JPH0764875B2 - 血液凝固阻害作用を有する新規ポリペプチド - Google Patents

血液凝固阻害作用を有する新規ポリペプチド

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JPH0764875B2
JPH0764875B2 JP61165699A JP16569986A JPH0764875B2 JP H0764875 B2 JPH0764875 B2 JP H0764875B2 JP 61165699 A JP61165699 A JP 61165699A JP 16569986 A JP16569986 A JP 16569986A JP H0764875 B2 JPH0764875 B2 JP H0764875B2
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Description

【発明の詳細な説明】 抗凝固剤は血栓塞栓性経過の予防および治療に用いられ
る。それらの主なる使用分野はなかんずく静脈血栓塞栓
症においてである。抗凝固剤はさらに保存血の調製にも
必要である。例えばこの目的に使用される4-ヒドロキシ
クマリンまたは1,4-インダンジオンの誘導体は広範な最
適化にも拘らず多数の欠点を有する。
それゆえ特にヒトの医薬においては、毒性が少なくそし
て少ししか副作用を有しないものでありかつそれらの代
謝により何らの負荷も病気の生体にかけないものである
血液凝固阻止剤を入手することが望ましい。
アンチトロンビンIIIのような血漿中の内因性阻害剤の
他に、例えば大豆から得られるクニツツ(Kunitz)抑制
剤のような他の多くの蛋白質も血液凝固阻止活性を有す
る。この阻害剤は活性化された第Z因子を抑制すること
により血液凝固カスケードを遮断するが、しかし阻害剤
の特異性が小さいので、多くの副作用、すなわち血漿カ
リクレイン、プラスミンおよびトリプシンの阻害があ
り、従つて治療上使用できない。回虫のまたはカザルス
(kazals)の阻害剤のような他の活性物質も特異性に欠
けるゆえに何ら重要性を獲得し得なかつた。
これに対し薬用ヒル(ヒルド・メジシナリス(Hirudo m
edicinalis))から得られるポリペプチドであるヒルジ
ンは特異的なアンチトロンビン活性を示す。
その単離および精製に骨が折れるのでこれまで実際上使
用するには欠陥があつた。
今、ヒルから式Iを有する活性の高いポリペプチドが単
離されうることが見出された。
それゆえ本発明は式Iを有するポリペプチドならびにそ
れらの生理学的に受容しうる塩に関する。
ここで、上式中 Rはフェノール性水素またはーSO3Hであり、 AはIleまたはアミノ酸の非存在を意味し、 BはIleまたはThrであり、 DはGluまたはLysであり、 GはLysまたはAspであり、 HはAlaまたはLeuでありそして JはGlnまたはLysであり、 且つ上式中Cys7-Cys15、Cys17-Cys29およびCys23-Cys40
はジスルフィド橋を介して対で結合しているものとす
る。
Rは好ましくは水素、SO3HまたはPO3H2であり、特に好
ましくは水素である。
塩としては特にアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属
塩、生理学的に受容しうるアミンとの塩ならびに生理学
的に受容しうる酸例えばHCl、H2S04、マレイン酸または
酢酸との塩が適当である。
特に適当なポリペプチドは Aがアミノ酸の非存在を意味し、そしてBがイソロ
イシンであるポリペプチド; DおよびGがそれぞれグルタミン酸およびリジンを
示すポリペプチド; Hがロイシンであり、そしてJがグルタミンである
ポリペプチド; DおよびGがそれぞれリジンおよびアスパラギン酸
を示すポリペプチド;および Hがアラニンであり、そしてJがリジンであるポリ
ペプチドである。
本発明はまたこれらポリペプチドの化学的または酵素的
分解により得られる新規な生物学的に活性なペプチド分
解生成物にも関する。
本発明はさらに、抽出法、沈殿法、膜過法および/ま
たはクロマトグラフイー法の組み合せを用いてポリペプ
チドを単離し、場合により存在するフエノールエステル
基Rを所望の場合は加水分解により除去してフエノール
性ヒドロキシル基を形成させ、ペプチドを場合により化
学的にまたは酵素的に分解しそして得られたペプチドを
場合によりそれらの生理学的に受容しうる塩に変換する
ことからなる前記式を有する精製されたポリペプチドの
単離法にも関する。
このポリペプチドは好ましくはヒル(Hirudinae)の種
類の虫、特にアゴヒル(Gnathobdellida)目の虫の頸腺
から得られる。ヒル属、アゴヒル属、ヤマヒル属および
フエレモン(Philaemon)属が好ましい。特に好ましい
のは薬用ヒル(Hirudo medinalis)である。ヒルの頸腺
の他にその体前部領域またはヒル全体も使用されうる。
ヒルからの粗製抽出物の単離法はEnzymology第5巻「Hi
rudin as an Inhibitor of Thrombin」に記載されてい
る。ヒルジンの精製法はBull.Soc.Chim.Biol.45,55(19
63)に記載されている。
本発明による方法においては、特に沈殿法およびゲル透
過クロマトグラフイーまたは限外過、アフイニテイク
ロマトグラフイー、および「逆相」物質での高分解性分
配クロマトグラフイーおよびシリカゲルまたは酸化アル
ミニウムでのクロマトグラフイーの組み合せが有用であ
ることが判明した。しかしながら粗抽出物の性質の如何
に応じ、好ましくは例えばカチオン変換またはアニオン
変換クロマトグラフイー、非特異的吸収剤特にヒドロキ
シル燐灰石でのクロマトグラフイーのような他のクロマ
トグラフイー法も(場合により前記した方法と組み合せ
て)用いられうる。
クロマトグラフイーに適する粗抽出物を得るには、ヒル
をMethods of Enzymology45,669〜678(1976)記載の方
法で処理しうる。また例えばヒルの頭部を凍結状態で粉
砕しそして水性緩衝溶液(例えば燐酸塩緩衝液)を用い
て抽出することもできる。不溶物質は例えば短時間遠心
分離することによるかまたはガーゼで過することによ
り分離しそして得られる抽出液からポリペプチドを分離
および単離する。この抽出物を70℃〜90℃に速やかに加
熱することが好ましい。何故ならそれにより蛋白分解酵
素の主要量が変性および沈殿されるからで、次に例えば
遠心分離により分離されうる。抽出物から本発明による
ペプチドを含有する蛋白質フラクシヨンは、例えば抽出
物を水混和性有機溶媒中に加えて沈殿させる方法で単離
する。例えば、アセトンは抽出液量の数倍量、好ましく
は約10倍量にて使用でき、その場合沈殿は冷却下、通常
は0〜−40℃好ましくは約−20℃で行われる。沈殿を行
うもう一つの可能な方法は例えば硫酸アンモニウムのよ
うな塩の添加である。pH調整によりある種の選択的沈殿
が行われうる。等電点3.5〜4を有する本発明によるペ
プチドは硫酸アンモニウムを約50%の濃度となるまで添
加することによりpH3〜5好ましくは約4で沈殿でき、
その場合多くの随伴蛋白質は溶液中に残存する。この沈
殿も約−5℃〜+15℃好ましくは0〜+4℃に冷却して
行われる。
この粗抽出物から比較的高い分子量を有する蛋白質は例
えば限外過またはゲル透過クロマトグラフイーにより
分離されうる。比較的大量の反応混合物の場合、限外
過は例えば2段階で行われうる。第1段階では50,000ダ
ルトンの排除限界を有する毛管膜を用いて操作しそして
次に第2段階では10000ダルトンの排除限界を有する平
面膜を用いて操作する。毛管膜を用いることにより、選
択的に働く平面膜の通過を妨げられる比較的高分子物質
が速やかに分離される。少量では限外過の第1段階は
回避することもできる。
粗抽出物の精製は例えばHoppe-Seyler's Z.Physiol.Che
m.348(1967)1381〜1386記載の方法でDEAE −セフア
デツクスでのイオン交換クロマトグラフイーによつても
行われうる。
かくして得られる物質は本発明によるトロンビン阻害剤
および他のポリペプチドの混合物からなる。式I(式中
R=HまたはSO3H)を有する阻害剤の好ましい単離法の
一つは、担体に結合したトロンビンと複合物形成するそ
の性質に基づき、トロンビンと何ら複合物を形成しない
生成物からトロンビン阻害剤を分離することにある。そ
のトロンビン親和性に基づき取得されたフラクシヨンは
次に第2の高分解性クロマトグラフイー系により個々の
成分に分離されうる。かくして式Iの阻害剤が単離され
る。アフイニテイクロマトグラフイーにはトロンビン‐
セフアロースの使用が特に良いことが判つた。トロンビ
ン‐セフアロースはBrosstad法(Thrombos.Res.II,119
(1977))により調製された。
分離するには、トロンビン‐セフアロースは例えば0.1M
N-メチルモルホリンアセテート緩衝液(pH8.0)または
0.1Mトリス/HCl緩衝液(pH8.5)のような適当な緩衝液
を含有するカラム中に注ぐ。振盪することにより分離が
行われる。カラムが平衡に達したのち沈殿から得られる
混合物を同じ緩衝液に溶解させそしてカラムに適用す
る。何らトロンビン親和性を有しないペプチドは緩衝液
で洗浄することにより除去する。次にトロンビン/トロ
ンビン阻害剤複合物は0.1MN-メチルモルホリンアセテー
ト(pH8.0)中の0.5〜2Mベンズアミジンまたは4-アミノ
‐ベンズアミジンからなる緩衝液でカラムを洗浄するこ
とにより分離する。種々の活性なフラクシヨンを一緒に
して集めそしてpH8.0の0.05MN-メチルモルホリンアセテ
ートを用いセフアデツクスG25上慣用のゲル透過クロマ
トグラフイーにより脱塩する。
種々のトロンビン阻害剤相互の分離は高分解性クロマト
グラフイーにより行われる。これには特に高性能液体ク
ロマトグラフイー(以下HPLCと略記する)が良いことが
判つた。
HPLC技術の高い分解能により、式Iの阻害剤を相互にそ
して微量の随伴蛋白から分離しそして純粋に調製するこ
とができる。
固定相には適当な粒径(例えば3〜20μm)を有する誘
導体形成されたシリカゲルを好ましいことが判明した。
シリカゲルの誘導体形成には広く用いられるオクタデシ
ルシラン残基の他に多数の他のシラン残基またはそれら
の混合物例えば低級アルキル、フエニルアルキルまたは
アミノ置換アルキルを有するシラン残基も適当であり、
その場合後者残基はイオン交換クロマトグラフイーおよ
び「逆相」クロマトグラフイーのある組み合せを提供す
るものである。例えば長さ5〜25cmおよび直径3〜10mm
の分離カラムが使用されうる。緩衝された溶離剤として
は水と適当な親脂性を有する有機溶媒例えば低級アルコ
ール、ケトン、ニトリル、エーテル、酸、アミン、グリ
コールエーテル、アミドおよびそれらの誘導体との間の
すべての二次または三次混合物が適当である。緩衝物質
としては有機および無機塩または他の型の添加剤も使用
されうる。溶離は好ましくはpH2〜8で行われる。
酢酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムのような
揮発性緩衝物質を使用すると溶出液からの阻害剤の単離
は簡単な凍結乾燥により行われうる。
64位における硫酸モノエステル基Rの除去は西ドイツ特
許A-33 42 139号記載の方法と同様にして酸触媒により
またはアリールスルフアターゼを用いて酵素的に行われ
うる。
本発明による式Iのポリペプチドは無色で、水および水
性緩衝液中に溶解性で、ポリアクリルアミド電気泳動に
おいて均一で、そして等電集束により測定して等電点3.
5〜4を有する。アミノ酸組成をMooreおよびStein氏の
方法(Methods of Enzymology VI819〜831,Rolovickお
よびKaplan編、Academic Press出版、(1963年))によ
り測定すると、第1表に示される値が見出された。
本発明はさらに a)それ自体知られた方法で固相合成により調製される
か、または b)ポリペプチドを調製するために I.ヒルジンをエドマン分解に2回かけ、 II.かくして得られたペプチドを式 U−A−B−Thr−OH (式中AおよびBは前記定義のとおりでありそしてUは
酸または塩基に不安定なウレタン保護基を表わす)を有
するアミノ酸またはペプチドの活性エステルと反応さ
せ、 III.Lysのε‐アミノ官能基のフエニルチオカルバモイ
ル基をヒドラジンを用いて、そして IV.ウレタン保護基Uを酸または塩基を用いて除去し、 a)またはb)項により得られるポリペプチドを場合に
よりその生理学的に受容しうる塩に変換する、 ことからなる前記式Iを有するポリペプチドの製法にも
関する。
固相合成においては(Atherton Shepprd著、Perspectiv
es in Peptide Chemistry,Karger Basel 1981年、101〜
117頁参照)、大抵ThrのOH保護基は用いずにすまされ
る。
式Iのポリペプチドの合成は例えば、ヒドロキシメチル
化されたポリスチレン樹脂上で段階的に行われる。この
ポリスチレンは例えば1%のジビニルベンゼンと交叉結
合している。これは通常小さなビードの形態で存在す
る。
アミノ酸はN-末端が保護されて用いられる。最初にN-保
護されたアミノ酸をエステル形成により担体に付着させ
る。アミノ保護基を除去したのち次のN-保護されたアミ
ノ酸をジシクロヘキシルカルボジイミドのような結合試
薬を用いて結合させる。脱保護および他のアミノ酸の付
加は所望の配列に達するまで続けられる。
保護基の選択はアミノ酸および結合法の如何による。
アミノ保護基としては例えばベンジルオキシカルボニル
(以下Zと略記する)、p-メトキシカルボベンゾキシ、
p-ニトロカルボベンゾキシ、第三ブチルオキシカルボニ
ル(以下Bocと略記する)、Fmoc等のような知られたウ
レタン性保護基があげられうる。
Boc-基は比較的緩和な条件下(例えば有機溶媒中トリフ
ルオロ酢酸またはHClを用いて)除去されうるので好ま
しい。
トレオニンはベンジルエーテルとして保護できそしてリ
ジンのε‐アミノ官能基はZ-誘導体として保護されう
る。この両保護基はBoc-基に対する除去試薬に対し大き
く抵抗しそして水素添加触媒(Pd/活性炭)を用い水素
添加分解的にまたは例えば液体アンモニア中のナトリウ
ムを用いて除去されうる。
保護されたペプチドは例えばヒドラジンを用いて樹脂か
ら採取されうる。その場合ヒドラジンが生成し、これは
例えばInt.J.Pept.Prot.Research17(1981)6〜11記載
の方法によりN-ブロモスクシンイミドを用いて遊離のカ
ルボン酸に変換されうる。必要な場合は、ジスルフイツ
ド橋は酸化的に閉鎖されなければならない(Knigお
よびGeiger著、Perspectives in Peptide Chemistry,Ka
rger Basel,第31〜44頁参照)。
方法b)においては、ピリジン/水またはジオキサン/
水のような適当な緩衝溶液中場合によりジメチルベンジ
ルアミン(以下DMBAと略記する)、ジメチルアリルアミ
ン(以下DMAAと略記する)またはトリエチルアミンのよ
うな塩基を添加して、好ましくは約50℃およびpH8〜9
でイソチオシアナート好ましくはフエニルイソチオシア
ナートと反応させることによりヒルジンを2回のエドマ
ン分解にかける。過剰の緩衝液および過剰のフエニルイ
ソチオシアナートを除去したのちN-末端のバリンを酸
(ヘプタフルオロ酪酸またはトリフルオロ酢酸)を用い
50℃で10分間処理することによりフエニルチアゾリノン
として除去する。この反応順序を反復してN-末端の第2
のバリンを除去する。
この方法で得られたデス‐(Val)2‐ヒルジン誘導体を式
U−A−B−Thr−OHを有するアミノ酸またはペプチド
の活性エステルと反応させる。例えばp-ニトロフエニル
エステル、シアノメチルエステル、N-ヒドロキシフタル
イミドエステルまたは特にN-ヒドロキシスクシンイミド
エステルが適当である。適当なウレタン保護基Uは例え
ばBocまたはMscのような酸性またはアルカリ性で除去で
きるものである。必要な場合は、BおよびThrの側鎖中
に場合により存在する官能基はまた適当な保護基により
一時的に保護することもできる。
この方法で得られた式Iを有するポリペプチドの保護さ
れた前駆物質はリジンのフエニルチオカルバモイル基を
除去するために低級アルコールまたは低級アルコールと
水との混合物のような適当な溶媒中でヒドラジン水化物
で処理する。
このポリペプチドからまだ残る保護基を適当な方法(Bo
cは例えばトリフルオロ酢酸を用いそしてMscは塩基を用
いる)で除去し、かくして本発明による式Iのポリペプ
チドが得られる。
本発明によるポリペプチドはトロンビンの特異的な化学
量論的阻害剤である。本発明による阻害剤によるトロン
ビン阻害の定量的測定ではトロンビン阻害剤/トロンビ
ン複合物が実質上解離しないことが示される。この測定
法を用いて後処理および精製の間に本発明によるポリペ
プチドの活性従つて純度等級が測定されうる。その場合
かくして精製された前記式Iのポリペプチドはアンチト
ロンビン単位10000/mg以上のトロンビン阻害を示し従つ
て慣用のヒルジンのそれを凌賀しうる。その際生体内で
は64位に遊離のフエノール性水素を有する式Iの化合物
は大抵さらに活性が高い。
それゆえ本発明はさらに式I(式中R、A、B、D、
G、JおよびHは前記した意味を有する)を有するポリ
ペプチドの血栓塞栓性経過の治療における血液凝固阻害
剤としての使用ならびにそれらの診断剤および試薬とし
ての使用にも関する。
本発明はさらに、式Iのポリペプチドまたはそのペプチ
ド性分解産物を製剤上受容しうる付形剤中に含有する薬
剤にも関する。
本発明による化合物は適当な医薬製剤中にて非経口また
は局所的に投与されうる。
皮下または静脈内投与には、活性化合物またはその生理
学的に受容しうる塩を、場合により可溶化剤、乳化剤、
等張剤、防腐剤または他の助剤のようなそれに慣用の物
質と一緒に溶液、懸濁液または乳濁液となす。新規な活
性化合物および相当する生理学的に受容しうる塩のため
の溶媒としては例えば水、生理食塩溶液またはアルコー
ル例えばエタノール、プロパンジオール、またはグリセ
リン、それらと並んでまた糖溶液例えばグルコースまた
はマンニツト溶液、あるいはまた前記した種々の溶媒の
混合物が適当である。皮下使用においては式I(R=フ
エノール性水素)を有する化合物は大抵比較的ゆつくり
した吸収を示し従つて遅延作用なる利点を有する。
局所用付形剤は有機または無機化合物でありうる。代表
的な製剤上用いられる付形剤は水溶液である、例えば、
緩衝系または、アルコールまたはアリールアルコール、
油状物、ポリアルキレングリコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ンまたはミリスチン酸イソプロピルのような水混和性溶
媒と水との等張混合物である。適当な緩衝物質は例えば
硼酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ナトリウムある
いはグルコン酸塩緩衝液である。局所使用形態物はまた
例えば乳化性防腐物質、交叉結合剤例えばポリエチレン
グリコール、および抗菌性化合物のような無毒性助剤を
も含有しうる。
参考例1 トロンビン滴定による阻害剤濃度の測定 予め測定された蛋白質含量を有する阻害剤溶液の10〜10
0μlに炭酸水素ナトリウム溶液(pH7.0、0.5M)200μ
lを加える。フイブリノゲン溶液(0.5〜1%)または
希クエン酸塩血漿0.1mlを加える。規則的な間隔で、攪
拌下に室温でトロンビン溶液の一部(50〜100μl)を
加える(1ml当り約100NIH単位)。終末点としては半定
量的操作においては選択された時間間隔内の液体の凝固
が用いられ、または定量的測定には546nmにおける濁り
測定が用いられる。
参考例2 ドイツ国で集められた薬用ヒル種の野生ヒル(飼育物で
ない)が用いられる。
凍結されたヒル体前部約150〜200gを氷冷された0.09%
塩化ナトリウム水溶液2lおよびオクタノール10mlと共に
ミキサー中で3分間内でホモジナイズする。0℃および
10000rpmで30分間遠心分離したのち上澄み液を二層のガ
ーゼで過することによりさらに清澄化させそして次に
攪拌下に15分内で80℃まで加熱する。生成する沈殿を4
層のガーゼで過することにより分離する。液を氷浴
中で攪拌することにより迅速に4℃以下に冷却しそして
予め冷却(−20℃)したアセトン7.5l中に加える。新た
に沈殿が生成し、これは5分後ガラスフイルター吸引
過器で過しそして冷アセトン(−20℃)1で洗う。
真空下に乾燥すると蛋白質含量62%(Lowry法により測
定)を有する淡帯黄色粉末520mgが生成する。アンチト
ロンビン活性は約400単位/mgである。
参考例3 参考例2記載の粉末520mgを水75ml中に溶解させ、次に5
Nアンモニアを用いてpH8.0に調整しそして0〜4℃で1
時間攪拌する。不溶性部分をカツプ状遠心器を用い5000
rpmで30分内遠心分離する。水を添加して蛋白質含量を2
5mg/ml(Lowry)に調整したのち、この溶液に飽和硫酸
アンモニウム溶液35mlを加えそして4℃で1時間攪拌す
る。最初の沈殿を遠心分離(5000rpm/30分)により速や
かに分離する。上澄にさらに約26gの硫酸アンモニウム
を溶解させそして氷酢酸を用いてpH4に調整する。5時
間放置したのち全懸濁液を遠心分離しそして得られた湿
つた沈殿を以下のようにしてさらに処理する。
参考例4 参考例3の記載により得られた湿つた沈殿をpH8の0.1M
炭酸水素アンモニウム溶液200ml中に溶解させそして5PM
10-平面膜(排除限界10000ダルトン)を有する250mlのA
micon ‐セルで限外過する。その際溶液は約40mlま
で濃縮され、終りにpH8.0の0.1M炭酸水素アンモニウム
溶液150mlを2回充填する。残留物を凍結乾燥すると蛋
白質含量89%を有する物質約350mgが得られる。
参考例5 カラム(0.9×15cm)にpH8の0.1Mトリス緩衝液(HCl)
中のトロンビン‐セフアロースを流す。参考例3で得ら
れた物質を同じ緩衝液中に溶解させ、そしてカラムにこ
の試料を充填する。カラムを平衡化に用いた緩衝液で洗
うことにより不活性な随伴物質を除去する。次にベンズ
アミジン(1.5M、トリス緩衝液、pH7)または4-アミノ
ベンズアミジン(0.2M、トリス緩衝液pH7)の溶液を用
いてヒルジンをトロンビン/ヒルジン複合物から除去し
そして少しずつ溶出させる。アンチトロンビン活性を試
験するには最初に拮抗阻害剤をセフアデツクスG20での
ゲル過によりヒルジンから分離する。
収量:55w/w%。
活性:6000〜12000ATU/mg 参考例6 参考例3記載の阻害剤20mgをpH2.16(トリフルオロ酢酸
+5%アセトニトリルで調整)の水200μl中に溶解さ
せそしてオクタデシルシラン‐シリカゲル(5μm)を
充填した鋼製カラムに注入する(Shandon ODS)。こ
のカラムを出発緩衝液(水‐pH2.16+5%アセトニトリ
ル)およびアセトニトリルとの間に最高2%/分の勾配
をつけて溶離する。フラクシヨンをそれぞれ集める。乾
燥後式I(R=HまたはSO3H)を有する本発明による阻
害剤はトロンビンとの1:1複合物の化学量論に相当する
比活性を有する。
実施例1 a)参考例4で得られた物質をHoppe-Seyler′s Z.Phys
iol.Chem.348(1967)、1381〜1386に記載された方法で
DEAE-セフアデツクスA-25で精製した。
b)かくして得られた蛋白質フラクシヨン1.1mgをC-18
逆相用の、粒子寸法5μおよび細孔巾330Åを有するシ
リカゲルを充填した25cm×4.6mmのBio-Rad (Richmon
d.CA)のハイ‐ポール(Hi-Pore)カラム上のHPLCによ
り分離した。移動相としては0.1%トリフルオロ酢酸を
有する水中の10%アセトニトリル(A)/0.1%トリフル
オロ酢酸を有するアセトニトリル中の10%の水(B)の
勾配速度A:B=1%/分が用いられた。クロマトグラフ
イーの時間的経過は216nmで検出することにより監視さ
れた(第1図参照)。第1図に示される斜線をつけたフ
ラクシヨン1〜5をもう一回クロマトグラフイーする。
その場合同じHPLC系が用いられた。
c)フラクシヨン1を再クロマトグラフイーすると(第
2図参照)、約200μgの蛋白質が得られ、その構造が
配列分析により決定された。下記構造が割り当てられ
た。
ITYTDCTESGQNLCLCEGSNVCGQGNKCILGSDGEKN QCVTGEGTPKPQ
SHNDGDFEEIPEEYLQ。
d)フラクシヨン2を再クロマトグラフイーすると(第
3図参照)約300μgの蛋白質が得られ、このものの構
造が配列分析により決定された。下記構造が割り当てら
れた。
ITTYTDCTESGQNLCLCEGSNVCGQGNKCILGSDGEKN QCVTGEGTPKP
QSHNDGDFEEIPEEYLQ。
e)フラクシヨン3を再クロマトグラフイーすると(第
4図参照)約150μgの蛋白質が得られ、その構造が配
列分析により決定された。下記構造が割り当てられた。
TYTDCTESGQNLCLCEGSNVCGQGNKCILGSDGEKN QCVTGEGTPKPQS
HNDGDFEEIPEEYLQ。
f)フラクシヨン4を再クロマトグラフイーすると(第
5図参照)約80μgの蛋白質が得られ、その構造が配列
分析により決定された。式Iに包含される下記構造が割
り当てられた。
ITYTDCIESGQNLCLCEGSNVCGQGNKCILGSDGEKN QCVTGEGTPKPQ
SHNDGDFEEIPEEYLQ。
g)フラクシヨン5(第6図参照)を再クロマトグラフ
イーすると約40μgの蛋白質が得られ、その構造はまだ
調査されていない。
実施例2 a)参考例5の記載に従い商業上得られる動物を処理す
ることにより得られる物質から出発し、そしてこれを実
施例1a)記載の予備精製にかけた。
b)かくして得られた蛋白質フラクシヨン1mgを実施例1
b)の記載のようにしてHPLCにより分離した。第7図に
示される斜線をしたフラクシヨンを再クロマトグラフイ
ーする。その際勾配速度A:B=0.8%/分であること以外
は同じ条件である(第8図参照)。第9図はかくして得
られた分析上純粋な蛋白質のクロマトグラムを示し、こ
れには配列分析により決定された式Iに包含される下記
構造が割当てられる。
ITYTDCIESGQNLCLCEGSNVCGKGNKCILGSDG KDNQCVTGEGTPKPQ
SHNDGDFEEIPEEYAQ。
本明細書で用いられるアミノ酸の3文字および1文字記
号は下記のとおりである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1a)で得られた蛋白質フラクシヨンをHP
LCにかけた場合の216nmで検出されたクロマトグラフイ
ーの時間的経過におけるフラクシヨン1〜5を示す。 第2図は第1図のフラクシヨン1を再クロマトグラフイ
ーした結果を示す。 第3図は第1図のフラクシヨン2を再クロマトグラフイ
ーした結果を示す。 第4図は第1図のフラクシヨン3を再クロマトグラフイ
ーした結果を示す。 第5図は第1図のフラクシヨン4を再クロマトグラフイ
ーした結果を示す。 第6図は第1図のフラクシヨン5を再クロマトグラフイ
ーした結果を示す。 第7図は実施例2aで得られた蛋白質フラクシヨンをHPLC
にかけた場合の216nmで検出したフラクシヨンを示す。 第8図は第7図で示される斜線をしたフラクシヨンを再
クロマトグラフイーした結果を示す。 第9図はかくして得られた分析上純粋な蛋白質のクロマ
トグラムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 35/62 7431−4C 38/00 ACB 38/55

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式I (式中、 Rはフェノール性水素またはーSO3Hであり、 AはIleまたはアミノ酸の非存在を意味し、 BはIleまたはThrであり、 DはGluまたはLysであり、 GはLysまたはAspであり、 HはAlaまたはLeuでありそして JはGlnまたはLysであり、 且つ上式中Cys7-Cys15、Cys17-Cys29およびCys23-Cys40
    はジスルフィド橋を介して対で結合しているものとす
    る) を有するポリペプチドまたはそれらの生理学的に受容し
    うる塩。
  2. 【請求項2】Aがアミノ酸の非存在を意味し、そしてB
    がイソロイシンである特許請求の範囲第1項記載のポリ
    ペプチド。
  3. 【請求項3】DおよびGがそれぞれグルタミン酸および
    リジンを示す特許請求の範囲第2項記載のポリペプチ
    ド。
  4. 【請求項4】Hがロイシンであり、そしてJがグルタミ
    ンである特許請求の範囲第3項記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】DおよびGがそれぞれリジンおよびアスパ
    ラギン酸を示す特許請求の範囲第2項記載のポリペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】Hがアラニンであり、そしてJがリジンで
    ある特許請求の範囲第5項記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】式I (式中、 Rはフェノール性水素またはーSO3Hであり、 AはIleまたはアミノ酸の非存在を意味し、 BはIleまたはThrであり、 DはGluまたはLysであり、 GはLysまたはAspであり、 HはAlaまたはLeuでありそして JはGlnまたはLysであり、 且つ上式中Cys7-Cys15、Cys17-Cys29およびCys23-Cys40
    はジスルフィド橋を介して対で結合しているものとす
    る) を有するポリペプチドまたはそれらの生理学的に受容し
    うる塩を単離するにあたり、アゴヒル目の虫、好ましく
    はヒル属の虫から抽出法、沈殿法、膜濾過法および/ま
    たはクロマトグラフィー法の組み合わせを用いてポリペ
    プチドを単離し、場合により存在するフェノールエステ
    ル基Rを所望の場合は加水分解により除去してフェノー
    ル性ヒドロキシル基を形成させ、ペプチドを場合により
    化学的または酵素的に分解し、そして得られたペプチド
    を場合によりそれらの生理学的に受容しうる塩に変換す
    ることからなる上記の単離法。
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