JP2002234776A - 溶鋼取鍋用不定形耐火組成物 - Google Patents
溶鋼取鍋用不定形耐火組成物Info
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Abstract
グ浸透性を、従来のアルミナ・スピネル質やアルミナ・
マグネシア質キャスタブルよりも格段に向上させた溶鋼
取鍋用不定形耐火組成物を提供する。 【解決手段】 1mm以上の粒度に調製した焼結アルミ
ナと1mm未満の粒度に調製した電融アルミナ及び/又
は仮焼アルミナとを使用したアルミナ質組成の耐火組成
物であって、該耐火組成物に、内割りで、粒径が0.3m
m以下で、かつ75μm以下の粒度を55〜85重量%含み、
マグネシア含有量が90重量%以上のマグネシア原料を3
〜12重量%と、カルシア含有量が20重量%未満のアル
ミナセメントを3〜10重量%と、シリカを主体とする
超微粉を0.3〜1.5重量%とを含有してなる溶鋼取
鍋用不定形耐火組成物。
Description
耐火組成物(溶鋼取鍋の炉内張り用耐火物として使用さ
れる不定形耐火組成物)に関し、特に、耐熱性,耐食
性,耐スラグ浸透性に優れた溶鋼取鍋用不定形耐火組成
物に関する。
用不定形耐火物として、アルミナ原料とスピネル原料と
を組み合わせた“アルミナ・スピネル質キャスタブル”
や、アルミナ質キャスタブルにマグネシアを添加した
“アルミナ・マグネシア質キャスタブル”が開発され、
適用されていた。このうち、“アルミナ・マグネシア質
キャスタブル”は、スラグ浸透が少ないことにより、特
に取鍋内張り用材質として脚光を浴び、敷部や側壁部に
適用されてきている。
ア質キャスタブル”としては、特開昭63−21858
6号公報,特開平2−208260号公報,特開平5−
185202号公報,特開平7−25669号公報に
“アルミナ原料とマグネシア原料およびアルミナセメン
トやシリカ超微粉を含有した不定形材料”について記載
されている。
料は、従来からのアルミナ質キャスタブルやアルミナ・
スピネル質キャスタブルと比較して、耐食性や耐スラグ
浸透性に優れているものの、昨今の鉄鋼業界を取り巻く
環境変化により、鋼品質の向上を目指すべく、取鍋にお
ける溶鋼処理が過酷化しており、このような不定形材料
では限界にきているのが現状である。
ると共に、耐食性及び耐スラグ浸透性を、従来のアルミ
ナ・スピネル質或るいはアルミナ・マグネシア質キャス
タブルよりも格段に向上させた溶鋼取鍋用不定形耐火組
成物を提供することにある。
および高耐スラグ浸透性を得るための配合原料の選定
と、マグネシア原料の添加量およびその粒度とに着目
し、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
組成物は、(1) 1mm以上の粒度に調製した焼結アルミ
ナと1mm未満の粒度に調製した電融アルミナ及び/又
は仮焼アルミナとを使用したアルミナ質組成の耐火組成
物であって、該耐火組成物に、内割りで、(2) 粒径が0.
3mm以下で、かつ75μm以下の粒度を55〜85重量%含
み、マグネシア含有量が90重量%以上のマグネシア原料
を3〜12重量%と、(3) カルシア含有量が20重量%未満
のアルミナセメントを3〜10重量%と、(4) シリカを主
体とする超微粉を0.3〜1.5重量%と、を含有してなるこ
とを特徴とし(請求項1)、これにより、前記した目的と
する不定形耐火組成物を提供することができる。
火組成物を水にて混練し、流し込み施工または吹付け施
工に用いることを特徴とする(請求項2)。
て説明する。まず、本発明で使用するアルミナ原料につ
いて説明すると、本発明は、前記(1)として記載したと
おり、特定粒度(1mm以上)に調製した焼結アルミナ
と、同じく特定粒度(1mm未満)に調製した電融アルミ
ナ及び/又は仮焼アルミナとを併用するものである。以
下、本発明で使用する上記アルミナ原料について、その
作用効果と共に具体的に説明する。
アルミナ含有量が95%以上の、ロータリーキルンやシ
ャトルキルンにて高温度で焼結させたペレットを未粉砕
の状態で篩分けした原料や粉砕後篩分けした原料が使用
できる。その使用粒度は“1mm以上(1.0mm以上)”
である。この焼結アルミナは、高温度で焼き締められた
ペレットであり、同組成の電融アルミナが単結晶の集合
体であるのと比較して、1mm以上の粒度では非常に緻
密な焼結体であるため、耐食性に優れると同時にスラグ
の骨材粒子内への浸透が抑制できる。この焼結アルミナ
は、伊藤忠セラテック(株)社にて製造されている「アル
ミナイト−37」や「アルミナイト−S」などが一般的
に市販されている。
m未満)の粒度に調製した電融アルミナ及び/又は仮焼
アルミナを使用する。電融アルミナおよび仮焼アルミナ
のアルミナ含有量は99重量%以上の、高純度原料の粉
砕品が使用できる。前述した1mm以上(1.0mm以上)
の粒度の焼結アルミナとは逆に、電融アルミナは、1m
m未満(1.0mm未満)の粒度では、単結晶体と成りやす
く、焼結アルミナに比して、結晶粒界が少ないため、高
耐食性と高耐スラグ浸潤性に優れる。
下、好ましくは平均粒径が5μm以下の超微粉で、Na
2O含有量が0.5%以下の高純度で低ソーダ品が使用
できる。仮焼アルミナは、低水分で施工可能とするため
と、後述するマグネシアとの反応速度を速くするために
使用する。その使用量は3〜10重量%が好ましい。
上)に調製した焼結アルミナと、同じく特定粒度(1mm
未満)に調製した電融アルミナ及び/又は仮焼アルミナ
とを併用するが、この“焼結アルミナ”と“電融アルミ
ナ及び/又は仮焼アルミナ”との比率は、重量比で1.
0/0.5〜1.0/8.5(好ましくは1.0/1.
0〜1.0/3.0)が望ましい。
は、その粒度が0.3mm以下の微粉や超微粉で、かつ
75μm以下の粒度を55〜85重量%含み、マグネシ
ア含有量が90重量%以上の天然に産するマグネサイト
やその焼成物,海水より得られる海水マグネシアあるい
は電融することにより得られる電融マグネシアの1種あ
るいは1種以上の混合物が使用できる。
合や、75μm以下の粒度が55重量%より少ない場合
には、マグネシアとアルミナとの反応により生成するス
ピネルの生成が遅く、かつ少なくなり、反応による結合
強度や反応物の拡散による組織の緻密化が図れなくな
る。また、75μm以下の粒度が85重量%より多い場
合には、マグネシアが拡散してアルミナと反応し、スピ
ネルを生成する際に生じる存在したマグネシアの痕跡部
の密閉気孔が少なくなる。その結果として、応力緩和性
が乏しくなるために、耐熱衝撃抵抗性が弱くなり、加熱
−冷却時に剥離損傷、所謂熱的スポーリングが発生する
ため、好ましくない。
有量が90重量%以上の高純度のものを使用する。90
重量%未満のマグネシア原料では、その原料中にシリ
カ,ライムあるいは鉄酸化物等の不純物が多く含まれる
ため、耐食性の低下や残存膨張率の低下により十分な耐
用性が得られなくなるため、好ましくない。
%(より好ましくは5〜9重量%)である。マグネシア
の添加量が3重量%未満の場合には、マグネシアとアル
ミナとの反応により生成するスピネルの生成量が少な
く、反応による結合強度や反応物の拡散による組織の緻
密化が図れなくなり、剥離損傷を誘発したり耐食性が低
下する。−方、マグネシアの添加量が12重量%より多
い場合には、マグネシアとアルミナとの反応により生成
したスピネルと、未反応のマグネシアが共存した状態と
なり、特に、溶鋼取鍋のような溶鋼と接する容器内張り
用として使用する場合には、処理スラグの浸透が抑制さ
れず、所謂構造的スポーリングが発生し、耐用性が低下
する。
としては、カルシア含有量が20重量%未満であって、
カルシウムアルミネートとコランダムを主体鉱物とする
高純度のハイアルミナセメントが使用できる。そのアル
ミナセメントの添加量は、3〜10重量%(より好まし
くは5〜8重量%)である。
ミナセメントを使用した場合や、アルミナセメントの添
加量が10重量%より多い場合には、次に述べるシリカ
主体の超微粉を併用して使用するため、液相生成量が増
加することにより耐食性が極端に低下する。また、アル
ミナセメントの添加量が3重量%より少ない場合には、
施工体の強度が低く、かつ1000℃以下の低温度領域
での組織強度が十分に得られないため、乾燥時の爆裂や
使用中の施工体組織のギャップにより剥離損傷を起こ
す。
微粉を0.3〜1.5重量%(より好ましくは0.5〜
1.2重量%)使用する。この超微粉は、一般的にシリ
カフラワーやシリカヒュームと呼ばれるシリカ値が90
%以上の超微粉であり、ジルコンやジルコニアを若干含
有していてもかまわない。この超微粉を添加する目的
は、マグネシアとアルミナとの反応により生成する緻密
なスピネル相の粒界に“(Ca-A1-Si)酸化物系や
(Na-Mg-Si)酸化物系の液相”を生成させ、施工体
の応力緩和性を高めることにある。
3重量%より少ない場合には、上述した生成するスピネ
ル粒界に存在する液相量が少なくなり、応力緩和性が乏
しくなるため、耐熱的スポーリング性が低下する。一
方、シリカを主体とする超微粉の使用量が1.5重量%
より多い場合には、その液相生成量が多くなり過ぎるた
め、軟化温度が低下し、耐熱性が極端に低下する。
末、アルミニウム合金粉末、発泡剤、金属ファイバー、
有機ファイバー、セラミックファイバー、縮合燐酸塩や
ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボン酸カルシウム
等のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩やそれらの重
合体又は共重合体などの分散剤を本発明の効果を阻害し
ない範囲で添加することができる。
ミキサー内に投入された上述した配合組成の粉末に、水
を4〜9重量%添加・混棟した後、混練物をダイレクト
あるいは搬送ホッパー、あるいは、ピストンポンプやス
クイズポンプ等の圧送機器を使用し、施工枠内に投入
し、バイブレーター等の加振機器を使用して、流し込み
施工を行う。
の圧送機器を使用する場合には、圧送配管先端に吹付ノ
ズルを取り付け、圧搾空気にて送られたアルカリ性ゲル
化剤とノズル内で混合され、吹き付け施工も可能であ
る。この吹き付け施工の場合、圧搾空気にて添加するア
ルカリ性ゲル化剤としては、種々のアルカリ性物質が使
用できる。例えば、珪酸ソーダ,珪酸カリウム,硫酸
塩,珪酸リチウム,炭酸リチウム,水酸化カリウム等の
粉末、または、それらの水溶液等が使用できるが、広く
市販され容易に入手可能であり、かつ分散性が良好な
“珪酸ソーダ溶液や珪酸カリウム溶液”が望ましい。こ
のアルカリ性ゲル化剤の添加量は、混練後の圧送材料に
対して外掛けで0.1〜3.0重量%が好ましい。
上に粒調したアルミナ含有量が90重量%以上の焼結ア
ルミナや電融アルミナ、あるいは、マグネシア含有量が
20重量%以下のスピネルやスピネル−コランダム鉱物
相を主構成相とするクリンカーの内の1種あるいは2種
以上の粗大粒を、外掛けで30重量%まで添加しても本
発明で意図する作用効果は阻害されない。したがって、
これらも本発明に包含されるものである。
本発明の溶鋼取鍋用不定形耐火組成物について更に具体
的に説明する。
に、本発明の実施例1〜9における配合割合と各試験結
果を示し、表2および表3に、比較例1〜15における
配合割合と各試験結果を示す。表1〜3に示す割合で配
合した各配合物は、同じく表1〜3に示す混練条件で混
棟した後、実施例1〜8および比較例1〜3,5〜15
では、型枠に流し込み、硬化,脱枠後、105℃で24
時間乾燥し、各試験に供した。また、実施例9および比
較例4では、表1および表2に示すように、両例とも
“吹付け施工”であって、圧送配管で圧送し、この圧送
配管の先端に取り付けた吹付ノズル内で、圧搾空気にて
送られたアルカリ性ゲル化剤(40重量%の珪酸ソーダ
溶液)の0.3重量%と混合し、吹付け施工した後、同
じく105℃で24時間乾燥し、各試験に供した。
縮強さ(MPa)」「浸食試験」は、次の方法で測定し
た。 ・曲げ強さ:JIS−R2553に準じ、105℃乾燥
後および1500℃焼成後の各試料について測定した。 ・圧縮強さ:JIS−R2555に準じ、105℃乾燥
後および1500℃焼成後の各試料について測定した。 ・浸食試験:転炉スラグを浸食剤とし、1650℃で4
時間の回転浸食試験を実施し、「侵食深さ(mm)」,
「浸潤深さ(mm)」を測定した。
る範囲内の実施例1〜9によれば、高耐熱性を有すると
共に、耐食性及び耐スラグ浸透性に優れた不定形耐火組
成物が得られることが理解できる。これに対して、本発
明で特定する範囲外の比較例1〜15の不定形耐火組成
物では、耐熱性,耐食性及び/又は耐スラグ浸透性の劣
るものが得られた。
いて、次の試験1,2(流し込み施工試験)、および、試
験3(吹き付け施工試験)を行った。なお、試験1,2で
使用した従来のアルミナ・マグネシア質流し込み材は、
敷部用として比較例5の材料,鋼浴部用として比較例3
の材料であり、本発明に係る不定形耐火組成物として
は、敷部用として実施例1の材料,鋼浴部用として実施
例3の材料を使用した。また、試験3で使用した従来の
アルミナ・マグネシア質湿式吹き付け材は、比較例4の
材料であり、本発明に係る不定形耐火組成物としては、
実施例9の材料を用いた。
nのLF取鍋の敷部および鋼浴部に流し込み施工を実施
した。従来からのアルミナ・マグネシア質流し込み材の
寿命が、敷部を40ch毎に部分補修を実施し、120
chであったのと比較して、本発明に係る不定形耐火組
成物を用いることにより、敷部が50ch毎の補修へと
高寿命化したと同時に、鋼浴部の寿命が150chへと
延命した。また、亀裂の発生が少なく、剥離は発生しな
いことより、高位安定耐用が可能となった。
nのRH取鍋の敷部および鋼浴部に流し込み施工を実施
した。従来からのアルミナ・マグネシア質流し込み材
は、敷部を90ch毎に部分補修を実施し、270ch
の寿命であったのと比較して、本発明に係る不定形耐火
組成物を用いることにより、敷部の部分補修タイミング
が120ch毎へと延命、鋼浴部の耐用も360chへ
と飛躍的に向上した。
nのLF取鍋の鋼浴部に湿式吹付工法にて施工後使用
し、従来からのアルミナ・マグネシア質湿式吹付と比較
し、本発明に係る不定形耐火組成物を用いることによ
り、補修までの寿命が80chから110chへと向上
した。特に、スラグの浸透層厚みが非常に低減したこと
により、背部への地金進入も皆無となり、トータルライ
フも160chから220chへと1.5倍に延命し
た。
以上の粒度に調製した焼結アルミナと1mm未満の粒度
に調製した電融アルミナ及び/又は仮焼アルミナとを併
用したアルミナ質組成の耐火組成物であって、該耐火組
成物に、内割りで、 ・粒径が0.3mm以下で、かつ75μm以下の粒度を55〜8
5重量%含み、マグネシア含有量が90重量%以上のマグ
ネシア原料:3〜12重量%、 ・カルシア含有量が20重量%未満のアルミナセメント:
3〜10重量%、 ・シリカを主体とする超微粉:0.3〜1.5重量%、 を含有してなる溶鋼取鍋用不定形耐火組成物であり、高
耐熱性を有すると共に、耐食性及び耐スラグ浸透性を従
来のアルミナ・スピネル質あるいはアルミナ・マグネシ
ア質キャスタブルよりも格段に向上させた不定形耐火組
成物を提供することができる。
し込み材として使用することにより、従来のアルミナ・
マグネシア質流し込み材と比較して、取鍋敷部の補修間
隔が延長すると同時に、鋼浴部の耐用も飛躍的に向上す
る効果が生じる。さらに、本発明に係る不定形耐火組成
物を湿式吹き付け材として使用することにより、従来の
アルミナ・マグネシア質湿式吹き付け材と比較して、剥
離などの発生がなく耐用性が大幅に向上し、特に、スラ
グの浸透厚みが非常に軽減されることにより、背部への
地金進入も皆無となり、トータルライフも延命化する効
果が生じる。
Claims (2)
- 【請求項1】 1mm以上の粒度に調製した焼結アルミ
ナと1mm未満の粒度に調製した電融アルミナ及び/又
は仮焼アルミナとを使用したアルミナ質組成の耐火組成
物であって、該耐火組成物に、内割りで、粒径が0.3
mm以下で、かつ75μm以下の粒度を55〜85重量
%含み、マグネシア含有量が90重量%以上のマグネシ
ア原料を3〜12重量%と、カルシア含有量が20重量
%未満のアルミナセメントを3〜10重量%と、シリカ
を主体とする超微粉を0.3〜1.5重量%とを含有し
てなることを特徴とする溶鋼取鍋用不定形耐火組成物。 - 【請求項2】 前記溶鋼取鍋用不定形耐火組成物を水に
て混練し、流し込み施工または吹付け施工に用いること
を特徴とする請求項1に記載の溶鋼取鍋用不定形耐火組
成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001025598A JP4220131B2 (ja) | 2001-02-01 | 2001-02-01 | 溶鋼取鍋用不定形耐火組成物 |
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Publications (2)
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- 2001-02-01 JP JP2001025598A patent/JP4220131B2/ja not_active Expired - Fee Related
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