JPH0819393A - β−ガラクトシダーゼ - Google Patents

β−ガラクトシダーゼ

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JPH0819393A
JPH0819393A JP15760794A JP15760794A JPH0819393A JP H0819393 A JPH0819393 A JP H0819393A JP 15760794 A JP15760794 A JP 15760794A JP 15760794 A JP15760794 A JP 15760794A JP H0819393 A JPH0819393 A JP H0819393A
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Noriko Hattori
則子 服部
Munehiko Donpou
宗彦 鈍宝
Keizo Shibayama
慶三 柴山
Toshinao Kuriyama
敏直 栗山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 糖転移能の高い新規なβ−ガラクトシダー
ゼ、特にステビオシドに対する糖転移能の高いβ−ガラ
クトシダーゼを提供する。 【構成】 クレブシエラ属に属する細菌、例えばクレブ
シエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)A−53
(FERM P−14263)を培養し、その培養物よ
り分離、精製することにより得られるβ−ガラクトシダ
ーゼであって、pH6.5〜7.5(40℃で60分間
処理)で安定であり、β−D−ガラクトシド結合を加水
分解するとともに、分解して生成したD−ガラクトース
を転移する分子量約32万のβ−ガラクトシターゼ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規なβ−ガラクト
シダーゼに関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、各種食品や医薬品の製造に有用な新規なβ−ガラ
クトシターゼに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】β−ガラクトシダーゼは、β
−D−ガラクトシド結合を加水分解してD−ガラクトー
スを遊離する酵素で、生物界に広く存在している。これ
まで、酵母、カビ、細菌等由来のβ−ガラクトシダーゼ
が広く研究されており、食品、医薬品用に利用されてい
る。また、β−ガラクトシダーゼは加水分解と同時にガ
ラクトシド結合を転移させる能力をも有しており、その
D−ガラクトース基転移能を利用したアスコルビン酸−
D−ガラクトシル誘導体の製造に利用されている。具体
的には、L−アスコルビン酸とラクトースまたはラクト
ース含有物との混合物にアスペルギルス・オリーゼ(As
pergillus oryzae)、エッシェリキア・コリ(Escheric
hia coli)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus ni
ger)等の微生物由来の酵素、牛肝臓等の動物由来の酵
素、ジャック・ビーンズ(Jack beans)等の植物種子由
来の酵素を処理して6−O−β−D−ガラクトピラノシ
ル−L−アスコルビン酸を製造する方法(特開平2−3
11490号公報)が知られている。
【0003】さらに、β−ガラクトシダーゼはガラクト
オリゴ糖の製造にも利用されている。すなわち、アスペ
ルギルス・オリーゼが生産したβ−ガラクトシダーゼで
ラクトースを処理することにより、一般式Gal−(G
al)n −Glc(但し式中Galはガラクトース残
基、Glcはグルコース残基、nは1〜4の整数を、そ
れぞれ表わす)で示されるガラクトオリゴ糖が得られ、
このようにして製造されたガラクトオリゴ糖はビフィド
バクテリウム菌の増殖因子として用いられている(特開
昭55−104885号公報)。
【0004】上記のほかにもβ−ガラクトシダーゼの転
移作用によるD−ガラクトース基転移物の生成が多く報
告されている。しかしながら、従来報告されているβ−
ガラクトシターゼの多くは、D−ガラクトース基転移率
が悪く、収量が低いため糖転移物の大量生産に用いるに
は不適当なものであった。
【0005】特に、甘味料として利用されているステビ
オシドは、そのままでは味質が余りよくないが、ステビ
オシドにD−ガラクトース基を転移することにより味質
が向上し、甘味料としての性質がよりよくなることが知
られている。しかし、ステビオシドに対してD−ガラク
トース基転移能の高いβ−ガラクトシダーゼが見つかっ
ていなかったため、工業的に生産することはできなかっ
た。
【0006】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、糖転移能の高いβ−ガラクトシダー
ゼ、特にステビオシドに対する糖転移能の高い新規なβ
−ガラクトシダーゼを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
D−ガラクトース基転移能を有する各種のβ−ガラクト
シダーゼについて鋭意研究した結果、クレブシエラ(Kl
ebsiella)属に属する細菌が、β−1,4ガラクトシド
結合を有するD−ガラクトース基転移物を主に生成する
転移作用の強いβ−ガラクトシダーゼを生産することを
見いだし、そのβ−ガラクトシダーゼを精製し、性質を
調べることにより、この発明を完成させた。
【0008】すなわち、この発明は、以下の理化学的性
質、 1)作用:β−D−ガラクトシド結合を加水分解すると
ともに、分解して生成したD−ガラクトース基を転移す
る、 2)至適pHおよび安定pH範囲:至適pHがpH7.
0〜7.5であって、pH6.5〜7.5(40℃で6
0分間処理)で安定である、 3)作用適温の範囲:30〜40℃である, 4)分子量:ゲル濾過法による測定で約32万である、 を有することを特徴とするβ−ガラクトシターゼを提供
する。
【0009】また、この発明は、クレブシエラ(Klebsi
ella)属に属する細菌が生産するβ−ガラクトシターゼ
であって、上記の理化学的性質を有するβ−ガラクトシ
ターゼを提供する。さらにこの発明は、上記のβ−ガラ
クトシダーゼを酸性する細菌としてクレブシエラ・オキ
シトカ(Klebesiella oxytoca) A−53(FERM P
−14263)をも提供する。
【0010】以下、この発明を詳細に説明する。まず、
この発明のβ−ガラクトシダーゼの理化学的性質を示
す。 (1)作用および基質特異性 β−ガラクトシド結合を有するラクトース、O−ニトロ
フェニル−β−D−ガラクトピラノシド(以下、ONP
Gと略記する。)等のβ−D−ガラクトピラノシル誘導
体に作用し、そのβ−ガラクトシド結合を加水分解し
て、ガラクトースとグルコース、ガラクトースとO−ニ
トロフェノール等に分解すると同時に、生成したD−ガ
ラクトース基を転移する。 (2)至適pHおよび安定pH範囲 ONPGを基質として各pHのリン酸緩衝液中で40℃
で10分間反応させた結果、図1に示すとおり、至適p
HはpH7.0〜7.5であった。また、各pHのリン
酸緩衝液中で40℃で60分間インキュベートした後の
残存活性を測定した結果、図2に示すとおり、pH6.
5〜7.5の範囲で90%以上の残存活性を示した。た
だし、pH8.0以上の条件ではホウ酸−水酸化ナトリ
ウム緩衝液を、pH6.5以下の条件ではクエン酸−水
酸化ナトリウム緩衝液を使用した。 図1は、この発明
の酵素の酵素活性に対するpHの影響を示すグラフであ
り、縦軸に酵素活性を、横軸にpHを示している。な
お、酵素活性は測定値が最高値を示したとき(pH7.
0)の活性を100とした相対活性率で表した。また、
図2は、この発明の酵素の安定性に対するpHの影響を
示すグラフであり、縦軸に残存活性を、横軸にpHを示
しており、残存活性は測定値が最高値を示したとき(p
H6.5)の活性を100とした相対活性率で表した。 (3)作用適温の範囲 ONPGを基質としてリン酸緩衝液(pH7.2)中で
各温度において10分間反応させた結果、図3に示すと
おり、作用適温の範囲は30〜40℃であった。図3
は、この発明の酵素の活性に対する温度の影響を示すグ
ラフであり、縦軸に酵素活性を、横軸に温度を示してお
り、酵素活性は40℃での測定値を100とした相対活
性率で表した。 (4)分子量 分子量(MW)は、セファクリルS−400HR(ファ
ルマシア社製)のカラムを使用したゲルろ過法によって
測定したところ、約32万であった。分子量既知の試料
としては、アルドラーゼ(MW158000)、カタラ
ーゼ(MW232000)、フェリチン(MW4400
00)、チログロブリン(MW669000)を使用し
た。平衡化および溶出は、100mMの塩化ナトリウム
および5W/V%のグリセリンを含む100mMのリン
酸カリウム緩衝液(pH7.2)を用いて室温で、流速
1ミリリットル/分で行った。 (5)pHによる失活 pH5.0以下またはpH9.5以上の範囲で40℃で
1時間保つことにより失活する。 (6)阻害および活性化 ONPGを基質として各種試薬を所定濃度(金属イオン
1mM、アルコール6.25V/V%)添加し、各種イ
オンおよびアルコールの活性に対する影響を調べた。結
果は表1に示したとおりである。
【0011】
【表1】
【0012】表1に示すとおり、このβ−ガラクトシタ
ーゼは、銀イオン、銅イオン、ブチルアルコールにより
阻害され、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カ
ルシウムイオン、亜鉛イオン、メチルアルコールにより
活性化される。次に、この発明のβ−ガラクトシターゼ
の製造方法について説明する。この発明のβ−ガラクト
シダーゼを得るには、クレブシエラ属に属する細菌を培
養し、その培養物より目的とする酵素を採取すればよ
い。その具体的菌株として、クレブシエラ・オキシトカ
(Klebsiella oxytoca)A−53〔以下、A−53と略
記する。(FERM P−14263)〕が挙げられ
る。
【0013】このA−53菌学的性質は次の通りであ
る。 (a) 形態的性質 1)細胞の形および大きさ 桿菌 長さ0.6 〜6.0 μm ×幅0.3 〜1.0 μm 2)細胞の多形成の有無 無 3)運動性の有無 無 4)胞子の有無 無 (b) 培養的性質 1)肉汁寒天平板培養 白色で光沢のあるコロニーを形成する。
【0014】 拡散性色素は生成しない。 2)肉汁液体培養 特に表面発育は見られず、培地の懸濁も 見られない。 3)肉汁ゼラチン穿刺培養 ゼラチンを液化しない。 (c) 生理学的性質 1)グラム染色性 − 2)硝酸塩の還元 + 3)MRテスト − 4)VPテスト + 5)インドールの生成 + 6)硫化水素の生成 − 7)デンプンの加水分解 + 8)クエン酸の利用 + 9)無機窒素源の利用 + 10)色素の生成 − 11)ウレアーゼ − 12)オキシダーゼ − 13)カタラーゼ + 14)生育の範囲 10〜40℃、pH6〜10 15)酸素に対する態度 好気性 16)O−Fテスト F 17)糖類から酸およびガスの生成の有無 1)L-アラビノース + 2)D-キシロース + 3)D-グルコース + 4)D-マンノース + 5)マルトース + 6)シュークロース + 7)ラクトース + 8)トレハロース + 9)D-ソルビトール + 10)D-マンニトール + 11)イノシトール + 12)デンプン + 13)ラムノース + 14)メリビオース + 15)アミグダリン + (d) その他諸性質 1)グルコン酸の酸化 − 2)エクスリンの分解 + 3)アルギニンの分解 − 4)リジンの脱炭酸反応 + 5)オルニチンの脱炭酸反応 − 6)フェニルアラニンの脱アミノ酸反応 − 7)シアン化カリウムの耐性 + 8)トリプトファンの脱アミノ酸反応 − 以上の同定試験結果から、A−53株はクラブシエラ・
オキシトカと同定された。
【0015】この他にも、A−53株の自然的および人
工的変異株は勿論、クラブシエラ属に属する菌種でβ−
ガラクトシダーゼ産生能を有する細菌はすべてこの発明
において使用することができる。また、それらのβ−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子を組み入れた組換え微生物も生産
菌として使用できるものと期待される。これらの菌株の
培養には一般によく用いられる培地を使用することがで
きる。具体的には、炭素源としては、ブドウ糖、乳糖、
でんぷん、糖蜜等の糖類が使用できる。また窒素源とし
ては、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等の有機の窒素
源と共に塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無機
の窒素源も使用することができる。また、必要に応じて
ビタミン、ミネラルを添加してもよい。さらにβ−ガラ
クトシダーゼ生産性を上げるために、イソプロピル−β
−D−チオ−ガラクトピラノシド等の誘導物質を添加し
てもよい。
【0016】培養条件としては、好気培養が採用され、
例えば培養温度20〜40℃、培養液のpHは2〜10
の範囲内で、1〜12時間培養することにより菌体を得
ることができる。さらに、新鮮な培地を一定速度で供給
しながら培養する連続培養法も適用できる。培地および
培養条件は上記の条件に応じて適宜選定することが可能
であることは言うまでもない。
【0017】このように培養して得られる培養液から、
ろ過あるいは遠心分離等の常法によって菌体を得る。こ
のようにして得られる菌体を、例えば、ホモジナイザ
ー、ブレンダー、音波処理装置、加圧型細胞破壊装置等
を用いて菌体破砕処理を行うことにより粗酵素液を得る
ことができる。さらにゲルろ過クロマトグラフィー(例
えば、樹脂はファルマシア社製)、イオン交換クロマト
グラフィー(例えば、樹脂はファルマシア社製)、疎水
クロマトグラフィー(例えば、樹脂はトーソー社製)、
高速液体クロマトグラフィー(例えば、カラムはウォー
ターズ社製)等の適当な分離精製方法によりβ−ガラク
トシダーゼ精製酵素を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、実施例を示してこの発明についてさら
に詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例に
限定されるものではない。なお、以下の例において%は
W/V%を表す。また、β−ガラクトシダーゼの活性
は、ONPGに対する加水分解力の測定による値で示し
た。すなわち、5mMのONPG0.25ミリリットル
を含む100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.
2)0.74ミリリットルに、酵素液0.01ミリリッ
トルを加えて40℃で10分間反応させた後、1.0M
のNa2 CO3 0.25ミリリットルを加えて反応を停
止させ、生成したO−ニトロフェノールを波長420n
mにおける吸収により測定した。1分間に1μモルのO
NPGを分解する酵素量を1ユニット(U)とした。 実施例1 クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)A−
53(FERM P−14263)を酵母エキス0.5
%、ペプトン1.0%、塩化ナトリウム1.0%からな
る液体培地に接種し、30℃で、16時間前培養した
後、培養液1.8ミリリットルを1mMのIPTGを含
む同培地180ミリリットルに植菌し、30℃で9時間
培養した。
【0019】この培養液を遠心分離し、得られた菌体の
30gを100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.
2)に懸濁し、超音波破砕により菌体を破砕した後に遠
心分離(20000gで60分間)して粗β−ガラクト
シダーゼ液を得た。この粗β−ガラクトシダーゼ液は、
総活性3900U、総タンパク質14300mgであっ
た。 実施例2 実施例1で得た粗β−ガラクトシダーゼ液を出発原料と
して、(1)DEAE−セファロースファストフロー
(ファルマシア社製)による精製、(2)ブチルトヨパ
ール(東ソー社製)による精製、(3)DEAE−セフ
ァロースファストフローによる再精製を順次行い、酵素
標品を得た。
【0020】以下各精製工程について詳述し、併せて、
各精製工程における酵素の総活性、総タンパク質、比活
性、回収率を示す。 (1)DEAE−セファロースファストフローによる精
製 実施例1で得た粗酵素液120ミリリットルを100m
Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)で平衡化した
DEAE−セファロースファストフローのカラム(直径
3.6×10cm)に通塔して酵素を吸着させ、100
mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)200ミリリ
ットルで洗浄した後、塩化ナトリウムの直線勾配(0〜
500mM)で溶出し、β−ガラクトシダーゼ活性画分
14ミリリットルを回収した。
【0021】この精製段階の酵素液は、総活性1800
U、総タンパク質654mg、比活性2.74U/m
g、回収率46.2%であった。 (2)ブチルトヨパールによる精製 上記(1)で得た粗酵素液14ミリリットルに0.5M
となるように硫酸アンモニウムを加え、0.5M硫酸ア
ンモニウムを含む100mMのリン酸カリウム緩衝液
(pH7.2)で平衡化したブチルトヨパールのカラム
(直径1.6×15cm)に通塔して酵素を吸着させ、
0.5M硫酸アンモニウムを含む100mMのリン酸カ
リウム緩衝液(pH7.2)で洗浄後、硫酸アンモニウ
ムの直線勾配(500mM〜0mM)で溶出し、β−ガ
ラクトシダーゼ活性画分を回収した。この溶液に硫酸ア
ンモニウムを終濃度が60%飽和になるまで添加し、生
じた沈澱を遠心分離(20000gで30分)で回収し
た。得られた沈澱を100mMのリン酸カリウム緩衝液
(pH7.2)20ミリリットルに溶解し、粗酵素液2
2ミリリットルを得た。
【0022】この精製段階の酵素液は、総活性713
U、総タンパク質118mg、比活性6.0U/mg、
回収率18.3%であった。 (3)DEAE−セファロースファストフローによる再
精製 上記(2)で得た粗酵素液の20ミリリットルを100
mMのリン酸カリウム緩衝液.pH7.2)で平衡化し
たDEAE−セファロースファストフローカラム(直径
1.6×15cm)に通塔して酵素を吸着させ、100
mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)120ミリ
リットルで洗浄した後、塩化ナトリウムの直線勾配(0
〜500mM)で溶出し、β−ガラクトシダーゼ活性画
分を回収した。得られた酵素液をセントリプレップ−1
0(アミコン社製)を用いて濃縮し、グリセロールを終
濃度が20%となるように加えた。
【0023】この精製段階の酵素液は、総活性723
U、総タンパク質82.6mg、比活性8.8U/m
g、回収率18.5%であった。また、このβ−ガラク
トシダーゼは前記した理化学的性質を有していた。 実施例3 実施例2で得られた酵素標品と市販の酵素(大和化成社
製 Bacillus circulans由来)を用いて、ステビアに対
するD−ガラクトース基転移反応の比較実験を行った。
【0024】反応液は最終濃度で、50mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.2)、1Mラクトース、0.02
5Mステビオシド、酵素20U/ミリリットルとなるよ
うに混合した。この反応液を、40℃で3時間インキュ
ベートした後、100℃で10分間処理することにより
酵素反応を停止した。反応生成物を以下の条件で高速液
体クロマトグラフィ(以下、HPLCと略記する)で分
析を行った。
【0025】 カラム:LiChrospher 100 NH2(250mm x 4mm) 検出器:Shimadzu SPD-6A 移動相:Acetonitrile-Water (80:20) 流速 :1.0ml/min 温度 :40℃ この結果を図5に示す。なお、図5(a)は、この発明
の酵素を用いたときの生成物を示すチャートであり、図
5(b)は、市販の酵素を用いたときの生成物を示すチ
ャートである。また、10分付近に見られるピークがス
テビオシドのピークであり、22分付近に見られるピー
クが糖転移物のピークである。この図5に示した結果か
ら、この発明のβ−ガラクトシダーゼは、市販のβ−ガ
ラクトシダーゼと比べてステビオシドに対する糖転移能
が高いことが確認された。
【0026】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明の
β−ガラクトシターゼは特にステビオシドに対して優れ
た糖転移能を有しているため、この酵素を利用してステ
ビオシドの糖転移物を工業的に生産することができる。
また、その優れた糖転移能を利用して各種食品や医薬品
の原料等となる糖転移物を大量生産することも可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の酵素の活性に及ぼすpHの影響を示
すグラフである。
【図2】この発明の酵素の安定性に及ぼすpHの影響を
示すグラフである。
【図3】この発明の酵素の活性に及ぼす温度の影響を示
すグラフである。
【図4】この発明の酵素の安定性に及ぼす温度の影響を
示すグラフである。
【図5】(a)(b)は、各々この発明の酵素および市
販の酵素のステビオシドに対するD−ガラクトース基転
移反応後のHPLCチャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:22) (72)発明者 鈍宝 宗彦 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 柴山 慶三 徳島県板野郡北島町高房字川の上8番地 東邦レーヨン株式会社徳島工場内 (72)発明者 栗山 敏直 徳島県板野郡北島町高房字川の上8番地 東邦レーヨン株式会社徳島工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の理化学的性質、 1)作用:β−D−ガラクトシド結合を加水分解すると
    ともに、分解して生成したD−ガラクトース基を転移す
    る、 2)至適pHおよび安定pH範囲:至適pHがpH7.
    0〜7.5であって、pH6.5〜7.5(40℃で6
    0分間処理)で安定である、 3)作用適温の範囲:30〜40℃である, 4)分子量:ゲル濾過法による測定で約32万である、 を有することを特徴とするβ−ガラクトシターゼ。
  2. 【請求項2】 クレブシエラ(Klebsiella)属に属する
    細菌が生産するβ−ガラクトシターゼであって、以下の
    理化学的性質、 1)作用:β−D−ガラクトシド結合を加水分解すると
    ともに、分解して生成したD−ガラクトース基を転移す
    る、 2)至適pHおよび安定pH範囲:至適pHがpH7.
    0〜7.5であって、pH6.5〜7.5(40℃で6
    0分間処理)で安定である、 3)作用適温の範囲:30〜40℃である, 4)分子量:ゲル濾過法による測定で約32万である、 を有することを特徴とするβ−ガラクトシターゼ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のβ−ガラクトシターゼを
    生産する細菌株クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella
    oxytoca)A−53(FERM P−14263)。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111235132A (zh) * 2019-12-23 2020-06-05 浙江工业大学 一种β-半乳糖苷酶、基因、工程菌及其应用

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CN111235132A (zh) * 2019-12-23 2020-06-05 浙江工业大学 一种β-半乳糖苷酶、基因、工程菌及其应用

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