JPH082054A - プリンタの紙送り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝達ギアの寸法誤差等がある場合でも、高精
度で紙送りローラを回転駆動させることができ、極めて
高い精度で紙送りを行なうことのできるプリンタの紙送
り装置を提供する。 【構成】 プリンタの所定の印字位置に所定の用紙を搬
送する紙送りローラ１０を回転自在に配設するととも
に、この紙送りローラ１０を回転駆動する紙送りギア１
２と、紙送りモータ１４により回転駆動されるモータギ
ア１５とを少なくと１つの伝達ギア１３を介して接続
し、前記紙送りローラ１０の外周長さをＮ改行ピッチ分
の長さに設定し、前記モータギア１５、伝達ギア１３紙
送りギア１２のギア比を、前記紙送りローラ１０を１／
Ｎ改行ピッチ分回転駆動させた場合に、前記伝達ギア１
３が常に回転開始位置で停止するようなギア比に設定し
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプリンタの紙送り装置に
係り、特に、紙送りを高精度で行なうことを可能とした
プリンタの紙送り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、所望の印字信号に基づいて印
字ヘッドを駆動することにより、用紙に対して所望の印
字を行なうプリンタが多く用いられている。

【０００３】図３はこのような従来の一般的なプリンタ
を示したもので、プリンタのフレーム１のほぼ中央部に
は、平板状のプラテン２がその印字面がほぼ垂直となる
ように配設されており、前記フレーム１の前記プラテン
２の前側下方には、キャリッジシャフト３が前記プラテ
ン２と平行に配設されている。また、前記フレーム１の
前端縁には、フランジ状のガイド部４が形成されてお
り、前記キャリッジシャフト３および前記ガイド部４に
は、キャリッジ５が前記キャリッジシャフト３およびガ
イド部４に沿って往復動自在に取付けられている。前記
キャリッジ５の先端部には、前記プラテン２に対向し、
図示しない駆動機構によりプラテン２に対して接離動作
自在とされた印字ヘッド６が取付けられており、前記キ
ャリッジ５の上面には、内部にインクリボンが収納さ
れ、このインクリボンを前記印字ヘッド６とプラテン２
との間に案内するリボンカセット（図示せず）が着脱自
在に装着されている。さらに、前記キャリッジ５の上面
には、前記リボンカセットのインクリボンを巻取るため
の巻取りボビン７およびインクリボンを送り出す送出し
ボビン８がそれぞれ配設されている。

【０００４】また、前記プラテン２の後方には、用紙
（図示せず）をプラテン２の前方に送る用紙挿入口９が
形成されており、前記用紙挿入口９の部分には、所定速
度で前記用紙を搬送する紙送りローラ１０が配設されて
いる。この紙送りローラ１０の下方には、この紙送りロ
ーラ１０に圧接される圧接ローラ１１が回転自在に配設
されており、前記フレームの一側面には、前記紙送りロ
ーラ１０と同軸状に取付けられた紙送りギア１２が突出
して配置されている。この紙送りギア１２には、複数の
伝達ギア１３を介して紙送りモータ１４のモータギア１
５が接続されており、前記紙送りモータ１４を駆動して
前記モータギア１５、各伝達ギア１３および紙送りギア
１２をそれぞれ介して紙送りローラ１０を回転駆動させ
ることにより、用紙挿入口９から前記紙送りローラ１０
とこの圧接ローラ１１との間に挿入される用紙を挟持し
て搬送するようになされている。

【０００５】前記従来のプリンタにおいては、前記用紙
挿入口９から用紙を挿入し、この用紙を前記紙送りロー
ラ１０と圧接ローラ１１との間に挟み込んで、紙送りモ
ータ１４により紙送りローラ１０を回転駆動させること
により、前記用紙をキャリッジ５の移動方向と直交方向
に所定速度で搬送する。一方、印字ヘッド６を前記用紙
に対して所定の圧接力で圧接させた状態で、前記キャリ
ッジ５を移動させるとともに、前記巻取りボビン７を回
転させてリボンカセットのインクリボンを巻取りなが
ら、前記印字ヘッド６を所望の印字信号に基づいて駆動
することにより、前記用紙に所望の印字を行なうもので
ある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来のプリンタにおいては、用紙の紙送りを行なう場合、
前記紙送りモータ１４の回転に応じて前記紙送りローラ
１０を所定の１改行ピッチだけ回転駆動できるように、
モータギア１５、各伝達ギア１３および紙送りギア１２
を所定のギア比に設定しているので、例えば、図４
（ａ）に示す状態から、前記紙送りロータを１改行ピッ
チだけ駆動するために紙送りモータ１４を駆動してモー
タギア１５を回転させた場合に、図４（ｂ）に示すよう
に、前記モータギア１５、各伝達ギア１３、紙送りギア
１２の回転量がそれぞれ異なってしまうため、前記紙送
りモータ１４により、モータギア１５を高精度で回転駆
動させたとしても、モータギア１５、各伝達ギア１３お
よび紙送りギア１２の寸法精度や噛合誤差により、紙送
りギア１２の回転誤差が大きくなってしまい、紙送りロ
ーラ１０の紙送り精度が著しく低下してしまうという問
題を有している。

【０００７】そのため、前記紙送りローラ１０を高精度
で駆動するためには、モータギア１５、各伝達ギア１３
および紙送りギア１２をすべて高い精度で製造する必要
があるが、現実的には極めて困難であり、紙送り精度を
高めることは著しく困難となっていた。

【０００８】本発明は前記した点に鑑みなされたもの
で、伝達ギアの寸法誤差等がある場合でも、高精度で紙
送りローラを回転駆動させることができ、極めて高い精
度で紙送りを行なうことのできるプリンタの紙送り装置
を提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係るプリンタの紙送り装置は、プリンタの所定
の印字位置に所定の用紙を搬送する紙送りローラを回転
自在に配設するとともに、この紙送りローラを回転駆動
する紙送りギアと、紙送りモータにより回転駆動される
モータギアとを少なくと１つの伝達ギアを介して接続し
てなるプリンタの紙送り装置において、前記紙送りロー
ラの外周長さをＮ改行ピッチ分の長さに設定し、前記モ
ータギア、伝達ギアおよび紙送りギアのギア比を、前記
紙送りローラを１／Ｎ改行ピッチ分回転駆動させた場合
に、前記伝達ギアが常に回転開始位置で停止するような
ギア比に設定したことを特徴とするものである。

【００１０】また、好ましくは、前記紙送りローラにこ
の紙送りローラの基準位置を示す検出部を設けるととも
に、この検出部を検出して検出信号を出力する検出器を
配設し、前記検出器からの検出信号を入力して紙送り開
始時に前記紙送りローラが常に前記基準位置に位置する
ように前記紙送りモータを駆動制御する制御装置を配設
したことを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】本発明に係るプリンタの紙送り装置によれば、
紙送り開始時に、紙送りモータを駆動して、前記モータ
ギア、各伝達ギアおよび紙送りギアを介して前記紙送り
ローラを回転させ、前記検出器により紙送りローラの検
出マーカを検出したら、この検出信号に基づいて制御装
置により紙送りモータを停止させて、紙送りローラを基
準位置に位置させた後、前記紙送りモータを駆動するこ
とにより、前記モータギアおよび各伝達ギアを介して紙
送りギアを回転駆動させ、これにより前記紙送りローラ
を回転させて前記用紙を所定量ずつ搬送し改行を行なう
ものである。この場合に、前記各伝達ギアのギア比を、
前記紙送りローラを１／Ｎ改行ピッチ分回転駆動させた
場合に、前記各伝達ギアが常に回転開始位置で停止する
ように設定しているので、前記モータギアの回転開始か
ら回転終了までに、前記各伝達ギアが必ず整数回転する
ことになり、そのため、前記モータギアの回転が紙送り
ギアに伝達される際に、各伝達ギアの寸法精度誤差や噛
合誤差等がある場合でも、この誤差の影響を受けること
がなくなり、紙送り精度を著しく高めることができ、ま
た、紙送り開始時に、前記紙送りローラを常に基準位置
に位置させるようにしているので、紙送りローラが回転
した場合に、紙送りローラの回転位置が常に一定の位置
に移動されることになり、紙送りローラの外周面に偏心
等の寸法誤差が生じた場合でも、その誤差量を一定にし
て紙送りを行なうことができるものである。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１および図２を参
照して説明する。

【００１３】図１および図２は本発明に係るプリンタの
紙送り装置の一実施例を示したもので、プリンタのプラ
テンとしても機能する円筒状の紙送りローラ１０が回転
自在に配設されており、この紙送りローラ１０の前方に
は、所定の印字ヘッドが取付けられた図示しないキャリ
ッジがこの紙送りローラ１０に沿って往復動自在に配設
されている。

【００１４】また、前記紙送りローラ１０の回転軸１６
の一端部には、紙送りギア１２が同軸状に取付けられて
おり、この紙送りギア１２の近傍には、前記紙送りロー
ラ１０を回転駆動するためのステッピングモータ等の紙
送りモータ１４が配設されている。この紙送りモータ１
４のシャフト１７には、モータギア１５が固着されてお
り、このモータギア１５と前記紙送りギア１２とは、外
周部に形成された大ギア部１８とこの大ギア部１８と同
軸状に形成された小ギア部１９とがそれぞれ形成された
第１伝達ギア１３ａ、第２伝達ギア１３ｂおよび第３伝
達ギア１３ｃにより接続されている。そして、前記モー
タギア１５が第１伝達ギア１３ａの大ギア部１８ａに、
第１伝達ギア１３ａの小ギア部１９ａが第２伝達ギア１
３ｂの大ギア部１８ｂに、第２伝達ギア１３ｂの小ギア
部１９ｂが第３伝達ギア１３ｃの大ギア部１８ｃに、第
３伝達ギア１３ｃの小ギア部１９ｃが紙送りギア１２に
それぞれ噛合され、これにより、前記各伝達ギア１３
ａ，１３ｂ，１３ｃにより、前記紙送りモータ１４の回
転を減速しながら、前記紙送りギア１２に伝達するよう
になされている。

【００１５】また、本実施例においては、前記各伝達ギ
ア１３ａ，１３ｂ，１３ｃのギア比は、前記紙送りロー
ラ１０を１改行ピッチ分回転駆動させた場合に、前記各
伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃが常に回転開始位置で
停止するようなギア比に設定されている。

【００１６】例えば、１改行ピッチが１０．１６ｍｍの
定ピッチ送りを行なう場合には、前記紙送りモータ１４
の分解能を１８゜、紙送りの分解能を２４００ｄｐｉ、
紙送りローラ１０の外周を５０．８ｍｍとして、紙送り
ローラ１０を１回転させることにより、５改行ピッチ分
の紙送りを行なうようにした場合に、前記モータギア１
５、各伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃ、紙送りギア１
２のギア比は、３：４：４：５に設定される。具体的に
は、モータギア１５歯数を１４歯とすると、第１伝達ギ
ア１３ａの大ギア部１８ａの歯数を４２歯、小ギア部１
９ａの歯数を１４歯、第２伝達ギア１３ｂの大ギア部１
８ｂの歯数を５６歯、小ギア部１９ｂの歯数を１４歯、
第３伝達ギア１３ｃの大ギア部１８ｃの歯数を５６歯、
小ギア部１９ｃの歯数を１４歯、紙送りギア１２の歯数
を７０歯にそれぞれ設定すればよい。

【００１７】さらに、前記紙送りローラ１０の一端面外
周部分には、検出部としての検出マーカ２０が形成され
ており、この紙送りローラ１０の端面近傍には、前記検
出マーカ２０を検出する検出器２１が配設されている。
また、前記検出器２１からの検出信号を入力して紙送り
モータ１４を駆動制御する図示しない制御装置が配設さ
れており、この制御装置により、前記検出器２１により
前記検出マーカ２０を検出した位置を、紙送りローラ１
０の基準位置とし、この基準位置から常に紙送りを開始
するように制御するようになされている。

【００１８】次に、本実施例の作用について説明する。

【００１９】まず、所望の印字を行なう場合は、紙送り
モータ１４を駆動して、前記モータギア１５、各伝達ギ
ア１３ａ，１３ｂ，１３ｃおよび紙送りギア１２を介し
て前記紙送りローラ１０を回転させ、前記検出器２１に
より紙送りローラ１０の検出マーカ２０を検出したら、
この検出信号に基づいて制御装置により紙送りモータ１
４を停止させて、前記紙送りローラ１０を基準位置に位
置させる。

【００２０】そして、用紙を紙送りローラ１０と接合す
る部分に挿入し、前記紙送りモータ１４を駆動すること
により、前記モータギア１５および各伝達ギア１３ａ，
１３ｂ，１３ｃを介して紙送りギア１２を回転駆動さ
せ、これにより前記紙送りローラ１０を回転させて前記
用紙を所定量ずつ搬送し改行を行なう。そして、前記キ
ャリッジを駆動しながら前記印字ヘッドを所望の印字信
号に基いて駆動することにより、前記用紙に所望の印字
を行なうものである。

【００２１】この場合に、本実施例においては、前記各
伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃのギア比を、前記紙送
りローラ１０を１改行ピッチ分回転駆動させた場合に、
前記各伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃが常に回転開始
位置で停止するように設定しているので、図２（ａ）に
示す状態から、前記モータギア１５の回転を開始する
と、モータギア１５の回転終了時に、図２（ｂ）に示す
ように、前記各伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃが必ず
整数回転することになる。そのため、前記モータギア１
５の回転が紙送りギア１２に伝達される際に、各伝達ギ
ア１３ａ，１３ｂ，１３ｃの寸法精度誤差や噛合誤差等
がある場合でも、この誤差の影響を受けることがなくな
り、紙送り精度を著しく高めることができる。そして、
最終的な紙送り精度を決定する紙送りギア１２の停止位
置精度は、紙送りギア１２の精度のみにより決定される
ことになり、この紙送りギア１２の精度を向上するだけ
で紙送り精度を高めることが可能となる。

【００２２】例えば、前記具体例によれば、１改行ピッ
チの紙送りを行なう場合は、前記紙送りモータ１４に対
して９６０パルスの駆動パルスを印加すると、この紙送
りモータ１４の分解能は１８゜であるから、紙送りモー
タ１４は、４８回転駆動されることになる。そして、こ
の紙送りモータ１４の回転により、モータギア１５が回
転駆動され、前記モータギア１５、各伝達ギア１３ａ，
１３ｂ，１３ｃ、紙送りギア１２のギア比は３：４：
４：５に設定されているので、前記モータギア１５の回
転により、前記第１伝達ギア１３ａは１６回転、第２伝
達ギア１３ｂは４回転、第３伝達ギア１３ｃは１回転そ
れぞれ駆動され、紙送りギア１２は、１／５回転駆動さ
れることになる。このとき、紙送りローラ１０の外周
は、５０．８ｍｍに形成されているので、１０．１６ｍ
ｍ分の改行ピッチで紙送りを行なうことができる。

【００２３】したがって、本実施例においては、前記各
伝達ギア１３ａ，１３ｂ，１３ｃのギア比を、前記紙送
りローラ１０を１改行ピッチ分回転駆動させた場合に、
前記各伝達ギア１３が常に回転開始位置で停止するよう
に設定しているので、前記モータギア１５の回転が紙送
りギア１２に伝達される際に、各伝達ギア１３の寸法精
度誤差や噛合誤差等の影響を受けることがなくなり、そ
の結果、紙送りローラ１０による紙送り精度を著しく高
めることができ、伝達ギア１３等の寸法精度を極限まで
高める必要がなくなる。

【００２４】また、前記検出器２１により検出マーカ２
０を検出して、制御装置により紙送りローラ１０を基準
位置に位置させ、常に、この基準位置から紙送りを開始
するようにしているので、紙送りローラ１０が回転した
場合に、紙送りローラ１０の回転位置が常に一定の位置
に移動されることになり、紙送りローラ１０の外周面に
偏心等の寸法誤差が生じた場合でも、その誤差量を一定
にして紙送りを行なうことができる。

【００２５】なお、本発明は前記実施例のものに限定さ
れるものではなく、必要に応じて種々変更することが可
能である。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように本発明に係るプリンタ
の紙送り装置は、各伝達ギアのギア比を、紙送りローラ
を１／Ｎ改行ピッチ分回転駆動させた場合に、各伝達ギ
アが常に回転開始位置で停止するように設定しているの
で、モータギアの回転が紙送りギアに伝達される際に、
各伝達ギアの寸法精度誤差や噛合誤差等の影響を受ける
ことがなくなり、その結果、紙送りローラによる紙送り
精度を著しく高めることができ、伝達ギア等の寸法精度
を極限まで高める必要がなくなる。また、紙送り開始時
に、紙送りローラを常に基準位置に位置させるようにし
ているので、紙送りローラが回転した場合に、紙送りロ
ーラの回転位置が常に一定の位置に移動されることにな
り、紙送りローラの外周面に偏心等の寸法誤差が生じた
場合でも、その誤差量を一定にして紙送りを行なうこと
ができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るプリンタの紙送り装置の一実施例
を示す一部の概略斜視図

【図２】図２（ａ）は本発明による各ギアの紙送り開始
状態を示す説明図、図２（ｂ）は本発明による各ギアの
紙送り終了状態を示す説明図

【図３】従来の一般的なプリンタを示す斜視図

【図４】図４（ａ）は従来の紙送り装置による各ギアの
紙送り開始状態を示す説明図、図４（ｂ）は従来の紙送
り装置による各ギアの紙送り終了状態を示す説明図

【符号の説明】 １０ 紙送りローラ １２ 紙送りギア １３ 伝達ギア １４ 紙送りモータ １５ モータギア ２０ 検出マーカ ２１ 検出器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プリンタの所定の印字位置に所定の用紙
   を搬送する紙送りローラを回転自在に配設するととも
   に、この紙送りローラを回転駆動する紙送りギアと、紙
   送りモータにより回転駆動されるモータギアとを少なく
   と１つの伝達ギアを介して接続してなるプリンタの紙送
   り装置において、前記紙送りローラの外周長さをＮ改行
   ピッチ分の長さに設定し、前記モータギア、伝達ギアお
   よび紙送りギアのギア比を、前記紙送りローラを１／Ｎ
   改行ピッチ分回転駆動させた場合に、前記伝達ギアが常
   に回転開始位置で停止するようなギア比に設定したこと
   を特徴とするプリンタの紙送り装置。
2. 【請求項２】 前記紙送りローラにこの紙送りローラの
   基準位置を示す検出部を設けるとともに、この検出部を
   検出して検出信号を出力する検出器を配設し、前記検出
   器からの検出信号を入力して紙送り開始時に前記紙送り
   ローラが常に前記基準位置に位置するように前記紙送り
   モータを駆動制御する制御装置を配設したことを特徴と
   する請求項１に記載のプリンタの紙送り装置。