JP3396099B2 - プロピレン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物およびその成形体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に電気・電子部品、
包装材料分野、エンジニアリングプラスチック代替品等
に好適に用いられる、剛性と耐衝撃性とのバランス、耐
傷つき性および二次加工性に優れるプロピレン系樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン系樹脂は、一般に安価であ
り、かつその特長である軽量性、透明性、機械的強度、
耐熱性、耐薬品性などの性質を生かし、自動車部品,電
気・電子部品などの工業材料、各種包装材料などに広く
利用されている。近年、製品の高機能化あるいはコスト
低減化に伴い、これらの材料に対する特性向上が強く要
望されている。ポリプロピレンの剛性、耐衝撃性、耐熱
性などを改良する方法として、例えばエチレン−プロピ
レンブロック共重合体にエチレン−プロピレンゴムおよ
び造核剤を配合する方法(特公昭60-3420 号公報など)
あるいはエチレン−プロピレンゴム、エチレン共重合体
および無機フィラーを配合する方法(特開平4-275351号
公報、特開平5-5051号公報、特開平5-98097 号公報、特
開平5-98098 号公報など)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、いずれも特性の一部を改良するものではある
が、耐熱性および剛性についてはいまだ不十分である。
また、真空成形などの二次加工性に劣るという問題もあ
った。・本発明は、かかる状況に鑑みてなされたもので
あり、剛性と耐衝撃性とのバランス、耐傷つき性および
二次加工性に優れるプロピレン系樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレンブロック
共重合体により上記目的を達成しうることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、(A)下記(i) 〜(iv)の物性を有するポリプロピレ
ン部(a)50〜97重量%と、 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部 98.0重
量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率 96.5%
以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長 90以上 (iv) カラム分別法による各フラクションのアイソタク
チック平均連鎖長が300以上のものの合計量 10
重量%以上 下記 (v)〜(viii)の条件をすべて満足するプロピレンと
エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィ
ンとの共重合体部(b)50〜3重量% (v) 2サイトモデルによる平均プロピレン含量(FP)
20〜80モル% (vi) 2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
含量(PP ) 65〜90モル% (vii) PH が共重合体中に占める割合(Pf1) 0.4
0〜0.80 (viii)ブロック性(CSD) 1.8〜5.0 からなるプロピレンブロック共重合体 45〜70重量
%、 (B)下記(ix)〜(xi)の物性を有するポリオレフィ
ン系樹脂 5〜20重量%、 (ix)温度190℃、周波数10-1rad/secにお
ける動的粘度η1 と周波数10rad/secにおける
動的粘度η2 との比(η1 /η2 ) 4〜20 ( x)示差走査熱量測定法(DSC)による結晶化ピー
ク温度Tcpが110〜130℃であり、融解ピーク温
度TmpとTcpとの比(Tmp/Tcp)が1.1〜
1.5であり、かつTmp/(Tmp−Tcp)が3.
0〜9.8である (xi)X線回折法による回折図でa軸配向を示す結晶構
造である (C)沈降炭酸カルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ
酸カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の
無機充填剤 5〜30重量%ならびに(D)タルク、マ
イカおよびチタン酸カリウムからなる群から選ばれた少
なくとも1種の無機充填剤 5〜30重量%(ただし、
(A)+(B)+(C)+(D)=100重量%であ
る)からなるプロピレン系樹脂組成物を提供するもので
ある。以下、本発明を詳しく説明する。
【0005】本発明における(A)プロピレンブロック
共重合体(以下「BPP」という)は、ポリプロピレン
部(a)と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素
数4〜12のα−オレフィンとの共重合体部(b)から
なるブロック共重合体である。該BPPは、第1段の反
応で生成するポリプロピレン部(a)が次の物性を有す
ることが必要である。すなわち、(i) 25℃におけるキ
シレン抽出不溶部(以下「XI」という)が98.0重
量%以上であり、好ましくは98.5重量%以上、さら
に好ましくは99.0重量%以上である。XIが98.
0重量%未満では剛性および耐傷付性に劣る。なお、X
Iの測定は、ポリプロピレンを135℃のオルトキシレ
ンにいったん溶解した後、25℃に冷却してポリマーを
析出させる方法によった。
【0006】また、 (ii) アイソタクチックペンタッド
分率(以下「IP」という)は、96.5%以上である
必要があり、96.8%以上が好ましく、特に97.0
%以上が好適である。IPが96.5%未満では剛性お
よび耐熱性に劣るので好ましくない。なお、IPとは、
同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペルト
ルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッ
ド単位でのアイソタクチック分率である。その測定法
は、A.Zambelli; Macromolecules,6,925(1973)、同 8,6
87(1975) および同 13,267(1980) に記載された方法に
従った。
【0007】また、(iii) アイソタクチック平均連鎖長
(以下「N」という)は90以上、好ましくは100以
上、特に好ましくは110以上である必要がある。Nが
90未満では剛性および耐熱性に劣る。なお、Nとは、
ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチック部
分の平均的な長さを表すものであり、その測定方法は、
J.C.Randall;Polymer SequenseDistribution,Academic
Press,New York,1977,Chapter2)に記載されている方法
に拠った。
【0008】具体的には、ポリプロピレンを1,2,4
−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に
ポリマー濃度が10重量%となるように温度130℃に
加温して溶解する。この溶液を10mmΦのガラス製試
料管に入れ、IPと同様の方法で13C−NMRスペクト
ルを測定する。このスペクトル図の例を図1に示す。図
1のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペ
クトルであり、bはそのスペクトルの拡大図である。ス
ペクトルは、ペンタッド単位すなわち隣接するメチル基
5個をひとつの単位として測定され、メチル基のアイソ
タクチシティー(構造的にはmmmm,mmmrなどの
10種類がある)によって吸収ピークが異なる。図1の
bに吸収ピークとアイソタクチシティーとの対応を示
す。
【0009】一方、重合理論として Shan-Nong et al;P
olymer Journal,vol.15,No.12,p859-868(1983)に記載さ
れた2サイトモデルがある。すなわち、重合時の活性種
が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするものであ
り、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と
呼ばれるものである(詳細については、古川淳二;高分
子のエッセンスとトピックス2,「高分子合成」,P7
3(株)化学同人発行(1986)に記載されてい
る)。上記文献によると、結局、2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわち
アイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と
同じものが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 としてペンタッド単位でのアイソタクチシティーの異な
る10種類のアイソタクチック強度を理論的に計算でき
る。そして、前記NMRによる測定強度と、上記理論強
度とが一致するようにα、σおよびωを最小自乗法で求
め、次式により各ペンタッド単位を求める。
【0010】
【表1】 ただし、β=α(1−α)
【0011】次に、前記 J C.Randallの文献に記載され
た平均連鎖長(N)の定義式;N=メソ体の連鎖数/メ
ソ体のユニット数に当てはめ、実際には次式により求め
ることができる。 N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5
6 +A7
【0012】さらに、(iv)カラム分別法による各フラク
ションのアイソタクチック平均連鎖長(以下「Nf 」と
いう)が300以上のものの合計量は全体の10重量%
以上であることが必要であり、好ましくは30重量%以
上、特に好ましくは50重量%である。Nf が300以
上であるものの合計量が10重量%未満では剛性、表面
硬度および耐熱性の改良効果に乏しい。ここで、カラム
分別法とは、前記キシレン抽出不溶部をパラキシレンに
温度130℃で溶解後、セライトを加え、10℃/時間
の降温速度で温度30℃まで下げ、セライトに付着さ
せ、次に、スラリー状セライトをカラムに充填し、パラ
キシレンを展開液として温度30℃から2.5℃毎に段
階的に温度を上昇し、ポリプロピレンをフラクション別
に分取する方法である。詳細については、MasahiroKaku
go et al;Macromolecules,vol.21,p314-319(1988)に記
載されている。分取したポリプロピレンのNf は、前記
Nの測定法を用いて測定される。
【0013】また、本発明のBPPは、第二段の反応で
生成するプロピレン−α−オレフィン共重合体部(b)
が2サイトモデルによる解析から導かれる以下の条件を
すべて満足することが必要である。
【0014】ここで、プロピレン−α−オレフィン共重
合体の2サイトモデルについて、プロピレン−エチレン
共重合体を例にとり説明する。プロピレン−エチレン共
重合体の同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)
スペクトルの例を図2に示す。該スペクトルは連鎖分布
(エチレンとプロピレンの並び方)の違いで (1)〜(10)
に示す10個のピークが現れる。この連鎖の名称は、Ca
rman,C,J,et al;Macromolecules,Vol.10,p536-544(197
7) に記載があり、その名称を図3に示す。このような
連鎖は、共重合の反応機構を仮定すると反応確率(P)
として表すことができ、全体のピーク強度を1にしたと
きの各 (1)〜(10)のピークの相対強度はPをパラメータ
ーとしたベルヌーイ統計による確率方程式として表すこ
とができる。例えば、(1) Sααの場合、プロピレン単
位を記号p,エチレン単位を記号eとすると、これをと
りうる連鎖は[pppp]、[pppe]、[epp
e]の3通りであり、これらをそれぞれ反応確率(P)
で表し、足し合わせる。残りの(2)〜(10)のピークにつ
いても同様な方法で式を立て、これら10個の式と実際
に測定したピーク強度が最も近くなるようにPを最適化
することにより求めることができる。
【0015】2サイトモデルは、この反応機構を仮定す
るモデルであり、H.N.CHENG;Jounalof Applied Polymer
Sience,Vol.35 p1639-1650(1988)に記載がある。すな
わち、触媒を用いてプロピレンとエチレンを共重合する
モデルにおいて、プロピレンを優先的に重合する活性点
で生成する共重合体(PH )のプロピレン含量(PP
とエチレンを優先的に重合する活性点で生成する共重合
体のプロピレン含量(P'p)の2つを仮定し、さらにP
H が共重合体中に占める割合(Pf1)をパラメーターと
すると、次の表2に示す確率方程式が得られる。
【0016】
【表2】
【0017】先に述べた13C−NMRスペクトルの相対
強度と、表2に示す確率方程式が一致するようにPP
P'pおよびPf1の3個のパラメーターを最適化すること
により求められる。
【0018】本発明の(v) 平均プロピレン含量(FP)
は、上記3個のパラメーターを用いて次式で求められ
る。 FP=PP ×Pf1+P'p×(1−Pf1) (モル%) 上記式で求められるFPは20〜80モル%であり、好
ましくは25〜75モル%であり、さらに好ましくは3
0〜70モル%である。FPが20モル%未満では成形
品の外観が著しく低下する。一方、80モル%を超える
と耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0019】また、上記のパラメーターのうち(vi)PP
は65〜90モル%であり、68〜88モル%が好まし
く、とりわけ70〜85モル%が好適である。PP が6
5モル%未満では剛性および耐熱性が低下する。一方、
90モル%を超えると耐衝撃性が損なわれるので好まし
くない。
【0020】さらに、(vii) Pf1は0.40〜0.80
であり、0.45〜0.75が好ましく、とりわけ0.
48〜0.72が好適である。Pf1が0.40未満では
剛性および耐熱性が低下する。一方、0.80を超える
と耐衝撃性が損なわれるので好ましくない。
【0021】最後に、(viii)ブロック性(CSD)と
は、エチレンとプロピレンの反応性比のことであり、こ
の定義は、高分子会編,「共重合1反応解析」p5〜1
3,培風館発行(1975) の方法に従った。すなわち、図
2のスペクトルにおける各ピークの強度比(Ri)を用
いて次式で表される。 CSD=(R4 ×R1)/[0.5×( R2+R3)]2 上式で得られるCSDは1.8〜5.0であり、2.0
〜4.5が好ましく、とりわけ2.5〜4.0が好適で
ある。CSDが1.8未満では剛性および耐熱性が低下
する。一方、5.0を超えると低温における耐衝撃性が
損なわれるので好ましくない。
【0022】本発明のBPP中に占めるプロピレン−α
−オレフィン共重合体(b)の割合は3〜50重量%で
あり、5〜45重量%が好ましく、とりわけ10〜40
重量%が好適である。(b)の割合が3重量%未満では
耐衝撃強度が低下する。一方、50重量%を超えると剛
性および耐熱性が阻害されるので好ましくない。
【0023】本発明のBPPの重合は、ヘキサン、ヘプ
タン、灯油などの不活性炭化水素またはプロピレンなど
の液化α−オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー法、
無溶媒下の気相重合法などにより、温度条件としては室
温〜130℃、好ましくは50〜90℃、圧力2〜50
kg/cm2 の条件で行われる。重合工程における反応
器は、当該技術分野で通常用いられるものが適宜使用で
き、例えば攪拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反
応器を用いて連続式、半回分式、回分式のいずれの方法
でもよい。具体的には、公知の多段重合法を用いて得ら
れる。すなわち、第1段の反応でプロピレンを重合した
後、第2段の反応でプロピレンとα−オレフィンとの共
重合を行う方法であり、例えば、特公昭36-15284号公
報、特公昭38-14834号公報、特開昭53-35788号公報、特
開昭53-35789号公報、特開昭56-55416号公報などに記載
されている。
【0024】本発明のBPPは、公知のチーグラー・ナ
ッタ型触媒、例えば三塩化チタン系触媒あるいは塩化マ
グネシウム担持型チタン触媒では得られない。本発明の
BPPを得る触媒の例としては、マグネシウム化合物、
チタン化合物、ハロゲン含有化合物および電子供与性化
合物を必須成分とする固体触媒を、更に一般式:TiXa
・Yb (式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Y
は電子供与性化合物を、aは3もしくは4を、bは3以
下の整数をそれぞれ表す)で示されるチタン化合物で処
理後、ハロゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗
浄して得られる改良重合触媒が挙げられる。
【0025】上記式中のTi Xa は、例えば、R.P.S.Co
utts,et al,Advan.Organometal.Chem.,9,135(1970), 第
4版新実験化学講座 17 無機錯体・キレート錯体 日
本化学会丸善(1991) p.35, H.K.Kakkoen,et al,J.Organ
omet.Chem.,453,175(1993)などに記載されているよう
に、一般に電子供与性化合物とは容易に錯体を形成する
ことが知られている。XはCl,Br,Iのハロゲン原子で
あり、この中で好ましいのはCl である。aは3もしく
は4であるが、好ましくは4である。Yとしては、一般
に含酸素化合物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄
化合物などが挙げられる。含酸素化合物としては、例え
ばアルコール類、エーテル類、エステル類、酸ハライド
類、酸無水物類などが挙げられる。これらの電子供与性
化合物は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも好ましいものはエステル類であり、特に
好ましいものはフタル酸エステル類である。Yのbは、
前記aが3のときはbは1〜3、aが4のときは1また
は2が好ましく、特に好ましいのはaが4、bが1の場
合である。
【0026】次に、本発明における(B)ポリオレフィ
ン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、エチレンと炭素数4〜
12のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−ブテン
−プロピレン三元共重合体などである。
【0027】本発明のポリオレフィン系樹脂は、(ix)
温度190℃、周波数10-1rad/secにおける動
的粘度η1 と周波数10rad/secにおける動的粘
度η2 との比(η1 /η2 )が4〜20であることが必
要である。η1 /η2 は4〜15が好ましく、とりわけ
5〜15が好適である。η1 /η2 が4未満では異方性
が大きくなりM.D/T.Dバランスが悪くなる。一
方、20を超えるとゲルあるいはフィッシュアイが多く
なり商品価値を下げるので好ましくない。なお、動的粘
度とは物体に対して変形あるいは外力を振動的(角周波
数)に与えたときに観測される粘弾性挙動を表したもの
であり、測定方法については、例えば日本レオロジー学
会編集;講座・レオロジー、第78〜119頁(高分子
刊行会発行、1992年)に記載されている。
【0028】また、本発明のポリオレフィン系樹脂は、
(x) 示差走査熱量測定法(DSC)による結晶化ピーク
温度Tcpが110〜130℃であり、融解ピーク温度
TmpとTcpとの比(Tmp/Tcp)が1.1〜
1.5であり、かつTmp/(Tmp−Tcp)が3.
0〜9.8であることが必要である。Tcpは好ましく
は112〜127℃っであり、とりわけ113〜125
℃が好適である。Tcpが110℃未満では機械的強度
に異方性が大きくなる。一方、130℃を超えると衝撃
強度などの機械的強度が不足するので好ましくない。T
mp/Tcpについては、1.1未満では柔軟性および
衝撃強度が不足する。一方、1.5を超えると機械的強
度に異方性を生じバランスが悪くなる。Tmp/(Tm
p−Tcp)については、3.0未満では機械的強度に
異方性を生じる。一方、9.8を超えると柔軟性および
衝撃強度が低下するので好ましくない。
【0029】なお、TcpおよびTmpのDSC測定法
は次のとおりである。ポリエチレン系樹脂にあっては、
Tcpは190℃まで昇温後、5分間保持し、次いで降
温速度10℃/分の条件で30℃まで降下させたときの
結晶化ピーク温度であり、Tmpは再び昇温速度10℃
/分で190℃まで昇温させたときの融解ピーク温度で
ある。また、プロピレン系樹脂にあっては、Tcpは2
30℃まで昇温後、5分間保持し、次いで降温速度20
℃/分の条件で30℃まで降下させたときの結晶化ピー
ク温度であり、Tmpは再び昇温速度20℃/分で23
0℃まで昇温させたときの融解ピーク温度である。
【0030】さらに、本発明のポリオレフィン系樹脂
は、(xi) X線回折法による回折図でa軸配向を示す結
晶構造を有することが必要である。ポリオレフィンのX
線回折法による結晶構造の解析には多くの研究があり、
例えば「高分子」vol.14,No.158,第379 〜388 頁、「日
本化学会誌」第82巻、第12号、第1575〜1577頁などがあ
る。図4はa軸配向を有するポリプロピレンのX線回折
図の一例であり、縦方向がフィルムの引き出し方向
(M.D)に相当する。この図で子午線方向がa軸に相
当し、この方向に配向を示す回折像(上下一対の横方向
の白い線)が明確に現れている。一方、図5はa軸配向
を有さないポリプロピレンの例であり、結晶に配向性が
ないためにその回折像はリング状を呈している。このよ
うなa軸配向性のないポリオレフィン系樹脂を用いると
二次加工性の改良効果が見られない。
【0031】本発明のポリオレフィン系樹脂の具体例と
しては、例えばポリプロピレンを真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で電子線もしくはガンマ線などの電離放射線
で照射処理したもの、多孔質δ型三塩化チタンを触媒と
して用いて得られるポリプロピレン、シリカあるいはア
ルミナ担体にクロムまたはモリブデンなどの遷移金属酸
化物を担持したものを高温焼成した固体触媒を用いた高
密度ポリエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、
温度230℃における溶融張力が10g以上のものが二
次加工性の面から好ましい。
【0032】本発明における(C)成分は、沈降炭酸カ
ルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ酸カルシウムから
なる群から選ばれる少なくとも1種の無機充填剤であ
り、これらの中でも沈降炭酸カルシウムが好ましい。こ
れらの充填剤の平均粒径は通常4μm以下であり、好ま
しくは1μm程度、特に0.05〜1μmが好適であ
る。
【0033】また、(D)成分はタルク(ケイ酸マグネ
シウム)、マイカおよびチタン酸カリウムからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の無機充填剤である。これら
の中でもタルクが好ましい。
【0034】以上の充填剤は、有機チタネート系、アル
ミニウム系などのカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属
塩、脂肪酸エステルなどで処理したものを用いることも
できる。また、有機過酸化物とともに、無水マレイン
酸、アクリル酸、イタコン酸などに代表される不飽和カ
ルボン酸もしくはその無水物でグラフト処理した変性ポ
リプロピレンを加えて用いてもよい。
【0035】本発明の樹脂組成物中に占める(A)成分
の組成割合は45〜70重量%であり、48〜67重量
%が好ましく、特に50〜65重量%が好適である。
(A)成分の割合が45重量%未満では剛性、耐傷付性
および二次加工性が低下する。一方、70重量%を超え
ると耐衝撃性が低下するので好ましくない。(B)成分
の組成割合は5〜20重量%であり、7〜18重量%が
好ましく、特に9〜16重量%が好適である。(B)成
分の割合が5重量%未満では二次加工性に劣る。一方、
20重量%を超えると成形品の外観が悪化するので好ま
しくない。(C)成分の組成割合は5〜30重量%であ
り、8〜28重量%が好ましく、特に10〜25重量%
が好適である。(C)成分の割合が5重量%未満では耐
衝撃性が低下する。一方、30重量%を超えると二次加
工性に劣るほか耐衝撃性も低下し好ましくない。また、
(D)成分の組成割合は5〜30重量%であり、6〜2
5重量%が好ましく、特に7〜20重量%が好適であ
る。(D)成分の割合が5重量%未満では剛性が低下す
る。一方、30重量%を超えると二次加工性が低下する
ので好ましくない。
【0036】さらに、本発明の樹脂組成物には、当該技
術分野において慣用の造核剤を用いてもよい。これらの
造核剤としては、例えばカルボン酸の金属塩、ジベンジ
リデンソルビトール誘導体、フォスフェート金属塩、タ
ルクおよび炭酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙
げられる。具体例としては、安息香酸ナトリウム、アジ
ピン酸アルミニウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニ
ウム塩、チオフェネカルボン酸ナトリウム、1,3,
2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4
−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,
3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、カリウム−ビス−(4−t−ブ
チルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス−
(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウ
ム−2,2−エチリデン−ビス(4,6−t−ブチルフ
ェニル)フォスフェートなどが挙げられる。これらの造
核剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。造核
剤の添加量は、一般に0.05〜0.5重量%であり、
好ましくは0.08〜0.4重量%、とりわけ0.1〜
0.35重量%が好適である。
【0037】本発明の樹脂組成物は、公知の混合方法、
例えばリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキ
サーなどを用いて各成分を混合し、さらにニーダー、ミ
キシングロール、バンバリーミキサー、押出機などを用
いて溶融混合して得られる。溶融混合時の温度は、通常
170〜280℃であり、好ましくは190〜260℃
で行うとよい。得られた組成物は、公知の溶融成形法お
よび圧縮成形法により、フィルム、シート、チューブ、
ボトルなどに成形し単体での使用あるいは他の材料を積
層して積層体としても使用することができる。
【0038】積層方法としては、ポリウレタン系、ポリ
エステル系、ポリアクリル系などの接着剤を用いて、そ
の他の熱可塑性樹脂を積層する、いわゆるドライラミネ
ート成形法、共押出ラミネーション法、共押出法、共射
出成形法、共押出パイプ成形法などが挙げられる。この
ようにして得られた多層積層体は、真空成形、圧空成
形、延伸ブロー成形などの成形法を用いて、再加熱し延
伸する方法により成形体とすることもできる。
【0039】さらに、本発明の樹脂組成物には、当業者
に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、耐候性安
定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇
剤、顔料、可塑剤、柔軟剤などを本発明の目的を損なわ
ない範囲で適宜配合してもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、各物性の測定方法を以下に示す。 [MFR]JIS K7210に準拠し、タカラ社製メ
ルトインデクサーを使用し温度230℃、荷重2.16
kgの条件で測定した。 [曲げ弾性率]JIS K7203に準拠した。 [アイゾット衝撃強度]JIS K7110に準拠し、
ノッチ付きで測定した。 [耐傷付性]表面性測定機(HEIDEN社製 14S/D)を用い
て試験片( 150×80mm,厚さ0.5mm)に垂直荷重を加えた
円錐型引斯針(サファイヤ製、JIS K6719規格
品)で引斯いたときの表面が傷つく最小荷重を測定し
た。また、二次加工特性として次の2項目を評価した。 [保持時間]枠( 400×400mm )に固定したシートを2
00℃に加熱されたオーブンに置き、一度垂れ下がった
シートが再び元に戻りその状態を保持する時間を測定し
た。保持時間が長いほど二次加工性は一般に優れてい
る。 [均一延展性]220℃に加熱されたオーブン中に30
秒間保持したシートを、箱型金型(開口部大きさ;300
×200mm,底部大きさ;280 ×180mm )を用いて真空成形
し、成形品の厚みむらおよびしわの発生の有無を目視に
より観察しその良否を判定した。
【0041】また、使用したPPの製造例を以下に示
す。 (イ)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール1
00g、出光興産社製ワセリンオイル(CP15N)5
00mlおよび信越シリコーン社製シリコーン油(KF
96)500mlからなる混合液に窒素雰囲気下、12
0℃で完全溶解した。この混合物を特殊機化工業社製T
Kホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で
3分間撹拌した。次いで、撹拌を維持しながら2リット
ルの無水ヘプタン中に0℃以下を維持するように冷却し
ながら移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十
分洗浄し、室温下で真空乾燥した。得られた白色固体3
0gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させ、0℃で撹
拌しながら四塩化チタン500mlを1時間かけて滴下
した。次に、加熱を始めて40℃になったところでフタ
ル酸ジイソブチル4.96gを加え、100℃まで約1
時間で上昇させた。100℃で2時間反応した後、熱時
ろ過にて固体部分を採取した。得られた固体部分に四塩
化チタン500mlを加え、撹拌下120℃で1時間反
応した後、再度熱時ろ過にて固体部分を採取し、60℃
のヘキサン1リットルで7回、さらに室温のヘキサン1
リットルで3回洗浄した。
【0042】(ロ)TiCl4 [C64 ( COOi
49)2]の調製 四塩化チタン19gを含むヘキサン1リットルの溶液
に、フタル酸ジイソブチル27.8gを、0℃を維持し
ながら約30分間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇
温し30分間反応した。反応終了後、固体部分を採取し
ヘキサン500mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0043】(ハ)重合触媒成分の調製 上記(イ)で得られた固体触媒20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃で上記(ロ)で得られたTiC
4 [C64 ( COOi49)2]5.2gで1時間
処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部
分を採取し、トルエン300mlと四塩化チタン10m
lに再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過
にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃の
トルエン500mlで5回、室温のヘキサン500ml
で3回洗浄した。
【0044】予備重合 窒素雰囲気下、内容積3リットルのオートクレーブ中
に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.9
g、および上記(ハ)で得られた重合触媒成分10gを
投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、
重合触媒成分1gあたり10gのプロピレンが重合する
ようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5
℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合
固体触媒成分は、n−ヘプタンで500mlで3回洗浄
を行い、以下の本重合に使用した。
【0045】本重合 (1) 第一段重合;窒素雰囲気下、内容積60リットルの
撹拌機付きオートクレーブに上記の方法で調整された予
備重合固体触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1
1.4g、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84
gを入れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対
して13000モルppmになるように水素を装入し、
75℃まで昇温し1時間重合を行った。その後、未反応
のプロピレンを除去し重合を終結させた。反応終了後、
反応生成物をサンプリングした。
【0046】(2) 第二段重合;第一段重合終了後、液体
プロピレンを除去し、温度75℃でエチレン/プロピレ
ン=40/60(モル比)の混合ガス2.2Nm3 /時
間、水素20Nリットル/時間の供給速度で40分間共
重合した。重合終了後、未反応ガスを除去し重合を終結
した。その結果、エチレン含有量が9.7重量%および
MFRが0.8g/10分であるプロピレン−エチレン
ブロック共重合体(以下「BPP1」という)8.0k
gを得た。
【0047】また、第二段重合の際、さらにブテン−1
を供給した以外はBPP1と同様にして、エチレン含有
量が8.4重量%、ブテン−1含有量が0.7重量%お
よびMFRが1.1g/10分であるプロピレン−エチ
レンブロック共重合体(以下「BPP2」という)を得
た。
【0048】さらに、比較例用として次のBPPを用い
た。東ソー・アクゾ社製AA型三塩化チタン6.0g、
ジエチルアルミニウムクロライド23.5gを触媒成分
として用い、プロピレン18kg、プロピレンに対して
8000モルppmになるように水素を装入し、70℃
まで昇温し、以下BPP1と同様にして重合した結果、
エチレン含有量が9.8重量%およびMFRが0.8g
/10分であるもの(以下「BPP3」という)を得
た。
【0049】以上の共重合体の第一段重合終了時にサン
プリングしたポリプロピレン部について、XI、IP、
NおよびNf を測定した。その結果を表3に示す。な
お、IPの測定条件は以下のとおりである。 測定器 日本電子社製 JNM−GSX400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間 :5.0s 積算回数 :20000回 溶 媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/
重ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部循環 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃
【0050】
【表3】
【0051】また、第二段で得られた各エチレン−プロ
ピレン共重合体部について、NMRスペクトルと2サイ
トモデルの解析により、FP、PP 、Pf1およびCSD
を求めた。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】ポリオレフィン系樹脂として、MFRが
0.6g/10分であるポリプロピレン粉末を多層フィ
ルム袋(ポリエチレンとエチレン−ビニルアルコール共
重合体)に入れ窒素置換した後、電子線照射装置(日新
ハイボルテージ社製)を用いて照射線量として5Mra
d照射処理し、次いで130℃で60分熱処理したもの
(以下「PP1」という)、δ型三塩化チタン触媒を使
用して重合したMFRが2.8g/10分であるポリプ
ロピレン(以下「PP2」という)および三酸化クロム
触媒を使用して重合したMFR(温度190℃、荷重
2.16kgで測定)が1.5g/10分であるポリエ
チレン(以下「PE1」という)を用いた。比較用とし
て、三塩化チタン系触媒を使用して重合したMFRが
2.9g/10分であるポリプロピレン(以下「PP
3」という)および塩化マグネシウム担持型触媒を使用
して重合したMFRが1.7g/10分であるポリエチ
レン(以下「PE2」という)を用いた。以上の各樹脂
の動的粘度比(η1 /η2 )、Tmp、Tcp、Tmp
/(Tmp−Tcp)およびa軸配向の有無を表5に示
す。なお、動的粘度はASTM D4065−90、A
STM D4440−84に準拠し、Rheometric社製 M
echanical Spectrometer Model RMS-800を用いて測定し
た。結晶化温度および融解温度は PERKIN-ELMER 社製D
SC測定装置( 7Series Thermal Analysis System)を
使用した。a軸配向はリガク社製X線回折装置(RAD
−II) を用いて、50KV、40mAの条件でポイント
フォーカスで1時間照射し、広角X線フラットカメラで
回折図を測定した。
【0054】
【表5】
【0055】また、(C)成分として不飽和脂肪酸で表
面処理した沈降炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、
CALSHITEC Stavigot-15A、 平均粒径0.15μm)(以
下「沈カル」という)、含水ケイ酸(トクヤマ社製、フ
ァインシール 平均粒径0.05μm)(以下「ケイ
酸」という)および含水ケイ酸カルシウム(トクヤマ社
製、フローライトを分級 平均粒径4μm)(以下「ケ
イカル」という)を用いた。(D)成分としてタルク
(林化成社製、MION WHITE #5000S、平均粒径2.8μ
m)マイカ(米国マリエッタ社製、スゾライト 平均粒
径20μm)およびチタン酸カリウム(大塚化学社製、
テイスモ 繊維径 0.2〜0.5μm、繊維長 10
〜20μm)(以下「Tカル」という)を用いた。
【0056】実施例1〜12、比較例1〜7 表6に種類および配合量が示されているBPP、ポリオ
レフィン系樹脂および2種の無機充填剤ならびに安定剤
としてジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.05重量
部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート] 0.10重量部およびカルシウムステアレート
0.10重量部を配合し、川田製作所社製スーパーミ
キサー(SMV20型)を用いて混合し、ナカタニ機械
社製二軸押出機(AS30型)を用いてペレット化し
た。得られた各ペレットを東芝機械社製射出成形機(I
S−170FII)を用いて、温度220℃、金型冷却温
度50℃で各試験片を作製した。得られた試験片を相対
湿度50%、温度23℃の恒温室に2日放置後、曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)および耐傷付
性を測定した。二次加工性は各ペレットを幅600mm
のTダイ押出機を用いて厚さ0.5mmのシートを作製
し、このシートを評価した。以上の結果を表7に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、剛性と耐衝撃性
とのバランス、耐傷つき性および二次加工性に優れるの
で、特に自動車部品、電気・電子部品、包装材料分野な
どに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレンのメチル領域における核磁気共
鳴スペクトルの例である。
【図2】エチレン−プロピレン共重合体の核磁気共鳴ス
ペクトルの例である。
【図3】ポリオレフィンにおける連鎖分布由来の各炭素
の名称を示す図である。
【図4】a軸配向を有するポリプロピレンのX線回折像
の例を示す図である。
【図5】a軸配向を有さないポリプロピレンのX線回折
像の例を示す図である。
【符号の説明】
a スペクトル図 b aの拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 3/22 C08K 3/22 3/26 3/26 3/34 3/34 //(C08L 53/00 C08L 23:02 23:02) B29K 96:04 B29K 96:04 (56)参考文献 特開 平1−271451(JP,A) 特開 昭58−32650(JP,A) 特開 平5−98098(JP,A) 特開 平8−92440(JP,A) 特開 平8−81596(JP,A) 特開 平7−316357(JP,A) 特開 平7−149997(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 - 53/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記(i) 〜(iv)の物性を有するポ
    リプロピレン部(a)50〜97重量%と、 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部 98.0重
    量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率 96.5%
    以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長 90以上 (iv) カラム分別法による各フラクションのアイソタク
    チック平均連鎖長が300以上のものの合計量 10
    重量%以上 下記 (v)〜(viii)の条件をすべて満足するプロピレンと
    エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィ
    ンとの共重合体部(b)50〜3重量% (v) 2サイトモデルによる平均プロピレン含量(FP)
    20〜80モル% (vi) 2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
    合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
    含量(PP ) 65〜90モル% (vii) PH が共重合体中に占める割合(Pf1) 0.4
    0〜0.80 (viii)ブロック性(CSD) 1.8〜5.0 からなるプロピレンブロック共重合体 45〜70重量
    %、 (B)下記(ix)〜(xi)の物性を有するポリオレフィ
    ン系樹脂 5〜20重量%、 (ix)温度190℃、周波数10-1rad/secにお
    ける動的粘度η1 と周波数10rad/secにおける
    動的粘度η2 との比(η1 /η2 ) 4〜20 ( x)示差走査熱量測定法(DSC)による結晶化ピー
    ク温度Tcpが110〜130℃であり、融解ピーク温
    度TmpとTcpとの比(Tmp/Tcp)が1.1〜
    1.5であり、かつTmp/(Tmp−Tcp)が3.
    0〜9.8である (xi)X線回折法による回折図でa軸配向を示す結晶構
    造である (C)沈降炭酸カルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ
    酸カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の
    無機充填剤 5〜30重量%ならびに (D)タルク、マイカおよびチタン酸カリウムからなる
    群から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤 5〜30
    重量%(ただし、(A)+(B)+(C)+(D)=1
    00重量%である)からなるプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)プロピレンブロック共重合体がマ
    グネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物
    および電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒を、
    更に一般式:Ti Xa ・Yb (式中、XはCl,Br,Iの
    ハロゲン原子を、Yは電子供与性化合物を、aは3もし
    くは4を、bは3以下の整数をそれぞれ表す)で示され
    るチタン化合物で処理後、ハロゲン含有化合物で洗浄
    し、更に炭化水素で洗浄して得られる改良重合触媒を用
    いて重合して得られるものである請求項1記載のプロピ
    レン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のプロピレ
    ン系樹脂組成物を成形して得られるシート。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載のプロピレ
    ン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形品。
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