JPH08203063A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08203063A
JPH08203063A JP3435695A JP3435695A JPH08203063A JP H08203063 A JPH08203063 A JP H08203063A JP 3435695 A JP3435695 A JP 3435695A JP 3435695 A JP3435695 A JP 3435695A JP H08203063 A JPH08203063 A JP H08203063A
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JP
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acid
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magnetic recording
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JP3435695A
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Kazuhiro Okamoto
和広 岡本
Haruo Watanabe
春夫 渡辺
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁性粉を結合剤中に分散せしめてなる上層2
と、非磁性顔料を結合剤中に分散せしめてなる下層4と
を非磁性基体1上に有する重層塗布型の磁気記録媒体に
おいて、前記非磁性顔料の表面が、モリブデン酸、タン
グステン酸及び錫酸からなる群より選ばれた少なくとも
1種と、ポリモリブデン酸、ポリタングステン酸からな
る群より選ばれた少なくとも1種とのうちの少なくとも
一方からなる表面処理剤によって処理されていることを
特徴とする磁気記録媒体。 【効果】 低い表面電気抵抗と優れた電磁変換特性、走
行性及びドロップアウト特性を有し、高密度記録に適し
た重層塗布型の磁気記録媒体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性粉を結合剤中に分
散せしめてなる上層(磁気記録層又は磁性層)と、非磁
性顔料を結合剤中に分散せしめてなる下層(非磁性層)
とを非磁性基体上に有する重層塗布型の磁気記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来技術】磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒
体は、一般に、ポリエステルフィルム等の非磁性支持体
上に、磁性粉末と結合剤とからなる磁性層が設けられた
構造を有している。そして、この磁性層は通常、結合剤
を含有する組成物中に磁性粉末を分散させた磁性塗料を
非磁性支持体に塗布したり、或いは転写することによっ
て形成されている。
【0003】磁性粉として金属微粒子を使用した磁気記
録媒体は、昨今の高密度記録に対する強い要望から、オ
ーディオ用、ビデオ用の各種フォーマットを始め、高密
度フロッピーディスク又はバックアップ用データカート
リッジ等、コンピュータ周辺機器にも利用され、現在に
おける磁気記録媒体の主流になっていると同時に、その
特性の向上もめざましいものがある。
【0004】こうした特性向上には、用いる磁性粉を微
細化し、更にそれらを高分散化する技術が積極的に追求
され、比表面積がBET値で50m2/gを超える材料も実用
化されるに及んでいる。
【0005】一方、高密度記録を実現するための手法と
しては、記録減磁を抑制する目的で塗布膜の薄層化も行
われている。塗布膜の薄層化としては、単層塗布膜の薄
層化と同時に、重層塗布膜における上層の薄層化も進め
られている。このような重層塗布膜においては、特に上
層である磁性層の高分散性が求められることになる。
【0006】磁性層の高分散化は、磁性粉を絶縁体有機
物で被覆することによって実現できるものと考えられて
いるが、これでは、必然的に媒体表面の電気抵抗の増大
と静電的な帯電量の増加とを招いてしまう。その結果と
して、ドロップアウトの増大が起こり、実用上問題視さ
れている。
【0007】従来、媒体表面の電気抵抗を低下させるに
は、カーボンブラックの如き導電性顔料の磁性層への添
加、或いは磁性粉に導電性を付与するための表面改質等
が行われてきた。しかし、前者においては、非磁性成分
の増加に伴う磁気特性の低下が、電磁変換特性の劣化を
もたらすことを避けることができない。後者において
も、表面改質の結果、結合剤との親和性が悪化し、分散
性の低下、塗膜強度の低下を引き起こす場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重層
塗布型の磁気記録媒体に関し、特に、低い表面電気抵抗
と優れた電磁変換特性、走行性及びドロップアウト特性
を有し、高密度記録に適した重層塗布型の磁気記録媒体
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した問
題点について鋭意検討を重ねた結果、磁性層に対して導
電性顔料の添加や磁性粉の表面改質を行うのではなく、
上層を磁性層、下層を非磁性層とする重層塗布型の媒体
構成とし、下層の非磁性層の非磁性顔料を処理すること
によって、媒体表面(磁性層上)の電気抵抗を効果的に
低下させ、上記した本発明の目的を十二分に達成できる
ことを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】即ち、本発明は、磁性粉を結合剤中に分散
せしめてなる上層と、非磁性顔料を結合剤中に分散せし
めてなる下層とを非磁性基体上に有する重層塗布型の磁
気記録媒体において、前記非磁性顔料の表面が、モリブ
デン酸、タングステン酸及び錫酸からなる群より選ばれ
た少なくとも1種と、ポリモリブデン酸及びポリタング
ステン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種とのう
ちの少なくとも一方からなる表面処理剤によって処理さ
れている(実際には、表面処理剤によって被覆されてい
る)ことを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、基本的には、非
磁性基体上に複数の塗布層を設けてなり、最上層は磁性
層である。磁性層(上層)の厚みは、塗布装置側の条件
によって制約を受ける。通常、上、下層の全塗膜厚は
0.1μm〜10μmに設定され、上層/下層の厚み比率は
1/1〜1/50、望ましくは1/10〜1/30に設定され
る。
【0012】また、下層と非磁性基体との間、或いは、
上層と下層との間には、塗膜と基体との接着性又は塗膜
同士の接着性を強化する目的で、下塗り層又は中間層を
設けることもできる。
【0013】本発明の磁気記録媒体においては、上層の
表面の比抵抗が小さいことが望ましく、具体的には1×
106 Ω/cm2 〜5×108 Ω/cm2 であることが望まし
い。これは、本発明に基づいて下層の非磁性顔料を表面
処理することによって実現可能である。
【0014】比抵抗が5×108 Ω/cm2 を超えると、ド
ロップアウトが生じる可能性がある。また、比抵抗を1
×106 Ω/cm2 未満にするには、通常は、磁性層中のカ
ーボンブラックの含有量を多くしなければならず、電磁
変換特性を低下させることになる。
【0015】本発明の磁気記録媒体において、下層に含
有させる非磁性顔料としては、例えば、α−Fe2 3
等の非磁性酸化鉄、酸化チタン、酸化錫、チタン酸バリ
ウム等があり、これらの非磁性顔料の表面が、モリブデ
ン酸、タングステン酸、錫酸、ポリモリブデン酸及びポ
リタングステン酸の少なくとも1種からなる表面処理剤
により被覆されているものである。これらの顔料は、単
独で用いることもできるし、複数を混合して用いること
もできる。
【0016】これらの非磁性顔料の比表面積はBET値
で10〜100m2/g(更には40〜60m2/g)であるのがよい。こ
の比表面積範囲は、表面処理剤による処理を良好に行え
ると共に、上層の表面性を適度に設定するために必要な
ものである。
【0017】また、これらの非磁性顔料に対する表面処
理剤による処理方法としては、非磁性顔料を分散媒に分
散させ、これに表面処理剤を化合物の形で添加し、非磁
性顔料の表面に吸着させることができる。或いは、表面
処理剤の溶液中に非磁性顔料を分散させ、この表面に表
面処理剤を吸着させることもできる。
【0018】この場合、非磁性顔料に対する表面処理剤
の吸着量は、上述した表面処理の効果を発揮するために
は、非磁性顔料に対してアニオンの重量として 0.1〜10
重量%(更には1〜5重量%)とするのが望ましい。
【0019】本発明の磁気記録媒体において、上層で用
いられる磁性粉としては、Fe、Co、Ni、等の金
属、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni
−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、F
e−Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe
−Ni−Zn、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−N
i、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、
Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、
Mn−Al、Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄
等が挙げられる。磁性粉には、還元時の焼結防止又は形
状維持等の目的で添加されるAl、Si、P、B等の軽
金属元素が適当量含有されていても、本発明の効果を妨
げるものではない。
【0020】更に、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、γ−
Fe2 3 とFe3 4 とのベルトライド化合物、Co
含有γ−Fe2 3 、Co含有Fe3 4 、Coを含有
するγ−Fe2 3 とFe3 4 とのベルトライド化合
物、CrO2 に1種又はそれ以上の金属元素(例えば、
Te、Sb、Fe、Bi等)を含有させた酸化物等があ
る。
【0021】これらの磁性粉は、それぞれ1種を用いる
ことができるが、2種以上を併用することができる。
【0022】また、本発明に用いる磁性粉の比表面積
は、BET値で20〜90m2/gであってよく、25〜70m2/gで
あることが望ましい。比表面積が、上記範囲にあると、
磁性粉を微粒子化して高密度記録が可能となり、ノイズ
特性の優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0023】更に、本発明に用いられる磁性粉は、長軸
長が0.05〜0.50μm、軸比が5〜15であることが好まし
い。長軸長が0.05μm未満であると、磁性塗料中の分散
が困難となり、長軸長が0.50μmを超えるとノイズ特性
が劣化するおそれがある。軸比が5未満であると、磁性
粉の配向性が低下して出力が低下し易くなり、軸比が15
を超えると短波長の信号出力が低下するおそれがある。
【0024】本発明の磁気記録媒体では、上層及び下層
に含有させる結合剤としては、極性官能基を有するもの
が例示される。
【0025】結合剤の骨格の高分子樹脂としては、ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂
を用いることが好ましい。
【0026】上記極性官能基としては、−SO3 M、−
OSO3 M、−COOM、−(O=)P(OM1 )(O
2 )等がある。ここにおいて、式中Mは、水素原子あ
るいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ
金属であり、M1 とM2 はそれぞれ水素原子、或いはリ
チウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属であ
り、M1 とM2 は同一であっても異なっていてもよい。
【0027】更に、上記極性官能基としては、−NR1
2 、−NR1 2 3 + - の末端基を有する側鎖型
のもの、>NR1 2 + - の主鎖型のものがある。こ
こにおいて、式中、R1 、R2 、R3 は、水素原子又は
炭化水素基であり、X- は弗素、塩素、臭素、ヨウ素等
のハロゲン元素イオン又は無機若しくは有機イオンであ
る。
【0028】このような極性官能基を有する結合剤は、
磁性粉や顔料の表面への吸着性が良く、磁性粉及び顔料
の凝集防止効果があり、塗料中の分散性が改善される。
そして、塗膜の耐久性も向上し、電磁変換特性も向上す
る。これらの結合剤は、1種のみが単独で用いられるこ
とができるが、2種以上を併用することもできる。
【0029】上記の極性官能基の量は結合剤1g当たり
0.03〜0.3mmol が好ましい。結合剤1g当たり0.03mmol
より少ないと、分散性に対する効果が小さくなり、結合
剤1g当たり 0.3mmolより多い場合には、吸湿性が高く
なり、耐候性が悪くなるばかりでなく、かえって分散性
が悪化してしまう場合がある。また、この極性官能基は
1種類でも2種類以上含まれても構わない。
【0030】更に、本発明では、上記に例示した結合剤
を用いる以外に、従来公知の結合剤を用いることがで
き、或いは、併用することも可能である。この従来公知
の結合剤として熱可塑性樹脂があるが、これには、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル
酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステ
ル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデ
ン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラ
ール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレ
ート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロー
ス)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、アミノ樹脂、合成ゴム等の熱可塑性樹脂がある。
【0031】また、使用可能な他の従来公知の結合剤と
して熱硬化性樹脂があるが、これには、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミ
ン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等がある。
【0032】塗膜におけるこれらの結合剤の含有量は、
上記磁性粉又は非磁性顔料 100重量部に対して、1〜20
0 重量部としてよく、好ましくは1〜50重量部である。
結合剤の使用量が多すぎると、磁性粉の磁性層(上層)
に占める割合が相対的に低下して出力の低下を生じ易く
なり、また、少なすぎると、塗膜の力学的強度が低下
し、磁気記録媒体の走行耐久性が低下し易い。
【0033】本発明では、上記結合剤を架橋硬化させる
ポリイソシアネートを併用することができる。このポリ
イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート又
はこれらの付加体、アルキレンジイソシアネート又はこ
れらの付加体等がある。これらのポリイソシアネートの
上記結合剤への配合量は、上記結合剤 100重量部に対し
て、5〜80重量部であってよく、好ましくは10〜50重量
部である。
【0034】本発明の磁気記録媒体においては、必要に
応じて、潤滑剤、非磁性補強粒子、界面活性剤等を上記
磁性層に含有させることができる。
【0035】上記潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブ
デン、シリコーンオイル、炭素数10〜22までの脂肪酸、
この脂肪酸と炭素数2〜26までのアルコールとから得ら
れる脂肪酸エステル、テルペン系化合物、これらのオリ
ゴマー等がある。上記潤滑剤は、上層にのみ添加するこ
ともできるし、上下両層に添加することもできる。
【0036】上記非磁性補強粒子としては、酸化アルミ
ニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネ
ット、エメリー、窒化ホウ素等がある。この粒子の含有
量は、磁性粉 100重量部に対して、20重量部以下であっ
てよく、好ましくは10重量部以下であり、また、平均粒
径は 1.0μm以下であってよく、好ましくは 0.5μm以
下である。上記非磁性補強粒子も、上層にのみ添加する
こともできるし、上下両層に添加することもできる。
【0037】上記界面活性剤としては、ノニオン系、ア
ニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤がある。
【0038】本発明の磁気記録媒体の非磁性基体(非磁
性支持体)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル
類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロース
トリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロー
ス類、ビニル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネー
ト類に代表されるような高分子材料、或いは、金属、ガ
ラス、セラミックス等により形成される支持体等があ
る。非磁性基体は、テープ状、ディスク状、カード状等
の種々の形状を有していてよい。
【0039】以上が本発明の磁気記録媒体の基本的な構
成であるが、磁気記録媒体の構成はこれに限られず、例
えば非磁性基体において、磁性層が形成されていない側
の面(裏面)には磁気記録媒体の走行性の向上や帯電防
止及び転写防止等を目的として、非磁性又は磁性の粉末
と結合剤とを主体としたバックコート層を形成してもよ
い。また、磁性層自体を重層とし、各層で異なる磁気特
性(例えば保磁力Hc)を有するようにしてもよい。
【0040】バックコート層に用いる非磁性粉末として
は、カーボンブラックを主体とするものが一般的である
が、これ以外にも、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チ
タン、α−酸化鉄等が挙げられる。また、磁性粉末とし
ては、磁性層に用いるものとして上述したもののいずれ
も使用可能である。それらを単独又は組み合わせて用い
てもよい。結合剤及びその他の添加剤としては、磁性層
に用いるものとして上述したもののいずれも使用可能で
あり、それらを単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0041】上記非磁性基体上の塗膜は、上記の上層及
び下層の形成材料を塗料化して塗布、乾燥して形成され
る。
【0042】この塗料化に用いられる溶剤は、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノ
ール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチ
ル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶
媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エト
キシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンク
ロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が用いられる。
【0043】上記塗料の作製のための分散・混練には、
ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジター、ニー
ダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超音波分散
機等が用いられる。
【0044】更に、このようにして形成された塗料を非
磁性基体上に同時に重層塗布するのがよいが、これに
は、主にダイコーターが用いられる。ダイコーターのリ
ップ構成は、2リップ方式、3リップ方式、4リップ方
式等が用いられる。
【0045】図1は、本発明の磁気記録媒体の一例(ビ
デオ用の磁気テープ)を示すものである。即ち、非磁性
支持体1の一方の面に、表面処理された非磁性顔料及び
結合剤を含有した下層4を介して、磁性粉及び結合剤等
を含有した磁性層2を有している。また、他方の面に、
一点鎖線の如くに、非磁性粉末と結合剤とを主体とする
バックコート層3を有していてもよい。
【0046】非磁性支持体上に下層4及び磁性層2(上
層)を形成する場合、一層ずつ塗布乾燥工程を行う方式
(いわゆるウエット・オン・ドライ塗布方式)と、乾燥
されていない湿潤状態にある下層の上に磁性層を重ねて
塗布する方式(いわゆるウエット・オン・ウエット塗布
方式=湿潤重層塗布方式)とがある。
【0047】本発明の磁気記録媒体の製造に当たって
は、ウエット・オン・ドライ塗布方式で乾燥下層付きの
非磁性支持体をまず作製し、この上に磁性層を塗布して
もよいが、ウエット・オン・ウエット重層塗布方式によ
る同時湿潤重層塗布を行うのが好ましい。
【0048】図2は、本発明による好ましい製造方法の
一例を示すものである。この製造方法においては、例え
ば図1の媒体を製造するに当たり、まず供給ロールから
繰り出されたフィルム状支持体1は、矢印D方向へ送り
ながら、エクストルージョン方式の押し出しコーター10
により下層4及び磁性層2用の各塗料4’及び2’を同
時に重層塗布する。
【0049】押し出しコーター10には、液溜り部13、14
が設けられ、各塗料2’、4’をウエット・オン・ウエ
ット方式で同時に重ねる。こうしたウエット・オン・ウ
エット方式における同時湿潤重層塗布においては、下層
4が湿潤状態4’のまま上層の磁性層2の磁性塗料2’
を塗布するので、下層の表面(即ち、上層と境界面)が
滑らかになると共に上層の表面性が良好になってカレン
ダー処理を省略できることがあり、かつ、上下層間の接
着性も向上する。
【0050】この結果、特に高密度記録のために高出
力、低ノイズの要求される磁気記録媒体としての要求性
能を満たしたものとなり、かつ、高耐久性の性能が要求
されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度が向上
し、耐久性が十分となる。また、ドロップアウトも低減
することができ、信頼性も向上する。
【0051】これに対し、ウエット・オン・ドライ方式
による場合、下層4として、上層の磁性層2の塗料に用
いる溶剤に対して十分な耐溶剤性のあるものを選択する
必要がある。
【0052】上記ウエット・オン・ウエット重層塗布方
式によって形成される上下層間には、明確な境界が実質
的に存在する場合以外に、一定の厚みで以て、両層の成
分が混在してなる境界領域が存在する場合があるが、こ
うした境界領域を除いた上側又は下側の層を上記磁性
層、下層としてよい。いずれの場合も、本発明の範囲に
含まれる。
【0053】なお、上記の重層塗布後は、乾燥器に導入
し、更に必要とあれば、カレンダー装置に導き、巻取り
ロールに巻き取る。このようにして得られた磁性フィル
ムを例えば1/2インチにスリッティングして磁気テー
プを作製し、これをカセット内に収容してテープカセッ
トを製造する。
【0054】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0055】実施例1 9lのイオン交換水中に、軸比 10、BET法による比
表面積 45m2/gを有する市販のα−Fe2 3 粉末 1
kgを分散させ、これに1lのイオン交換水に溶解させた
錫酸カリウム(K2 SnO3 ・3H2 O;試薬一級)
5.4gを加えて、室温で1時間攪拌し、粒子表面に錫酸
の吸着反応を行った。錫酸イオン(SnO3 2-)の投入
量は、酸化鉄粉に対して 0.3wt%に相当する。
【0056】吸着終了後、常法により水洗、濾別、乾燥
して、錫酸によって表面修飾されたα−酸化鉄を得た。
【0057】次に、下記の組成にて、上層及び下層の塗
料化を行った。塗料化は、常法に従い、顔料、結合剤、
添加剤、溶剤を混合後、サンドミルで2時間分散して行
った。
【0058】 <上層塗料組成> Fe系メタル磁性粉(保磁力=118kA/m 、飽和磁化量=120Am2/kg 、比表面積 =51m2/g、針状比(軸比)=12) 100重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製;極性基としてスルホン酸金属塩を 樹脂 106g当たり50当量含む) 20重量部 添加剤(カーボン) 2重量部 添加剤(Al2 3 ) 5重量部 オレイン酸 2重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部
【0059】 <下層塗料組成> サンプル粉(錫酸イオンを吸着させたα−酸化鉄) 100重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製;極性基としてスルホン酸金属塩を 樹脂 106g当たり50当量含む) 17重量部 オレイン酸 2重量部 メチルエチルケトン 110重量部 シクロヘキサノン 110重量部
【0060】上記のように調製された塗料を4リップ方
式ダイコーターを用いて、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルム上に同時重層塗布し、配向処理した
後、乾燥、裁断してサンプルテープを作製した。各層の
塗布厚は上層 0.2μm、下層2.4μmであり、上層/下
層の厚み比率は1/12とした。
【0061】サンプル粉及びサンプルテープの諸特性は
後記の表1にまとめた。
【0062】ここで、磁気特性は試料振動型磁力計(東
英工業社製)で測定した。比表面積はBET一点法(島
津製作所製)で測定した。テープ表面電気抵抗(E.
R.)は、絶縁抵抗計(横河ヒューレットパッカード社
製)を用いて測定した。塗布厚みは、電子顕微鏡による
断面観察から測定したため、最大10%程度の測定誤差が
見込まれる。
【0063】この実施例によるサンプルテープの表面電
気抵抗は、 2.5×108 Ω/cm2 と適当な値となり、ドロ
ップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であり、テ
ープ走行性にも何ら異常は見られなかった。
【0064】実施例2、3 実施例1において、錫酸の量を後記の表1に示すように
増量する以外は、実施例1と同様に表面処理し、錫酸に
よって表面修飾されたα−酸化鉄を得た後、実施例1と
同様にテープ化した。錫酸の量は酸化鉄に対して各々2
wt%、10wt%に相当する。
【0065】これらの実施例では、錫酸の量を増大する
に従って表面電気抵抗は漸減し、2wt%処理において
5.0×107 Ω/cm2 、10wt%処理においては 8.5×106
Ω/cm2 と極めて低い値が得られた。また、いずれのテ
ープも、ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良
好であり、走行性には何ら問題が見られなかった。
【0066】実施例4 実施例1において、錫酸カリウムに代えて、タングステ
ン酸ナトリウム(Na2 WO4 ・2H2 O;試薬一級)
4.0gを用いた以外は、実施例1と同様に処理し、タン
グステン酸によって表面修飾されたα−酸化鉄を得た
後、実施例1と同様にテープ化した。タングステン酸イ
オン(WO4 2-)の量は、酸化鉄に対して0.3wt%に相
当する。
【0067】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 2.9×108 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら異常は見られなかった。
【0068】実施例5、6 実施例4において、タングステン酸ナトリウムの量を後
記の表1に示すように増量する以外は、実施例4と同様
に処理し、タングステン酸によって表面修飾されたα−
酸化鉄を得た後、実施例1と同様にテープ化した。タン
グステン酸の量は、酸化鉄粉に対して各々2wt%、10wt
%に相当する。
【0069】これらの実施例では、タングステン酸の量
を増量するに従って表面電気抵抗は漸減し、2wt%処理
において 8.8×107 Ω/cm2 、10wt%処理においては
1.0×107 Ω/cm2 と極めて低い値が得られた。また、
いずれのテープも、ドロップアウトが実質的になく、磁
気特性が良好であり、走行性には何ら問題が見られなか
った。
【0070】実施例7 実施例1において、錫酸カリウムに代えて、モリブデン
酸ナトリウム(Na2MoO4 ・2H2 O;試薬一級)
4.5gを用いた以外は、実施例1と同様に処理し、モリ
ブデン酸によって表面修飾されたα−酸化鉄を得た後、
実施例1と同様にテープ化した。モリブデン酸イオン
(MoO4 2-)の量は、酸化鉄に対して 0.3wt%に相当
する。
【0071】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 2.9×108 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性には何ら問題が見られなかった。
【0072】実施例8、9 実施例7において、モリブデン酸ナトリウムの量を後記
の表1に示すように増量する以外は、実施例7と同様に
処理し、モリブデン酸によって表面修飾されたα−酸化
鉄を得た後、実施例1と同様にテープ化した。モリブデ
ン酸の量は、酸化鉄粉に対し各々2wt%、10wt%に相当
する。
【0073】これらの実施例では、モリブデン酸の量を
増量するに従って表面電気抵抗は漸減し、2wt%処理に
おいて 8.0×107 Ω/cm2 、10wt%処理においては 9.8
×106 Ω/cm2 と極めて低い値が得られた。また、いず
れのテープも、ドロップアウトが実質的になく、走行性
には何ら問題が見られなかった。
【0074】実施例10 実施例1において、錫酸カリウムを単独で用いる代わり
に、錫酸カリウム(試薬一級)18.0gとタングステン酸
ナトリウム(試薬一級)13.4gを混合して用いた以外
は、実施例1と同様に処理し、錫酸とタングステン酸に
よって表面修飾されたα−酸化鉄を得た後、実施例1と
同様にテープ化した。錫酸イオンとタングステン酸イオ
ンの量は、酸化鉄に対して各々 1.0wt%に相当する。
【0075】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 7.0×107 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら問題が見られなかった。
【0076】実施例11 実施例1において、錫酸カリウムを単独で用いる代わり
に、錫酸カリウム(試薬一級)18.0gとモリブデン酸ナ
トリウム(試薬一級)15.1gを混合して用いた以外は、
実施例1と同様に処理し、錫酸とモリブデン酸によって
表面修飾されたα−酸化鉄を得た後、実施例1と同様に
テープ化した。錫酸イオンとモリブデン酸イオンの量
は、酸化鉄に対して各々 1.0wt%に相当する。
【0077】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 6.5×107 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら問題が見られなかった。
【0078】実施例12 実施例1において、錫酸カリウムを単独で用いる代わり
に、タングステン酸ナトリウム(試薬一級)13.4gとモ
リブデン酸ナトリウム(試薬一級)15.1gを混合して用
いた以外は、実施例1と同様に処理し、タングステン酸
とモリブデン酸によって表面修飾されたα−酸化鉄を得
た後、実施例1と同様にテープ化した。タングステン酸
イオンとモリブデン酸イオンの量は、酸化鉄に対して各
々 1.0wt%に相当する。
【0079】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 8.3×107 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら問題が見られなかった。
【0080】実施例13 実施例1において、錫酸カリウムを単独で用いる代わり
に、錫酸カリウム(試薬一級)12.0gとタングステン酸
ナトリウム(試薬一級) 8.9g、モリブデン酸ナトリウ
ム(試薬一級)10.1gを混合して用いた以外は、実施例
1と同様に処理し、錫酸、タングステン酸、モリブデン
酸によって表面修飾されたα−酸化鉄を得た後、実施例
1と同様にテープ化した。錫酸イオン、タングステン酸
イオン、モリブデン酸イオンの量は、酸化鉄に対して各
々0.67wt%に相当する。
【0081】この実施例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 7.2×107 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら問題が見られなかった。
【0082】実施例14 実施例2において、下層に用いる顔料をα−Fe2 3
に代えて酸化チタン(ルチル型)とした以外は同様にし
てテープ化した。
【0083】この実施例でも、後記の表1に示すように
実施例2と同等の良好な結果が得られた。
【0084】実施例15 実施例5において、下層に用いる顔料をα−Fe2 3
に代えて酸化チタン(ルチル型)とした以外は同様にし
てテープ化した。
【0085】この実施例でも、後記の表1に示すように
実施例5と同等の良好な結果が得られた。
【0086】実施例16 実施例8において、下層に用いる顔料をα−Fe2 3
に代えて酸化チタン(ルチル型)とした以外は同様にし
てテープ化した。
【0087】この実施例でも、後記の表1に示すように
実施例8と同等の良好な結果が得られた。
【0088】比較例1 実施例1において、何の表面修飾も行わないα−酸化鉄
を下層用顔料として、実施例1と同様の組成でテープ化
した。
【0089】この比較例では、後記の表1に示すように
表面電気抵抗は 1.4×109 Ω/cm2と高い値となり、帯
電による集塵が原因と思われるドロップアウトが観察さ
れた他、放電に伴うノイズが発生した。
【0090】比較例2 実施例1において、下層を形成せず、磁性層に添加する
カーボンを10重量部に増量した以外は同様にしてテープ
化した。
【0091】このテープの表面電気抵抗が 2.5×108 Ω
/cm2 となるように上記のカーボン量を使用したが、得
られた磁気特性は後記の表1に示すように劣化し、また
塗膜強度の低下によりドロップアウトも観察された。
【0092】比較例3 実施例1において、下層を形成せず、磁性層に添加する
磁性粉を錫酸カリウムによって同様に表面処理した以外
は同様にしてテープ化した。
【0093】このテープの表面電気抵抗が 2.5×108 Ω
/cm2 となるように上記の錫酸カリウム量を使用した
が、得られた磁気特性は後記の表1に示すように劣化
し、また塗膜強度の低下によりドロップアウトも観察さ
れた。
【0094】 *tHc:テープの保磁力(以下、同様)
【0095】 *比較例2、比較例3は単層(磁性層のみ)
【0096】以上に示したように、モリブデン酸、タン
グステン酸、錫酸の少なくとも1種で表面修飾されたα
−酸化鉄等を同時重層塗布媒体の下層用顔料として用い
ることによって、低い表面電気抵抗を実現でき、ドロッ
プアウトを実質的になくし、媒体の走行安定性を改良で
き、しかも磁気特性も良好にできることが分かる。
【0097】実施例17 イオン交換水 100ml中に、金属モリブデン5gと30%過
酸化水素 20mlを投入後、24時間静置し、ポリモリブデ
ン酸溶液を得た。この溶液のpHは1以下(強酸性)であ
った。
【0098】上記ポリモリブデン酸溶液を 2.9ml分取
し、アンモニア水とイオン交換水を用いてpH=4に希釈
し、約 150mlのポリモリブデン酸希薄溶液とした後、こ
の希薄溶液に、軸比 10、BET法による比表面積 45
m2/gを有する市販のα−Fe23 粉末 20gを分散さ
せ、室温で1時間攪拌し、粒子表面にポリモリブデン酸
の吸着反応を行った。ポリモリブデン酸の投入量は、モ
リブデン/鉄の原子比で約 0.5atom%に相当する。
【0099】吸着終了後、常法により水洗、濾別、乾燥
して、ポリモリブデン酸によって表面修飾されたα−酸
化鉄を得た。
【0100】次に下記の組成にて、上層及び下層の塗料
化を行った。塗料化は、常法に従い、顔料、結合剤、添
加剤、溶剤を混合後、サンドミルで2時間分散した。
【0101】 <上層塗料組成> Fe系メタル磁性粉(保磁力=118kA/m 、飽和磁化量=120Am2/kg 、比表面積 =51m2/g、針状比(軸比)=12) 100重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製;極性基としてスルホン酸金属塩を 樹脂106 g当たり50当量含む) 20重量部 添加剤(カーボン) 2重量部 添加剤(Al2 3 ) 5重量部 オレイン酸 2重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部
【0102】 <下層塗料組成> サンプル粉(ポリモリブデン酸を吸着させたα−酸化鉄) 100重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製;極性基としてスルホン酸金属塩を 樹脂106 g当たり50当量含む) 17重量部 オレイン酸 2重量部 メチルエチルケトン 110重量部 シクロヘキサノン 110重量部
【0103】上記のように調製された塗料を4リップ方
式ダイコーターを用いて、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルム上に同時重層塗布し、配向処理した
後、乾燥、裁断してサンプルテープを作製した。各層の
塗布厚は上層 0.2μm、下層2.4μmであり、上層/下
層の厚み比率は1/12とした。
【0104】サンプル粉及びサンプルテープの諸特性は
後記の表2にまとめた。
【0105】ここで、磁気特性は試料振動型磁力計(東
英工業社製)で測定した。比表面積はBET一点法(島
津製作所製)で測定した。テープ表面電気抵抗は、絶縁
抵抗計(横河ヒューレットパッカード社製)を用いて測
定した。塗布厚みは、電子顕微鏡による断面観察から測
定したため、最大10%程度の測定誤差が見込まれる。
【0106】この実施例によるサンプルテープの表面電
気抵抗は、 2.0×108 Ω/cm2 と適当な値となり、ドロ
ップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であり、テ
ープ走行性にも何ら異常は見られなかった。
【0107】実施例18、19 実施例17において、ポリモリブデン酸の量を後記の表2
に示すように増量する以外は、実施例17と同様に表面処
理し、ポリモリブデン酸によって表面修飾されたα−酸
化鉄を得た後、実施例17と同様にテープ化した。ポリモ
リブデン酸の量は、モリブデン/鉄の原子比で各々1at
om%、3atom%に相当する。
【0108】これらの実施例では、ポリモリブデン酸の
量を増量するに従って、表面電気抵抗は漸減し、1atom
%処理において 9.0×106 Ω/cm2 、3atom%処理にお
いては 2.5×106 Ω/cm2 と極めて低い値が得られた。
また、いずれのテープも、ドロップアウトが実質的にな
く、磁気特性が良好であり、走行性には何ら問題が見ら
れなかった。
【0109】実施例20 イオン交換水 100ml中に、金属タングステン 9.6gと30
%過酸化水素水 20mlを投入後、24時間静置し、ポリタ
ングステン酸溶液を得た。この溶液のpHは1以下(強酸
性)であった。
【0110】上記ポリタングステン酸溶液を 2.9ml分取
し、アンモニア水とイオン交換水を用いてpH=4に希釈
し、約 150mlのポリタングステン酸希薄溶液とした後、
この希薄溶液に、軸比 10、BET法による比表面積
45m2/gを有する市販のα−Fe2 3 粉末 20gを分散
させ、室温で1時間攪拌し、粒子表面にポリタングステ
ン酸の吸着反応を行った。ポリタングステン酸の投入量
は、タングステン/鉄の原子比で約 0.5atom%に相当す
る。
【0111】吸着終了後、常法により水洗、濾別、乾燥
して、ポリタングステン酸によって表面修飾されたα−
酸化鉄を得た。
【0112】このサンプル粉を用い、実施例17と同様に
テープ化した。この実施例では、後記の表2に示すよう
に表面電気抵抗は 1.1×108 Ω/cm2 と適当な値とな
り、ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好で
あり、テープ走行性にも何ら異常は見られなかった。
【0113】実施例21、22 実施例20において、ポリタングステン酸の量を後記の表
2に示すように増量する以外は、実施例20と同様に処理
し、ポリタングステン酸によって表面修飾されたα−酸
化鉄を得た後、実施例17と同様にテープ化した。ポリタ
ングステン酸の量は、タングステン/鉄の原子比で各々
1atom%、3atom%に相当する。
【0114】これらの実施例では、ポリタングステン酸
の量を増量するに従って表面電気抵抗は漸減し、1atom
%処理において 3.0×107 Ω/cm2 、3atom%処理にお
いては 4.5×106 Ω/cm2 と極めて低い値が得られた。
また、いずれのテープも、ドロップアウトが実質的にな
く、磁気特性が良好であり、走行性には何ら問題が見ら
れなかった。
【0115】実施例23 実施例17において、ポリモリブデン酸を単独で用いる代
わりに、ポリモリブデン酸とポリタングステン酸とを同
時に吸着させる以外は、実施例17と同様に処理し、ポリ
モリブデン酸とポリタングステン酸よって表面修飾され
たα−酸化鉄を得た後、実施例17と同様にテープ化し
た。ポリモリブデン酸とポリタングステン酸の量は、各
々モリブデン/鉄の原子比、タングステン/鉄の原子比
で 0.5atom%に相当する。
【0116】この実施例では、後記の表2に示すように
表面電気抵抗は 1.4×107 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、テープ走行性にも何ら
異常は見られなかった。
【0117】実施例24 実施例7で用いたモリブデン酸で表面修飾されたα−酸
化鉄と、実施例17で用いたポリモリブデン酸で表面修飾
されたα−酸化鉄とをそれぞれ50重量部ずつ使用した以
外は同様にしてサンプルテープを作製した。前者のモリ
ブデン酸イオン(MoO4 2-)の量は酸化鉄に対して0.
15wt%、後者のポリモリブデン酸の量(投入量)はモリ
ブデン/鉄の原子比で約0.25atom%であった。
【0118】この実施例では、後記の表2に示すように
表面電気抵抗は 2.2×108 Ω/cm2と適当な値となり、
ドロップアウトが実質的になく、磁気特性が良好であ
り、テープ走行性にも何ら異常は見られなかった。
【0119】実施例25 実施例18において、下層に用いる顔料をα−Fe2 3
に代えて酸化チタン(ルチル型)とした以外は同様にし
てテープ化した。
【0120】この実施例でも、後記の表2に示すように
実施例18と同等の良好な結果が得られた。
【0121】実施例26 実施例21において、下層に用いる顔料をα−Fe2 3
に代えて酸化チタン(ルチル型)とした以外は同様にし
てテープ化した。
【0122】この実施例でも、後記の表2に示すように
実施例21と同等の良好な結果が得られた。
【0123】比較例4 実施例17において、希薄ポリモリブデン酸溶液の代わり
に、イオン交換水でpH=4に調整した塩酸溶液を用い
て、同様の工程を行い、実施例17と同様の組成でテープ
化した。表面電気抵抗は後記の表2に示すように 1.0×
109 Ω/cm2 と高い値となり、帯電による集塵が原因と
思われるドロップアウトが若干観察された。
【0124】比較例5 実施例14において、下層を形成せず、磁性層に添加する
磁性粉をポリモリブデン酸によって同様に表面処理した
以外は同様にしてテープ化した。
【0125】このテープの表面電気抵抗が 2.0×108 Ω
/cm2 となるように上記のポリモリブデン酸量を使用し
たが、得られた磁気特性は後記の表2に示すように劣化
し、また塗膜強度の低下によりドロップアウトも観察さ
れた。
【0126】
【0127】 *モリブデン酸イオンの量 **ポリモリブデン酸の量 ***比較例5は単層(磁性層のみ)
【0128】以上に示したように、ポリモリブデン酸、
ポリタングステン酸の少なくとも1種、更にはモリブデ
ン酸の併用で表面修飾されたα−酸化鉄等を同時重層塗
布媒体の下層用顔料として用いることによって、低い表
面電気抵抗を実現でき、ドロップアウトを実質的になく
し、媒体の走行安定性を改良でき、しかも磁気特性も良
好にできることが分かる。
【0129】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、上
述の如く、磁性層に対して導電性顔料の添加や磁性粉の
表面改質を行うのではなく、上層を磁性層、下層を非磁
性層とする重層塗布型の媒体構成とし、下層の非磁性層
の非磁性顔料の表面を、モリブデン酸、タングステン酸
及び錫酸からなる群より選ばれた少なくとも1種と、ポ
リモリブデン酸及びポリタングステン酸からなる群より
選ばれた少なくても1種とのうちの少なくとも一方から
なる表面処理剤によって処理し、この処理非磁性顔料を
下層に含有せしめているので、磁性層表面の電気抵抗を
十分に低く保つことができ、これによって、走行性を向
上させ、ドロップアウト等の発生を減少させ、電磁変換
特性を良好にし、高密度記録に適した高い信頼性を持つ
磁気記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一構成例を示
す概略断面図である。
【図2】同時湿潤重層塗布時のコーター部分を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体 2・・・磁性層(上層) 3・・・バックコート層 4・・・非磁性層(下層)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉を結合剤中に分散せしめてなる上
    層と、非磁性顔料を結合剤中に分散せしめてなる下層と
    を非磁性基体上に有する重層塗布型の磁気記録媒体にお
    いて、前記非磁性顔料の表面が、モリブデン酸、タング
    ステン酸及び錫酸からなる群より選ばれた少なくとも1
    種と、ポリモリブデン酸及びポリタングステン酸からな
    る群より選ばれた少なくとも1種とのうちの少なくとも
    一方からなる表面処理剤によって処理されていることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性顔料の表面が表面処理剤によって
    被覆されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上層の表面の比抵抗が1×106 〜5×10
    8 Ω/cm2 である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上層及び下層からなる塗布層の全塗布厚
    が 0.1〜10μmであり、上層/下層の厚み比率が1/1
    〜1/50である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上層及び下層における結合剤の含有量
    が、磁性粉及び非磁性顔料のそれぞれ 100重量部に対し
    てそれぞれ1〜200 重量部である、請求項1に記載した
    磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上層及び下層における結合剤が極性官能
    基を有している、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上層及び下層が非磁性基体上に同時に塗
    布されたものである、請求項1に記載した磁気記録媒
    体。
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