JP3479163B2 - ポリプロピレンフィルムおよびシート - Google Patents

ポリプロピレンフィルムおよびシート

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JP3479163B2 JP15955795A JP15955795A JP3479163B2 JP 3479163 B2 JP3479163 B2 JP 3479163B2 JP 15955795 A JP15955795 A JP 15955795A JP 15955795 A JP15955795 A JP 15955795A JP 3479163 B2 JP3479163 B2 JP 3479163B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性と耐衝撃性のバラ
ンスに優れ、ヒートシール特性および透明性、光沢など
の光学特性に優れるポリプロピレンフィルムおよびシー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンフィルムは、機械的特
性、光学特性および包装特性などが優れることから工業
材料、食品、医療器具など広い分野の包装材料として使
用されている。該フィルムの中でも、ブロック共重合体
から得られるフィルムは、特に耐熱性、剛性および耐衝
撃性に優れるという特長を有することから、レトルト食
品、PTP、ブリスターパックなどの包装材のヒートシ
ール層として好適に用いられている。近年、かかる包装
材の高特性化が要求され、特に剛性と耐衝撃性とのバラ
ンス、ヒートシール特性の改良が要望されている。ま
た、該フィルムは不透明という問題もあった。これらの
欠点を解消するために多くの改良ブロック共重合体の提
案がなされている。例えば、特開昭57−74312号
公報、特開昭58−8717号公報、特開昭59−11
5312号公報などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のフィルムは、いずれも剛性と耐衝撃性とのバランスお
よびヒートシール特性が未だ不十分であり、かつ透明
性、光沢などの光学特性も劣るものであった。本発明は
かかる状況に鑑みてなされたものであり、剛性と耐衝撃
性のバランスに優れ、ヒートシール特性および透明性、
光沢などの光学特性に優れるポリプロピレンフィルムお
よびシートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレンブロック
共重合体により上記目的を達成し得ることを見出し、か
かる知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は(A)ポリプロピレンブロック 35〜9
5重量%と、(B)プロピレンと他のα−オレフィンと
の共重合体ブロック 65〜10重量%からなり、かつ
下記物性を有するポリプロピレンフィルムおよびシート
を提供するものである。 (a)示差走査熱量計を用いて測定される結晶化温度曲
線において、主ピーク以外に90〜100℃の範囲にお
いて副次ピークを有し、かつ、主ピーク面積に対する副
次ピーク面積の割合が1.5〜10%である (b)25℃におけるキシレン抽出可溶分と、主ピーク
面積に対する副次ピーク面積の割合が下記式を満足する 0.1XIS−1≦SMA (式中、XISはキシレン抽出可溶分(重量%)、SMA
は主ピーク面積に対する副次ピーク面積の割合(%)を
表す) 以下、本発明を具体的に説明する。
【0005】本発明のポリプロピレンフィルムおよびシ
ートは、(A)ポリプロピレンブロックと、(B)プロ
ピレンと他のα−オレフィンとの共重合体ブロックから
なるプロピレンブロック共重合体(以下「BPP」とい
う)を成形して得られるものである。BPPの(A)ポ
リプロピレンブロックとしては、ホモポリプロピレンま
たはプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重
合体(α−オレフィン共重合割合は5モル%未満)など
が挙げられる。
【0006】一方、(B)共重合体ブロックとしては、
プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(α−オレフィン共重合割合は5モル%以上)などが挙
げられる。(B)成分中に占めるα−オレフィンの含有
量は通常30〜80モル%であり、32〜78モル%が
好ましく、特に35〜75モル%が好適である。上記他
のα−オレフィンとしては、炭素数2〜12(ただし、
3を除く)のものが挙げられ、具体例としては、1−ブ
テン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−
1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘ
キサン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは1種
類でもよく2種類以上を混合して使用することもでき
る。また、BPP中に占める(B)成分の割合は10〜
65重量%であり、好ましくは12〜63重量%、特に
好ましくは15〜62重量%である。(B)成分の割合
が10重量%未満では耐衝撃性に劣る。一方、65重量
%を超えると成形品の表面がべたついたり、機械的強度
が劣るので好ましくない。
【0007】さらに、本発明のフィルムは、下記(a)
および(b)の物性を有することが必要がある。 (a)示差走査熱量計を用いて測定される結晶化温度曲
線において、主ピーク以外に90〜100℃の範囲にお
いて副次ピークを有し、かつ、主ピーク面積に対する副
次ピーク面積の割合が1.5〜10%である。示差走査
熱量計を用いて測定される結晶化温度曲線は、フィルム
またはシートを230℃まで昇温し、5分間保持した後
20℃/分の降温速度で−30℃まで冷却することによ
り得られるものである。このように測定される結晶化温
度曲線において、90℃〜100℃の範囲に副次ピーク
を有する必要がある。本発明のフィルムの結晶化温度曲
線の例を図1に示す。
【0008】また、該副次ピーク温度の範囲としては好
ましくは91℃〜99℃、特に好ましくは92℃〜98
℃である。副次ピークが90℃未満では剛性、透明性改
良効果に乏しい。一方、100℃を超えると耐衝撃性、
透明性が阻害され好ましくない。また、主ピーク面積に
対する副次ピーク面積の割合(以下「SMA」という)
が1.5〜10%である必要があり、好ましくは1.8
%〜9%、特に好ましくは2.0%〜8%である。SM
Aが1.5%未満では剛性、耐白化性および透明性改良
効果がない。一方、SMAが10%を超えると透明性、
耐衝撃性が阻害される。
【0009】さらに、(b)25℃におけるキシレン抽
出可溶分と、主ピーク面積に対する副次ピーク面積の割
合が下記式を満足する必要がある。 0.1XIS−1≦SMA (式中、XISはキシレン抽出可溶分(重量%)、SMA
は主ピーク面積に対する副次ピーク面積の割合(%)を
表す) 上記式は好ましくは、0.18XIS−1.8≦SMAで
あり、特に好ましくは、0.23XIS−2.3≦SMA
である。SMAが上記式を満足しない場合は、本発明の
改良効果が発現せず好ましくない。また、本発明におい
ては、135℃デカリン溶液粘度[η]が1.0〜4.
0dl/gであるBPPを用いると、低温耐衝撃強度を
損なわずに透明性、光沢などの光学特性が良くなる。
【0010】さらに、本発明のフィルムはXISが以下の
物性を有することが好ましい。 (i)2サイトモデルによる平均のプロピレン含量(F
P):30〜70モル% (ii)2サイトモデルによる高プロピレン含量側のプロ
ピレン含量(PP ):50〜80モル% (iii)PH が共重合体中に占める割合(Pf1):0.2
0〜0.60、 (iv) ブロック性(CSD):1.0〜2.5
【0011】ここで、本発明のBPPの2サイトモデル
について、(B)成分がプロピレン−エチレン共重合体
の場合を例に挙げて以下この手法を説明する。図2は典
型的なプロピレン−エチレン共重合体の13C−NMRス
ペクトルであり、スペクトルは連鎖分布(エチレンとプ
ロピレンの並び方)の違いで10個の異なるピークを与
える。この連鎖の名称はCarman,C,J, Horrington,R,A,
Wilkes,C,E;Macromolecules,Vol.10,p536-544(1977) に
述べられており、図3のように命名されている。このよ
うな連鎖は共重合の反応機構を仮定すると、反応確率
(P)として表すことができるので、全体のピーク強度
を1にしたときの各(1) 〜(10)のピークの相対強度はP
をパラメータとしたベルヌーイ統計による確率方程式と
して表すことができる。
【0012】例えば、(1) Sααの場合、プロピレン単
位を記号p、エチレン単位を記号eとすると、これを取
りうる連鎖は[pppp]、[ppee]、[epp
e]の3通りであり、これらをそれぞれ反応確率で表
し、足し合わせる。残りの(2) 〜(10)のピークについて
も同様な方法で式をたて、これら10個の式と実際測定
したピーク強度が最も近くなるようにPを最適化するこ
とにより求めることができる。2サイトモデルは、この
反応機構を仮定するモデルであり、H.N.CHENG;Jounalof
Applied Polymer Sience, Vol.35 p1639-1650(1988)
にその定義が述べられている。すなわち、不均一系触媒
を用いてプロピレンとエチレンを共重合するモデルにお
いて、プロピレンを優先的に重合する活性点で生成する
共重合体(PH)のプロピレン含量(PP )とエチレンを
優先的に重合する活性点で生成する共重合体のプロピレ
ン含量(P'P)の2つを仮定し、さらにPH が共重合体
に占める割合(Pf1)をパラメータとすると、次の表1
に示す確率方程式が得られる。
【0013】
【表1】
【0014】そこで、先に述べた13C−NMRスペクト
ルの相対強度と、表1に示す確率方程式が一致するよう
にPP 、P'PおよびPf1の3個のパラメータを最適化す
ることにより、求められる。
【0015】本発明のBPPにおける(i) 平均プロピレ
ン含量(FP)は、上記3個のパラメータを用いて次式
で求められる。 FP=PP ×Pf1+P'p×(1−Pf1) ブロック性(CSD)はエチレンとプロピレンの反応性
比のことであり、この定義は、高分子学会編,「共重合
1反応解析,p5〜13」培風館発行(1975)に述
べられている。計算方法は、Soga,K, Park,J,R, Shion
o,T;Polymer Communications,Vol.32,No.10,p310(1991)
の方法に従った。すなわち、図2の強度比を用い以下
の式で求めた。 (CSD)=[(0.5 ×(7)+0.25×(6)+0.5 ×(3))×(1)]
/[0.5 ×(2)+(3))]2 このようにして求められる、(i) FPは30〜70モル
%が好ましく、さらに35〜65モル%が好適である。 (ii)PP は50〜80モル%が好ましく、さらに55〜
75モル%が好適である。 (iii) Pf1は0.20〜0.60が好ましく、さらに
0.25〜0.55が好適である。 (iv)CSDは1.0〜2.5が好ましく、さらに1.3
〜2.0が好適である。
【0016】本発明に用いるBPPを得るための方法と
しては、例えばマグネシウム化合物、チタン化合物、ハ
ロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分と
する固体触媒または、更に、一般式:TiXa・Yb
(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電
子供与性化合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の
整数をそれぞれ表す)で示されるチタン化合物で処理
後、ハロゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄
して得られる改良重合触媒を用いて重合したものが挙げ
られる。
【0017】このような改良重合触媒は、マグネシウム
化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物、電子供与
性化合物を用いて調製される。マグネシウム化合物とし
ては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マ
グネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;ジメトキ
シマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキ
シマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジフェノキ
シマグネシウムのようなアルコキシマグネシウムなどが
好適である。また、触媒形成時にハロゲン化マグネシウ
ムを形成するものも使用できる。 これら各種マグネシ
ウム化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上併用
して使用しても良い。
【0018】チタン化合物としては、四塩化チタン、三
塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンのようなハ
ロゲン化チタンなどが好適である。また、これら各種チ
タンは単独で使用しても良いし、2種以上併用して使用
しても良い。ハロゲン含有化合物は、ハロゲンがフッ
素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくは塩素であ
り、具体例としては、触媒調製法に依存するが、四塩化
チタンなどのハロゲン化チタン、四塩化ケイ素、四臭化
ケイ素などのハロゲン化珪素、三塩化リン、五塩化リン
のようなハロゲン化リンなどが挙げられる。触媒調製法
によってはハロゲン化炭化水素、ハロゲン分子、ハロゲ
ン化水素酸を用いても良い。
【0019】電子供与性化合物としては、一般に含酸素
化合物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物、
含ケイ素化合物等が挙げられる。具体的には、アルコー
ル類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、有機酸
エステル類、アルコキシエステル類、ケトエステル類、
無機酸エステル類、エーテル類、アミド類、有機酸ハラ
イド類、有機酸無水物類、アミン類、ニトリル類、チオ
エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸類、ケイ素含
有化合物類などを挙げることができる。この中で特に好
ましいのは有機酸エステル類であり、さらに具体的に
は、フタル酸エチルフタル酸ブチル、フタル酸2−エチ
ルヘキシルなどのフタル酸エステル類を例示できる。こ
れらの電子供与性化合物は、1種でもよく、2種類以上
を併用して用いても良い。
【0020】前記各成分の使用量は、本発明において効
果が認められる限り任意のものであるが、一般に次の範
囲が好ましい。チタン化合物の使用量は、使用するマグ
ネシウム化合物の使用量に対して0.0001〜100
0の範囲内が良く、好ましくは0.01〜100の範囲
である。必要に応じてハロゲン化合物を使用する場合
は、使用するマグネシウム化合物の使用量に対してモル
比で0.01〜1000の範囲内が良く、好ましくは
0.1〜100の範囲内である。電子供与性化合物の使
用量は、前記マグネシウム化合物の使用量に対してモル
比で0.001〜10の範囲内が良く、好ましくは0.
01〜5の範囲内である。
【0021】本発明に用いられる固体触媒の調製方法
は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与
性化合物、さらに必要に応じてハロゲン含有化合物等の
助剤とを一時的または段階的に接触、反応させて得られ
る従来公知の固体触媒の調製方法を用いることができ
る。公知方法の具体例として、以下の調製方法がある。 (1)ハロゲン化マグネシウムと必要に応じて電子供与
性化合物とチタン化合物を接触させる方法。 (2)ハロゲン化マグネシウムとテトラアルコキシチタ
ンおよび特定のポリマーケイ素化合物を接触させて得ら
れる固体成分に、ハロゲン化チタン化合物および/また
はケイ素のハロゲン化合物を接触させる方法。 (3)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンお
よび電子供与性化合物で溶解させて、ハロゲン化剤また
はハロゲン化チタン化合物で析出させた固体成分に、チ
タン化合物を接触させる方法。 (4)アルミナまたはマグネシアをハロゲン化リン化合
物で処理し、それにハロゲン化マグネシウム、電子供与
性化合物、ハロゲン化チタン化合物を接触させる方法。 (5)有機マグネシウム化合物に代表されるグリニャー
ル試薬を還元剤や、ハロゲン化剤と作用させた後、電子
供与性化合物とチタン化合物とを接触させる方法。 (6)アルコキシマグネシウム化合物にハロゲン化剤お
よび/またはチタン化合物を電子供与性化合物の存在下
もしくは不存在下で接触させる方法。 (7)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンで
溶解し、ポリマーケイ素化合物で処理した後、ケイ素の
ハロゲン化合物および有機金属化合物で処理する方法。 (8)球状のマグネシウム化合物/アルコール錯体を電
子供与性化合物およびハロゲン化チタン化合物等で処理
する方法。 これらの調製方法の中でも(8)の方法が好ましい。
【0022】上記の方法で調製された固体触媒は、一般
式TiXa ・Yb (式中、XはCl、Br、Iのハロゲ
ン原子、aは3もしくは4、Yは電子供与性化合物、0
≦b≦3を表す)で表されるチタン化合物で1回以上、
ハロゲン含有化合物で1回以上処理し、炭化水素で洗浄
することによって本発明の改良触媒成分が調製される。
一般式TiXa ・Yb (式中、XはCl、Br、Iのハ
ロゲン原子、aは3もしくは4)は、例えば、R.S.P.Co
utts,P.C.Wailes; Adovan. Organometal.Chem.,Vol.9,P
-135(1970)、第4版新実験化学講座17無機錯体・キレ
ート錯体p.35、日本化学会、丸善(1991)、H.
K.Kakkoen,J.Pursiainen,T.A.Pakkanen,M.Ahlgren,E.Ii
skola;J.Organomet.Chem.,Vol.453,p175(1993)などに記
載されているように、一般に電子供与性化合物とは容易
に錯体を形成することが知られている。TiXa ・Yb
のY(電子供与性化合物)は、固体触媒調製時に使用し
たものと同様のもの、または異なるものでも良い。Ti
a ・Yb を調製する際、電子供与性化合物は1種でも
良く、2種以上併用してもよい。また、ハロゲン含有化
合物は、固体触媒調製時に使用したものと同様もの、あ
るいは異なるものを用いても良い。ハロゲン含有化合物
は1種でも、2種以上併用し用いてもよい。
【0023】固体触媒をTiXa ・Yb で処理する温度
は、−30℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の
範囲である。また、固体触媒をハロゲン含有化合物で処
理する温度は0℃〜200℃、好ましくは50℃〜15
0℃である。TiXa ・Yb の使用量は、固体触媒中の
チタン原子に対して、0.001〜500の範囲がよ
く、好ましくは0.1〜1000の範囲内である。
【0024】固体触媒のTiXa ・Yb およびハロゲン
含有化合物による処理は、通常、不活性炭化水素媒体中
で行うことができる。この際、用いられる不活性炭化水
素媒体としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、デカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示すること
ができる。また、これらの不活性炭化水素溶媒は、固体
触媒のTiXa ・Yb およびハロゲン含有化合物による
処理後のオレフィン重合用触媒の洗浄溶媒として用いる
ことができる。
【0025】このように調製される改良重合触媒のう
ち、次の粉体物性を有するものが好ましい。 (1) 表面積:100〜300m2 /g (2)細孔体積:細孔2nm〜40nmの範囲で0.3
0〜0.45cc/g (3)重量平均粒子径:50〜100μm (4)粒子径123μmの割合:15重量%以下 (5)および粒子径87μm以下の割合:35重量%以
【0026】表面積は、BET法(S.Brunauer,P.H.Emm
ett,E.Teller;J.Am.Chem.Soc.,Vol.60,p309(1938) によ
って測定されるものである。BET法については、市販
の測定装置であるCARLO EBRA STRUMENTAZIONE 社製Sorp
tomatic Series 1800 を用い、窒素ガス吸着法により求
められる。また、細孔体積は、多孔性物質に含まれる細
孔の全体積をいう。かかる細孔は、一般に単一径のもの
ではなく、種々の半径の細孔の集合体であるため、細孔
分布を求めて細孔体積を求める。触媒などの細孔体積の
測定方法は、水銀圧入法(E.W.Washburn,Proc.Natl.Aca
d.Sci.,Vol.7,p-115(1921))によって求めることができ
る。この水銀圧入法は、触媒の細孔内に水銀を圧入し、
水銀の細孔への浸入量を圧力の関数として求めることが
できる。この測定については、市販の測定装置であるMI
CROMERITIS社製Auto Pore 9200型を用いて測定される。
【0027】また、粒子径は、回析パターン解析によっ
て粒径分布を計測するものである。すなわち、回析パタ
ーン解析とは、ビームエックスパンダで広げられたレー
ザビームを気相または液相中に分散した粒子に当て、こ
の粒子によって発生する回析パターンをレンズによって
集光し、検出器に投影し、この検出器に投影されるフラ
ンホーファ回析パターンの強度分布から求められる。
【0028】このような解析方法に関しては、Michael
Heuer,Kurt Leschonski:Results Obtained with a New
Instrument for the Measurment of Particle Size Dis
tributions from Diffraction Patterns. Part 2 (198
5) p7-13 およびJ.Fraunhofer:Brehungs und Frarbzers
treuungsverm gens verschiedener Glasarten.Gilberts
Annalen der Physik 56(1987),p193-226 等に詳細に述
べられている。具体的には、市販の日本電子(株)製レ
ーザ回析式粒度分布測定装置HELOS &RODOS を使用し、
測定することができる。
【0029】このような改良重合触媒は、後述する有機
アルミニウム化合物、立体規則性改良剤との組み合わせ
により、本発明のBPPの製造に使用される。有機アル
ミニウム化合物の代表的なものとしては、トリメチルア
ルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルア
ルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウムのようなトリア
ルキルアルミニウム、メチルアルミノキサン、エチルア
ルミノキサン、プロピルアルミノキサンのようなアルミ
ノキサンが挙げられる。このような有機アルミニニウム
化合物は、1種でもよく、2種以上併用し用いてもよ
い。立体規則性改良剤としては、フェニルトリエトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ−n−プロピ
ルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラ
ン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシ
ルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラ
ン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テキシル
トリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランのようなSi−O−C結合
を有するケイ素化合物を挙げることができる。これら立
体規則性改良剤は、1種でもよく、2種以上併用し用い
てもよい。
【0030】重合方法については、特に限定されず公知
の方法を用いることができる。連続式、回分式の方法い
ずれの方法でも得ることができ、重合反応器の形態に特
に制限はない。上記BPPはヘキサン、ヘプタン、燈油
等の不活性炭化水素またはプロピレンのような液化α−
オレフィン溶媒存在下でのスラリー法や無溶媒下の気相
重合法で、重合温度が室温〜130℃の範囲で行われ
る。好ましくは、50〜90℃の範囲で行われる。重合
圧力は2〜50Kg/cm2 の範囲で行われる。重合工
程における反応器は、当該技術分野で一般に用いられる
ものが適宜使用できる。例えば、撹拌槽型反応器、流動
床型反応器、循環式反応器を用いて、重合操作を連続
式、半回分式、回分式のいずれかの方法で行うことがで
きる。得られたBPPスラリーまたは粉末は、必要に応
じ、アルコールや水等で不活性化または残触媒の除去を
行った後、乾燥し、添加剤と溶融混合し供される。
【0031】このBPPは、さらに造核剤を配合すると
剛性、耐熱性、衝撃強度に優れるものが得られる。該造
核剤は、合成樹脂分野において結晶性樹脂に添加して核
となって結晶を成長させる効果の物質をいい、各種の物
質がある。例えば、カルボン酸の金属塩、ジベンジリデ
ンソルビトール誘導体、フォスフェート金属塩、タルク
や炭酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられ
る。具体例としては、安息香酸ナトリウム、アジピン酸
アルミニウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム
塩、チォフェネカルボン酸ナトリウム、1,3,2,4
−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−
(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p
−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデ
ンソルビトール、ナトリウム−ビス−(4−t−ブチル
フェニル)フオスフェート、カリウム−ビス−(4−t
−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,
2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェ
ニル)フォスフェート、タルク、炭酸カルシウム等の無
機化合物などが挙げられる。これらの造核剤は1種でも
よく2種以上を併用することもできる。これら造核剤の
添加量は、ポリオレフィン系樹脂組成物に少なくとも造
核剤を0.05〜0.5重量%の範囲で配合すると、本
発明の効果が著しく好ましい。好ましくは、0.08〜
0.4重量%、特に好ましくは、0.1〜0.35重量
%添加するのが望ましい。但し、タルク等の無機化合物
は、上記に例示した造核剤よりも、核剤効果が小さいの
で、5〜30重量%添加すると良い。好ましくは、7〜
28重量%、特に好ましくは、9〜25重量%である。
【0032】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に対
しては、熱可塑性樹脂に慣用の他の添加剤(例えば、酸
化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロック
キング防止剤、防曇剤、染料、顔料、オイル、ワックス
等)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜量配合でき
る。このような添加剤の例としては、酸化防止剤として
2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−
(6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタ
デシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチルー1’−ヒ
ドロキシフェニル)プロピネート、4,4’−チオビス
−(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収剤としてはエ
チル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、
2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾ
フェノン、可塑剤としてフタル酸ジメチル、フタル酸ジ
エチル、ワックス、流動パラフィン、りん酸エステル、
帯電防止剤としてはペンタエリスリットモノステアレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、
ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、滑剤として
エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等、
着色剤としてカーボンブラック、フタロシアニン、キナ
クリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベン
ガラ等、充填剤としてグラスファイバー、アスベスト、
マイカ、バラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ア
ルミニウム、炭酸カルシウム等である。又、他の多くの
高分子化合物も本発明の作用効果が阻害されない程度に
ブレンドすることもできる。
【0033】組成物の製造方法としては、PPに造核剤
をその他の添加材とともに溶融混練する方法がある。具
体的には、従来公知の混合方法、例えば、リボンブレン
ダー、ヘンシェルなどを用いて各成分を混合し、さら
に、ニーダー、ミキシングロール、バンバリミキサー、
押出機などを用いて溶融混合する方法が挙げられる。溶
融混練温度については、170〜280℃の範囲が良
い。好ましくは、190〜260℃の範囲が良い。特
に、好ましくは、200〜250℃の範囲である。一
方、各成分を直接成形機に供給し成形加工しても良い。
上記樹脂組成物の溶融指数(MFR,JIS−K721
0により荷重2.16Kg, 温度230℃)は特に制限
されるものではなく、成形法によって選ばれるが、押出
成形によっては0.1〜250(g/10分)の範囲が
適当である。
【0034】本発明のフィルム・シートは上記樹脂組成
物を通常工業的に用いられる方法、例えばキャストフィ
ルム(Tダイ)成形法、インフレーションフィルム成形
法およびシート成形法により製造される。また、後処理
としての熱処理、若干の延伸操作あるいはコロナ放電処
理、火炎処理などの表面処理を施してもよい。また、本
発明のフィルムは、複合フィルムのヒートシール層とし
て有効であり、基体層としても有効である。したがっ
て、単体での使用はもちろん、他の材料を積層して用い
ることもできる。積層する場合の積層方法としては、ポ
リウレタン系、ポリエステル系ポリアクリル系等のドラ
イラミネート接着剤を用い、積層するいわゆるドライラ
ミネート成形法やサンドウィッチラミネーション法、又
は共押出ラミ、共押出法(フィードブロック方式、マル
チマニホールド方式)、共射出成形法、共押出パイプ成
形法などがある。このようにして得られた多層積層体は
次に真空成形機、圧空成形機、延伸ブロー成形機等を用
い、再加熱し延伸操作を加える方法あるいは前述の多層
積層体又は樹脂組成物の単層成形物を一軸、或は二軸延
伸機を用いて加熱延伸操作を施すことができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例をあげ本発明を更に詳しく説明
する。 本発明における各物性の測定方法および装置を
以下に示す。 (1) エチレン含有量 C.J. Carman らによって報告されている13C−NMR法
による方法(Macromolecules,10,537(1977) をもとに行
った。 (2) MFR JIS K7210に準拠し表1、条件14で行った。
装置はタカラ(株)製のメルトインデクサーを用いた。 (3) 25℃キシレン抽出可溶分(XIS) BPPを135℃のオルトキシレンにいったん溶解した
後、25℃に冷却してポリマーを析出させ、可溶分をX
IS(重量%)とした。 (4) 結晶化温度および副次ピーク面積と主ピーク面積の
比(SMA) 装 置:PERKIN−ELMER社製DSC7型 試料重量:約3〜5mg 測定方法:試料を230℃まで昇温し、5分間保持した
後、20℃/分の速度で−30℃まで降温し結晶化温度
曲線を得た。得られた結晶化温度曲線より主ピーク温
度、副次ピーク温度および副次ピーク面積と主ピーク面
積の比(SMA)を求めた。
【0036】(5) 2サイトモデルによる解析 BPPを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン
の混合溶媒にポリマー濃度が10重量%となるように1
30℃に加温して溶解する。次いで、以下の装置および
条件で13C−NMRスペクトルの測定を行い、それぞれ
のシグナルは、A.ZambelliらのMacromolecules,13,267
(1980) で帰属した。 測定装置 :日本電子(株)製JNM−GSX400(13C核共鳴 周波数100MHz) パルス幅 :8.0μsec パルス繰り返し時間:5.0sec 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合 溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ 次に、2サイトモデルの解析を行い、FP、PP 、Pf1
およびCSDを求めた。
【0037】 (6) 重合触媒の粒度分布 測定装置 :日本電子(株)製HELOS&RODOS 分散液 :ヘキサン 焦点距離 :100mm (7) 引張弾性率 JIS K7127に準拠し引張速度5mm/分の条件
で測定した。 (8) フィルム耐衝撃強度 東洋精機製作所社製振子式フィルムインパクトテスター
(1/2半球)を用いて温度23℃および−5℃の条件
で測定した。 (9) ヒートシール強度 テスター社製ヒートシーラーを用いて、温度155℃、
圧力2kg/cm2 、シール時間1秒の条件でヒートシ
ールした15mm幅の短冊状試験片を、オリンテック社
製引張試験機を用いて剥離速度300mm/分の条件で
T型剥離を行った。
【0038】(10)表面光沢(グロス) フィルムの表面光沢(グロス)をJIS K7205に
準拠し、日本電色工業社製VG−1D型グロスメーター
を用いて測定した。 (11)ヘーズ(透明性) JIS K7105に準拠し、全ヘーズおよび内部ヘー
ズを測定した。なお、内部ヘーズは流動パラフィンに浸
漬し測定した。 (12)レトルト特性 前記ヒートシーラーを用いて温度160℃で四方シール
袋を作成した後、日阪製作所社製RCS40T型レトル
ト試験機を用いて135℃×30分のレトルト処理を行
った。 ヒートシール強度保持率は次の式により求めた。 保持率(%)=処理後シール強度/処理前シール強度×
100 また、処理後の袋のフィルム同士の融着状況を目視で次
の3段階で評価した。 ○ ・・・・ まったく融着が見られない △ ・・・・ 一部融着が見られる × ・・・・ 融着が著しい
【0039】(重合触媒調整例) 固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール1
00g、出光興産(株)製のワセリンオイルCP15N
500mlおよび信越シリコーン(株)製のシリコーン
油KF96 500ml中、窒素雰囲気下、120℃で
完全に溶解させた。この混合物を、特殊機化工業(株)
製のTKホモミキサーを用いて120℃、5000回転
/分で2分間撹拌した。撹拌を保持しながら、2リット
ルの無水ヘプタン中に0℃を越えないような移送した。
得られた白色固体は無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下
で真空乾燥し、さらに窒素気流下で部分的に脱エタノー
ル化した。
【0040】得られたMgCl2 ・1.2C25 OH
の球状固体30gを無水ヘプタン200ml中に懸濁さ
せた。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン500mlを
1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて40℃にな
ったところで、フタル酸ジイソブチル4.96gを加え
て、100℃まで約1時間で昇温させた。100℃で2
時間反応させた後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。
その後、この反応物に四塩化チタン500mlを加え撹
拌させた後、120℃で1時間反応させた。反応終了
後、再度、熱時ろ過にて固体部分を採取し、60℃のヘ
キサン1.0リットルで7回、室温のヘキサン1.0リ
ットルで3回洗浄した。得られた固体触媒成分中のチタ
ン含有率を測定したところ、2.36重量%であった。
【0041】TiCl4 [C64 (COOiC4
92 ]の調製 四塩化チタン19gを含むヘキサン1.0リットルの溶
液に、フタル酸ジイソブチル:C64 (COOiC4
92 27.8gを、温度0℃を維持しながら約30
分で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反
応させた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン50
0mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0042】改良重合触媒の調製 上記で得られた固体触媒20gをトルエン300ml
に懸濁させ、温度25℃で、上記で得られたTiCl
4 [C64 (COOiC492 ]で1時間撹拌洗
浄し、熱時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反
応物を90℃のトルエン500mlで3回、室温のヘキ
サン500mlで3回洗浄した。得られた固体触媒成分
中のチタン含有率は、1.78重量%で、さらにこの改
良重合触媒の表面積および細孔体積を測定したところ、
以下の通りであった。 表面積 :165m2 /g 細孔体積 :細孔2〜40nmの範囲で0.31cc/g 重量平均粒子径 :86.1μm 粒子径123μm以上の割合:5.0重量% 粒子径87μm以下の割合 :51.5重量%
【0043】予備重合 窒素雰囲気下、内容量3リットルのオートクレーブ中
に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.39
g、および、上記で得られた改良重合触媒10gを投
入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、改
良重合触媒1gあたり10gのプロピレンが重合するよ
うにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5℃
の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合固
体触媒は、さらにn−ヘプタン500mlで3回洗浄を
行い、最終の予備重合固体触媒を得た。
【0044】実施例1 (a)第一段目:ホモポリプロピレンの重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記予備重合固体触媒2.0g、トリエチル
アルミニウム11.4g、ジシクロペンチルジメトキシ
シラン6.84gを入れ、次いでプロピレン18Kg、
プロピレンに対して14000molppmになるよう
に水素を装入し、70℃まで昇温させ1時間の重合を行
った。1時間後、未反応のプロピレンを除去し、重合を
終結させた。 (b)第二段目:プロピレン−エチレン共重合体の重合 第一段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除去
し、温度75℃でエチレン/プロピレン=40/60
(モル比)の混合ガス2.2Nm3 /時間、水素20N
L/時間の供給速度で、40分間共重合した。40分
後、未反応ガスを除去し、重合を終結させた。その結
果、7.3Kgのプロピレンブロック共重合体が得られ
た。得られたBPPの諸物性をおよび2サイトモデルの
解析結果を表1に示す。
【0045】また、得られたBPPに、ジ−t−ブチル
−p−クレゾールを0.05重量%、ペンタエリスリチ
ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.10重量
%およびカルシウムステアレートを0.10重量%を配
合し、川田製作所社製スーパーミキサー(SMV20
型)を用いてペレット化した。得られたペレットについ
て吉井鉄工社製40mmΦキャスト成形機を用いて成形
温度230℃、冷却ロール温度40℃で厚さ60μmの
フィルムを作成した。得られた各フィルムについて各種
物性を測定した。以上の結果を表3に示す。
【0046】実施例2〜4 実施例1と同様にして、重合時の水素の装入量、第二段
目の重合時間、エチレン量を変更し重合を行った。その
結果、表2に示すものが得られた。また、実施例1と同
様にして各種物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0047】実施例5 第一段目にプロピレンとエチレンを供給して重合した以
外は実施例1と同様に行った。第一段目がエチレン含有
量2.4重量%のポリプロピレンブロックが得られた。
なお、このエチレン含有量は、第一段目の重合が終了し
た時点でエチレン含有量測定用サンプルをサンプリング
し測定を行った。各種物性の結果を表2および表3に示
す。
【0048】比較例1 触媒として、前記で調製された固体触媒を用いたこと
および水素の仕込み量を9500molppmとした以
外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2および
表3に示す。尚、触媒の粉体物性は以下の通りであっ
た。 表面積 :206m2 /g 細孔体積 :細孔2〜40nmの範囲で0.36cc/g 重量平均粒子径 :93.5μm 粒子径123μm以上の割合:16.5重量% 粒子径87μm以下の割合 :34.1重量%
【0049】比較例2 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに東ソー・アクゾ社製のAA型三塩化チタン
6.0g、ジエチルアルミニウムクロライド23.5g
を入れ、次いでプロピレン18Kg,プロピレンに対し
て8000molppmになるように水素を装入し、7
0℃まで昇温させ、以下実施例1と同様に行った。その
結果を表2および表3に示す。尚、触媒の粉体物性は以
下の通りであった。 表面積 :41m2 /g 細孔体積 :細孔2〜40nmの範囲で0.25cc/g 重量平均粒子径 :5.6μm 粒子径123μm以上の割合:0.5重量% 粒子径87μm以下の割合 :93.2重量%
【0050】比較例3 MFRが8.4g/10分であるホモポリプロピレン8
0重量部と、エチレン含有量が81モル%であるエチレ
ン−プロピレンゴム20重量部からなる樹脂混合物を用
いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作成し、物
性を評価した。その結果を表2および表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明のフィルムおよびシートは、剛性
と耐衝撃強度のバランスに優れ、透明性、光沢等の光学
特性およびレトルト特性に優れるので、食品、医薬品、
医療器具材料など多方面の包装材料として利用できるの
で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレンフィルムの結晶化温度
曲線の例である。
【図2】プロピレン−エチレン共重合体の核磁気共鳴ス
ペクトルの例である。
【図3】プロピレン−エチレン共重合体の連鎖分布由来
の各炭素の名称を示す例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−93061(JP,A) 特開 平6−145269(JP,A) 特開 昭59−115312(JP,A) 特開 平8−81529(JP,A) 特開 平8−73547(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/08 C08F 4/658

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリプロピレンブロック 35〜
    95重量%と、(B)プロピレンと他のα−オレフィン
    との共重合体ブロック 65〜10重量%からなり、か
    つ下記物性を有するポリプロピレンフィルムおよびシー
    ト。 (a)示差走査熱量計を用いて測定される結晶化温度曲
    線において、主ピーク以外に90〜100℃の範囲にお
    いて副次ピークを有し、かつ、主ピーク面積に対する副
    次ピーク面積の割合が1.5〜10%である (b)25℃におけるキシレン抽出可溶分と、主ピーク
    面積に対する副次ピーク面積の割合が下記式を満足する 0.1XIS−1≦SMA (式中、XISはキシレン抽出可溶分(重量%)、SMA
    は主ピーク面積に対する副次ピーク面積の割合(%)を
    表す)
  2. 【請求項2】 25℃におけるキシレン抽出可溶分が下
    記物性を有する請求項1記載のポリプロピレンフィルム
    およびシート。 (i)2サイトモデルによる平均のプロピレン含量(F
    P):30〜70モル% (ii)2サイトモデルによる高プロピレン含量側のプロ
    ピレン含量(PP ):50〜80モル% (iii)PH が共重合体中に占める割合(Pf1):0.2
    0〜0.60、 (iv) ブロック性(CSD):1.0〜2.5
  3. 【請求項3】 マグネシウム化合物、チタン化合物、ハ
    ロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分と
    する固体触媒を、更に一般式TiXa・Yb(式中、X
    はCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化
    合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数をそれ
    ぞれ表す)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲン
    含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得られ、
    かつ、下記物性を有する改良重合触媒を用いて重合して
    得られるプロピレンブロック共重合体を成形して得られ
    る請求項1または請求項2記載のポリプロピレンフィル
    ムおよびシート。 (1)表面積:100〜300m2 /g (2)細孔体積:細孔2nm〜40nmの範囲で0.3
    0〜0.45cc/g (3)重量平均粒子径:50〜100μm (4)粒子径123μm以上の割合:15重量%以下 (5)粒子径87μm以下の割合:35重量%以上
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