JPH08156204A - プロピレン系樹脂積層体 - Google Patents

プロピレン系樹脂積層体

Info

Publication number
JPH08156204A
JPH08156204A JP31924794A JP31924794A JPH08156204A JP H08156204 A JPH08156204 A JP H08156204A JP 31924794 A JP31924794 A JP 31924794A JP 31924794 A JP31924794 A JP 31924794A JP H08156204 A JPH08156204 A JP H08156204A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
propylene
layer
polypropylene
tmp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31924794A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Nohara
康裕 野原
Kazuyuki Watanabe
和幸 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP31924794A priority Critical patent/JPH08156204A/ja
Publication of JPH08156204A publication Critical patent/JPH08156204A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 剛性と耐衝撃性とのバランス、耐傷つき性、
光沢および二次加工性に優れるプロピレン系樹脂積層体
を提供する。 【構成】 (A)ポリプロピレンにソルビトール誘導体
0.005〜0.5重量%を配合したポリプロピレン層
と(B)特定の性質を有するプロピレンブロック共重合
体 45〜70重量%、(B)特定の性質を有するポリ
オレフィン系樹脂5〜20重量%、(C)ゴム状重合体
3〜15重量%、(D)特定の無機充填剤 5〜30
重量%ならびに(E)その他特定の無機充填剤 5〜3
0重量%からなる樹脂組成物層からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に電気・電子部品、
包装材料分野、エンジニアリングプラスチック代替品等
に好適に用いられる、剛性と耐衝撃性とのバランス、耐
傷つき性、光沢および二次加工性に優れるプロピレン系
樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン系樹脂は、一般に安価であ
り、かつその特長である軽量性、透明性、機械的強度、
耐熱性、耐薬品性などの性質を生かし、自動車部品,電
気・電子部品などの工業材料、各種包装材料などに広く
利用されている。近年、製品の高機能化あるいはコスト
低減化に伴い、これらの材料に対する特性向上が強く要
望されている。また、真空成形などの二次成形品では加
熱により表面光沢が低下する問題があり用途が限定され
ることもある。
【0003】ポリプロピレンの剛性、耐衝撃性、耐熱性
などを改良する方法として、例えばエチレン−プロピレ
ンブロック共重合体にエチレン−プロピレンゴムおよび
造核剤を配合する方法(特公昭60-3420 号公報など)あ
るいはエチレン−プロピレンゴム、エチレン共重合体お
よび無機フィラーを配合する方法(特開平4-275351号公
報、特開平5-5051号公報、特開平5-98097 号公報、特開
平5-98098 号公報など)などが提案されている。また、
二次成形品の光沢を改良する方法としてポリプロピレン
に無機もしくは有機核剤を加えた表皮層とポリオレフィ
ン組成物層からなる積層体(特開昭59-165654 号公報)
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、いずれも特性の一部を改良するものではある
が、耐熱性および剛性についてはいまだ不十分である。
また、二次成形品の光沢についても満足できるレベルに
至っていない。本発明は、かかる状況に鑑みてなされた
ものであり、剛性と耐衝撃性とのバランス、耐傷つき
性、光沢および二次加工性に優れるプロピレン系樹脂積
層体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレンブロック
共重合体とポリオレフィンとの併用により上記目的を達
成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち、(A)ポリプロピレンにジベン
ジリデンソルビトール誘導体0.005〜0.5重量%
を配合してなるポリプロピレ層(A層)と、(B)
(a)下記(i) 〜(iv)の物性を有するポリプロピレンブ
ロック(a1) 50〜97重量%と、下記(v)〜(vii
i)の物性を有するプロピレンと炭素数2〜12(ただ
し、3を除く)のα−オレフィンとの共重合ブロック
(a2) 50〜3重量%からなるプロピレンブロック
共重合体 45〜70重量%、 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部 98.0重
量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率 96.5%
以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長 90以上 (iv) カラム分別法による各フラクションのアイソタク
チック平均連鎖長が300以上のものの合計量 10
重量%以上 (v) 2サイトモデルによる平均プロピレン含量(FP)
20〜80モル% (vi) 2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
含量(PP ) 65〜90モル% (vii) PH が共重合体全体に占める割合(Pf1) 0.
40〜0.90 (viii)2サイトモデルによるブロック性(CSD)
1.8〜5.0 (b)下記(ix)〜(xi) の物性を有するポリオレフィン
系樹脂 5〜20重量%、 (ix) 温度190℃、周波数10-1rad/secにお
ける動的粘度η1 と周波数10rad/secにおける
動的粘度η2 との比(η1 /η2 ) 4〜20 (x)示差走査熱量測定法(DSC)による結晶化ピーク
温度Tcpが110〜130℃であり、融解ピーク温度
TmpとTcpとの比(Tmp/Tcp)が1.1〜
1.5であり、かつTmp/(Tmp−Tcp)が3.
0〜9.8である (xi)X線回折法による回折図でa軸配向を示す結晶構
造である (c)沈降炭酸カルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ
酸カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の
無機充填剤 5〜30重量%ならびに (d)タルク、マイカおよびチタン酸カリウムからなる
群から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤 5〜30
重量%(ただし、(a)+(b)+(c)+(d)=1
00重量%である)からなるプロピレン系樹脂組成物層
(B層)の少なくとも2層からなるプロピレン系樹脂積
層体を提供するものである。 以下、本発明を詳しく説明する。
【0007】本発明の積層体におけるポリプロピレン層
(A層)は、ポリプロピレンにジベンジリデンソルビト
ール誘導体0.005〜0.5重量%を配合した組成物
である。ポリプロピレンとしては特に限定するものはな
く、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレ
フィンとのランダムもしくはブロック共重合体などが挙
げられるが、後述するアイソタクチックペンタッド分率
が98.0%以上のいわゆる高立体規則性を有するもの
が好ましい。
【0008】ジベンジリデンソルビトール誘導体は、ポ
リプロピレンなどの結晶性樹脂の核剤として広く使用さ
れているものであり、好ましい例としては、例えば1,
3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,
2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、
4−p−メチルベンジリデンソルビトールなどの低級ア
ルキル系が挙げられる。これらソルビトールの配合量
は、ポリプロピレンに対し0.05〜0.5重量%であ
り、0.08〜0.4重量%が好ましく、とりわけ0.
1〜0.35重量%が好適である。配合量が0.05重
量%未満では光沢が低下する。一方、0.5重量%を超
えると成形品にブツが発生し外観が劣るので好ましくな
い。
【0009】また、本発明のB層における(a)プロピ
レンブロック共重合体(以下「BPP」という)は、ポ
リプロピレンブロック(a1)と、プロピレンと炭素数
2〜12(ただし、3を除く)のα−オレフィンとの共
重合体ブロック(a2)からなるブロック共重合体であ
る。本発明のBPPは、第1段の反応で生成するポリプ
ロピレンブロック(a1)が下記(i) 〜(iv)の物性を有
することが必要である。すなわち、(i) 25℃における
キシレン抽出不溶部(以下「XI」という)が98.0
重量%以上であり、好ましくは98.5重量%以上、さ
らに好ましくは99.0重量%以上である。XIが9
8.0重量%未満では剛性および耐熱性に劣る。なお、
XIは、ポリプロピレンを135℃のオルトキシレンに
いったん溶解した後、25℃に冷却してポリマーを析出
させる方法によって測定した。
【0010】また、 (ii) アイソタクチックペンタッド
分率(以下「IP」という)は、96.5%以上である
必要があり、96.8%以上が好ましく、特に97.0
%以上が好適である。IPが96.5%未満では剛性お
よび耐熱性に劣るので好ましくない。なお、IPとは、
同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペルト
ルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッ
ド単位でのアイソタクチック分率である。その測定法
は、A.Zambelli; Macromolecules,6,925(1973)、同 8,6
87(1975) および同 13,267(1980) に記載された方法に
従った。
【0011】また、(iii) アイソタクチック平均連鎖長
(以下「N」という)は90以上、好ましくは100以
上、特に好ましくは110以上である必要がある。Nが
90未満では剛性および耐熱性に劣る。なお、Nとは、
ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチック部
分の平均的な長さを表すものであり、その測定方法は、
J.C.Randall;Polymer SequenseDistribution,Academic
Press,New York,1977,Chapter2)に記載されている方法
に拠った。具体的には、ポリプロピレンを1,2,4−
トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒にポ
リマー濃度が10重量%となるように温度130℃に加
温して溶解する。この溶液を10mmΦのガラス製試料
管に入れ、IPと同様の方法で13C−NMRスペクトル
を測定する。このスペクトル図の例を図1に示す。図1
のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペク
トルであり、bはそのスペクトルの拡大図である。スペ
クトルは、ペンタッド単位すなわち隣接するメチル基5
個をひとつの単位として測定され、メチル基のアイソタ
クチシティー(構造的にはmmmm,mmmrなどの1
0種類がある)によって吸収ピークが異なる。図1のb
に吸収ピークとアイソタクチシティーとの対応を示す。
【0012】一方、重合理論として Shan-Nong et al;P
olymer Journal,vol.15,No.12,p859-868(1983)に記載さ
れた2サイトモデルがある。すなわち、重合時の活性種
が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするものであ
り、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と
呼ばれるものである(詳細については、古川淳二;高分
子のエッセンスとトピックス2,「高分子合成」,P7
3(株)化学同人発行(1986)に記載されてい
る)。上記文献によると、結局、2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわち
アイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と
同じものが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 としてペンタッド単位でのアイソタクチシティーの異な
る10種類のアイソタクチック強度を理論的に計算でき
る。そして、前記NMRによる測定強度と、上記理論強
度とが一致するようにα、σおよびωを最小自乗法で求
め、次式により各ペンタッド単位を求める。
【0013】
【表1】 ただし、β=α(1−α)
【0014】次に、前記 J C.Randallの文献に記載され
た平均連鎖長(N)の定義式;N=メソ体の連鎖数/メ
ソ体のユニット数 に当てはめ、実際には次式により求めることができる。 N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5
6 +A7 ) さらに、(iV)カラム分別法による各フラクションのアイ
ソタクチック平均連鎖長(以下「Nf 」という)が30
0以上のものの合計量は全体の10重量%以上であるこ
とが必要であり、好ましくは30重量%以上、特に好ま
しくは50重量%である。Nf が300以上であるもの
の合計量が10重量%未満では剛性、表面硬度および耐
熱性の改良効果に乏しい。
【0015】ここで、カラム分別法とは、前記キシレン
抽出不溶部をパラキシレンに温度130℃で溶解後、セ
ライトを加え、10℃/時間の降温速度で温度30℃ま
で下げ、セライトに付着させ、次に、スラリー状セライ
トをカラムに充填し、パラキシレンを展開液として温度
30℃から2.5℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリプ
ロピレンをフラクション別に分取する方法である。詳細
については、MasahiroKakugo et al;Macromolecules,vo
l.21,p314-319(1988)に記載されている。分取したポリ
プロピレンのNf は、前記Nの測定法を用いて測定され
る。
【0016】また、本発明のBPPは、第二段の反応で
生成するプロピレン−α−オレフィン共重合ブロック
(a2)が以下に述べる(v) 〜(viii)の条件をすべて満
足することが必要である。ここで、プロピレン−α−オ
レフィン共重合体の2サイトモデルについて、プロピレ
ン−エチレン共重合体を例にとり説明する。プロピレン
−エチレン共重合体の同位体炭素による核磁気共鳴(13
C−NMR)スペクトルの例を図2に示す。該スペクト
ルは連鎖分布(エチレンとプロピレンの並び方)の違い
で(1) 〜(10)に示す10個のピークが現れる。この連鎖
の名称は、Carman,C,J,et al;Macromolecules,Vol.10,p
536-544(1977) に記載があり、その名称を図3に示す。
このような連鎖は、共重合の反応機構を仮定すると反応
確率(P)として表すことができ、全体のピーク強度を
1にしたときの各(1) 〜(10)のピークの相対強度はPを
パラメーターとしたベルヌーイ統計による確率方程式と
して表すことができる。例えば、(1) Sααの場合、プ
ロピレン単位を記号p,エチレン単位を記号eとする
と、これをとりうる連鎖は[pppp]、[ppp
e]、[eppe]の3通りであり、これらをそれぞれ
反応確率(P)で表し、足し合わせる。残りの(2) 〜(1
0)のピークについても同様な方法で式を立て、これら1
0個の式と実際に測定したピーク強度が最も近くなるよ
うにPを最適化することにより求めることができる。
【0017】2サイトモデルは、この反応機構を仮定す
るモデルであり、H.N.CHENG;Jounalof Applied Polymer
Sience,Vol.35 p1639-1650(1988)に記載がある。すな
わち、触媒を用いてプロピレンとエチレンを共重合する
モデルにおいて、プロピレンを優先的に重合する活性点
で生成する共重合体(PH )のプロピレン含量(PP
とエチレンを優先的に重合する活性点で生成する共重合
体のプロピレン含量(P'P)の2つを仮定し、さらにP
H が共重合体中に占める割合(Pf1)をパラメーターと
すると、次の表2に示す確率方程式が得られる。
【0018】
【表2】
【0019】次に、先に述べた13C−NMRスペクトル
の相対強度と、表2に示す確率方程式が一致するように
P 、P'PおよびPf1の3個のパラメーターを最適化す
ることにより求められる。本発明の(v) 平均プロピレン
含量(FP)は、上記3個のパラメーターを用いて次式
で求められる。 FP=PP ×Pf1+P'P×(1−Pf1) (モル%) 上記式で求められるFPは20〜80モル%であり、好
ましくは25〜75モル%であり、さらに好ましくは3
0〜70モル%である。FPが20モル%未満では成形
品の外観が著しく低下する。一方、80モル%を超える
と耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0020】また、上記のパラメーターのうち(vi)PP
は65〜90モル%であり、68〜88モル%が好まし
く、とりわけ70〜85モル%が好適である。PP が6
5モル%未満では剛性および耐熱性が低下する。一方、
90モル%を超えると耐衝撃性が損なわれるので好まし
くない。
【0021】さらに、(vii) Pf1は0.40〜0.90
であり、0.45〜0.85が好ましく、とりわけ0.
48〜0.82が好適である。Pf1が0.40未満では
剛性および耐熱性が低下する。一方、0.90を超える
と耐衝撃性が損なわれるので好ましくない。
【0022】最後に、(viii)ブロック性(CSD)と
は、エチレンとプロピレンの反応性比のことであり、こ
の定義は、高分子会編,「共重合1反応解析」p5〜1
3,培風館発行(1975) の方法に従った。すなわち、図
2のスペクトルにおける各ピークの強度比(Ri)を用
いて次式で表される。 CSD=[(0.5 ×R7 +0.25×R6 +0.5 ×R9)] /
[0.5×( R2+R3)]2 上式で得られるCSDは1.8〜5.0であり、2.0
〜4.5が好ましく、とりわけ2.5〜4.0が好適で
ある。CSDが1.8未満では剛性および耐熱性が低下
する。一方、5.0を超えると低温における耐衝撃性が
損なわれるので好ましくない。
【0023】本発明のBPP中に占めるプロピレン−α
−オレフィン共重合ブロック(a2)の割合は、3〜5
0重量%であり、10〜40重量%が好適である。
【0024】本発明のBPPの重合は、ヘキサン、ヘプ
タン、灯油などの不活性炭化水素またはプロピレンなど
の液化α−オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー法、
無溶媒下の気相重合法などにより、温度条件としては室
温〜130℃、好ましくは50〜90℃、圧力2〜50
kg/cm2 の条件で行われる。重合工程における反応
器は、当該技術分野で通常用いられるものが適宜使用で
き、例えば攪拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反
応器を用いて連続式、半回分式、回分式にいずれの方法
でもよい。具体的には、公知の多段重合法を用いて得ら
れる。すなわち、第1段の反応でプロピレンを重合した
後、第2段の反応でプロピレンとα−オレフィンとの共
重合を行う方法であり、例えば、特公昭36-15284号公
報、特公昭38-14834号公報、特開昭53-35788号公報、特
開昭53-35789号公報、特開昭56-55416号公報などに記載
されている。
【0025】本発明のBPPは、公知のチーグラー・ナ
ッタ系触媒、例えば三塩化チタン系触媒あるいは塩化マ
グネシウム担持つ型チタン系触媒などでは得られない。
本発明のBPPを得るための触媒の例としては、マグネ
シウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物およ
び電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒を、更に
一般式:Ti Xa ・Yb (式中、XはCl,Br,Iのハロ
ゲン原子を、Yは電子供与性化合物を、aは3もしくは
4を、bは3以下の整数をそれぞれ表す)で示されるチ
タン化合物で処理後、ハロゲン含有化合物で洗浄し、更
に炭化水素で洗浄して得られる改良重合触媒が挙げられ
る。
【0026】上記式中のTi Xa は、例えば、R.P.S.Co
utts,et al,Advan.Organometal.Chem.,9,135(1970), 第
4版新実験化学講座 17 無機錯体・キレート錯体 日
本化学会丸善(1991) p.35, H.K.Kakkoen,et al,J.Organ
omet.Chem.,453,175(1993)などに記載されているよう
に、一般に電子供与性化合物とは容易に錯体を形成する
ことが知られている。XはCl,Br,Iのハロゲン原子で
あり、この中で好ましいのはCl である。aは3もしく
は4であるが、好ましくは4である。Yとしては、一般
に含酸素化合物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄
化合物などが挙げられる。含酸素化合物としては、例え
ばアルコール類、エーテル類、エステル類、酸ハライド
類、酸無水物類などが挙げられる。これらの電子供与性
化合物は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも好ましいものはエステル類であり、特に
好ましいものはフタル酸エステル類である。Yのbは、
前記aが3のときはbは1〜3、aが4のときは1また
は2が好ましく、特に好ましいのはaが4、bが1の場
合である。
【0027】次に、本発明における(b)ポリオレフィ
ン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、エチレンと炭素数4〜
12のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−ブテン
−プロピレン三元共重合体などである。これらのポリオ
レフィン系樹脂は、以下に述べる(ix)〜(xi)の条件を満
たすことが必要である。すなわち、(ix) 温度190
℃、周波数10-1rad/secにおける動的粘度η1
と周波数10rad/secにおける動的粘度η2 との
比(η1 /η2 )が4〜20であることが必要である。
η1 /η2 は4〜15が好ましく、とりわけ5〜15が
好適である。η1 /η2 が4未満では異方性が大きくな
りM.D/T.Dバランスが悪くなる。一方、20を超
えるとゲルあるいはフィッシュアイが多くなり商品価値
を下げるので好ましくない。なお、動的粘度とは物体に
対して変形あるいは外力を振動的(角周波数)に与えた
ときに観測される粘弾性挙動を表したものであり、測定
方法については、例えば日本レオロジー学会編集;講座
・レオロジー、第78〜119頁(高分子刊行会発行、
1992年)に記載されている。
【0028】また、(x) 示差走査熱量測定法(DSC)
による結晶化ピーク温度Tcpが110〜130℃であ
り、融解ピーク温度TmpとTcpとの比(Tmp/T
cp)が1.1〜1.5であり、かつTmp/(Tmp
−Tcp)が3.0〜9.8であることが必要である。
Tcpは好ましくは112〜127℃であり、とりわけ
113〜125℃が好適である。Tcpが110℃未満
では機械的強度の異方性が大きくなる。一方、130℃
を超えると衝撃強度などの機械的強度が不足するので好
ましくない。Tmp/Tcpについては、1.1未満で
は柔軟性および衝撃強度が不足する。一方、1.5を超
えると機械的強度に異方性を生じバランスが悪くなる。
Tmp/(Tmp−Tcp)については、3.0未満で
は機械的強度に異方性を生じる。一方、9.8を超える
と柔軟性および衝撃強度が低下するので好ましくない。
【0029】なお、TcpおよびTmpのDSC測定法
は次のとおりである。ポリエチレン系樹脂にあっては、
Tcpは190℃まで昇温後、5分間保持し、次いで降
温速度10℃/分の条件で30℃まで降下させたときの
結晶化ピーク温度であり、Tmpは再び昇温速度10℃
/分で190℃まで昇温させたときの融解ピーク温度で
ある。また、プロピレン系樹脂にあっては、Tcpは2
30℃まで昇温後、5分間保持し、次いで降温速度20
℃/分の条件で30℃まで降下させたときの結晶化ピー
ク温度であり、Tmpは再び昇温速度20℃/分で23
0℃まで昇温させたときの融解ピーク温度である。
【0030】さらに、(xi) X線回折法による回折図で
a軸配向を示す結晶構造を有することが必要である。ポ
リオレフィンのX線回折法による結晶構造の解析には多
くの研究があり、例えば「高分子」vol.14,No.158,第37
9 〜388 頁、「日本化学会誌」第82巻、第12号、第1575
〜1577頁などがある。図4はa軸配向を有するポリプロ
ピレンのX線回折図の一例であり、縦方向がフィルムの
引き出し方向(M.D)に相当する。この図で子午線方
向がa軸に相当し、この方向に配向を示す回折像(上下
一対の横方向の白い線)が明確に現れている。一方、図
5はa軸配向を有さないポリプロピレンの例であり、結
晶に配向性がないためにその回折像はリング状を呈して
いる。このようなa軸配向性のないポリオレフィン系樹
脂を用いると二次加工性の改良効果が見られない。
【0031】本発明のポリオレフィン系樹脂の具体例と
しては、例えばポリプロピレンを真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で電子線もしくはガンマ線などの電離放射線
で照射処理したもの、多孔質δ型三塩化チタンを触媒と
して用いて得られるポリプロピレン、シリカあるいはア
ルミナ担体にクロムまたはモリブデンなどの遷移金属酸
化物を担持したものを高温焼成した固体触媒を用いた高
密度ポリエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、
温度230℃における溶融張力が10g以上のものが二
次加工性の面から好ましい。
【0032】本発明における(c)成分は、沈降炭酸カ
ルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ酸アルミニウムか
らなる群から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤であ
り、なかでも沈降炭酸カルシウムが好ましい。これらの
充填剤の平均粒径は通常4μm以下であり、好ましくは
1μm程度、特に0.05〜1μmが好適である。ま
た、(d)成分はタルク(ケイ酸マグネシウム)、マイ
カおよびチタン酸カリウムからなる群から選ばれた少な
くとも1種の無機充填剤である。これらの中でもタルク
が好ましい。以上の充填剤は、有機チタネート系、アル
ミニウム系などのカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属
塩、脂肪酸エステルなどで処理したものを用いることも
できる。また、有機過酸化物とともに、無水マレイン
酸、アクリル酸、イタコン酸などに代表される不飽和カ
ルボン酸もしくはその無水物でグラフト処理した変性ポ
リプロピレンを加えて用いてもよい。
【0033】本発明のB層中に占める(a)成分の組成
割合は45〜70重量%であり、48〜67重量%が好
ましく、特に50〜65重量%が好適である。(a)成
分の割合が45重量%未満では剛性、耐傷付性および二
次加工性が低下する。一方、70重量%を超えると耐衝
撃性が低下するので好ましくない。(b)成分の組成割
合は5〜20重量%であり、7〜18重量%が好まし
く、特に9〜16重量%が好適である。(b)成分の割
合が5重量%未満では二次加工性に劣る。一方、20重
量%を超えると成形品の外観が悪化するので好ましくな
い。(c)成分の組成割合は5〜30重量%であり、8
〜28重量%が好ましく、特に10〜25重量%が好適
である。(c)成分の割合が5重量%未満では耐衝撃性
が低下する。一方、30重量%を超えると二次加工性に
劣るほか耐衝撃性も低下し好ましくない。また、(d)
成分の組成割合は5〜30重量%であり、6〜25重量
%が好ましく、特に7〜20重量%が好適である。
(d)成分の割合が5重量%未満では剛性が低下する。
一方、30重量%を超えると二次加工性が低下するので
好ましくない。
【0034】本発明においては、(a)成分に代えて下
記の(e)および(f)成分を配合することによっても
本発明の効果を達成できる。すなわち、(e)ポリプロ
ピレン(以下「PP」という)は、プロピレン単独重合
体ならびにプロピレンと炭素数2〜12(ただし、3を
除く)のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
α−オレフィンとしては、例えばブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などが挙
げられる。そして、本発明のPPは、前述した(i) 〜(i
v)の物性を有することが必要である。これらの物性を有
するPPは、BPPと同様、前記の改良触媒を用いるこ
とにより得られる。PPがB層中に占める組成割合は4
5〜70重量%であり、48〜67重量%が好ましく、
特に50〜65重量%が好適である。組成割合が45重
量%未満では剛性が低下する。一方、70重量%を超え
ると耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0035】また、(f)ゴム状重合体は、特に制限す
るものはなく、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソ
プレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム水添物、スチレン−エチレン/ブテン−スチレンブ
ロック共重合体、スチレン−イソプレンゴム水添物、ス
チレン−エチレン/イソプレン−スチレンブロック共重
合体水添物、アクリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プ
ロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴ
ム、エチレン−ブタジエンゴム水添物などが挙げられ
る。これらの中でもエチレン−プロピレンゴム、エチレ
ン−ブタジエンゴム水添物、スチレン−エチレン/ブテ
ン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−エチレ
ン/イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物が好
ましい。(f)成分がB層中に占める組成割合は3〜1
5重量%であり、4〜13重量%が好ましく、特に5〜
10重量%が好適である。組成割合が3重量%未満では
耐衝撃性が低下する。一方、15重量%を超えると剛性
および耐傷付性が低下し好ましくない。
【0036】本発明のA層あるいはB層を構成する樹脂
組成物は、公知の混合方法、例えばリボンブレンダー、
タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて各成分を
混合し、さらにニーダー、ミキシングロール、バンバリ
ーミキサー、押出機などを用いて溶融混合して得られ
る。溶融混合時の温度は、通常170〜280℃であ
り、好ましくは190〜260℃で行うとよい。
【0037】得られた組成物は、公知の積層方法により
積層し、本発明の積層体が得られる。積層方法として
は、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアクリル系
などの接着剤を用いて、その他の熱可塑性樹脂を積層す
る、いわゆるドライラミネート成形法、共押出ラミネー
ション法、共押出法、共射出成形法、共押出パイプ成形
法などが挙げられる。このようにして得られた積層体
は、真空成形、圧空成形、延伸ブロー成形などの成形法
を用いて、再加熱し延伸する方法により成形体とするこ
ともできる。
【0038】本発明の積層体におけるA層の厚さは、A
層とB層との厚さの総和に対し0.05〜20%の範囲
内が好ましく、とりわけ0.1〜15%が好適である。
また、本発明のA層あるいはB層を構成する樹脂組成物
には、当業者に慣用されている添加剤、例えば酸化防止
剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防
止剤、防曇剤、顔料、可塑剤、柔軟剤などを本発明の目
的を損なわない範囲で適宜配合してもよい。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、各物性の測定方法を以下に示す。 [MFR]JIS K7210に準拠し、タカラ社製メ
ルトインデクサーを使用し温度230℃、荷重2.16
kgの条件で測定した。 [曲げ弾性率]JIS K7203に準拠し、A層側を
表とした。 [アイゾット衝撃強度]JIS K7110に準拠し、
ノッチ付きで、かつA層側にノッチを付けて温度−20
℃の条件で測定した。 [耐傷付性]表面性測定機(HEIDEN社製 14S/D)を用い
て試験片(150×80mm、厚さ2mm)のA層側に
垂直荷重を加えた円錐型引斯針(サファイヤ製、JIS
K6719規格品)で引斯いたときの表面が傷つく最
小荷重を測定した。また、二次加工特性として次の2項
目を評価した。 [保持時間]枠(400×400mm)に固定した積層
シートを200℃に加熱されたオーブンにA層を上にし
て置き、一度垂れ下がったシートが再び元に戻りその状
態を保持する時間を測定した。保持時間が長いほど二次
加工性は一般に優れている。 [均一延展性]220℃に加熱されたオーブン中に30
秒間保持した積層シートを、箱型金型(開口部大きさ;
300×200mm、底部大きさ;280×180m
m、深さ100mm)を用いて真空成形し、成形品の厚
みむらおよびしわの発生の有無を目視により観察しその
良否を判定した。
【0040】A層のポリプロピレンとして、後記の
(e)成分であるPP1およびPP3を用いた。ジベン
ジリデンソルビトール誘導体として1,3,2,4−ジ
(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(新日本理化
社製、ゲルオールMDR)を用いた。また、使用したB
PPの製造例を以下に示す。
【0041】(イ)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール1
00g、出光興産社製ワセリンオイル(CP15N)5
00mlおよび信越シリコーン社製シリコーン油(KF
96)500mlからなる混合液に窒素雰囲気下、12
0℃で完全溶解した。この混合物を特殊機化工業社製T
Kホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で
3分間撹拌した。次いで、撹拌を維持しながら2リット
ルの無水ヘプタン中に0℃以下を維持するように冷却し
ながら移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十
分洗浄し、室温下で真空乾燥した。得られた白色固体3
0gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させ、0℃で撹
拌しながら四塩化チタン500mlを1時間かけて滴下
した。次に、加熱を始めて40℃になったところでフタ
ル酸ジイソブチル4.96gを加え、100℃まで約1
時間で上昇させた。100℃で2時間反応した後、熱時
ろ過にて固体部分を採取した。得られた固体部分に四塩
化チタン500mlを加え、撹拌下120℃で1時間反
応した後、再度熱時ろ過にて固体部分を採取し、60℃
のヘキサン1リットルで7回、さらに室温のヘキサン1
リットルで3回洗浄した。
【0042】(ロ)TiCl4 [C64 ( COOi
49)2]の調製 四塩化チタン19gを含むヘキサン1リットルの溶液
に、フタル酸ジイソブチル27.8gを、0℃を維持し
ながら約30分間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇
温し30分間反応した。反応終了後、固体部分を採取し
ヘキサン500mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0043】(ハ)重合触媒成分の調製 上記(イ)で得られた固体触媒20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃で上記(ロ)で得られたTiC
4 [C64 ( COOi49)2]5.2gで1時間
処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部
分を採取し、トルエン300mlと四塩化チタン10m
lに再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過
にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃の
トルエン500mlで5回、室温のヘキサン500ml
で3回洗浄した。
【0044】予備重合 窒素雰囲気下、内容積3リットルのオートクレーブ中
に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.9
g、および上記(ハ)で得られた重合触媒成分10gを
投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、
重合触媒成分1gあたり10gのプロピレンが重合する
ようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5
℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合
固体触媒成分は、n−ヘプタンで500mlで3回洗浄
を行い、以下の本重合に使用した。
【0045】本重合 (1) 第一段重合;窒素雰囲気下、内容積60リットルの
撹拌機付きオートクレーブに上記の方法で調整された予
備重合固体触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1
1.4g、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84
gを入れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対
して13000モルppmになるように水素を装入し、
70℃まで昇温し1時間重合を行った。その後、未反応
のプロピレンを除去し重合を終結させた。反応終了後、
反応生成物をサンプリングした。 (2) 第二段重合;第一段重合終了後、液体プロピレンを
除去し、温度75℃でエチレン/プロピレン=40/6
0(モル比)の混合ガス2.2Nm3 /時間、水素20
Nリットル/時間の供給速度で40分間共重合した。重
合終了後、未反応ガスを除去し重合を終結した。その結
果、エチレン含有量が9.7重量%およびMFRが0.
8g/10分であるプロピレン−エチレンブロック共重
合体(以下「BPP1」という)8.0kgを得た。
【0046】また、第二段重合の際、さらにブテン−1
を供給した以外はBPP1と同様にして、エチレン含有
量が8.4重量%、ブテン−1含有量が0.7重量%お
よびMFRが1.1g/10分であるプロピレン−エチ
レンブロック共重合体(以下「BPP2」という)を得
た。
【0047】さらに、比較例用として次のBPPを用い
た。東ソー・アクゾ社製AA型三塩化チタン6.6g、
ジエチルアルミニウムクロライド23.5gを触媒成分
として用い、プロピレン18kg、プロピレンに対して
8000モルppmになるように水素を装入し、70℃
まで昇温し、以下BPP1と同様にして重合した結果、
エチレン含有量が9.8重量%およびMFRが0.8g
/10分であるもの(以下「BPP3」という)を得
た。
【0048】以上の共重合体の第一段重合終了時にサン
プリングした、ポリプロピレン部について、XI、I
P、NおよびNf を測定した。その結果を表3に示す。
なお、IPの測定条件は以下のとおりである。 測定器 日本電子社製 JNM−GSX400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間 :3.0s 積算回数 :20000回 溶 媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/
重ベンゼンの混合溶媒(75/25重量%) 内部循環 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ また、第二段で得られた各エチレン−プロピレン共重合
体部について、NMRスペクトルと2サイトモデルの解
析により、FP、PP 、Pf1およびCSDを求めた。そ
の結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】ポリオレフィン系樹脂として、MFRが
0.6g/10分であるポリプロピレン粉末を多層フィ
ルム袋(ポリエチレンとエチレン−ビニルアルコール共
重合体)に入れ窒素置換した後、電子線照射装置(日新
ハイボルテージ社製)を用いて照射線量として5Mra
d照射処理し、次いで130℃で60分熱処理したもの
(以下「PO1」という)、δ型三塩化チタン触媒を使
用して重合したMFRが2.8g/10分であるポリプ
ロピレン(以下「PO2」という)および三酸化クロム
触媒を使用して重合したMFR(温度190℃、荷重
2.16kgで測定)が1.5g/10分であるポリエ
チレン(以下「PO3」という)を用いた。比較用とし
て、三塩化チタン系触媒を使用して重合したMFRが
1.7g/10分であるポリプロピレン(以下「PO
4」という)および塩化マグネシウム担持型触媒を使用
して重合したMFRが1.7g/10分であるポリエチ
レン(以下「PO5」という)を用いた。以上の各樹脂
の動的粘度比(η1 /η2 )、Tmp、Tcp、Tmp
/(Tmp−Tcp)およびa軸配向の有無を表4に示
す。
【0051】なお、動的粘度はASTM D4065−
90、ASTM D4440−84に準拠し、Rheometr
ic社製 Mechanical Spectrometer Model RMS-800を用い
て測定した。結晶化温度および融解温度は PERKIN-ELME
R 社製DSC測定装置( 7Series Thermal Analysis Sy
stem)を使用した。a軸配向はリガク社製X線回折装置
(RAD−II) を用いて、50KV、40mAの条件で
ポイントフォーカスで1時間照射し、広角X線フラット
カメラで回折図を測定した。
【0052】
【表4】
【0053】また、(c)成分として不飽和脂肪酸で表
面処理した沈降炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、
CALSHITEC Stavigot-15A、 平均粒径0.15μm)(以
下「沈カル」という)、含水ケイ酸(トクヤマ社製、フ
ァインシール 平均粒径0.05μm)(以下「ケイ
酸」という)および含水ケイ酸カルシウム(トクヤマ社
製、フローライトを分級 平均粒径4μm)(以下「ケ
イカル」という)を用いた。(d)成分としてタルク
(林化成社製、MION WHITE #5000S、平均粒径2.8μ
m)マイカ(米国マリエッタ社製、スゾライト 平均粒
径20μm)およびチタン酸カリウム(大塚化学社製、
テイスモ 繊維径 0.2〜0.5μm、繊維長10〜
20μm)(以下「Tカル」という)を用いた。
【0054】さらに、(e)ポリプロピレンとして前記
BPP用触媒を用いて重合したMFRが3.7g/10
分であるポリプロピレン(以下「PP1」という)およ
びMFRが0.8g/10分であるポリプロピレン(以
下「PP2」という)を用いた。比較用として、東ソー
・アクゾ社製AA型三塩化チタン、ジエチルアルミニウ
ムクロライドを触媒成分として用いて重合して得られた
MFRが3.9g/10分であるポリプロピレン(以下
「PP3」という)および前記BPP用触媒調製におい
て(イ)のみの操作で得られた触媒を用いて重合し、M
FRが3.9g/10分であるポリプロピレン(以下
「PP4」という)を用いた。以上のPPについてX
I、IP、NおよびNf を測定した。その結果を表3に
示す。測定条件は前述のとおりである。さらに、(f)
ゴム重合体としてプロピレン含有量が32重量%である
エチレン−プロピレンゴム(以下「RB1」という)、
ブタジエン含有量が19重量%であるエチレン−ブタジ
エンゴム水添物(以下「RB2」という)、スチレン−
エチレン/ブテン−スチレンブロック共重合体(旭化成
社製「タフテック H1051」)(以下「RB3」と
いう)およびスチレン−エチレン/イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体水添物(クラレ社製「セプトン 2
023」)(以下「RB4」という)を用いた。
【0055】実施例1〜20、比較例1〜16 表5および表6に種類および配合量が示されているA層
各成分ならびに安定剤としてジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール 0.05重量部、ペンタエリスリチル−テトラ
キス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート] 0.10重量部およびカ
ルシウムステアレート 0.10重量部を配合した。同
様にB層各成分にも上記安定剤および造核剤(旭電化工
業社製、アデカスタブNA−10)を配合した。そし
て、それぞれ川田製作所社製スーパーミキサー(SMV
20型)を用いて混合し、ナカタニ機械社製二軸押出機
(AS30型)を用いてペレット化した。A層ペレット
については押出成形機を用いて厚さ100μmのフィル
ムを成形した。また、B層ペレットを東芝機械社製射出
成形機(IS−170FII)を用いて、温度220℃、
金型冷却温度50℃で各試験片を作製し、これに前記A
層フィルムをドライラミネート用接着剤(大日本インキ
社製、2K−LF−302A)を用いて貼り合せた。得
られた積層試験片を相対湿度50%、温度23℃の恒温
室に2日間放置後、曲げ弾性率およびアイゾット衝撃強
度(ノッチ付き)について測定を行った。さらに、A層
およびB層各ペレットを幅600mmのTダイ押出機を
用いて温度230℃の条件で共押出しにより厚さ1.0
mm(A層厚さ100μm)の積層シートを作製した。
この積層シートについて耐傷付性を評価した。さらに、
該積層シートを真空成形により容器(開口部の大きさ:
300mm×200mm、底部の大きさ:280mm×
180mm、深さ:100mm、厚さ0.5mm)を成
形し二次加工性を評価した。さらに、該容器の内面底部
(非金型面)の中央部について光沢を測定した。以上の
結果を表7に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】本発明の積層体は、剛性と耐衝撃性との
バランス、耐傷つき性、光沢および二次加工性に優れる
ので、特に自動車部品、電気・電子部品、包装材料分野
などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレンのメチル領域における核磁気共
鳴スペクトルの例である。
【図2】エチレン−プロピレン共重合体の核磁気共鳴ス
ペクトルの例である。
【図3】ポリオレフィンにおける連鎖分布由来の各炭素
の名称を示す図である。
【図4】a軸配向を有するポリプロピレンのX線回折像
の例を示す図である。
【図5】a軸配向を有さないポリプロピレンのX線回折
像の例を示す図である。
【符号の説明】
a スペクトル図 b aの拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/36 5/053 C08L 23/12 LCD 53/00 LLV LLY

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリプロピレンにジベンジリデン
    ソルビトール誘導体0.005〜0.5重量%を配合し
    てなるポリプロピレ層(A層)と、 (B)(a)下記(i) 〜(iv)の物性を有するポリプロピ
    レンブロック(a1)50〜97重量%と、下記(v)〜
    (viii)の物性を有するプロピレンと炭素数2〜12(た
    だし、3を除く)のα−オレフィンとの共重合ブロック
    (a2) 50〜3重量%からなるプロピレンブロック
    共重合体 45〜70重量%、 (i) 25℃におけるキシレン抽出不溶部 98.0重
    量%以上 (ii) アイソタクチックペンタッド分率 96.5%
    以上 (iii) アイソタクチック平均連鎖長 90以上 (iv) カラム分別法による各フラクションのアイソタク
    チック平均連鎖長が300以上のものの合計量 10
    重量%以上 (v) 2サイトモデルによる平均プロピレン含量(FP)
    20〜80モル% (vi) 2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
    合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
    含量(PP ) 65〜90モル% (vii) PH が共重合体全体に占める割合(Pf1) 0.
    40〜0.90 (viii)2サイトモデルによるブロック性(CSD)
    1.8〜5.0 (b)下記(ix)〜(xi) の物性を有するポリオレフィン
    系樹脂 5〜20重量%、 (ix) 温度190℃、周波数10-1rad/secにお
    ける動的粘度η1 と周波数10rad/secにおける
    動的粘度η2 との比(η1 /η2 ) 4〜20 (x)示差走査熱量測定法(DSC)による結晶化ピーク
    温度Tcpが110〜130℃であり、融解ピーク温度
    TmpとTcpとの比(Tmp/Tcp)が1.1〜
    1.5であり、かつTmp/(Tmp−Tcp)が3.
    0〜9.8である (xi)X線回折法による回折図でa軸配向を示す結晶構
    造である (c)沈降炭酸カルシウム、含水ケイ酸および含水ケイ
    酸カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の
    無機充填剤 5〜30重量%ならびに (d)タルク、マイカおよびチタン酸カリウムからなる
    群から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤 5〜30
    重量%(ただし、(a)+(b)+(c)+(d)=1
    00重量%である)からなるプロピレン系樹脂組成物層
    (B層)の少なくとも2層からなるプロピレン系樹脂積
    層体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、B層が(a)プロピ
    レンブロック共重合体 45〜70重量%に代えて、 (e)上記(i) 〜(iv)の物性を有するポリプロピレン
    45〜70重量%および (f)ゴム状重合体 3〜15重量%(ただし、(b)
    +(c)+(d)+(e)+(f)=100重量%であ
    る)であるプロピレン系樹脂積層体。
  3. 【請求項3】 A層とB層との厚さの総和に対し、A層
    の厚さが0.05〜20%である請求項1または請求項
    2記載のプロピレン系樹脂積層体。
JP31924794A 1994-11-29 1994-11-29 プロピレン系樹脂積層体 Pending JPH08156204A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31924794A JPH08156204A (ja) 1994-11-29 1994-11-29 プロピレン系樹脂積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31924794A JPH08156204A (ja) 1994-11-29 1994-11-29 プロピレン系樹脂積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08156204A true JPH08156204A (ja) 1996-06-18

Family

ID=18108063

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31924794A Pending JPH08156204A (ja) 1994-11-29 1994-11-29 プロピレン系樹脂積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08156204A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0708146B1 (en) Propylene resin composition, molded articles thereof and propylene resin laminate
JP2839840B2 (ja) プロピレン樹脂組成物
JP3618462B2 (ja) プロピレン樹脂成形物
JP3739481B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂材料及びその製造方法
JP3396100B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP3396099B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP2831576B2 (ja) プロピレンブロック共重合体、その製造方法およびその組成物
JP2831574B2 (ja) プロピレンブロック共重合体、その製造方法およびその組成物
JPH08156204A (ja) プロピレン系樹脂積層体
JP3369007B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP4500003B2 (ja) ポリプロピレン樹脂からなるフィルム
JP3385099B2 (ja) ポリプロピレン系フィルムおよびシート
JPH1192518A (ja) プロピレン系重合体の重合用触媒成分及びその製法
JPH09104729A (ja) プロピレンブロック共重合体およびその製造方法ならびにそれを用いたプロピレン樹脂組成物
JP3002119B2 (ja) プロピレンブロック共重合体およびその製造方法
JP3479163B2 (ja) ポリプロピレンフィルムおよびシート
JP3621190B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP3621189B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP3034452B2 (ja) プロピレンブロック共重合体およびその製造方法
JPH0881596A (ja) プロピレン系樹脂組成物
JPH107875A (ja) プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体組成物およびその成形体
JP3841855B2 (ja) プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体およびその製造方法
JP7512425B2 (ja) 高充填および柔軟性ポリオレフィン組成物
JP4192034B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物
JPH07316357A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060606