JPH08197766A - サーマルヘッド及び印字装置 - Google Patents

サーマルヘッド及び印字装置

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JPH08197766A
JPH08197766A JP1180595A JP1180595A JPH08197766A JP H08197766 A JPH08197766 A JP H08197766A JP 1180595 A JP1180595 A JP 1180595A JP 1180595 A JP1180595 A JP 1180595A JP H08197766 A JPH08197766 A JP H08197766A
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glaze layer
thermal head
thickness
cycle
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JP1180595A
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Minoru Ogawa
実 小川
Tokuhito Mochizuki
徳人 望月
Hiroshi Tsuchimoto
宏志 土本
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TEC CORP
Original Assignee
TEC CORP
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速印字、熱履歴補正を行なうサーマルヘッ
ドにおいて、良好な印字品質を得ることができるグレー
ズ層の範囲を印字周期に応じて明確にする。 【構成】 印字周期を0.6〜0.2msecとし、発
熱抵抗体に印加する第一通電パルスの通電時間を印字周
期の50〜85%とし、第二通電パルス以降の通電時間
を熱履歴補正により印字周期の35%以下とした条件で
駆動するサーマルヘッドにおいて、基板上に形成するグ
レーズ層の厚さZ(μm)を、100T−5≧Z≧50
T(但し、T:印字周期(msec))とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッド及びそ
のサーマルヘッドを用いてバーコードの印字を行なう印
字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なサーマルヘッドの構造を図11
に基づいて説明する。アルミナセラミックス等の基板1
上にグレーズ層2と発熱抵抗体層と通電層とを順次積層
し、パターニングを行なうことにより多数の微小な発熱
抵抗体3とこれらの発熱抵抗体3に電力を供給する電極
4とを形成する。さらに、これらの発熱抵抗体3及び電
極4の酸化や摩耗を防止するための保護膜5を形成す
る。なお、各発熱抵抗体3における電極4に挾まれた部
分が発熱部3aとなり、これらの発熱部3aは直線上に
配列される。
【0003】このようなサーマルヘッドを用いた印字装
置では、電極4を経て発熱抵抗体3に電力を供給するこ
とにより発熱抵抗体3の発熱部3aが発熱し、この熱が
保護膜5を経てヘッド表面6の印字ドット部6aへ伝わ
る。印字ドット部6aへ伝わった熱は、さらに、インク
リボン(図示せず)のベースフィルム及びインク層へ伝
わり、インクを融解してそのインクを記録媒体へ転写さ
せることにより印字を行なう。或いは、感熱発色紙(図
示せず)の発色層に伝わり、感熱発色紙を発色させるこ
とにより印字を行なう。
【0004】図12は、サーマルヘッドの発熱抵抗体3
への印加電力と、発熱抵抗体3の温度との関係を示した
ものである。なお、発熱抵抗体3の温度とは、印字ドッ
ト部6aの表面温度を示し、ヘッド温度と呼ぶこととす
る。サーマルヘッドは、断続的な印加電力(通電パル
ス)に対応して、発熱と冷却とを繰り返す。ところで、
図12に示すように、一印字周期のなかでのヘッド温度
の最高温度をピーク温度、一印字周期終了時のヘッド温
度を冷却温度と呼ぶ。
【0005】ここで、インクリボンのインクを融解して
記録媒体へ転写させたり、感熱発色紙を発色させたりす
るためには、サーマルヘッドのピーク温度を、インクの
融解温度或いは感熱発色紙の発色温度より高くしなけれ
ばならない。また、ある位置で印字を行なった後には、
記録媒体や感熱発色紙を紙送りすること等によりサーマ
ルヘッドを相対的に次の印字位置へ移動させるが、この
移動の間に印字を行なってはならない。従って、冷却温
度をインクの融解温度或いは感熱発色紙の発色温度より
低くし、サーマルヘッドを相対的に移動させる時に不要
な印字が行なわれないようにする必要がある。
【0006】ところで、印字速度の高速化のために印字
周期を短くする(印字周期を早くする)と、図13に示
すように、ヘッド温度が完全に低下しないうちに次の印
字が開始されてしまい、印字を繰り返すうちにヘッド温
度が徐々に上昇する。そのため、印字を繰り返すに従
い、印字濃度が徐々に濃くなったり、サーマルヘッドの
移動時にもヘッド温度がインクの融解温度或いは感熱発
色紙の発色温度以下まで下がらないためにしばらくの間
印字し続けてしまうという尾引き現象を引き起こす欠点
がある。このような現象は、印字周期が5msec程度
より短くなると顕著になり、印字周期が1msecより
短い場合には甚だ顕著になる。
【0007】このため、一般的には熱履歴補正回路を用
いて熱履歴補正を行ない、例えば図14に示すように、
連続印字の場合における第二通電パルスの通電時間を第
一通電パルスの通電時間より短くし、さらに、第三通電
パルスの通電時間を第二通電パルスの通電時間より短く
し、発熱抵抗体3への印加エネルギーを補正することに
より尾引き現象や印字濃度の高濃度化を防止するように
している。
【0008】しかし、このような熱履歴補正を行なって
も、印字周期が0.6msecより早くなると、尾引き
現象を完全に防止することは不可能であった。そこで、
この尾引き現象の原因を究明したところ、サーマルヘッ
ドのグレーズ層2の厚さが厚すぎることが原因であるこ
とが判明した。尚、この尾引き現象等の発生原因につい
ては、既に特公平5−82823号公報に開示されてお
り、サーマルヘッドの熱応答特性が良好でないことに起
因し、その原因がグレーズ層2の厚さであり、印字周期
に応じて最適なグレーズ層2の厚さがあることが開示さ
れている。
【0009】そこで、上記特許公報に開示された通電時
間、印字周期、グレーズ層2の厚さの関係式にのっと
り、所望のグレーズ層2を決定することを試みようとし
た。しかし、印字周期が0.6msecより早い場合に
は、サーマルヘッドの寿命を考慮すると、印字周期に対
する通電時間の割合を50〜85%とする必要があり、
かつ、熱履歴補正を行なうことを考慮すると、上記特許
公報に開示されたサーマルヘッドの駆動条件(印字周期
に対する通電時間の割合)から大幅にずれてしまい、最
適なグレーズ層2の厚さを求めるにあたって上記公報に
開示された関係式をそのまま利用できるか否かが問題と
なった。実際に、この関係式を用いてグレーズ層2の厚
さを算出してみると、 印字周期:0.6msec, 通電時間:0.4m
secの条件では、グレーズ層2の厚さが16〜23μ
mとなり、 印字周期:0.4msec, 通電時間:0.3m
secの条件では、グレーズ層2の厚さが14〜18μ
mとなり、 印字周期:0.2msec, 通電時間:0.16
msecの条件では、グレーズ層2の厚さが11.6〜
12μmとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に開示された
計算式から得られた上記グレーズ層2の厚さは、現状の
サーマルヘッドの基板1として用いられているアルミナ
セラミックス上にグレーズ層2を形成する場合には非常
に厳しい値となる。さらに、最適厚さの許容範囲が非常
に小さく、上記公報に開示された計算式に基づく厚さの
グレーズ層2を有するサーマルヘッドの製造が困難であ
り、或いは、製造が可能であっても非常に高価なものと
なってしまい、サーマルヘッドの製造コストの上昇、ひ
いては、このサーマルヘッドを使用した印字装置の製造
コストの上昇を招いてしまう。
【0011】そこで本発明は、印字周期を0.6〜0.
2msecとし、発熱抵抗体に印加する第一通電パルス
の通電時間を印字周期の50〜85%とし、第二通電パ
ルス以降の通電時間を熱履歴補正により印字周期の35
%以下とするサーマルヘッドにおいて、良好な印字品質
を得ることができるグレーズ層2の厚さの範囲を印字周
期に応じて明確にし、高印字品質のサーマルヘッド及び
そのサーマルヘッドを用いた印字装置を提供するもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
熱伝導率が1〜5×10~3cal/cm・sec・℃の
グレーズ層と、複数の発熱抵抗体と、電極と、保護膜と
を順次基板上に積層形成し、印字周期を0.6〜0.2
msecとし、前記発熱抵抗体に印加する第一通電パル
スの通電時間を印字周期の50〜85%とし、第二通電
パルス以降の通電時間を熱履歴補正により印字周期の3
5%以下とした条件で駆動するサーマルヘッドにおい
て、前記グレーズ層の厚さZ(μm)を、 100T−5≧Z≧50T(但し、T:印字周期(ms
ec)) とした。
【0013】請求項2記載の発明は、ヘッド主走査方向
に平行なバーコードの印字を行なう印字装置において、
印字ヘッドとして請求項1記載のサーマルヘッドを用い
た。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明では、印字周期を0.6〜
0.2msecとし、発熱抵抗体に印加する第一通電パ
ルスの通電時間を印字周期の50〜85%とし、第二通
電パルス以降の通電時間を熱履歴補正により印字周期の
35%以下とした条件で駆動するサーマルヘッドにおい
て、グレーズ層の厚さZ(μm)を、100T−5≧Z
≧50T(但し、T:印字周期(msec))とするこ
とにより、各印字周期に応じて良好な印字品質を得るた
めに必要なピーク温度と冷却温度とを確保することがで
き、グレーズ層の厚さをこの数式により得られる値に設
定することにより高速印字時における印字品質が向上す
る。
【0015】請求項2記載の発明では、ヘッド主走査方
向と平行なバーコードの印字を、高速でかつ鮮明に行な
える。
【0016】
【実施例】本発明の一実施例を図1ないし図10に基づ
いて説明する。なお、サーマルヘッドの外観構造は図1
1に示したサーマルヘッドと同一であり、サーマルヘッ
ドの外観構造についてはこの図11を援用して説明す
る。
【0017】まず、グレーズ層2の厚さが10,20,
25,35,50,60μmと異なり、発熱抵抗体3を
300dpiの密度に設けた複数種類のサーマルヘッド
を試作した。発熱抵抗体3としては、BaRuTiOx
を800Åの厚さに設け、電極4はTiとAlとの二層
構造とし、それぞれの厚さを1000Åと9000Åと
にした。また、保護膜5はムライトとSiCとの二層構
造とし、それぞれの厚さを5μmと2μmとにした。
【0018】ヘッド構造は図4に示すようなエッジ型構
造とし、熱応答特性試験と印字試験とを行なった。通常
の平面型構造を使用しなかったのは、印字周期が0.6
msecより早くなる高速印字においては、エッジ型構
造、熱時剥離用リボンを使用しないと良好な印字品質が
得られないためである。
【0019】熱応答特性試験は、印字試験において必要
とされる印加エネルギーの略70%のエネルギーを印加
して行ない(印加電圧を調整し、通電時間を同一とす
る)、印字周期を0.6〜0.2msecの範囲で変化
させ、印字試験により決定した熱履歴補正を熱履歴補正
回路(図示せず)を用いて行なう。但し、第一通電パル
スとして印字周期の略70%、第二、第三通電パルスと
して印字周期の略20%を通電時間とすることにより、
図3に示すように、3ドットオン(通電)、3ドットオ
フ(非通電)の繰り返しを行ない、第一通電パルスによ
り上昇したヘッド温度をピーク温度とし、この3ドット
オン、3ドットオフを1組とする連続パルスにおける4
番目の連続パルスの終了時のヘッド温度を冷却温度とし
た。
【0020】ここで、なぜ3ドットオン、3ドットオフ
の繰り返しパターンを選択したかについては、ヘッド主
走査方向に平行なバーコード(シリアルバーコード)7
を記録媒体8に印字する際における最小黒バー、最小白
バーがこの3ドットオン、3ドットオフのパターンによ
り印字されるためであり、このときの印字品質がシリア
ルバーコード7を印字する印字装置において最も重要と
されるためである。また、なぜ、この連続パルスにおけ
る4番目の連続パルスの終了時のヘッド温度を冷却温度
としたかについては、図3から明らかなように、4番目
の連続パルス以降には連続パルスの終了時のヘッド温度
が略一定となるためである。
【0021】図3に示した熱履歴補正は、印字周期を略
0.4msec、第一通電パルスの通電時間を略0.3
msec、第二、第三通電パルスの通電時間を略0.1
msecとした2段熱履歴補正である。熱履歴補正の方
法に関しては各種の方法が存在するが、それらの各種に
ついて試験を行なったところ、熱応答特性に関してほと
んど差が現われなかった。また、第一通電パルスの印字
周期に占める通電時間の割合を、50%、85%(但
し、印加するエネルギーは一定)としても、第二通電パ
ルス以降の印字周期に占める通電時間の割合を35%以
下とする最適な熱履歴補正を行なう限りは、熱応答特性
に関してほとんど差が現われなかった。つまり、最適な
熱履歴補正を行なえば、熱履歴補正の方法、各通電パル
スの印字周期に占める通電時間の割合による影響を受け
ないことが明らかとなった。
【0022】また、印字品質を良好にするためには、各
通電パルスの通電時間を非常に短く設定する、つまり、
冷却時間を長くとることが重要な点であるが、実際に、
0.6msecより早い印字周期のスピードでは、第一
通電パルスを印字周期の半分以下に設定することは、よ
り高い電圧を印加しなければならず、サーマルヘッドに
対する負荷が多大となってしまい、サーマルヘッドの寿
命の点からは好ましくない。また、逆の観点からは、通
電時間を非常に長くとるということは、印加電圧を小さ
くできるが、サーマルヘッドに対する負荷を作用させて
いる時間の割合が大きくなって好ましくなく、通電時間
の上限としては印字周期の略85%程度とすべきことが
各種実験により明らかとなった。なお、第一通電パルス
の通電時間を長くとればとるほど、第二通電パルス以降
の通電時間を短くできる傾向にある。
【0023】ここで、印字品質に対するグレーズ層2の
厚さの関係について試験を行なったところ、印字速度が
高速になる程、即ち、印字周期が早くなる程、冷却温度
がどこまで下がるかが印字品質に対して大きな影響を及
ぼしていることが明らかになり、究極的には、熱が基板
1へ伝わることを断熱しているグレーズ層2は薄いほど
印字品質が良好になるという結論を得た。但し、発熱抵
抗体3に印加するエネルギーの大小がサーマルヘッドの
寿命に与える影響については無視し、印加するエネルギ
ーを大きくして十分なピーク温度を確保するという立場
に基づく。
【0024】印字品質に影響を与える第一の因子として
は上述のように冷却温度であるが、第二の因子として、
同一エネルギーを印加した場合にピーク温度がどこまで
上昇するか、つまり、温度立上り特性も重要であること
が明らかとなった。ここで、グレーズ層2の厚さとピー
ク温度との関係を検討すると、グレーズ層2が最適厚さ
より薄くなっても厚くなってもピーク温度は低下し、薄
い場合には厚い場合に比べて急激に低下することが判明
し、この現象は、グレーズ層2の厚さの違いにより生ず
る下地の基板1まで熱が伝わる熱伝達時間と熱容量とに
起因するものであると考えられる。なお、同一エネルギ
ーを印加した場合においてピーク温度が低いということ
は、所定のピーク温度を得るためには印加するエネルギ
ーを大きくしなければならないことを意味し、このこと
は、消費電力の増加によるランニングコストの上昇を引
き起こす。また、同一エネルギーを印加した場合に、グ
レーズ層2を薄くすることによりピーク温度がどこまで
低下しても印字品質に悪影響を及ぼさないかを検討した
結果、ピーク温度が最適ピーク温度の90%以上であれ
ば、印字品質の劣化が発生しないことが判明した。
【0025】以上のことから、グレーズ層2の最適厚さ
は、ある一定のエネルギーを印加した場合に、ピーク温
度が最適ピーク温度の90%以上に達する範囲であり、
かつ、冷却温度が所定の温度以下に下がる範囲であると
いうことができる。
【0026】つぎに、試作した各種のサーマルヘッドに
ついて行なった熱応答特性の試験結果を図5ないし図1
0に示す。なお、ここに示した熱応答特性は、実際のシ
リアルバーコード7を印字するパルス条件での試験結果
であり、具体的には、通電パターンを、3ドットオン、
3ドットオフ、8ドットオン、3ドットオフ、8ドット
オン、3ドットオフ、3ドットオン、8ドットオフ、3
ドットオン、3ドットオフ、3ドットオン、3ドットオ
フ、3ドットオン、3ドットオフ、3ドットオン、3ド
ットオフ、8ドットオン、8ドットオフ、…、…とし
た。印加エネルギーは、発熱抵抗体3の単位面積当たり
に均等に印加されるようにするため、印字試験において
印加したエネルギーの略70%とした。また、印字周期
を略0.4msecとし、第一通電パルスの通電時間を
略0.3msec、第二通電パルス以降の通電時間を
0.1msecとする2段熱履歴補正、又は、第一通電
パルスの通電時間を略0.3msec、第二通電パルス
の通電時間を略0.05msec、第三通電パルス以降
の通電時間を略0.1msecとする3段熱履歴補正を
行なった。なお、上述の2段熱履歴補正と3段熱履歴補
正とを比較したところ、熱応答特性についてはほとんど
同じ結果が得られた。このため、図5ないし図10で
は、2段熱履歴補正を行なった場合の試験結果を示す。
【0027】ピーク温度は、最初の3ドットオンにおけ
る第一通電パルスにより上昇する最大温度とし、冷却温
度は、図面の中央付近における3ドットオン、3ドット
オフの連続パルスが4回連続した時の終了時の温度とす
る。
【0028】このような同一条件における熱応答特性か
ら、印字品質に影響を及ぼす温度立上り特性(最初の通
電により、ヘッド温度がどの程度まで上昇するか、即
ち、第一通電パルスによるピーク温度)、温度立下り特
性(どこまで温度が下がるか、即ち、冷却温度)とグレ
ーズ層2の厚さとの関係をまとめると、図2のグラフに
示すようになる。
【0029】そして、この図2のグラフからわかるよう
に、グレーズ層2が略25μmで最大ピーク温度が得ら
れ、グレーズ層2がそれより厚くても薄くてもピーク温
度が低下し、低下の勾配はグレーズ層2が薄くなる場合
のほうが急となる。そして、温度立上り特性としては、
ピーク温度の最大点が得られる場合のグレーズ層2の厚
さが最適である。但し、実際の印字試験により、最適ピ
ーク温度の略90%以上の温度に立ち上がる条件(本実
験では、略270℃)ならば、印字品質に与える影響が
非常に小さいことが明らかとなっているため、図2の矢
印Aで示す範囲のグレーズ層2の厚さ(15〜45μ
m)が許容できる範囲と考えることができる。
【0030】つぎに、温度立下り特性としては、グレー
ズ層2の厚さが薄いほど冷却温度が低くなり、良好であ
ることがわかる。そして、冷却温度としては、印字試験
の結果、略70℃まで下がれば印字品質が良好であるこ
とが明らかとなり、良好な印字品質を得るための冷却温
度を確保するためには、グレーズ層2の厚さを略35μ
m以下とすべきことが図2のグラフより判断できる。従
って、良好な印字品質を得るためには、グレーズ層2の
厚さの最適範囲は略15〜35μmであることが判明し
た。
【0031】つぎに、上述のような試験を印字周期を変
えて行ない、この時に良好な印字品質を得ることができ
るグレーズ層2の最大厚さZmax(μm)と最小厚さ
Zmin(μm)とを印字周期によりまとめたものが図
1に示すグラフである。このグラフから明らかなよう
に、良好な印字品質を得るためのグレーズ層2の最大厚
さZmax(μm)は印字周期の早さに反比例し、ま
た、最小厚さZmin(μm)も印字周期の早さに反比
例する。この最大厚さZmax(μm)及び最小厚さZ
min(μm)と印字周期T(msec)との関係式を
求めると、 Zmax=100T−5, Zmin=50T−5 となり、非常に簡単な関係式となる。従って、良好な印
字品質を得るためのグレーズ層2の厚さZ(μm)は、
100T−5≧Z≧50Tと表わすことができる。
【0032】また、グレーズ層2の許容されるバラツキ
量ΔZ(μm)に関しては、 ΔZ=Zmax−Zmin=50T で示される範囲内であることになる。
【0033】実際のグレーズ層2の製造においては、通
常±xμmのバラツキを有しているが、このバラツキを
上記関係式から得られたΔZにより規定することが可能
となる。つまり、±ΔZ/2(μm)以内のバラツキに
押さえ込まないと、ある印字周期の印字装置において、
印字品質のバラツキが大きくなってしまう。0.2ms
ecの印字周期においては±5μm以内、0.4mse
cの場合は±10μmとなる。この様なバラツキにグレ
ーズ層2の厚さをコントロールするには、Zmax−
{(Zmax−Zmin)/2}(μm)の厚さを目標
に製造することが望ましい。
【0034】
【発明の効果】請求項1記載の発明は上述のように、印
字周期を0.6〜0.2msecとし、発熱抵抗体に印
加する第一通電パルスの通電時間を印字周期の50〜8
5%とし、第二通電パルス以降の通電時間を熱履歴補正
により印字周期の35%以下とした条件で駆動するサー
マルヘッドにおいて、グレーズ層の厚さZ(μm)を、 100T−5≧Z≧50T(但し、T:印字周期(ms
ec)) とすることにより、各印字周期に応じて良好な印字品質
を得るために必要なピーク温度と冷却温度とを確保する
ことができ、グレーズ層の厚さをこの数式により得られ
る値とすることにより高速印字時における印字品質を向
上させることができる。
【0035】請求項2記載の発明は上述のように、ヘッ
ド主走査方向に平行なバーコードの印字を行なう印字装
置において、印字ヘッドとして請求項1記載のサーマル
ヘッドを用いたので、ヘッド主走査方向と平行なバーコ
ードの印字を、高速でかつ鮮明に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における良好な印字品質を得
るために必要な印字周期とグレーズ層の厚さとの関係を
示すグラフである。
【図2】グレーズ層の厚さとピーク温度及び冷却温度と
の関係を示すグラフである。
【図3】ピーク温度と冷却温度とを説明するためのグラ
フである。
【図4】シリアルバーコードの印字状態を示す斜視図で
ある。
【図5】グレーズ層が60μmのサーマルヘッドにおけ
る熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図6】グレーズ層が50μmのサーマルヘッドにおけ
る熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図7】グレーズ層が35μmのサーマルヘッドにおけ
る熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図8】グレーズ層が25μmのサーマルヘッドにおけ
る熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図9】グレーズ層が20μmのサーマルヘッドにおけ
る熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図10】グレーズ層が10μmのサーマルヘッドにお
ける熱応答特性の試験結果を示すグラフである。
【図11】一般的なサーマルヘッドの要部を断面にして
示す斜視図である。
【図12】発熱抵抗体への印加電力の供給とヘッド温度
との関係を示す説明図である。
【図13】熱履歴補正を行なわない場合にピーク温度、
冷却温度が次第に上昇する状態を示す説明図である。
【図14】熱履歴補正を行なうことによりピーク温度と
冷却温度とを略一定にする状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 グレーズ層 3 発熱抵抗体 3a 発熱部 4 電極 5 保護膜 8 バーコード

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導率が1〜5×10~3cal/cm
    ・sec・℃のグレーズ層と、複数の発熱抵抗体と、電
    極と、保護膜とを順次基板上に積層形成し、印字周期を
    0.6〜0.2msecとし、前記発熱抵抗体に印加す
    る第一通電パルスの通電時間を印字周期の50〜85%
    とし、第二通電パルス以降の通電時間を熱履歴補正によ
    り印字周期の35%以下とした条件で駆動するサーマル
    ヘッドにおいて、前記グレーズ層の厚さZ(μm)を、 100T−5≧Z≧50T(但し、T:印字周期(ms
    ec)) としたことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 ヘッド主走査方向に平行なバーコードの
    印字を行なう印字装置において、印字ヘッドとして請求
    項1記載のサーマルヘッドを用いたことを特徴とする印
    字装置。
JP1180595A 1995-01-27 1995-01-27 サーマルヘッド及び印字装置 Pending JPH08197766A (ja)

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JP (1) JPH08197766A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021011020A (ja) * 2019-07-03 2021-02-04 ローム株式会社 サーマルプリントヘッドおよびその製造方法

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JP2021011020A (ja) * 2019-07-03 2021-02-04 ローム株式会社 サーマルプリントヘッドおよびその製造方法

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