JP3841855B2 - プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特に工業材料分野、医療用材料分野、包装材料分野に好適に用いられる、溶媒不溶性、剛性、耐衝撃性および耐放射線性に優れるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは一般に安価であり、かつその特長である軽量性、透明性、機械的強度、耐熱性、表面光沢性、耐薬品性、耐油性、剛性、耐屈曲疲労性等の性質を生かし、自動車部品、電気、電子部品などの工業材料、各種包装材料など幅広い分野で用いられる。
近年、医療包装分野にポリプロピレン(以下PPという)を使用する試みがなされている。医療用材料の場合、殺菌処理が必要であり、例えば、コバルト60によるガンマ線あるいは電子線を照射する方法が一般に採用されている。
しかし、PPは上記の放射線照射により分子鎖が切断されやすいため劣化が進行し、耐衝撃性、引張伸び等の物性が低下するという問題があった。
【0003】
これを解決する方法として、例えば、特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(特開昭60−55005号公報)、特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体にトリアリルイソシアヌレ−ト等を配合する方法(特開昭60−168740号公報、特開昭61−73711号公報など)および特定のプロピレンブロック共重合体にソルビト−ル系化合物を配合する方法(特開昭60−215047号公報、特開昭61−159437号公報など)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法ではいずれも、剛性などが低下して物性バランスが崩れ、溶媒可溶性重合体の生成量が増加する。さらに、放射線照射後の耐衝撃性、引張伸び等の物性低下に対する抑制効果が十分ではなかった。その結果、包装材にベタツキ、ブロッキングなどの問題を発生しやすく、衛生性にも欠けるという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みて成されたものであり、剛性、耐衝撃性などの物性バランスおよび耐放射線性に優れるのみならず、溶媒不可溶性も良好なプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体により上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はエチレンまたは炭素数が4〜20であるα−オレフィンの共重合割合が0.1〜2.5重量%であり、かつ下記(1)〜(3)の物性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を提供するものである。
(1)25℃におけるキシレン抽出不溶部:96.5重量%以上
(2)アイソタクチックペンタッド分率:96.5%以上
(3)クロス分別クロマトグラフにより測定される温度100℃以下の溶出量Wf(重量%)が次式に示される範囲にあること:
Wf ≦10+14A
(式中、Aはα−オレフィンの含有量(重量%)を表す)
以下、本発明を具体的に説明する。
【0006】
本発明におけるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンとエチレンまたは炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体(以下「RPP」という)である。α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、3−メチル1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは1種類でもよく2種類以上を混合して使用することもできる。
本発明のRPPに占めるα−オレフィンの共重合割合は0.1〜2.5重量%であり、好ましくは0.3〜2.2重量%、特に好ましくは0.5〜2.0重量%である。α−オレフィンの割合が0.1重量%未満では耐衝撃性およびヒートシール性が劣る。一方、2.5重量を超えると剛性などの機械的強度が劣るので好ましくない。
【0007】
さらに、本発明のRPPは、(1)25℃におけるキシレン抽出不溶部(以下「XI」という)が96.5重量%以上であり、好ましくは97.0重量%以上、特に好ましくは97.5量%以上である。XIが96.5重量%未満では、剛性が劣りベタツキの原因を招きやすく、耐溶媒性、衛生的にも好ましくない。
また、本発明のRPPは、(2)アイソタクチックペンタッド分率(以下「IP」という)が96.5%以上であり、好ましくは97.0%以上、特に好ましくは97.5%以上である。XIが96.5%未満では剛性が劣る。
なお、IPとは、同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のメソペンタッド(mmmm)単位でのアイソタクチック分率である。その測定法は、A.Zambelli,Macromolecules,6,925(1973) 、同,687(1975) 、同,13,267(1980) に記載されている。
【0008】
具体的には、ポリマ−を1、2、4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒にポリマ−濃度が10重量%以上となるように温度130℃に加温して溶解する。この溶液を10mmΦのガラス製試料管に入れ、13C−NMRスペクトルを測定する。このスペクトル図の例を図1に示す。図1のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペクトルであり、bはそのスペクトルの拡大図である。スペクトルはペンタッド単位、すなわち隣接するメチル基5個を一つの単位として測定され、メチル基のアイソタクチシチ−(構造的にはmmmm,mmmrなどの10種類がある)によって吸収ピ−クが異なる。図1のbに吸収ピ−クとアイソタクシチシ−との対応を示す。
【0009】
本発明のRPPは、(3)クロス分別クロマトグラフ(CFC)による測定において温度100℃以下の溶出量Wf(重量%)が次式に示される範囲にあることが必要である。
Wf ≦10+14A
(式中、Aはα−オレフィンの含有量(重量%)を示す)。
また、Wf の好ましい範囲は、Wf ≦8+14A であり、特に好ましい範囲は、Wf ≦5+14A である。溶出量Wfが上記式の上限を超えると成形品表面にベタツキを生じやすく衛生上、耐熱性の点で好ましくない。
【0010】
なお、クロス分別クロマトグラフ(Cross Fractionation Chromatograph )とは、昇温分別装置と呼ばれるもので、試料をカラム内の充填剤に吸着させ、カラム温度を一定の速度で昇温しながら各温度で分別し、溶出するポリマ−ごとにオンラインでゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)で測定する装置である。この装置により、溶出温度−分子量−成分量の三次元で合成樹脂の構成分布を得ることができる。該CFCについては、Takao Usami ら,Jounal of Applied Polymer Science Applied Polymer Symposium Vol.52,p.145-158(1993)、特開平5−9218号公報に詳細に述べられている。
【0011】
本発明のRPPを得るための重合方法は、連続式、回分式の方法いずれの方法でも得ることができ、重合反応器の形態に特に制限はない。上記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、ヘキサン、ヘプタン、燈油等の不活性炭化水素またはプロピレンのような液化α−オレフィン溶媒存在下でのスラリー法や無溶媒下の気相重合法で、重合温度が室温〜130℃の範囲で行われる。好ましくは、50〜90℃の範囲で行われる。重合圧力は2〜50Kg/cm2 の範囲で行われる。
重合工程における反応器は、当該技術分野で一般に用いられるものが適宜使用できる。例えば、撹拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反応器を用いて、重合操作を連続式、半回分式、回分式のいずれかの方法で行うことができる。 得られたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体スラリーまたは粉末は、必要に応じ、アルコールや水等で不活性化または残触媒の除去を行った後、乾燥し、添加剤と溶融混合し供される。
【0012】
本発明のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を得るための好ましい触媒の例としては、例えばマグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒を、更に、一般式:TiXa・Yb(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数をそれぞれ表す)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得られる改良固体触媒成分を用いて重合したものが挙げられる。
TiXa (式中、XはCl、Br、Iのハロゲン原子、aは3もしくは4)は、例えば、R. S. P. Coutts, P. C. Wailes, Advan. Organometal. Chem., 9,135 (1970)、第4版新実験化学講座 17 無機錯体・キレ−ト錯体 日本化学会丸善(1991) p.35 、H. K. Kakkoen, J. Pursiainen, T. A. Pakkanen, M. Ahlgren, E. Iiskola, J. Organomet. Chem., 453, 175(1993) などに記載されているように、一般に電子供与性化合物とは容易に錯体を形成することが知られている。
【0013】
XはCl、Br、Iのハロゲン原子であり、この中で好ましいのはClである。aは3もしくは4であるが、好ましくは4である。Yとしては、一般に含酸素化合物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄合物等が挙げられる。含酸素化合物としては、例えば、アルコ−ル類、エ−テル類、エステル類、酸ハライド類、酸無水物類等が挙げられる。さらに具体的には、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、ブチルアルコ−ル、ペンチルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ル、ヘプチルアルコ−ル、オクチルアルコ−ル、ノニルアルコ−ル、デシルアルコ−ル、2−エチルアルコ−ル、オレイルアルコ−ル、ベンジルアルコ−ル、フェニルエチルアルコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、エチルフェノ−ル、ナフト−ルのようなアルコ−ル類;メチルエ−テル、エチルエ−テル、プロピルエ−テル、ブチルエ−テル、アミルエ−テル、ヘキシルエ−テル、テトラヒドロフラン、アニソ−ル、ジフェニルエ−テルのようなエ−テル類やジエ−テル類;酢酸エチル、クロル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、アクリル酸エチル、クロトン酸エチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、フエニル酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸プロピル、トルイル酸ブチル、エチル安息香酸メチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸メチル、エトキシ安息香酸エチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸エチレンのようなエステル類;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、フタル酸クロリドのような酸クロリド類;無水マレイン酸、無水フタル酸のような酸無水物等が挙げられる。また、これらの電子供与性化合物は、1種単独で使用することもできるし、2種類以上併用して使用することもできる。好ましくは、エステル類であり、特に好ましいものはフタル酸エステル類である。
【0014】
本発明のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の溶融指数(メルトフローレート(MFR)、JIS K7210、表1、条件14)は成形法、用途によって選ばれるが、通常0.1〜500g/10分の範囲が適当である。好ましくは、0.1〜450g/10分、特に好ましくは0.1〜400g/10分である。
成形法によるMFRの適合範囲を例示するならば、射出成形法においては通常1.0〜150g/10分の範囲、インフレーションフィルム成形においては0.1〜10g/10分の範囲、キャストフィルム成形においては1.0〜20g/10分の範囲、中空成形では0.1〜10g/10分の範囲等が通常用いられている。
さらに、本発明の樹脂組成物には、所望により当業者に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、顔料、可塑剤、柔軟剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合できる。
本発明のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、公知の溶融成形法および圧縮成形法により射出成形体、フイルム、シ−ト、チュ−ブ、ボトルなどに成形でき、単体での使用および他の材料と積層した積層体としても使用できる。積層方法としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアクリル系などの接着剤を用いて、その他の熱可塑性樹脂を積層する、いわゆるドライラミネ−ト成形法、共押出ラミネ−ション法、共押出法、共射出成形法、共押出パイプ成形法などが挙げられる。
このようにして得られた多層積層体は、真空成形、圧空成形、延伸ブロ−成形などの成形法を用いて、再加熱して延伸する方法により成形体とすることも出来る。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
(1)MFR
JIS K7210 表1条件14に準拠し、タカラ社製メルトインデクサーを用いた。
(2)エチレン含有量
C.J. Carman らによって報告されている13C−NMR法による方法(Macromolecules,10,537(1977) をもとに行った。
(3)キシレン抽出不溶部(XI)
2.5gのRPPを135℃のオルトキシレン(250ml)に溶解した後冷却し、25℃で析出したポリマ−をXI(重量%)とした。
(4)アセトン抽出可溶部(AS)
キシレン抽出で可溶したポリマーを大過剰のアセトンに溶解させ、その可溶部AS(重量%)を測定した。
(5)アイソタクチックペンタッド分率(IP)
日本電子(株)製のJNM−GSX400(13C核共鳴周波数100MHz)を用いて測定した。それぞれのシグナルは、A.Zambeli らのMacromolecules,13,267(1980) で帰属した。測定条件を以下に示す。
測定モ−ド :プロトンデカップリング法
パルス幅 :8.0μsec
パルス繰返時間:3.0sec
積算回数 :20000回
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(75/15容量%)
内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン
試料濃度 :300mg/3.0ml
測定温度 :120℃
【0016】
(6)クロス分別クロマトグラフ
装置 :油化電子社製T−150A型クロス分別クロマトグラフ
試料溶液 :ポリマーをオルトジクロルベンゼンに濃度が、0.4重量 %になるように調製し、温度140〜160℃でポリマー を溶解する。
CFCカラム :4.6mmφ×150mm
充填剤 :ガラスビーズ
カラム温度分布:±0.1℃以内
CFC温度 :140℃
GPCカラム :SHODEX UT806M、807
検出部 :赤外吸光検出法(MIRAN−1A)
溶媒 :オルトジクロルベンゼン(BHT0.1重量部)
流量 :1.0(ml/分)
注入量 :0.5ml
昇温速度 :1(℃/分)
測定方法 :ポリマー溶液を、CFCに導入し、次に、降温速度1 ℃/分で、0℃まで降温し充填剤に吸着させ、降温後30 分間保持する。次に、上記速度で、140℃まで昇温し、溶出曲線を得た。
【0017】
(7)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)
JIS K7110に準拠して行った。装置は上島製作所(株)製のU−Fインパクトテスターを用いた。
(8)曲げ弾性率
JIS K7203に準拠して行った。
(9)荷重たわみ温度
JIS K7207に準拠して行った。
(10)引張試験
フィルムについて、JIS K7127に準拠し、押出方向(MD)について引張速度500nm/分の条件で、降伏強度(σy )、破断強度(σb )および破断伸び(EB )を測定した。また、引張速度5mm/分の条件でMDについてヤング率を測定した。
(11)耐放射線性
コ−ガアイソト−プ協会製γ線照射装置によりコバルト60を25kGy照射した後、MFR、引張試験およびヤング率を測定して照射前の値と対比した。
(12)ヒートシール強度
上記フィルムをテスター産業社製ヒートシーラーを用いて、温度130℃、圧力2Kg/cm2 、シール時間1秒の条件でヒートシールし、15mm幅の短冊状試験片を作成した。次に、オリエンテック社製引張り試験機を用いて、剥離速度300mm/分の条件で、T型剥離しヒートシール強度を測定した。
(13)ブロッキング強度
大きさ20cm×8cmのフィルム2枚を重ねあわせ、これをステンレス製平板(大きさ:10cm×8cm)で挟み、さらに荷重100g/cm3 を加えた状態で温度40℃のオ−ブンに24時間、保持した後、温度23℃、相対湿度50%の恒温室で状態調節する。次に、引張速度50mm/分の条件でのフィルム剥離強度を測定した。
【0018】
また使用したRPPの製造例を以下に示す。
▲1▼固体触媒の調製
無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール100g、出光興産(株)製のワセリンオイルCP15N500mlおよび信越シリコーン(株)製のシリコーン油KF96 500ml中、窒素雰囲気下、120℃で完全に溶解させた。この混合物を、特殊機化工業(株)製のTKホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で3分間撹拌した。撹拌を保持しながら、2リットルの無水ヘプタン中に0℃を越えないような移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥した。
得られたMgCl2 ・2.5C2 H5 OHの球状固体30gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させた。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン500mlを1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて40℃になったところで、フタル酸ジイソブチル4.96gを加えて、100℃まで約1時間で昇温させた。100℃で2時間反応させた後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩化チタン500mlを加え撹拌させた後、120℃で1時間反応させた。反応終了後、再度、熱時ろ過にて固体部分を採取し、60℃のヘキサン1リットルで7回、室温のヘキサン1リットルで3回洗浄した。
【0019】
▲2▼TiCl4 [C6 H4 (COOiC4 H9 )2 ]の調製
四塩化チタン19gを含むヘキサン1リットルの溶液に、フタル酸ジイソブチル:C6 H4 (COOiC4 H9)2 27.8gを、温度0℃を維持しながら約30分で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応させた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン500mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0020】
▲3▼改良固体触媒成分の調製
上記▲1▼で得られた固体触媒20gをトルエン300mlに懸濁させ、温度25℃で、上記▲2▼で得られたTiCl4 [C6 H4 (COOiC4 H9 )2 ]で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃のトルエン500mlで5回、室温のヘキサン500mlで3回洗浄した。
【0021】
▲4▼予備重合
窒素雰囲気下のもと内容量3リットルのオートクレーブ中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム6.0g、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.9g、および、上記▲3▼で得られた改良固体触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、改良固体触媒成分1gあたり10gのプロピレンが重合するようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合固体触媒は、n−ヘプタン500mlで3回洗浄を行い、以下の本重合に使用した。
【0022】
▲5▼本重合
窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記の方法で調製された予備重合固体触媒1.0g、トリエチルアルミニウム11.4g、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84g、プロピレン18kg、エチレン40リットル、水素100リットルを装入し、70℃まで昇温させ1時間の重合を行った。1時間後、未反応のプロピレンを除去し、重合を終結させた。その結果、4.8kgの共重合体(以下「RPP1」という)を得た。
【0023】
同様にして、重合時のプロピレン、エチレン、水素の装入量を調節して重合し、2種類の共重合体(以下「RPP2」および「RPP3」という)を得た。
また、エチレンに代えて、1−ブテンを用いた以外は上記と同様にして重合を行い、2種類の共重合体(以下「RPP4」および「RPP5」という)を得た。
【0024】
さらに、比較用として次の2種類のRPPを用いた。
RPP6:前記▲1▼および▲2▼で調製した固体触媒(▲3▼の操作を行わず)を用いて、▲4▼および▲5▼の重合を行った。
RPP7:触媒として東ソー・アクゾ社製AA型三塩化チタン9.0g、ジエチルアルミニウムクロライド23.5gを入れ、次いでプロピレン19kg、エチレン130リットル、水素100リットルを装入し、70℃で1時間重合を行った。
以上のRPPのα−オレフィン共重合割合、XI、IP、WfおよびASの測定結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜2
表2に示す種類のRPP 100重量部ならびに安定剤としてジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル 0.05重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニルプロピオネ−ト 10重量部およびカルシウムステアレ−ト 0.10重量部を川田製作所社製ス−パ−ミキサ−(SMV20型)を用いて混合した後、ナカタニ機械社製2軸押出機(AS30型)を用いてペレット化した。得られた各ペレットを東芝機械社製IS−170FII(理論射出量250cm3 )を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で試験片を作成した。次に、湿度50%、温度23℃の恒温室に2昼夜放置後、曲げ弾性率およびアイゾット衝撃強度を測定した。
また、ペレットをを吉井鉄工社製40mmφTダイ成形機により、ダイスの温度が250℃、引き取り速度10m/分の条件で厚さ60μmのフィルムを得た。得られたそれぞれのフィルムについて引張試験を行い、また、耐放射線性を評価した。
さらに、上記フィルムについてヒートシール強度およびブロッキング強度を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、剛性と耐衝撃性のバランスに優れるだけでなく耐放射線性に優れ、溶媒可溶分が少ないため、特に、食品、医療、医薬品等の包装材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレンのメチル領域における核磁気共鳴スペクトルの例である。
【符号の説明】
a スペクトル図
b aの拡大図
Claims (5)
- エチレンまたは炭素数が4〜20であるα−オレフィンの共重合割合が0.1〜2.5重量%であり、かつ下記(1)〜(3)の物性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体。
(1)25℃におけるキシレン抽出不溶部:96.5重量%以上
(2)アイソタクチックペンタッド分率:96.5%以上
(3)クロス分別クロマトグラフにより測定される温度100℃以下の溶出量Wf(重量%)が次式に示される範囲にあること:
Wf ≦18.4重量%
(式中、Aはα−オレフィンの含有量(重量%)を表す) - α−オレフィンがエチレンおよび/または1−ブテンである請求項1記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体。
- 請求項1または請求項2記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を押出成形して得られるフィルム成形体。
- 請求項1または請求項2記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を成形して得られるブロー成形体。
- 請求項1または請求項2記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を成形して得られる射出成形体。
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