JPH08198979A - 延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents

延伸ポリプロピレンフィルム

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JPH08198979A
JPH08198979A JP851095A JP851095A JPH08198979A JP H08198979 A JPH08198979 A JP H08198979A JP 851095 A JP851095 A JP 851095A JP 851095 A JP851095 A JP 851095A JP H08198979 A JPH08198979 A JP H08198979A
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JP
Japan
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compound
isotactic
film
polypropylene film
polypropylene
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Application number
JP851095A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Watanabe
和幸 渡辺
Hideharu Goto
秀春 後藤
Michio Kuze
道雄 久世
Hisayoshi Yanagihara
久嘉 柳原
Katsuharu Tagashira
克春 田頭
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、水蒸気バリヤー性に優れ、かつ剛
性、引張強度、耐衝撃性などの機械的強度にも優れる延
伸ポリプロピレンフィルムを提供する。 【構成】 下記(i) 〜(iv)の物性を有する延伸ポリプロ
ピレンフィルムである。 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部(XI) 9
8.0重量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率(IP) 9
8.0%以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長(N) 500以上 (iv) キシレン抽出不溶部のカラム分別法による各フラ
クションのアイソタクチック平均連鎖長(Nf )が80
0以上のものの合計量 10重量%以上

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、包装材料、印刷用紙、
ラベル、粘着テープなどに好適に用いられる、透明性、
水蒸気バリヤー性に優れ、かつ剛性、引張強度、耐衝撃
性などの機械的強度にも優れる延伸ポリプロピレンフィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプ
ロピレンを一軸または二軸に延伸して得られるフィルム
であり、多方面の分野に使用されている。一軸延伸フィ
ルムは中・高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどを
原料として、熱板加熱装置あるいはロール圧延装置など
を用いて一軸方向に延伸したフィルムである。該フィル
ムは、延伸方向の強度および剛性が大きく、かつヒネリ
特性に優れるという特性を生かして、特に製菓などのヒ
ネリ包装材として包装材分野に広く利用されている。
【0003】しかし、一軸延伸フィルムは他のフィルム
と比べて透明性が劣るという欠点がある。また、ヒネリ
包装においても包装時あるいは運搬中にフィルムが縦に
裂けるという問題もあった。透明性を改良する方法とし
ては回転速度あるいは表面粗度を工夫した圧延ロールを
用いる方法(特開昭51−16360号公報、特開昭5
1−16360号公報など)が提案されている。また、
縦に裂ける問題を解決する方法として、例えば複合一軸
延伸フィルム(特開昭51−132282号公報な
ど)、高密度ポリエチレンからなるヒネリ包装用フィル
ム(特開昭60−233137号公報など)が提案され
ている。
【0004】一方、二軸延伸フィルムは縦と横の二軸方
向に延伸したフィルムで、セロハンよりも透明性、機械
的強度、防湿性、耐薬品性、電気的性質などの性質に優
れるので、セロハン代替材料として軟包装材、プリント
ラミ、コンデンサー、ラベル、粘着テープなどの分野に
広く用いられている。しかし、二軸延伸フィルムは剛性
および引張強度が不十分であり、粘着テープに要求され
る高速度での巻戻しあるいは剥離時に破れや切断が発生
する問題があった。
【0005】また、包装材の分野においても二軸延伸フ
ィルムは水蒸気バリヤー性が不十分であり、これを改良
する方法としてテルペン樹脂、ロジンエステル、インデ
ン樹脂などの石油樹脂を配合する方法(特開昭59−1
43613号公報、特開昭60−163949号公報、
特開昭64−26649号公報、特開平2−30143
3号公報、特開平2−301435号公報など)が提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記一
軸延伸フィルムの改良方法は、問題点の一部を改善する
ものであり、かつその改良効果もいまだ不十分であっ
た。また、二軸延伸フィルムにおける石油樹脂を配合す
る方法はフィルム表面に石油樹脂がブリードし、フィル
ムのベタツキ、外観不良などの問題がある。本発明は、
かかる状況に鑑みてなされたものであり、透明性、水蒸
気バリヤー性に優れ、かつ剛性、引張強度、耐衝撃性な
どの機械的強度にも優れる延伸ポリプロピレンフィルム
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の物性を有するポリプロピレンによ
り上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下
記(i) 〜(iv)の物性を有する延伸ポリプロピレンフィル
ムを提供するものである。 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部(XI) 9
8.0重量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率(IP) 9
8.0%以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長(N) 500以上 (iv) キシレン抽出不溶部のカラム分別法による各フラ
クションのアイソタクチック平均連鎖長(Nf )が80
0以上のものの合計量 10重量%以上 以下、本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明における延伸ポリプロピレンフィル
ムは次の物性を有することが必要である。すなわち、
(i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部(以下「XI」
という)が98.0重量%以上であり、好ましくは9
8.5重量%以上、さらに好ましくは99.0重量%以
上である。XIが98.0重量%未満では剛性および引
張強度に劣る。なお、XIの測定は、ポリプロピレンを
135℃のオルトキシレンにいったん溶解した後、25
℃に冷却してポリマーを析出させる方法によった。
【0009】また、 (ii) アイソタクチックペンタッド
分率(以下「IP」という)は、98.0%以上である
必要があり、98.2%以上が好ましく、特に98.5
%以上が好適である。IPが98.0%未満では剛性お
よび引張強度に劣るので好ましくない。なお、IPと
は、同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペ
ルトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペン
タッド単位でのアイソタクチック分率である。その測定
法は、A.Zambelli; Macromolecules,6,925(1973)、同
8,687(1975) および同 13,267(1980) に記載された方法
に従った。
【0010】また、(iii) アイソタクチック平均連鎖長
(以下「N」という)は500以上、好ましくは700
以上、特に好ましくは800以上である必要がある。N
が500未満では剛性および引張強度に劣る。なお、N
とは、ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチ
ック部分の平均的な長さを表すものであり、その測定方
法は、J.C.Randall;Polymer SequenseDistribution,Aca
demic Press,New York,1977,Chapter2)に記載されてい
る方法に拠った。具体的には、ポリプロピレンを1,
2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合
溶媒にポリマー濃度が10重量%となるように温度13
0℃に加温して溶解する。この溶液を10mmΦのガラ
ス製試料管に入れ、IPと同様の方法で13C−NMRス
ペクトルを測定する。このスペクトル図の例を図1に示
す。図1のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域
のスペクトルであり、bはそのスペクトルの拡大図であ
る。スペクトルは、ペンタッド単位すなわち隣接するメ
チル基5個をひとつの単位として測定され、メチル基の
アイソタクチシティー(構造的にはmmmm,mmmr
などの10種類がある)によって吸収ピークが異なる。
図1のbに吸収ピークとアイソタクチシティーとの対応
を示す。
【0011】一方、重合理論として Shan-Nong et al;P
olymer Journal,vol.15,No.12,p859-868(1983)に記載さ
れた2サイトモデルがある。すなわち、重合時の活性種
が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするものであ
り、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と
呼ばれるものである(詳細については、古川淳二;高分
子のエッセンスとトピックス2,「高分子合成」,P7
3(株)化学同人発行(1986)に記載されてい
る)。上記文献によると、結局、2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわち
アイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と
同じものが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 としてペンタッド単位でのアイソタクチシティーの異な
る10種類のアイソタクチック強度を理論的に計算でき
る。そして、前記NMRによる測定強度と、上記理論強
度とが一致するようにα、σおよびωを最小自乗法で求
め、次式により各ペンタッド単位を求める。
【0012】
【表1】 ただし、β=α(1−α)
【0013】次に、前記 J C.Randallの文献に記載され
た平均連鎖長(N)の定義式;N=メソ体の連鎖数/メ
ソ体のユニット数に当てはめ、実際には次式により求め
ることができる。 N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5
6 +A7 ) さらに、(iV)キシレン不溶部のカラム分別法による各フ
ラクションのアイソタクチック平均連鎖長(以下「N
f 」という)が800以上のものの合計量は全体の10
重量%以上であることが必要であり、好ましくは30重
量%以上、特に好ましくは50重量%である。Nf が8
00以上であるものの合計量が10重量%未満では剛性
および引張強度の改良効果に乏しい。
【0014】ここで、カラム分別法とは、前記キシレン
抽出不溶部をパラキシレンに温度130℃で溶解後、セ
ライトを加え、10℃/時間の降温速度で温度30℃ま
で下げ、セライトに付着させ、次に、スラリー状セライ
トをカラムに充填し、パラキシレンを展開液として温度
30℃から2.5℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリプ
ロピレンをフラクション別に分取する方法である。詳細
については、MasahiroKakugo et al;Macromolecules,vo
l.21,p314-319(1988)に記載されている。分取したポリ
プロピレンのNf は、前記Nの測定法を用いて測定され
る。
【0015】本発明の延伸フィルムの原料となるポリプ
ロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレン
と他のα−オレフィン(炭素数は多くとも12)との共
重合体が挙げられる。α−オレフィンの具体例として
は、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、
3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタ
ン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0016】本発明のポリプロピレンを得るための好ま
しい触媒の例としては、マグネシウム化合物、チタン化
合物、ハロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必
須成分とする固体触媒を、更に一般式:Ti Xa ・Yb
(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供
与性化合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数
をそれぞれ表す)で示されるチタン化合物で処理後、ハ
ロゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得
られる改良重合触媒が挙げられる。上記式中のTi Xa
は、例えば、R.P.S.Coutts,et al,Advan.Organometal.C
hem.,9,135(1970), 第4版新実験化学講座 17 無機錯
体・キレート錯体 日本化学会丸善(1991) p.35, H.K.K
akkoen,et al,J.Organomet.Chem.,453,175(1993)などに
記載されているように、一般に電子供与性化合物とは容
易に錯体を形成することが知られている。XはCl,Br,
Iのハロゲン原子であり、この中で好ましいのはCl で
ある。aは3もしくは4であるが、好ましくは4であ
る。Yとしては、一般に含酸素化合物、含窒素化合物、
含リン化合物、含硫黄化合物などが挙げられる。含酸素
化合物としては、例えばアルコール類、エーテル類、エ
ステル類、酸ハライド類、酸無水物類などが挙げられ
る。これらの電子供与性化合物は、1種でもよく、2種
以上を併用してもよい。これらの中でも好ましいものは
エステル類であり、特に好ましいものはフタル酸エステ
ル類である。Yのbは、前記aが3のときはbは1〜
3、aが4のときは1または2が好ましく、特に好まし
いのはaが4、bが1の場合である。
【0017】上記方法で調製された改良固体触媒は、ト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
プロピルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物と
第2の電子供与性化合物の共存下で重合するとよい。第
2の電子供与性化合物は、前記電子供与性化合物と同一
でもよいが、芳香族カルボン酸エステル、Si−O−C
またはSi−N−C結合を有するケイ素化合物、アセタ
ール化合物、GeO−C結合を有するゲルマニウム化合
物、アルキル置換基を有する窒素または酸素の複素環化
合物など使用してもよい。これらの中でもSi−O−C
結合を有するケイ素化合物が好ましい。好ましい例とし
ては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、テキシルト
リメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチル−ジメ
トキシシラン、n−プロピル−t−ブチル−ジメトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシランなどが挙げられ
る。また、重合に際して、公知の方法である予め少量の
モノマーで重合する予備重合を行ってもよい。
【0018】本発明の延伸フィルムの製造方法として
は、従来公知の方法で得ることができる。すなわち、前
記(i) 〜(iv)の条件を満足するポリプロピレンを押出成
形法などを用いて先ず未延伸フィルムを成形し、次いで
延伸工程で一軸または二軸延伸することにより得られ
る。一軸延伸方法としては熱板延伸法、二軸延伸法とし
てはTダイ法(テンター法)、リングタイ法(チューブ
ラー法)などが公知の加工法として挙げられる。
【0019】また、本発明の延伸フィルムは、単体での
使用あるいは他の材料を積層して積層フィルムとしても
使用することができる。積層方法としてはポリウレタン
系、ポリエステル系、ポリアクリル系などの接着剤を用
いるドライラミネート成形およびサンドイッチラミネー
ション成形、共押出ラミネーション成形などが挙げられ
る。さらに、本発明の延伸フィルムには、当業者に慣用
の添加剤、例えば酸化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止
剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、顔料、可塑
剤、柔軟剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜
配合してもよい。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、各物性の測定方法を以下に示す。 (1)MFR JIS K7210に準拠し、タカラ社製メルトインデ
クサーを使用した。 (2)キシレン不溶部(XI) ポリプロピレン2.5gをオルトキシレン250mlに
温度130℃の条件で溶解した後冷却し、25℃で析出
したポリプロピレン(重量%)をXIとした。 (3)アイソタクチックペンタッド分率(IP) IPの測定装置および測定条件を以下に示す。 測定器 日本電子社製 JNM−GSX400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間 :3.0s 積算回数 :20000回 溶 媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/
重ベンゼンの混合溶媒(75/25重量%) 内部循環 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃
【0021】(4)ヘーズ JIS K7105に準拠し、スガ試験機HGM−2D
型ヘーズメーターを用いて測定した。 (5)ヒネリ包装性 ヒネリ包装機(富士機械工業社製、PT−6型)を用い
てアメを包装し、次の3段階で評価した。 ○ ・・・・ ヒネリ残存率が大きい △ ・・・・ ヒネリ残存率が中程度 × ・・・・ ヒネリ残存率が小さい (6)縦裂け率 上記方法で行ったヒネリ包装品1000個を段ボール箱
に箱詰めし、高さ50cmの位置からコンクリート床に
3回落下させたときのヒネリ包装品の縦裂けによる破れ
発生率(%)で表した。なお、縦裂け率には包装時の縦
裂け分を含む。 (7)カット性 一軸延伸フィルムに延伸方向と直角にI型ノッチを入れ
た後、手で引き裂いたときの状況を次の3段階で評価し
た。 ○ ・・・・ 直線的にきれいに引き裂ける △ ・・・・ わずかにギザギザができる × ・・・・ 引き裂きにくい
【0022】(8)破断強度 JIS K7127に準拠し、オリエンテック社製RT
A−100型引張試験機を用いて引張速度500mm/
分の条件で測定した。 (9)引張弾性率 JIS K7127に準拠し、上記試験機を用いて引張
速度5mm/分の条件で測定した。 (10)フィルム衝撃強度 東洋精機製作所製フィルムインパクトテスター(1/4
インチ半球)を用いて測定した。 (11)水蒸気透過試験 ASTM E96に準拠し、温度37.8℃、相対湿度
90%の条件で、モダンコントロール社製PERMAT
RAN−Wを用いて測定した。
【0023】また、使用したポリプロピレンの製造例を
以下に示す。 (a)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール1
00g、出光興産社製ワセリンオイル(CP15N)5
00mlおよび信越シリコーン社製シリコーン油(KF
96)500mlからなる混合液に窒素雰囲気下、12
0℃で完全溶解した。この混合物を特殊機化工業社製T
Kホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で
3分間撹拌した。次いで、撹拌を維持しながら2リット
ルの無水ヘプタン中に0℃以下を維持するように冷却し
ながら移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十
分洗浄し、室温下で真空乾燥した。得られた白色固体3
0gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させ、0℃で撹
拌しながら四塩化チタン500mlを1時間かけて滴下
した。次に、加熱を始めて40℃になったところでフタ
ル酸ジイソブチル4.96gを加え、100℃まで約1
時間で上昇させた。100℃で2時間反応した後、熱時
ろ過にて固体部分を採取した。得られた固体部分に四塩
化チタン500mlを加え、撹拌下120℃で1時間反
応した後、再度熱時ろ過にて固体部分を採取し、60℃
のヘキサン1リットルで7回、さらに室温のヘキサン1
リットルで3回洗浄した。
【0024】(b)TiCl4 [C64 ( COOi
49)2]の調製 四塩化チタン19gを含むヘキサン1リットルの溶液
に、フタル酸ジイソブチル27.8gを、0℃を維持し
ながら約30分間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇
温し30分間反応した。反応終了後、固体部分を採取し
ヘキサン500mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0025】(c)重合触媒成分の調製 上記(a)で得られた固体触媒20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃で上記(b)で得られたTiC
4 [C64 ( COOi49)2]5.2gで1時間
処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部
分を採取し、その後、この反応物を90℃のトルエン5
00mlで5回、室温のヘキサン500mlで3回洗浄
した。
【0026】予備重合 窒素雰囲気下、内容積3リットルのオートクレーブ中
に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.9
g、および上記(c)で得られた重合触媒成分10gを
投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、
重合触媒成分1gあたり10gのプロピレンが重合する
ようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5
℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合
固体触媒成分は、n−ヘプタンで500mlで3回洗浄
を行い、以下の本重合に使用した。
【0027】本重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調整された予備重合固体触媒
2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g、ジシク
ロペンチルジメトキシシラン6.84gを入れ、次いで
プロピレン18kg、プロピレンに対して3500モル
ppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温し1
時間重合を行った。その後、未反応のプロピレンを除去
し重合を終結させた。その結果、MFRが2.8g/1
0分であるポリプロピレン(以下「PP−1」という)
8.0kgを得た。
【0028】また、ジシクロペンチルジメトキシシラン
に代えて次のシラン化合物を用い、かつ水素濃度を調整
した以外はPP−1と同様にして触媒調製および重合を
行い次のポリプロピレン(PP−2〜5)を得た。 種類 シラン化合物 PP−2 テキシルトリメトキシシラン PP−3 n−プロピル−t−ブチル−ジメトキシシラン PP−4 シクロペンチル−t−ブチル−ジメトキシシラン PP−5 ジシクロペンチルジメトキシシラン1とテトラエトキシシラ ン4(モル比)との混合物 さらに、(a)固体触媒の調製方法を下記の方法
(a’)に変更した以外はPP−1と同様にして触媒調
製および重合を行った。
【0029】(a’)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム47.6gを、デカン250ml
および2−エチルヘキシルアルコール234mlからな
る混合液に温度120℃で2時間反応を行い均一溶液と
した後、無水フタル酸11.1gを添加し、130℃で
さらに1時間攪拌を行い溶解させた。得られた均一溶液
を室温まで冷却後、−20℃に保持された四塩化チタン
2リットル中に1時間かけて全量滴下した。その後、4
時間かけて温度110℃まで加熱し、次いでフタル酸ジ
イソブチル26.8mlを添加し、110℃で2時間攪
拌反応した。反応終了後、熱時ろ過にて固体部分を採取
し、温度110℃のデカン2リットルで7回、室温のヘ
キサン2リットルで3回洗浄した。以上の方法によりポ
リプロピレン(以下「PP−6」という)を得た。
【0030】また、ジシクロペンチルジメトキシシラン
に代えて次のシラン化合物を用いた以外はPP−6と同
様にして触媒調製および重合を行い次のポリプロピレン
(PP−7〜9)を得た。 種類 シラン化合物 PP−7 テキシルトリメトキシシラン PP−8 n−プロピル−t−ブチル−ジメトキシシラン PP−9 シクロペンチル−t−ブチル−ジメトキシシラン
【0031】さらに、比較用として次の3種類のポリプ
ロピレンを用いた。東ソー・アクゾ社製AA型三塩化チ
タン6g、ジエチルアルミニウムクロライド23.5g
を触媒成分として用い、プロピレン18kg、プロピレ
ンに対して2500モルppmになるように水素を装入
し、85℃まで昇温し、重合した結果、MFRが2.4
g/10分であるポリプロピレン(以下「PP−10」
という)、重合温度を65℃に変更した以外はPP−1
0と同様にして重合して得られたポリプロピレン(以下
「PP−11」という)、および前記(a)のみで調整
された触媒を用いたこと以外はPP−1と同様にして重
合を行い、MFRが2.1g/10分であるポリプロピ
レン(以下「PP−12」という)を得た。以上の各ポ
リプロピレンについて、XI、IP、NおよびNf を測
定した。その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】また、市販の二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムとして本州製紙社製アルファンSS−121(厚
さ;20μm)(以下「市販品」という)を用いた。
【0034】実施例1〜9、比較例1〜3 表3に種類が示されているポリプロピレン100重量部
に対し、安定剤としてジ−t−ブチル−p−クレゾール
0.05重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニルプロピオネート 0.10重量部およびカルシウム
ステアレート 0.10重量部を配合し、川田製作所社
製スーパーミキサー(SMV20型)を用いて混合し、
ナカタニ機械社製二軸押出機(AS30型)を用いてペ
レット化した。得られた各ペレットを吉井鉄工社製25
mmφフィルム成形機を用いて温度230℃で厚さ0.
2mmおよび幅200mmの原反フィルムを作製し、こ
れを温度140℃の条件で圧延ロール(高速ロールの周
速度20m/分、低速ロールの周速度10m/分、ロー
ル間隙0.035mm)で延伸し、延伸倍率5倍の一軸
延伸フィルムを得た。得られたフィルムについてヘー
ズ、ヒネリ包装性、縦裂け率およびカット性を測定し
た。その結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】実施例10〜18、比較例4〜7 また、上記方法で得られた各ペレットをプレス成形機を
用いて、温度230℃で5分間加熱し、冷却温度30℃
で5分間冷却し原反フィルム(91mm×91mm,厚
さ0.5mm)を作製した。次いで東洋精機製作所製ヘ
ビー型二軸延伸装置を用いて温度150℃で縦および横
方向にそれぞれ6倍延伸を行い延伸フィルムを得た。得
られた各フィルムおよび市販品について破断強度、引張
弾性率、フィルム衝撃強度および水蒸気透過量を測定し
た。それらの結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】本発明の延伸ポリプロピレンフィルム
は、透明性、水蒸気バリヤー性に優れ、かつ剛性、引張
強度、耐衝撃性などの機械的強度にも優れるので、特に
包装材料の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレンのメチル領域における核磁気共
鳴スペクトルの例である。
【符号の説明】
a スペクトル図 b aの拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 10/06 MJF // B29K 23:00 B29L 7:00 (72)発明者 柳原 久嘉 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内 (72)発明者 田頭 克春 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(i) 〜(iv)の物性を有する延伸ポリ
    プロピレンフィルム。 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部(XI) 9
    8.0重量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率(IP) 9
    8.0%以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長(N) 500以上 (iv) キシレン抽出不溶部のカラム分別法による各フラ
    クションのアイソタクチック平均連鎖長(Nf )が80
    0以上のものの合計量 10重量%以上
  2. 【請求項2】 マグネシウム化合物、チタン化合物、ハ
    ロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分と
    する固体触媒を、更に一般式:Ti Xa ・Yb (式中、
    XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化合
    物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数をそれぞ
    れ表す)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲン含
    有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得られる改
    良重合触媒を用いて重合して得られるプロピレン重合体
    を延伸した請求項1記載の延伸ポリプロピレンフィル
    ム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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