JP2008001548A - 不定形耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工水を添加して施工された後、爆裂、膨張、又は亀裂等を発生させることなく速やかに加熱乾燥させることができる不定形耐火物を提供する。
【解決手段】本発明の不定形耐火物は、耐火性原料100質量%に、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を表面に付着させたポリプロピレン繊維を外掛けで0.01〜1質量%添加してなる。スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を表面に付着させることにより、不定形耐火物の流動性の低下を防止できるため、繊維径の大きなポリプロピレン繊維の使用が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、施工水を添加して施工される不定形耐火物に関する。
製鉄産業における溶鋼取鍋、タンデッシュ、混銑車、高炉樋、真空脱ガス炉等の内張り材又はその補修材等に使用される不定形耐火物の施工方法として、例えば流し込み施工方法や吹き付け施工方法等がある。それらの施工方法では、不定形耐火物に施工水が添加される。
施工水を添加して施工された不定形耐火物は、ガスバーナ等により加熱し乾燥されてから使用される。この加熱乾燥時には、施工水が水蒸気となるため、急激な加熱乾燥では、水蒸気の圧力で不定形耐火物が爆裂を生じることがある。また、爆裂を生じなくても、施工体に膨らみや亀裂が生じてその組織がぜい弱化することがある。
そこで、加熱乾燥時における施工体の爆裂等を防止するために、特許文献1及び2等は、不定形耐火物に有機繊維を添加することを教示する。有機繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維等が知られている。不定形耐火物の加熱乾燥時に有機繊維が消失し又は収縮することにより、施工体の組織に微細な通気孔が形成され、この通気孔を介して水蒸気が容易に逸散するため、施工体の水蒸気爆裂等を防止することができる。
また、特許文献3及び4等は、不定形耐火物にAl粉を添加することを教示する。Al粉は、アルミナセメント等によって塩基性となった施工水と反応してH2ガスを発生する。このH2ガスが施工体から抜けるときに、施工体の組織に微細な通気孔が形成され、この通気孔を介して水蒸気が容易に逸散することができるため、施工体の水蒸気爆裂等を防止することができる。
特開昭59−190276号公報 特開平3−265572号公報 特開2003−292385号公報 特開平10−338577号公報
近年、不定形耐火物の施工対象である溶融金属容器や各種炉の稼働率を向上させるために、不定形耐火物の施工体をできるだけ短時間で乾燥させることが求められている。この点、有機繊維やAl粉を添加した上記従来の不定形耐火物は、加熱乾燥の際に爆裂や亀裂等の発生を防止することはできるものの、速やかに加熱乾燥できるようにすることに関してまだ改善の余地がある。
不定形耐火物施工体の乾燥のしやすさの向上を図るために、不定形耐火物に添加する有機繊維又はAl粉の添加量を増やすことが考えられる。しかし、有機繊維の多量の添加は、不定形耐火物の流動性を低下させるため、緻密な施工体が得られ難くなる。一方、Al粉の多量の添加は、Hガスが被施工体である溶融金属容器の内部に充満し、施工作業の安全面で問題となる。
本発明の目的は、爆裂や亀裂等を発生させることなく速やかに加熱乾燥させることができる不定形耐火物を提供することにある。
従来、水蒸気爆裂等を防止する目的で添加される有機繊維は、その消失によって長尺の通気孔を形成するとされているが、現実的には、殆どの種類の有機繊維は焼失灰となって残留し、この残留した焼失灰によって水蒸気の散逸が妨げられる。特に、PVA繊維(例えばビニロン繊維)は焼失灰の残留が多い。
そこで、発明者は、有機繊維の中でも焼失灰の残留がないか又は少ないものとしてポリプロピレン繊維を選択し、その使用を試みた。しかし、ポリプロピレン繊維は、比重が小さく、親水基を持たないため、そのままの使用では不定形耐火物中で分散しにくい。また、ポリプロピレン繊維は、強度に優れるため、不定形耐火物の混練又は圧送の際に応力が加わっても切れにくい反面、変形しにくいことから不定形耐火物の流動性を低下させる傾向が他の有機繊維よりも大きい。
なお、ポリプロピレン繊維の分散性を向上させるために、ポリプロピレン繊維の表面を例えばノルマルアルキルホスフェートアルカリ金属塩からなる界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、又はポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等を用いて親水処理することも考えられるが、親水処理したポリプロピレン繊維は、分散性には優れるものの、不定形耐火物の流動性を改善するには不十分である。
このため、流動性を低下させないようにするためには、繊維径の小さなポリプロピレン繊維しか使用できず、この結果、混練又は圧送時に切れにくいというポリプロピレン繊維の特徴を存分に発揮できないばかりか、口径の小さな通気孔しか形成できないため、耐爆裂性向上の効果に限界が生じることとなる。そこで、発明者は、ポリプロピレン繊維を用いても流動性を損なうことのない不定形耐火物を実現すべく鋭意研究した結果、下記発明を完成させたものである。
本発明によると、耐火性原料100質量%に、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を予め表面に付着、好ましくはコーティングさせたポリプロピレン繊維を外掛けで0.01〜1質量%添加してなり、施工水を添加して施工される不定形耐火物が提供される。なお、本明細書において、「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。
ポリプロピレン繊維の表面に付着させたスルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物による分散作用のため、親水処理した場合と同等以上にポリプロピレン繊維の分散性が向上し、これを不定形耐火物中に均一に混合させることができる。また、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物がポリプロピレン繊維の表面で微細気泡を発生させ、この繊維表面の微細気泡がベアリング作用を示すことによって繊維と耐火性原料との摩擦抵抗を減少させ、ポリプロピレン繊維の添加に伴う不定形耐火物の流動性の低下を防止することができる。
また、流動性の低下を防止できるため、繊維径の大きなポリプロピレン繊維の使用が可能になるとともに、ポリプロピレンがもつ焼失灰を残留しない特性、及び不定形耐火物の施工時の応力を受けても切れにくい特性と相まって、不定形耐火物の施工体中に、口径が大きく施工体の内部と外部とを良好に連通させる通気孔を形成することができ、不定形耐火物の乾燥のしやすさが格段に向上する。
なお、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物とポリプロピレン繊維とを個別に耐火性原料に添加した場合は、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を優先的にポリプロピレン繊維に付着させることができず、上記作用効果は殆ど得られない。
〔耐火性原料について〕
不定形耐火物を構成する耐火性原料としては、例えば、アルミナ−マグネシア質、アルミナ−シリカ質、アルミナ−炭化珪素質、アルミナ−炭化珪素−炭素質等のものを用いることができる。具体的には、アルミナ、マグネシア、スピネル、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコン、ジルコニア、炭素、炭化珪素等を用いることができる。アルミナ、マグネシア、スピネルは、焼結品、電融品を問わない。また、使用後耐火物を粉砕したリサイクル耐火性原料を一部に使用してもよい。
耐火性原料は、不定形耐火物の流動性、その施工体の緻密性等を考慮して、例えば粗粒、中粒、微粒に粒度調整される。また、耐火性原料100質量%のうちの20〜50質量部を粒径75μm以下の耐火性超微粉とすることにより、施工体組織の緻密化を図ることができる。耐火性超微粉には、例えば揮発シリカや仮焼アルミナ等を用いることができる。
耐火性原料はまた、耐火性粗大粒子を含んでもよい。上記粗粒の粒径は最大でも8mm程度であるが、耐火性粗大粒子の粒径はこれよりもさらに大きく、10mm〜50mm程度である。耐火性原料に耐火性粗大粒子を含めることにより、仮に不定形耐火物施工体に亀裂が発生したとしても、その亀裂の伸展が耐火性粗大粒子の場所で寸断されるので、施工体の耐スポーリング性の向上を図ることができる。
耐火性粗大粒子を添加する場合、その配合割合は、耐火性原料100質量%に占める割合で25質量%以下であることが好ましい。耐火性粗大粒子の材質は、例えばアルミナ又はアルミナ−シリカ質であることが好ましい。また、アルミナ質原料を一部に含む耐火物使用後品等の耐火物廃材を用いてもよい。
〔ポリプロピレン繊維について〕
不定形耐火物を構成するポリプロピレン繊維には、予めその表面にスルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を付着させたものを用いる。
スルホン酸化合物としては、例えばリグニンスルホン酸ソーダ等のリグニンスルホン酸系化合物、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸系化合物等が挙げられる。中でも、リグニンスルホン酸系化合物が好ましい。また、リグニンスルホン酸化合物と共にポリオール複合体を用いることが特に好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えばポリカルボン酸エーテル系化合物やポリカルボン酸ソーダ等のポリカルボン酸系化合物、オキシカルボン酸系化合物等が挙げられる。また、スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物の一具体例としては、例えば、エヌエムビー社のポゾリスシリーズのAE減水剤、あるいはレオビルドSPシリーズの高性能AE減水剤が挙げられる。
ポリプロピレン繊維への、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物(以下、表面処理剤という。)の付着とは、具体的にはコーティングであることが好ましい。コーティングの方法としては、表面処理剤の溶液中に、ポリプロピレン繊維を浸漬して塗布するディップコート法、表面処理剤の溶液をポリプロピレン繊維にスプレーして塗布するスプレーコート法、刷毛塗り法、ロールコータを用いて表面処理剤の溶液を塗布する方法等が挙げられる。生産性の面からは、ディップコート法が好ましい。
ポリプロピレン繊維に対する表面処理剤の付着量は、使用するポリプロピレン繊維の総量100質量%に対する外掛けで、乾燥基準で0.3〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
表面処理剤を付着させたポリプロピレン繊維の添加量が少なすぎると、施工体に良好な乾燥性を付与できず、逆にその添加量が多すぎると、ポリプロピレン繊維は耐火性がないため、施工体の耐火度ないし耐食性が不充分になるとともに、ファイバーボール現象の発生によって、表面処理剤の付着による流動性向上の効果が発揮されにくくなる。このような理由から、表面処理剤を付着させたポリプロピレン繊維の添加量は、耐火性原料100質量%に対して0.01〜1質量%であることが必要であり、0.05〜0.7質量%であることが好ましい。
なお、ポリプロピレン繊維そのものは、従来の溶融紡糸方法によって得ることができるが、ポリプロピレン繊維の単糸繊度は2〜100dtexであることが好ましく、繊維長さは1〜10mmであることが好ましい。上述のように、ポリプロピレン繊維には表面処理剤を付着させるため、ポリプロピレン繊維としてこの寸法範囲のものを用いても流動性に優れた不定形耐火物施工体を実現することができる。なお、不定形耐火物に一般に添加される通常の有機繊維では、この寸法範囲のものでは不定形耐火物施工体の流動性が大きく低下することとなる。
ポリプロピレン繊維の単糸繊度の下限を2dtexとすることにより、施工体内部に形成される通気孔の口径が小さくなりすぎることをより確実に防止でき、不定形耐火物施工体の乾燥性向上の効果をいかんなく発揮できる。ポリプロピレン繊維の単糸繊度の上限を100dtexとすることにより、施工体内部に形成される通気孔の口径が大き過ぎることに起因した施工体の耐食性の低下をより確実に防止することができる。
ポリプロピレン繊維の長さの下限を1mmとすることにより、形成される個々の通気孔の長さが短かすぎることに起因した乾燥性の低下を防止することができ、多数の通気孔群によって担保される施工体の内部から外部への連通の度合いをより高めることができ、施工体の乾燥のしやすさをより高めることができる。ポリプロピレン繊維の長さの上限を10mmとすることにより、不定形耐火物の流動性の低下を防止する効果を高めることができる。
〔Al粉について〕
耐火性原料には、さらにAl粉を添加してもよい。Al粉には、例えば粒子状(アトマイズ粉)とフレーク状とがあるが、ここではいずれを使用してもよい。Al粉は、H2ガスの発生で施工体中に通気孔を形成する半面、急激な加熱乾燥ではH2ガスのガス圧で施工体に亀裂を生じさせることがあるが、本実施形態によると、ポリプロピレン繊維によって形成される空隙がH2ガスのガス圧の応力を緩衝するためか、H2ガスのガス圧が原因した亀裂発生が防止され、Al粉とポリプロピレン繊維との併用によって、不定形耐火物施工体の乾燥性が格段に向上する。
なお、H2ガスのガス圧の応力の緩和という点だけに着目すると、本実施形態で使用するポリプロピレン繊維でなくてもある程度の効果が得られる。しかし、他の繊維材質では、施工体の流動性を十分に確保できないため、緻密な施工体組織が得られにくい。本実施形態の施工体は、上述のとおり流動性に優れているため、その組織を緻密なものとすることができる。緻密な施工体組織を形成する場合には、Al粉の併用によって、その乾燥性のさらなる向上を図ることが特に有効である。
耐火性原料にAl粉を添加する場合、その添加量は耐火性原料100質量%に対して、外掛けで1質量%以下であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。Al粉の添加量が多すぎると、H2ガスの発生が著しく、施工作業における安全上の問題があるからである。また、本発明ではスルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物で表面処理したポリプロピレン繊維との併用であることから、乾燥性向上に必要なAl粉の添加量は少量で済む。このため、H2ガスの発生量も少なく、施工作業に伴う安全面での問題も無い。
〔結合剤について〕
また、耐火性原料には、結合剤を添加してもよい。結合剤には、アルミナセメントを使用することが好ましいが、これに限らず、他にマグネシアセメント、ポルトランドセメント、リン酸、リン酸塩、ケイ酸塩、シリカゾル、アルミナゾル、ホウ酸塩、乳酸塩、及び水溶性高分子等から選ばれる1種以上を使用することもできる。結合剤の添加量は、耐火性原料の種類や不定形耐火物の施工方法等に依存するが、例えば、耐火性原料100質量%に対して外掛けで15質量%以下であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
但し、不定形耐火物の施工方法によっては、結合剤を必要としない場合もある。例えば、ノズル又はノズル付近で急結剤を添加する湿式吹付け施工において、耐火性原料に例えば乳酸アルミニウムを添加した場合、耐火性超微粉、乳酸アルミニウム、及び急結剤の反応と凝集作用とによって、結合剤を添加しなくても充分な結合作用が得られる。
〔分散剤について〕
また、耐火性原料には、上記表面処理剤とは別に、分散剤をさらに添加してもよい。分散剤としては、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ等の無機塩、クエン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、ポリメタリン酸塩、ポリカルボン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸、カルボキシル基含有ポリエーテル等が挙げられる。分散剤を添加する場合は、その添加量は、耐火性原料100質量%に対して外掛けで0.01〜0.3質量%であることが好ましい。
〔施工水について〕
以上説明した不定形耐火物は、施工水を添加して施工される。施工水の添加量は、施工方法等に応じて決定される。例えば、流し込み施工においては、施工水の添加量は、不定形耐火物100質量%に対して、外掛けで例えば3〜10質量%程度である。また、吹き付け施工においては、施工水の添加量は、不定形耐火物100質量%に対して、外掛けで例えば5〜15質量%程度である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の不定形耐火物は、その効果を損なわない範囲において、金属Si粉、セラミック繊維、塩基性乳酸アルミニウム、酸化防止剤、硬化剤、硬化遅延剤等を含んでもよい。また、通常のポリプロピレン繊維、他の有機繊維をさらに添加してもよい。しかし、その場合も有機繊維の合計量は耐火性原料100質量%に対する外掛けで1質量%を超えないことが好ましい。また、本発明の不定形耐火物の施工方法は、特に流し込み施工又は吹き付け施工に限られず、圧入施工等の他の施工方法によって施工されてもよい。本発明の不定形耐火物の被施工部位としては、例えば各種の溶融金属容器、溶融金属樋、溶融金属処理装置、高温炉等が挙げられる。
表1に、実施例1〜10及び比較例1〜3による不定形耐火物の配合と試験結果を示す。
Figure 2008001548
表1の試験は、不定形耐火物100質量%に対して施工水を外掛けで7質量%添加し、混錬した後、振動を付与した型枠内に流し込み、養生し、さらに110℃で24時間乾燥して得られた施工体に対して行った。以下、表1の各試験項目について説明する。
かさ比重は、JIS−R2205に準じて測定した。施工時の流動性に富むものは充填性に優れるため、かさ比重が大きく、緻密な施工体が得られる。
乾燥性は、予め800℃に加熱したガスバーナ炉に、養生後の100φ×100mmの施工体を装入し、急激な加熱乾燥下における爆裂の有無と、膨れの程度とを確認した。膨れが大きいものは強度に劣る。
曲げ強度は、加熱乾燥後の施工体を常温下においてJISR2575に従って測定した値である。なお、加熱乾燥時に爆裂を生じた比較例2の施工体については、曲げ強度の測定が不可能であった。
損耗指数は、加熱乾燥後の施工体について、溶鋼と溶鋼スラグを侵食剤とした1550℃での回転侵食試験によって各実施例及び比較例の施工体の損耗寸法を測定し、それらの測定結果の各々を比較例1の施工体の損耗寸法で割って100倍した値である。損耗指数は、その値が小さいほど耐食性に優れることを示す。なお、加熱乾燥時に爆裂を生じた比較例2の施工体については損耗指数の測定が不可能であった。
表2には、表1中の各有機繊維の構成を示す。
Figure 2008001548
表2中のポリプロピレン繊維A〜Dは、次の方法によって表面処理剤を付着させたものである。表面処理剤の付着量はいずれも、繊維に対して外掛けで1質量%とした。
ポリプロピレン繊維Aは、通常のポリプロピレン繊維を、リグニンスルホン酸化合物とポリオール複合体とを同量で混合した処理液に浸漬した後、乾燥させたものである。
ポリプロピレン繊維Bは、通常のポリプロピレン繊維を、リグニンスルホン酸化合物からなる処理液に浸漬した後、乾燥させたものである。
ポリプロピレン繊維Cは、通常のポリプロピレン繊維を、ポリカルボン酸化合物からなる処理液に浸漬した後、乾燥させたものである。
ポリプロピレン繊維Dは、通常のポリプロピレン繊維を、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸エステル(HLB=8.0)70質量%とポリオキシエチレンオレイン酸エステル(HLB=9.0)30質量%を混合して得た表面処理剤水溶液に浸漬した後、乾燥したもので、従来知られている親水処理を施したものである。
なお、ビニロン繊維は、80℃の温水において溶解するウエットタイプのものである。
表1に示すように、実施例1〜10の不定形耐火物は、いずれも乾燥性において優れた結果が得られた。中でもAl粉を添加した実施例6〜10の不定形耐火物は、加熱乾燥に伴う膨れをより確実に抑制できたためか、施工体の強度及び耐食性に一段と優れている。
比較例1は、通常の親水処理が施されたポリプロピレン繊維Dを使用したものであり、施工体のかさ比重が小さく、緻密性に劣る。これは、施工時の流動性が不十分であることによる。この結果より、一般的な親水処理が施されたポリプロピレン繊維では、十分な流動性が得られないと考えられる。また、比較例1は、加熱乾燥での膨れも大きい。
比較例2は、ビニロン繊維を添加したものであり、施工体に爆裂が生じた。これは、乾燥時にビニロン繊維が焼失灰となって残留し、水蒸気の十分な散逸が図られなかったためと考えられる。
比較例3は、表面処理剤を付着させたポリプロピレン繊維を使用したが、その添加量が多過ぎるため、施工体の耐食性が劣る結果となった。
図1は、ポリプロピレン繊維の単糸繊度と、不定形耐火物のかさ比重との関係を示すグラフである。表1に示す実施例1の不定形耐火物と、比較例1の不定形耐火物とにおいて、ポリプロピレン繊維の繊維径(繊維長さを固定しておいて、単糸繊度のみを変化させた)を変化させ、その施工体のかさ比重を測定することで、ポリプロピレン繊維の繊維径と施工体の緻密性との関係を調べた。
図1に示すように、実施例1の不定形体耐火物は、比較例1の不定形耐火物と比べて、かさ比重が大きく、緻密な施工体が得られることが分かる。また、図1中の破線L2は、実施例1のプロットの変動を直線近似した破線L1を平行移動させたものであり、実施例1によると、繊維径の増大に伴うかさ比重の低下の傾向を、比較例1に比べて、小さく抑えることができることが分かる。即ち、親水処理を行ったポリプロピレン繊維を用いるよりも、リグニンスルホン酸化合物及びポリオール複合体を表面に付着させたポリプロピレン繊維を用いた方が、繊維径の増大に伴うかさ比重の低下を抑制できる。
これは、リグニンスルホン酸化合物及びポリオール複合体を表面に付着させたポリプロピレン繊維を用いることよって、繊維径が大きくなっても施工時の流動性の低下を防止できたことによる。本発明の不定形耐火物によると、繊維径の大きな繊維の添加が可能となり、それに見合う大きな通気孔の形成が可能となって、乾燥性に優れた施工体を得ることができる。
ポリプロピレン繊維の繊度と不定形耐火物のかさ比重との関係を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 耐火性原料100質量%に、スルホン酸化合物及び/又はカルボン酸化合物を表面に付着させたポリプロピレン繊維を外掛けで0.01〜1質量%添加してなり、施工水を添加して施工される不定形耐火物。
  2. さらに、Al粉を前記耐火性原料100質量%に対する外掛けで最大1質量%添加してなる請求項1記載の不定形耐火物。
  3. 前記ポリプロピレン繊維として、単糸繊度2〜100dtex、繊維長さ1〜10mmのものを用いた請求項1又は2記載の不定形耐火物。
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