、1300℃まで加熱した後、1300℃(一定温度)で3時間焼成し、その後、加熱を停止して、必要に応じて排気を行い、常温まで徐冷した。
(1-3)評価特性
■耐スポーリング性指数の測定
JIS R2213に準拠して各実験例について1400℃雰囲気から水冷による急冷を行い、これを繰り返し、亀裂が発生した回数を比較したスポーリング試験を行い、実験例1の亀裂発生開始回数を100として他の実験例の亀裂発生回数を指数化した。
耐スポーリング性指数と実際の操業中における耐火物の割れによるトラブル発生率指数との関係は、カーボンファイバ及び膨張黒鉛を全く添加していない耐火物における耐スポーリング性指数及びトラブル発生率指数のそれぞれを100とした場合、図1に示されるように、耐スポーリング性指数が100以上となった場合に、割れのトラブル発生率が急激に減少することが見出されたことから、耐スポーリング性指数110という値を操業改善ラインと称して各実験例の評価を行うこととした。
実験例1乃至実験例13の結果を、前記表1及び表2の最下欄、図2に示す。
一方、1.0質量%の添加量の場合、2mm〜4mmのものが操業改善ラインを超えることとなった。また、カーボンファイバの添加量が1.0質量%の場合、長さが2mmの実験例9で耐スポーリング性指数が115、長さが3mmの実験例10で耐スポーリング性指数が120、長さが4mmの実験例11で耐スポーリング性指数が115となっており、好ましいことが確認された。
従って、カーボンファイバの長さとしては、2mm以上4mm以下とすることが重要である。
また、カーボンファイバの添加量は、0.2質量%の方が、1.0質量%の場合よりも全体的に耐スポーリング性が向上していることが判る。因みに、カーボンファイバの添加量を増やしたところ、3質量%の添加量では混練が不可能であった。
膨張黒鉛の添加量と耐スポーリング性との関係について検討を行った。
(2-1)原料
アルミナからなる耐火物粉末にFC、シリコン、カーボンファイバを添加したものに、膨張黒鉛の添加量を変化させたものを実験例の原料とした。各実験例の配合を表3に示す。
また、実験例14はカーボンファイバ、膨張黒鉛、及びシリコンを添加しないブランクであり、実験例15乃至実験例19においては、膨張黒鉛の配合割合を変化させている(割合は耐火物全量に対する割合)。尚、いずれの場合もカーボンファイバの直径は7μm、長さは3mmである。
製造条件及び評価特性は、「(1)カーボンファイバの長さの影響」の場合と同様である。
(2-3)評価結果
各実験例から得られた結果を、前記表3の最下欄及び図3に示す。
一方、実験例18のように膨張黒鉛が5質量%を超えると、耐スポーリング性指数が操業改善ラインよりも低下した。
従って、膨張黒鉛の配合量は、5質量%以下とするのが重要であり、操業改善ライン以上の耐スポーリング性を確保するには、0.5質量%以上添加することが好ましいことが確認された。
シリコンの添加量と耐スポーリング性との関係について検討を行った。
(3-1)原料
アルミナからなる耐火物粉末にFC、膨張黒鉛、カーボンファイバを添加したものに、シリコンの添加量を変化させたものを実験例の原料とした。各実験例の配合を表4に示す。
また、実験例20はカーボンファイバ、膨張黒鉛、及びシリコンを添加しないブランクであり、実験例21乃至実験例26においては、シリコンの配合割合を変化させている(割合は耐火物全量に対する割合)。尚、いずれの場合もカーボンファイバの直径は7μm、長さは3mmであり、膨張黒鉛の配合量は3質量%とした。
製造条件及び評価特性は、「(1)カーボンファイバの長さの影響」の場合と同様である。
(3-3)評価
各実験例から得られた結果を、前記表4の最下欄及び図4に示す。
一方、実験例24のシリコンの添加量が3質量%では、耐スポーリング性指数は操業改善ラインであり、実験例25のようにシリコンの添加量が3質量%を超えると、耐スポーリング性指数が操業改善ラインよりも低下した。
従って、シリコンの配合量は3質量%以下とすることが重要であり、操業改善ライン以上の耐スポーリング性を確保するには、0.5質量%以上添加することが好ましいことが確認された。
Claims (2)
- 溶融金属の連続鋳造に用いられる耐火物であって、
アルミナ及びシリカの少なくともいずれかを含む耐火物粉末を主成分とし、
フリーカーボン(FC)を含有し、
長さ2mm以上4mm以下で直径10μm未満の補強用繊維を2質量%未満と、シリコンを3質量%以下と、膨張黒鉛を5質量%以下とを含むことを特徴とする耐火物。 - 前記補強用繊維がカーボンファイバであることを特徴とする請求項1に記載の耐火物。
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