JPH08189427A - キャニスタ - Google Patents

キャニスタ

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JPH08189427A
JPH08189427A JP7002122A JP212295A JPH08189427A JP H08189427 A JPH08189427 A JP H08189427A JP 7002122 A JP7002122 A JP 7002122A JP 212295 A JP212295 A JP 212295A JP H08189427 A JPH08189427 A JP H08189427A
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vapor
canister
chamber
adsorbent
fuel
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Taku Ishikawa
卓 石川
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M25/00Engine-pertinent apparatus for adding non-fuel substances or small quantities of secondary fuel to combustion-air, main fuel or fuel-air mixture
    • F02M25/08Engine-pertinent apparatus for adding non-fuel substances or small quantities of secondary fuel to combustion-air, main fuel or fuel-air mixture adding fuel vapours drawn from engine fuel reservoir
    • F02M25/0854Details of the absorption canister

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 キャニスタの通気抵抗を低減し、大量のベー
パが処理可能なものとする。加えて、キャニスタ内のベ
ーパの偏流を抑制し、キャニスタのベーパ補集能力を向
上させる。 【構成】 キャニスタ2内部を仕切板11により第1活
性炭室12と第2活性炭室13に区画する。両活性炭室
12、13の内部に活性炭吸着材15が充填された吸着
材層16を形成する。第1活性炭室12の上部には給油
時に燃料タンク1からのベーパを導入するためのベーパ
導入ポート19、22を形成し、第2活性炭室13の上
部には吸着材層16によって燃料成分が補集されたベー
パ(空気)を大気中に放出する通気ポート23を形成す
る。また、両活性炭室12、13の下方には両室を連通
する拡散室18を形成する。そして、拡散室18の両側
には、キャニスタ2の中央部底面に対して傾斜する傾斜
部32、33を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃料タンクに発生す
る蒸発燃料が大気中に漏出されないように処理するキャ
ニスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の燃料タンク内に発生する蒸発燃
料(以下、ベーパという)が大気中に漏出されないよう
に処理するため、従来よりキャニスタが用いられてい
る。
【0003】キャニスタにおけるベーパ補集作用をより
効果的に行うための技術として、例えば特開平5−33
734号公報に提示される技術が知られている。同技術
におけるキャニスタでは、その内部が上下に延びる仕切
板によって2つの室に区画され、両室の内部にはベーパ
を吸着するための吸着材が収容されている。そして、両
室の一方は主室とされ、他方は同主室と比較して容量の
小さい副室とされている。主室及び副室は、両室の下部
に形成された連通路によって連通されている。また、前
記仕切板の下部は前記連通路の通路面積を縮小するよう
に下方に延設され、絞りが形成されている。主室はベー
パ通路によって燃料タンクと連通されるとともに、パー
ジ管路によって、エンジン吸気系と連通されている。さ
らに、副室にはパージ制御を行う際、キャニスタ内に大
気を導入する大気導入ポートが設けられている。
【0004】以上の構成によれば、燃料タンクに発生し
たベーパはベーパ通路を通じてキャニスタの主室に導入
され、主室内部の吸着材によって燃料成分が補集され
る。続いて、ベーパは主室下部の連通路を通じて副室に
導入される。そして、主室の吸着材によって補集しきれ
なかったベーパの燃料成分が副室において補集される。
ベーパは主室から連通路を介して副室へと略U字状の経
路に沿って移動することになるため、吸着材との接触時
間が長くなり燃料成分の補集が効果的に行われる。ま
た、ベーパは主室から副室に移動する際、前記絞りによ
って通気抵抗を受け、その移動が規制される。そのた
め、副室の吸着材で負担されるべきベーパの吸着量が少
なくなり、副室内にある吸着材のベーパ吸着能力には余
裕が生じることになる。その結果、副室に導入されたベ
ーパは燃料成分が十分にされた後、大気中に放出される
ようになる。すなわち、同従来技術ではキャニスタ内に
絞りを設けることによりキャニスタのベーパ補集能力を
向上させている。
【0005】ところで、近年では給油中に給油口から漏
出するベーパが大気汚染の一因として問題視されるよう
になってきている。この問題を解決するために、例えば
米国特許4,714,172号の明細書及び図面に記載
された技術が提案されている。同技術においては、キャ
ニスタと燃料タンクの間に両者を連通するブリーザ通路
が設けられている。そして、同ブリーザ通路の途中に
は、給油時に開弁する差圧弁が配設されている。さら
に、燃料注入管の内部にはシール部が設けられ、燃料注
入管に挿入された給油ノズルの周囲は同シール部により
シールされるようになっている。
【0006】以上の構成によれば、給油時に燃料が注入
されると燃料タンクの内圧が増加するため、前記差圧弁
が開弁する。すると、前記ブリーザ通路内には燃料タン
クからキャニスタに至るベーパの流れが形成される。キ
ャニスタ内に導入されたベーパは、その内部にある吸着
材によって燃料成分が捕集される。かかる際、給油ノズ
ルの周囲はシール部によりシールされているため、給油
口から燃料タンクのベーパが漏出することはない。すな
わち、同従来技術によれば、燃料タンク内のベーパを外
部に漏出することなく、給油作業を行うことが可能とな
る。
【0007】なお、以上説明したように、給油時に燃料
タンク内において発生するベーパをキャニスタに導入し
燃料成分を補集する処理を、以下の明細書中においてO
RVR処理(ORVR;Onboard Refueling Vapor Reco
very)という。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ORVR処
理においてキャニスタに流入するベーパ量(約45リッ
トル/min)は、給油時以外にキャニスタに流入する
ベーパ量(約1リットル/min)と比較して極めて大
きく、また、キャニスタ内を流れるベーパの流動速度も
大きくなる。したがって、ORVR処理を従来のキャニ
スタによって行う場合には以下に示す問題が生じる。
【0009】第1に、従来のキャニスタは通気抵抗が大
きく、ORVR処理時に燃料タンク内に発生する大量の
ベーパを流入させることができない。したがって、燃料
タンクからキャニスタに流れるベーパ流動が妨げられ、
燃料タンクの内圧が増加する。その結果、燃料タンク内
に燃料を注入することが困難となるおそれがある。
【0010】第2に、ベーパの流動速度が大きいため、
キャニスタ内においてベーパの燃料成分を捕集する際に
ベーパが一部の吸着材にしか当たらない状態、すなわち
ベーパの偏流が生じる場合がある。したがって、キャニ
スタ全体ではベーパ補集能力に余裕があっても、ベーパ
が当たる吸着材の吸着能力が限界に達してしまい、燃料
成分が十分に補集されていないベーパが外部に放出され
てしまうおそれがある。
【0011】この発明は、上記問題に着目してなされた
ものであって、その目的とするところは、キャニスタの
通気抵抗を低減させるとともに、その内部におけるベー
パの偏流を抑制することにより、キャニスタ内部の吸着
材を有効に活用することができるキャニスタを提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、ケーシングと、前記ケーシングの内部
に設けられた仕切部材により区画され、蒸発燃料を吸着
するための吸着材が収容された2つの吸着材室と、前記
両室のうち一方の吸着材室に開口して設けられ、燃料タ
ンクに発生する蒸発燃料を同吸着材室に導入するための
蒸発燃料導入ポートと、前記両室のうち他方の吸着材室
に開口して設けられ、燃料成分が補集された後の気体を
大気中に排出するための大気側導出ポートと、前記両吸
着材室と前記ケーシングの底部との間の空間に形成さ
れ、一方の吸着材室の蒸発燃料を他方の吸着材室に導入
する拡散室とを備え、前記蒸発燃料導入ポートから前記
拡散室を介して前記大気側導出ポートに至る蒸発燃料の
流れが、略U字形状となる流路を形成するキャニスタに
おいて、前記ケーシングの底部における両吸着材室側の
隅部には傾斜部が形成されるとともに、前記拡散室内で
の蒸発燃料の実質的な移動方向に形成される前記傾斜部
の長さの総和は、前記拡散室の前記移動方向における長
さの1/3以上を有していることをその要旨とするもの
である。
【0013】
【作用】上記構成によれば、燃料タンクに発生した蒸発
燃料は蒸発燃料導入ポートを介して一方の吸着材室に導
入される。そして、同吸着材室の内部に充填されている
吸着材によって、燃料成分が補集される。その後、蒸発
燃料は両拡散室を介して他方の吸着材室に導入され、そ
の内部の吸着材によって更に燃料成分が補集される。そ
して、燃料成分の大部分が補集された蒸発燃料は大気側
導出ポートより大気中に放出される。以上の蒸発燃料の
移動過程において、蒸発燃料は拡散室に設けられた傾斜
部に沿った流れを形成する。その結果、蒸発燃料の偏流
が抑制されるとともに、蒸発燃料がキャニスタ内を流れ
る際の抵抗が低減される。また、傾斜部が形成される長
さの総和は、拡散室長さの1/3以上を有しているため
その低減量が大きい。
【0014】
【実施例】以下、この発明を自動車の蒸発燃料処理装置
に具体化した実施例について図1〜図5に従って説明す
る。
【0015】図1は本実施例における蒸発燃料処理装置
のシステム全体を表す概略説明図である。同図に示すよ
うに、燃料タンク1にはその内部で発生するベーパをキ
ャニスタ2に導入するベーパ通路3の一端が開口して接
続されている。同ベーパ通路3の他端はキャニスタ2に
設けられたタンク内圧制御弁4を介して、キャニスタ2
と接続されている。同タンク内圧制御弁4は燃料タンク
1の内圧が所定値以上に増加すると開弁し、燃料タンク
1のベーパをキャニスタ2側に導入するようになってい
る。
【0016】また、燃料タンク1には給油時に開弁する
差圧弁5が設けられている。同差圧弁5はブリーザ通路
6によってキャニスタ2と接続されている。したがっ
て、給油時に燃料タンク1のベーパは同ブリーザ通路6
を通じてキャニスタ2内に導入される。なお、ORVR
処理時においてブリーザ通路6を通過するベーパ量は、
ベーパ通路3を通過するベーパ量と比較して極めて大量
である。そのため、ブリーザ通路6はベーパ通路3と比
較して通路断面積が大きくなっている。
【0017】さらに、キャニスタ2の内部はパージ通路
7によってエンジン吸気系の一部であるサージタンク8
と連通されている。前記パージ通路7の途中には、EC
U(Electronic Control Unit )9からの制御信号によ
ってエンジン吸気系へ供給されるパージ量を制御するパ
ージ量制御弁10が設けられている。
【0018】図2は本実施例におけるキャニスタ2及び
その周辺構成を示している。同図に示すようにキャニス
タ2を構成するケーシング2aの内部には、上下方向に
延びる仕切板11が形成され、同仕切板11によってキ
ャニスタ2内部は2つの室に区画されている。そして、
2つの室の一方はタンク内圧制御弁4の下方に位置する
吸着材室としての第1活性炭室12とされ、他方は同じ
く吸着材室としての第2活性炭室13とされている。
【0019】第1活性炭室12及び第2活性炭室13の
上部には空気層14が形成されるとともに、同空気層1
4の下方には粒状の活性炭吸着材15が充填された吸着
材層16が形成されている。また、第1活性炭室12及
び第2活性炭室13の上方及び下方にはフィルタ17
a、17bが設けられ、前記活性炭吸着材15は両フィ
ルタ17a、17bの間において充填されている。
【0020】前記フィルタ17bから下方の空間は拡散
室18とされている。同拡散室18は前記仕切板11の
位置より第1活性炭室12側にある空間が第1拡散室1
8aとされ、第2活性炭室13側にある空間が第2拡散
室18bとされている。前記第1活性炭室12内部と第
2活性炭室13内部は両拡散室18a、18bによって
連通されている。
【0021】第1活性炭室12の上方に該当するキャニ
スタ2の上面には、燃料タンク1内において発生したベ
ーパをキャニスタ2内部に導入する蒸発燃料導入ポート
としてのベーパ導入ポート19が形成されている。ま
た、ベーパ導入ポート19の右側には燃料タンク1内が
負圧になった際に通気を行うためのチェックボール式の
ベーパリリーフバルブ20が形成されている。
【0022】前記タンク内圧制御弁4は前記ベーパ導入
ポート19を覆うようにしてキャニスタ2の上面に配設
されている。同タンク内圧制御弁4にはダイヤフラムバ
ルブ4aが備えられており、同ダイヤフラムバルブ4a
によって前記ベーパ導入ポート19の先端開口部が閉塞
されている。またタンク内圧制御弁4の内部は前記ダイ
ヤフラムバルブ4aによって上下に区画されており、ダ
イヤフラムバルブ4aの上側には背圧室4b、下側には
正圧室4cが形成されている。前記背圧室4b側に該当
するタンク内圧制御弁4の上部には、背圧室4bの内部
を大気圧に維持する大気開放ポート21が設けられてい
る。また、前記正圧室4c内部はベーパ通路3を介して
燃料タンク1内部と連通されている。なお、ダイヤフラ
ムバルブ4aは背圧室4bに設けられたスプリング4d
によりベーパ導入ポート19の先端開口部側に押圧され
ている。したがって、同ダイヤフラムバルブ4aは燃料
タンク1の内圧が所定値以上に増加するまでは前記タン
ク内圧制御弁4を閉弁状態とする位置に保持されてい
る。
【0023】また、第1活性炭室12の上方に該当する
キャニスタ2上面には、前記ベーパ導入ポート19とは
別のベーパ導入ポート22が形成され、前記ブリーザ通
路6の一端が接続されている。また、同ベーパ導入ポー
ト22左側のキャニスタ2上面にはパージ通路7が開口
して接続されている。なお、このベーパ導入ポート22
は前述したベーパ導入ポート19と同様に本発明の蒸発
燃料導入ポートを構成している。
【0024】前記第2活性炭室13の上方に該当するキ
ャニスタ2上面には本発明の大気側導出ポートを構成す
る通気ポート23が形成されている。そして、同通気ポ
ート23を覆うように大気側制御弁24が配設されてい
る。同大気側制御弁24は大気開放制御弁25と大気吸
入制御弁26とが左右に対向する位置に配置され形成さ
れている。すなわち、同大気側制御弁24は大気開放制
御弁25と大気吸入制御弁26とが一体となった構造と
されている。
【0025】前記大気開放制御弁25及び大気吸入制御
弁26の内部にはダイヤフラムバルブ25a、26aが
それぞれ設けられている。そして、大気開放制御弁25
に備えられたダイヤフラムバルブ25aの左側には大気
圧室25b、大気吸入制御弁26に備えられたダイヤフ
ラムバルブ26aの右側には負圧室26bがそれぞれ形
成されている。両ダイヤフラムバルブ25a、26aに
よって挟まれた空間は、隔壁29により2つの圧力室に
区画されている。そして、両圧力室の一方は前記大気開
放制御弁25の正圧室25dとされ、他方は前記大気吸
入制御弁26の大気圧室26dとされている。また、前
記隔壁29の一部には圧力パイプ29aが形成されると
ともに、その先端開口部は前記ダイヤフラムバルブ26
aによって閉塞されている。同ダイヤフラムバルブ26
aは負圧室26bに配設されたスプリング26cによっ
て同圧力パイプ29aの先端開口部側に付勢されている
ため、前記大気吸入制御弁26は閉弁状態となってい
る。そして、ベーパがエンジン吸気系側にパージされる
際、前記負圧室26bに作用する負圧と前記大気圧室2
6dの内圧との圧力差が所定値に達したときに、前記大
気吸入制御弁26は開弁する。
【0026】前記大気側制御弁24の上部には大気開放
ポート30が形成され、大気圧室25b内部は常時大気
圧とされている。また、大気側制御弁24の側部には、
前記負圧室26b内部と第1活性炭室12内部とを連通
する圧力通路31が接続され、負圧室26b内にはパー
ジ通路7に発生する圧力が導入されている。
【0027】前記大気吸入制御弁26の大気圧室26d
には大気吸入通路28が開口して設けられている。そし
て、キャニスタ2内のベーパをサージタンク8にパージ
する際には、前記大気吸入通路28を通じてキャニスタ
2内に外気が導入される。
【0028】また、大気開放制御弁25の正圧室25d
にはキャニスタ2内で燃料成分が捕集されたベーパ(空
気)を導出する大気開放通路27が接続されている。O
RVR処理時において、大量の空気(燃料成分が捕集さ
れたベーパ)が同大気開放通路27を通じて外部に放出
されるため、大気開放通路27はブリーザ通路6とほぼ
等しい通路断面積を有している。また、前記大気開放通
路27の先端開口部は大気開放制御弁25のダイヤフラ
ムバルブ25aによって閉塞されている。そして、同ダ
イヤフラムバルブ25aは、大気圧室25bに配設され
たスプリング25cにより大気開放通路27の開口部側
に付勢されているため、大気開放制御弁25はキャニス
タ2の内圧が所定値以上になるまで閉弁状態に保持され
る。
【0029】さて、本実施例における前記第1拡散室1
8aの右側及び第2拡散室18bの左側に該当するケー
シング2aの底部両側にはそれぞれ傾斜部32、33が
設けられている。両傾斜部32、33は前記ケーシング
2aの中央部底面に対して所定角度傾斜して形成されて
いる。さらに、両傾斜部32、33は傾斜度の異なる2
つの傾斜平面32a、32b、33a、33bにより構
成され、上部側にある傾斜平面32a、33aは下部側
の傾斜平面32b、33bと比べケーシング2aの中央
部底面に対して大きい傾斜度を有している。また、前記
両傾斜部32、33の上部にある傾斜平面32a、33
aは吸着材層16の下側隅部16aの下方に配置され、
両傾斜部32、33の表面に沿ったベーパ流動が形成さ
れると、そのベーパが前記下側隅部16aを通過するよ
うになっている。さらに、両拡散室18a、18bの左
右側に形成された傾斜部32、33とは別に、両拡散室
18a、18bの前側(図3の上側)に図4に示す傾斜
部34bが形成され、後側にも同様に傾斜部34aが形
成されている。
【0030】本実施例において、前記両傾斜部32、3
3が形成される長さ(図2においてL1 、L3 によって
示す)はそれぞれの拡散室18a、18b全長(図2に
おいてL2 、L4 によって示す)の1/3とされてい
る。すなわちL1 =L2 /3、L3 =L4 /3となって
いる。ここで、両傾斜部32、33の長さL1 及びL3
(以下、LA によって表す)を拡散室18a、18bの
全長L2 及びL4 (以下、LB によって表す)の1/3
としたのは以下に示す理由による。
【0031】ORVR処理時において燃料タンク1から
ブリーザ通路6を通して第1活性炭室12に導入された
ベーパは吸着材層16を通過し、前記第1拡散室18a
に導入される。さらに、ベーパは第1拡散室18aの左
側にある第2拡散室18bに移動した後、第2活性炭室
13の吸着材層16に導入される。したがって、ベーパ
はキャニスタ2内を図2の矢印によって示すような略U
字状の移動経路に沿って移動する。かかる移動の際、ベ
ーパは第1活性炭室12から第1拡散室18aに流入し
た後にその流れの向きが変化し、さらに、第2拡散室1
8bから第2活性炭室13に流出する際にも同様に流れ
の向きが変化する。そして、ベーパは、その流れの向き
が変化する際に大きな通気抵抗を受けることになる。か
かる傾向は、ORVR処理時のようにキャニスタ2内を
移動するベーパの流動速度が大きい場合に特に顕著とな
り、前記通気抵抗は極めて大きくなる。そこで、ベーパ
の流れ方向が変化する位置に傾斜部32、33を設け、
同傾斜部32、33によってベーパの流れの方向を徐々
に変化させ、ベーパが受ける抵抗を低減することが必要
となる。
【0032】図5は本実施例のキャニスタ2における前
記傾斜部32、33の長さLA とキャニスタ2の通気抵
抗の関係を示している。同図に示すようにキャニスタ2
の通気抵抗は傾斜部32、33の長さLA の増加に対し
て減少傾向を示している。そして、キャニスタ2の通気
抵抗は傾斜部32、33の長さLA が両拡散室18a、
18b全長LB の略1/3にまで増加すると一定値に収
束している。したがって、キャニスタ2の通気抵抗を効
果的に低減するには同傾斜部32、33の長さLA が拡
散室全長LB の1/3以上であることが望まれる。そこ
で、本実施例においては傾斜部32、33の長さLA
両拡散室18a、18b全長LB の1/3とした。
【0033】なお、本明細書中において、「傾斜部の長
さ」あるいは「拡散室の長さ(全長)」とは、両拡散室
内での蒸発燃料の実質的な移動方向における長さを意味
するものとする。また、「実質的な移動方向」とは、拡
散室内での蒸発燃料の流れにおいて、その流れの乱れ、
あるいは傾斜部における流れ方向の変化等を考えず、一
方の吸着材室側から他方の吸着材室側に向かう大局的な
蒸発燃料の移動方向を意味するものとする。
【0034】つぎに、以上の構成を備えた本実施例にお
けるキャニスタの作用について図1および図2を参照し
て説明する。まず、ORVR処理を行わない、給油時以
外におけるベーパ処理過程について説明する。燃料タン
ク1内において液体燃料が蒸発し、その内圧が所定値以
上に増加するとキャニスタ2に設けられたタンク内圧制
御弁4が開弁する。すると、ベーパ通路3内には燃料タ
ンク1からキャニスタ2に向かうベーパの流れが形成さ
れる。したがって、燃料タンク1内のベーパはベーパ通
路3を通過し、前記ベーパ導入ポート19を介してキャ
ニスタ2内に導入される。なお、差圧弁5は閉弁してい
るため、ブリーザ通路6は閉鎖状態となっている。
【0035】キャニスタ2内部に導入されたベーパは、
空気層14及びフィルタ17aを通過した後、第1活性
炭室12の吸着材層16内部に充填されている活性炭吸
着材15によってその燃料成分が補集される。続いて、
ベーパは下方に移動し、フィルタ17bを介して第1拡
散室18aに導入される。さらに、ベーパは第1拡散室
18aから第2拡散室18b側へと移動する。そして、
ベーパは前記フィルタ17bを介して第2活性炭室13
に導入され、同室13の吸着材層16において第1活性
炭室12側で補集しきれなかった燃料成分が補集され
る。燃料成分の大部分が各室の活性炭吸着材15によっ
て補集されたベーパは、通気ポート23を通過して大気
開放制御弁25の正圧室25dに導入される。そして、
ベーパは大気開放制御弁25を開弁し、大気開放通路2
7を通じて外部に放出される。この時、大気吸入制御弁
26の負圧室26b内は大気圧室26dの内圧より大き
い正圧となっている。大気吸入制御弁26は負圧室26
bの内圧が正圧である場合には開弁しないため、大気吸
入制御弁26側よりベーパが外部に漏出することはな
い。
【0036】以上のように、ベーパは第1活性炭室12
及び第2活性炭室13内部の吸着材層16を通過する過
程において徐々にその燃料成分が捕集されるようになっ
ている。また、キャニスタ2内のベーパ流動速度は非常
に小さいため、ベーパは吸着材層16内部全体に拡散さ
れる。すなわち、吸着材層16に充填された活性炭吸着
材15の略全体によってベーパの補集作用が奏せられ
る。さらに、ベーパはキャニスタ2内部を略U字状に移
動するため、その移動距離が長くなるとともに、活性炭
吸着材15に接触している時間が長くなる。その結果、
ベーパに含まれる燃料成分が効果的に捕集されるように
なっている。
【0037】一方、長時間の駐車等により、燃料タンク
1が冷却され、燃料タンク1内のベーパの発生が止ま
り、キャニスタ2内部の圧力が相対的に高くなった場合
には、ベーパリリーフバルブ20が開放されるため、キ
ャニスタ2内のベーパはベーパ通路3を通じて燃料タン
ク1に戻される。
【0038】つぎに、キャニスタ2内に捕集された燃料
成分は以下のようにしてエンジン吸気系に供給される。
エンジンが始動されると前記パージ通路7のサージタン
ク8側開口部近傍は負圧となる。この負圧はパージ通路
7に作用し、ECU9によりパージ量制御弁10が開放
駆動される毎に、同パージ通路7内にはキャニスタ2か
ら前記サージタンク8に向かうベーパの流れが形成され
る。したがって、キャニスタ2の内圧は負圧となる。そ
の結果、前記負圧室26b内は負圧となり、大気吸入制
御弁26が開弁するとともに、大気吸入通路28を通し
て新たな外気がキャニスタ2内に導入される。そして、
活性炭吸着材15に吸着されている燃料成分はキャニス
タ2内部に導入された外気により離脱、吸収される。
【0039】燃料成分を吸収した外気(ベーパ)はパー
ジ通路7内に導かれ、パージ量制御弁10を介してサー
ジタンク8に流入する。同サージタンク8内において、
ベーパはエアクリーナ35を通過した燃焼用空気と混合
され図示しないシリンダ内に供給される。そして、燃焼
用空気と混合されたベーパは、燃料タンク1内の燃料ポ
ンプ36を介して燃料噴射弁37から吐出された燃料と
ともに図示しないシリンダ内において燃焼される。
【0040】つぎに、ORVR処理時におけるベーパ処
理過程について説明する。ORVR処理において、燃料
タンク1に発生したベーパがキャニスタ2内の活性炭吸
着材15によって補集される過程は前記ORVR処理を
行わない場合とほぼ同様である。ここでは、特に前述し
た両拡散室18a、18bに設けられた傾斜部32、3
3によって奏せられる作用及び効果を中心に説明する。
【0041】給油時において燃料タンク1に燃料が供給
されると、燃料液面が上昇するとともに、燃料タンク1
内には大量のベーパが発生し、その内圧が増加する。そ
して、燃料タンク1内で高圧となったベーパは前記差圧
弁5を開弁する。さらに、ベーパはブリーザ通路6内を
キャニスタ2側に移動し、ベーパ導入ポート22を通じ
てキャニスタ2の第1活性炭室12に導入される。続い
て、ベーパは前記空気層15を介して、第1活性炭室1
2の吸着材層16に導入される。
【0042】ここで、第1活性炭室の右側面近傍を流れ
るベーパに注目すると、そのベーパは吸着材層16を下
方に移動し、やがて、第1拡散室18aの右側に設けら
れた傾斜部32に到達する。そして、傾斜部32に到達
したベーパはその傾斜平面32a、32bに沿った流路
を形成する。したがって、図2において上下方向の流れ
方向を有していたベーパは徐々にその向きが変化し、同
傾斜平面32a、32bに沿ってこれらを通過した後は
図2の左右方向に流れるようになる。すなわち、第1活
性炭室12の側面近傍を流れるベーパは同傾斜部32に
よって流れの向きが変えられ、同活性炭室12から第1
拡散室18aを介して第2拡散室18b側に流れる澱み
のないベーパ流動を形成することになる。また、第1拡
散室18aから第2拡散室18bに流入したベーパも同
様にして第2拡散室18bに設けられた傾斜部33によ
って流れの向きが変えられた後、第2活性炭室13の左
側面近傍を上方に流動する。
【0043】以上のように、本実施例のキャニスタ2で
は傾斜部32、33を設けることにより、図2の実線で
示すような各活性炭室12、13の側面近傍に沿ったベ
ーパ流動が形成されるようになっている。したがって、
従来、ベーパの流動速度が大きい場合に活用することが
できなかった両活性炭室12、13側面部の活性炭吸着
材15を有効に活用することができる。さらに、同キャ
ニスタ2では、両活性炭室12、13の側面近傍をベー
パが流れ、実質的にキャニスタ2内を流れるベーパの流
路面積が拡大されることになるため、その通気抵抗が減
少する。したがって、ORVR処理時に燃料タンク1に
発生する大量のベーパを処理することが可能となる。
【0044】また、両傾斜部32、33の上部にある傾
斜面32a、33aは吸着材層16の下側隅部16aの
下方に位置するように配置されているため、両傾斜部3
2、33の表面に沿って流れるベーパは同隅部16aを
通過し、その部分にはベーパの通過に伴う圧力上昇が生
じる。その結果、同隅部16aにある活性炭吸着材15
はより多くのベーパを吸着することができる。
【0045】加えて、本実施例においては両拡散室18
a、18bの前後側にも傾斜部34b、34aが形成さ
れているため、吸着材層16の前後壁面に沿って上下方
向に流れるベーパが受ける抵抗が減少している。したが
って、吸着材層16の前後壁面に沿って流れるベーパ流
量が増加し、同前後壁面近傍にある活性炭吸着材15を
有効に活用することができる。
【0046】さらに、本実施例におけるケーシング2a
は、その底部両隅部が切り欠かれた形状となっているた
め、キャニスタ2を例えば自動車のフロア下に配置する
際、搭載スペースを有効に活用することができる。
【0047】以上説明したように本実施例におけるキャ
ニスタ2では、その通気抵抗が減少している。さらに、
傾斜部の長さLA が拡散室全長LB の1/3となるよう
に設定されているため、その通気抵抗の減少量は極めて
大きいものとなっている。また、吸着材層16の壁面部
近傍又は下側隅部16aの活性炭吸着材15を有効に活
用することができるため、キャニスタ2全体のベーパ補
集能力が向上している。
【0048】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
とはなく、以下のように構成を変更して実施してもよ
い。 (1)キャニスタ2内を流れるベーパの流動速度が大き
い場合には、前記傾斜部32、33の長さLA を拡散室
の長さLB の1/3より大きくなるように形成する。 (2)前記両傾斜部32、33は傾斜度の異なる2つの
傾斜平面32a、32b、33a、33bにより構成し
たが、両傾斜部32、33を曲面によって形成するよう
に変更する 以上、本発明を具体化した実施例について説明したが、
同実施例によって把握されるその他の技術的思想につい
て、その効果とともに記載する。 (a)前記傾斜部32、33は傾斜度の異なる複数の傾
斜平面より構成されてなる請求項1に記載のキャニス
タ。かかる構成によれば、キャニスタ2の通気抵抗を更
に減少させるべくキャニスタ2の容量あるいはベーパ流
動速度に応じて傾斜部32、33の形状を変化させるこ
とができる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のキャニス
タによれば、その内部において、前記傾斜部に沿った蒸
発燃料の流れが形成される。したがって、キャニスタの
通気抵抗が低減され、キャニスタ内に大量の蒸発燃料を
流入させることが可能となる。また、傾斜部が形成され
る長さを拡散室長さの1/3以上となるようにしたた
め、前記通気抵抗の低減量が大きい。加えて、キャニス
タ内部のベーパの偏流が抑制され、吸着材全体の吸着能
を活用することができるため、キャニスタにおけるベー
パ補集能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるキャニスタが車載された場合
のシステム概略構成を示す説明図。
【図2】実施例におけるキャニスタ等を示す断面図。
【図3】図2におけるA−A断面図。
【図4】図3におけるB−B断面図。
【図5】傾斜部の長さとキャニスタ通気抵抗との関係を
示す説明図。
【符号の説明】
2a…ケーシング、2…キャニスタ、11…仕切板、1
2…第1活性炭室(吸着材室)、13…第2活性炭室
(吸着材室)、15…活性炭吸着材(吸着材)、18a
…第1拡散室(拡散室)、18b…第2拡散室(拡散
室)、19…ベーパ導入ポート(蒸発燃料導入ポー
ト)、22…ベーパ導入ポート(蒸発燃料導入ポー
ト)、23…通気ポート(大気側導出ポート)、32…
傾斜部、33…傾斜部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、 前記ケーシングの内部に設けられた仕切部材により区画
    され、蒸発燃料を吸着するための吸着材が収容された2
    つの吸着材室と、 前記両室のうち一方の吸着材室に開口して設けられ、燃
    料タンクに発生する蒸発燃料を同吸着材室に導入するた
    めの蒸発燃料導入ポートと、 前記両室のうち他方の吸着材室に開口して設けられ、燃
    料成分が補集された後の気体を大気中に排出するための
    大気側導出ポートと、 前記両吸着材室と前記ケーシングの底部との間の空間に
    形成され、一方の吸着材室の蒸発燃料を他方の吸着材室
    に導入する拡散室と、 を備え、前記蒸発燃料導入ポートから前記拡散室を介し
    て前記大気側導出ポートに至る蒸発燃料の流れが、略U
    字形状となる流路を形成するキャニスタにおいて、 前記ケーシングの底部における両吸着材室側の隅部には
    傾斜部が形成されるとともに、前記拡散室内での蒸発燃
    料の実質的な移動方向に形成される前記傾斜部の長さの
    総和は、前記拡散室の前記移動方向における長さの1/
    3以上を有していることを特徴とするキャニスタ。
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