JPH08208512A - 血栓形成阻害剤 - Google Patents

血栓形成阻害剤

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JPH08208512A
JPH08208512A JP7039083A JP3908395A JPH08208512A JP H08208512 A JPH08208512 A JP H08208512A JP 7039083 A JP7039083 A JP 7039083A JP 3908395 A JP3908395 A JP 3908395A JP H08208512 A JPH08208512 A JP H08208512A
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JP
Japan
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nattokinase
plasmin
fibrinogen
thrombus
blood
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JP7039083A
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English (en)
Inventor
Mitsugi Fujita
貢 藤田
Yae Ito
八重 伊東
Satoru Misawa
悟 三沢
Naohito Takeuchi
尚人 竹内
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NIPPON CHEM RES KK
JCR Pharmaceuticals Co Ltd
Eneos Corp
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NIPPON CHEM RES KK
JCR Pharmaceuticals Co Ltd
Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血栓形成を阻害できる薬剤を提供する。 【構成】 納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分とする
血栓形成阻害剤、血栓再閉塞阻害剤またはフィブリノー
ゲン限定分解剤。 【効果】 本発明の酵素剤は経口投与により腸管から吸
収させることができ、血中のフィブリノーゲンを限定分
解してフィブリン網の形成を妨げ、血栓の形成や再閉塞
を阻害することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は納豆菌(Bacillu
s Subtilis Natto)の生産する線溶酵
素を有効成分とする血栓形成もしくは血栓再閉塞阻害剤
およびフィブリノーゲン限定分解剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】血栓
症により引き起こされる疾病は、心筋梗塞、肺閉塞症な
ど生命にかかわるものが多く、常に死因の上位を占めて
いる。
【0003】血栓の形成にはフィブリンが重要な役割を
演じるが、フィブリンはフィブリノーゲンからトロンビ
ンの作用によって生成する。そしてフィブリンは、プラ
スミノーゲンにプラスミノーゲンアクチベーターが作用
して生成するプラスミンによって分解することが知られ
ている。
【0004】血栓症の治療には、ウロキナーゼ(以下U
Kと省略する)、ストレプトキナーゼ(以下SKと省略
する)、組織型プラスミノーゲンアクティベータ(以下
tPAと省略する)等の血栓溶解剤が用いられている。
これらはいずれもプラスミノーゲンアクチベータとして
プラスミノーゲンに作用して後者をプラスミンに変換
し、その生成したプラスミンによってフィブリンを分解
して血栓を溶解するものである。しかしながら、これら
の薬剤によって血栓が完全に除去されることは殆どな
く、常に再閉塞する危険性がある。
【0005】現在は、この再閉塞を阻害するためにシロ
スタゾール、ジヒドロエルゴトキシン・メシレート、テ
ィクロピディン・ハイドロクロライドなどの血小板凝集
阻害剤が臨床や研究で用いられている。
【0006】これらの再閉塞阻害剤は血小板の凝集もし
くは活性化を阻害し、それによって以下に続く血栓形成
の過程(活性化血小板形質膜上でカルシウムイオン存在
下、血液凝固因子VaおよびXaによりプロトロンビン
を活性化し、生じたトロンビンによりフィブリン網が形
成する過程)を阻害しようとするものである。しかし、
毛細血管の様に細い血管はともかく、他の血管は血小板
が凝集して形成された白色血栓のみで閉塞することは希
で、ほとんどの場合、血栓は白色血栓およびフィブリン
がフィブリン網を形成する際に赤血球を取り込んで形成
した赤色血栓の混合血栓であって、血管壁付近は白色血
栓、血栓中央部は赤色血栓で占められている。この様
に、ほとんどの血栓は、フィブリン網の形成により完全
に閉塞するのである。したがって、血栓溶解剤で血栓が
完全に除去された場合はともかく、血管壁付近の白色血
栓が残った場合、この血栓を構成している血小板は活性
化していることから、この付近で生じたトロンビンによ
りフィブリン網が構成され、その結果血栓が再形成さ
れ、閉塞するに至る。
【0007】一方、納豆菌の生産する線溶酵素の精製
法、物理的化学的性質および酵素的性状、フィブリンの
分解および血栓の溶解 、ならびにアミノ酸配列は、特
開昭61−162184号公報、特開平3−16808
2号公報、Biochem.Biophys.Res.
Commun.,197.1340−1347(199
3)および特開平6−153977号公報に発表されて
いる。また、それは平谷らにより経口用血栓溶解剤とし
ても提案されている(特開平1−180834号公報)
が、これらの発表はすでに形成された血栓の溶解に関す
るもので、血栓の形成や再閉塞の阻害作用については述
べていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはすでに形成
された血栓を溶解するのではなくて、血栓の形成や再閉
塞を未然に防止することができないかと考え、研究を重
ねた結果、納豆菌の生産する線溶酵素がその線溶活性と
は別に、意外にもフィブリノーゲンを限定分解して低分
子化する作用を有し、ひいてはフィブリンの生成阻害作
用ならびに、血漿凝固時間の延長作用すなわちフィブリ
ン網形成阻害作用を有することを発見した。これはこの
酵素が血栓形成や血栓の再閉塞を阻害する作用を有する
ことを示すものである。 本発明はこの新知見に基づく
もので、納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分としてな
る血栓形成阻害剤、血栓再閉塞阻害剤およびフィブリノ
ーゲン限定分解剤に関する。
【0009】納豆菌の生産する線溶酵素についてはその
抽出、精製法、性状、物性および用途が前記数種の文献
に発表され、多くの場合ナットウキナーゼと呼ばれてい
るので、本明細書においても以下この酵素をナットウキ
ナーゼと略称する。
【0010】本発明に用いるナットウキナーゼは粗製物
でも精製物でもよい。ナットウキナーゼは納豆または納
豆菌の培養物に含まれ、中性もしくは弱塩基性の水また
は塩化ナトリウムや塩化カリウムなどを含む、リン酸緩
衝液(pH6〜8)、トリス緩衝液(pH7〜9)を用
いて抽出することができる。抽出液中のナットウキナー
ゼはメタノール、エタノールのような低級脂肪族アルコ
ールを60〜80v/v%となるように、または硫酸ア
ンモニウムを40〜60w/v%となるように、加えれ
ば沈澱させることができる。この沈澱中のナットウキナ
ーゼはブチルセファローズR 、アルキルセファローズR
(ファルマシア社)のような疏水性担体やモノーQR
Qセファローズ・ファスト・フロウのような強塩性陽イ
オン交換体に吸着および溶出させるクロマトグラフィで
精製することができ、あるいは陰イオン交換体に不純物
を吸着、除去して精製できる。さらにセファクリルS−
200R やセファデックスQR (ファルマシア社)のよ
うな担体を用いるゲル濾過クロマトグラフィにより精製
することができる。これらのクロマトグラフィは前記の
発表された方法またはそれに準じた方法の1または2以
上を用いることができる。
【0011】かくして種々の純度のナットウキナーゼが
得られるが、有効成分の一定量を確実に投与するために
は、なるべく高純度のものを用いるのが好ましい。
【0012】本発明者らの研究により、経口投与された
ナットウキナーゼは腸より吸収され血中のフィブリノー
ゲンを限定分解することにより血液凝固系において抗凝
固作用を示すことがわかった(実施例参照)。
【0013】フィブリノーゲンが限定分解されることに
より低分子化されたフィブリノーゲン分解産物が血中に
生成するとそれがシグナルとなつて、フィブリノーゲン
が直ちに肝臓で合成される。したがって、ナットウキナ
ーゼの作用により一時的に血中のフィブリノーゲンが減
少することはあっても出血傾向になることはない。また
ナットウキナーゼは食用に供されている納豆に含有され
るもので経口投与による毒性はほとんど認められない。
【0014】本発明の酵素剤は経口投与に適しているが
胃酸によりナットウキナーゼが分解することを防ぐた
め、腸溶製剤の形で投与することが好ましい。腸溶製剤
は、酵素含有粉末、顆粒または溶液を腸溶カプセルに充
填し、あるいは顆粒や錠剤をエンテリックコーティング
することで調製しうる。本発明の酵素剤は、血中フィブ
リノーゲンを分解し、血栓の形成もしくは一旦溶解した
血栓の再閉塞を防ぐために精製物として成人一日あた
り、1〜3gを一回もしくは数回経口投与することがで
きる。
【0015】
【作用】本発明の酵素剤に含有されるナットウキナーゼ
は経口投与により腸管より吸収され、血中の血液凝固因
子であるフィブリノーゲンを限定分解することによりフ
ィブリン網の形成を抑制し抗血液凝固作用、抗血栓形成
作用を示す。
【0016】
【実施例】以下に参考例、実施例および実験例の形で本
発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定
されるものではない。
【0017】参考例1(抽出ナットウキナーゼ精製物の
製造) 精製操作の全過程を4℃で行う。納豆20kgを2mM
塩化カルシウム含有の0.9%塩化ナトリウム溶液20
リットル中で攪拌することでナットウキナーゼを抽出す
る。抽出液を金網で濾過し、濾液を遠心分離機(TOM
Y RS−20,TOMY,東京)で7,000rpm
40分間遠心して上澄液を得、これに固体硫酸アンモ
ニウムを加えて25%飽和液とし、混合物を一夜放置し
た。これを7,000rpm40分間遠心して上澄液を
得、2mM塩化カルシウムと25%飽和硫酸アンモニウ
ムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平
衡化したブチル・トヨパール(10×15cm)のカラ
ムにアプライした後、25−0%飽和硫酸アンモニウム
の直線濃度勾配により溶出した。合成基質Suc−Al
a−Ala−Pro−Phe−PNAに対する水解活性
の画分は固体硫酸アンモニウムを加えて25%飽和硫酸
アンモニウム溶液とした。これを遠心して得られた上澄
液に固体硫酸アンモニウムを加えて60%飽和硫酸アン
モニウム溶液とし、一夜放置した。次いで遠心して得た
沈澱を1mM塩化カルシウム含有の1mMビス・トリス
酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、同じ緩衝液に対し
て一夜透析した。透析内液を1mMビス・トリス酢酸緩
衝液(pH6.0)で平衡化したCM−トヨパールのカ
ラム(2.8×32cm)に添加し、0−0.2M塩化
ナトリウムの直線濃度勾配で溶出した。上記の水解活性
を有する画分を集め、60%飽和となる様に硫酸アンモ
ニウムを添加することで本画分に含まれる活性分画を沈
澱させた。沈澱を0.1M炭酸水素アンモニウム(pH
8.0)に溶解し、同じ緩衝液で平衡化したセファデッ
クスG−50(2.8×90cm)のカラムを用いてゲ
ル濾過した。ここで得られた単一のピークを滅菌蒸留水
で一夜透析し、凍結乾燥した。
【0018】参考例2(培養ナットウキナーゼ精製物の
製造) 2%フラクトース、1.5%イソペプトン(Difco
Lab.)、0.2%酵母エキス、0.1%リン酸二
水素カリウム、0.3%リン酸水素二カリウム、0.0
5%硫酸マグネシウム・5水和物、0.02%塩化カル
シウム・2水和物、pH7.0の組成に終濃度2%のマ
ルトースを加えた培地100mlを500ml容三角フ
ラスコに入れ、納豆菌であるバチルス・ズブチリスB−
407株(微工研条寄4043号)を接種して、0℃で
18時間種母培養した。種母培養液50ml(2%)を
0.1%カラリンを含む同じ組成の培地2.5リットル
の入った5リットル容発酵槽に加え、回転数800rp
m、30℃で毎分2.5リットルの空気を送りながら、
70時間通気攪拌培養した。その培養上清に終濃度1.
5Mとなるように硫安を加え、あらかじめ1.5M硫
安、10mMリン酸ナトリウムpH7.2で平衡化して
おいたブチル・セファロース4ファーストフロー(ファ
ルマシア)に吸着させた。同緩衝液で洗浄した後、0.
5M硫安、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2でナ
ットウキナーゼを段階溶出させ、合成基質Suc−Al
a−Ala−Pro−Phe−pNAに対する水解活性
の画分を採取した。セファデックスG−25(ファルマ
シア)により、10mMリン酸ナトリウム、pH7.2
に緩衝液を交換したのち、S−セファロース ファース
トフロー(ファルマシア)に吸着させ、同緩衝液で洗浄
後、0.1M塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウ
ム、pH7.2で段階溶出させ、同様に活性画分を採取
した。最後に、0.12M塩化ナトリウム、10mMリ
ン酸ナトリウム、pH7.5で平衡化したセファクリル
S−200HR(ファルマシアにてゲル濾過を行い単一
のピークを示す活性画分として精製ナットウキナーゼを
得た。
【0019】実験例1(抗ナットウキナーゼ抗体の作
製) ナットウキナーゼに対するポリクローナル抗体を以下の
様にして得た。ナットウキナーゼ(1mg/ml)20
0μlとComplete adjuvant(DIF
CO)200μlを混合し乳状とした。これをウサギの
四肢の付け根に皮下投与した。3週間後、ナットウキナ
ーゼ(1mg/ml)200μlとIncomplet
e adjuvant(DIFCO)200μlを混合
し乳状としたものを同様に追加免疫した(追加免疫は1
週間間隔で2回行った)。追加免疫終了後、7日目に、
全採血し抗血清を得た。本抗血清は56℃で30分間非
動化した後、40%硫安飽和で得た沈澱画分を20mM
リン酸緩衝液で溶解し同緩衝液で平衡化したDEAE−
セルロース(ファルマシア)のカラムにかけて分画し
た。ここで得られる素通り画分(280nmで0.5以
上の吸光度を示す画分)をIgG画分として得た。
【0020】実験例2(抗ラットフィブリノーゲン抗体
の作製) ラットフィブリノーゲンに対するポリクローナル抗体を
以下の様にして得た。ラットフィブリノーゲン(Sig
ma)200μl(1mg/ml)とComplete
adjuvant 200μlを混合し乳状とした。
これをウサギの四肢の付け根に皮下投与した。3週間
後、ラットフィブリノーゲン(1mg/ml)200μ
lとIncomplete adjuvant 200
μlを混合し乳状としたものを同様に追加免疫した(追
加免疫は1週間間隔で2回行った)。追加免疫終了後7
日目に、全採血し抗血清を得た。本抗血清は56℃で3
0分間非動化した後、40%硫安飽和で得た沈澱画分を
20mMリン酸緩衝液で溶解し同緩衝液で平衡化したD
EAE−セルロースにかけて分画した。ここで得られる
素通り画分(280nmで0.5以上の吸光度を示す画
分)をIgG画分として得た。
【0021】実施例1 ヒトフィブリノーゲン(1mg/ml)を参考例1にお
いて得られた抽出ナットウキナーゼ精製物(5μg/m
l)を0.15M塩化ナトリウムを含む50mMトリス
塩酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、37℃で0,1,
3,20分間反応させた後、0.2mMフェニルメチル
スルフォニルフルオリドで反応を停止させた。この様に
して得た試料をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動に供した後、ザルトブロットII−S(ザルトリウス)
を用いてPVDF膜(第一化学薬品)にゲル上のタンパ
クを転写した。このPVDF膜を0.9%の塩化ナトリ
ウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液pH7.4(以下
TBSと省略する)で洗浄した後、ブロッキング溶液
(1%スキム・ミルクを含むTBS)と30分間反応さ
せた後、ブロッキング溶液で1,000倍に希釈した抗
ヒトフィブリノーゲン分解産物フラグメントD抗体(S
erbio)と60分間反応した。これを0.05%
Tween 20を含むTBS(以下Tween−TB
Sと省略する)で洗浄した後、Tween−TBSで
3,000倍に希釈した抗マウスIgG(BioMar
ker)と30分間反応し、TBSで洗浄した。この
後、PVDF膜を0.015%過酸化水素存在下、4−
クロロナフトール(0.6mg/ml)と20分間反応
した。対照にはプラスミンを用いた(反応は10mM
ε−アミノカプロン酸で停止した)。この結果、ナット
ウキナーゼによるフィブリノーゲンの分解過程は、プラ
スミンのそれと類似していた(図1)。このことより、
ナットウキナーゼはフィブリノーゲンを限定分解するこ
とがわかった。
【0022】実施例2 参考例1において得られた抽出ナットウキナーゼ精製物
および参考例2において得られた発酵ナットウキナーゼ
精製物の溶液(生理食塩水に溶解)1mlを十二指腸よ
り腸管腔内に投与した(各6例)。投与量はそれぞれ8
0mg/kgとした。ナットウキナーゼ投与前および投
与後、0.5,1,3,5時間で大腿静脈から採血(4
00μl)した。この様にして得た血液400μlに対
して3.8%クエン酸ナトリウム100μlを加えて遠
心することで得たクエン酸血漿を試料として下記
(イ)、(ロ)、(ハ)の試験をした。
【0023】(イ) ナットウキナーゼの腸管吸収の有
無を、上記の様にして得た血漿を用いて、実験1で得た
抗ナットウキナーゼ抗体を利用したウエスタン・ブロッ
ト法により分析することで検討した。以下の操作は全て
室温で行った。非還元条件下、SDS化した血漿(最終
希釈倍率は7倍)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動に供した後、ザルトブロットII−Sを用いてPV
DF膜にゲル上のタンパクを転写した。このPVDF膜
をTBSで洗浄した後、ブロッキング溶液と30分間反
応させた後、ブロッキング溶液で希釈した抗ナットウキ
ナーゼ抗体(×1,000)と60分間反応した。これ
をTween−TBSで洗浄した後、Tween−TB
Sで3,000倍に希釈した抗ウサギIgG(BioM
arker)と15分間反応し、TBSで洗浄した。こ
の後、PVDF膜をECL Western Blot
ting Reagentsと1分間反応した。この結
果、ナットウキナーゼ投与後、3および5時間後に採血
することで得た血漿中にナットウキナーゼが検出された
(図2)。このことより、ナットウキナーゼが腸より吸
収されることがわかった。
【0024】(ロ) ナットウキナーゼ投与による血漿
フィブリノーゲンの変化を実験2で得た抗ラットフィブ
リノーゲン抗体を利用したウエスタン・ブロット法によ
り分析することで検討した。以下の操作は全て室温で行
った。非還元条件下、SDS化した血漿(最終希釈倍率
は7倍)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
供した後、ザルトブロットII−Sを用いてPVDF膜に
ゲル上のタンパクを転写した。このPVDF膜をTBS
で洗浄した後、ブロッキング溶液と30分間反応させた
後、ブロッキング溶液で希釈した抗ラットフィブリノー
ゲン抗体(×1,000)と60分間反応した。これを
Tween−TBSで洗浄した後、Tween−TBS
で3,000倍に希釈した抗ウサギIgGと30分間反
応し、TBSで洗浄した。この後、PVDF膜をECL
Western Blotting Reagent
sと1分間反応した。この結果、ナットウキナーゼ投与
後、3および5時間後に採血することで得た血漿中のフ
ィブリノーゲンは全て分子量約270kDaにまで低分
子化しており、さらにその一部はフラグメントD(分子
量105kDa)にまで分解されていた(図3)。この
ことは、腸より吸収されたナットウキナーゼが血漿フィ
ブリノーゲンを分解したことを示唆している。
【0025】(ハ) 上記の様にして得た血漿の凝固時
間を血漿カルシウム再加凝固時間測定法により測定し
た。クエン酸血漿100μlに50mM塩化カルシウム
100μlを添加し凝固するまでの時間を計測した。こ
の結果、ナットウキナーゼ投与後、0.5、1時間で採
血することにより得た血漿の凝固時間は、投与前に採血
することで得た血漿(0時間後)のそれと差はなかっ
た。しかし、ナットウキナーゼ投与後3,5時間で採血
することで得た血漿の凝固時間は投与前に得た血漿のそ
れと比較して明らかに延長した(表1)。このことよ
り、ナットウキナーゼを腸管腔内に投与することで血漿
凝固時間が延長することは明らかとなった。
【0026】 表1 ナットウキナーゼ投与によるクエン酸血漿凝固時間への影響(例数=6) ──────────────────────────────────── 0 0.5 1 3 5時間後 ──────────────────────────────────── 血漿凝固 時間 2.1±0.5 2.3±0.6 2.5±0.6 6.3±2.0 10< (分) ────────────────────────────────────
【0027】以上(イ)、(ロ)、(ハ)結果は、参考
例2において得られた発酵ナットウキナーゼ精製物のも
のであるが、参考例1において得られた抽出ナットウキ
ナーゼ精製物でも同様の結果が得られた。
【0028】以上の実施例より、腸より吸収されたナッ
トウキナーゼが血漿フィブリノーゲンを限定分解するこ
とで血漿凝固時間を延長させることがわかった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、フィブリノーゲンを限
定分解し、血栓形成の最終段階(フィブリン網の形成)
を阻害する血栓形成もしくは再閉塞阻害剤またはフィブ
リノーゲン分解剤が提供される。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】 写真 実施例1におけるフィブリノーゲンとナットウキナーゼ
またはプラスミンの反応による分解生成物の電気泳動パ
ターンを示し、上部の数字1〜4はプラスミン、5〜8
はナットウキナーゼによる限定分解であることを示す。
反応時間はそれぞれ1と5が0分、2と6が1分、3と
7が3分、4と8が20分間である。
【図2】 写真 実施例2(イ)においてナットウキナーゼを腸管内に投
与後採血した血漿中にナットウキナーゼが検出されるこ
とを示すゲル電気泳動パターンで、横軸はナットウキナ
ーゼ投与後採血までに経過した時間(ただし、0時間は
投与前に採血)を示す。
【図3】 写真 実施例2(ロ)において、上記の血漿中のフィブリノー
ゲンは全て低分子化していることを示すゲル電気泳動パ
ターンで、横軸はナットウキナーゼ投与後採血までに経
過した時間(ただし、0時間は投与前に採血)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:07) (72)発明者 三沢 悟 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内 (72)発明者 竹内 尚人 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分と
    してなる血栓形成阻害剤。
  2. 【請求項2】 納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分と
    してなる血栓再閉塞阻害剤。
  3. 【請求項3】 経口用である請求項1または2記載の阻
    害剤。
  4. 【請求項4】 納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分と
    してなるフィブリノーゲン限定分解剤。
  5. 【請求項5】 納豆菌の生産する線溶酵素を有効成分と
    してなる経口用血中フィブリノーゲン限定分解剤。
JP7039083A 1995-02-03 1995-02-03 血栓形成阻害剤 Pending JPH08208512A (ja)

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JP7039083A JPH08208512A (ja) 1995-02-03 1995-02-03 血栓形成阻害剤

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Cited By (8)

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