JPH10158300A - 血管新生抑制効果を有するタンパク質とその製造方法及びアンギオスタチンの製造方法 - Google Patents

血管新生抑制効果を有するタンパク質とその製造方法及びアンギオスタチンの製造方法

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JPH10158300A
JPH10158300A JP8317250A JP31725096A JPH10158300A JP H10158300 A JPH10158300 A JP H10158300A JP 8317250 A JP8317250 A JP 8317250A JP 31725096 A JP31725096 A JP 31725096A JP H10158300 A JPH10158300 A JP H10158300A
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Kazuyasu Suzuki
和保 鈴木
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Suzuki Motor Corp
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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血管新生を阻害する効果のある新規タンパク
質を得、さらにその簡便、かつ迅速な製造方法を提供す
る。また、フォーム1とフォーム2のプラスミノーゲン
に由来するアンギオスタチンを別々に精製する。 【解決手段】 ヒトプラスミノーゲンの355〜791
位のアミノ酸配列を有するヒトプラスミノーゲン由来の
タンパク質を精製する。プラスミノーゲンをリジンセフ
ァロースカラムによって、フォーム1とフォーム2のプ
ラスミノーゲンに分離し、そのそれぞれを別々にリジン
セファロースカラムに順次かけることによって、該タン
パク質及びアンギオスタチンを精製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管新生阻害剤
と、血管新生阻害剤として用いることのできるタンパク
質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】癌腫を切除すると、それまで小康状態に
あった他の小さな腫瘍が活性化して増殖を始めたり、転
移性が高まることが臨床的に知られている。この原因と
して、癌腫自体が、他の腫瘍の増殖を抑制するような物
質を産生していることが考えられ、このような物質とし
て、アンギオスタチン(angiostatin)が知
られている。
【0003】O’Reillyら(Cell,Vol.
79,315−328,October 21,199
4、J.Folkmanの研究グループ)は、腫瘍を有
するマウスの尿及び血清が、マウスの癌腫の転移を抑制
し、また、血管新生に関わる内皮細胞の増殖を抑制する
ことを示した。その抑制に関わる物質を精製したとこ
ろ、SDS−PAGEの解析によって、38kDaのタ
ンパク質であることが明らかになった。このタンパク質
は、プラスミノーゲンの98番目のアミノ酸から始まる
N末端部分を有する38kDaのプラスミノーゲンの内
部断片に対して98%以上の相同性を示した(上記文献
の第323頁左欄Discussionの項)。
【0004】アンギオスタチンと命名されたこのタンパ
ク質は、プラスミノーゲンの一部の配列と一致する。プ
ラスミノーゲンは、クリングルと呼ばれるドメインを5
つもつ血漿中のタンパク質である。クリングルとは、ジ
スルフィド結合により形成される三重ループのドメイン
で、膜、タンパク質、リン脂質が関与する結合や酵素の
タンパク質分解活性の調節に何らかの役割を果たしてい
ると考えられている部分である。以下、クリングルをN
末端側のクリングルからK1〜K5と呼ぶ。
【0005】ヒトプラスミノーゲンの構造を図1〜3に
示す。図1は、「止血・血栓・線溶」(松田道生他編、
1994年初版、中外医学社)の第276頁に記載の図
を一部改めたものである。プラスミノーゲンは、791
のアミノ酸からなるタンパク質で、K1〜K5の5個の
クリングルを含む。プラスミノーゲンのアミノ酸配列
は、すべて配列決定されている(図1)。図1(及び化
1と化2)は、アミノ酸配列を1文字標記したものであ
り、それぞれAはアラニン、Cはシステイン、Dはアス
パラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニ
ン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシ
ン、Kはリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nは
アスパラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはア
ルギニン、Sはセリン、Tはトレオニン、Vはバリン、
Wはトリプトファン、Yはチロシンを表す。また、ヒト
プラスミノーゲンには、78と79番目、338と33
9番目、354と355番目、440と441番目(又
は442と443番目)のそれぞれの位置のアミノ酸間
のペプチド結合を分解する4箇所のエラスターゼ分解部
位がある(図1の←→、図2及び図3の▲の箇所)。
【0006】プラスミノーゲンの289位と346位の
アミノ酸には、糖鎖形成部位が存在する(図1の◆、図
2の●、及び図3のΟの箇所)。プラスミノーゲンに
は、289位のアミノ酸において糖鎖が付着するものと
付着しないものの2種類のアイソフォームがあり、糖鎖
が付着したものをフォーム1、付着していないものをフ
ォーム2と呼ぶ。また、プラスミノーゲンは、K1〜K
3にリジン結合部位1、及びK4にリジン結合部位2を
有するため(図3の☆の箇所)、その部位でリジンと結
合することができる。血漿からプラスミノーゲンを精製
する場合、プラスミノーゲンがリジンに結合する性質を
利用して、リジンセファロースカラムを用いることがで
きる。K5は、アミノヘキサル結合部位を有する(図3
の◎の箇所)。
【0007】O’Reillyらの行ったヒトプラスミ
ノーゲンのエラスターゼによる分解は、78と79番
目、338と339番目、354と355番目、及び4
40と441番目(又は442と443番目)のアミノ
酸間のペプチド結合を分解するような条件で行ってい
る。したがって、生じた断片は、1〜78位のアミノ酸
(プラスミノーゲンのN末端部分)、79〜338位の
アミノ酸(K1〜K3を含む断片で、フォーム1のプラ
スミノーゲン由来のものとフォーム2のプラスミノーゲ
ン由来のものの混合物であると考えられる)、339〜
354位のアミノ酸(K3とK4の間の短い断片)、3
55〜440位のアミノ酸(K4を含む断片)、441
(又は443)〜791位のアミノ酸(K5とプラスミ
ノーゲンのC末端部分を含む領域で、ミニプラスミノー
ゲンと呼ばれる)である。
【0008】O’Reillyらは、これらの分画され
た断片のうち、K1〜K3を含む断片、K4を含む断
片、及びミニプラスミノーゲンを用いて、内皮細胞の増
殖抑制効果、及び転移に対する抑制効果について実験を
行った。その結果、K1〜K3を含む断片だけに、内皮
細胞の増殖抑制効果、及び転移に対する抑制効果がみら
れた。これに対し、K4のみを含む断片及びヒトプラス
ミノーゲン自体は、効果がなかった。O’Reilly
らは、K1〜K3を含む断片を精製アンギオスタチンと
呼ぶこととした。精製アンギオスタチンは、血管新生を
阻害することによって、癌細胞の増殖、及び転移を抑制
すると考えられている。
【0009】アンギオスタチンは、癌腫の切除後に極度
に増大する転移性を切除前と同程度まで抑えることがで
きる。すなわち、腫瘍切除後に癌腫が産生していた分の
アンギオスタチンを投与することによって、転移が抑制
される。また、アンギオスタチンは、血漿中に多く存在
するタンパク質であるプラスミノーゲンを基質として、
血管内皮細胞が産生するタンパク質分解酵素エラスター
ゼによる加水分解の結果得られる。本来、血管内に存在
するタンパク質であるため、プラスミンなどのタンパク
質分解酵素で消化される。そのため、生体内に天然に存
在する癌抑制剤として使用可能であり、副作用もほとん
どないと考えられる。さらに、アンギオスタチンの材料
となるプラスミノーゲンは、血漿中に多量に存在するた
め、材料は豊富であり、精製に都合がよい。以上の点か
ら、アンギオスタチンが既存の癌転移抑制剤として優れ
ていることがわかっている。
【0010】アンギオスタチン以外の血管新生に対する
抑制効果を持つ物質としては、フマギリンが知られてい
る。フマギリンは微生物が生産する抗生物質の一種であ
り、アンギオスタチンとは異なる物質である。特公平6
−60095号には、フマギリン又はその誘導体を血管
新生阻害剤として用いることが記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】アンギオスタチンを癌
転移抑制剤として用いる場合、血漿からプラスミノーゲ
ンを抽出し、エラスターゼ分解を行った後、カラムにて
分画する。この分画は、HPLCを用いてしかできな
い。この手順を経てアンギオスタチンを抽出し、精製す
るためには、時間とコストがかかるうえ、回収率も低
い。また、アンギオスタチンは分解されやすいため、保
存が困難である。アンギオスタチンと同様に、血管新生
抑制及び癌の転移の抑制に対する効果をもつフマギリン
は、副作用が強いために、臨床での使用には問題があ
る。
【0012】また、BBRC,Vol.102,1,4
6−52,1981及びChemical Revie
ws Vol.81,5,October,1981に
は、プラスミノーゲンの355〜791位のアミノ酸か
らなる断片がエラスターゼによる限定分解により得られ
ることが記載されている。これらの論文中では、フォー
ム1とフォーム2に分けた後、リジンセファロースカラ
ムにかけ、結合したものをEACAの濃度勾配によって
流出している。流出したいくつかのピークをさらにゲル
濾過クロマトグラフィーによって分画している。しか
し、本論文中にあるEACAの濃度勾配及びゲル濾過ク
ロマトグラフィーは分画に時間がかかるため、プラスミ
ノーゲンの355〜791位のアミノ酸から成る断片の
ような中間産物の回収には適さない。さらに、本論文中
では、355〜791位のアミノ酸から成る断片が活性
化プラスミノーゲンとして扱われているだけであり、そ
の断片の機能を示すような実験は行われていない。
【0013】したがって、副作用の少ない血管新生に対
する阻害効果を有する新規物質やアンギオスタチンの簡
易な精製方法が望まれている。本発明は、血管新生に対
する阻害作用を有する新規タンパク質を提供することを
目的とする。また、本発明は前述のタンパク質を製造す
る方法と、アンギオスタチンを簡便、かつ低コストで精
製する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プラスミ
ノーゲンの分解途中の産物には、精製アンギオスタチン
よりも、血管新生の抑制効果が高い物質があるのではな
いかということに着目した。本発明者は、上記を鑑み、
エラスターゼによる分解条件と精製の方法を検討し、本
発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、下記に示すヒトプラ
スミノーゲンの355〜791位のアミノ酸配列を有す
るヒトプラスミノーゲン由来のタンパク質を提供する。
【0016】
【化2】
【0017】さらに、本発明は、ヒトプラスミノーゲン
の355〜791位のアミノ酸配列を有するヒトプラス
ミノーゲン由来のタンパク質を有効成分として含む血管
新生阻害剤を提供する。
【0018】また、ヒトプラスミノーゲンをリジンセフ
ァロースカラムにかけることによってフォーム1とフォ
ーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離され
たフォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそれぞ
れ別個にエラスターゼにより分解する工程と、フォーム
1のプラスミノーゲンをエラスターゼ分解した産物をリ
ジンセファロースカラムにかけて分画する工程と、リジ
ンセファロースカラムに結合した分画を集める工程と、
フォーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼ分解した
産物をリジンセファロースカラムにかけて分画する工程
と、フォーム2のプラスミノーゲンに由来するリジンセ
ファロースカラムに結合した分画を集めて、さらにアミ
ノヘキサルセファロースカラムを用いて分画する工程
と、アミノヘキサルセファロースカラムに結合した分画
を集める工程とを含むヒトプラスミノーゲンの355〜
791位のアミノ酸配列を有するヒトプラスミノーゲン
由来のタンパク質の製造方法を提供する。
【0019】さらに、本発明は、ヒトプラスミノーゲン
をリジンセファロースカラムにかけることによってフォ
ーム1とフォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程
と、分離されたフォーム1のプラスミノーゲンをエラス
ターゼにより分解する工程と、この分解産物をリジンセ
ファロースカラムにかけて分画する工程と、リジンセフ
ァロースカラムに結合した分画を集める工程とを含むヒ
トプラスミノーゲンの355〜791位のアミノ酸配列
を有するヒトプラスミノーゲン由来のタンパク質の製造
方法を提供する。
【0020】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをリジン
セファロースカラムにかけることによってフォーム1と
フォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離
されたフォーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼに
より分解する工程と、この分解産物をリジンセファロー
スカラムにかけて分画する工程と、リジンセファロース
カラムに結合した分画を集めて、さらにアミノヘキサル
セファロースカラムを用いて分画する工程と、アミノヘ
キサルセファロースカラムに結合した分画を集める工程
とを含むヒトプラスミノーゲンの355〜791位のア
ミノ酸配列を有するヒトプラスミノーゲン由来のタンパ
ク質の製造方法を提供する。
【0021】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをエラス
ターゼにより分解する工程と、プラスミノーゲンをエラ
スターゼ分解した産物をアミノヘキサルセファロースカ
ラムにかけて分画する工程と、アミノヘキサルセファロ
ースカラムに結合した分画を集めて、さらにリジンセフ
ァロースカラムを用いて分画する工程と、リジンセファ
ロースカラムに結合した分画を集める工程とを含むヒト
プラスミノーゲンの355〜791位のアミノ酸配列を
有するヒトプラスミノーゲン由来のタンパク質の製造方
法を提供する。この製造方法では、予めヒトプラスミノ
ーゲンをリジンセファロースカラムを用いて、フォーム
1とフォーム2に分けて、そのそれぞれを別個にエラス
ターゼ分解してアミノヘキサルセファロースカラム及び
リジンセファロースカラムで分画してもよいし、フォー
ム1とフォーム2を分けずにそのまま分画してもよい。
なお、本発明は、上記の製造方法により製造されたタン
パク質を提供する。
【0022】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをリジン
セファロースカラムにかけることによってフォーム1と
フォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離
されたフォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそ
れぞれ別個にエラスターゼにより分解する工程と、フォ
ーム1のプラスミノーゲンをリジンセファロースカラム
にかけて分画する工程と、フォーム1のプラスミノーゲ
ンに由来するリジンセファロースカラムに結合しない分
画を集めて、さらにアミノヘキサルセファロースカラム
を用いて分画する工程と、アミノヘキサルセファロース
カラムに結合しない分画を集める工程と、フォーム2の
プラスミノーゲンをエラスターゼ分解した産物をリジン
セファロースカラムにかけて分画する工程と、フォーム
2のプラスミノーゲンに由来するリジンセファロースカ
ラムに結合した分画を集めて、さらにアミノヘキサルセ
ファロースカラムにかけて分画する工程と、アミノヘキ
サルセファロースカラムに結合しない分画を集める工程
とを含むアンギオスタチンの製造方法を提供する。
【0023】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをリジン
セファロースカラムにかけることによってフォーム1と
フォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離
されたフォーム1のプラスミノーゲンをエラスターゼに
より分解する工程と、この分解産物をリジンセファロー
スカラムにかけて分画する工程と、リジンセファロース
カラムに結合しない分画を集めて、さらにアミノヘキサ
ルセファロースカラムを用いて分画する工程と、アミノ
ヘキサルセファロースカラムに結合しない分画を集める
工程とを含むアンギオスタチンの製造方法を提供する。
【0024】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをリジン
セファロースカラムにかけることによってフォーム1と
フォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離
されたフォーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼに
より分解する工程と、この分解産物をリジンセファロー
スカラムにかけて分画する工程と、リジンセファロース
カラムに結合した分画を集めて、さらにアミノヘキサル
セファロースカラムにかけて分画する工程と、アミノヘ
キサルセファロースカラムに結合しない分画を集める工
程とを含むアンギオスタチンの製造方法を提供する。
【0025】本発明は、ヒトプラスミノーゲンをリジン
セファロースカラムにかけることによってフォーム1と
フォーム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離
されたフォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそ
れぞれ別個にエラスターゼにより分解する工程と、フォ
ーム1のプラスミノーゲンをアミノヘキサルセファロー
スカラムにかけて分画する工程と、フォーム1のプラス
ミノーゲンに由来するアミノヘキサルセファロースカラ
ムに結合しない分画を集めて、さらにリジンセファロー
スカラムを用いて分画する工程と、リジンセファロース
カラムに結合しない分画を集める工程と、フォーム2の
プラスミノーゲンをエラスターゼ分解した産物をアミノ
ヘキサルセファロースカラムにかけて分画する工程と、
フォーム2のプラスミノーゲンに由来するアミノヘキサ
ルセファロースカラムに結合しない分画を集めて、さら
にリジンセファロースカラムにかけて分画する工程と、
リジンセファロースカラムに結合した分画を集める工程
とを含むアンギオスタチンの製造方法を提供する。本発
明は、さらに、上記に記載の製造方法により製造された
アンギオスタチンを提供するものである。
【0026】本発明の新規タンパク質は、血管新生阻害
効果を持ち、天然に広く存在するプラスミノーゲンの代
謝物であるため、副作用のない血管新生阻害剤、癌の治
療剤及び抗癌剤、制癌剤、癌転移抑制剤、抗癌転移剤、
癌転移予防剤として用いることができる。また、本発明
の製造方法によれば、上記新規タンパク質及びアンギオ
スタチンを従来法に比べて簡便、安価、かつ迅速に得る
ことができるうえ、上記のフォーム1及びフォーム2由
来のアンギオスタチンを別々に精製可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の血管新生抑制タンパク質
及びフォーム1及びフォーム2由来のアンギオスタチン
を精製するためには、まず、血漿からプラスミノーゲン
を精製する。例えば、ヒト血漿からリジンセファロース
カラムを用いてヒトプラスミノーゲンを精製する。この
ヒト血漿は、使用期限の過ぎたものでも精製に用いるこ
とができる。なお、市販のヒトプラスミノーゲンを使用
してもよい。また、プラスミノーゲンは、血中のフィブ
リン塊を溶解させる作用を持つプラスミンの前駆体であ
り、動物血漿中に広く存在するタンパク質である。エラ
スターゼのプラスミノーゲンにおける切断部位は動物種
により異なる場合もあるが、様々な動物に由来するプラ
スミノーゲンとエラスターゼの組み合わせを適宜選択
し、同様の製造方法を用いて、ヒト以外の哺乳動物のプ
ラスミノーゲンから本発明の新規タンパク質及びアンギ
オスタチンを精製することも可能であると考えられるこ
とは、注目に値する。
【0028】前述の文献Cell,Vol.79,31
5−328,October 21,1994には、エ
ラスターゼを用いたプラスミノーゲンの分解条件につい
ては具体的な記載がない。しかし、O’Reillyら
によるエラスターゼを用いたプラスミノーゲンの分解
は、生じた断片の分子量から推察して、図1に記載のす
べてのエラスターゼ分解部位を消化したと推察される
(当該文献の図9参照)。本発明の血管新生に対する抑
制タンパク質は、プラスミノーゲンの分解途中の産物で
あるので、完全消化が起こる前の産物を得て、それをさ
らに精製することによって得られる。
【0029】本発明により、目的とする産物を得るため
には、温度、酵素添加濃度などを通常行われている条件
から変えることによって行う。つまり、通常行われてい
るエラスターゼによる分解条件よりも、温度を下げる、
又は酵素添加濃度を低めにする等の調整を1又は2以上
組み合わせることによって、プラスミノーゲンの適当な
途中分解産物が得られる。例えば、予め、エラスターゼ
を数段階の異なる濃度に緩衝液で希釈したものを調製し
てプラスミノーゲンに添加し、分解を行う。その後、S
DS−PAGEによって、分解産物の分子量を調べ、プ
ラスミノーゲンのアミノ酸配列中の78と79番目、及
び354と355番目のアミノ酸間のペプチド結合のみ
で分解が起こるエラスターゼ濃度を決定し、その濃度以
下で以後の分解を行う。
【0030】このような好ましいエラスターゼの濃度
は、0.2μg/ml以上20μg/ml以下である。
0.2μg/mlより低濃度では分解反応が極めて遅い
ため非効率的であり、20μg/mlより高濃度では、
上記の目的とする部位以外での分解が起こる。エラスタ
ーゼによる分解を行うのに好ましい温度は、20〜45
℃である。20℃より低温では分解反応が極めて遅くな
り、非効率的であり、45℃より高温では酵素が失活す
る。特に好ましいのは22〜40℃である。上記に述べ
た温度と酵素濃度を適宜組み合わせてエラスターゼ分解
を行う。すなわち、酵素濃度が大きいときには、反応時
間を短めにしたり反応温度を低く抑えて行ったり、反応
時間を長くとれる場合には酵素濃度を小さくし、温度を
低めに設定して反応させるなどの調節を行う。例えば、
反応温度25℃で2μg/mlの濃度でエラスターゼを
用いて2時間程度反応させると、目的とする中間分解産
物が得られる。目的とする中間分解産物が得られたかど
うかは、SDS−PAGEによる分子量を測定すること
によって確認できる。
【0031】上記のような条件下におけるエラスターゼ
を用いたプラスミノーゲンの分解は、プラスミノーゲン
の78と79番目のアミノ酸間のペプチド結合(図3の
の箇所)、及び354と355のアミノ酸間のペプチ
ド結合(図3のの箇所)で起こる。生じる断片は、1
〜78位のアミノ酸(プラスミノーゲンのN末端部
分)、79〜354位のアミノ酸(K1〜K3を含む断
片)、及び、355〜791位のアミノ酸(K4を含む
部分とミニプラスミノーゲン)からそれぞれなる断片で
ある。ただし、一部は338と339番目のアミノ酸間
のペプチド結合(図3のの箇所)、及び440と44
1番目のアミノ酸間のペプチド結合(図3のの箇所)
(又は442と443番目のアミノ酸間のペプチド結
合)で分解されるため、79〜338位のアミノ酸(K
1〜K3を含む断片)、339〜354位のアミノ酸
(K3とK4の間の短い断片)、355〜440位のア
ミノ酸(K4を含む断片)、及び441(443)〜7
91位のアミノ酸(ミニプラスミノーゲン)からそれぞ
れなる断片も生じる。
【0032】K1〜K3を含む断片は、フォーム1のプ
ラスミノーゲン由来のものとフォーム2のプラスミノー
ゲン由来のものの2種類存在する。フォーム1由来の断
片は、アミノ酸配列中289位に糖鎖が付着したもので
あり、後者はその位置に糖鎖の付着がない。本発明者ら
の実験によれば、フォーム2のプラスミノーゲン由来の
K1〜K3を含む断片は、リジンに強固に結合するが、
フォーム1のプラスミノーゲン由来のK1〜K3を含む
断片は、リジンへの結合力が弱い。
【0033】リジンセファロースカラムで、上記の条件
下でエラスターゼによる分解産物を分画した場合、カラ
ムに結合するのは、79〜354位のアミノ酸(フォー
ム2に由来するK1〜K3の断片)、355〜791位
のアミノ酸(K4とミニプラスミノーゲンを含む断片)
であり、一部に、79〜338位のアミノ酸(フォーム
2に由来するK1〜K3の断片)、355〜440位の
アミノ酸(K4を含む断片)、79〜791位のアミノ
酸(プラスミノーゲン)も結合する。カラムに結合しな
いのは、1〜78位のアミノ酸(プラスミノーゲンのN
末端)、79〜354位のアミノ酸(フォーム1に由来
するK1〜K3の断片)であり、一部に、79〜338
位のアミノ酸(フォーム1のK1〜K3の断片)、44
1(443)〜791位のアミノ酸(ミニプラスミノー
ゲン)、その他小さな断片である。これらの断片は、す
ぐに、流出する。このように、K1〜K3を含む断片
が、カラムに結合した分画とカラムに結合しない分画の
両方に含まれてしまうのは、生産効率の点から好ましく
ない。
【0034】したがって、本発明の方法では、エラスタ
ーゼで分解する前に、フォーム1とフォーム2のプラス
ミノーゲンを、リジンセファロースカラムを用いて、ε
−アミノカプロン酸(以下、「EACA」という)を低
濃度から高濃度になるよう濃度勾配をかけて溶出させ、
分画する。すると、フォーム1が先に溶出され、その後
フォーム2が溶出されるため、フォーム1とフォーム2
のプラスミノーゲンを分離することができる。EACA
の濃度勾配は、当業者が適宜選択できる。例えば、2〜
12mMの濃度勾配で溶出させることができる。
【0035】その後、上述のような条件下で、分画され
たフォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをエラス
ターゼを用いて分解して、それぞれ、リジンセファロー
スカラムで分画する。
【0036】フォーム1のプラスミノーゲンの分解生成
物をリジンセファロースカラムで分画すると、カラムに
結合しない分画(分画1という)として、79〜354
位のアミノ酸からなる断片、及び、一部に79〜338
位のアミノ酸からなる断片と441(443)〜791
位のアミノ酸からなる断片が得られ、カラムに結合する
分画(分画2という)として、355〜791位のアミ
ノ酸からなる断片、及び、一部に355〜440位のア
ミノ酸からなる断片と79〜791位のアミノ酸からな
る断片が得られる。
【0037】同様に、フォーム2のプラスミノーゲンの
分解生成物をリジンセファロースカラムで分画すると、
カラムに結合しない分画(分画3という)として、44
1(443)〜791位のアミノ酸からなる断片が得ら
れ、カラムに結合する分画(分画4という)として、7
9〜354位のアミノ酸からなる断片、355〜791
位のアミノ酸からなる断片、及び、一部に355〜44
0位のアミノ酸からなる断片、79〜338位のアミノ
酸からなる断片、79〜791位のアミノ酸からなる断
片が得られる。すなわち、355〜791位のアミノ酸
からなる断片は、分画2と分画4に含まれ、プラスミノ
ーゲンのフォーム1とフォーム2由来のアンギオスタチ
ンは、それぞれ、分画1と分画4に含まれる。
【0038】分画1と分画4をさらに精製するために、
アミノヘキサルセファロースカラムで分画する。アミノ
ヘキサルセファロースは、アミノヘキサル部位を含むタ
ンパク質に結合することができる。プラスミノーゲンは
K5の位置にアミノヘキサル部位を有するため、K5を
含む断片はアミノヘキサル部位に結合することができ
る。
【0039】分画1をアミノヘキサルセファロースカラ
ムで分画すると、カラムに結合しない分画(分画5とい
う)として、79〜354位のアミノ酸からなる断片、
及び、一部に79〜338位のアミノ酸からなる断片が
得られ、カラムに結合する分画(分画6という)とし
て、441(443)〜791位のアミノ酸からなる断
片が得られる。
【0040】分画4をアミノヘキサルセファロースカラ
ムで分画すると、カラムに結合しない分画(分画7とい
う)として、79〜354位のアミノ酸からなる断片、
及び、一部に355〜440位のアミノ酸からなる断
片、79〜338位のアミノ酸からなる断片が得られ、
カラムに結合する分画(分画8という)として、355
〜791位のアミノ酸からなる断片、一部に、79〜7
91位のアミノ酸からなる断片が得られる。
【0041】上述のような手順を経て、分画2、3、5
〜8が得られる。主に、分画2及び分画8には355〜
791位のアミノ酸からなるK4とミニプラスミノーゲ
ンを含む断片が得られ、分画3及び分画6には441
(443)〜791位のアミノ酸からなるミニプラスミ
ノーゲンが得られ、分画5には79〜354位のアミノ
酸からなるフォーム1由来のアンギオスタチンが得ら
れ、分画7には79〜354位のアミノ酸からなるフォ
ーム2由来のアンギオスタチンが得られる。各分画に含
まれる断片について下記表1にまとめる。
【0042】
【表1】
【0043】なお、プラスミノーゲンを上記と同様にエ
ラスターゼで分解した後、その分解産物をアミノヘキサ
ルセファロースカラムで分画し、カラムに結合した分画
を集めて、さらにリジンセファロースカラムで分画す
る。リジンセファロースカラムに結合した分画には、3
55〜791位のアミノ酸からなる断片が含まれてい
る。この場合、予め、プラスミノーゲンをリジンセファ
ロースカラムでフォーム1とフォーム2に分離して、そ
のそれぞれを別々に処理してもよいし、フォーム1とフ
ォーム2のプラスミノーゲンに分離せずに処理してもよ
い。
【0044】また、上記と同様の方法でフォーム1のプ
ラスミノーゲンをエラスターゼ分解した後、アミノヘキ
サルセファロースカラムで分画し、カラムに結合しない
分画を集めて、さらにリジンセファロースカラムで分画
する。リジンセファロースカラムに結合しない分画に
は、79〜354位のアミノ酸からなる断片が含まれて
いる。上記と同様の方法でフォーム2のプラスミノーゲ
ンをエラスターゼ分解した後、アミノヘキサルセファロ
ースカラムで分画し、カラムに結合しない分画を集め
て、さらにリジンセファロースカラムで分画する。リジ
ンセファロースカラムに結合した分画には、79〜35
4位のアミノ酸からなる断片が含まれている。
【0045】各分画について、含まれる断片や精製度及
び回収率などを確認するためには、公知の手段を用いる
ことができる。特に、手順が簡便であることなどからS
DS−PAGEによって確認するのが好適である。
【0046】なお、本発明のプラスミノーゲン由来のタ
ンパク質及びアンギオスタチンの血管新生阻害特性は、
内皮由来の細胞系、例えば、ウシ毛細血管内皮細胞、ウ
シ大動脈内皮細胞、EOMA(マウス血管内皮腫)、H
UVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)などの増殖抑制能を
調べることによって確認できる。このような培養内皮細
胞の増殖抑制能が、生体内の血管新生阻害特性を反映す
ることは、前述の文献Cell,Vol.79,315
−328,October 21,1994からも明ら
かである。
【0047】本願発明のプラスミノーゲン由来のタンパ
ク質断片は、適切な公知の手段によって、被験対象に投
与することができる。例として、筋肉内注射、皮下注
射、静脈内注射、腹腔内注射、経口注射、経鼻スプレー
などが挙げられる。適当な器官にカテーテル等で集中的
に投与しても良い。一般に投与量は、体重1kgあたり
0.01〜10mg程度を毎日あるいは2〜5日の間隔
で投与するのが好ましい。本発明のプラスミノーゲン由
来のタンパク質は、薬理学的に許容可能な担体、例え
ば、リン酸ナトリウム緩衝液等の水性担体に含ませても
よいし、一般的に用いられる安定剤、例えばソルビトー
ル、マンニトール、デンプン、ショ糖、デキストリン、
グルコース等の炭水化物、アルブミン又はカゼイン等の
タンパク質、アルカリ金属リン酸塩等の緩衝液とともに
投与しても良い。投与されるプラスミノーゲン由来のタ
ンパク質の量及び投与方法は、投与経路、患者の状態等
によって適宜変更する。
【0048】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明するが、これらにより本発明を制限することを意
図したものではない。ヒト血漿からのプラスミノーゲンの精製 冷凍保存された約200mlのヒト血漿を37℃の水で
解凍し、透析膜(セルロースチュービング、100フィ
ート巻、サイズ:32/30,三光純薬株式会社製)に
入れて、4L(20倍量)の蒸留水に対して4℃で1晩
透析した。透析によって、血漿のイオン強度が下がり、
リジン結合部位をもつタンパク質はリジンセファロース
カラムに結合しやすくなる。その血漿を3000rpm
で10分間遠心し、上清を回収した。C1補体が沈殿す
るので、その沈殿を除去した後、リジンセファロースカ
ラムに通した。このリジンセファロースカラムは、セフ
ァロース4BをCNBrの存在下でリジンと反応させて
たものを充填して作成したものである。その後、1/1
000容量のアプロチニンを含む200〜300mlの
蒸留水で、流出した蒸留水の280nmの吸光度が0.
05以下になるまでカラムを洗った。続いて、1/10
00容量のアプロチニンを含む200〜300mlの
0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)で、流出したリン
酸緩衝液の280nmの吸光度が0.05以下になるま
でカラムを洗った。その後、1/1000容量のアプロ
チニンと0.2MのEACAを含む0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.4)で、リジンに結合したプラスミノーゲ
ンを溶出させ、プラスミノーゲン分画を得た。
【0049】プラスミノーゲンのフォーム1とフォーム
2の分離 上記の方法で精製したヒトプラスミノーゲン分画は、
0.2MのEACAを含むため、これを除くために透析
を行った。約20mlのフォーム1及びフォーム2のプ
ラスミノーゲン分画をそれぞれ別々に透析膜(セルロー
スチュービング、100フィート巻、サイズ:32/3
0,三光純薬株式会社製)に詰め、100倍容量の0.
1Mのリン酸緩衝液(pH7.4)に対して4℃にて透
析を行った。透析はリン酸緩衝液を2回取り替えて行
い、一回の透析時間は、3時間から1晩であった。透析
後、遠心分離器(1000rpm用)にフィルター(セ
ントリフロー、ポアサイズ10,000、アミコン社
製)をセットし、1000rpmで20〜30分間遠心
することによって、約1/3量になるまで濃縮した。
0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したカ
ラムに、濃縮した試料を通し、その後、0.1Mリン酸
緩衝液を通した。EACAがしだいに2mMから12m
Mの濃度勾配となるように、EACAを2mM含む0.
1Mリン酸緩衝液(pH7.4)からEACAを12m
M含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶出液を
徐々に置換していった。280nmの吸光度を測定する
と2つの明瞭なピークが見られ、第1のピークにフォー
ム1のプラスミノーゲン、第2のピークにフォーム2の
プラスミノーゲンが精製された。溶出曲線とSDS−P
AGEの結果の模式的な図を図4のAに示す。
【0050】エラスターゼによるプラスミノーゲンの分
上記の方法で精製した5.2μMのプラスミノーゲンを
それぞれ1000μlと、5000KIE/mlのアプ
ロチニン34.6μlと、100×トラネキサム酸を1
3.0μlと、0.5MのNaClを含む0.5Mのリ
ン酸緩衝液(pH8.0)を260μlと、エラスター
ゼ(ヒト白血球エラスターゼ、アテリンスリサーチ社
製、純度98%、分子量29,500)を2μg/ml
の濃度で加えた混合液を1.5mlチューブ内に入れ、
25℃の水浴中で2時間振盪し、酵素反応を行い、氷上
で反応を止めた。反応終了後の試料の一部を用いて、S
DS−PAGEで分子量を測定して、プラスミノーゲン
の78と79番目、及び354と355番目のアミノ酸
間のペプチド結合で分解が起こったことを確認した。S
DS−PAGEに使った残りの試料に0.1mMのPM
SFを加え、10分間室温に静置し、反応を完全に終了
させた。
【0051】フォーム1のプラスミノーゲンをエラスタ
ーゼ分解した断片の分画 リジンセファロースカラムを用いて、上記に示したフォ
ーム1とフォーム2のプラスミノーゲンの分離と同様に
して、フォーム1のプラスミノーゲンをエラスターゼで
分解した断片を分画した。リジンセファロースカラムに
結合しない分画、カラムに結合する分画のそれぞれ一部
をSDS−PAGEで分子量を確認した。溶出曲線とS
DS−PAGEの結果の模式的な図を図4のBに示す。
【0052】カラムに結合しない断片は、79〜354
位のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断片であり、一
部に、79〜338位のアミノ酸からなるK1〜K3を
含む断片、441(443)〜791位のアミノ酸から
なるミニプラスミノーゲン、及び小さな断片が一部含ま
れていた。カラムに結合しないこれらの断片を産物1と
呼ぶ。
【0053】カラムに結合する断片は、355〜791
位のアミノ酸からなるK4とミニプラスミノーゲンを含
む断片である。一部に、79〜791位のアミノ酸から
なるプラスミノーゲン及びアミノ酸355〜440から
なるK4を含む断片が含まれていたが、無視できる程度
のごくわずかの混入であった。カラムに結合するこれら
の断片を産物2と呼ぶ。
【0054】フォーム2のプラスミノーゲンをエラスタ
ーゼ分解した断片の分画 フォーム1のプラスミノーゲン同様に、フォーム2のプ
ラスミノーゲンをエラスターゼで分解した断片を分画し
た。カラムに結合しない分画、カラムに結合する分画の
それぞれ一部をSDS−PAGEで分子量を確認した。
溶出曲線とSDS−PAGEの結果の模式的な図を図4
のCに示す。
【0055】カラムに結合しない断片は、441(44
3)〜791位のアミノ酸からなるミニプラスミノーゲ
ン、及び小さな断片が一部含まれていた。カラムに結合
しないこれらの断片を産物3と呼ぶ。
【0056】カラムに結合する断片は、79〜354位
のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断片、355〜7
91位のアミノ酸からなるK4とミニプラスミノーゲン
を含む断片である。一部に、79〜338位のアミノ酸
からなるK1〜K3を含む断片、79〜791位のアミ
ノ酸からなるプラスミノーゲン及び355〜440位の
アミノ酸からなるK4を含む断片が含まれていたが、無
視できる程度のごくわずかの混入であった。カラムに結
合するこれらの断片を産物4と呼ぶ。
【0057】アミノヘキサルセファロースカラムによる
産物1の分画 産物1をさらに分画するために、アミノヘキサルセファ
ロースカラムを用いた。このアミノヘキサルセファロー
スカラムは、セファロース4BをCNBrの存在下で
1,6−ジアミノヘキサンと反応させたものを充填して
作成したものである。緩衝液1(0.1MのNaClを
含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4)で平衡化した
カラムに、産物1を通し、その後緩衝液1を添加してカ
ラムに結合しない分画を集めた。その280nmの吸光
度を測定して、吸光が十分に下がったのを確認した後、
緩衝液2(0.2MのEACAを含む0.1Mリン酸緩
衝液、pH7.4)でカラムに結合したタンパク質を溶
出させた。カラムに結合しない分画、カラムに結合する
分画のそれぞれ一部をSDS−PAGEで分子量を確認
した。溶出曲線とSDS−PAGEの結果の模式的な図
を図5のAに示す。
【0058】カラムに結合しない断片は、79〜354
位のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断片と、一部に
79〜338位のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断
片が含まれていた。カラムに結合しないこれらの断片を
産物5と呼ぶ。カラムに結合する断片は、441(44
3)〜791位のアミノ酸からなるミニプラスミノーゲ
ンであった。この断片を産物6と呼ぶ。
【0059】アミノヘキサルセファロースカラムによる
産物4の分画 産物1同様に、産物4をアミノヘキサルセファロースカ
ラムで分画した。カラムに結合しない分画、カラムに結
合する分画のそれぞれ一部をSDS−PAGEで分子量
を確認した。溶出曲線とSDS−PAGEの結果の模式
的な図を図5のBに示す。
【0060】カラムに結合しない断片は、79〜354
位のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断片と、一部に
79〜338位のアミノ酸からなるK1〜K3を含む断
片が含まれていた。カラムに結合しないこれらの断片を
産物7と呼ぶ。カラムに結合する断片は、355〜79
1位のアミノ酸からなる断片と、一部に79〜791位
のアミノ酸からなる断片であった。これらの断片を産物
8と呼ぶ。
【0061】以上の手順により、主に、次の4種類の産
物が回収された。フォーム1のプラスミノーゲン由来の
アンギオスタチン(以下、アンギオスタチン1と呼
ぶ)。これは、K1〜K3を含む断片であり、プラスミ
ノーゲンの79〜354位のアミノ酸からなるものと、
一部に79〜338位のアミノ酸からなるものが存在す
る。アンギオスタチン1は、産物5に含まれる。フォー
ム2のプラスミノーゲン由来のアンギオスタチン(以
下、アンギオスタチン2と呼ぶ)。アンギオスタチン1
と同様に、これは、K1〜K3を含む断片であり、プラ
スミノーゲンの79〜354位のアミノ酸からなる断片
と、一部に79〜338位のアミノ酸からなる断片が存
在する。アンギオスタチン2は、産物7に含まれる。ア
ンギオスタチン1とアンギオスタチン2の違いは、プラ
スミノーゲンの289位のアミノ酸に対応する位置に糖
鎖が存在するか否かによる。K4とミニプラスミノーゲ
ンからなるタンパク質断片。これは、本発明のタンパク
質であり、新規なタンパク質断片である。フォーム1の
プラスミノーゲン由来のものとフォーム2のプラスミノ
ーゲン由来のものとで同一のタンパク質であり、プラス
ミノーゲンの355〜791位のアミノ酸からなる断片
である。K4とミニプラスミノーゲンからなる物質は、
産物2と産物8に含まれる。ミニプラスミノーゲン。フ
ォーム1のプラスミノーゲン由来のものとフォーム2の
プラスミノーゲン由来のものとで同一のタンパク質であ
り、441(443)〜791位のアミノ酸からなる断
片である。ミニプラスミノーゲンは、産物3と産物6に
含まれる。
【0062】MTT法による細胞増殖検定 ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)の細胞増殖活性に
対する、上記4種の断片(産物5、産物7、産物2と産
物8、産物3と産物6)による抑制能をMTT法によっ
て調べた。MTT法は、約570nmの吸光を測定する
ことによって、細胞の増殖能を調べる方法であり、約5
70nmの吸光度が大きいほどその細胞は増殖能が高い
ことを意味する。予め、7.5×104 細胞のHUVE
C(Kurabo Industries Ltd.,
Osaka Japanから購入、第2世代のもの)
を、5mlのEMG UVを入れた25cm2 培養用フ
ラスコ(Iwaki社製)に播種した。EMG UVの
組成は、改変MCDB131培地、2%の牡牛血清、1
0ug/mlの内皮細胞増殖因子(EGF)、1ug/
mlのヒドロコルチゾン、50ug/mlのゲンタマイ
シン、0.25ug/mlのアンフォテリシンB、10
ug/mlのヘパリン、10ug/mlの牛脳抽出物か
らなる。37℃で5%のインキュベーターでほぼ集密的
になるまで培養した。培地は、2日に1回の割合で交換
し、継代には同社の継代キットを使用した。96穴プレ
ートの各ウェルに ほぼ集密的になったHUVECを1
ウェル当たり約2×103 細胞(約2×104 細胞/m
l)で播種し、上記4種の断片のいずれかを加え、上記
と同様な方法で4日間培養した。添加した断片の濃度
は、0μg/ml、1.0μg/ml、2.5μg/m
l、5.0μg/mlの4通りであった。培養終了後の
各ウェルから150μlの培地を取り、さらにあらかじ
めCO2インキュベーターで温めておいた新しい培地を
100μl添加し、さらに1時間培養した。MTTキッ
ト(MTT乾燥重量50mg/vial、Chemic
on International Inc.社製)の
予め調製したA/B液を培養終了後の96穴プレートの
各ウェルに10μlづつ加え、プレートのわきをたたい
て、A/B液を培地とよく混和させた。5%CO2 イン
キュベーターで4時間保温した後、各ウェルに100μ
lのC液(発色液、0.04NのHClを含むイソプロ
パノール)を加え、マイクロピペッターを用いてよく混
和させた。マイクロプレートリーダーで660nmの波
長をリファレンスとし、562nmの吸光度を測定し
た。結果を図6に示す。吸光度が低いほど、細胞の増殖
能が低いことを示するので、添加した断片の増殖抑制能
が高いことを意味する。
【0063】結果から、プラスミノーゲンは、フォーム
1もフォーム2も増殖抑制効果がなく、産物3及び産物
6のミニプラスミノーゲンもほとんど効果がないとわか
った。O’Reillyらの結果と同様に、産物7のア
ンギオスタチン1及び産物5のアンギオスタチン2は増
殖抑制効果がみられた。本発明の新規物質を含む産物2
及び産物8は、アンギオスタチンよりもさらに高い増殖
抑制効果がみられた。産物2は本発明の物質以外にアミ
ノ酸355〜440からなるK4を含む断片とアミノ酸
79〜791からなるプラスミノーゲンも一部混入して
いるが、混入割合は無視できるほど極めて低く、かつ、
O’Reillyらの実験からこれらは増殖抑制効果が
ないことがわかっているので、この実験で得られた増殖
抑制効果は、アミノ酸355〜791からなる本発明の
新規物質であるといえる。同様に産物8で見られた増殖
抑制効果もアミノ酸355〜791からなる本発明の新
規物質によるものといえる。なお、HUVECは接着性
の細胞であり、細胞増殖能が低いことを考えれば、播種
する細胞数を数倍増やしたほうがきれいなデータが得ら
れるものと推測される。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、血管内皮細胞の増殖を
抑制する新規物質を得ることができる。本発明の新規物
質は、HPLCやFPLCなどの高価な装置を必要とせ
ずに、アフィニティークロマトグラフィーのカラムだけ
で、ヒト血漿に多く含まれるプラスミノーゲンから容易
に分画できる。材料となるヒト血漿は、使用期限が過ぎ
たものでも使用可能なため、材料を大量かつ安価に入手
できる。さらに、本発明の精製方法を用いれば、フォー
ム1のプラスミノーゲンに由来するアンギオスタチン
(アンギオスタチン1)及びフォーム2のプラスミノー
ゲンに由来するアンギオスタチン(アンギオスタチン
2)を容易にそれぞれ別々に精製することができる。
【0065】本発明の新規物質は、血管内皮細胞の増殖
を抑制することのできるタンパク質であり、新生血管の
形成を抑制する効果がある。特に、癌腫の切除後に極度
に向上する転移性を切除前と同程度まで抑えることがで
きる。なお、これらの抑制効果は、アンギオスタチンよ
りも高い。これらの抑制効果を利用して、血管新生阻害
剤、抗血管新生剤、抗癌転移剤、抗癌剤としても利用可
能である。本発明の新規物質を薬剤として使用したと
き、天然に存在するタンパク質を材料にしているため、
体内に存在するタンパク質分解酵素等で分解することが
できるため、副作用がないと考えられる。また、材料を
入手する点でも、上記に述べたように大量に入手でき好
都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ヒトプラスミノーゲンの構造とアミノ
配列を示す図であり、「止血・血栓・線溶」(松田道生
他編、1994年初版、中外医学社)の第276頁に記
載の図を一部改めたものである。
【図2】図2は、ヒトプラスミノーゲンの構造を示す模
式図である。
【図3】図3は、ヒトプラスミノーゲンのエラスターゼ
分解部位、糖鎖形成部位、リジン結合部位、及びアミノ
ヘキサル部位を示す模式的な図である。
【図4】図4は、実施例の溶出曲線とSDS−PAGE
の結果を示す模式的な図である。
【図5】図5は、実施例の溶出曲線とSDS−PAGE
の結果を示す模式的な図である。
【図6】図6は、実施例で得られた産物5、産物7、産
物2と産物8、産物3と産物6のMTT法による評価実
験を示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示すヒトプラスミノーゲンの35
    5〜791位のアミノ酸配列を有するヒトプラスミノー
    ゲン由来のタンパク質を有効成分として含む血管新生阻
    害剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそれぞれ別
    個にエラスターゼにより分解する工程と、フォーム1の
    プラスミノーゲンをエラスターゼ分解した産物をリジン
    セファロースカラムにかけて分画する工程と、リジンセ
    ファロースカラムに結合した分画を集める工程と、フォ
    ーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼ分解した産物
    をリジンセファロースカラムにかけて分画する工程と、
    フォーム2のプラスミノーゲンに由来するリジンセファ
    ロースカラムに結合した分画を集めて、さらにアミノヘ
    キサルセファロースカラムを用いて分画する工程と、ア
    ミノヘキサルセファロースカラムに結合した分画を集め
    る工程とを含む、請求項1の化1に記載したヒトプラス
    ミノーゲンの355〜791位のアミノ酸配列を有する
    ヒトプラスミノーゲン由来のタンパク質の製造方法。
  3. 【請求項3】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム1のプラスミノーゲンをエラスターゼにより分解
    する工程と、この分解産物をリジンセファロースカラム
    にかけて分画する工程と、リジンセファロースカラムに
    結合した分画を集める工程とを含む、請求項1の化1に
    記載したヒトプラスミノーゲンの355〜791位のア
    ミノ酸配列を有するヒトプラスミノーゲン由来のタンパ
    ク質の製造方法。
  4. 【請求項4】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼにより分解
    する工程と、この分解産物をリジンセファロースカラム
    にかけて分画する工程と、リジンセファロースカラムに
    結合した分画を集めて、さらにアミノヘキサルセファロ
    ースカラムを用いて分画する工程と、アミノヘキサルセ
    ファロースカラムに結合した分画を集める工程とを含
    む、請求項1の化1に記載したヒトプラスミノーゲンの
    355〜791位のアミノ酸配列を有するヒトプラスミ
    ノーゲン由来のタンパク質の製造方法。
  5. 【請求項5】 ヒトプラスミノーゲンをエラスターゼに
    より分解する工程と、プラスミノーゲンをエラスターゼ
    分解した産物をアミノヘキサルセファロースカラムにか
    けて分画する工程と、アミノヘキサルセファロースカラ
    ムに結合した分画を集めて、さらにリジンセファロース
    カラムを用いて分画する工程と、リジンセファロースカ
    ラムに結合した分画を集める工程とを含む、請求項1の
    化1に記載したヒトプラスミノーゲンの355〜791
    位のアミノ酸配列を有するヒトプラスミノーゲン由来の
    タンパク質の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれか一に記載の製造
    方法により製造されたタンパク質。
  7. 【請求項7】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそれぞれ別
    個にエラスターゼにより分解する工程と、フォーム1の
    プラスミノーゲンをリジンセファロースカラムにかけて
    分画する工程と、フォーム1のプラスミノーゲンに由来
    するリジンセファロースカラムに結合しない分画を集め
    て、さらにアミノヘキサルセファロースカラムを用いて
    分画する工程と、アミノヘキサルセファロースカラムに
    結合しない分画を集める工程と、フォーム2のプラスミ
    ノーゲンをエラスターゼ分解した産物をリジンセファロ
    ースカラムにかけて分画する工程と、フォーム2のプラ
    スミノーゲンに由来するリジンセファロースカラムに結
    合した分画を集めて、さらにアミノヘキサルセファロー
    スカラムにかけて分画する工程と、アミノヘキサルセフ
    ァロースカラムに結合しない分画を集める工程とを含む
    アンギオスタチンの製造方法。
  8. 【請求項8】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム1のプラスミノーゲンをエラスターゼにより分解
    する工程と、この分解産物をリジンセファロースカラム
    にかけて分画する工程と、リジンセファロースカラムに
    結合しない分画を集めて、さらにアミノヘキサルセファ
    ロースカラムを用いて分画する工程と、アミノヘキサル
    セファロースカラムに結合しない分画を集める工程とを
    含むアンギオスタチンの製造方法。
  9. 【請求項9】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファロ
    ースカラムにかけることによってフォーム1とフォーム
    2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離されたフ
    ォーム2のプラスミノーゲンをエラスターゼにより分解
    する工程と、この分解産物をリジンセファロースカラム
    にかけて分画する工程と、リジンセファロースカラムに
    結合した分画を集めて、さらにアミノヘキサルセファロ
    ースカラムにかけて分画する工程と、アミノヘキサルセ
    ファロースカラムに結合しない分画を集める工程とを含
    むアンギオスタチンの製造方法。
  10. 【請求項10】 ヒトプラスミノーゲンをリジンセファ
    ロースカラムにかけることによってフォーム1とフォー
    ム2のプラスミノーゲンに分離する工程と、分離された
    フォーム1とフォーム2のプラスミノーゲンをそれぞれ
    別個にエラスターゼにより分解する工程と、フォーム1
    のプラスミノーゲンをアミノヘキサルセファロースカラ
    ムにかけて分画する工程と、フォーム1のプラスミノー
    ゲンに由来するアミノヘキサルセファロースカラムに結
    合しない分画を集めて、さらにリジンセファロースカラ
    ムを用いて分画する工程と、リジンセファロースカラム
    に結合しない分画を集める工程と、フォーム2のプラス
    ミノーゲンをエラスターゼ分解した産物をアミノヘキサ
    ルセファロースカラムにかけて分画する工程と、フォー
    ム2のプラスミノーゲンに由来するアミノヘキサルセフ
    ァロースカラムに結合しない分画を集めて、さらにリジ
    ンセファロースカラムにかけて分画する工程と、リジン
    セファロースカラムに結合した分画を集める工程とを含
    むアンギオスタチンの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項7〜10のいずれか一に記載の製
    造方法により製造されたアンギオスタチン。
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